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第 7 消 滅 時 効... 16 1 職 業 別 の 短 期 消 滅 時 効 の 廃 止... 16 2 債 権 の 消 滅 時 効 における 原 則 的 な 時 効 期 間 と 起 算 点... 17 3 定 期 金 債 権 の 消 滅 時 効 ( 民 法 第 168 条 第 1 項 関 係 )... 17 4 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 消 滅 時 効 ( 民 法 第 724 条 関 係 )... 18 5 生 命 身 体 の 侵 害 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 消 滅 時 効... 18 6 時 効 期 間 の 更 新 事 由... 19 7 時 効 の 停 止 事 由... 19 8 時 効 の 効 果... 21 第 8 債 権 の 目 的... 21 1 特 定 物 の 引 渡 しの 場 合 の 注 意 義 務 ( 民 法 第 400 条 関 係 )... 21 2 種 類 債 権 の 目 的 物 の 特 定 ( 民 法 第 401 条 第 2 項 関 係 )... 22 3 外 国 通 貨 債 権 ( 民 法 第 403 条 関 係 )... 22 4 法 定 利 率 ( 民 法 第 404 条 関 係 )... 23 (1) 変 動 制 による 法 定 利 率... 23 (2) 法 定 利 率 の 適 用 の 基 準 時 等... 25 (3) 中 間 利 息 控 除... 25 5 選 択 債 権 ( 民 法 第 406 条 ほか 関 係 )... 26 第 9 履 行 請 求 権 等... 26 1 債 権 の 請 求 力... 26 2 契 約 による 債 権 の 履 行 請 求 権 の 限 界 事 由... 27 3 履 行 の 強 制 ( 民 法 第 414 条 関 係 )... 27 第 10 債 務 不 履 行 による 損 害 賠 償... 28 1 債 務 不 履 行 による 損 害 賠 償 とその 免 責 事 由 ( 民 法 第 415 条 前 段 関 係 )... 28 2 履 行 遅 滞 の 要 件 ( 民 法 第 412 条 関 係 )... 28 3 債 務 の 履 行 に 代 わる 損 害 賠 償 の 要 件 ( 民 法 第 415 条 後 段 関 係 )... 28 4 履 行 遅 滞 後 に 履 行 請 求 権 の 限 界 事 由 が 生 じた 場 合 における 損 害 賠 償 の 免 責 事 由... 29 5 代 償 請 求 権... 29 6 契 約 による 債 務 の 不 履 行 における 損 害 賠 償 の 範 囲 ( 民 法 第 416 条 関 係 )... 30 7 過 失 相 殺 の 要 件 効 果 ( 民 法 第 418 条 関 係 )... 30 8 損 益 相 殺... 31 9 金 銭 債 務 の 特 則 ( 民 法 第 419 条 関 係 )... 31 10 賠 償 額 の 予 定 ( 民 法 第 420 条 関 係 )... 32 第 11 契 約 の 解 除... 33 1 債 務 不 履 行 による 契 約 の 解 除 の 要 件 ( 民 法 第 541 条 ほか 関 係 )... 33 2 複 数 契 約 の 解 除... 34 3 契 約 の 解 除 の 効 果 ( 民 法 第 545 条 関 係 )... 34 4 解 除 権 の 消 滅 ( 民 法 第 547 条 及 び 第 548 条 関 係 )... 35 第 12 危 険 負 担... 35

1 危 険 負 担 に 関 する 規 定 の 削 除 ( 民 法 第 534 条 ほか 関 係 )... 35 2 債 権 者 の 責 めに 帰 すべき 事 由 による 不 履 行 の 場 合 の 解 除 権 の 制 限 ( 民 法 第 536 条 第 2 項 関 係 )... 36 第 13 受 領 ( 受 取 ) 遅 滞... 36 第 14 債 権 者 代 位 権... 37 1 責 任 財 産 の 保 全 を 目 的 とする 債 権 者 代 位 権... 37 2 代 位 行 使 の 範 囲... 37 3 代 位 行 使 の 方 法 等... 37 4 代 位 債 権 者 の 善 管 注 意 義 務... 38 5 債 権 者 代 位 権 の 行 使 に 必 要 な 費 用... 39 6 代 位 行 使 の 相 手 方 の 抗 弁... 39 7 債 務 者 の 処 分 権 限... 39 8 訴 えの 提 起 による 債 権 者 代 位 権 の 行 使 の 場 合 の 訴 訟 告 知... 40 9 責 任 財 産 の 保 全 を 目 的 としない 債 権 者 代 位 権... 40 第 15 詐 害 行 為 取 消 権... 40 1 受 益 者 に 対 する 詐 害 行 為 取 消 権 の 要 件... 40 2 相 当 の 対 価 を 得 てした 行 為 の 特 則... 43 3 特 定 の 債 権 者 を 利 する 行 為 の 特 則... 43 4 過 大 な 代 物 弁 済 等 の 特 則... 44 5 転 得 者 に 対 する 詐 害 行 為 取 消 権 の 要 件... 45 6 詐 害 行 為 取 消 しの 効 果... 46 7 詐 害 行 為 取 消 しの 範 囲... 47 8 逸 出 財 産 の 返 還 の 方 法 等... 47 9 詐 害 行 為 取 消 権 の 行 使 に 必 要 な 費 用... 50 10 受 益 者 の 債 権 の 回 復... 50 11 受 益 者 が 現 物 の 返 還 をすべき 場 合 における 受 益 者 の 反 対 給... 51 12 受 益 者 が 金 銭 の 返 還 又 は 価 額 の 償 還 をすべき 場 合 における 受 益 者 の 反 対 給 付... 51 13 転 得 者 の 前 者 に 対 する 反 対 給 付 等... 52 14 詐 害 行 為 取 消 権 の 行 使 期 間... 53 第 16 多 数 当 事 者 の 債 権 及 び 債 務 ( 保 証 債 務 を 除 く )... 53 1 債 務 者 が 複 数 の 場 合... 53 2 分 割 債 務 ( 民 法 第 427 条 関 係 )... 54 3 連 帯 債 務 者 の 一 人 について 生 じた 事 由 の 効 力 等... 54 (1) 履 行 の 請 求 ( 民 法 第 434 条 関 係 )... 54 (2) 更 改, 相 殺 等 の 事 由 ( 民 法 第 435 条 から 第 440 条 まで 関 係 )... 55 (3) 破 産 手 続 の 開 始 ( 民 法 第 441 条 関 係 )... 56 4 連 帯 債 務 者 間 の 求 償 関 係... 56 (1) 連 帯 債 務 者 間 の 求 償 権 ( 民 法 第 442 条 第 1 項 関 係 )... 56 (2) 連 帯 債 務 者 間 の 通 知 義 務 ( 民 法 第 443 条 関 係 )... 56

