シンポジウム 女 性 と 年 金 ~ 女 性 活 躍 と 出 産 育 児 配 慮 の 在 り 方 を 求 めて~ 日 時 : 平 成 27 年 11 月 26 日 ( 木 )14:00~17:00 会 場 : 東 海 大 学 校 友 会 館 海 外 における 女 性 への 年 金 上 の 配 慮 について 丸 山 桂 ( 成 蹊 大 学 経 済 学 部 教 授 ) ただ 今 ご 紹 介 にあずかりました 成 蹊 大 学 の 丸 山 と 申 します これまでは 日 本 の 第 3 号 被 保 険 者 制 度 や 育 児 に 対 する 配 慮 について 報 告 されてき ましたが ここでは 海 外 の 状 況 についてお 話 をさ せていただきます 1. 海 外 における 夫 の 権 利 に 付 随 する 年 金 権 の 付 与 について まず 日 本 の 第 3 号 被 保 険 者 制 度 に 相 当 するよ うな 無 業 の 配 偶 者 に 対 して 自 身 の 保 険 料 拠 出 ではなく 夫 の 権 利 に 付 随 して 年 金 を 給 付 する 国 があるかというと もちろんそのよ うな 国 はあるのですが 年 金 の 個 人 単 位 化 の 進 展 のなか 先 進 国 の 中 では 現 在 は 日 本 とアメリカが 採 用 する 国 となりました 特 にベヴァリッジ 報 告 で 男 性 稼 得 者 モデル の 社 会 保 険 方 式 を 提 言 し それを 実 際 に 制 度 化 行 したイギリスが 2016 年 から 個 人 単 位 化 に 移 行 するのは 非 常 に 大 きな 変 革 の 流 れではないかと 思 います また 日 本 の 加 給 年 金 に 相 当 するような 制 度 を 維 持 していたフランスも 財 政 難 を 理 由 に 廃 止 したと ころも 一 つの 大 きな 流 れではないかと 思 います アメリカの 場 合 日 本 と 何 が 違 うかといいますと 給 付 額 は 配 偶 者 の 基 本 年 金 額 の 50% 水 準 で 日 本 の 第 3 号 被 保 険 者 に 基 礎 年 金 が 100% 支 給 されることに 比 べる と 少 し 制 度 が 異 なります もう 一 つは いわゆる 第 3 号 被 保 険 者 の 基 準 日 本 では 4 分 の 3 基 準 や 130 万 円 の 壁 といったことがよく 議 論 されますが アメリカでは 基 本 的 には 被 用 者 であり 収 入 がある 者 は 被 用 者 保 険 に 加 入 しなければならず 就 業 調 整 が 非 常 にしにくい 状 況 になっています 2. 出 産 育 児 への 年 金 制 度 上 の 配 慮 ここからは 出 産 育 児 に 対 して 各 国 が 年 金 制 度 上 どのような 配 慮 をしているのか という 話 をさせていただきます 多 くの 先 進 国 でも 育 児 のために 低 賃 金 になってし まったり 加 入 期 間 が 非 常 に 短 くなってしまったりという 問 題 は 日 本 と 共 通 してお り こうしたペナルティーに 配 慮 する 制 度 を 導 入 しています その 目 的 は 国 によって 14
異 なるのですが 出 生 率 の 向 上 ジェンダーの 平 等 つまり 女 性 の 方 がどうしても 育 児 の 期 間 に 仕 事 を 中 断 しがちであるといったことへの 配 慮 そして 仕 事 の 中 断 によ る 貧 困 リスクへの 対 処 などが 挙 げられます しかし そうした 配 慮 がない 国 もあります アメリカ オーストラリア アイスラ ンド オランダなどは 特 段 の 配 慮 がない 国 となっています こうした 国 々は 育 児 の ために 就 業 を 中 断 したり 低 賃 金 になったりしたことへの 間 接 的 な 配 慮 として 居 住 年 数 に 応 じて 年 金 を 給 付 するというやり 方 ( 税 方 式 )で 育 児 の 期 間 に 就 業 を 中 断 し ても 不 利 益 にならないようにしています あるいはターゲットを 絞 って 給 付 を 行 う 低 所 得 者 向 けの 給 付 制 度 を 別 に 持 つ 国 もあります また 老 後 の 年 金 支 給 額 の 計 算 を する 際 に 標 準 報 酬 の 計 算 期 間 の 範 囲 を 全 期 間 ではなく 有 利 な 期 間 だけを 取 り 上 げ て 計 算 するという 方 式 で 短 期 的 な 就 業 中 断 があったとしても それが 老 後 に 響 かな いように 配 慮 するといったやり 方 を 設 けています 2-1. 