自 然 災 害 時 の 支 援 機 能 としての 地 域 包 括 支 援 センターに 関 する 研 究 Research of Support Function of General Support Center at the Time of Disaster 北 川 慶 子 keiko Kitagawa 永 家 忠 司 Tadashi Nagaie 抄 録 東 日 本 大 震 災 は 被 災 者 支 援 の 福 祉 機 関 として 地 域 包 括 支 援 センター( 包 括 センターと する)の 支 援 役 割 を 重 視 している 我 々は 全 国 4,209 包 括 センターに 対 し 質 問 紙 調 査 (2010 年 12 月 から 2011 年 2 月 末 まで)を 実 施 した 質 問 紙 による 調 査 の 内 容 は 被 災 と 防 災 減 災 に 関 する 具 体 的 な 質 問 内 容 は 被 災 経 験 被 災 の 心 配 や 不 安 災 害 時 要 援 護 者 への 支 援 準 備 災 害 に 備 えた 名 簿 作 成 や 連 絡 体 制 備 蓄 避 難 訓 練 地 域 との 連 携 等 47 項 目 である 調 査 の 結 果 包 括 センターの 職 員 の 防 災 意 識 は やや 低 い 51.6% やや 高 い 27.2% 低 い 14.9% 高 い 6.4%である 被 災 経 験 がある 包 括 センターは 約 1 割 ほどであった が 被 災 経 験 を 有 する 包 括 センターが 防 災 意 識 の やや 高 い が 最 も 多 い 平 均 値 も 2.84 で 被 災 経 験 がない(2.24)ところよりも 防 災 意 識 が 高 いことが 明 らかになった 包 括 センターでは これまでに 被 災 者 に 対 する 直 接 的 支 援 は 実 施 されており 包 括 セ ンター 内 の 連 絡 体 制 も 整 備 されていた しかし 地 域 の 災 害 時 要 援 護 者 ( 高 齢 者 ) 情 報 の 把 握 消 防 医 療 保 健 福 祉 等 関 係 施 設 等 との 連 携 など 包 括 センターに 最 も 求 められ る 機 能 は 被 災 者 と 支 援 を 繋 ぐ 機 関 としては 明 らかに 準 備 不 足 であった キーワード 東 日 本 大 震 災 地 域 包 括 支 援 センター 災 害 時 要 援 護 者 避 難 所 A Research on Support Function of General Support Center at the Time of Disaster The massive earthquake and tsunami that has hit the north-eastern part of Japan on March 11, 2011 inflicted unparalleled damages including more than 23,000 deaths and missing persons. Further, three months after the disaster (as of June 11, 2011), about 93,000 people are leading refuge life. In protracted refuge life, specially, circumstances of elderly persons are difficult. There are many challenges requiring complex and exact supports such as increase of older adults in need of nursing care, the problem of nursing care, and insufficient facilities for elderly persons in need of nursing care. True value of local general support centers (referred to as support center) is evaluated now. In 2006, Cabinet Office prepared Guideline for Evacuation Support for Disaster Victims in Need of Care at the Time of Disaster. The guideline clearly shows that
