旬 刊 経 理 情 報 No.1231 平 成 21 年 11 月 10 日 発 行 会 計 との 相 違 点 に 注 意! 外 貨 建 資 産 等 の 換 算 の 税 務 上 のポイント 税 理 士 蝦 名 和 博 税 理 士 大 友 みどり Contents 1. はじめに 2. 外 貨 建 資 産 等 の 換 算 3. 期 末 時 の 換 算 方 法 と 届 出 書 (1) 換 算 方 法 の 選 定 の 手 続 (2) 外 貨 建 有 価 証 券 の 換 算 の 留 意 点 4. 業 種 による 換 算 届 出 の 留 意 点 (1) 銀 行 業 (2) 保 険 業 外 国 建 資 産 等 への 投 資 には 為 替 変 動 リスクがあり 多 額 の 為 替 損 失 が 発 生 すること があるため 為 替 ヘッジを 行 っている 会 社 もある 米 ドルの 為 替 相 場 は 2007 年 12 月 末 の114 円 台 から 2009 年 9 月 末 には90 円 を 割 り 込 むなど 円 高 が 進 行 し 外 貨 建 資 産 の 価 値 が 急 減 した 期 末 の 為 替 相 場 により 会 社 の 決 算 が 左 右 され 損 益 のインパクトも 大 きくなるため 為 替 評 価 損 の 取 扱 いについて 会 計 と 税 務 の 相 違 点 ( 換 算 方 法 ヘッジ 処 理 等 )を 含 めて 確 認 する 必 要 がある 5. 為 替 のヘッジ 処 理 に 関 する 留 意 点 (1) 有 効 性 判 定 (2) 帳 簿 書 類 記 載 6. 外 貨 建 有 価 証 券 の 評 価 損 と 為 替 換 算 (1) 評 価 損 が 認 められる 場 合 (2) 外 貨 建 有 価 証 券 の 評 価 損 7. 外 国 為 替 の 売 買 相 場 が 著 しく 変 動 した 場 合 の 期 末 時 換 算 (いわゆる15%ルール) (1)15%ルールの 概 要 (2) 評 価 損 との 関 係 (3) 対 象 となる 外 貨 建 資 産 等
1. はじめに サブプライム 問 題 後 の 急 激 な 円 高 に 伴 い 外 貨 建 資 産 の 価 値 が 大 きく 低 下 したとして 税 務 申 告 で 認 識 した 評 価 損 を 国 税 局 が 認 めず 追 徴 課 税 された 事 例 がある そこで 本 稿 では 外 貨 建 資 産 等 の 為 替 評 価 損 および 円 換 算 に 関 する 会 計 と 税 務 上 の 取 扱 い を 整 理 する 2. 外 貨 建 資 産 等 の 換 算 企 業 会 計 における 金 融 商 品 の 時 価 評 価 とヘッジ 会 計 の 導 入 ( 平 成 12 年 4 月 1 日 以 後 開 始 事 業 年 度 から 実 施 )にあわせて 金 融 取 引 課 税 にも 時 価 評 価 とヘッジ 処 理 の 制 度 を 導 入 するとともに 外 貨 建 資 産 等 の 換 算 等 の 規 定 が 設 けられた 税 制 と 企 業 会 計 における 外 貨 建 資 産 等 の 期 末 換 算 の 比 較 については 図 表 のとおりである ( 図 表 ) 税 制 と 企 業 会 計 における 外 貨 資 産 等 の 期 末 換 算 税 制 ( 法 人 税 法 61 条 の9) 企 業 会 計 ( 注 1) 外 貨 建 資 産 等 の 区 分 換 算 方 法 外 貨 建 資 産 負 債 の 区 分 換 算 相 場 の 使 用 時 点 外 貨 建 債 権 債 務 ( 一 号 ) 外 貨 建 有 価 証 券 ( 二 号 ) 外 貨 預 金 ( 三 号 ) 発 生 時 換 算 法 または 期 末 時 換 算 法 ( 注 2) 外 貨 建 金 銭 債 権 債 務 * 決 算 時 売 買 目 的 有 価 証 券 期 末 時 換 算 法 売 買 目 的 有 価 証 券 決 算 時 売 買 目 的 外 有 価 証 券 償 還 期 限 および 償 還 金 額 の 定 めの あるもの 上 記 以 外 発 生 時 換 算 法 または 期 末 時 換 算 法 ( 