生 命 保 険 会 社 損 益 状 況 を 見 る 損 益 計 算 書 は 事 業 年 度 経 営 成 績 を 表 すもです こ 章 では まず 生 命 保 険 会 社 損 益 計 算 特 徴 を 説 明 し さらに 主 な 項 目 について どように 損 益 を 計 算 しているかを 解 説 していきます 生 命 保 険 会 社 損 益 計 算 特 徴 を 知 る 生 命 保 険 会 社 損 益 計 算 生 命 保 険 会 社 は ご 契 約 者 から 払 い 込 まれた 保 険 料 を 収 入 し 保 険 金 や 給 金 年 金 を 支 払 い 事 業 費 を 支 出 します また 保 険 料 などを 運 用 して 収 益 を 得 ます 一 般 事 業 会 社 場 合 通 常 は 先 に 材 料 商 品 仕 入 れ 労 働 力 など 資 本 投 下 ( 費 用 )がなされ 製 品 商 品 を 売 り 上 げ て 資 金 を 回 収 ( 収 益 )します 損 益 計 算 書 は こうした 資 金 流 れを 一 定 期 間 に 区 切 り 損 益 発 生 原 因 を 明 らかにして 関 係 者 に 経 営 成 績 を 報 告 するもです 損 益 計 算 を 行 う 場 合 原 則 として そ 期 間 収 益 に 対 し そ 収 益 を 得 るために 要 した 費 用 だけをそ 期 間 費 用 として 認 識 し 差 し 引 いて 利 益 を 計 算 します これを 費 用 収 益 対 応 原 則 といいます ところが 生 命 保 険 商 品 は 10 年 20 年 あるいは 終 身 といっ た 非 常 に 長 期 契 約 期 間 にわたって 保 険 料 収 入 や 保 険 金 給 金 年 金 支 出 が 生 じます したがって ある 1 年 間 に 販 売 した 生 命 保 険 商 品 に 関 する 収 支 ( 契 約 が 終 了 するまで 間 収 支 )は 事 業 年 度 ごと 決 算 で 表 すことはできません 生 命 保 険 会 社 は 生 命 保 険 商 品 を 販 売 することで 皆 さま 死 亡 生 損 益 計 算 書 経 常 損 益 特 別 損 益 科 存 や 健 康 に 関 する 保 障 についてリスクを 受 け 入 れ 管 理 する 事 業 ですが 生 命 保 険 会 社 事 業 年 度 ごと 決 算 ( 損 益 計 算 書 )は 前 述 ような 一 般 事 業 会 社 決 算 と 異 なり そリスク 管 理 結 果 1 年 間 で 予 測 ( 予 定 率 )と 実 績 差 がど 程 度 生 じたか を 表 しているもだといえるでしょう また 生 命 保 険 会 社 損 益 計 算 書 は 一 般 企 業 ように 営 業 損 益 と 営 業 外 損 益 といった 区 分 はなく 保 険 に 係 わる 損 益 と 資 産 運 用 に 関 する 損 益 およびそれ 以 外 経 費 といった 区 分 がなさ れています なお 生 命 保 険 会 社 損 益 計 算 書 には 経 常 損 益 ( 経 常 収 益 経 常 費 用 ) と 特 別 損 益 ( 特 別 利 益 特 別 損 失 ) 株 式 会 社 場 合 は 契 約 者 配 当 準 備 金 繰 入 額 などが 記 載 されており 各 損 益 項 目 については 保 険 料 等 収 入 責 任 準 備 金 等 繰 入 額 など 生 命 保 険 会 社 固 有 もがいくつかあります 目 ( 経 常 収 益 ) 保 険 料 等 収 入 資 産 運 用 収 益 など 保 険 金 等 支 払 金 ( 経 常 費 用 ) 責 任 準 備 金 等 繰 入 額 資 産 運 用 費 用 事 業 費 など 経 常 利 益 特 別 利 益 特 別 損 失 当 期 純 剰 余 ( 当 期 純 利 益 )など 18
