MELジャパン 生 産 段 階 認 証 審 査 報 告 書 概 要 1. 申 請 者 名 称 : 十 三 漁 業 協 同 組 合 所 在 地 : 青 森 県 五 所 川 原 市 十 三 羽 黒 崎 133 番 地 2. 認 証 を 受 ける 漁 業 の 概 要 漁 業 内 容 : 十 三 湖 シジミ 漁 業 ( 第 1 種 共 同 漁 業 ) 認 証 対 象 魚 種 :ヤマトシジミ(Corbicula) japonica 漁 獲 の 方 法 :ジョレン 曳 き( 動 力 船 及 び 人 力 )による( 禁 漁 期 間 及 び 冬 季 間 は 蓄 養 シジミの 人 力 採 取 ) 漁 場 : 十 三 湖 内 の 指 定 区 域 ( 内 共 第 9 号 内 共 第 11 号 ) 認 証 対 象 漁 業 者 : 十 三 漁 業 協 同 組 合 所 属 ジョレン 曳 き 漁 業 者 105 名 3. 審 査 経 過 (1) 審 査 体 制 : 審 査 機 関 ( 日 本 水 産 資 源 保 護 協 会 )による 本 部 及 び 現 地 審 査 員 による 審 査 を 実 施 (2) 審 査 開 始 日 : 平 成 20 年 8 月 15 日 (3) 現 地 審 査 : 平 成 20 年 8 月 28 日 ~ 平 成 20 年 12 月 28 日 (4)パブリックコメント 公 募 : 平 成 21 年 2 月 10 日 ~2 月 24 日 (5) 報 告 書 審 査 : 期 間 : 平 成 21 年 3 月 5 日 場 所 : 社 団 法 人 日 本 水 産 資 源 保 護 協 会 4. 審 査 結 果 当 該 漁 業 者 の 積 極 的 な 資 源 管 理 活 動 の 取 組 み 及 びその 成 果 は 認 証 に 値 する 漁 業 として 十 分 評 価 され 得 るものとして 判 断 された 今 後 も 年 次 監 査 等 によりこれらの 資 源 管 理 活 動 の 取 組 み 状 況 に 関 する 入 念 な 追 跡 を 行 い 万 一 資 源 状 況 に 大 きな 変 化 があった 場 合 には 再 度 審 査 を 行 う 必 要 があるものと 思 慮 される 5. 審 査 の 目 的 と 評 価 の 考 え 方 我 が 国 の 漁 業 管 理 制 度 によって 資 源 管 理 活 動 を 積 極 的 に 行 っている 漁 業 者 の 取 組 みを 評 価 し 促 進 す ることを 目 的 とし 取 組 みの 達 成 度 を 評 価 対 象 とする 6.ガイドライン 別 評 価 (1) 許 可 の 取 得 漁 業 法 第 10 条 の 規 定 に 基 づいた 青 森 県 知 事 の 免 許 を 取 得 (2) 漁 業 の 概 要 等 十 三 湖 は 青 森 県 北 西 部 日 本 海 に 面 する 湖 で 面 積 18km2 最 大 水 深 2mの 汽 水 湖 である 十 三 湖 には 背 後 の 山 々から 養 分 豊 富 な 河 川 が 流 入 し シジミ 生 息 に 良 好 な 環 境 が 維 持 されている 1
十 三 湖 のシジミ 漁 は 十 三 漁 協 と 車 力 漁 協 の 共 有 漁 業 である 十 三 漁 協 のシジミ 漁 は 105の 経 営 体 ( 車 力 漁 協 は 62の 経 営 体 )で 行 われており 平 成 19 年 度 の 漁 獲 量 は 1,031 t 漁 獲 高 は 897 百 万 円 の 規 模 である 十 三 湖 岩 木 川 日 本 海 十 三 湖 漁 協 十 三 漁 協 におけるシジミ 漁 経 営 体 は 昭 和 38 年 以 降 105 経 営 体 を 維 持 継 続 している また 漁 獲 量 は 平 成 15 年 以 降 概 ね 年 間 1,000トン 前 後 漁 獲 高 は1,000~800 百 万 円 で 安 定 して 推 移 している 漁 獲 の 方 法 :ジョレン 曳 き( 動 力 船 及 び 人 力 )による( 禁 漁 期 間 及 び 冬 季 間 は 蓄 養 シジミ の 人 力 採 取 ) ジョレン 動 力 船 によるジョレン 曳 き( 船 曳 き) 2
