『チェルノブイリ原発事故 ベラルーシ政府報告書[最新版]』無料公開ファイル



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2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

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技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 最 高 号 給 の 給 料 月 額 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 135, , ,900 2

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 H H H5.4.1 ( 参 考 値 ) 97.1 H H H H5.4.1 H H5.4.1 ( 参 考

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) (H25.4.1) (H25.4.1) (H25.7.1) (H25.7.1) (H25.4.1) (H25.7.1)

Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 Ⅰ 人 口 の 現 状 分 析 1 人

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一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 3 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 級 3 級 4 級 5 級 6 級 単 位 : ( ) 7 級 1 号 給 の 給 料 月 額 137, 163,7 4,9 31,4 71, 33,3 359,7 最 高 号 給 の 給 料 月 額

(4) ラスパイレス 指 数 の 状 況 ( 各 年 4 月 1 日 現 在 ) ( 例 ) ( 例 ) 15 (H2) (H2) (H24) (H24) (H25.4.1) (H25.4.1) (H24) (H24)

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公表表紙

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本 書 の 刊 行 にあたって 本 書 は チェルノブイリ 原 発 事 故 から25 年 目 の2011 年 1 月 にベラルーシ 共 和 国 非 常 事 態 省 が 事 故 の 被 害 克 服 作 業 の 節 目 として 刊 行 した ベラルーシ 政 府 報 告 書 チェルノブイリ 原 発 事 故 から 四 半 世 紀 被 害 克 服 の 成 果 と 展 望 の 邦 訳 です チェルノブイリ 原 発 は 現 在 のウクライナにありますが 原 発 事 故 による 最 大 の 被 災 国 は 隣 国 のベラルーシでした 国 土 の 約 23%が 放 射 性 物 質 により 汚 染 され 今 も 被 害 克 服 のための 絶 え 間 ない 闘 いを 続 けています この 報 告 書 はチェルノブイリ 事 故 後 ベラルーシではどのような 被 害 があった か ベラルーシ 政 府 がどのような 取 り 組 みを 行 ってきたか そして いかに 復 興 を 成 し 遂 げようとしているかを 簡 潔 にまとめたものです 報 告 書 の 全 文 はPart2に 掲 載 してありますが 福 島 第 一 原 発 事 故 後 の 日 本 の 状 況 に 引 きつけて 考 えられるよう 導 入 部 として Part1に2012 年 12 月 13 日 に 東 京 の 日 本 プレスセンターで 開 催 した 講 演 会 の 内 容 も 掲 載 しました チェルノブイリ 原 発 事 故 と 福 島 第 一 原 発 事 故 では 被 害 や 汚 染 状 況 が 異 なるうえ ベラルーシと 日 本 は 風 土 自 然 環 境 歴 史 や 政 体 も 異 なります 両 国 の 状 況 を 単 純 に 比 較 はできないかもしれません しかし ベラルーシは 原 発 事 故 被 災 国 として 先 駆 的 な 知 見 を 蓄 積 活 用 し い まや 持 続 可 能 な 発 展 プロセスに 移 行 しつつあります この 本 にも 詳 述 されるベラ ルーシの 悪 戦 苦 闘 の 四 半 世 紀 が 原 発 事 故 後 の 日 本 で 何 が 問 題 となっているのか を 冷 静 に 見 つめ またどのような 展 望 を 描 いていくことが 可 能 なのかを 考 える きっかけになることを 願 います Национальныи доклад Республики Беларусь Четверть века после чернобыльскои катастрофы : итоги и перспективы преодоления National Report of the Republic of Belarus A Quarter of a Century after the Chernobyl Catastrophe: Outcomes and Prospects for the Mitigation of Consequences Department for Mitigation of the Consequences of the Catastrophe at the Chernobyl NPP of the Ministry for Emergency Situations of the Republic of Belarus, 2011 RRUE Institute of Radiology, 2011 日 本 ベラルーシ 友 好 協 会 は 1992 年 にチェルノブイリ 事 故 の 支 援 活 動 のために 秋 田 で 立 ち 上 げられた 民 間 のNPOです これまでに 度 々ベラルーシを 訪 問 し 医 療 支 援 物 資 を 届 けたり 秋 田 大 学 医 学 部 などの 協 力 でベラルーシの 医 師 を 中 心 に 特 別 医 学 研 修 を 受 け 入 れたりさまざまな 活 動 を 行 ってきました 受 け 入 れた 研 修 医 などの 人 数 は71 人 にのぼり いまや 母 国 のベラルーシ 国 立 医 科 大 学 長 を 務 めた 人 もいます 私 たちはこうした 支 援 をきっかけに 互 いを 知 ることで 長 期 的 な 友 好 関 係 を 築 こうとしてきました Japanese edition is published by arrangement with the Society Japan-Republic of Belarus, Japan 3

ところが 2011 年 3 月 11 日 に 状 況 は 一 変 しました ちょうど 支 援 活 動 を 始 めてから20 周 年 を 迎 え 記 念 事 業 としてベラルーシの 訪 問 やシンポジウムの 開 催 を 計 画 していた 矢 先 の 出 来 事 でした この 日 が まさしく 私 たちが 支 援 する 側 から 支 援 される 側 に 回 る 転 換 点 となったのです とりわけ 日 本 は 広 島 長 崎 の 原 爆 第 五 福 竜 丸 事 件 の 被 害 国 です こうした 教 訓 から 放 射 能 による 悲 劇 を2 度 と 繰 り 返 してはならないと 市 民 活 動 も 世 界 一 活 発 に 行 われてきました それにもかかわらず ほかならない 日 本 で 放 射 能 汚 染 を 伴 う 世 界 的 な 大 事 故 が 起 こってしまったのです 私 たちは 過 去 の 歴 史 に 何 を 学 んできたのだろうか 過 去 の 歴 史 に 学 ぶとは ど のようにして 可 能 なのか 私 たちがこの 世 界 と 生 活 を 維 持 していくためには 何 を 行 い また 何 を 行 ってはいけないのか 今 こそ 私 たちはベラルーシをはじめ チェルノブイリ 事 故 の 被 災 国 から 真 摯 に 学 んでいく 必 要 があると 思 っています それが 未 来 に 向 けた 新 たな 発 想 や 行 動 につながるはずだからです 本 とベラルーシの 架 け 橋 として 活 動 を 続 けていきます 本 書 の 刊 行 もまた 両 国 を 結 ぶひとつのきっかけになればと 思 います 最 後 に 当 協 会 のよき 理 解 者 であり 友 好 協 会 の 基 礎 をつくってくださった 元 秋 田 県 知 事 故 佐 々 木 喜 久 治 氏 そして 医 学 交 流 の 中 心 的 な 役 割 を 担 った 元 秋 田 大 学 学 長 であり 当 協 会 理 事 長 を 長 年 務 められた 故 渡 部 美 種 氏 に 感 謝 の 意 を 表 し 本 書 を 捧 げます 2013 年 4 月 特 定 非 営 利 活 動 法 人 日 本 ベラルーシ 友 好 協 会 理 事 長 西 木 正 明 同 事 務 局 長 在 秋 田 ベラルーシ 共 和 国 名 誉 領 事 佐 々 木 正 光 この 報 告 書 は ベラルーシ 共 和 国 との20 年 以 上 におよぶ 友 好 交 流 の 証 として 同 国 外 務 省 から 当 協 会 がいただいたものです 一 人 でも 多 くの 方 にベラルーシの 苦 難 の 過 去 未 来 に 向 けた 取 り 組 みを 知 ってほしい そしてフクシマ 再 生 に 役 立 ててほしいという 想 いから この 度 書 籍 として 刊 行 しました なお 本 書 はロシア 語 の 原 文 に 忠 実 に 訳 していますが 日 本 の 読 者 にとって 分 かりやすく 読 みやすくなるようできるだけ 表 現 は 平 易 にし 要 約 や 見 出 し 用 語 解 説 などを 加 えています 翻 訳 は 当 協 会 の 会 員 や 関 係 者 で 行 い 第 1 種 放 射 線 取 扱 主 任 者 の 保 坂 三 四 郎 氏 が 監 修 しました 本 書 が 読 者 の 皆 さまの 関 心 に 少 しでも お 応 えできればと 思 います 2012 年 12 月 15 日 日 本 とベラルーシは 原 発 事 故 後 の 対 応 に 関 して 情 報 交 換 など の 分 野 で 協 力 を 促 す 協 定 を 結 びました これから 放 射 線 測 定 や 医 学 研 究 などさま ざまな 分 野 で 両 国 の 関 係 が 緊 密 化 していきます 当 協 会 も 長 年 の 支 援 活 動 などが 認 められ 2013 年 2 月 4 日 に 事 務 局 長 の 佐 々 木 正 光 がベラルーシ 共 和 国 外 務 省 より 在 秋 田 ベラルーシ 共 和 国 名 誉 領 事 を 拝 命 し 3 月 15 日 付 で 日 本 政 府 外 務 省 の 承 認 を 得 ました 現 在 福 島 以 北 の 東 北 6 県 を 管 轄 する 名 誉 領 事 館 を 協 会 内 に 開 設 し 業 務 を 開 始 しています 今 後 も 当 協 会 はベラ ルーシの 保 養 施 設 での 福 島 の 子 どもたちの 保 養 プロジェクトを 実 現 するなど 日 4 5

