平 成 25 年 7 月 31 日 京 都 市 立 堀 川 高 等 学 校 飯 澤 功 育 成 すべき 資 質 能 力 を 踏 まえた 教 育 目 標 内 容 と 評 価 の 在 り 方 に 関 する 検 討 会 ( 第 7 回 ) 資 料 課 題 探 究 型 学 習 でつけたい 力 とついた 力 資 料 3 1. 堀 川 高 校 における 課 題 探 究 型 学 習 とはどんなものか? 1.1 探 究 基 礎 本 校 では 情 報 あるいは 専 門 科 目,ならびに 総 合 的 な 学 習 の 時 間 として 探 究 基 礎 を 設 置 している 探 究 基 礎 は 社 会 と 情 報,あるいはそれを 代 替 する 専 門 科 目 探 究 基 礎 Ⅰα (2 単 位 :1 年 次 )と, 総 合 的 な 学 習 の 時 間 である 探 究 基 礎 Ⅰβ (2 単 位 :1 年 次 ), 探 究 基 礎 Ⅱ (2 単 位 :2 年 次 )よりなる 探 究 基 礎 では, 本 校 の 教 育 目 標 の 一 つである 探 究 の 育 成 のため, 自 ら 設 定 した 課 題 に 基 づいて 研 究 をすすめ,その 成 果 をポスター 発 表 形 式 で 公 開 発 表 するとともに, 論 文 にまとめ る 活 動 をおこなっている 本 校 では, 探 究 科 目 を 3 段 階 に 分 け, 探 究 基 礎 Ⅰαを HOP, 探 究 基 礎 Ⅰβを STEP, 探 究 基 礎 Ⅱを JUMP と 呼 称 し, 情 報 取 得 の 基 礎 学 習 から 問 題 解 決 の 体 験 を 経 て 論 文 作 成 にいたる 取 組 をすすめる 学 年 学 期 ( 別 称 ) 1 年 前 期 (HOP) 1 年 後 期 (STEP) 2 年 前 期 (JUMP) 科 目 名 ( 時 間 数 ) 普 通 科 社 会 と 情 報 探 究 基 礎 Ⅰ ( 後 期 2 時 間 分 ) 探 究 基 礎 Ⅱ 探 究 学 科 群 探 究 基 礎 Ⅰα 探 究 基 礎 Ⅰβ ( 後 期 2 時 間 分 ) 位 置 づけと 目 標 探 究 準 備 期 間 探 究 の 型 を 学 ぶ= 探 究 の 具 体 的 方 法 を 学 ぶ 前 に,どの 分 野 を 探 究 する 上 でも 必 要 な 探 究 探 究 体 験 期 間 探 究 の 術 を 身 につける= 学 問 分 野 ごとに 整 備 さ れている 具 体 的 な 調 査 技 法 ( 実 験 フィールド 探 究 実 践 期 間 探 究 の 道 を 知 る= 実 際 に 探 究 活 動 をすす めることで, 普 遍 的 な 探 究 能 力 を 高 める の 進 め 方 や, 表 現 の 仕 方 を 学 ぶ ワーク 資 料 の 見 方 な ど)を 学 ぶ 授 業 の 形 式 同 一 時 間 帯 に 2 ク ラスが 授 業 HR クラス 単 位 2 クラ ス 同 時 進 行 あるいは, クラスの 半 数 4 講 座 少 人 数 講 座 (ゼミ)での 授 業 ゼミ 生 徒 数 10 人 程 度 少 人 数 講 座 (ゼミ)での 授 業 ゼミ 生 徒 数 10 人 程 度 同 時 進 行 普 通 科 8 講 座, 探 究 学 科 群 9 講 座 授 業 担 当 者 国 語 科 英 語 科 数 学 科 情 報 科 から 各 1 名 ゼミを 担 当 する 教 科 か ら 1~2 名 ゼミ 毎 に TA 1 名 ゼミを 担 当 する 教 科 か ら2 名 ゼミ 毎 にTA 1~2 名
1.2 HOP 探 究 の 型 を 学 ぶ HOP は, 探 究 の 型 を 学 ぶ 期 間 である この 期 間 では, 自 分 自 身 で 設 定 したテーマを 自 分 で 探 究 する 活 動 の 前 に,どの 分 野 を 探 究 する 上 でも 必 要 な 探 究 の 進 め 方 や, 表 現 の 仕 方 を 学 ぶこと を 目 標 としている ここでは, 探 究 活 動 の 進 め 方 や, 論 文 の 形 式 書 き 方, 情 報 収 集 の 方 法 を 説 明 した 後, 論 文 作 成 の 実 習 をおこなう 1.3 STEP 探 究 の 術 を 身 につける STEP 以 降 では 問 題 発 見 解 決 能 力 及 び 事 実 記 述 他 者 の 主 張 を 多 面 的 批 判 的 に 検 討 