人力によるジョレン曳き 腰曳き 3 資源管理体制 組織 本魚種は TAC および TAE 制度の対象魚種ではないが 自主的に資源管理に努めている 十三 車力内水面漁場管理委員会を組織し 禁漁区 禁漁期 日ごとの漁獲量の制限 漁具の 制限 機関馬力の制限等 操業の取り決めを行っている 4 資源管理措置と方策及び効果 ①漁獲目標の設定と漁獲量の規制 青森県が実施した資源量調査結果と 過去の漁獲量の推移を勘案して 十三 車力内水面漁場 管理委員会が操業時間 漁具漁法の制限 1隻1日140kg の漁獲制限を設定している 過去の標本船調査データをもとにした CPUE と 毎月1回の試験操業から資源量を予測し 持 続可能な漁獲目標を毎年設定し 概ね 1,000 トン 漁業を行っている 十三湖のシジミの現存量は 4,800 トン 平成 14 年 の状況から 平成 15 年の 6,800 トン 平成 16 年の 12,700 トンと順調に回復してきており 平成 19 年には 8,770 トンとなっている 昭和 58 年に成貝の大量へい死があり 昭和 59 年以降 1 日あたりの漁獲制限や操業時間 休漁 日の設定を行い漁獲量が回復した また平成 10 年以降は 漁具の制限 機関馬力の制限も行 い さらに資源量に見合った漁獲量を設定する事で十三湖のシジミ資源は安定した状態にある 1996 年 2007 年 十三湖シジミ漁獲量の推移 3 各漁協業務報告書
②休漁期 休漁区 禁漁区の設定 漁場を一般漁場 休漁区 蓄養場と分けており 操業期間は 一般漁場は 4 月上旬から 10 月 中旬 産卵期の 7 8 月は漁をストップする まで 蓄養場は周年 休漁区 シジミ資源に対 する捕獲圧を緩和するとともに 稚貝発生を促して資源の継続的維持するために設定されてい る は 7 月上旬から 8 月中旬までとなっている また 湖内には休漁区とは別に 資源保護のための禁漁区 母貝保護区 が設定されている 参考 禁漁区 50mx50m 休漁区 休漁区 4
④蓄養 シジミの通年出荷による経営安定とシジミ資源の有効活用のため 一日140キロの漁獲制限 の範囲内で漁期に漁獲したシジミ成貝を 各経営体が管理する十三湖内の漁場へ移植 蓄養し 一般漁場の禁漁期及び湖が凍る冬季間などに主として利用している 水揚げして出荷するシジ ミ成貝と蓄養するシジミ成貝の総和は一日140キロの漁獲制限の範囲内に収められている ⑤環境保全 環境保全事業として 地域の漁業者植林 5月 漁場耕運作業 6 7月 湖岸清掃 7月 シジミ移植作業 8月 等も行っている 湖内のヤマトシジミ資源量や環境関連調査としては 平成 14 年度より毎年 4 11 月に青森県 総合研究センター内水面研究所が十三湖内の資源残存量調査を実施している また漁協内に研 究会を組織し 平成 8 年から 4 11 月の間に毎月 3 回 湖内の 16 定点で独自の環境調査 シ ジミの成長や生残に大きな影響を与える水温 塩分 を実施している 国土交通省も十三湖に 注ぐ最大の河川である岩木川及び十三湖周辺の生物 水質 利用状況等について包括的に調査 を行っている 5
(5) 検 査 実 施 体 制 過 去 の 資 源 量 調 査 結 果 及 び 漁 獲 量 の 推 移 から 漁 獲 制 限 を 行 っている 漁 獲 制 限 は 禁 漁 区 の 設 定 漁 期 の 規 制 とともに シジミ 漁 経 営 体 の 制 限 (105 経 営 体 )と1 日 あたりの 漁 獲 量 制 限 (140kg 以 下 )を 設 けている 漁 場 管 理 委 員 会 の 取 り 決 めで 漁 具 (ジョレン カラトーシ フタ 付 き 木 箱 )の 仕 様 は 一 律 統 一 されている また 漁 獲 したシジミは ツメを 噛 