目 次 本 書 の 刊 行 にあたって 3 ベラルーシ 共 和 国 基 礎 データ 8 チェルノブイリ 原 発 事 故 汚 染 地 図 10 本 書 で 使 用 する 単 位 について 12 Part1 チェルノブイリの 過 去 日 本 の 現 在 13 ベラルーシから 見 る 日 本 の 原 発 事 故 後 の 課 題 在 日 ベラルーシ 共 和 国 特 命 全 権 大 使 セルゲイ ラフマノフ 15 チェルノブイリ 原 発 事 故 による 住 民 の 健 康 問 題 国 立 放 射 線 医 学 人 間 生 態 研 究 センター 所 長 同 付 属 病 院 院 長 アレクサンドル ロシュコ 21 Part2 ベラルーシ 政 府 報 告 書 チェルノブイリ 原 発 事 故 から 四 半 世 紀 被 害 克 服 の 成 果 と 展 望 37 まえがき 38 はじめに 39 第 1 章 チェルノブイリ 原 発 事 故 の 被 害 42 1.1 国 土 の 放 射 能 汚 染 42 1.2 被 ばく 線 量 評 価 50 1.3 チェルノブイリ 原 発 事 故 被 害 の 医 学 的 側 面 52 1.4 住 民 の 避 難 と 移 住 56 1.5 経 済 的 損 失 60 第 2 章 チェルノブイリ 事 故 被 害 克 服 アプローチの 進 化 64 2.1 チェルノブイリ 事 故 被 害 克 服 の 科 学 的 基 礎 65 2.2 チ ェ ル ノ ブ イ リ 法 制 チェルノブイリ 原 発 事 故 被 災 者 の 社 会 保 障 システムの 変 遷 76 2.3 事 故 被 害 克 服 に 向 けたプログラム 型 目 標 指 向 型 アプローチ 77 2.4 原 発 事 故 被 害 克 服 活 動 の 国 家 管 理 89 第 3 章 チェルノブイリ 原 発 事 故 被 害 克 服 施 策 の 成 果 92 3.1 被 災 者 の 社 会 保 障 システムの 構 築 93 3.2 被 災 者 に 対 する 医 療 サービスおよび 被 災 者 の 健 康 状 態 97 3.3 被 災 者 の 健 康 増 進 およびサナトリウム 療 養 制 度 の 発 達 105 3.4 放 射 能 汚 染 モニタリングの 実 施 110 3.5 農 業 における 防 護 措 置 118 3.6 林 業 分 野 の 施 策 130 3.7 放 射 能 検 査 システム 135 3.8 立 入 禁 止 区 域 の 管 理 ポレシエ 国 立 放 射 線 生 態 保 護 区 139 3.9 被 災 地 域 の 復 興 と 発 展 へ 向 けた 環 境 整 備 建 設 インフラ ガス 151 3.10 放 射 線 生 態 学 教 育 専 門 家 養 成 住 民 や 社 会 への 情 報 提 供 157 第 4 章 チェルノブイリ 事 故 被 害 克 服 の 長 期 的 課 題 : 解 決 と 戦 略 164 4.1 長 寿 命 放 射 性 核 種 による 土 地 汚 染 の 予 測 165 4.2 高 レベル 汚 染 地 域 の 利 用 に 関 する 長 期 的 戦 略 166 4.3 環 境 放 射 線 モニタリング 169 4.4 被 災 者 の 健 康 管 理 健 康 観 察 制 度 専 用 登 録 台 帳 の 発 展 170 4.5 チェルノブイリ 原 発 事 故 の 社 会 心 理 的 側 面 172 4.6 原 発 事 故 の 記 憶 の 維 持 と 後 世 への 継 承 174 4.7 被 災 地 域 の 発 展 戦 略 2020 年 までの 課 題 181 あとがき 184 執 筆 者 査 読 者 一 覧 185 参 考 資 料 186 用 語 解 説 187 巻 末 資 料 189 カバーデザイン 山 田 英 春 本 文 デザイン 編 集 担 当 矢 田 秀 一 (フロンティア クリエイト) 末 澤 寧 史

ベラルーシ 共 和 国 基 礎 データ ベラルーシ 共 和 国 ( 通 称 ベラルーシ)は 東 欧 の 国 家 である ロシ ア ウクライナ ポーランド リトアニア ラトビアと 国 境 を 接 す る 1991 年 にソビエト 連 邦 から 独 立 した ブレスト ヴィテプス ク ゴメリ グロドノ ミンスク モギリョフの6 州 118 地 区 か ら 構 成 される 面 積 :20 万 7600km² 人 口 : 約 946 万 人 (2011 年 ) 首 都 :ミンスク 民 族 : ベラルーシ 人 (83.7%) ロシア 人 (8.3%) ポーランド 人 (3.1%) ウクライナ 人 (1.7%) 言 語 : 公 用 語 はベラルーシ 語 ロシア 語 宗 教 :ロシア 正 教 が 最 も 優 勢 その 他 カトリック 無 宗 教 政 体 : 共 和 制 元 首 :アレクサンドル ルカシェンコ 大 統 領 ( 任 期 5 年 ) 議 会 : 二 院 制 主 要 産 業 : 工 業 (31.7%) 農 林 水 産 業 (8.6%) 建 設 業 (6.8%) ( 産 業 別 構 造 比 ) サービス 業 (39.6%) (2011 年 ベラルーシ 共 和 国 国 家 統 計 委 員 会 ) 国 民 総 生 産 :551 億 ドル(2011 年 世 界 銀 行 ) (GDP) 通 貨 :ベラルーシ ルーブル(BYR) * 出 典 :データは 外 務 省 ホームページから 抜 粋 (http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/belarus/data.html) 8 9

kb 148 18 4 1 アイスランド バレンツ海 北 極 海 チェルノブイリ原発事故 汚染地図 ノルウェー海 事故後に放出されたセシウム137による欧州全土の地 表汚染 出典 原子放射線の影響に関する国連科学委員会 UNSCEAR 2000年報告書 第2巻 http://www. unscear.org/docs/reports/annexj.pdf p.464の地図 をもとに作成 国名は当時 白 海 フィンランド ノルウェー スウェーデン ロ シ ア エストニア 北 海 アイルランド ラトビア デンマーク バルト海 大 西 洋 リトアニア イギリス オランダ ベルギー ベラルーシ ドイツ ポーランド ルクセン ブルク チェルノブイリ原発 チェコ フランス スロバキア スイス スロベニア ポルトガル ウクライナ オーストリア ルーマニア クロアチア スペイン モルドバ ハンガリー イタリア 黒 海 ユーゴ スラビア ブルガリア アドリア海 セシウム137の堆積量 核実験 チェルノブイリ事故など kbq/m² Ci/km² マケド ニア アルバ ニア チレニア海 地 中 海 トルコ ギリシャ イオニア海 10 カスピ海 ボスニア ヘルツェゴビナ エーゲ海 1480 185 40 10 2 40 5 1.08 0.27 0.054 データ無し 首都 11