注 3) 発 生 時 換 算 法 満 期 保 有 目 的 の 外 貨 建 債 券 決 算 時 その 他 有 価 証 券 決 算 時 ( 注 4) 子 会 社 株 式 および 関 連 会 社 株 式 取 得 時 発 生 時 換 算 法 または 期 末 時 換 算 法 ( 注 2) 外 貨 預 金 決 算 時 外 国 通 貨 ( 四 号 ) 期 末 時 換 算 法 外 国 通 貨 決 算 時 ( 注 1) 外 貨 建 取 引 等 会 計 処 理 基 準 ( 平 成 11 年 10 月 22 日 )より 作 成 ( 注 2) 法 定 換 算 方 法 は 短 期 のものが 期 末 時 換 算 法 長 期 のものが 発 生 時 換 算 法 ( 注 3) 法 定 換 算 方 法 は 発 生 時 換 算 法 ( 注 4) 換 算 差 額 は 全 部 資 本 直 入 法 により 純 資 産 の 部 に 計 上 するか あるいは 部 分 資 本 直 入 法 により 純 資 産 の 部 または 損 失 に 計 上 ただし 債 券 については 取 得 原 価 に 係 る 換 算 差 額 を 損 益 に 計 上 することも 可 * 転 換 社 債 の 記 載 は 省 略 ( 出 所 ) 改 正 税 法 のすべて( 平 成 12 年 ) ( 大 蔵 財 務 協 会 )より 一 部 筆 者 抜 粋 2
3. 期 末 時 の 換 算 方 法 と 届 出 書 (1) 換 算 方 法 の 選 定 の 手 続 発 生 時 換 算 法 または 期 末 時 換 算 法 のいずれかを 選 定 して 円 換 算 することが 認 められている 外 貨 建 資 産 等 のその 期 末 換 算 の 方 法 は 外 国 通 貨 の 種 類 ごとに かつ 次 の 区 分 ごとに 選 定 することとされている なお 法 定 の 換 算 方 法 は 次 のとおりである 1 短 期 外 貨 建 債 権 債 務 外 貨 建 債 権 債 務 のうち その 決 済 により 外 国 通 貨 を 受 け 取 るまたは 支 払 う 期 限 が 事 業 年 度 の 日 の 翌 日 から1 年 を 経 過 した 日 の 前 日 まで に 到 来 する 外 貨 建 債 権 債 務 期 末 時 換 算 法 2 長 期 外 貨 建 債 権 債 務 短 期 外 貨 建 債 権 債 務 以 外 の 外 貨 建 債 権 債 務 発 生 時 換 算 法 3 満 期 保 有 目 的 有 価 証 券 償 還 期 限 の 定 めのある 売 買 目 的 有 価 証 券 以 外 の 有 価 証 券 のうち その 償 還 期 限 まで 保 有 する 目 的 で 取 得 し かつ その 取 得 の 日 に おいてその 償 還 期 限 まで 保 有 する 目 的 で 取 得 したものとして その 取 得 の 日 に 満 期 保 有 目 的 債 券 等 の 勘 定 科 目 により 区 分 した 有 価 証 券 発 生 時 換 算 法 4 償 還 有 価 証 券 売 買 目 的 有 価 証 券 以 外 の 有 価 証 券 のうち 償 還 期 限 および 償 還 金 額 の 定 めのある 有 価 証 券 ( 前 記 3の 有 価 証 券 を 除 く) 発 生 時 換 算 法 5 短 期 外 貨 預 金 外 貨 預 金 のうちその 満 期 日 が 事 業 年 度 の 日 の 終 了 の 日 の 翌 日 から1 年 を 経 過 した 日 の 前 日 までに 到 来 する 外 貨 預 金 期 末 時 換 算 法 6 長 期 外 貨 預 金 短 期 外 貨 預 金 以 外 の 外 貨 預 金 発 生 時 換 算 法 期 末 換 算 の 方 法 の 選 定 をしていない 場 合 会 計 上 の 換 算 方 法 と 税 務 の 法 定 換 算 方 法 が 異 なるときは 申 告 調 整 が 必 要 となる ただ 新 たな 通 貨 および 区 分 の 外 貨 建 資 産 等 の 取 得 をした 場 合 には 届 出 書 の 提 出 期 限 は 当 該 外 貨 建 資 産 等 の 取 得 を 行 った 日 の 属 する 事 業 年 