生 命 保 険 会 社 損 益 状 況 を 見 る 通 常 事 業 活 動 による 損 益 ( 経 常 損 益 ) 一 般 に 経 常 損 益 とは 通 常 事 業 活 動 で 発 生 した 損 益 得 られる 収 益 です ことです 経 常 損 益 中 には 経 常 収 益 経 常 費 用 これに 対 して 経 常 費 用 主 なもは (1) 保 険 金 年 金 収 益 から 費 用 を 差 し 引 いた 経 常 利 益 が 表 示 されています 給 金 返 戻 金 など 支 払 (2) 責 任 準 備 金 繰 入 額 (3) 支 払 これに 対 して 特 別 損 益 とは 臨 時 に 発 生 する 損 益 や 固 定 利 息 や 有 価 証 券 売 却 損 貸 倒 引 当 金 繰 入 額 など 資 産 運 用 に 資 産 売 却 損 益 ほか 突 発 的 に 発 生 する 利 益 や 損 失 ことを かかった 費 用 (4) 会 社 運 営 ため 費 用 である 事 業 費 です いいます(22 ページ 照 ) 経 常 利 益 とは 経 常 収 益 と 経 常 費 用 差 額 で 1 生 命 保 険 会 社 経 常 収 益 主 なもは (1) 保 険 料 収 入 年 間 事 業 活 動 収 支 結 果 を 表 します 差 額 がマイナス 場 合 (2) 利 息 配 当 金 や 有 価 証 券 売 却 益 など 資 産 運 用 によって には 経 常 損 失 となります 生 命 保 険 契 約 に 直 接 関 係 する 収 支 保 険 料 等 収 入 (7 ページ 照 ) ディスクロージャー 誌 では 個 人 保 険 個 人 年 金 保 険 団 体 保 険 団 体 年 金 保 険 区 分 ごと 明 細 表 ( 保 険 料 明 細 表 )があ ります こうした 区 分 ごと 増 減 などによって 会 社 業 績 分 析 ができます 保 険 金 等 支 払 金 保 険 金 等 支 払 金 は 保 険 金 年 金 給 金 解 約 返 戻 金 およ びそ 他 返 戻 金 ( 契 約 無 効 取 消 解 除 などによる 返 戻 金 共 同 引 受 け 団 体 年 金 でシェア 減 少 による 払 出 しなど)など 保 険 契 約 上 支 払 金 が 計 上 されます ディスクロージャー 誌 では 保 険 金 年 金 給 金 解 約 返 戻 金 それぞれについて 明 細 表 があり 詳 細 な 分 析 ができます 保 険 金 は 被 保 険 者 が 死 亡 高 度 障 害 時 または 満 期 まで 生 存 した 時 に 生 命 保 険 会 社 から 受 取 人 に 支 払 われるお 金 こと です 年 金 とは 保 険 料 を 積 み 立 てることで 契 約 時 に 定 めた 一 定 年 齢 から 受 け 取 れるお 金 ことで 年 金 を 受 け 取 る 期 間 によっ て 終 身 年 金 確 定 年 金 有 期 年 金 など 種 類 があります 給 金 は 被 保 険 者 が 入 院 した 時 手 術 をした 時 などに 生 命 保 険 会 社 から 受 取 人 に 支 払 われるお 金 ことです 解 約 返 戻 金 とは 保 険 契 約 が 解 約 された 場 合 などに 保 険 契 約 者 に 払 い 戻 すお 金 ことです なお 平 成 27 年 度 保 険 金 支 払 総 額 は 12 兆 1248 億 円 年 金 支 払 総 額 は 4 兆 8597 億 円 給 金 支 払 総 額 は 4 兆 965 億 円 となっています 責 任 準 備 金 繰 入 額 ( 戻 入 額 ) 責 任 準 備 金 (16 ページ 照 ) 積 み 立 ては 日 常 的 には 計 算 されず 決 算 処 理 において 決 算 日 時 点 で 適 切 な 必 要 積 立 額 が 計 算 されます( 生 命 保 険 会 社 会 計 において 責 任 準 備 金 処 理 が 大 きなウェイトを 占 めていることは 大 きな 特 徴 ひとつ です) こ 金 額 が 前 年 度 責 任 準 備 金 額 より 大 きければ そ 額 を 経 常 費 用 責 任 準 備 金 繰 入 額 に 計 上 します 逆 に 必 要 な 額 が 前 年 度 より 小 さければ 経 常 収 益 責 任 準 備 金 戻 入 額 に 計 上 します 19