general support center should be used for continuing welfare service and relationship with related such social welfare organizations and local government. This studied support functions and relief operations by of general support center at the time of disaster by nationwide research about disaster prevention. Questionnaire survey was performed toward 4,209 centers in Japan (from December, 2010 to the end of February, 2011). The purpose was to research the disaster prevention and disaster reduction. Specifically, the questionnaire included experience of disaster, worry and anxiety of disaster, support preparation for victims in disaster, list making in preparation to disaster, communication system, stock, disaster drill and cooperation with community. With regard to awareness of disaster prevention of the staffs, the questionnaire showed slightly low (2 points), 51.6%; slightly high (3 points), 27.2%; low (1 point), 14.9%; high (4 points), 6.4%. The number of slightly high (3 points) was most frequently observed in staffs at local comprehension support centers that had experience of disaster. Average of score of them was 2.84 showing higher awareness of disaster compared to centers without experience of disaster (2.24). Direct support to victims was performed and the Communication system within the comprehension centers was established. However, lack of preparation as organization to connect victims to support such as understanding of elderly persons in the area, and combination with related facilities like fire department, medical care facilities, healthcare center and welfare facilities that was highly requested for local comprehension support center was illuminated. Key words Higashi-Nihon Earthquake and Tsunami Disaster Vulnerable Older Adult Evacuation Center General Suport Center はじめに 2011 年 3 月 11 日 に 発 生 した 東 日 本 大 震 災 では 犠 牲 者 が 死 亡 者 (15,733 人 ) 行 方 不 明 (4,462 人 )と 約 20,000 人 を 数 え 負 傷 者 数 は 5924 人 という 未 曾 有 の 被 害 をもたらした 1) 震 災 から 4 ヶ 月 (2011 年 8 月 11 日 現 在 ) 経 過 しても 約 93,000 人 が 避 難 生 活 を 続 け その 後 仮 設 住 宅 の 建 設 が 進 んだものの 8 月 15 日 現 在 目 標 の 88% 4 万 5800 戸 にとど まっている 被 災 者 の 避 難 先 は 全 国 に 広 がっており 8 万 7063 人 が 避 難 生 活 を 送 っている その 内 訳 は 内 閣 府 によると 1 万 2905 人 が 公 民 館 や 諸 学 校 などの 避 難 所 で 生 活 し 旅 館 ホ テルなどいわゆる 見 做 し 仮 設 住 宅 に 1 万 9918 人 親 族 知 人 宅 に 1 万 8874 人 公 営 住 宅 仮 設 住 宅 への 入 居 者 は 3 万 5366 人 となっている 2)このように 避 難 生 活 は 長 期 化 し 特