度 の 確 定 申 告 書 の 提 出 期 限 であるため 届 出 書 を 提 出 することにより 申 告 調 整 が 不 要 になるケースもあるため 確 認 されたい (2) 外 貨 建 有 価 証 券 の 換 算 の 留 意 点 外 貨 建 有 価 証 券 については 会 計 上 満 期 保 有 目 的 の 外 貨 建 債 券 は 決 算 時 の 為 替 相 場 で 換 算 することになっているが 税 務 上 は 満 期 保 有 目 的 有 価 証 券 の 法 定 換 算 方 法 は 発 生 時 換 算 法 であるため 届 出 書 の 提 出 について 事 前 の 検 討 が 必 要 である その 他 有 価 証 券 については 会 計 上 は 決 済 時 の 為 替 相 場 で 換 算 することになっているが 換 算 差 額 は 全 部 資 本 直 入 法 により 純 資 産 の 部 に 計 上 されるケースが 多 く 為 替 差 額 が 損 益 計 算 書 にヒットしていないため 結 果 として 課 税 所 得 には 影 響 がないので 問 題 が 生 じることはないと 考 えられる 一 方 部 分 資 本 直 入 法 を 採 用 している 場 合 において 届 出 書 の 提 出 がないときは 損 益 計 算 書 に 計 上 された 損 失 は 原 則 として 申 告 調 整 が 必 要 となる 3
4. 業 種 による 換 算 届 出 の 留 意 点 (1) 銀 行 業 銀 行 業 においては 外 貨 建 資 産 等 の 換 算 ついて 歴 史 があり 平 成 2 年 3 月 に 大 蔵 省 銀 行 局 銀 行 課 長 事 務 連 絡 および 全 国 銀 行 協 会 連 合 会 による 通 達 が 公 表 されている( 以 下 新 外 為 経 理 基 準 という) その 後 平 成 10 年 6 月 に 同 事 務 連 絡 が 廃 止 されたことに 伴 い その 内 容 が 全 国 銀 行 協 会 通 達 銀 行 業 の 決 算 経 理 基 準 について に 置 き 換 えられ さらに 平 成 11 年 7 月 に 名 称 を 銀 行 業 に おける 決 算 経 理 要 領 等 に 改 められた 実 務 上 税 務 上 の 換 算 については 平 成 2 年 に 新 外 為 経 理 基 準 が 採 用 されたことにより 昭 和 の 時 代 に 提 出 していた 特 別 な 換 算 方 法 に 関 する 変 更 届 を 提 出 していたと 思 われるが 平 成 12 年 の 税 制 改 正 で 規 定 された 区 分 に 従 い 換 算 方 法 の 届 出 が 必 要 になっ ているため 平 成 12 年 の 改 正 後 の 規 定 に 従 った 届 出 を 行 っているか 確 認 する 必 要 がある (2) 保 険 業 保 険 業 においては 平 成 14 年 の 税 制 改 正 により 有 価 証 券 の1 単 位 当 たりの 帳 簿 価 額 の 算 出 方 法 ( 法 令 119の2)に 責 任 準 備 金 対 応 有 価 証 券 という 区 分 が 新 たに 設 けられた そのため 前 述 した 換 算 方 法 の 届 出 の 区 分 に 該 当 しない 有 価 証 券 の 区 分 が 存 在 する したがって 責 任 準 備 金 対 応 有 価 証 券 が 換 算 方 法 の 届 出 のどの 区 分 に 該 当 するか 検 討 する 必 要 がある 5. 為 替 のヘッジ 処 理 に 関 する 留 意 点 会 計 上 ヘッジ 会 計 が 認 められる 場 合 一 般 的 には 税 法 上 も 同 様 の 取 扱 いが 認 められている しかし 次 のとおり 有 効 性 判 定 帳 簿 書 類 記 載 要 件 については 会 計 と 税 務 が 異 なるため 税 務 上 の 要 件 を 充 足 しているかを 確 認 しておく 必 要 がある (1) 有 効 性 判 定 1 有 効 性 判 定 の 省 略 会 計 上 ヘッジ 手 段 とヘッジ 対 象 に 関 する 重 要 な 条 件 