制 度 上 の 目 的 ここからは 具 体 的 に 育 児 に 対 する 配 慮 をしている 国 々の 状 況 を 見 ていきたいと 思 います 目 的 により 制 度 が 異 なりますが 出 生 率 の 引 き 上 げを 目 的 とする 場 合 多 子 世 帯 に 対 して 給 付 増 を 行 っている 国 があります 代 表 的 な 国 として フランスでは 子 どもを 3 人 以 上 育 てた 家 庭 には 給 付 アップ 措 置 を 行 っています あるいは 子 ども の 扶 養 コストの 相 殺 という 観 点 から 子 どもを 育 てるにはお 金 が 掛 かるので 児 童 手 当 とも 共 通 している 考 え 方 ですが 給 付 期 間 の 保 険 料 の 減 額 みなし 保 険 料 期 間 など を 行 っている 国 もあります 最 も 多 いのが 母 親 への 所 得 保 障 を 目 的 に 育 児 のために 無 収 入 であった 期 間 を 保 険 料 の 納 付 期 間 とみなしたり 育 児 期 間 の 保 険 料 の 納 付 額 をある 額 としてみなした りする 方 式 です また 母 親 の 就 労 インセンティブの 促 進 やごく 少 数 派 ですが 子 ど もを 産 むことで 母 親 が 早 期 にリタイアすることが 可 能 になるといったことをしてい る 国 もあります(イタリアなど) 2-2. OECD 諸 国 の 育 児 期 間 に 対 する 年 金 配 慮 の 類 型 OECD 諸 国 の 育 児 期 間 に 対 する 年 金 配 慮 の 類 型 としては 母 親 の 就 労 状 況 を 問 わ ず 育 児 をした 一 定 の 期 間 に 年 金 の 優 遇 措 置 をしている 国 があります 例 えば フラ ンス ドイツ イタリアは 皆 年 金 の 国 ではありませんので 保 険 料 を 納 めていなくて も 納 付 期 間 としてみなすという 方 式 を 採 用 しています あるいは 育 児 による 就 業 中 断 期 間 に 年 金 クレジットを 付 与 するという 方 式 を 採 用 する 国 もあります また カ ナダのように 育 児 期 間 については 最 終 的 な 所 得 比 例 年 金 の 基 礎 額 を 計 算 するとき に その 期 間 を 除 外 して 計 算 することで 年 金 額 が 高 くなるように 配 慮 するといった やり 方 があります そして 先 ほど 申 し 上 げたいわゆる 税 方 式 を 採 用 する 国 々の 場 合 には 年 金 給 付 額 が 居 住 年 数 で 決 まっていたり アメリカのように 老 齢 年 金 の 最 低 保 険 料 納 付 期 間 が 15
極 めて 低 く 10 年 で 老 齢 年 金 が 受 給 可 能 であるなど アクセスしやすいような 配 慮 をしています さらに 養 育 した 子 ども 数 に 応 じて 年 金 クレジットを 付 与 するという ことで 最 終 的 な 年 金 給 付 額 は 子 どもを 3 人 以 上 持 った 場 合 には 10%の 増 額 をす るフランスのようなやり 方 もあります こうした 出 産 や 育 児 に 配 慮 する 政 策 は 年 金 だけで 完 結 するわけではなく 児 童 手 当 や 育 児 休 業 制 度 働 きやすい 就 業 環 境 が 整 えられているかどうかといった 社 会 政 策 全 体 の 視 点 から 本 来 議 論 すべきことですが 本 日 は 年 金 制 度 上 の 視 点 からお 話 を させていただきました 2-3 制 度 設 計 上 の 論 点 これからの 日 本 の 年 金 を 考 えていく 中 で 幾 つか 制 度 設 計 上 の 論 点 があります 一 つは こうした 育 児 への 配 慮 は 母 親 だけが 対 象 なのか それとも 父 親 も 対 象 なのか ということです 多 くの 国 々は 母 親 を 対 