本 書 で 使 用 する 単 位 について 本 書 では 換 算 が 難 しい 場 合 を 除 き 現 在 日 本 国 内 で 一 般 的 に 使 われている 単 位 を 採 用 しました 単 位 の 意 味 は 以 下 の 解 説 をご 参 照 ください ベクレル(Bq): 放 射 能 の 強 さを 表 す 単 位 放 射 性 物 質 から1 秒 間 に 放 射 線 が 何 回 放 出 されるかを 表 している 放 射 線 にはアルファ 線 ベータ 線 ガンマ 線 などの 種 類 があり 同 じ 数 値 でも 放 射 線 の 種 類 によって 身 体 への 影 響 が 異 なる Part1 チェルノブイリの 過 去 日 本 の 現 在 キュリー(Ci): 放 射 能 の 強 さを 表 す 単 位 1Ci=3.7 10 10 Bq 本 書 では 原 則 的 にベクレルを 用 いた ベクレルの 項 参 照 シーベルト(Sv): 実 効 線 量 の 単 位 被 ばくの 人 体 への 影 響 度 合 いを 表 す 通 常 は 外 部 被 ばくと 内 部 被 ばくの 実 効 線 量 の 合 計 値 1Sv=1000 msv(ミリシーベル ト) 1mSv=1000μSv(マイクロシーベルト) 人 シーベルト: 主 に 集 団 線 量 を 表 す 単 位 として 使 われる 放 射 線 被 ばくした 集 団 を 対 象 に 線 量 を 評 価 するために 評 価 対 象 とする 集 団 の 人 数 と 被 ばく 線 量 の 積 をシーベルト 単 位 で 表 す グレイ(Gy): 吸 収 線 量 の 単 位 放 射 線 に 照 射 された 物 質 が 吸 収 するエネルギーの 量 1Gyは 物 質 1kgに 対 して1ジュールのエネルギーを 与 える 線 量 レントゲン(R): 照 射 線 量 の 単 位 放 射 線 が 空 気 を 電 離 して 電 気 を 帯 びさせる 強 さで 放 射 線 がどのぐらい 出 ているかを 表 す 電 磁 波 (エックス 線 とガンマ 線 )の みに 使 われる 1R=8.7mGy=8.7mSv 現 在 は クーロン(C)/kgという 表 記 が 一 般 的 チェルノブイリ 原 発 事 故 から27 年 ベラルーシ 共 和 国 は 現 在 も 事 故 被 害 との 闘 いを 続 け 国 を 挙 げてノウハウの 蓄 積 に 取 り 組 んでいる ベラルーシから 見 て 2011 年 3 月 の 福 島 第 一 原 発 事 故 発 生 後 日 本 が 抱 える 課 題 とは 何 か Part1では 在 日 ベラルーシ 共 和 国 特 命 全 権 大 使 セルゲイ ラフマノフ 氏 と 住 民 の 健 康 問 題 に 関 する 実 務 レベルの 責 任 者 である 国 立 放 射 線 医 学 人 間 生 態 研 究 センター 所 長 同 付 属 病 院 院 長 アレクサンドル ロシュコ 氏 が 日 本 の 現 状 そし てベラルーシのいまを 紹 介 する 12

在 日 ベラルーシ 共 和 国 特 命 全 権 大 使 セルゲイ ラフマノフ 15

ベラルーシの 経 験 から 見 た 日 本 政 府 の 課 題 まずは 福 島 第 一 原 子 力 発 電 所 の 事 故 に 関 して 日 本 の 皆 さまへ 心 から 同 情 の 気 持 ちを 表 したいと 思 います 日 本 は チェルノブイリ 原 発 事 故 が 起 きたときに 私 たちベラルーシ 国 民 に 真 っ 先 に 支 援 の 手 を 差 し 伸 べてくれた 国 のひとつでした たくさんの 子 どもたちが 日 本 にリハビリのために 招 待 されました 私 たちのために 送 ってくださったさまざ まな 医 療 機 器 は 汚 染 地 域 の 病 院 で 現 在 でも 使 われています 日 本 の 支 援 は たい へん 大 きな 助 けとなっています 今 回 残 念 なことに 福 島 で 原 発 事 故 が 起 きてしまいました 私 たちの 経 験 を 福 島 の 皆 さま そして 日 本 の 皆 さまへ 伝 えていければと 思 っています ベラルーシはチェルノブイリ 事 故 の 被 災 国 のなかで 一 番 被 害 が 大 きかった 国 です 幅 広 い 分 野 で 巨 額 の 費 用 がかかりました この 事 故 が 起 きた 結 果 として ベラルーシはそれまで 世 界 に 存 在 しなかったテ クノロジーを 自 分 たちで 築 きあげていかなくてはいけない 状 況 に 陥 りました 具 1 体 的 には 放 射 線 計 測 機 器 医 療 技 術 農 業 技 術 復 興 事 業 の 組 織 化 技 術 を 独 自 に 開 発 したのです さまざまな 技 術 分 野 の 専 門 家 がロシアやウクライナをはじめ とする 世 界 各 国 の 専 門 家 と 交 流 を 行 っていますが ベラルーシが 得 た 経 験 が 世 界 で 一 番 あるいはトップクラスだと 私 は 自 負 しています こうした 幅 広 い 経 験 があることは 日 本 でもわかってもらえるようになってき ました ベラルーシは これらのテクノロジーの 分 野 で 欧 米 諸 国 を 含 むどの 国 よ りも 日 本 へ 支 援 の 手 を 差 し 伸 べられる 国 だと 思 っています 具 体 的 な 例 を 挙 げましょう 放 射 線 の 計 測 機 器 についてお 話 しします 福 島 第 一 原 発 事 故 が 起 きた 直 後 の2011 年 3 月 には ベラルーシの 代 表 団 が 日 本 に 来 ており すでにいろんな 種 類 の 放 射 線 計 測 機 器 を 供 給 しています 現 在 の 日 本 には 多 くの 国 々が 輸 出 したさまざまな 計 測 機 器 が 存 在 します し かし そうした 機 器 の 大 部 分 が 極 端 にいえば おもちゃのようなものなのです ベラルーシの 専 門 家 が 日 本 でよく 売 れている 計 測 機 器 の 分 析 を 行 いました 誤 差 率 を 測 ったのですが ひどい 場 合 には500 倍 でした こうしたことが 起 きる 理 由 は 日 本 では 計 測 機 器 を 輸 入 する 際 に メーカーの 仕 様 を 信 用 して 受 け 入 れ 側 での 品 質 検 査 を 行 っていないからです 機 器 の 機 械 的 な 特 徴 の 検 査 や 管 理 を 行 っ ていないのです この 問 題 に 関 しては いま 日 本 の 企 業 とベラルーシの 専 門 家 が 共 同 で 計 測 機 器 の 検 査 基 準 を 作 成 しています 幸 い 日 本 には 計 測 機 器 を 輸 入 する 際 どう 管 理 するか 知 識 や 経 験 を 持 つ 企 業 がありました 私 自 身 もメーカー 関 係 者 政 治 家 2 省 庁 関 係 者 大 企 業 の 人 たちと 何 回 も 会 い 私 たちには 放 射 能 汚 染 問 題 のさま ざまな 経 験 があり 役 立 てられることを 訴 えてきました 課 題 1: 正 確 な 汚 染 マップの 作 成 ベラルーシには 原 発 事 故 の 被 害 を 克 服 するための 国 家 計 画 (プログラム) 3 が あります これは 困 難 を 伴 う 複 雑 な 計 画 です この 計 画 のなかには 解 決 しなけ ればいけない 課 題 がかなり 多 く 含 まれています その 大 きな 課 題 のひとつが 時 間 の 経 過 による 変 化 です つまり 事 故 後 の 初 期 に 解 決 しなければならない 課 題 と 時 が 経 つにつれて 解 決 しなければいけない 課 題 は 異 なるのです いまの 私 たちの 課 題 は 後 者 にあたる 被 災 地 域 の 発 展 です 日 本 は 事 故 が 起 きた 最 初 の 段 階 で 起 きる 課 題 を まずは 解 決 しなければいけま せん 具 体 的 に3つ 例 をあげましょう まず 一 番 重 要 な 課 題 は 正 確 な 汚 染 マップを 作 ること 日 本 には すでに 汚 染 マップがいくつかあり 公 表 されていますが 私 たちから 見 るとモデル 図 のよう なものです 現 実 を 反 映 していないと 思 っています なぜかというと この 汚 染 マップは 空 中 から 測 定 されたものだからです 地 表 から 一 番 近 いところでも 高 さ 1mで 測 定 されています このようにして 作 った 地 図 は 正 確 性 に 欠 けます 一 方 ベラルーシの 汚 染 マップは 8 年 がかりで 化 学 的 なテクノロジーを 使 っ て 作 りました さまざまな 地 域 で 表 層 土 壌 を 採 取 して 化 学 的 に 分 析 したのです 当 時 は 1 地 点 の 採 取 試 料 の 調 査 に 数 日 かかる 場 合 もありました しかし いま 私 たちは たった5 分 で 同 じ 分 析 ができる 技 術 を 持 っています この 分 析 設 備 は 国 際 基 準 を 満 たしており 米 国 で 製 造 されている 類 似 のものと 比 べても 優 位 な 点 が 多 くあります この 設 備 は 日 本 への 輸 出 が 始 まり 2013 年 以 降 大 量 に 導 入 される 予 定 です ところで どうしてこのような 機 器 がベラルーシで 製 造 されているのでしょ う? どうして 同 じような 機 器 がドイツ フランス イギリスでは 製 造 されてい ないのでしょう? その 理 由 は ベラルーシが 旧 ソ 連 のなかで 産 業 が 最 も 発 展 した 国 のひとつだっ たからです ご 存 知 のとおり 旧 ソ 連 時 代 はさまざまな 技 術 分 野 の 研 究 が 行 われ 16 17