が 同 一 である 場 合 等 ヘッジに 高 い 有 効 性 があると 認 められる 場 合 には 有 効 性 判 定 を 省 略 できる( 金 融 商 品 会 計 に 関 する 実 務 指 針 158)が 法 人 税 法 上 は 有 効 性 判 定 を 省 略 することは 認 められて いない 会 計 上 省 略 した 場 合 であっても 有 効 性 の 判 定 を 実 施 し 帳 簿 書 類 に 記 載 する 必 要 がある 2 有 効 性 判 定 要 素 からの 除 外 有 効 性 の 判 定 方 法 において オプション 取 引 の 時 間 的 価 値 部 分 および 先 物 取 引 または 先 渡 取 引 のプレミアムまたはディス カウント 部 分 を 有 効 性 判 定 の 要 素 から 除 く 取 扱 いができるのは その 事 項 を 帳 簿 書 類 に 記 載 していることが 条 件 になる ( 法 基 通 2-3-48) 3 オプションの 有 効 性 判 定 の 方 法 一 般 的 にヘッジ 取 引 に 利 用 されることの 多 い 通 貨 オプションは 通 常 アウト オブ ザ マネー つまり オプションの 基 礎 商 品 の 時 価 より 低 い 価 格 でプットオプションを 設 定 したり 基 礎 商 品 の 時 価 より 高 い 価 額 でコールオプションを 設 定 するので その 権 利 行 使 価 格 とオプション 取 得 時 の 時 価 との 差 額 分 について 利 益 が 圧 縮 されることになる ヘッジ 対 象 資 産 等 評 価 差 額 と 期 末 時 または 決 済 時 におけるデリバティブ 取 引 等 に 係 る 利 益 額 または 損 失 額 とを 比 較 する 有 効 性 判 定 は 一 般 に 低 いものになる しかし 会 計 上 は オプション 取 引 の 基 礎 商 品 の 時 価 変 動 額 とヘッジ 対 象 の 時 価 変 動 額 を 比 較 する 方 法 が 認 められている( 金 融 商 品 会 計 に 関 する 実 務 指 針 156) 税 務 上 は 条 文 に 明 確 な 規 定 はないものの 会 計 と 同 様 に オプションの 基 礎 商 品 価 額 の 変 動 額 により 算 出 される 損 益 とヘッジ 対 象 資 産 等 評 価 差 額 との 比 較 をする 方 法 も 合 理 的 な 有 効 性 判 定 の 方 法 であると 認 められている( 国 税 庁 HP その 他 法 令 解 釈 に 関 する 情 報 参 照 ) 4
(2) 帳 簿 書 類 記 載 税 務 上 ヘッジ 処 理 を 適 用 するための 要 件 の1つとして 帳 簿 記 載 要 件 がある( 法 法 61の6 61の7) ヘッジ 手 段 となるデリバティブ 取 引 等 を 行 った 日 において デリバティブ 取 引 等 がヘッジ 対 象 資 産 等 損 失 額 を 減 少 させるために 行 ったものである 旨 そのデリバ ティブ 取 引 等 の 種 類 名 称 金 額 ヘッジ 対 象 資 産 の 損 失 の 額 を 減 少 させようとする 期 間 その 他 参 考 となるべき 事 項 を 帳 簿 に 記 載 する 必 要 がある( 法 施 規 27の8) 長 期 の 為 替 予 約 や 輸 出 入 取 引 で 商 品 の 価 額 変 動 リスクと 為 替 リスクをヘッジしている 場 合 は ヘッジ 手 段 の 指 定 の 単 位 を 慎 重 に 検 討 し 帳 簿 書 類 に 記 載 する 必 要 がある 会 計 上 は ヘッジ 取 引 開 始 時 ( 事 前 テスト)で ヘッジ 手 段 とヘッジ 対 象 の 対 応 関 係 を 文 書 によって 明 確 にしなければならないが 税 務 上 の 記 載 事 項 が 漏 れていないように 注 意 する 必 要 がある 6. 