象 としている 国 が 多 いです ただし ドイツ では 夫 婦 間 の 分 割 を 認 めています また スウェーデンでは 希 望 が 提 示 されなけれ ば 収 入 の 低 い 方 に 付 けます 多 くの 場 合 には 母 親 だと 思 いますが このようなジェン ダーに 対 するニュートラルな 制 度 設 計 をしています クレジットの 算 定 方 法 や 対 象 期 間 も 国 によって 異 なり 育 児 休 業 期 間 だけに 限 定 している 国 がある 一 方 子 どもが 10 歳 ぐらいまでの 非 常 に 長 い 期 間 を 認 めているような 国 もあります 次 に 標 準 報 酬 の 扱 いについては 日 本 では 育 児 休 業 期 間 中 の 厚 生 年 金 の 標 準 報 酬 額 は 休 業 前 賃 金 を 採 用 しています ポイント 制 を 採 用 するドイツの 場 合 には 子 ど もが 3 歳 までの 期 間 加 入 者 平 均 の 標 準 報 酬 を 付 与 します これは 男 女 合 計 の 加 入 者 平 均 ですので 若 年 女 性 や 低 所 得 者 層 にはかなり 配 慮 していることになります た だし 加 入 者 平 均 のみなし 標 準 報 酬 を 適 用 しているのは 子 どもの 出 生 からの 一 定 期 間 だけです 実 際 には この 制 度 はポイント 制 ですので 無 職 の 期 間 を 長 くなると 加 入 者 平 均 の 標 準 報 酬 を 1 とした 場 合 無 職 者 は 0.33 にまで 落 とすという 方 式 も 取 っています ドイツの 制 度 の 場 合 加 入 者 平 均 の 標 準 報 酬 よりも 高 額 な 賃 金 水 準 で 働 く 女 性 にはあまりメリットのない 制 度 かと 思 います 一 方 老 後 の 年 金 の 基 礎 額 を 計 算 するときに 休 業 期 間 を 除 外 するカナダのような 方 式 では フルタイムで 就 業 を 継 続 して 短 期 間 だけ 就 業 を 中 断 する あるいは 育 児 休 業 を 取 るというように 相 対 的 な 高 所 得 層 の 人 たちには 有 利 な 制 度 設 計 になって います 財 源 については 年 金 保 険 料 で 賄 う 日 本 やカナダのような 場 合 あるいは 税 で 賄 う ドイツやスウェーデン 混 合 型 のフランスなど 各 国 で 異 なります 三 つ 目 は 育 児 以 外 の 家 族 ケアも 年 金 制 度 上 の 配 慮 対 象 とするという 動 きの 拡 大 で す 例 えば 重 度 の 障 がい 児 を 育 てている 家 庭 には 別 の 年 金 クレジットを 付 与 する 国 や 自 宅 で 高 齢 者 などの 家 族 ケアをしている 人 に 対 しても 年 金 制 度 上 で 配 慮 をすると いったものが 広 がっています 恐 らく 今 後 日 本 では 介 護 離 職 の 問 題 が 大 きな 課 題 に なってきますので こうした 出 産 育 児 や 家 族 介 護 も 含 めた 家 族 ケアをどうするかと 16
いうのが 政 策 対 応 を 求 められる 分 野 になるのではないかと 思 います さて こうした 諸 外 国 が 制 度 による 導 入 効 果 を 見 ていきたいと 思 います D Addio(2012)の 試 算 によると OECD 諸 国 の 平 均 では おおむね 3~7% 程 度 制 度 導 入 によって 所 得 代 替 率 の 引 き 上 げ 効 果 があるとのことです ただし 育 児 期 間 の 年 金 クレジットは 確 かに 給 付 水 準 改 善 には 効 果 はあるのですが 男 女 の 年 金 格 差 の 問 題 が 全 て 解 消 するわけではないことも 指 摘 されています また カナダの 年 金 制 度 当 該 期 間 を 除 外 して 計 算 する 方 法 ですが それに 掛 かる コストは 総 給 付 額 の 2.3% 相 当 で 年 金 保 険 料 率 で 見 ると 0.2% 程 度 の 財 政 負 担 を 必 要 とするとの 試 算 があります そして 母 親 の 就 業 インセンティブや 就 業 促 進 成 果 という 観 点 も 重 要 です 特 