ており そのひとつが 放 射 線 管 理 のテクノロジーでした 考 えてみてください 核 実 験 を 一 番 多 く 行 ったのは 米 国 と 旧 ソ 連 ですよね 旧 ソ 連 は 核 実 験 を400 回 行 っ ています 実 は このすべての 実 験 でベラルーシの 専 門 家 たちが 放 射 線 の 計 測 を 担 当 していました チェルノブイリ 事 故 が 起 きたあと この 専 門 家 たちが 民 生 の 放 射 線 管 理 機 器 の 開 発 に 取 り 組 んだのです( 第 2 章 2.1 参 照 ) 日 本 では 地 震 のあとに 津 波 が 発 生 し 大 量 の 廃 棄 物 が 出 ました そのなかには 放 射 性 物 質 4 を 含 む 廃 棄 物 もありました 大 きな 問 題 は 放 射 性 物 質 を 汚 染 地 域 から 非 汚 染 地 域 に 持 ち 出 してしまうことです 残 念 なことに 日 本 ではまだこの 点 において 十 分 な 取 り 組 みが 行 われていません 例 えば 福 島 の 汚 染 地 域 に 入 っ たトラックは 検 査 を 受 けずに 東 京 や 他 の 地 域 に 移 動 しています こうした 輸 送 手 段 の 検 査 には 特 別 な 装 置 が 必 要 であり 多 大 な 費 用 がかかります ベラルーシ は かなり 以 前 からこの 検 査 装 置 を 製 造 しており 米 国 だけでなく 欧 州 諸 国 ロ シアなど 全 世 界 へ 輸 出 しています 課 題 2: 住 民 の 健 康 管 理 次 に 住 民 の 健 康 管 理 もとても 重 要 な 課 題 です ベラルーシには 国 家 による 医 療 リハビリ 制 度 があります 年 間 約 150 万 人 が 健 康 診 断 を 無 料 で 受 けています ま た 病 気 になった 場 合 の 治 療 費 も 無 料 です 一 番 重 要 なのは 子 どもたちの 健 康 です どんな 国 も 子 どもたちの 健 康 には 特 別 に 配 慮 しますが ベラルーシではリハビリ 制 度 がつくられました この 制 度 では リハビリ 健 康 増 進 センターが10 施 設 あり 年 間 約 6 万 人 の 子 どもたちがリハビリを 受 けています( 第 3 章 3.3 参 照 ) この 制 度 を 担 う 専 門 家 たちは 汚 染 地 域 に 住 む 子 どもたちは 年 に1 回 いま 住 ん でいる 地 域 から 約 1ヵ 月 離 れて 汚 染 のない 場 所 にいることが 必 要 と 考 えていま す そうすることで 体 内 に 蓄 積 されたセシウムを 排 出 することができる と そ のためにリハビリ 健 康 増 進 センターに 子 どもたちを 送 っているわけです また 現 在 ベラルーシでは 汚 染 地 域 に 約 114 万 人 が 住 んでいますが 汚 染 地 域 に 住 む 子 どもたちには 無 料 で 給 食 が 提 供 されています 給 食 には 健 康 増 進 の ためビタミンや 抗 酸 化 物 質 が 含 まれています 2012 年 の 夏 に 福 島 と 仙 台 の 子 どもたちのグループがベラルーシのリハビリ 健 康 増 進 センターでリハビリを 受 けました これはベラルーシ 政 府 の 招 待 による もので 交 通 費 を 含 む 費 用 をすべてベラルーシ 政 府 が 負 担 して 行 いました このベラルーシ 政 府 による 日 本 の 子 どもたちへの 施 策 は 毎 年 行 われる 予 定 で す すでに2013 年 夏 のプロジェクトに 向 けて 準 備 を 進 めています 話 は 少 し 変 わりますが ベラルーシでは 子 どもたちに 対 する 特 別 な 環 境 教 育 も 実 施 されています 放 射 線 の 理 論 と 実 践 を 学 ぶ 授 業 が 学 校 のカリキュラムに 組 み 込 まれています また 汚 染 地 域 の 学 校 には 情 報 センターを 設 置 しています そこに 放 射 線 計 測 器 や 線 量 計 などが 備 えられており 実 習 ができます 子 どもは 大 人 が 立 ち 入 りを 禁 じた 場 所 で 遊 ぶのが 大 好 きですよね 汚 染 地 域 でも 同 じです ベラルーシでは 経 済 的 に 合 理 性 がないことから すべての 地 域 では 除 染 を 行 っていません 人 が 働 いたり 住 んだりする 場 所 が 中 心 で 森 林 地 帯 は 除 染 しません 日 本 は 森 林 が 多 く 国 土 の80%を 占 めますが 残 念 ながら 除 染 の 効 果 は 期 待 できないのです ベラルーシでは こうした 危 険 な 場 所 に 子 ども が 立 ち 入 らないよう 汚 染 地 域 での 正 しい 行 動 を 身 につけられるプログラムをつ くっています また 私 たちのユニークな 取 り 組 みとして 子 から 親 へ の 知 識 の 伝 達 がありま す 新 しいことを 吸 収 しやすい 子 どもが 学 校 で 学 んだことを 家 で 親 に 伝 え 放 射 線 について 正 しい 理 解 を 広 めていく という 手 法 です( 第 3 章 3.10 参 照 ) 課 題 3: 心 理 面 のリハビリ もうひとつ 重 要 な 課 題 が 心 理 面 でのリハビリです 人 間 は ストレスに 悪 影 響 を 受 けます ストレスは 状 況 がよくわからないときや 恐 怖 感 を 抱 いたとき に 受 けます 逆 に 現 実 の 状 況 を 知 り 何 をしてよいか 何 をしてはいけないかさ えわかっていれば 緩 和 されるのです( 第 4 章 4.5 参 照 ) 残 念 ながらチェルノブイリ 事 故 当 初 人 々は 現 実 の 状 況 を 知 りませんでした そのためストレスによる 被 害 者 もかなり 出 てしまいました 私 たちとしては 私 たちが 目 撃 し 経 験 してきた 過 ちを 日 本 に 繰 り 返 してほしくないと 思 っています 今 後 の2 国 間 の 関 係 ベラルーシが 日 本 とテクノロジーの 面 においてパートナーになるのは 決 して 偶 然 ではありません ベラルーシはとても 高 い 水 準 にある 国 なのです ベラルー シはチェルノブイリ 事 故 で 一 番 大 きな 被 害 を 受 けた 国 であるのと 同 時 に 旧 ソ 連 が 崩 壊 したあとに 一 番 発 展 した 国 でもあります ベラルーシは 旧 ソ 連 を 構 成 した 共 和 国 のなかで いち 早 くソ 連 時 代 の 経 済 レベ 18 19