し, 論 理 的 に 考 察 の 育 成 を 目 指 している そのために, 専 門 分 野 ごとに 少 人 数 講 座 (ゼ ミ)に 分 かれて, 生 徒 それぞれの 課 題 発 見 と 解 決 をおこなう STEPでは, 人 文 社 会, 国 際 文 化, 言 語 文 学, 物 理, 化 学, 生 物 学, 地 学, 数 学, 情 報 科 学 のゼミに 分 かれ 探 究 活 動 をおこなう 次 年 度 の JUMPでの 個 人 研 究 に 向 け, 講 義 実 習 を 通 じて, 探 究 課 題 の 設 定, 問 題 の 発 見 解 決, 疑 問 の 提 示, 意 見 表 明 のしかたを 含 めた 探 究 プロセスを 体 験 習 得 する 文 系 ゼミでは 輪 読 会 及 び 文 献 調 査 のしかたを 学 び, 要 旨 書 評 を 作 成 する 理 数 系 ゼミは 原 則 2 回 の 実 験 をおこない, 測 定 技 術, 及 びレポート 作 成 の 方 法 を 習 得 する こうした 活 動 をもとに, JUMPでの 論 文 作 成 のための 課 題 設 定 面 談 をおこない, 春 休 み 中 に 研 究 計 画 書 を 作 成 する 1.4 JUMP 探 究 の 道 を 知 る JUMPでは, 最 終 目 標 である 論 文 作 成 に 向 け,HOP STEP での 学 習 内 容 を 踏 まえ, 実 際 に 探 究 活 動 をおこなう 1 年 次 に 所 属 した 人 文 社 会, 国 際 文 化, 言 語 文 学, 物 理, 化 学, 生 物 学, 地 学, 数 学, 情 報 科 学 のゼミのまま 活 動 をおこなう まず, 前 年 度 の STEPの 最 後 にまとめた 研 究 計 画 書 をもとに,あらためて 論 文 作 成 に 向 けた 生 徒 それぞれの 探 究 活 動 計 画 を 作 成 し,それ をゼミ 内 の 中 間 発 表 会 で 交 流 する その 後, 教 員 の 指 導 のもと, 実 験 調 査 活 動 をおこなう ゼミ 内 でポスターなどを 用 いて 発 表 会 をおこない, 教 員 TA よりアドバイスや 批 判 を 受 けそれ を 反 映 する その 後,ポスター 発 表 会 で 再 度 教 員 や 外 部 の 見 学 者 からアドバイスや 批 判 を 受 ける それらの 内 容 をふまえて 論 文 の 手 直 しも 必 要 に 応 じておこない, 最 終 提 出 をおこなう 1.5 探 究 五 箇 条 探 究 活 動 をすすめるにあたり, 心 に 留 めておくべき 事 柄 を 探 究 五 箇 条 としてまとめている 知 らないということを 知 れ 常 識 を 学 べ 常 識 を 疑 え 手 と 頭 を 動 かせ 朋 と 愉 しめ
2. 探 究 基 礎 でつけたい 力 とは 2.1 普 遍 的 な 探 究 能 力 態 度 自 分 が 知 りたい, 解 決 したい 問 い の 答 えに 近 づける 力 どうしたらいいかわからないことをどうにか 新 たなことを 見 つける 創 造 することを 喜 べる 力 わからないことに 耐 える 力 具 体 的 な 探 究 活 動 を 経 験 させることで 勘 (?)を 身 につけさせる 過 去 の 探 究 の 過 程 を 学 ばせる お 手 本 を 見 せる 一 緒 にやる 2.2 仕 事 をする 上 で 必 要 となる 力 探 究 活 動 の 過 程 PDCAサイクル 自 分 自 身 の 一 般 的 な 学 習 計 画 を 立 てる 能 力 に 直 結 Plan 締 め 切 りまでに 目 標 を 達 成 するための 方 策 や 計 画 をたてる 力 = 課 題 の 具 体 化 Do 計 画 にしたがい 地 道 なところから 作 業 を 積 み 上 げていく 力 Check その 方 策 が 有 効 に 機 能 し 目 標 の 達 成 に 近 づいているかどうかを 実 証 的 なデータ を 用 いてチェック =メタ 認 知 Action 必 要 に 応 じて 計 画 を 修 正 し, 対 応 自 分 の 意 見 アイディア 事 実 を 文 章 にまとめる 力 ( 具 申 書 企 画 書 報 告 書 ) 説 得 力 のある 主 張 を 組 み 立 て 表 現 ( 論 理 性 修 辞 ) 意 思 疎 通 を 図 る 力 