(3) 負 担 部 分 を 有 する 連 帯 債 務 者 が 全 て 無 資 力 者 である 場 合 の 求 償 関 係 ( 民 法 第 444 条 本 文 関 係 )... 57 (4) 連 帯 の 免 除 をした 場 合 の 債 権 者 の 負 担 ( 民 法 第 445 条 関 係 )... 57 5 不 可 分 債 務... 57 6 債 権 者 が 複 数 の 場 合... 58 7 分 割 債 権 ( 民 法 第 427 条 関 係 )... 58 8 連 帯 債 権... 59 9 不 可 分 債 権... 59 第 17 保 証 債 務... 59 1 保 証 債 務 の 付 従 性 ( 民 法 第 448 条 関 係 )... 59 2 主 たる 債 務 者 の 有 する 抗 弁 ( 民 法 第 457 条 第 2 項 関 係 )... 60 3 保 証 人 の 求 償 権... 60 (1) 委 託 を 受 けた 保 証 人 の 求 償 権 ( 民 法 第 459 条 第 460 条 関 係 )... 60 (2) 保 証 人 の 通 知 義 務... 61 4 連 帯 保 証 人 に 対 する 履 行 の 請 求 の 効 力 ( 民 法 第 458 条 関 係 )... 62 5 根 保 証... 62 6 保 証 人 保 護 の 方 策 の 拡 充... 64 (1) 個 人 保 証 の 制 限... 64 (2) 契 約 締 結 時 の 説 明 義 務, 情 報 提 供 義 務... 65 (3) 主 たる 債 務 の 履 行 状 況 に 関 する 情 報 提 供 義 務... 66 (4) その 他 の 方 策... 66 第 18 債 権 譲 渡... 67 1 債 権 の 譲 渡 性 とその 制 限 ( 民 法 第 466 条 関 係 )... 67 2 対 抗 要 件 制 度 ( 民 法 第 467 条 関 係 )... 70 (1) 第 三 者 対 抗 要 件 及 び 権 利 行 使 要 件... 70 (2) 債 権 譲 渡 が 競 合 した 場 合 における 規 律... 71 3 債 権 譲 渡 と 債 務 者 の 抗 弁 ( 民 法 第 468 条 関 係 )... 72 (1) 異 議 をとどめない 承 諾 による 抗 弁 の 切 断... 72 (2) 債 権 譲 渡 と 相 殺 の 抗 弁... 73 4 将 来 債 権 譲 渡... 75 第 19 有 価 証 券... 80 第 20 債 務 引 受... 81 1 併 存 的 債 務 引 受... 81 2 免 責 的 債 務 引 受... 81 3 免 責 的 債 務 引 受 による 引 受 けの 効 果... 82 4 免 責 的 債 務 引 受 による 担 保 権 等 の 移 転... 83 第 21 契 約 上 の 地 位 の 移 転... 83 第 22 弁 済... 83 1 弁 済 の 意 義... 83