ルを 取 り 戻 し それだけでなく 経 済 のポテンシャルを 飛 躍 させた 国 です ベラルーシの 国 民 1 人 当 たりのGDPは ソ 連 時 代 と 比 べて 約 3 倍 に 増 えています ウクライナはソ 連 時 代 を100とすると いまは80ぐらいです ロシアは 石 油 や 天 然 ガスなどの 資 源 が 豊 富 ですが 180 一 方 ベラルーシは300です ベラルーシと 日 本 は 協 力 関 係 にある 友 好 国 です 私 たちの 持 てる 情 報 は 制 限 なく 無 償 でお 伝 えすることができます 私 たちはすでに 日 本 の 専 門 家 から 要 請 が あったさまざまな 文 書 を 日 本 政 府 に 引 き 渡 しています チェルノブイリ 事 故 のあ とにベラルーシ 政 府 が 作 った 報 告 書 汚 染 マップ 子 どもたちの 行 動 指 針 を 示 し た 手 引 書 などです 事 故 被 害 の 克 服 には 多 額 の 費 用 がかかります ベラルーシは すでに 約 200 億 米 ドルを 費 やしました 日 本 では 津 波 の 被 害 や 汚 染 がれきの 問 題 もあるので も しかしたらもっと 巨 額 になるかもしれません もし 私 たちの 経 験 を 取 り 入 れるの であれば 日 本 は 直 面 している 問 題 をより 早 くより 少 ない 費 用 で 解 決 できると 思 います これから 数 日 中 に 日 本 とベラルーシの 間 に 政 府 間 協 定 が 結 ばれる 予 定 です( 原 子 力 発 電 所 における 事 故 へのその 後 の 対 応 を 推 進 するための 協 力 に 関 する 日 本 国 政 府 とベラルーシ 政 府 との 間 の 協 定 2012 年 12 月 15 日 締 結 ) この 協 定 は 原 発 事 故 が 起 きたあとの 対 応 についての 情 報 交 換 と 協 力 に 関 するものです これは 枠 組 み 協 定 となりますので この 協 定 のなかで 今 後 日 本 とベラルーシの 専 門 家 の 交 流 が 活 発 になります 日 本 は 高 度 なテクノロジーを 持 ち 礼 儀 正 しく ビジネスでも 慣 習 を 重 んじ る 国 です 他 人 に 対 して 親 切 で 思 いやりのある 行 動 をとります このような 国 民 性 は 私 たちベラルーシ 人 にもあてはまるものです 私 たちの 経 験 をもとにし て 日 本 の 皆 さまとパートナー 関 係 を 結 ぶことは 大 きな 可 能 性 につながると 思 い ます 福 島 第 一 原 発 事 故 後 に 発 生 したさまざまな 問 題 ができるだけ 早 く 解 決 すること を 心 から 願 っています ベラルーシ 政 府 としては 日 本 側 からの 要 請 に 基 づき 福 島 の 事 故 の 被 害 を 克 服 するために 必 要 な 支 援 をする 用 意 がいつでもあります チェルノブイリ 原 発 事 故 による 住 民 の 健 康 問 題 国 立 放 射 線 医 学 人 間 生 態 研 究 センター 所 長 同 付 属 病 院 院 長 アレクサンドル ロシュコ 20 21