に 高 齢 者 等 要 援 護 者 の 生 活 状 況 は 厳 しく 二 次 的 な 被 災 ともいうべき 新 たな 要 介 護 状 態 に 移 行 する 高 齢 者 や 避 難 生 活 の 中 での 介 護 問 題 要 介 護 高 齢 者 の 受 入 れ 施 設 不 足 等 の 課 題 が 徐 々に 増 加 し 始 め 複 合 的 で 的 確 な 支 援 を 必 要 となってきている 厚 生 労 働 省 老 健 局 振 興 課 は 東 日 本 大 震 災 における 地 域 包 括 支 援 センターへの 職 員 派 遣 及 び 設 置 運 営 基 準 の 弾 力 的 な 取 り 扱 いについて( 依 頼 ) の 通 知 を 各 都 道 府 県 の 所 管 局 あて 支 援 の 長 期 化 に 伴 い 職 員 を 被 災 地 に 派 遣 し 被 災 要 援 護 者 の 安 否 確 認, 課 題 の 把 握, 必 要 なサービスへの 連 結 支 援 を 実 施 するよう 継 続 支 援 を 要 請 している 3) 本 論 においては 東 日 本 大 震 災 発 生 直 前 の 防 災 減 災 に 関 する 地 域 包 括 支 援 センター 全 国 調 査 の 結 果 分 析 から 包 括 センターの 被 災 者 支 援 に 対 する 意 識 は 必 ずしも 高 くはなかっ たものの 大 震 災 発 生 後 には 被 災 者 に 対 する 支 援 の 中 心 的 な 役 割 を 果 たしている 包 括 セン ターの 災 害 時 における 機 能 の 背 景 となる 防 災 意 識 について 考 察 する 1. 本 研 究 の 目 的 我 々は 2007 年 より 社 会 福 祉 分 野 救 急 医 災 害 医 療 分 野 そして 自 然 災 害 防 災 分 野 の 異 分 野 融 合 による 災 害 時 要 援 護 者 のための 地 域 防 災 研 究 を 開 始 した 災 害 時 要 援 護 者 が 居 住 している 全 国 の 介 護 保 険 施 設 に 対 し 2007-2008 年 にかけて 施 設 の 防 災 減 災 意 識 調 査 を 2009 年 -2010 年 には 全 国 の 障 害 者 自 立 支 援 施 設 に 対 する 同 様 の 調 査 を 実 施 した そして 自 然 災 害 の 被 災 地 現 地 調 査 の 中 から 包 括 センターは 地 域 の 要 援 護 者 に 対 する 支 援 の 中 心 的 機 関 であること 要 援 護 者 は 包 括 センターを 利 用 することにより 円 滑 な 生 活 復 帰 が 可 能 になっていることなどが 明 らかになったため 2010 年 -2011 年 にかけて 全 国 の 包 括 センターに 対 する 同 様 調 査 を 実 施 した すなわち 2 つの 調 査 は 支 援 を 必 要 とする 施 設 に 対 する 調 査 1 つの 調 査 は 支 援 を 行 う 機 関 の 調 査 という 要 支 援 者 側 支 援 者 側 に 対 する 全 国 調 査 を 行 った さて 3 月 11 日 に 発 生 した 東 日 本 大 震 災 は 犠 牲 者 ( 死 亡 者 行 方 不 明 )が 23,000 人 を 超 える 未 曾 有 の 被 害 をもたらした さらに 震 災 から 3 ヶ 月 (2011 年 6 月 11 日 現 在 ) 経 過 しても 約 93,000 人 が 避 難 生 活 を 続 けている 長 期 化 する 避 難 生 活 において 特 に 高 齢 者 を 巡 る 状 況 は 厳 しく 新 たな 要 介 護 高 齢 者 の 増 加 や 介 護 問 題 要 介 護 高 齢 者 の 受 入 れ 皿 の 不 足 等 複 合 的 で 的 確 な 支 援 を 必 要 とする 課 題 が 山 積 しており まさに 地 域 包 括 支 援 セン ター( 以 下 包 括 センターと 略 する)の 役 割 が 問 われている 2006 年 に 内 閣 府 が 策 定 した 災 害 時 要 援 護 者 の 避 難 支 援 ガイドライン では 災 害 時 の 福 祉 サービスの 継 続 や 関 係 機 関 等 との 連 携 において 包 括 センターを 活 用 することが 明 記 さ れている 包 括 センターはその 機 能 と 役 割 から 地 域 の 要 援 護 高 齢 者 情 報 を 把 握 しているは ずであり 災 害 時 に 要 援 護 高 齢 者 と 医 療 福 祉 介 護 関 連 諸 機 関 とを 繋 ぐ 基 幹 の 機 能 を 果 たすこととされている 実 際 に 東 日 本 大 震 災 後 厚 生 労 働 省 から 地 域 包 括 支 援 センターを 中 心 に 要 援 護 高 齢 者 等 の 安 否 確 認 課 題 の 把 握 必 要 なサービスへの 連 結 支 援 を 実 施 す るよう 事 務 連 絡 が 出 されている また 我 々の 被 災 地 現 地 調 査 によっても 過 去 の 災 害 に