コミュニケーション 能 力 (プレゼンテーション 会 議 議 論 ブレイン ストーミング) 具 体 的 な 探 究 活 動 を 体 験 させながら,その 局 面 において 指 導 研 修 旅 行 HR 活 動 生 徒 会 活 動 教 科 学 習 進 路 などの 領 域 を 超 えた 経 験 を 積 ませること で, 一 般 化 させる 2.3 学 習 内 容 定 着 学 習 意 義 の 理 解 学 習 の 仕 方 の 理 解 実 用 による 教 科 の 学 習 内 容 の 定 着 ( 数 学 を 実 際 に 使 う) 学 習 内 容 の 有 用 性 ( 数 学 が 道 具 としてつかえるんだ )の 理 解 目 標 達 成 に 必 要 なことを, 自 分 で 学 びとる 力 自 分 の 目 的 に 応 じて 調 べる 力 ( この 関 数 は 積 分 できるんだろうか? ) 学 習 してきた 学 習 している 内 容 を, 自 分 自 身 の 目 標 達 成 のために 直 接 用 いることができる 経 験 から 実 感 させる 新 たなことをさせ, 自 分 で 習 得 させる
学 校 の 教 育 目 標 校 訓 立 志 勉 励 自 主 友 愛 の 精 神 を 教 育 活 動 において 具 体 化 するべく 努 める 人 類 の 幸 福 と 社 会 の 進 歩 に 貢 献 と 将 来 の 目 標 と 展 望 を 明 確 に 示 す 力 を 備 えた 指 導 力 あ る 人 材 の 育 成 をめざす 変 化 と 多 様 化 の 時 代 の 中 で 主 体 的 に 生 きる 個 の 確 立 を 促 し 未 来 を 切 り 拓 くたくましい 創 造 力 と 豊 かな 人 間 性 を 育 む 教 育 の 展 開 を 図 る + 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 目 標 ( 学 習 指 導 要 領 より) 横 断 的 総 合 的 な 学 習 や 探 究 的 な 学 習 を 通 して, 自 ら 課 題 を 見 付 け, 自 ら 学 び, 自 ら 考 え, 主 体 的 に 判 断 し,よりよく 問 題 を 解 決 する 資 質 や 能 力 を 育 成 するとともに, 学 び 方 やものの 考 え 方 を 身 に 付 け, 問 題 の 解 決 や 探 究 活 動 に 主 体 的, 創 造 的, 協 同 的 に 取 り 組 む 態 度 を 育 て, 自 己 の 在 り 方 生 き 方 を 考 えることができるようにする 学 校 において 定 める 総 合 的 な 学 習 の 時 間 の 目 標 探 究 的 な 活 動 を 通 して, 自 ら 問 題 を 発 見 し,よりよく 解 決 するための 資 質 や 能 力 を 育 成 する ま た, 事 実 の 記 述 や 他 者 の 主 張 を 多 面 的 批 判 的 に 検 討 し, 根 拠 や 理 由 から 論 理 的 に 答 えを 導 くと いった 学 び 方 考 え 方 の 基 礎 を 身 に 付 け, 経 験 や 考 え 方 が 異 なる 他 者 との 対 話 を 重 視 する 態 度 を 育 て, 身 につけた 資 質 能 力 を 自 己 の 在 り 方 生 き 方 に 活 かしていけるようにする 総 合 的 な 学 習 の 時 間 において 育 てようとする 資 質 や 能 力 及 び 態 度 1 問 題 を 発 見 し, 解 決 するための 技 能 を 修 得 させる 1.1 漠 然 とした 問 い を 答 えが 導 ける 問 い にする 方 法 を 学 ばせる 課 題 の 具 体 化 1.2 様 々な 方 法 で 問 題 解 決 の 糸 口 を 探 る 方 法 を 学 ばせる 2 事 実 の 記 述 や 主 張 を 多 面 的 批 判 的 に 検 討 できるようにする 2.1 事 実 に 基 づいた 情 報 の 見 方 と,それを 受 けとる 方 法 を 学 ばせる 2.2 意 見 と 事 実 を 区 別 して 考 える 重 要 性 を 学 ばせる 3 根 拠 や 理 由 から 答 えを 導 くための 論 理 性 を 学 ばせる 3.1 論 理 的 な 主 張 の 組 み 立 て 方 を 学 ばせる 3.2 具 体 的 な 根 拠 を 提 示 して 主 張 する 重 要 性 を 学 ばせる 4 