国 立 放 射 線 医 学 人 間 生 態 研 究 センターについて ベラルーシは これまでにチェルノブイリ 原 発 事 故 の 被 害 克 服 のために5 次 に わたり 国 家 計 画 を 実 施 してきました この 計 画 には 重 要 な 方 針 が6つあります 1つ 目 が 被 災 者 への 医 療 支 援 2つ 目 が 住 民 の 被 ばく 線 量 低 減 措 置 と 放 射 線 生 態 学 上 の 地 域 再 生 3つ 目 が 環 境 の 放 射 能 汚 染 のモニタリングと 放 射 線 管 理 4つ 目 が 汚 染 地 域 にある 居 住 区 の 社 会 経 済 的 な 保 障 と 今 後 の 発 展 5つ 目 が 国 家 計 画 を 科 学 的 に 根 拠 づける 基 礎 研 究 6つ 目 が 被 災 者 の 社 会 心 理 面 でのリハビリです 国 家 計 画 を 実 行 するにあたり しっかりした 実 施 メカニズムがつくられていま す 保 健 省 をはじめとする 関 係 省 庁 が 水 平 垂 直 方 向 に 連 携 しながら 実 行 してい るのです 縦 軸 では 例 えば 保 健 省 各 州 の 保 健 局 さらに 下 部 の 各 地 区 の 医 療 施 設 が 連 携 し 横 軸 でも 各 省 庁 間 で 相 互 に 連 絡 を 取 りあっています 2002 年 の 大 統 領 令 によって 放 射 線 の 研 究 や 治 療 を 行 う 特 別 なセンターがつく られました それが 私 が 働 いている 国 立 放 射 線 医 学 人 間 生 態 研 究 センターで 中 央 センターになります センターには 病 院 も 付 属 しています このセンターは 住 民 に 対 する 特 別 な 医 療 支 援 とくに 被 災 者 に 対 する 医 療 支 援 を 目 的 としています この 目 的 を 実 現 するための 課 題 としては 放 射 線 の 人 体 への 影 響 に 関 する 最 新 の 知 見 を 取 り 入 れて 住 民 に 対 する 医 学 観 察 の 新 たな 原 則 を 導 入 すること 科 学 研 究 の 効 果 を 上 げて 新 しい 学 術 研 究 プログラムを 構 築 してい くこと 専 門 病 院 で 新 しい 治 療 技 術 を 開 発 していくこと 放 射 線 の 人 体 への 影 響 に 関 する 国 際 協 力 を 拡 大 していくことが 挙 げられます 最 も 重 要 な 方 針 は 原 子 力 事 故 によって 放 射 線 の 被 害 を 受 けた 人 たちに 医 療 支 援 をどのようなかたちで 行 うか どのような 分 野 の 医 療 を 施 すかをしっかり 見 極 めたうえで 実 際 に 支 援 していくことです 放 射 線 の 影 響 について 科 学 的 に 研 究 することの 重 要 性 は ずいぶん 前 からわ かっていました 科 学 研 究 センターをつくろうという 考 え 自 体 は ソ 連 時 代 から あったものです ですが 実 際 に 設 立 されたのは 独 立 後 でした アレクサンドル ルカシェンコ 大 統 領 のイニシアティブで 私 たちの 科 学 研 究 センターが 設 立 される ことになったのです このセンターには 科 学 研 究 部 訪 問 者 向 けホテル 1 日 に500 人 の 外 来 患 者 を 受 け 入 れることができる 診 療 所 病 床 数 360 床 の 病 棟 が 付 設 しています 科 学 研 究 部 には4つのラボがあります 主 な 研 究 対 象 は チェルノブイリ 原 発 事 故 後 の 放 射 線 の 影 響 です 私 たちのセンターは 2011 年 から2015 年 に 向 けた 国 家 計 画 のなかで 科 学 分 野 の 発 展 を 担 う 最 も 重 要 な 組 織 と 位 置 づけられています また このセンターはチェルノブイリ 原 発 事 故 の 経 験 を 踏 まえ 緊 急 時 に 放 射 線 被 ばくの 治 療 にあたる 緊 急 チームを 擁 し 放 射 線 障 害 を 発 症 した 患 者 のために 病 床 数 60 床 の 特 別 な 治 療 室 を 用 意 しています さまざまな 国 の 汚 染 規 模 を 比 較 すると ベラルーシが 最 大 の 被 害 国 となってい ます 放 射 性 核 種 5 の 降 下 により 長 期 間 にわたり 国 土 の 約 23%に 相 当 する 約 4 万 6500km²が 汚 染 されました そのうちセシウム 6 137による 土 壌 汚 染 濃 度 7 が37 185キロベクレル/m²の 面 積 は2 万 9900km² 185 555キロベクレル/m²は1 万 200km² 555 1480キロベクレル/m²は4200km² そして1480キロベクレル/ m² 以 上 の 面 積 は 2200km²にのぼります( 第 1 章 1.1 参 照 ) 事 故 被 災 者 の 総 数 は220 万 人 で 総 人 口 の 約 20%にあたります 事 故 直 後 原 発 から30キロ 圏 内 には107の 居 住 区 がありましたが そこから2 万 4700 人 が 避 難 しま した 原 子 力 発 電 所 内 や 汚 染 地 域 の 事 故 処 理 作 業 に 従 事 した 作 業 員 は 10 万 人 以 上 事 故 後 に471の 居 住 区 から13 万 7700 人 が 計 画 的 に 移 住 しました( 第 1 章 1.4 参 照 ) 国 家 管 理 台 帳 に 基 づく 医 学 調 査 原 発 事 故 後 の 最 も 重 要 な 問 題 のひとつが 住 民 の 受 けた 被 ばく 線 量 でした 1990 年 代 のはじめには 950 万 人 以 上 に 対 する 甲 状 腺 被 ばく 線 量 の 調 査 が 行 われ 平 均 線 量 が 再 構 築 ( 推 定 評 価 )されました その 結 果 被 ばくした 時 点 の 年 齢 と 住 んで いた 場 所 によって 度 合 いは 異 なりますが ほとんどすべての 住 民 がヨウ 素 8 131の 影 響 を 受 けていたことがわかりました 現 在 までに 実 効 線 量 に 関 しては しっかりした 評 価 が 出 されています( 第 1 章 1.2 参 照 ) ベラルーシではさまざまな 防 護 措 置 をとった 結 果 住 民 の 被 ばくレベルは 何 らかの 確 定 的 影 響 が 発 現 するレベルよりもずっと 低 く 抑 えることができました 被 災 者 への 医 療 サービスのために 国 家 管 理 による 被 ばく 線 量 台 帳 がつくられ ました そして 健 康 観 察 制 度 9 や 住 民 の 健 康 維 持 を 目 的 とした 学 術 研 究 を 正 し く 行 うためのシステムなどが 構 築 されていきました この 登 録 台 帳 は 国 州 地 区 の3レベルで 構 成 されています 登 録 されている 住 民 は 第 1から 第 7グループに 分 かれています( 第 3 章 3.2 参 照 ) 22 23

私 たちはこの 台 帳 を 用 い 登 録 者 の 罹 患 率 10 のデータを 分 析 しました その 結 果 放 射 能 リスクが 高 いグループを 割 り 出 すことができました そして 現 在 まで に 150 万 人 以 上 の 国 民 がさまざまなカテゴリの 被 災 者 に 区 分 され 国 の 観 察 下 に 置 かれています 2010 年 も1995 年 も 罹 患 の 割 合 が 一 番 大 きいのが 呼 吸 器 官 の 病 気 です 4 位 か ら2 位 に 上 昇 したのが 血 液 循 環 系 の 病 気 です 骨 と 筋 肉 系 の 病 気 は 両 年 とも 3 位 でした 5 位 から4 位 になったのが 損 傷 中 毒 2 位 から5 位 に 下 降 したのが 消 化 器 系 の 病 気 です( 編 註 : 損 傷 中 毒 は その 他 に 含 まれている) 全 般 的 な 疾 患 チェルノブイリ 事 故 に 関 わった 人 の 健 康 状 態 は 事 故 の 被 害 を 評 価 する 際 に 重 要 な 問 題 となります( 第 1 章 1.3 参 照 ) 図 1をご 覧 ください 第 1 第 4グループの 人 たちの 標 準 化 罹 患 比 11 を1995 年 と 比 較 すると 42% 減 少 しています 一 方 罹 患 率 と 異 なり 有 病 率 12 は 上 昇 しています( 図 3) 1995 年 から2010 年 にかけて 第 1 第 4グループは 有 病 率 が69% 増 えていますが この 主 な 原 因 は 観 察 対 象 集 団 の 高 齢 化 です 図 3 被 災 者 カテゴリ 別 の 標 準 化 有 病 率 の 変 動 ( 単 位 :1/10,000) 図 1 被 災 者 カテゴリ 別 の 標 準 化 罹 患 比 の 変 動 ( 単 位 :1/10,000) 低 線 量 被 ばくの 影 響 低 線 量 被 ばくにおいて 放 射 線 が 腫 瘍 を 誘 発 するリスクは 今 日 まで 解 明 されてい 2010 年 の 新 規 疾 病 内 訳 を1995 年 と 比 較 してみましょう( 図 2) 図 2 1995 年 および2010 年 の 被 災 者 の 新 規 疾 病 内 訳 ません 国 内 外 で 発 表 されている 研 究 にはさまざまな 解 釈 があり しばしば 対 立 する 見 解 も 見 られますが これは 低 線 量 の 生 物 学 的 影 響 を 評 価 するための 十 分 な 科 学 的 データが 得 られていないということです したがって 低 線 量 被 ばくした コホート( 観 察 集 団 ) 13 に 対 する 直 接 の 疫 学 調 査 は 重 要 な 科 学 的 意 義 を 持 ってい ます 事 故 処 理 作 業 員 の 発 がんリスク チェルノブイリ 原 発 事 故 被 災 者 国 家 登 録 台 帳 や 国 内 がん 患 者 台 帳 のデータを 放 射 線 疫 学 の 観 点 から 分 析 することによって さまざまなカテゴリの 住 民 のがん 罹 24 25