おいて 包 括 センターの 主 導 により 介 護 サービスの 継 続 的 提 供 に 繋 がる 支 援 が 展 開 された 例 があり 被 災 者 支 援 における 包 括 センターの 役 割 の 重 要 性 と 効 果 が 実 証 されている 災 害 時 要 援 護 者 の 避 難 支 援 ガイドラインに 包 括 センターの 役 割 が 明 記 されて 以 来 大 規 模 災 害 が 発 生 しなかったこともあってか 事 例 も 少 なくまた 包 括 センターの 災 害 時 におけ る 支 援 や 防 災 減 災 の 現 状 に 関 する 研 究 は 少 なかった 我 々の 全 国 の 包 括 センターに 対 する 防 災 減 災 調 査 は わが 国 で 初 めて 実 施 されたもの であり しかも 調 査 終 了 が 2011 年 2 月 28 日 ( 投 函 締 切 )という 震 災 の 直 前 であった 震 災 後 現 在 (2011 年 8 月 )になっても 数 は 少 ないが 回 答 票 が 郵 送 されてきている 本 論 では 所 期 の 締 め 切 りまでに 届 いた 回 答 票 につき 分 析 し 防 災 意 識 を 中 心 とし 災 害 時 の 包 括 センターの 支 援 機 能 を 検 証 する 2. 研 究 対 象 調 査 方 法 本 論 の 対 象 は 全 国 の 包 括 センターである 47 都 道 府 県 4,209 の 包 括 センターに 対 し 全 国 の 地 域 包 括 支 援 センターにおける 災 害 時 支 援 と 防 災 減 災 に 関 する 調 査 を 質 問 紙 調 査 ほ うにより 郵 送 で 実 施 した なお 調 査 の 回 答 者 は 包 括 センターが 3 専 門 職 によって 構 成 され いずれも 災 害 時 には 被 災 者 支 援 を 行 う 要 務 を 負 う 人 たちであるため 社 会 福 祉 士 保 健 師 介 護 支 援 専 門 員 3 者 の 協 議 により 回 答 するか 機 関 全 体 の 防 災 と 災 害 時 支 援 に 関 す る 調 査 であるためにセンター 長 のいずれかとすること 文 書 で 依 頼 した 被 災 と 防 災 減 災 に 関 する 具 体 的 な 質 問 内 容 と 被 災 経 験 被 災 の 心 配 や 不 安 災 害 時 要 援 護 者 への 支 援 準 備 災 害 に 備 えた 名 簿 作 成 や 連 絡 体 制 備 蓄 避 難 訓 練 地 域 との 被 災 者 支 援 連 携 等 で 55 項 目 であった 調 査 期 間 は 2010 年 12 月 から 2011 年 2 月 末 まで 3 か 月 の 留 め 置 き 法 とし た 3. 調 査 結 果 (1) 地 域 包 括 支 援 センターと 災 害 時 対 応 地 域 包 括 支 援 センターは 2006 年 の 介 護 保 険 法 の 改 正 に 伴 い 創 設 された 機 関 であり 地 域 の 高 齢 者 のための 支 援 機 関 として 中 学 校 区 を 一 つの 単 位 として 設 置 されているため 地 域 における 災 害 時 要 援 護 者 支 援 に 対 する 主 要 な 支 援 役 割 を 有 する 2007 年 日 本 社 会 福 祉 士 会 ( 福 祉 関 係 者 のための 災 害 対 応 マニュアル 研 究 会 )は 地 域 包 括 支 援 センター 用 とし て 災 害 時 の 対 応 チェックリスト を 作 成 した これは 災 害 時 に 具 体 的 な 対 応 要 援 護 者 が 避 難 生 活 等 で 生 活 困 難 に 直 面 することへの 対 応 を 図 ることを 目 指 したものである 東 日 本 大 震 災 の 発 生 による 膨 大 な 数 の 災 害 時 要 援 護 者 への 支 援 が 必 要 とされるようになっ て ようやく 地 域 包 括 支 援 センターの 役 割 に 注 目 され 始 めた しかし 2006 年 に 内 閣 府 が 策 定 した 災 害 時 要 援 護 者 の 避 難 支 援 ガイドライン においても 災 害 時 の 福 祉 サービス の 継 続 や 関 係 機 関 等 との 連 携 において 包 括 センターを 活 用 するということがすでに 明 記 さ れていた 過 去 の 災 害 においても 地 域 包 括 支 援 センターの 主 導 により, 介 護 サービスの 継 続 的 提 供 に