2 第 三 者 の 弁 済 ( 民 法 第 474 条 関 係 )... 84 3 弁 済 として 引 き 渡 した 物 の 取 戻 し( 民 法 第 476 条 関 係 )... 84 4 債 務 の 履 行 の 相 手 方 ( 民 法 第 478 条, 第 480 条 関 係 )... 85 5 代 物 弁 済 ( 民 法 第 482 条 関 係 )... 85 6 弁 済 の 方 法 ( 民 法 第 483 条 から 第 487 条 まで 関 係 )... 86 7 弁 済 の 充 当 ( 民 法 第 488 条 から 第 491 条 まで 関 係 )... 87 8 弁 済 の 提 供 ( 民 法 第 492 条 関 係 )... 88 9 弁 済 の 目 的 物 の 供 託 ( 民 法 第 494 条 から 第 498 条 まで 関 係 )... 88 10 弁 済 による 代 位... 89 (1) 任 意 代 位 制 度 ( 民 法 第 499 条 関 係 )... 89 (2) 法 定 代 位 者 相 互 間 の 関 係 ( 民 法 第 501 条 関 係 )... 89 (3) 一 部 弁 済 による 代 位 の 要 件 効 果 ( 民 法 第 502 条 関 係 )... 90 (4) 担 保 保 存 義 務 ( 民 法 第 504 条 関 係 )... 91 第 23 相 殺... 92 1 相 殺 禁 止 の 意 思 表 示 ( 民 法 第 505 条 第 2 項 関 係 )... 92 2 時 効 消 滅 した 債 権 を 自 働 債 権 とする 相 殺 ( 民 法 第 508 条 関 係 )... 92 3 不 法 行 為 債 権 を 受 働 債 権 とする 相 殺 の 禁 止 ( 民 法 第 509 条 関 係 )... 92 4 支 払 の 差 止 めを 受 けた 債 権 を 受 働 債 権 とする 相 殺 ( 民 法 第 511 条 関 係 )... 93 5 相 殺 の 充 当 ( 民 法 第 512 条 関 係 )... 94 第 24 更 改... 94 1 更 改 の 要 件 及 び 効 果 ( 民 法 第 513 条 関 係 )... 95 2 債 務 者 の 交 替 による 更 改 ( 民 法 第 514 条 関 係 )... 95 3 債 権 者 の 交 替 による 更 改 ( 民 法 第 515 条 第 516 条 関 係 )... 95 4 更 改 の 効 力 と 旧 債 務 の 帰 すう( 民 法 第 517 条 関 係 )... 96 5 更 改 後 の 債 務 への 担 保 の 移 転 ( 民 法 第 518 条 関 係 )... 96 6 三 面 更 改... 97 第 25 免 除... 98 第 26 契 約 に 関 する 基 本 原 則 等... 98 1 契 約 内 容 の 自 由... 98 2 履 行 請 求 権 の 限 界 事 由 が 契 約 成 立 時 に 生 じていた 場 合 の 契 約 の 効 力... 99 3 付 随 義 務 及 び 保 護 義 務... 99 4 信 義 則 等 の 適 用 に 当 たっての 考 慮 要 素... 99 第 27 契 約 交 渉 段 階... 100 1 契 約 締 結 の 自 由 と 契 約 交 渉 の 不 当 破 棄... 100 2 契 約 締 結 過 程 における 情 報 提 供 義 務... 100 第 28 契 約 の 成 立... 101 1 申 込 みと 承 諾... 101 2 承 諾 の 期 間 の 定 めのある 申 込 み( 民 法 第 521 条 第 1 項 第 522 条 関 係 )... 101 3 承 諾 の 期 間 の 定 めのない 申 込 み( 民 法 第 524 条 関 係 )... 102

4 対 話 者 間 における 申 込 み... 102 5 申 込 者 及 び 承 諾 者 の 死 亡 等 ( 民 法 第 525 条 関 係 )... 103 6 契 約 の 成 立 時 期 ( 民 法 第 526 条 第 1 項 第 527 条 関 係 )... 104 7 懸 賞 広 告... 104 第 29 契 約 の 解 釈... 105 第 30 約 款... 106 1 約 款 の 定 義... 106 2 約 款 の 組 入 要 件 の 内 容... 107 3 不 意 打 ち 条 項... 107 4 約 款 の 変 更... 107 5 不 当 条 項 規 制... 108 第 31 第 三 者 のためにする 契 約... 108 1 第 三 者 のためにする 契 約 の 成 立 等 ( 民 法 第 537 条 関 係 )... 108 2 要 約 者 による 解 除 権 の 行 使 ( 民 法 第 538 条 関 係 )... 109 第 32 事 情 変 更 の 法 理... 109 第 33 不 安 の 抗 弁 権... 110 第 34 継 続 的 契 約... 113 1 期 間 の 定 めのある 契 約 の 終 了... 113 2 期 間 の 定 めのない 契 約 の 終 了... 113 3 解 除 の 効 力... 114 第 35 売 買... 114 1 売 買 の 予 約 ( 民 法 第 556 条 関 係 )... 114 2 手 付 ( 民 法 第 557 条 関 係 )... 115 3 売 主 の 義 務... 115 4 目 的 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しない 場 合 の 売 主 の 責 任... 115 5 目 的 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しない 場 合 における 買 主 の 代 金 減 額 請 求 権... 116 6 目 的 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しない 場 合 における 買 主 の 権 利 の 期 間 制 限... 117 7 買 主 が 事 業 者 の 場 合 における 目 的 物 検 査 義 務 及 び 適 時 通 知 義 務... 118 8 権 利 移 転 義 務 の 不 履 行 に 関 する 売 主 の 責 任 等... 118 9 競 売 における 買 受 人 の 権 利 の 特 則 ( 民 法 第 568 条 及 び 第 570 条 ただし 書 関 係 )119 10 買 主 の 義 務... 122 11 代 金 の 支 払 場 所 ( 民 法 第 574 条 関 係 )... 123 12 権 利 を 失 うおそれがある 場 合 の 買 主 による 代 金 支 払 の 拒 絶 ( 民 法 第 576 条 関 係 )123 13 抵 当 権 等 の 登 記 がある 場 合 の 買 主 による 代 金 支 払 の 拒 絶 ( 民 法 第 577 条 関 係 ) 123 14 目 的 物 の 滅 失 又 は 損 傷 に 関 する 危 険 の 移 転... 124 15 買 戻 し( 民 法 第 579 条 ほか 関 係 )... 124 第 36 贈 与... 124 1 贈 与 契 約 の 意 義 ( 民 法 第 549 条 関 係 )... 124 2 贈 与 者 の 責 任 ( 民 法 第 551 条 関 係 )... 125

