審 判 法 実 施 上 の 留 意 点 平 成 19 年 全 日 本 剣 道 連 盟 後 援 秋 田 県 剣 道 講 習 会 ( 審 判 法 )2007.07.01. 資 料 於 秋 田 県 立 武 道 館 大 道 場 講 演 剣 道 範 士 藤 井 稔 講 習 剣 道 範 士 長 尾 英 宏 講 習 補 助 剣 道 範 士 目 黒 大 作 剣 道 教 士 八 段 田 口 昇 配 布 資 料 1. 1. 審 判 法 とは 何 か 適 正 公 平 違 法 不 当 2. 目 的 と 任 務 3. 審 判 員 の 心 得 審 判 員 の 一 般 的 要 件 留 意 事 項 4. 審 判 法 講 習 における 留 意 事 項 (1) 試 合 内 容 を 正 しく 判 定 する 審 判 の 目 的 審 判 員 の 任 務 有 効 打 突 の 判 定 に 間 違 いがないこと 決 して 勝 者 を 敗 者 にしないこと 独 自 性 に 陥 らない 客 観 性 のある 審 判 (2) 有 効 打 突 を 正 しく 見 極 める 能 力 を 養 う 有 効 打 突 の 条 件 と 諸 要 素 の 理 解 技 の 違 いと 錬 度 に 応 じた 打 突 の 見 極 め (3) 禁 止 行 為 の 厳 正 な 判 断 と 処 置 をする 行 為 の 原 因 と 結 果 の 正 しい 見 極 め 禁 止 行 為 に 対 する 適 正 な 処 置 (4) 審 判 員 の 位 置 取 りと 対 応 の 仕 方 基 本 原 則 例 外 的 な 現 象 その 他 (5) 見 落 としやすい 有 効 打 突 1~8 5. 当 面 の 問 題 点
審 判 法 の 講 習 に 先 立 って 講 師 剣 道 範 士 藤 井 稔 ( 北 海 道 大 学 師 範 ) 剣 道 の 性 格 とは 最 近 の 全 日 本 選 手 権 世 界 剣 道 大 会 全 国 高 校 生 大 会 を 見 て 感 じたこと 競 技 性 伝 統 性 闘 争 性 について 1. 競 技 性 に 強 くただ 勝 てば 良 いという 勝 利 至 上 主 義 はいけない 2. 強 いチームを 作 る 指 導 者 が 偉 いのか? そうではない 3. 礼 法 の 欠 如 提 刀 から 帯 刀 礼 のポイントを 確 認 すること 4. 無 駄 打 ちが 多 い 打 つべき 時 に 打 ち 打 たない 時 は 打 たない 5. 年 齢 に 合 った たとえば 高 齢 者 では 枯 れた 剣 道 を 若 い 人 の 見 本 になる 指 導 者 であるべき 6. 攻 めて 隙 を 作 り 身 を 捨 てて 打 ち 込 む 7. 姿 勢 を 崩 した 身 所 隠 しの 姿 勢 8. ごまかしの 打 突 鍔 迫 り 合 いからの 引 き 技 に 見 る 剣 道 の 本 質 では 無 い 技 9. 主 審 の 開 始 宣 告 と 同 時 に 鍔 迫 り 合 いに これは 反 則 10. 剣 道 では 正 しい 打 ちを 一 本 とする 柔 道 では 一 本 以 外 に 有 効 や 技 あり の 判 定 あり 11. 剣 道 の 打 ちは 4 方 向 ( 正 面 右 斜 め 左 斜 め 突 き) 武 士 道 日 本 刀 の 刃 筋 は 9 方 向 ( 正 面 上 正 面 下 右 斜 め 右 斜 め 下 から 上 左 斜 め 左 斜 め 下 から 上 水 平 右 水 平 左 突 き) 12. 見 苦 しい 打 突 を 一 本 にしてはならない 見 苦 しい 勝 ちより 清 く 負 けるが 良 い 13. 剣 道 の 真 の 敵 は 実 は 自 分 自 身 指 導 者 は 上 記 の 精 神 を 指 導 しなければならない