繋 がる 支 援 が 展 開 された 例 があり 被 災 者 支 援 における 地 域 包 括 支 援 センターの 役 割 の 重 要 性 と 効 果 が 実 証 されている 4) 災 害 時 における 地 域 包 括 支 援 センターの 役 割 に 関 する 研 究 は, 被 災 後 の 高 齢 者 の 見 守 りを 通 した 孤 独 死 防 止 や 生 活 支 援 についての 報 告 等 はあるが 4, 5), 全 国 規 模 の 地 域 包 括 支 援 センターにおける 災 害 時 の 要 援 護 高 齢 者 の 支 援 準 備 や 防 災 の 現 状 に 関 する 研 究 はない 我 々は 全 国 の 地 域 包 括 支 援 センターに 対 する 防 災 減 災 調 査 を 実 施 した (1) 調 査 票 の 回 答 状 況 本 調 査 の 回 収 率 31.8%( 回 収 数 1339 票 )であった 全 回 答 に 占 める 設 置 主 体 の 割 合 は 社 会 福 祉 法 人 が 45.3%と 最 も 多 く 次 いで 市 町 村 直 営 35.9%であった ( 表 1) 地 域 包 括 支 援 センターは 介 護 保 険 により 地 域 包 括 ケアを 目 指 し 地 域 高 齢 者 の 心 身 の 健 康 の 保 持 および 生 活 の 安 定 に 必 要 な 支 援 を 行 うことにより 保 健 医 療 の 向 上 および 福 祉 の 増 進 のため 地 域 におけるほ 支 援 事 業 を 一 体 的 に 実 施 する 中 核 的 機 関 として 市 町 が 責 任 主 体 として 設 置 することと 規 定 されている ただし 市 町 村 又 は 市 町 村 から 委 託 を 受 けた 法 人 ( 在 宅 介 護 支 援 センターの 設 置 者 社 会 福 祉 法 人 医 療 法 人 公 益 法 人 NPO 法 人 その 他 市 町 村 が 適 当 と 認 める 法 人 )とされ 市 町 村 直 営 および 市 町 村 による 委 託 とに 2 区 分 される 5) 回 答 数 表 1 設 置 主 体 1 2 3 4 5 6 7 8 市 ン 在 社 医 公 N そ 未 町 ター 宅 会 療 益 P の 記 村 介 福 法 法 O 他 入 直 設 護 祉 人 人 法 営 置 支 法 人 者 援 人 セ 1340 475 10 599 147 15 9 68 17 100.0 35.4 0.7 44.7 11.0 1.1 0.7 5.1 1.3 表 2 専 門 職 種 1 2 3 4 5 合 保 専 介 士 社 看 主 社 計 険 門 護 会 護 事 会 人 数 師 員 支 援 福 祉 師 福 祉 7112 1512 2662 1847 907 185 100.0 21.3 37.4 26.0 12.7 2.6 100.0 0.3 0.5 0.4 0.2 0.0 包 括 センターの 具 体 的 な 包 括 的 支 援 事 業 としては 1 介 護 予 防 ケアマネジメント 2 総 合 相 談 支 援 3 権 利 擁 護 4 包 括 的 継 続 的 ケアマネジメント 支 援 が 主 たる 事 業 である
それを 担 う 専 門 3 職 ( 社 会 福 祉 士 保 健 師 主 任 介 護 支 援 専 門 員 )は 必 置 であり 1 号 保 険 者 数 によって 配 置 基 準 を 設 けている ( 表 2)ただし 地 域 により 3 職 の 確 保 が 困 難 である 場 合 も 想 定 し 小 規 模 市 町 村 には 例 外 基 準 があり それは 指 定 介 護 予 防 支 援 事 業 所 の 配 置 基 準 として 定 められている 社 会 福 祉 士 保 健 師 介 護 支 援 専 門 員 および 高 齢 者 保 健 福 祉 に 関 する 相 談 業 務 等 に 3 年 以 上 従 事 した 経 験 のある 社 会 福 祉 主 事 経 験 のある 看 護 師 と されているところから それを 準 用 している 包 括 センターがある 表 3 地 域 包 括 支 援 センター 職 員 配 置 基 準 保 健 師 等 社 会 福 祉 士 等 主 任 介 護 支 援 専 門 員 等 1 号 被 保 険 者 数 3,000 6,000 人 1 1 1 (2) 地 域 包 括 支 援 センターの 防 災 災 害 時 対 応 職 員 の 防 災 意 識 は やや 低 い 51.6% やや 高 い 27.2% 低 い 14.9% 高 い 6.4% となり 被 災 経 験 別 では 被 災 経 験 有 りは やや 高 い が 最 も 多 く 平 均 値 も 2.84 で 被 災 経 験 無 し(2.24)よりも 防 災 意 識 が 高 かった 職 員 の 防 災 意 識 は 低 い やや 低 い で 66.4%である 総 じて 包 括 センター 職 員 の 防 災 意 識 は 低 調 といえよう 防 災 意 識 に 関 連 する 要 因 としては 設 置 主 体 過 去 の 被 災 経 験 被 災 の 心 配 や 不 安 防 火 訓 練 防 災 訓 練 の 有 無 地 域 包 括 支 援 センターが 避 難 