生 命 保 険 会 社 損 益 状 況 を 見 る 考 変 額 保 険 変 額 年 金 保 険 最 低 保 証 に 係 る 一 般 勘 定 へ 責 任 準 備 金 繰 入 戻 入 変 額 保 険 変 額 年 金 保 険 とは 運 用 実 績 によって 受 け 取 最 低 保 証 に 係 る 一 般 勘 定 責 任 準 備 金 とは 保 険 会 社 ることができる 死 亡 保 険 金 額 や 年 金 額 が 変 わる 保 険 商 品 で が 変 額 保 険 変 額 年 金 保 険 等 将 来 保 険 金 年 金 給 す 運 用 実 績 が 悪 化 した 場 合 でも 運 用 期 間 中 死 亡 保 険 金 支 払 いに 備 えて 積 み 立 てている 準 備 金 です 最 低 金 や 解 約 返 戻 金 運 用 期 間 終 了 時 運 用 資 産 額 年 金 受 取 保 証 に 係 る 一 般 勘 定 責 任 準 備 金 を 繰 り 入 れた 場 合 は 基 額 総 額 等 をあらかじめ 定 めた 最 低 保 証 額 として 保 険 会 社 礎 利 益 を 減 少 させる 要 因 に また 最 低 保 証 に 係 る 一 般 によりてん 補 される 特 徴 を 有 する 保 険 商 品 があります こ 勘 定 責 任 準 備 金 を 戻 し 入 れた 場 合 は 基 礎 利 益 を 増 加 さ 特 徴 を 変 額 保 険 変 額 年 金 保 険 最 低 保 証 といいます せる 要 因 となります 資 産 運 用 関 係 損 益 はどように 計 上 されるか 資 産 運 用 関 係 損 益 がどように 計 上 されているか そ 主 なもについて 見 てみましょう (12 ページ 以 降 資 産 部 分 をあわせてお 読 みください ) 利 息 及 び 配 当 金 等 収 入 生 命 保 険 会 社 は そ 負 債 特 性 にあわせ 長 期 に 安 定 的 に 収 益 をあげることを 目 指 した 資 産 運 用 を 行 います そうした 長 期 運 用 によって 得 られる 預 貯 金 や 公 社 債 利 息 ( 償 却 原 価 法 で 有 価 証 券 売 却 損 益 と 評 価 差 額 有 価 証 券 は 14 ページとおり 保 有 目 的 によって 区 分 され 主 に 決 算 時 点 時 価 と 帳 簿 価 額 差 である 評 価 差 額 処 理 方 法 が 区 分 によって 異 なります いずれ 区 分 でも 保 有 していた 有 価 証 券 を 売 却 することに よって 得 られる 利 益 損 失 ( 帳 簿 価 額 と 売 却 価 額 差 )は 損 益 計 算 書 に 計 上 されます( 売 買 目 的 有 価 証 券 は 売 買 目 的 有 価 証 券 運 用 益 ( 損 ) (こ 科 目 は 売 買 目 的 有 価 証 券 に 係 る 全 て 損 益 を 一 括 して 計 上 するもです )に それ 以 外 有 価 証 券 は 有 価 証 券 売 却 益 ( 損 ) にそれぞれ 計 上 されます) 評 価 差 額 については 売 買 目 的 有 価 証 券 については 損 益 計 処 理 される 有 価 証 券 加 減 額 も 含 みます 14 ページ 照 ) 貸 金 利 息 株 式 配 当 金 さらには 不 動 産 賃 貸 料 など 利 息 及 び 配 当 金 等 収 入 は 資 産 運 用 による 収 益 柱 といえます 算 書 売 買 目 的 有 価 証 券 運 用 益 ( 損 ) に 計 上 されます また そ 他 有 価 証 券 評 価 差 額 は 原 則 として 損 益 には 含 まれず 純 資 産 部 に 計 上 されます(14 ページ 照 ) また 売 買 目 的 有 価 証 券 以 外 有 価 証 券 について 帳 簿 価 額 に 比 べ 時 価 が 著 しく 下 落 した 場 合 には 評 価 損 ( 有 価 証 券 評 価 損 )を 計 上 し ます( 有 価 証 券 減 損 処 理 といいます) なお 市 場 価 格 ある 株 式 については 監 督 当 局 認 可 を 受 け て 評 価 益 を 計 上 することができます( 保 険 業 法 第 112 条 評 価 益 として 特 別 利 益 に 計 上 されます 22 ページ 照 ) STEP UP! 