3 贈 与 契 約 の 解 除 による 返 還 義 務 の 特 則... 126 4 贈 与 者 の 困 窮 による 贈 与 契 約 の 解 除... 126 5 受 贈 者 に 著 しい 非 行 があった 場 合 の 贈 与 契 約 の 解 除... 126 第 37 消 費 貸 借... 127 1 消 費 貸 借 の 成 立 等 ( 民 法 第 587 条 関 係 )... 127 2 消 費 貸 借 の 予 約 ( 民 法 第 589 条 関 係 )... 128 3 準 消 費 貸 借 ( 民 法 第 588 条 関 係 )... 129 4 利 息... 129 5 貸 主 の 担 保 責 任 ( 民 法 第 590 条 関 係 )... 129 6 期 限 前 弁 済 ( 民 法 第 591 条 第 2 項, 第 136 条 第 2 項 関 係 )... 130 第 38 賃 貸 借... 131 1 賃 貸 借 の 成 立 ( 民 法 第 601 条 関 係 )... 131 2 短 期 賃 貸 借 ( 民 法 第 602 条 関 係 )... 131 3 賃 貸 借 の 存 続 期 間 ( 民 法 第 604 条 関 係 )... 131 4 不 動 産 賃 貸 借 の 対 抗 力, 賃 貸 人 たる 地 位 の 移 転 等 ( 民 法 第 605 条 関 係 )... 132 5 合 意 による 賃 貸 人 たる 地 位 の 移 転... 133 6 不 動 産 の 賃 借 人 による 妨 害 排 除 等 請 求 権... 133 7 敷 金... 134 8 賃 貸 物 の 修 繕 等 ( 民 法 第 606 条 第 1 項 関 係 )... 135 9 減 収 による 賃 料 の 減 額 請 求 等 ( 民 法 第 609 条 第 610 条 関 係 )... 136 10 賃 借 物 の 一 部 滅 失 等 による 賃 料 の 減 額 等 ( 民 法 第 611 条 関 係 )... 136 11 転 貸 の 効 果 ( 民 法 第 613 条 関 係 )... 137 12 賃 借 物 の 全 部 滅 失 等 による 賃 貸 借 の 終 了... 139 13 賃 貸 借 終 了 後 の 収 去 義 務 及 び 原 状 回 復 義 務 ( 民 法 第 616 条, 第 598 条 関 係 ).. 139 14 損 害 賠 償 及 び 費 用 償 還 の 請 求 権 に 関 する 期 間 制 限 ( 民 法 第 621 条, 第 600 条 関 係 )... 140 15 賃 貸 借 に 類 似 する 契 約... 141 第 39 使 用 貸 借... 143 1 使 用 貸 借 の 成 立 等 ( 民 法 第 593 条 関 係 )... 143 2 使 用 貸 借 の 終 了 ( 民 法 第 597 条 関 係 )... 144 3 使 用 貸 借 終 了 後 の 収 去 義 務 及 び 原 状 回 復 義 務 ( 民 法 第 598 条 関 係 )... 145 4 損 害 賠 償 及 び 費 用 償 還 の 請 求 権 に 関 する 期 間 制 限 ( 民 法 第 600 条 関 係 )... 145 第 40 請 負... 145 1 仕 事 が 完 成 しなかった 場 合 の 報 酬 請 求 権 費 用 償 還 請 求 権... 145 2 仕 事 の 目 的 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しない 場 合 の 請 負 人 の 責 任... 147 (1) 仕 事 の 目 的 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しない 場 合 の 修 補 請 求 権 の 限 界 ( 民 法 第 634 条 第 1 項 関 係 )... 147 (2) 仕 事 の 目 的 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しないことを 理 由 とする 解 除 ( 民 法 第 635 条 関 係 )... 147

(3) 仕 事 の 目 的 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しない 場 合 の 注 文 者 の 権 利 の 期 間 制 限 ( 民 法 第 6 37 条 関 係 )... 148 (4) 仕 事 の 目 的 物 である 土 地 工 作 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しない 場 合 の 請 負 人 の 責 任 の 存 続 期 間 ( 民 法 第 638 条 関 係 )... 148 (5) 仕 事 の 目 的 物 が 契 約 の 趣 旨 に 適 合 しない 場 合 の 請 負 人 の 責 任 の 免 責 特 約 ( 民 法 第 6 40 条 関 係 )... 148 3 注 文 者 についての 破 産 手 続 の 開 始 による 解 除 ( 民 法 第 642 条 関 係 )... 149 第 41 委 任... 149 1 受 任 者 の 自 己 執 行 義 務... 149 2 委 任 者 の 金 銭 の 消 費 についての 責 任 ( 民 法 第 647 条 関 係 )... 151 3 受 任 者 が 受 けた 損 害 の 賠 償 義 務 ( 民 法 第 650 条 第 3 項 関 係 )... 152 4 報 酬 に 関 する 規 律... 153 (1) 無 償 性 の 原 則 の 見 直 し( 民 法 第 648 条 第 1 項 関 係 )... 153 (2) 報 酬 の 支 払 時 期 ( 民 法 第 648 条 第 2 項 関 係 )... 153 (3) 委 任 事 務 の 全 部 又 は 一 部 を 処 理 することができなくなった 場 合 の 報 酬 請 求 権 ( 民 法 第 648 条 第 3 項 関 係 )... 153 5 委 任 の 終 了 に 関 する 規 定... 155 (1) 委 任 契 約 の 任 意 解 除 権 ( 民 法 第 651 条 関 係 )... 155 (2) 破 産 手 続 開 始 による 委 任 の 終 了 ( 民 法 第 653 条 第 2 号 関 係 )... 155 6 準 委 任 ( 民 法 第 656 条 関 係 )... 157 第 42 雇 用... 158 1 報 酬 に 関 する 規 律 ( 労 務 の 履 行 が 中 途 で 終 了 した 場 合 の 報 酬 請 求 権 )... 158 2 期 間 の 定 めのある 雇 用 の 解 除 ( 民 法 第 626 条 関 係 )... 158 3 期 間 の 定 めのない 雇 用 の 解 約 の 申 入 れ( 民 法 第 627 条 関 係 )... 158 第 43 寄 託... 159 1 寄 託 契 約 の 成 立 等... 159 (1) 寄 託 契 約 の 成 立 ( 民 法 第 657 条 関 係 )... 159 (2) 寄 託 者 の 破 産 手 続 開 始 の 決 定 による 解 除... 160 2 寄 託 者 の 自 己 執 行 義 務 ( 民 法 第 658 条 関 係 )... 161 3 受 寄 者 の 保 管 に 関 する 注 意 義 務 ( 民 法 第 659 条 関 係 )... 162 4 寄 託 物 についての 第 三 者 の 権 利 主 張 ( 民 法 第 660 条 関 係 )... 162 5 寄 託 者 の 損 害 賠 償 責 任 ( 民 法 第 661 条 関 係 )... 164 6 報 酬 に 関 する 規 律 ( 民 法 第 665 条 関 係 )... 164 7 寄 託 物 の 損 傷 又 は 一 部 滅 失 の 場 合 における 寄 託 者 の 損 害 賠 償 請 求 権 の 短 期 期 間 制 限... 164 8 寄 託 者 による 返 還 請 求 ( 民 法 第 662 条 関 係 )... 165 9 寄 託 物 の 受 取 後 における 寄 託 者 の 破 産 手 続 開 始 の 決 定... 165 10 混 合 寄 託... 166 11 消 費 寄 託 ( 民 法 第 666 条 関 係 )... 166