外 貨 建 有 価 証 券 の 評 価 損 と 為 替 換 算 (1) 評 価 損 が 認 められる 場 合 上 場 有 価 証 券 等 の 価 額 が 著 しく 低 下 した 場 合 および 上 場 有 価 証 券 以 外 の 有 価 証 券 について 発 行 法 人 の 資 産 状 態 が 著 しく 悪 化 したため その 価 額 が 著 しく 低 下 した 場 合 には 税 務 上 評 価 損 の 計 上 が 認 められる( 法 法 332 法 令 681 二 ) 上 場 有 価 証 券 等 と は 取 引 所 売 買 有 価 証 券 店 頭 売 買 有 価 証 券 及 び 取 扱 有 価 証 券 または その 他 価 格 公 表 有 価 証 券 をいう( 法 基 通 9-1-8) 価 額 が 著 しく 低 下 した 場 合 とは その 有 価 証 券 のその 事 業 年 度 終 了 の 時 における 価 額 がその 時 の 帳 簿 価 額 のおおむね50%を 下 回 ることとなり かつ 近 い 将 来 にその 価 額 の 回 復 が 見 込 まれないことをいうものとされている( 法 基 通 9-1-7) 平 成 21 年 4 月 に 国 税 庁 から 上 場 有 価 証 券 の 評 価 損 に 関 するQ&A が 公 表 されており 評 価 損 の 損 金 算 入 のための 形 式 基 準 を 文 書 化 するなど により 損 金 算 入 の 判 断 について 疑 義 を 招 かないようにしておく 必 要 がある (2) 外 貨 建 有 価 証 券 の 評 価 損 外 貨 建 有 価 証 券 について 会 計 上 の 強 制 評 価 減 を 行 った 場 合 それが 税 務 上 の 損 金 算 入 要 件 を 満 たしていれば 計 上 した 評 価 損 を 損 金 算 入 できる 外 国 法 人 の 発 行 する 上 場 有 価 証 券 以 外 の 有 価 証 券 について 資 産 状 態 が 著 しく 悪 化 したかどうかを 判 定 する 場 合 には 当 該 有 価 証 券 を 取 得 した 日 における 当 該 発 行 法 人 の1 株 または1 口 当 たりの 純 資 産 価 額 ( 当 該 発 行 法 人 がその 会 計 帳 簿 の 作 成 にあたり 使 用 する 外 国 通 貨 表 示 の 金 額 により 計 算 した 金 額 とする)と 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 における 当 該 発 行 法 人 の1 株 または1 口 当 たり の 純 資 産 価 額 の 金 額 に 基 づいてその 比 較 を 行 うのであって 円 換 算 後 の 金 額 をベースに 判 断 するものではない 会 計 上 の 強 制 評 価 減 の 場 合 外 貨 建 有 価 証 券 を 期 末 時 レートで 換 算 するが 税 務 上 その 他 有 価 証 券 に 関 して 届 出 をしていない 場 合 には 発 生 時 換 算 法 となる したがって 届 出 をしていない 場 合 には 期 末 時 レートと 取 得 時 レートの 差 額 に 期 末 時 価 ( 外 貨 ベース)を 乗 じた 金 額 の 申 告 調 整 が 必 要 になる 5
7. 外 国 為 替 の 売 買 相 場 が 著 しく 変 動 した 場 合 の 期 末 時 換 算 (いわゆる15%ルール) (1)15%ルールの 概 要 外 貨 建 資 産 等 に 係 る 外 国 為 替 の 売 買 相 場 が 著 しく 変 動 するもののすべてにつき これらの 取 得 または 発 生 の 原 因 となった 外 貨 建 取 引 を 当 該 事 業 年 度 終 了 の 時 において 行 ったものとみなして 外 貨 建 取 引 の 換 算 および 外 貨 建 資 産 等 の 期 末 換 算 の 規 定 を 適 用 することができる( 法 令 122の3) この 外 貨 建 資 産 等 に 係 る 外 国 為 替 の 売 買 相 場 が 著 しく 変 動 した 場 合 とは 事 業 年 度 終 了 の 時 において 有 する 個 々の 外 貨 建 資 産 等 につき 算 式 により 計 算 した 割 合 がおおむね15%に 相 当 する 割 合 以 上 