有 価 証 券 減 損 処 理 売 買 目 的 有 価 証 券 以 外 有 価 証 券 は 時 価 で 評 価 されない か 時 価 評 価 されても そ 評 価 差 額 は 原 則 として 損 益 計 算 書 に 計 上 されません しかし 売 買 目 的 有 価 証 券 以 外 有 価 証 券 であっても 時 価 あるもについて 時 価 が 著 し く 下 落 したときは 回 復 する 見 込 みがあると 認 められるも を 除 き そ 時 価 をもって 貸 借 対 照 表 計 上 額 とし 評 価 差 額 を 当 期 損 失 として 処 理 ( 損 益 計 算 書 に 計 上 )しなけ ればなりません これを 有 価 証 券 減 損 処 理 といいます では 著 しく 下 落 したとき とは 具 体 的 にどくらい 時 価 が 下 落 した 場 合 でしょうか まず 時 価 が 帳 簿 価 額 より 50% 以 上 下 落 した 場 合 は 著 しく 下 落 したとき として 回 復 可 能 性 について 合 理 的 な 反 証 がなければ 減 損 処 理 を 行 わなければなりません 次 に 下 落 率 が 50% 未 満 場 合 は 個 々 生 命 保 険 会 社 において 合 理 的 な 基 準 を 設 定 し 著 しく 下 落 したとき か どうか 判 定 することになります ただし 下 落 率 が 30% 20
生 命 保 険 会 社 損 益 状 況 を 見 る 未 満 場 合 は 一 般 的 に 著 しく 下 落 したとき に 該 当 し ないもと 考 えられることから あらかじめ 合 理 的 な 基 準 から 除 外 することができます(もちろん 30% 未 満 下 落 率 でも 合 理 的 な 基 準 として 設 定 することができます) こようにして 時 価 が 著 しく 下 落 したと 判 定 された 銘 柄 について 回 復 可 能 性 を 判 定 し 減 損 処 理 要 否 を 決 定 していきます なお これは 時 価 ある 有 価 証 券 場 合 ですが 市 場 価 格 ない 株 式 についても 発 行 会 社 財 政 状 態 悪 化 によ り 実 質 価 額 が 著 しく 低 下 した 場 合 は 回 復 可 能 性 について 合 理 的 な 反 証 がなければ 減 損 処 理 対 象 となります 減 損 処 理 要 件 ( 時 価 ある 有 価 証 券 場 合 ) 下 落 率 による 区 分 著 しい 下 落 判 定 減 損 処 理 要 否 50% 以 上 著 しく 下 落 したとき に 該 当 する 回 復 可 能 性 なし: 減 損 処 理 必 要 30% 以 上 回 復 可 能 性 あり: 減 損 処 理 不 要 合 理 的 な 基 準 による 著 しく 下 落 したとき に 該 当 する 50% 未 満 著 しい 下 落 判 定 著 しく 下 落 したとき に 該 当 しない 減 損 処 理 不 要 30% 未 満 著 しく 下 落 したとき に 該 当 しない デリバティブ 取 引 損 益 デリバティブ 取 引 (15 ページ 照 )は 時 価 で 評 価 され 帳 簿 価 額 と 差 は 金 融 派 生 商 品 収 益 ( 費 用 ) として 損 益 計 算 書 に 計 上 されます(ヘッジ 会 計 対 象 となるもを 除 く) また 期 中 に 実 現 した 損 益 についてもこ 科 目 に 計 上 されます STEP UP! ヘッジ 会 計 デリバティブ 取 引 を 保 有 している 資 産 負 債 から 生 じ る 損 失 を 減 殺 する(ヘッジ) 手 段 として 用 いる 場 合 で 一 定 要 件 を 満 たすときは ヘッジ 会 計 を 適 用 できます デリバティブをヘッジ 手 段 として 用 いている 場 合 原 則 どおりに 会 計 処 理 を 行 うと ヘッジ 対 象 資 産 ( 負 債 )に 関 わる 損 益 認 識 時 期 と ヘッジ 手 段 (デリバティブ 等 ) 損 益 認 識 時 期 がずれ ヘッジ 効 果 を 財 務 諸 表 に 反 映 で きなくなる 可 能 性 があります こような 事 態 発 生 を 防 ぐために ヘッジ 対 象 資 産 ( 負 債 )とヘッジ 手 段 と 損 益 を 同 一 会 計 期 間 に 認 識 し ヘッジ 効 果 を 財 務 諸 表 に 反 映 する 会 計 処 理 がヘッジ 会 計 です ヘッジ 会 計 には ヘッジ 手 段 であるデリバティブ 等 損 益 認 識 をヘッジ 対 象 資 産 ( 負 債 ) 損 益 認 識 時 点 (ヘッ ジ 終 了 時 点 )まで 繰 り 延 べる 繰 延 ヘッジ と ヘッジ 手 段 損 益 発 生 時 点 に 合 