所 生 活 支 援 に 果 たす 役 割 への 認 識 との 有 意 な 関 連 が 認 められた 回 答 のあった 包 括 センターの 設 置 主 体 別 では 直 営 が 防 災 意 識 が 高 いという 傾 向 が 見 ら れた 地 域 包 括 支 援 センターは その 機 能 役 割 は 同 様 であっても 設 置 主 体 の 有 する 機 能 が 異 なれば 必 然 的 に 設 置 母 体 の 業 務 の 特 性 にも 影 響 されるため 防 災 意 識 に この ような 結 果 として 反 映 されてきたようである すなわち 直 営 型 の 場 合 は 行 政 機 関 の 一 部 であり 防 災 災 害 情 報 等 の 共 有 化 や 災 害 時 の 所 掌 事 務 など 関 連 行 政 部 署 との 強 い 連 携 があるため 防 災 や 災 害 対 応 においては 大 きな 強 みとなる また 防 災 意 識 には 過 去 の 被 災 経 験 の 有 無 が 極 めて 強 く 関 連 していることが 認 められ た 実 際 に 被 災 経 験 がなくても 過 去 に 災 害 があった 地 域 や 将 来 的 に 災 害 が 発 生 すると 予 測 されている 地 域 においては 防 災 意 識 が 高 まる 6)ことから, 被 災 の 心 配 や 不 安 が 影 響 したも のととらえることができよう 防 火 訓 練 防 災 訓 練 は 社 会 福 祉 施 設 および 自 治 体 の 役 場 等 の 施 設 において 年 2 回 の 実 施 が 義 務 づけられている.しかし, 本 調 査 では 防 火 訓 練 の 回 数 を 0 回 と 回 答 している 包 括 セ ンターが 多 く 見 られた これは 自 治 体 や 法 人 のサブセンターやサテライト 型 の 少 人 数 の センターでは 自 治 体 や 法 人 が 実 施 する 訓 練 に 参 加 しているため 単 独 での 訓 練 は 行 わず したがって 0 回 と 回 答 したのではないかと 推 察 される 7)( 表 4) 表 4 職 員 の 防 災 意 識
表 5 被 災 経 験 別 防 災 意 識 注 :スコアは 高 い を 4 点 ややや 高 い を 3 点 やや 低 い を 2 点 低 い を 1 点 とした 被 災 者 支 援 を 経 験 した 包 括 センター ーの 支 援 実 績 は 被 災 者 の 避 難 先 の 確 認 85.9% 被 災 者 の 体 調 管 理 79.2% 被 災 者 の 自 宅 訪 問 69.7% 被 災 者 の 福 祉 ニーズの把 握 61.0% % 関 係 者 間 のカンファレンス 43.2% ボランティア 社 会 福 祉 協 議 会 等 へのニー ズ 情 報 提 供 26.0%であった また 災 害 時 要 援 護 者 への 支 援 準 備 は 要 援 護 高 齢 者 名 簿 作 成 (28.0%) 要 援 護 高 齢 者 の 状 況 把 握 39.7% 災 害 時 連 絡 先 名 簿 作 成 22.5% 職 員 の 情 報 連 絡 体 制 の 整 備 88.5%であっ った( 表 6) 被 災 者 支 援 では 直 接 的 支 援 は 比 較 的 実 施 されており 包 括 センター 内 の 連 絡 体 制 も 整 備 されていることが 伺 える 他 方 地 域 の 要 援 護 高 齢 者 情 報 の 把 握 や 消 防 医 療 保 健 福 祉 等 関 連 諸 施 設 機 関 との 連 携 等 包 括 センターに 最 も 期 待 し 求 められている 被 災 者 と 支 援 を 繋 ぐ 差 配 (マネジメント) 機 関 としての 準 備 不 足 が 明 らかになった このような 現 状
の 背 景 には 被 災 経 験 の 有 る 包 括 センター 職 員 の 防 災 意 識 は 高 い 傾 向 にあったもののの 全 体 的 には 低 いという 結 果 があり 防 災 意 識 の 低 さが 被 災 者 支 援 の 準 備 不 足 の 一 因 となっ てい 表 6 災 害 時 要 援 護 者 への 支 援 準 備 注 : 無 回 答 は 除 外 したため 回 答 合 計 が 異 なることが 示 唆 される 包 括 センターにおける 防 災 や 被 災 者 支 援 の 準 備 に 関 する 現 状 からみると 国 や 自 治 体 及 び 関 係 諸 機 関 が 包 括 支 援 センターに 求 める 災 害 時 の 被 災 者 支 援 機 能 に 十 分 対 応 し 得 るかど うかは 課 題 である それは 災 害 時 に 要 援 護 者 に 対 する 避 難 所 として 機 能 できる 地 域 内 の 介 護 保 険 施 設 を 利 用 する 場 合 避 難 先 の 施 設 の 立 地 が 安 全 であるかどうか 包 括 センター 職 員 が 要 援 護 者 支 援 をする 場 合 そのアクセスはどうかといっ ったことを 十 分 考 えているか どうかも 災 害 時 は 大 きな 支 援 機 能 の 課 題 である 施 設 と 包 括 センターは 近 距 離 ではない このことは 直 営 のみならず 介 護 保 険 施 設 に 委 託 されている 包 括 センター ーであれば 母 体 の 介 護 保 険 施 設 に 避 難 した 要 援 護 者 への 対 応 は 施 設 利 用 者 と 同 等 に 可 能 であるが 地 域 の 包 括 センターであるために 地 域 に 所 在 す る 他 の 施 設 への 避 難 要 援 護 者 への 対 応 自 治 体 とのアクセスなど 時 間 空 間 的 な 課 題 は 大 き い 4.