にド イツの 場 合 には 先 ほど 申 し 上 げた 最 初 の 3 年 間 は 加 入 者 平 均 のポイントで 加 入 して いたものとみなすので 低 所 得 層 の 人 たちにとっては 給 付 算 定 上 に 配 慮 している 制 度 になってきます ただし 今 後 女 性 が 高 学 歴 化 して 男 女 の 賃 金 格 差 が 縮 まって くれば こうした 恩 恵 のメリットはだんだん 小 さくなっていくことになると 思 いま す 年 金 クレジットによって 母 親 の 就 業 行 動 が 変 わるのだろうかという 労 働 経 済 学 の 研 究 を 紹 介 したいと 思 います ドイツでは 1992 年 にそれまでの 年 金 制 度 上 の 配 慮 が 1 年 間 であったのを 3 年 間 に 延 長 する 措 置 がされたのですが これで 母 親 の 働 き 方 が 変 わるかを 分 析 した 結 果 特 に 影 響 はなかったということです この 時 期 の 母 親 たちの 就 業 決 定 には 育 児 休 業 制 度 や 保 育 所 が 充 実 しているかどうかなど その 時 点 でに 必 要 なものがどの 程 度 充 実 しているかが 非 常 に 重 要 な 影 響 を 及 ぼしている という 先 行 研 究 があります 2-4. 育 児 期 間 の 年 金 クレジットの 適 用 有 無 別 にみた 所 得 代 替 率 (2009 年 ) ここで OECD 各 国 の 育 児 期 間 の 年 金 クレジットの 適 用 有 無 別 にみた 所 得 代 替 率 をみていきたいと 思 います ある 女 性 がその 国 の 女 性 労 働 者 の 平 均 賃 金 で 働 き 全 く 就 業 中 断 がなく 子 どもを 持 たずに 平 均 的 な 引 退 年 齢 でリタイアした 場 合 の 所 得 代 替 率 を 100%とします グラフの 横 軸 は 女 性 が 子 どもを 2 人 もち 就 業 を 中 断 した 期 間 縦 軸 は 就 業 継 続 者 に 対 する 所 得 代 替 率 の 比 率 をあらわしています グラフには 2 本 の 折 れ 線 グラフがありますが 1 つは 育 児 のクレジットを 考 慮 した 場 合 に 休 業 期 間 が 長 くなるに 従 ってどのぐらい 年 金 の 所 得 代 替 率 が 下 がるのかを 試 算 したもの です もう 1 つは 育 児 に 配 慮 する 制 度 が 全 くなかった 場 合 にどの 程 度 年 金 の 所 得 代 替 率 が 下 がってしまうのかを 試 算 したものである 国 によってその 違 いにはパター ンがあるので 以 下 見 ていきたいと 思 います 日 本 の 場 合 には 子 どもが 2 人 いるという 前 提 では 育 児 休 業 期 間 中 に 休 業 前 賃 金 を 保 障 するので それほど 所 得 代 替 率 の 落 ち 込 みはありませんが 育 児 休 業 期 間 を 過 ぎてもなお 休 業 を 続 けていくと フルタイムで 就 業 を 継 続 した 人 よりも 所 得 代 替 率 が 下 がってしまいます 17
一 方 カナダは 育 児 クレジットがあってもなくても 所 得 代 替 率 は 同 じで 全 く 同 じ 線 が 重 なるグラフになってしまっています これは カナダには 育 児 期 間 を 計 算 から 除 外 する 制 度 がある 他 に 理 由 を 問 わずに 年 金 算 定 上 不 利 益 な 期 間 を 最 大 8 年 まで 除 外 できる 制 度 があり そちらが 適 用 されてしまうので 育 児 による 就 業 中 断 につい て 特 段 影 響 がない 結 果 ということになっています フランスの 場 合 には 育 児 の 初 期 から 徐 々に 下 がっていくという 形 状 になってい ます これは 休 業 してしまうと 最 初 の 期 間 は 比 較 的 手 厚 い 保 護 が 行 われるのです が 期 間 を 経 るにつれて 標 準 報 酬 の 計 算 が 最 低 賃 金 での 換 算 レートになってしまう ので どうしても 所 得 代 替 率 は 落 ち 込 みがちです また 先 ほどフランスは 多 子 世 帯 には 優 遇 措 置 があるとお 話 ししましたが 