審 判 法 実 施 上 の 留 意 点 の 解 説 ( 講 演 ) 配 布 資 料 1.に 指 導 者 向 けアドバイスを 加 えたもの 講 師 範 士 藤 井 稔 1. 審 判 法 とは 何 か 適 正 = 適 法 なこと 公 平 片 寄 りのないこと 違 法 規 則 上 の 禁 止 行 為 審 判 規 則 15-17 条 を 何 回 もきちんと 取 ること 不 当 2. 目 的 と 任 務 目 的 は 正 確 な 審 判 法 任 務 は 試 合 の 円 滑 な 運 営 = 声 が 聞 こえない 様 ではだめ 3. 審 判 員 の 心 得 審 判 員 の 一 般 的 要 件 は 公 平 無 私 であること 自 分 のチームの 審 判 は 遠 慮 する 規 則 をマスターすること 竹 刀 の 方 向 を 見 極 める 審 判 法 に 精 通 する 健 康 体 であること 留 意 事 項 服 装 を 端 正 に 控 えの 椅 子 でも 腕 組 みや 足 組 みをしない 審 判 経 験 を 出 来 るだけ 多 く 積 むこと 良 い 審 判 を 見 習 うこと 4. 審 判 法 講 習 における 留 意 事 項 (1) 試 合 内 容 を 正 しく 判 定 する 審 判 の 目 的 正 確 な 審 判 法 審 判 員 の 任 務 試 合 の 円 滑 な 運 営 = 声 が 聞 こえない 様 ではだめ 有 効 打 突 の 判 定 に 間 違 いがないこと 1しのぎでは 打 たない 2 面 と 胴 は 強 く 打 つこと 小 手 はタイミングと 手 の 内 で 決 して 勝 者 を 敗 者 にしないこと 独 自 性 に 陥 らない 客 観 性 のある 審 判 に 努 めること (2) 有 効 打 突 を 正 しく 見 極 める 能 力 を 養 う 有 効 打 突 の 条 件 と 諸 要 素 の 理 解 : 試 合 審 判 規 則 12 条 の 規 定 = 気 勢 姿 勢 残 心 技 の 違 いと 錬 度 に 応 じた 打 突 の 見 極 め : 技 の 錬 度 全 日 本 戦 の 見 事 な 返 し 胴 面 と 胴 は 強 く 打 つ= 骨 を 切 る 小 学 生 や 女 性 と 成 人 男 子 は 同 じではない 突 きと 小 手 は 手 の 内 (タイミングなど)で 判 断 する 軽 くても 良 い (3) 禁 止 行 為 の 厳 正 な 判 断 と 処 置 をする
行 為 の 原 因 と 結 果 の 正 しい 見 極 め : 迷 ったら 合 議 をかける 禁 止 行 為 に 対 する 適 正 な 処 置 : 迷 ったら 合 議 をかける (4) 審 判 員 の 位 置 取 りと 対 応 の 仕 方 基 本 原 則 : 主 審 のみが 有 効 打 突 としたとき 副 審 に 表 示 が 無 ければ 止 めをか けて 合 議 すること 例 外 的 な 現 象 : 原 因 と 結 果 について 原 点 に 戻 ること その 他 : 審 判 旗 の 取 り 扱 いについて 移 動 する 時 は 右 手 に 合 わせ 持 って 節 度 ある 移 動 を 有 効 打 突 の 表 示 では 45 度 より 少 し 上 で 少 し 内 側 に 捻 ると 良 い (5) 見 落 としやすい 有 効 打 突 1~8 解 説 なし 実 技 で 5. 当 面 の 問 題 点 場 外 反 則 は 足 や 竹 刀 が 完 全 に 外 の 床 に 出 た 時 一 部 でも 足 がラインに 接 していれば OK 倒 れた 時 は 体 の 一 部 が 場 外 に 出 た 時