となるものがあるときである( 法 基 通 13の2-2-10) ( 算 式 ) 当 該 外 貨 建 資 産 等 の 額 に つき 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 の 為 替 相 場 により 換 算 し た 本 邦 通 貨 の 額 _ 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 における 当 該 外 貨 建 資 産 等 の 帳 簿 価 額 ( 同 日 における 法 令 122の3の 規 定 の 適 用 前 の 帳 簿 価 額 をいう) 当 該 外 貨 建 資 産 等 の 額 につき 当 該 事 業 年 度 終 了 の 日 の 為 替 相 場 により 換 算 した 本 邦 通 貨 の 額 外 国 通 貨 の 種 類 を 同 じくする 外 貨 建 資 産 等 につき 上 記 の 算 式 により 計 算 した 割 合 がおおむね15%に 相 当 する 割 合 以 上 となる ものが2 以 上 ある 場 合 には その 一 部 についてのみ 当 該 規 定 による 円 換 算 を 行 うことはできない 15%ルールを 適 用 する 場 合 に は 通 貨 ごとに 適 用 非 適 用 を 判 断 することになる 外 貨 建 資 産 等 の 為 替 換 算 差 額 は 翌 事 業 年 度 に 洗 替 処 理 をする( 法 令 122の8)こととされているが 15%ルールを 適 用 したことに よる 為 替 換 算 差 額 は 期 末 時 レートを 取 得 時 レートとみなすこととされているため 切 放 処 理 をすることになる (2) 評 価 損 との 関 係 前 述 外 貨 建 有 価 証 券 の 評 価 損 と 為 替 換 算 で 記 載 した 規 定 により 上 場 有 価 証 券 の 評 価 損 の 損 金 算 入 が 認 められない 場 合 で あっても 円 高 のため 円 換 算 額 が 著 しく 下 落 しているときは この 規 定 を 適 用 することにより 外 貨 ベースの 時 価 の 著 しい 下 落 が なくても 評 価 減 ができる 場 合 がある つまり 期 末 時 レートを 取 得 時 レートとみなして 外 貨 建 資 産 等 を 円 換 算 することにより 為 替 差 損 の 損 金 算 入 が 認 められることになる (3) 対 象 となる 外 貨 建 資 産 等 この 規 定 の 適 用 対 象 となる 外 貨 建 資 産 等 には 為 替 リスクがヘッジされている 次 のものは 含 まない( 法 令 122の3) 1 先 物 外 国 為 替 契 約 等 により 円 換 算 額 を 確 定 させた 外 貨 建 取 引 の 換 算 の 適 用 を 受 けた 資 産 または 負 債 2 繰 延 ヘッジ 処 理 の 適 用 を 受 ける 資 産 または 負 債 3 時 価 ヘッジ 処 理 の 適 用 を 受 ける 売 買 目 的 外 有 価 証 券 つまり 先 物 外 国 為 替 契 約 等 が 締 結 されている 外 貨 建 資 産 等 およびヘッジ 処 理 が 適 用 されている 場 合 の 外 貨 建 資 産 等 について は 実 質 的 に 為 替 リスクは 生 じないものであるから 仮 に 外 国 為 替 相 場 に 著 しい 変 動 があった 場 合 であっても 期 末 の 為 替 レート による 換 算 のやり 直 しはできないこととされているので 15%ルールを 適 用 することはできない したがって 15%ルールを 適 用 する 際 には 先 物 外 国 為 替 契 約 等 の 締 結 およびヘッジ 処 理 が 適 用 されていないことを 確 認 する 必 要 がある 6