第 44 組 合... 167 1 組 合 契 約 の 無 効 又 は 取 消 し... 167 2 他 の 組 合 員 が 出 資 債 務 を 履 行 しない 場 合... 167 3 組 合 の 財 産 関 係 ( 民 法 第 668 条 ほか 関 係 )... 168 4 組 合 の 業 務 執 行 ( 民 法 第 670 条 関 係 )... 168 5 組 合 代 理... 169 6 組 合 員 の 加 入... 169 7 組 合 員 の 脱 退 ( 民 法 第 678 条 から 第 681 条 まで 関 係 )... 170 8 組 合 の 解 散 事 由 ( 民 法 第 682 条 関 係 )... 170 9 組 合 の 清 算... 171 第 45 終 身 定 期 金... 171 第 46 和 解... 171

第 1 法 律 行 為 総 則 1 法 律 行 為 の 意 義 ( 民 法 第 1 編 第 5 章 第 1 節 関 係 ) (1) 法 律 行 為 は, 法 令 の 規 定 に 従 い, 意 思 表 示 に 基 づいてその 効 力 を 生 ずるものとす る (2) 法 律 行 為 には, 契 約 のほか, 取 消 し, 遺 言 その 他 の 単 独 行 為 が 含 まれるものとす る ( 注 )これらのような 規 定 を 設 けないという 考 え 方 がある 2 公 序 良 俗 ( 民 法 第 90 条 関 係 ) 民 法 第 90 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 公 の 秩 序 又 は 善 良 の 風 俗 に 反 する 法 律 行 為 は, 無 効 とするものとする (2) 相 手 方 の 困 窮, 経 験 の 不 足, 知 識 の 不 足 その 他 の 相 手 方 が 法 律 行 為 をするかどう かを 合 理 的 に 判 断 することができない 事 情 があることを 利 用 して, 著 しく 過 大 な 利 益 を 得, 又 は 相 手 方 に 著 しく 過 大 な 不 利 益 を 与 える 法 律 行 為 は, 無 効 とするものと する ( 注 ) 上 記 (2)(いわゆる 暴 利 行 為 )について, 相 手 方 の 窮 迫, 軽 率 又 は 無 経 験 に 乗 じ て 著 しく 過 当 な 利 益 を 獲 得 する 法 律 行 為 は 無 効 とする 旨 の 規 定 を 設 けるという 考 え 方 がある また, 規 定 を 設 けないという 考 え 方 がある いずれも わかりやすい 民 法 の 実 現 に 資 する 第 2 意 思 能 力 法 律 行 為 の 当 事 者 が, 法 律 行 為 の 時 に,その 法 律 行 為 をすることの 意 味 を 理 解 する 能 力 を 有 していなかったときは,その 法 律 行 為 は, 無 効 とするものとする ( 注 1) 意 思 能 力 の 定 義 について, 事 理 弁 識 能 力 とする 考 え 方 や, 特 に 定 義 を 設 けず, 意 思 能 力 を 欠 く 状 態 でされた 法 律 行 為 を 無 効 とすることのみを 規 定 すると いう 考 え 方 がある ( 注 2) 意 思 能 力 を 欠 く 状 態 でされた 法 律 行 為 の 効 力 について, 本 文 の 規 定 に 加 えて 日 常 生 活 に 関 する 行 為 についてはこの 限 りでない( 無 効 とならない) 旨 の 規 定 を 設 けるという 考 え 方 がある 反 対 する 1

その 法 律 行 為 の 意 味 を 理 解 する 能 力 という 表 現 はわかりにくい その 法 律 行 為 の 結 果 を 理 解 してその 法 律 行 為 をするかどうかを 判 断 する 能 力 という 表 現 では, 意 思 能 力 が 認 められるためのハードルが 高 くなりすぎる 事 理 弁 識 能 力 という 表 現 では, 行 為 能 力 との 区 別 がわかりにくくなる いずれもわかりやすい 民 法 の 実 現 との 趣 旨 に 反 する したがって, 特 に 定 義 を 設 ける 必 要 はないと 考 える 第 3 意 思 表 示 1 心 裡 留 保 ( 民 法 第 93 条 関 係 ) 民 法 第 93 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 意 思 表 示 は, 表 意 者 がその 真 意 ではないことを 知 ってしたときであっても,その ためにその 効 力 を 妨 げられないものとする ただし, 相 手 方 が 表 意 者 の 真 意 ではな いことを 知 り, 又 は 知 ることができたときは,その 意 思 表 示 は, 無 効 とするものと する (2) 上 記 (1)による 意 思 表 示 の 無 効 は, 善 意 の 第 三 者 に 対 抗 することができないものと する 1 (1)について 現 行 民 法 93 条 本 文 を 維 持 しつつ, 相 手 方 の 認 識 対 象 について 合 理 的 な 変 更 を 加 えるも のであり, 妥 当 である 2 (2)について 判 例 の 法 文 化 であり 妥 当 である 2 錯 誤 ( 民 法 第 95 条 関 係 ) 民 法 第 95 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 意 思 表 示 に 錯 誤 があった 場 合 において, 表 意 者 がその 真 意 と 異 なることを 知 って いたとすれば 表 意 者 はその 意 思 表 示 をせず,かつ, 通 常 人 であってもその 意 思 表 示 をしなかったであろうと 認 められるときは, 表 意 者 は,その 意 思 表 示 を 取 り 消 すこ とができるものとする (2) 目 的 物 の 性 質, 状 態 その 他 の 意 思 表 示 の 前 提 となる 事 項 に 錯 誤 があり,かつ, 次 のいずれかに 該 当 する 場 合 において, 当 該 錯 誤 がなければ 表 意 者 はその 意 思 表 示 を せず,かつ, 通 常 人 であってもその 意 思 表 示 をしなかったであろうと 認 められると きは, 表 意 者 は,その 意 思 表 示 を 取 り 消 すことができるものとする ア 意 思 表 示 の 前 提 となる 当 該 事 項 に 関 する 表 意 者 の 認 識 が 法 律 行 為 の 内 容 になっ ているとき イ 表 意 者 の 錯 誤 が, 相 手 方 が 事 実 と 異 なることを 表 示 したために 生 じたものであ 2