患 率 の 変 動 を 評 価 することができます 1993 年 から 現 在 までの 悪 性 腫 瘍 の 研 究 で 原 発 事 故 の 事 故 処 理 作 業 員 のがんの 罹 患 率 は 平 均 的 なベラルーシ 人 のレベルとほとんど 変 わりませんでした 男 性 も 女 性 も 増 加 の 傾 向 は 認 められませんでした この 図 4は 男 女 の 事 故 処 理 作 業 員 の 相 対 リスク 14 の 評 価 に 関 するデータです 放 射 線 リスクモデルの 主 要 な 指 標 のひとつとして 病 気 発 症 時 の 年 齢 があります ので 次 の 図 5では 発 症 時 年 齢 に 応 じた 事 故 処 理 作 業 員 男 女 の 相 対 リスクの 評 価 を 示 します 図 5 事 故 処 理 作 業 員 男 女 における 発 症 年 齢 別 の 悪 性 腫 瘍 の 相 対 リスク 評 価 図 4 事 故 処 理 作 業 員 男 女 における 悪 性 腫 瘍 の 相 対 リスク 評 価 * 図 の 読 み 方 : 四 角 が 相 対 リスクの 値 四 角 を 挟 んで 描 かれている 横 線 は 相 対 リス クの 信 頼 性 (95% 信 頼 区 間 の 値 )を 表 す 横 棒 が2つとも リスクがないことを 表 す1.0より 上 に 位 置 していると 統 計 的 に 有 意 にリスクが 高 いと 解 釈 できる 一 方 横 棒 が1.0をまたぎ 下 に 位 置 する 場 合 は 放 射 線 リスクが 有 意 にあるとはいえない 全 期 間 における 悪 性 腫 瘍 に 関 する 相 対 リスクは 男 性 で0.89( 信 頼 区 間 0.86 0.92) 女 性 で1.04( 信 頼 区 間 0.98 1.04)です 25 29 歳 の 女 性 は 相 対 リスクが 統 計 的 に 有 意 な 値 を 超 え 3.67( 信 頼 区 間 1.53 8.82)になっています 同 じ 年 齢 の 男 性 の 相 対 リスクについてもいくらかの 増 加 が 認 められますが 統 計 的 に 有 意 ではありません チェルノブイリ 原 発 事 故 後 の 子 どもや 未 成 年 者 の 甲 状 腺 がん 罹 患 率 にはっきり とした 増 加 が 見 られるということから 事 故 処 理 作 業 員 の 甲 状 腺 がんの 一 部 につ いても 放 射 線 が 誘 発 している 可 能 性 が 仮 定 できます( 図 6) 26 27

図 6 事 故 処 理 作 業 員 男 女 における 甲 状 腺 がんの 相 対 リスク 観 察 対 象 の 全 期 間 では 甲 状 腺 がんの 発 生 に 関 する 相 対 リスクは 女 性 が2.6( 信 頼 区 間 2.1 3.1) 男 性 が3.5( 信 頼 区 間 3.0 4.2)となっています とくに 注 目 すべきは 女 性 と 比 べた 場 合 の 男 性 の 甲 状 腺 がんの 相 対 リスクの 特 徴 です 女 性 の 相 対 リスクの 変 動 は 1995 年 から2000 年 にかけてはっきりとした 減 少 を 示 し 自 然 発 生 レベルに 戻 っていますが 男 性 については 観 察 対 象 の 全 期 間 にわたって 高 いリスクが 維 持 されています 大 人 の 甲 状 腺 がんの 罹 患 において とくにハイリスクのグループでは このが んの 大 部 分 が 放 射 線 の 誘 因 による 腫 瘍 です 各 部 位 のがんのデータについて 分 析 しましたが 観 察 対 象 の 全 期 間 あるいは 各 年 をとっても 相 対 リストのはっきりとした 増 加 は 見 られませんでした 乳 がんの 発 症 リスク 乳 がんの 研 究 も 行 っています データを 分 析 してみても 事 故 処 理 作 業 員 の 女 性 に 乳 がんが 増 加 している 傾 向 は 見 られず 観 察 対 象 の 全 期 間 の 相 対 リスクは0.93 ( 信 頼 区 間 0.81 1.08)でした( 図 7) 一 方 発 症 時 の 年 齢 別 データを 分 析 したと ころ 若 年 女 性 の 集 団 に 相 対 リスクのかなりの 増 加 が 観 察 され その 値 は6.93( 信 頼 区 間 0.98 49.2)でした 図 7 女 性 事 故 処 理 作 業 員 における 乳 がんの 相 対 リスク 子 どもや 未 成 年 者 の 甲 状 腺 がん 子 どもや 未 成 年 者 の 甲 状 腺 がんが 放 射 線 を 原 因 とすることは 誰 の 目 にも 明 らか ではありますが 図 8と 図 9で 甲 状 腺 がんの 相 対 リスクの 評 価 を 示 します 28 29

図 8 チェルノブイリ 事 故 時 に0 18 歳 の 男 女 における 甲 状 腺 がんの 相 対 リスク は 高 リスク 集 団 に 分 類 されているにもかかわらず 甲 状 腺 がん 罹 患 率 は 近 年 自 然 発 生 レベルに 戻 っています( 図 8) 同 じような 法 則 性 は 甲 状 腺 がんのデータを 発 症 年 齢 別 に 分 類 するときにも 観 察 されます( 図 9) 低 年 齢 で 被 ばくした 人 は 被 ばく 時 の 年 齢 が 低 いほど 放 射 線 リスクが 大 きくな ることが 知 られています そのため 事 故 時 の 年 齢 と 性 別 に 応 じた 甲 状 腺 がんの 相 対 リスクの 評 価 を 行 いました( 図 10) 図 10 チェルノブイリ 事 故 時 年 齢 別 の 甲 状 腺 がんの 相 対 リスク 評 価 図 9 チェルノブイリ 事 故 時 に0 18 歳 の 住 民 における 発 症 年 齢 別 の 甲 状 腺 がんの 相 対 リスク 評 価 このグラフでは 上 述 の 法 則 性 がはっきりと 見 て 取 れます そのほかに 子 ど もの 乳 幼 児 期 や 児 童 期 の 年 齢 では 女 の 子 に 比 べ 男 の 子 の 甲 状 腺 がんのリスク が 顕 著 に 高 いということも 注 目 されます 観 察 コホートは がんが 疾 病 構 成 の 上 位 を 占 める 年 齢 にはまだ 達 していません 一 方 事 故 時 に 青 年 期 にあった 女 性 は 注 目 されます 観 察 数 が 少 なく 他 の 部 位 の がんのリスクについて 統 計 的 に 有 意 な 評 価 は 行 えませんが 最 近 3 4 年 で 乳 腺 や 生 殖 器 官 のがん 罹 患 率 が 増 える 傾 向 にあります 低 年 齢 で 被 ばくした 子 どもで 構 成 されたコホートの 観 察 によって 放 射 線 疫 学 上 の 新 たな 知 見 を 得 られるでしょう この2つのグラフを 事 故 処 理 作 業 員 の 同 じグラフ( 図 4と 図 5)と 比 較 して 分 か るのは やはり 男 性 のコホートの 特 徴 ですが 調 査 対 象 全 期 間 にわたって 高 リス クが 低 下 するはっきりとした 傾 向 がないということです 一 方 女 性 のコホート さまざまな 悪 性 腫 瘍 への 影 響 被 災 者 のがん 罹 患 率 の 研 究 結 果 を 総 括 するうえで さまざまな 形 態 の 悪 性 腫 瘍 の 寄 与 リスク 15 を 評 価 しました 30 31