Ernst & Young アーンスト アンド ヤングについて CONTACT BTC, ファイナンシャル サービス グループ 蝦 名 和 博 パートナー +81 3 3506 2463 kazuhiro.ebina@jp.ey.com 大 友 みどり シニアマネージャー +81 3 3506 2093 midori.otomo@jp.ey.com ファイナンシャル サービス グループでは 国 際 的 に 展 開 する 国 内 系 及 び 外 資 系 の 金 融 機 関 の ニーズに 対 応 するため 金 融 商 品 の 開 発 金 融 資 産 および 不 動 産 等 に 対 する 投 資 案 件 につい て 幅 広 い 税 務 アドバイスを 行 っています アーンスト アンド ヤングのグローバルネットワークを 活 かし 国 内 のみならず 国 外 での 取 り 扱 いにも 対 応 しています また 銀 行 証 券 保 険 投 資 顧 問 投 資 ファンド 等 の 金 融 機 関 に 対 して それぞれの 業 種 に 特 有 の 問 題 を 中 心 に 総 合 的 な 税 務 サービスを 提 供 しています アーンスト アンド ヤングは アシュアランス 税 務 トランザクション アドバイザリーサービスなどの 分 野 における 世 界 的 なリーダーです 全 世 界 の14 万 4 千 人 の 構 成 員 は 共 通 のバリュー( 価 値 観 )に 基 づいて 品 質 において 徹 底 した 責 任 を 果 たし ます 私 どもは クライアント 構 成 員 そして 社 会 の 可 能 性 の 実 現 に 向 けて プラスの 変 化 をもたらす よう 支 援 します 詳 しくは www.ey.comにて 紹 介 しています アーンスト アンド ヤング とは アーンスト アンド ヤング グローバル リミテッドのメンバーファームで 構 成 されるグローバル ネットワークを 指 し 各 メンバ ーファームは 法 的 に 独 立 した 組 織 です アーンスト アンド ヤング グローバル リミテッドは 英 国 の 保 証 有 限 責 任 会 社 であり 顧 客 サービスは 提 供 してい ません に ついて は 長 年 にわたり 培 ってきた 経 験 と 国 際 ネットワークを 駆 使 し 常 にクライアントと 協 力 して 質 の 高 いグローバル なサービスを 提 供 しております 企 業 のニーズに 即 応 すべく 国 際 税 務 M&A 組 織 再 編 や 移 転 価 格 などをはじめ 税 務 アドバイザリー 税 務 コンプライ アンスの 専 門 家 集 団 として 質 の 高 いサービスを 提 供 しております 詳 しくは www.eytax.jpにて 紹 介 しています 本 記 事 全 般 に 関 するご 質 問 ご 意 見 等 がございましたら 下 記 まで お 問 い 合 わせ 下 さい コーポレート コミュニケーション 部 Tax.Marketing@jp.ey.com 2009 Ernst & Young Shinnihon Tax All Rights Reserved. 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 は 一 定 の 編 集 を 経 た 要 約 形 式 の 情 報 を 掲 載 するものです したがって 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 のご 利 用 は 一 般 的 な 参 考 目 的 の 利 用 に 限 られ るものとし 特 定 の 目 的 を 前 提 とした 利 用 詳 細 な 調 査 への 代 用 専 門 的 な 判 断 の 材 料 としてのご 利 用 等 はしないでくだ さい 本 書 又 は 本 書 に 含 まれる 資 料 について 新 日 本 アーン スト アンド ヤング 税 理 士 法 人 を 含 むアーンスト アンド ヤン グの 他 のいかなるグローバル ネットワークのメンバーも そ の 内 容 の 正 確 性 完 全 性 目 的 適 合 性 その 他 いかなる 点 につ いてもこれを 保 証 するものではなく 本 書 又 は 本 書 に 含 まれ る 資 料 に 基 づいた 行 動 又 は 行 動 をしないことにより 発 生 した いかなる 損 害 についても 一 切 の 責 任 を 負 いません