わせて ヘッジ 対 象 資 産 ( 負 債 ) 損 益 を 認 識 する 時 価 ヘッジ とがあります また 保 険 会 社 に 認 められた 特 例 として 固 定 金 利 保 険 負 債 ( 責 任 準 備 金 )を 将 来 キャッシュ フローが 生 じる 年 限 別 にグループ 分 けし そ 金 利 変 動 に 伴 うリス クをヘッジするため 固 定 金 利 を 受 取 り 変 動 金 利 を 支 払 う 金 利 スワップ 取 引 について 一 定 要 件 もとに ヘッジ 会 計 を 適 用 することが 認 められています( 包 括 ヘッ ジといいます ) 為 替 関 連 損 益 貸 借 対 照 表 や 損 益 計 算 書 は 円 貨 で 表 示 するため 外 貨 建 て 資 産 については 決 算 時 に 円 貨 に 換 算 します こうした 換 算 や 決 済 にあたり 為 替 変 動 による 損 益 が 発 生 します こ 損 益 は 為 替 差 益 ( 損 ) に 計 上 されます 損 益 計 算 書 表 示 にあたって は 為 替 差 益 と 為 替 差 損 差 額 が 計 上 されます また 売 買 目 的 有 価 証 券 換 算 差 額 については 売 買 目 的 有 価 証 券 運 用 益 ( 損 ) に 含 めて 計 上 されます なお そ 他 有 価 証 券 換 算 差 額 については 原 則 として 純 資 産 部 に 計 上 される 評 価 差 額 構 成 要 素 となります 21
生 命 保 険 会 社 損 益 状 況 を 見 る 貸 金 償 却 引 当 貸 先 倒 産 などにより 回 収 不 能 となった 貸 金 は 資 産 か ら 減 額 し 回 収 不 能 分 を 損 失 として 計 上 します( 貸 金 償 却 といいます) 貸 金 償 却 は 償 却 する 場 合 に 用 いられる 科 目 です 前 年 度 以 前 に 個 別 に 貸 倒 引 当 金 を 設 定 している 場 合 には 引 当 金 洗 い 替 えによる 戻 入 と 貸 金 償 却 を 相 殺 して 損 益 計 算 書 に 表 示 されます 貸 倒 引 当 金 は 資 産 自 己 査 定 に 基 づき 毎 期 継 続 的 に 繰 り 入 れられます(15 ページ 照 ) 貸 倒 引 当 金 繰 入 額 には 貸 倒 引 当 金 に 繰 り 入 れた 金 額 が 計 上 されます 損 益 計 算 書 上 では [ 繰 入 額 - 戻 入 額 ] 差 額 で 表 示 され 戻 入 額 が 上 回 る 場 合 には 貸 倒 引 当 金 戻 入 額 として 表 示 されます そ 他 金 銭 信 託 については ファンドごとに 全 て 損 益 を 一 括 して 金 銭 信 託 運 用 益 ( 損 ) として 損 益 計 算 書 に 計 上 します 金 銭 信 託 で 運 用 する 有 価 証 券 についても 保 有 目 的 別 に 処 理 さ れますが そほとんどは 売 買 目 的 有 価 証 券 です 特 別 勘 定 に 属 する 有 価 証 券 は 売 買 目 的 有 価 証 券 と 位 置 け られ 特 別 勘 定 から 生 ずる 全 て 資 産 運 用 収 益 資 産 運 用 費 用 が 一 括 して 特 別 勘 定 運 用 益 ( 損 ) に 計 上 されます 減 価 償 却 ( 固 定 資 産 取 得 価 額 をそ 耐 用 期 間 各 事 業 年 度 に 配 分 する 手 続 き)うち 投 資 用 不 動 産 動 産 に 係 わるもは 賃 貸 用 不 動 産 等 減 価 償 却 費 として 資 産 運 用 費 用 に 計 上 されます 生 命 保 険 事 業 を 営 むため 経 費 ( 事 業 費 ) 事 業 費 は 生 命 保 険 会 社 が 事 業 を 遂 行 していくため 経 費 で 新 契 約 募 集 および 保 有 契 約 維 持 保 全 や 保 険 金 など 支 払 い に 必 要 な 経 費 が 計 上 されています 事 業 費 は 一 般 企 業 における 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 に 類 似 します( 事 業 費 に 営 業 用 不 動 臨 時 的 な 損 益 ( 特 別 損 