るとき (3) 上 記 (1) 又 は(2)の 意 思 表 示 をしたことについて 表 意 者 に 重 大 な 過 失 があった 場 合 には, 次 のいずれかに 該 当 するときを 除 き, 上 記 (1) 又 は(2)による 意 思 表 示 の 取 消 しをすることができないものとする ア 相 手 方 が, 表 意 者 が 上 記 (1) 又 は(2)の 意 思 表 示 をしたことを 知 り, 又 は 知 らな かったことについて 重 大 な 過 失 があるとき イ 相 手 方 が 表 意 者 と 同 一 の 錯 誤 に 陥 っていたとき (4) 上 記 (1) 又 は(2)による 意 思 表 示 の 取 消 しは, 善 意 でかつ 過 失 がない 第 三 者 に 対 抗 することができないものとする ( 注 ) 上 記 (2)イ( 不 実 表 示 )については, 規 定 を 設 けないという 考 え 方 がある 以 下 の 条 件 付 きで, 本 改 正 項 目 自 体 には 取 り 消 しうるものと 変 更 する 場 合, 破 産 手 続 において, 破 産 手 続 開 始 前 に 破 産 者 が 有 し ていた 取 消 権 につき, 手 続 開 始 後 に 破 産 管 財 人 が 行 使 できるものとすべきである なお,この 理 は, 破 産 手 続 における 破 産 管 財 人 だけでなく, 倒 産 財 産 の 管 理 処 分 権 を 専 有 する 機 関 が 設 置 されるすべての 場 合 ( 各 手 続 における 保 全 管 理 人 民 事 再 生 手 続 におい て 管 理 命 令 が 発 令 された 場 合 の 管 財 人 会 社 更 生 手 続 における 管 財 人 )に 同 様 に 当 てはま るのであり,この 種 の 規 定 は 民 法 ではなく 倒 産 各 法 に 置 くべきである 一 般 に,ある 意 思 表 示 が 無 効 であるならば, 本 来 であれば,その 効 果 は 誰 からでも 主 張 できるはずである しかし 判 例 では, 錯 誤 制 度 の 趣 旨 ( 表 意 者 保 護 )を 踏 まえ, 無 効 主 張 することができるのは 原 則 として 表 意 者 に 限 られるが, 一 定 の 場 合 に 限 り 第 三 者 からの 無 効 主 張 が 認 められるとされる( 最 高 裁 昭 和 40 年 9 月 10 日 民 集 19 巻 6 号 1512 頁 ) 中 間 試 案 においては, 錯 誤 による 意 思 表 示 が 無 効 ではなく 取 り 消 しうるものと 改 められ, かつ, 取 消 権 を 行 使 できるのは 表 意 者 に 限 られることが 明 記 されているところ, 錯 誤 に 基 づく 意 思 表 示 後 に 表 意 者 が 破 産 し, 破 産 管 財 人 が 選 任 された 場 合 において, 表 意 者 の 錯 誤 を 理 由 に 破 産 管 財 人 が 取 消 権 を 行 使 することができるか 否 か, 必 ずしも 明 らかではない しかし,このような 場 合 において, 当 該 意 思 表 示 を 取 り 消 すことにより 破 産 財 団 が 増 殖 するのであれば 破 産 管 財 人 による 取 消 権 行 使 を 認 めるべき 必 要 性 は 高 い 取 消 権 の 行 使 権 限 が 表 意 者 本 人 に 限 定 されている 趣 旨 は 表 意 者 の 保 護 にあると 考 えられるところ, 破 産 手 続 開 始 後 は, 破 産 者 は 破 産 財 団 に 帰 属 する 財 産 の 管 理 処 分 権 を 失 い,これが 破 産 管 財 人 に 専 属 することからすれば, 破 産 財 団 に 帰 属 する 財 産 が 増 殖 するか 否 かを 考 慮 して 取 消 権 を 行 使 するか 否 かを 判 断 するのにふさわしいのは 破 産 管 財 人 である これを 行 使 してもしな くても, 表 意 者 ( 破 産 者 ) 本 人 の 自 由 財 産 には 原 則 として 影 響 がないと 考 えられるため, 破 産 者 本 人 に 取 消 権 を 限 定 する 必 要 性 は 乏 しい また, 表 意 者 の 相 手 方 にとっても, 表 意 者 の 破 産 管 財 人 が 取 消 権 を 行 使 することが 認 められたとしても, 特 段 の 不 利 益 はない 以 上 からすれば, 錯 誤 に 基 づく 意 思 表 示 後 に 表 意 者 が 破 産 し, 破 産 管 財 人 が 選 任 された 3