図 11 寄 与 リスク 評 価 (%) 表 1 事 故 時 に0~3 歳 の 子 どもの 甲 状 腺 疾 患 の 相 対 リスク 評 価 100.0 90.0 男 性 年 齢 集 団 モデル 性 別 リスク 評 価 95% 信 頼 区 間 (Wald 信 頼 区 間 16 ) 17 寄 与 リスク P 値 (%) 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 単 結 節 性 甲 状 腺 腫 ERR 18 EAR 19 男 0.68 0.37+0.98 <0.001 40.5 女 0.19 0.05+0.33 0.006 16.0 男 9.61 5.25+13.96 <0.001 女 5.08 1.43+8.74 0.006 10.0 0.0 100.0 90.0 80.0 70.0 60.0 性 結 甲 状 腺 女 性 多 結 節 性 甲 状 腺 腫 ERR EAR 男 1.28 0.26+2.30 0.013 56.1 女 1.07 0.36+1.77 0.003 51.7 男 2.79 0.57+5.01 0.013 女 3.98 1.35+6.61 0.003 50.0 40.0 30.0 腺 腫 ERR 男 女 2.42 1.11+3.72 <0.001 70.8 EAR 男 女 2.80 1.29+4.32 <0.001 20.0 10.0 0.0 性 結 甲 状 腺 事 故 作 業 員 住 民 A 集 団 B 集 団 *A 集 団 とB 集 団 は ハイリスク 集 団 詳 細 は 第 3 章 3.2 参 照 甲 状 腺 がん ERR 男 11.59 6.42+16.76 <0.001 92.1 女 7.46 3.56+11.37 <0.001 88.2 男 7.69 4.26+11.11 <0.001 女 5.65 2.70+8.61 <0.001 図 11は 悪 性 腫 瘍 に 関 する 放 射 線 影 響 の 寄 与 リスクを 示 しています 悪 性 腫 瘍 の 誘 発 という 放 射 線 被 ばくの 確 率 的 影 響 についてはかなりの 量 の 研 究 や 発 表 がなされており 放 射 線 疫 学 研 究 を 行 う 際 の 重 要 な 指 針 となっています 一 方 非 腫 瘍 性 の 疾 患 についての 放 射 線 リスクの 評 価 はまだ 解 明 されていません 自 己 免 疫 性 甲 状 腺 炎 ERR EAR 男 0.73 0.017+1.44 0.045 42.2 女 -0.002-0.01+0.06 >0.5 男 3.1 0.25+5.87 0.045 女 乳 幼 児 の 甲 状 腺 疾 患 のリスク 事 故 当 時 0 3 歳 の 乳 幼 児 のさまざまな 形 態 の 甲 状 腺 疾 患 の 相 対 リスクの 評 価 も 行 いました( 表 1) 私 たちの 評 価 としては 幼 少 期 に 被 ばくした 人 に 見 られる 単 結 節 性 または 多 結 節 性 甲 状 腺 腫 20 の50% 以 上 は 甲 状 腺 被 ばくが 原 因 である 可 能 性 があります そ 32 33

のように 考 える 根 拠 として 幼 少 期 に 被 ばくした 若 者 のコホートでは 甲 状 腺 腫 の 発 生 頻 度 と 甲 状 腺 被 ばく 線 量 の 間 にはっきりとした 相 関 があることが 挙 げられ ます( 図 12) 図 13 結 節 性 甲 状 腺 腫 患 者 の 甲 状 腺 細 胞 における 肥 大 した 核 間 染 色 質 橋 (ゴメリ 地 域 ) 図 12 チェルノブイリ 事 故 時 に0 18 歳 の 住 民 における 甲 状 腺 の 吸 収 線 量 21 に 応 じた 結 節 性 甲 状 腺 腫 罹 患 率 ( 単 位 :1/100) ヨウ 素 被 ばくの 指 標 となる 細 胞 組 織 を 発 見 今 日 の 医 学 分 野 で 最 も 重 要 な 問 題 のひとつは 病 気 と 被 ばくの 因 果 関 係 を 示 す 客 観 的 な 評 価 基 準 の 追 究 です 放 射 線 の 影 響 の 研 究 は 原 爆 が 落 とされた 日 本 の 広 島 長 崎 から 始 まりました しかし 骨 髄 の 研 究 が 中 心 で 甲 状 腺 関 係 の 研 究 は 行 われてきませんでした チェ ルノブイリ 事 故 の 特 徴 は 大 量 のヨウ 素 131が 放 出 されたこと このヨウ 素 131が 人 体 に 大 きな 影 響 を 与 えたのです ですから 私 たちはヨウ 素 131がどのような 影 響 を 与 えるか 研 究 してきました この 分 野 で 2011 年 に 非 常 にユニークな 成 果 が 得 られました 細 胞 核 病 理 学 と いう 細 胞 に 関 する 分 野 の 研 究 です 甲 状 腺 の 病 気 を 患 っている 人 たちの 甲 状 腺 細 胞 を 研 究 したところ 細 胞 のなかにある 核 間 染 色 質 橋 が 肥 大 していることがわか りました これは 正 常 な 細 胞 ではありません( 図 13) この 肥 大 した 核 間 染 色 質 橋 の 存 在 が 放 射 線 の 影 響 を 受 けたことのメルクマール 指 標 になると 私 たちは 考 えています この 細 胞 が 見 られる 人 の 被 ばく 線 量 を 測 り 線 量 と 異 常 な 細 胞 の 発 生 の 相 互 関 係 を 調 べました その 結 果 異 常 な 細 胞 は 明 らかに 放 射 線 の 影 響 を 受 けて 発 生 し たことがわかったのです 4つの 研 究 成 果 結 論 を 述 べます これまでに 私 たちが 行 ってきた 研 究 のさまざまなデータから 得 られた 成 果 は4つあります 1つ 目 は 被 災 者 全 体 については 総 じて 健 康 状 態 の 悪 化 傾 向 は 見 られていない ということです 2つ 目 は 事 故 処 理 作 業 員 のがんの 発 生 率 は 同 じ 年 齢 性 別 グループのベラ ルーシの 住 民 と 比 較 しても 大 きな 差 はないということです ただし 特 定 部 位 に ついて 過 剰 な 発 生 が 見 られます( 皮 膚 がん 腎 臓 がん 膀 胱 がん) 3つ 目 は 甲 状 腺 の 悪 性 腫 瘍 が 放 射 線 に 起 因 することについては 確 信 できる データが 得 られているということです 最 後 に4つ 目 は 肥 大 した 核 間 染 色 質 橋 が 甲 状 腺 に 放 射 線 が 影 響 を 与 えたこと のメルクマールとして 利 用 できると 明 らかになったことです 34 35

*Part1は 2012 年 12 月 13 日 に 日 本 フ レスセンターて 開 催 された 日 本 ベラルーシ 友 好 協 会 主 催 のチェルノフ イリ 支 援 20 周 年 記 念 講 演 会 チェルノフ イリの 教 訓 に 学 ふ 日 本 の 皆 さんへ の 講 演 記 録 をもとに 加 筆 修 正 された 36

チェルノブイリ 原 発 事 故 ベラルーシ 政 府 報 告 書 [ 最 新 版 ] 初 版 1 刷 発 行 2013 年 5 月 20 日 編 者 ベラルーシ 共 和 国 非 常 事 態 省 チェルノブイリ 原 発 事 故 被 害 対 策 局 監 訳 者 日 本 ベラルーシ 友 好 協 会 発 行 者 薗 部 良 徳 発 行 所 産 学 社 101-0061 東 京 都 千 代 田 区 三 崎 町 2-20-7 水 道 橋 西 口 会 館 7 階 Tel. 03(6272)9313 Fax. 03(3515)3660 印 刷 所 シナノ Sangakusha Co., Ltd. 2013, printed in Japan ISBN 978-4-7825-7104-0 C0036 乱 丁 落 丁 本 はお 手 数 ですが 当 社 営 業 部 宛 にお 送 りください 送 料 当 社 負 担 にてお 取 り 替 えいたします