益 ) 産 など 減 価 償 却 費 や 契 約 関 係 税 金 などを 加 えると 販 売 費 及 び 一 般 管 理 費 に 相 当 します) 5 ページとおり 保 険 料 に は 予 定 事 業 費 が 組 み 込 まれています 特 別 損 益 とは 臨 時 に 発 生 する 損 益 や 固 定 資 産 売 却 損 益 などことです 特 別 損 益 中 には 特 別 利 益 特 別 損 失 が 表 示 されており 経 常 利 益 と 合 算 されて 税 引 前 当 期 純 剰 余 ( 税 引 前 当 期 純 利 益 ) となります 特 別 損 益 に 計 上 される 主 な 項 目 は 次 とおりです 固 定 資 産 等 処 分 益 ( 損 ) には 土 地 建 物 といった 不 動 産 や 動 産 など 資 産 を 処 分 した 際 帳 簿 上 価 額 と 差 ( 利 益 ま たは 損 失 )を 計 上 しています 特 別 損 失 欄 価 格 変 動 準 備 金 繰 入 額 とは 価 格 変 動 準 備 金 に 対 する 繰 り 入 れ 額 です 価 格 変 動 準 備 金 とは 株 式 な ど 価 格 変 動 が 生 じ 得 るもに 対 して 毎 年 一 定 範 囲 内 で 積 み 立 てることが 義 務 けられているもで 株 式 など 価 格 が 下 落 し 評 価 損 等 が 発 生 した 場 合 などに 取 り 崩 して 損 失 を 補 塡 す るもです(26 ページ 照 ) 取 り 崩 した 場 合 は 特 別 利 益 欄 に 価 格 変 動 準 備 金 戻 入 額 が 記 載 されます また 有 価 証 券 評 価 益 計 上 は 売 買 目 的 有 価 証 券 みに 認 められています しかし 会 社 法 特 例 として 保 険 業 法 第 112 条 規 定 により 責 任 準 備 金 や 配 当 準 備 金 として 積 み 立 て ることを 条 件 に 市 場 価 格 ある 株 式 については 監 督 当 局 認 可 を 受 けたうえで 評 価 益 を 計 上 することができます これを 保 険 業 法 第 112 条 評 価 益 といい 特 別 利 益 に 計 上 されます なお 不 動 産 など 固 定 資 産 について 減 損 会 計 が 適 用 され 資 産 価 値 が 帳 簿 上 価 額 を 著 しく 下 回 り 投 資 額 が 回 収 できない と 判 断 されたときに 減 損 損 失 が 特 別 損 失 欄 に 計 上 されます STEP UP! 固 定 資 産 減 損 会 計 固 定 資 産 減 損 会 計 は 不 動 産 等 固 定 資 産 市 場 価 格 が 帳 簿 価 額 を 著 しく 下 回 った 場 合 等 に そ 資 産 から 将 来 生 ず ると 見 込 まれるキャッシュ フローを 算 出 し 投 資 額 が 回 収 で きないと 判 断 される 場 合 に 損 失 処 理 を 行 うもです よって 含 み 損 がある 固 定 資 産 であっても 収 益 性 があり 将 来 投 資 額 回 収 が 見 込 まれるもについては 減 損 対 象 とはなりません 固 定 資 産 減 損 会 計 適 用 にあたっては 以 下 ような 手 順 で 行 われます 次 ページへ 続 く 22
生 命 保 険 会 社 損 益 状 況 を 見 る 1 資 産 グルーピング 減 損 会 計 処 理 を 行 う 単 位 を 決 定 するために 資 産 グルーピングを 行 います 資 産 グルー ピングは 他 資 産 グループキャッシュ フローから 概 ね 独 立 したキャッシュ フロー を 生 み 出 す 最 小 単 位 で 行 います 2 減 損 兆 候 有 無 を 判 定 固 定 資 産 に 減 損 が 生 じている 可 能 性 を 示 す 兆 候 有 無 ( 例 : 市 場 価 格 著 しい 下 落 等 )を 判 定 します 兆 候 が 見 られる 場 合 は 減 損 損 失 を 認 識 すべきかどうか 判 定 を 行 います 3 減 損 損 失 認 識 減 損 兆 候 がある 固 定 資 産 について そ 資 産 から 生 み 出 される 将 来 キャッシュ フロー ( 例 : 賃 貸 用 不 動 産 から 収 益 ) 総 額 と 固 定 