ませてフタをする 規 則 となっていて 船 上 か ら 水 揚 げまでの 間 で 異 物 の 混 入 はない 管 理 委 員 会 から 指 名 された 検 認 者 は 違 反 の 有 無 を 検 査 し 違 反 がある 場 合 には 管 理 委 員 会 が 設 けた 罰 則 が 適 用 される 漁 獲 量 に 関 する 操 業 違 反 者 には 110kg 以 下 の 超 過 で 過 怠 金 10 万 円 と 3か 月 の 操 業 停 止 2 10kg 以 上 の 超 過 で 過 怠 金 10 万 円 と 6か 月 の 操 業 停 止 3 操 業 違 反 2 回 で 行 使 権 の 没 収 とい う 罰 則 を 設 けている (6) 水 揚 げ 実 態 漁 獲 量 の 確 認 統 計 の 確 保 十 三 漁 協 では 異 物 混 入 偽 装 防 止 を 目 的 に 平 成 17 年 10 月 より 全 国 に 先 駆 けトレーサビリテ ィシステムを 導 入 している 漁 獲 量 の 管 理 は 全 量 漁 協 にて 台 帳 管 理 をしている また トレーサビリティシステムの 導 入 により 生 産 者 別 の 落 札 情 報 が データーサーバーに 記 録 されている 特 定 の 販 売 店 に 運 ばれるシジミについては 仲 卸 業 者 から 小 売 店 に 運 ばれる 流 通 ルートにおい てもネットが 開 けられることなく 店 頭 に 並 べられる (7) 資 源 管 理 体 制 ( 体 制 )の 内 容 公 表 十 三 漁 協 の HP 及 びパンフレットにて 公 表 されている 資 源 管 理 に 関 する 調 査 分 析 結 果 は 年 1 回 シジミ 一 斉 調 査 報 告 会 を 開 催 し すべての 漁 業 関 係 者 に 公 表 されるとともに 発 表 内 容 も 過 去 5ヵ 年 分 以 上 事 務 所 内 に 保 管 されている 漁 獲 成 績 については 通 常 総 会 業 務 報 告 書 内 に 記 載 され 毎 年 公 表 される これらは 過 去 5ヵ 年 以 上 事 務 所 内 に 保 管 されている (8) 関 係 者 への 啓 発 普 及 十 三 車 力 内 水 面 漁 場 管 理 委 員 会 十 三 漁 業 研 究 会 等 を 組 織 し 資 源 管 理 に 関 する 周 知 徹 底 を 行 っている (9) 生 態 学 的 研 究 の 実 施 過 去 の 調 査 データをもとにした 漁 獲 量 における 体 長 組 成 年 齢 組 成 から 資 源 動 向 を 把 握 して いる ヤマトシジミは 日 本 産 シジミの 99%を 占 め 生 息 場 所 は 概 ね 4m 以 浅 の 汽 水 域 である 産 卵 期 は 夏 で 産 卵 後 すぐに 水 中 でオスの 出 した 精 子 と 受 精 する 受 精 したヤマトシジミの 卵 は や がて 幼 生 となり 水 中 を 漂 い 1 週 間 ほどで 稚 貝 となり 着 底 する 着 底 した 稚 貝 はプランクトン などを 餌 に 成 長 し 概 ね 生 後 1 年 で 殻 長 5mm 生 後 2 年 で 殻 長 10mmm 生 後 3 年 で 殻 長 15mm 生 後 4 年 で 殻 長 18mm 程 度 に 成 長 すると 言 われている 6
(10) 無 用 な 漁 獲 の 実 態 軽 減 回 避 十 三 湖 内 には ヤマトシジミのほかウグイ ボラ ハゼが 生 息 している 操 業 にあたっては 目 合 4 分 のジョレン 曳 きで 行 っており シジミ 以 外 の 漁 獲 はない 商 品 サイズ 以 下 のシジミを 漁 獲 した 場 合 には その 場 で 湖 内 に 放 流 している 漁 場 選 択 に 当 たっては 休 漁 区 を 設 け 資 源 保 護 に 努 めている 十 三 湖 内 には 絶 滅 危 惧 種 等 の 生 息 は 確 認 されていない 7