場 合 においては, 破 産 管 財 人 が 表 意 者 の 錯 誤 を 理 由 とする 取 消 権 を 行 使 することができる ことを 明 らかにすべきである なお,この 理 は, 破 産 手 続 における 破 産 管 財 人 だけでなく, 倒 産 財 産 の 管 理 処 分 権 を 専 有 する 機 関 が 設 置 されるすべての 場 合 ( 各 手 続 における 保 全 管 理 人 民 事 再 生 手 続 におい て 管 理 命 令 が 発 令 された 場 合 の 管 財 人 会 社 更 生 手 続 における 管 財 人 )に 同 様 に 当 てはま るのであり,この 種 の 規 定 は 民 法 ではなく 倒 産 各 法 に 置 くべきである 3 詐 欺 ( 民 法 第 96 条 関 係 ) 民 法 第 96 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 詐 欺 又 は 強 迫 による 意 思 表 示 は, 取 り 消 すことができるものとする (2) 相 手 方 のある 意 思 表 示 において, 相 手 方 から 契 約 の 締 結 について 媒 介 をすること の 委 託 を 受 けた 者 又 は 相 手 方 の 代 理 人 が 詐 欺 を 行 ったときも, 上 記 (1)と 同 様 とする (その 意 思 表 示 を 取 り 消 すことができる)ものとする (3) 相 手 方 のある 意 思 表 示 について 第 三 者 が 詐 欺 を 行 った 場 合 においては, 上 記 (2)の 場 合 を 除 き, 相 手 方 がその 事 実 を 知 り, 又 は 知 ることができたときに 限 り,その 意 思 表 示 を 取 り 消 すことができるものとする (4) 詐 欺 による 意 思 表 示 の 取 消 しは, 善 意 でかつ 過 失 がない 第 三 者 に 対 抗 することが できないものとする ( 注 ) 上 記 (2)については, 媒 介 受 託 者 及 び 代 理 人 のほか,その 行 為 について 相 手 方 が 責 任 を 負 うべき 者 が 詐 欺 を 行 ったときも 上 記 (1)と 同 様 とする 旨 の 規 定 を 設 けるという 考 え 方 がある 現 行 規 定 判 例 通 説 に 沿 うものであり 妥 当 である 4 意 思 表 示 の 効 力 発 生 時 期 等 ( 民 法 第 97 条 関 係 ) 民 法 第 97 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 相 手 方 のある 意 思 表 示 は, 相 手 方 に 到 達 した 時 からその 効 力 を 生 ずるものとする (2) 上 記 (1)の 到 達 とは, 相 手 方 が 意 思 表 示 を 了 知 したことのほか, 次 に 掲 げることを いうものとする ア 相 手 方 又 は 相 手 方 のために 意 思 表 示 を 受 ける 権 限 を 有 する 者 ( 以 下 この 項 目 に おいて 相 手 方 等 という )の 住 所, 常 居 所, 営 業 所, 事 務 所 又 は 相 手 方 等 が 意 思 表 示 の 通 知 を 受 けるべき 場 所 として 指 定 した 場 所 において, 意 思 表 示 を 記 載 した 書 面 が 配 達 されたこと イ その 他, 相 手 方 等 が 意 思 表 示 を 了 知 することができる 状 態 に 置 かれたこと (3) 相 手 方 のある 意 思 表 示 が 通 常 到 達 すべき 方 法 でされた 場 合 において, 相 手 方 等 が 4

正 当 な 理 由 がないのに 到 達 に 必 要 な 行 為 をしなかったためにその 意 思 表 示 が 相 手 方 に 到 達 しなかったときは,その 意 思 表 示 は, 通 常 到 達 すべきであった 時 に 到 達 した とみなすものとする (4) 隔 地 者 に 対 する 意 思 表 示 は, 表 意 者 が 通 知 を 発 した 後 に 死 亡 し, 意 思 能 力 を 喪 失 し, 又 は 行 為 能 力 の 制 限 を 受 けたときであっても,そのためにその 効 力 を 妨 げられ ないものとする 現 行 規 定 判 例 通 説 に 沿 うものであり 妥 当 である 5 意 思 表 示 の 受 領 能 力 ( 民 法 第 98 条 の2 関 係 ) 民 法 第 98 条 の2の 規 律 に 付 け 加 えて, 次 のような 規 定 を 設 けるものとする 意 思 表 示 の 相 手 方 がその 意 思 表 示 を 受 けた 時 に 意 思 能 力 を 欠 く 状 態 であったときは, その 意 思 表 示 をもってその 相 手 方 に 対 抗 することができないものとする ただし, 意 思 能 力 を 欠 く 状 態 であった 相 手 方 が 意 思 能 力 を 回 復 した 後 にその 意 思 表 示 を 知 った 後 は,この 限 りでないものとする 規 律 として 妥 当 である 第 4 代 理 1 代 理 行 為 の 要 件 及 び 効 果 ( 民 法 第 99 条 第 1 項 関 係 ) 民 法 第 99 条 第 1 項 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 代 理 人 がその 権 限 内 において 本 人 のためにすることを 示 してした 意 思 表 示 は, 本 人 に 対 して 直 接 にその 効 力 を 生 ずるものとする (2) 代 理 人 がその 権 限 内 において 自 らを 本 人 であると 称 してした 意 思 表 示 もまた, 本 人 に 対 して 直 接 にその 効 力 を 生 ずるものとする 現 行 規 定 を 維 持 するものであり 妥 当 である 5