審 判 法 実 技 講 習 第 3 会 場 第 3 種 公 認 審 判 員 の 部 指 導 : 田 口 昇 教 士 八 段 1. 合 議 の 掛 け 方 : 主 審 の 合 議 止 め- 合 議 副 審 の 合 議 止 め 主 審 に 伝 え 主 審 が 合 議 を 宣 告 2. 位 置 取 り: 左 肩 越 しに 見 る 方 法 & 右 肩 越 しに 見 る 方 法 3. 二 等 辺 三 角 形 の 作 り 方 : 開 始 時 副 審 の 移 動 は 開 始 線 の 内 側 を 通 る 審 判 中 の 移 動 は 直 線 的 に 切 り 込 むこと 4. 審 判 に 関 する 通 達 : 1 片 側 に 審 判 が 偏 った 場 合 には 止 めをかけて 元 へ 戻 す 2 開 始 終 了 時 の 副 審 の 移 動 は 開 始 線 の 内 側 で 3 負 傷 者 が 出 た 場 合 には その 場 の 判 断 で 負 傷 者 救 済 の 処 置 を 行 う 4 二 刀 の 場 合 小 刀 での 有 効 打 突 は 太 刀 で 相 手 の 竹 刀 を 押 さえた 場 合 に 認 める 鍔 迫 り 合 いからの 小 刀 による 打 ちは 有 効 打 突 にならない 5 体 当 たりの 後 で 打 ちに 変 わる 技 は 反 則 か? 6 薬 物 の 使 用 と 保 持 については 世 界 大 会 のルールでも 定 義 された 5. 実 際 の 審 判 受 講 者 は 三 人 一 組 となり 各 自 主 審 一 回 副 審 二 回 を 行 った 競 技 者 は 秋 田 南 ( 男 子 ) 明 桜 ( 男 女 ) 秋 田 北 ( 女 子 ) 秋 田 ( 男 子 )の 国 体 強 化 選 手 など 田 口 教 士 八 段 が 随 時 試 合 を 止 めて アドバイスした 以 下 は 同 会 場 の 受 講 者 への 現 場 でのアドバイス 1 副 審 は 主 審 が 動 きやすい( 位 置 取 りをし 易 い) 様 に 方 向 を 考 えて 動 く 必 要 がある 2 試 合 者 が 遠 間 に 居 る 時 に 動 く 近 間 の 時 は 位 置 を 保 持 する 3 必 要 に 応 じて 試 合 者 に 近 づいても 良 い 5~6mくらい 4 よく 見 える 位 置 取 りをする 主 審 が 中 心 だが 他 の 審 判 の 位 置 も 頭 に 入 れる 5 面 と 胴 は 強 く 打 つ 小 手 と 突 きは タイミングが 良 ければ 有 効 打 突 とする 6 審 判 の 移 動 は 直 線 的 に 動 く 弧 を 描 かないこと 7 旗 の 柄 頭 は 手 中 に 納 める 示 指 を 付 けて 真 下 に 向 ける 上 げる 時 は 真 横 方 向 45 度 に 上 げるが これも 弧 を 描 かずに 最 短 距 離 で 直 線 的 に 上 げ 下 げする こと
旗 を 持 って 歩 く 時 は あまり 振 らない 様 にする 旗 の 巻 き 方 は 白 を 内 側 に 丁 寧 に 巻 く 立 て 巻 きでも 横 巻 でも 良 い 8 審 判 の 位 置 は 通 常 はラインの 内 だが 必 要 に 応 じてライン 外 でも 可 ただし 出 来 るだけ 近 くに 位 置 すること 9 引 き 面 では 下 がり 方 に 勢 いがあれば 有 効 打 突 にする 10 審 判 の 両 足 の 踵 は 付 ける 11 主 審 と 副 審 による 二 等 辺 三 角 形 の 形 は できるだけ 崩 さない 第 3 会 場 ( 第 3 種 公 認 審 判 員 の 部 )まとめ 指 導 : 田 口 昇 教 士 八 段 1. 反 則 行 為 は 良 く 確 認 する 竹 刀 や 足 の 場 外 は? あっ!??と 思 ったら 止 め 合 議 で 判 断 すること 竹 刀 が 回 った 時 は? 直 すのは 主 審 のみが 可 主 審 がわからない 時 は 副 審 がタイミングを 見 て 止 めの 時 など 主 審 に 伝 える 副 審 は 合 議 を 宣 告 で きないので 押 し 合 いの 時? 危 険 がある 時 は 止 めをかけてよい 2. 全 県 大 会 では 第 3 種 公 認 審 判 員 の 審 判 機 会 は 少 ないが よく 勉 強 して 欲 しい 3. まだ 公 認 審 判 員 を 受 有 しない 方 も 審 査 会 で 今 回 の 講 習 どおりにやれば 必 ず 合 格 できる 4. 審 判 は 大 きな 声 で 判 るように 指 示 する 今 日 は 相 面 ( 実 際 の 相 面 はほと んど 無 い)や 早 い 連 続 技 で 少 し 見 落 としが 有 った