多 子 世 帯 の 優 遇 措 置 は 3 人 からですので このシミュレーションは 2 人 の 子 どもを 前 提 としているので そうした 給 付 増 の 措 置 がないため 育 児 による 就 業 中 断 が 長 くなるほど 所 得 代 替 率 は 継 続 者 に 比 べ か なり 落 ち 込 むというようになっています 最 後 に ドイツの 場 合 には 最 初 の 3 年 間 は 加 入 者 平 均 で 加 入 していたものとみ なすので この 期 間 の 所 得 代 替 率 は 100%を 超 え 子 どもがいない 人 よりも 子 どもが いた 人 の 方 が 少 し 年 金 額 が 増 えるという 状 況 になっています 3. 制 度 設 計 に 関 して 考 慮 すべきこと ここまで 各 国 の 状 況 を 見 てきたのですが 制 度 設 計 に 関 して 考 慮 すべき 点 を Barr and Diamond の 研 究 成 果 から 紹 介 したいと 思 います 育 児 期 間 に 年 金 クレジットを 導 入 することには 留 意 事 項 が 4 点 あり その 中 でも 彼 らが 非 常 に 重 視 しているのが 就 労 インセンティブに 負 の 影 響 を 与 えることがないように 制 度 設 計 する 必 要 がある という 点 である つまり クレジットを 充 実 させすぎてしまうと 働 かないで 家 庭 で 自 分 で 子 どものケアをした 方 がより 高 額 な 年 金 がもらえるような 制 度 になってしま うので そういうところに 配 慮 しなければならないと 指 摘 しています 母 親 の 労 働 市 場 への 参 加 インセンティブと 自 分 で 子 育 てをするのか 保 育 所 など の 外 部 サービスを 利 用 するのかといったバランスへの 配 慮 は 非 常 に 重 要 で 児 童 手 当 や 年 金 クレジットの 充 実 が 逆 に 賃 金 労 働 に 従 事 するインセンティブを 損 ねる 恐 れ がある とりわけ 低 所 得 者 だけにこれらの 制 度 を 適 用 する 場 合 には より 影 響 が 大 き くなるという 懸 念 があるということで 労 働 市 場 への 影 響 にも 配 慮 する 必 要 がある のではないかと 思 います 4. 日 本 の 課 題 と 政 策 提 言 最 後 に 私 の 個 人 的 な 政 策 提 言 をさせていただきます これまで 第 3 号 被 保 険 者 は 保 険 料 を 拠 出 していないのに 給 付 をもられるという 観 点 からの 議 論 がされてきま したが 今 後 マクロ 経 済 スライドによって 基 礎 年 金 の 水 準 が 下 がっていくことを 考 えると そのメリットは 恐 らく 縮 小 していくのではないかと 思 います むしろ 労 働 市 場 の 非 正 規 化 先 日 雇 用 労 働 市 場 の 4 割 が 非 正 規 になったという 報 道 がありまし 18
たが 十 分 な 老 齢 年 金 が 確 保 できない 人 が 今 後 増 加 してくることを 考 えると 貧 困 リ スクへの 対 処 を 考 えるべきです それから 現 在 は 厚 生 年 金 加 入 者 に 育 児 への 配 慮 が されていますが これを 自 営 業 者 世 帯 にも 拡 大 していくかどうかが 論 点 になってい きます そして 家 族 介 護 に 対 する 配 慮 も 今 後 は 考 えていかなくてはならないのでは ないかと 思 います 政 策 提 言 としては 今 後 は 働 きながら 家 族 介 護 をする 方 も 増 えてくると 思 います ので 短 時 間 労 働 などで 不 利 益 になった 人 に 対 しては 何 らかの 年 金 制 度 上 の 配 慮 を 考 えなければならないと 思 います 来 年 厚 生 年 金 の 適 用 拡 大 が 予 定 されています が これをますます 拡 充 し できるだけ 短 時 間 労 働 者 に 適 用 拡 大 をすることによって 自 分 の 保 険 料 子 出 に 基 づく 年 金 を 受 給 できるような 配 慮 が 今 後 必 要 なのではないか と 考 えました 以 上 で 私 の 報 告 を 終 わらせていただきます 19