資 産 帳 簿 価 額 と 比 較 を 行 います 将 来 キャッシュ フロー 総 額 が 帳 簿 価 額 を 下 回 る 場 合 は 減 損 損 失 測 定 を 行 います 4 減 損 損 失 測 定 減 損 損 失 を 認 識 すべきであると 判 定 された 固 定 資 産 について 帳 簿 価 額 を 回 収 可 能 価 額 まで 減 額 し 差 額 を 減 損 損 失 として 計 上 します 回 収 可 能 価 額 : 正 味 売 却 価 額 と 使 用 価 値 ( 将 来 キャッシュ フロー 割 引 現 在 価 値 ) いずれか 高 い 方 金 額 減 損 判 定 フロー 概 要 契 約 者 へ 配 当 損 益 計 算 を 経 て 剰 余 ( 利 益 )が 計 算 されます 生 命 保 険 事 業 から 発 生 した 剰 余 ( 利 益 )は 相 互 会 社 場 合 は 契 約 者 に 株 式 会 社 場 合 は 株 主 に 配 当 として 還 元 され また 保 険 事 業 継 続 に 必 要 な 内 部 留 保 にも 配 分 されます 次 ページ 相 互 会 社 と 株 式 会 社 に 記 載 とおり 株 式 会 社 場 合 契 約 者 へ 配 当 財 源 に 繰 り 入 れる 金 額 は 損 益 計 算 書 上 契 約 者 配 当 準 備 金 繰 入 額 として 表 示 されます 一 方 で 相 互 会 社 場 合 は 契 約 者 (= 社 員 )へ 配 当 金 は 総 代 会 決 議 によって 正 式 に 決 定 されます つまり 損 益 計 算 書 上 は 社 員 配 当 準 備 金 は 記 載 されず 総 代 会 における 剰 余 金 処 分 に 関 す る 決 議 書 によって 社 員 配 当 準 備 金 へ 繰 り 入 れがなされます 相 互 会 社 社 員 配 当 準 備 金 などへ 繰 り 入 れは 法 令 により 剰 余 金 (から 基 金 利 息 損 失 塡 補 準 備 金 および 基 金 償 却 積 立 金 へ 繰 入 額 を 控 除 した 額 ) 20% 以 上 であることが 必 要 と なっています 配 当 金 は 各 契 約 剰 余 金 へ 貢 献 度 に 応 じて 支 払 われます そ 公 平 性 を 確 保 するため 法 令 で 配 当 割 り 当 て 方 式 が 規 定 されています STEP UP! 有 配 当 保 険 と 無 配 当 保 険 生 命 保 険 には 大 きく 分 けると 配 当 分 配 がある 保 険 ( 有 配 当 保 険 )と 分 配 がない 保 険 ( 無 配 当 保 険 )があり ます さらに 有 配 当 保 険 には 毎 年 決 算 において 3 つ 予 定 率 と 実 際 率 と 差 によって 生 じる 損 益 を 集 計 し 剰 余 が 生 じた 場 合 に 配 当 金 として 分 配 する 仕 組 み 保 険 ( 三 利 源 配 当 タイプ 保 険 ) 予 定 利 率 と 実 際 運 用 成 果 と 差 によって 生 じる 損 益 を 一 定 年 数 ごとに 通 算 し 剰 余 が 生 じた 場 合 に 配 当 金 として 一 定 年 数 ご とに 分 配 する 仕 組 み 保 険 ( 利 差 配 当 タイプ 保 険 ) な どがあります また 毎 年 配 当 を 分 配 する 毎 年 配 当 型 や 5 年 ごと には 長 期 間 継 続 して 死 亡 や 満 期 などにより 消 滅 した 契 約 に 配 当 を 分 配 する 5 年 ごと 配 当 型 などがあり 配 当 などに 分 配 される 特 別 配 当 などもあります 23
生 命 保 険 会 社 損 益 状 況 を 見 る 考 相 互 会 社 と 株 式 会 社 相 互 会 社 とは 保 険 業 法 で 保 険 会 社 にみ 設 立 が 認 め られた 会 社 形 態 です 相 互 会 社 場 合 株 主 が 存 在 せず ご 契 約 者 一 人 ひとりが 会 社 構 成 員 ( 社 員 )になるなど 株 式 会 社 と 異 なる 点 があります(ご 契 約 者 保 険 契 約 上 権 利 義 務 はどちら 会 社 でも 違 いはありません) 相 互 会 社 株 式 会 社 性 質 保 険 業 法 に 基 づき 設 立 された 中 間 