まとめ 従 来 自 治 体 が 指 定 する 避 難 所 の 多 くは 小 中 学 校 や 公 民 館 などの 公 共 施 設 であったが 災 害 種 別 や 被 災 の 規 模 被 災 者 の 状 態 に 応 じた 適 切 な 避 難 所 を 地 域 住 民 の 身 近 な 場 所 に 設 置 しておく 必 要 がある われ れわれの 20077 年 から 2009 年 における 全 国 介 護 保 険 施 設 の防 災 減 災 調 査 と 全 国 の 障 害 者 自 立 支 援 施 設 の 防 災 減 災 調 査 8)にお おいては 高 齢 者 施 設 の 6 割 障 害 者 自 立 支 援 施 設 の 5 割 は 災 害 時 要 援 護 者 を 受 け 入 れると 回 答 している 実 際 に 東 日 本 大 震 災 の 被 災 者 についても 岩 手 県 宮 城 県 福 島 県 の 社 会 福 祉 施 設 は 積 極 的 に 被 災 者 を 受 け 入 れている このことからも 社 会 福 祉 施 設 や 児 童 福 祉 施 設 の 要 援 護 者 を 受 け 入 れる 施 設 として 活 用 を 図 っていく 必 要 がある 災 害 時 要 援 護 者 の 避 難 所 のあり 方 として 災 害 時 要 援 護 者 に 特 別 な 配 慮 がなされた 避 難 所 としての 福 祉 避 難 所 の 指 定 が 市 町 村 によって 進 めら れているが 福 祉 避 難 所 の 取 組 は 未 だ 十 分 であるとは 言 えない このため 福 祉 避 難 所 の より 一 層 の 普 及 方 策 を 含 め 避 難 所 生 活 における 災 害 時 要 援 護 者 支 援 のあり 方 や 避 難 所 と しての 公 共 施 設 のあり 方 避 難 所 設 置 の 時 期 のあり 方 について 検 討 していかねばならない
さらに 被 災 後 の 包 括 センターの 支 援 を 受 けることを 想 定 し 双 方 の 距 離 やアクセス 等 を 考 慮 し 避 難 者 に 対 する 生 活 の 質 に 留 意 した 支 援 の 円 滑 性 を 考 慮 しておく必 要 がある ( 図 1 2 3)
宮 城 県 福 島 県 1)2011 年 月 25 日 現 在 警 察 庁 緊 急 災 害 警 備 本 部 広 報 資 料 2) 警 視 庁 調 べ 2011 年 8 月 10 日 現 在 3) 厚 生 労 働 省 老 健 局 振 興 課 事 務 連 絡 平 成 23 年 7 月 23 日 4) 北 川 慶 子 田 原 美 香, 高 山 忠 雄 ほか: 過 疎 地 域 の 発 災 後 避 難 生 活 期 における 健 康 支 援 に 関 する 研 究 自 治 体 における 保 健 福 祉 支 援 の 質 的 分 析. 第 23 回 日 本 保 健 福 祉 学 会
学 術 集 会 プログラム:66-67(2011) 5) 地 域 包 括 支 援 センターの 手 引 き 厚 生 労 働 省 老 健 局 振 興 課 平 成 19 年 2 月 ) 6) 小 川 雄 二 郎, 永 野 裕 三 :1995 年 阪 神 大 震 災 を 契 機 とする 企 業 の 防 災 意 識 の 変 化 に 関 す る 検 討. 地 域 安 全 学 会 論 文 報 告 集,11(5):141-144(1995) 7) 本 項 目 については 直 営 施 設 から 12 件 の 問 い 合 わせがあり 行 政 機 関 で 防 火 防 災 訓 練 に 参 加 しているので 単 独 では 実 施 していないと 回 答 するという 連 絡 があった 8) 北 川 慶 子 他 2008 年 度 全 国 介 護 保 険 施 設 の 防 災 減 災 調 査 異 分 野 融 合 型 地 域 防 災 研 究 報 告 書 ( 佐 賀 大 学 重 点 研 究 代 表 北 川 慶 子 ) 佐 賀 大 学 2010 年 度 全 国 の 障 害 者 自 立 支 援 施 設 の 防 災 減 災 調 査 報 告 書 ( 科 研 費 挑 戦 的 萌 芽 代 表 北 川 慶 子 JSPS 委 託 研 究 異 分 野 融 合 型 地 域 防 災 研 究 代 表 北 川 慶 子 )