対 話 の 有 効 性 に 気 づかせる 4.1 文 章 や 議 論, 発 表 などを 通 じて 自 分 の 主 張 を 相 手 に 効 果 的 に 表 現 する 方 法 を 学 ばせる 4.2 相 互 評 価 議 論 質 問 によって 互 いの 主 張 の 説 得 力 を 高 める 方 法 を 学 ばせる 4.3 経 験 や 考 え 方 が 異 なるといった 背 景 を 超 えて 意 思 疎 通 を 図 ろうとする 態 度 を 身 につけさ せる 5 自 分 自 身 が 経 験 したことや 身 につけた 力 を 振 り 返 り, 自 覚 できるようにさせる 5.1 現 状 と 目 標 との 違 いを 客 観 的 に 認 識 しようとする 態 度 を 身 につけさせる メタ 認 知 5.2 具 体 的 な 活 動 や 経 験 から, 今 後 に 活 かすことのできる 指 針 を 導 きだそうとする 態 度 を 身 につけさせる 一 般 化
3. 探 究 基 礎 でついた 力 とは 3.1 どう 評 価 しているか? 観 点 要 素 定 義 評 価 の 材 料 知 識 を 得 ることで 満 足 を 得 るのではなく 探 究 活 動 そのものを 楽 しいと 思 える 力 主 体 性 興 味 関 心 を 自 分 の 意 志 によって 物 事 に 取 り 組 もうと 思 え 全 期 間 を 通 した 観 察 もつ 力 る 力 実 行 力 知 りたい という 気 持 ちから 行 動 を 起 こす 力 目 的 を 設 定 し 確 実 に 行 動 全 期 間 を 通 した 観 察 各 レポートにおける 考 察 や 課 題 発 見 力 課 題 を 設 定 計 画 力 実 験 調 査 課 題 を 解 決 遂 行 力 対 話 力 他 者 に 表 現 発 信 力 現 状 を 分 析 し 目 的 や 課 題 を 明 らかに 結 論 における 今 後 の 課 題 STEP 最 後 の 課 題 設 定 課 題 の 解 決 に 向 けたプロセスを 明 らかにし 準 各 レポートに 向 けた 取 組 の 備 観 察 文 献 調 査 実 験 技 法 につい 現 状 を 正 しく 認 識 するための 情 報 収 集 や 分 ての 習 得 度 の 観 察 析 レポートの 手 法 相 手 の 意 見 を 丁 寧 に 聴 く 力 講 義 説 明 時 の 聞 き 方 の 観 察 意 見 の 違 いや 立 場 の 違 いを 理 解 議 論 発 表 時 の 質 問 の 観 察 自 分 の 考 えをわかりやすく 伝 える 力 レポート 事 実 と 意 見 を 区 別 して 伝 える 力 発 表 資 料 (レジュメ) 3.2 それ 以 外 の 観 点 ではどのように 評 価 しているか? 探 究 基 礎 活 動 録 生 徒 に 課 題 研 究 をさせている SSH 校 では, 生 徒 の 成 果 をまとめた 論 文 集 を 作 成 していることが 多 い 本 校 でも 過 去 の 指 定 期 間 中 に, 後 輩 の 参 考 になるよう 生 徒 の 論 文 集 を 作 成 した ただし, この 論 文 集 は, 論 文 を 書 く 際 の 参 考 にはなっても, 探 究 活 動 のすすめ 方 そのものの 参 考 にはなら ない なぜならば, 論 文 は 研 究 成 果 を 説 明 する 上 で 必 要 十 分 な 記 述 をするものであり, 生 徒 にも そのように 指 導 しているからである 探 究 活 動 をすすめた 中 で, 自 分 がどのような 困 難 に 直 面 し たか,その 困 難 をどのように 乗 り 越 えたか,といった 生 々しい 探 究 の 紆 余 曲 折 や,それらから 何 を 学 びとったかというメタ 認 知 の 過 程 は, 論 文 には 残 らない そこで, 平 成 22 年 度 以 降, 生 徒 が 探 究 活 動 をどのようにすすめたかを 把 握 することで, 指 導 がどのように 受 け 止 められ ているのかを 教 員 が 認 識 し, 今 後 の 指 導 法 開 発 に 役 立 たせること 次 年 度 以 降 に 探 究 活 動 を 行 う 生 徒 教 員 の 参 照 資 料 とすること を 目 的 として, 生 徒 の 視 点 から 探 究 活 動 の 経 過 を 記 述 させた 体 験 記 集 を 作 成 した