審 判 法 実 技 講 習 の 総 括 指 導 : 長 尾 英 宏 範 士 藤 井 稔 範 士 長 尾 範 士 の 主 審 6 か 条 1. 試 合 の 流 れを 見 極 め 適 正 な 試 合 の 流 れを 作 る 2. 常 に 副 審 の 動 きを 視 野 に 入 れ 主 審 としての 行 動 を 早 めに 取 る 3. 中 止 命 令 判 定 は 主 審 が 行 う 大 声 ではっきりと 判 定 を 宣 告 する 転 倒 や 竹 刀 を 落 とした 時 は 一 拍 置 いてから 止 めとする 状 況 判 断 でタイミングを 決 める 4. 高 校 生 などの 早 い 動 きを 判 定 するには 体 力 が 必 要 なので 体 調 を 整 える ま た 主 審 は 悠 然 と 試 合 を 視 野 に 入 れる 5. 有 効 打 突 の 判 定 合 議 の 判 断 は 主 審 の 力 量 を 問 われる 6. 三 人 の 審 判 の 意 志 疎 通 が 上 手 く 行 かずに 問 題 が 生 じた 時 は 終 了 後 早 めに 修 正 すること 藤 井 範 士 の 総 括 質 問 への 答 え 1. 質 問 1 番 : 神 武 館 三 吉 道 場 根 田 より 竹 刀 が 回 っているのを 主 審 が 気 付 かなかった 時 は? 答 え: 止 めなどの 時 に 副 審 が 主 審 に 知 らせるが 指 導 後 また 回 って 打 突 した 場 合 は 有 効 打 突 としない 質 問 2 番 : 秋 田 北 高 校 教 員 木 浪 より 不 戦 の 選 手 が 不 戦 勝 を 宣 告 される 時 に 検 量 印 の 無 い 竹 刀 で 宣 告 を 受 けた 場 合 は? 答 え: 規 定 外 の 竹 刀 では 無 効 となる 不 正 竹 刀 の 使 用 で 失 格 となるの で 以 後 その 試 合 は 出 場 停 止 となる 質 問 3 番 : 秋 田 南 中 教 員 畠 山 より 中 学 生 では 突 きが 無 いが 下 から 上 に 打 った 小 手 が 有 効 打 突 と 判 定 されたのを 全 国 大 会 で 見 たことがあるが 如 何 か? 答 え: 下 からでは 有 効 打 突 とはならない 上 から45 度 の 胴 は 有 効 打 突 また 竹 刀 を 頭 上 で 剣 先 を 右 下 に 構 えて 打 たせない 姿 勢 を 取 る 者 が 居 るが これを 無 くす 為 にも 逆 胴 は 積 極 的 に 有 効 打 突 とす るべきだ 北 海 道 では 逆 胴 を 有 効 打 突 と 判 定 するので この 防 御 姿 勢 を 取 るものは 居 なくなった
鍔 迫 り 合 いについて: 試 合 審 判 運 営 の 手 引 きにもあるが 鍔 迫 り 合 いの 反 則 を 必 ず 取 ること 概 ね 皆 鍔 迫 り 合 いが 高 すぎる もっと 低 い 位 置 で 行 う ように 指 導 して 欲 しい 2. 国 体 強 化 選 手 の 高 校 生 へ 攻 めは 気 で 攻 め 理 で 打 つの 意 危 険 性 を 感 じた 時 は 攻 めが あった 時 そこへ 打 ち 込 むこと 隙 とは 実 を 避 けて 虚 を 突 くこと すなわち 相 手 の 動 作 の 起 こるところ 居 ついたところ 技 の 尽 きたところ いわゆる 三 つの 許 さぬ 処 に 有 る 3. 好 きな 言 葉 一 源 三 流 元 全 剣 連 会 長 木 村 篤 太 郎 先 生 の 言 葉 国 の 為 に 血 を 流 し 家 族 の 為 に 汗 を 流 し 友 の 為 に 涙 を 流 すこと 無 罣 礙 (むけいが) 関 わりが 無 いこと 勝 ちに 捕 らわれずに 肩 に 力 を 込 めないこと