法 人 会 社 法 に 基 づいて 設 立 された 営 利 法 人 資 本 基 金 ( 基 金 拠 出 者 が 拠 出 ) 資 本 金 ( 株 主 が 出 資 ) 構 成 員 社 員 = 保 険 契 約 者 株 主 意 思 決 定 機 関 社 員 総 会 ( 総 代 会 ) 株 主 総 会 定 款 で 社 員 としない 旨 が 定 められた 保 険 契 約 契 約 者 を 除 く 相 互 会 社 と 株 式 会 社 では 契 約 者 へ 配 当 について 決 算 上 処 理 が 異 なります 相 互 会 社 場 合 利 益 は 剰 余 金 と 表 され 契 約 者 へ 配 当 ( 社 員 配 当 )は 意 思 決 定 機 関 である 社 員 総 会 ( 総 代 会 )で 剰 余 金 処 分 を 決 議 することによって 実 施 されます したがって 損 益 計 算 書 には 表 示 されません( 剰 余 金 処 分 に 関 する 決 議 書 で 表 示 されます) 株 式 会 社 場 合 は 契 約 者 へ 配 当 は 損 益 計 算 書 上 キャッシュ フロー 計 算 書 一 般 事 業 会 社 におけるキャッシュ フロー 計 算 書 とは 企 業 現 金 受 取 と 支 払 状 況 を 示 す 資 金 収 支 表 こと で 営 業 活 動 投 資 活 動 財 務 活 動 3 つキャッ シュ フローから 構 成 されています これに 対 し 生 命 保 険 会 社 キャッシュ フロー 計 算 書 は 保 険 収 支 と 資 産 運 用 業 務 から 生 じるキャッシュ フローが 表 裏 一 体 であるという 生 命 保 険 会 社 事 業 活 動 特 性 を 考 慮 し 次 ように 表 示 調 整 を 図 っています 投 資 活 動 によるキャッシュ フロー を 資 産 運 用 活 動 によるキャッシュ フローとそれ 以 外 に 区 分 し 表 示 支 出 項 目 ( 契 約 者 配 当 準 備 金 繰 入 額 )として 表 示 され ます よって 最 終 的 な 利 益 ( 剰 余 )を 見 る 場 合 にはこ 点 について 考 慮 することが 必 要 です また 相 互 会 社 純 資 産 部 は 基 金 ( 株 式 会 社 資 本 金 にあたる) 保 険 業 法 に 定 められる 損 失 塡 補 準 備 金 ( 株 式 会 社 利 益 準 備 金 にあたる) 基 金 償 却 積 立 金 など 相 互 会 社 固 有 資 本 項 目 となっています 営 業 活 動 によるキャッシュ フロー と 資 産 運 用 活 動 によるキャッシュ フロー 合 計 額 を 表 示 また こ 章 はじめで 説 明 したとおり 生 命 保 険 会 社 では 保 険 料 をお 預 かりしてから 保 険 金 等 をお 支 払 いするまでに 一 般 的 に 長 期 タイムラグが 生 じます 単 年 度 資 金 収 支 を 表 すキャッシュ フロー 計 算 書 で 生 命 保 険 会 社 業 績 等 を 判 断 する 場 合 には こような 点 を 考 慮 する 必 要 があります 包 括 利 益 計 算 書 平 成 22 年 度 決 算 より 会 計 基 準 国 際 的 なコンバー ジェンス 取 組 み 一 環 として 新 たな 利 益 概 念 であ る 包 括 利 益 (38 ページ 照 )が 連 結 財 務 諸 表 において 開 示 されることとなりました 包 括 利 益 は 純 資 産 変 動 額 うち 当 該 企 業 純 資 産 に 対 する 持 分 所 有 者 と 直 接 的 な 取 引 によらない 部 分 です 純 資 産 に 対 する 持 分 所 有 者 には 新 株 予 約 権 所 有 者 や 子 会 社 非 支 配 株 主 も 含 まれます 包 括 利 益 は そ 他 有 価 証 券 評 価 差 額 金 や 繰 延 ヘッジ 損 益 また 為 替 換 算 調 整 勘 定 などで 構 成 される そ 他 包 括 利 益 と 親 会 社 に 帰 属 する 当 期 純 剰 余 ( 親 会 社 株 主 に 帰 属 する 当 期 純 利 益 ) および 非 支 配 株 主 に 帰 属 する 当 期 純 剰 余 ( 純 利 益 ) ( 当 期 純 剰 余 ( 純 利 益 )) 合 計 です 24