2 代 理 行 為 の 瑕 疵 ( 民 法 第 101 条 関 係 ) 民 法 第 101 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 代 理 人 が 相 手 方 に 対 してした 意 思 表 示 の 効 力 が, 意 思 の 不 存 在, 詐 欺, 強 迫 又 は ある 事 情 を 知 っていたこと 若 しくは 知 らなかったことにつき 過 失 があったことによ って 影 響 を 受 けるべき 場 合 には,その 事 実 の 有 無 は, 代 理 人 について 決 するものと する (2) 相 手 方 が 代 理 人 に 対 してした 意 思 表 示 の 効 力 が, 意 思 表 示 を 受 けた 者 がある 事 情 を 知 っていたこと 又 は 知 らなかったことにつき 過 失 があったことによって 影 響 を 受 けるべき 場 合 には,その 事 実 の 有 無 は, 代 理 人 について 決 するものとする (3) 本 人 が 知 っていた 事 情 について, 本 人 がこれを 任 意 代 理 人 に 告 げることが 相 当 で あった 場 合 には, 本 人 は, 任 意 代 理 人 がその 事 情 を 知 らなかったことを 主 張 するこ とができないものとする (4) 本 人 が 過 失 によって 知 らなかった 事 情 について, 本 人 がこれを 知 って 任 意 代 理 人 に 告 げることが 相 当 であった 場 合 には, 本 人 は, 任 意 代 理 人 がその 事 情 を 過 失 なく 知 らなかったことを 主 張 することができないものとする 現 行 規 定 の 内 容 を 明 確 にするものであり 妥 当 である 3 代 理 人 の 行 為 能 力 ( 民 法 第 102 条 関 係 ) 民 法 第 102 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 制 限 行 為 能 力 者 が 代 理 人 である 場 合 において,その 者 が 代 理 人 としてした 行 為 は, 行 為 能 力 の 制 限 によっては 取 り 消 すことができないものとする (2) 上 記 (1)にかかわらず, 制 限 行 為 能 力 者 が 他 の 制 限 行 為 能 力 者 の 法 定 代 理 人 である 場 合 において, 当 該 法 定 代 理 人 が 代 理 人 としてした 行 為 が 当 該 法 定 代 理 人 を 当 事 者 としてした 行 為 であるとすれば 取 り 消 すことができるものであるときは, 本 人 又 は 民 法 第 120 条 第 1 項 に 規 定 する 者 は, 当 該 行 為 を 取 り 消 すことができるものとす る 現 行 規 定 の 内 容 を 明 確 にするものであり 妥 当 である 6

4 代 理 人 の 権 限 ( 民 法 第 103 条 関 係 ) 民 法 第 103 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 任 意 代 理 人 は, 代 理 権 の 発 生 原 因 である 法 律 行 為 によって 定 められた 行 為 をす る 権 限 を 有 するものとする (2) 法 定 代 理 人 は, 法 令 によって 定 められた 行 為 をする 権 限 を 有 するものとする (3) 上 記 (1) 及 び(2)によって 代 理 人 の 権 限 が 定 まらない 場 合 には, 代 理 人 は, 次 に 掲 げる 行 為 のみをする 権 限 を 有 するものとする ア 保 存 行 為 イ 代 理 の 目 的 である 物 又 は 権 利 の 性 質 を 変 えない 範 囲 内 において,その 利 用 又 は 改 良 を 目 的 とする 行 為 規 律 として 妥 当 である 5 復 代 理 人 を 選 任 した 任 意 代 理 人 の 責 任 ( 民 法 第 105 条 関 係 ) 民 法 第 105 条 を 削 除 するものとする 現 行 民 法 105 条 は, 本 人 と 代 理 人 との 間 の 対 内 関 係 に 関 する 規 定 であり, 代 理 に 置 く べき 規 定 ではない 6 自 己 契 約 及 び 双 方 代 理 等 ( 民 法 第 108 条 関 係 ) 民 法 第 108 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 代 理 人 が 自 己 を 相 手 方 とする 行 為 をした 場 合 又 は 当 事 者 双 方 の 代 理 人 として 行 為 をした 場 合 には, 当 該 行 為 は, 代 理 権 を 有 しない 者 がした 行 為 とみなすものとする (2) 上 記 (1)は, 次 のいずれかに 該 当 する 場 合 には, 適 用 しないものとする ア 代 理 人 がした 行 為 が, 本 人 があらかじめ 許 諾 したものである 場 合 イ 代 理 人 がした 行 為 が, 本 人 の 利 益 を 害 さないものである 場 合 (3) 代 理 人 がした 行 為 が 上 記 (1)の 要 件 を 満 たさない 場 合 であっても,その 行 為 が 代 理 人 と 本 人 との 利 益 が 相 反 するものであるときは, 上 記 (1) 及 び(2)を 準 用 するものと する ( 注 1) 上 記 (1)については, 無 権 代 理 行 為 とみなして 本 人 が 追 認 の 意 思 表 示 をしない 限 り 当 然 に 効 果 不 帰 属 とするのではなく, 本 人 の 意 思 表 示 によって 効 果 不 帰 属 と 7

することができるという 構 成 を 採 るという 考 え 方 がある ( 注 2) 上 記 (3)については, 規 定 を 設 けない( 解 釈 に 委 ねる)という 考 え 方 がある 規 律 として 妥 当 である 7 代 理 権 の 濫 用 (1) 代 理 人 が 自 己 又 は 他 人 の 利 益 を 図 る 目 的 で 代 理 権 の 範 囲 内 の 行 為 をした 場 合 にお いて, 相 手 方 が 当 該 目 的 を 知 り, 又 は 重 大 な 過 失 によって 知 らなかったときは, 本 人 は, 相 手 方 に 対 し, 当 該 行 為 の 効 力 を 本 人 に 対 して 生 じさせない 旨 の 意 思 表 示 を することができるものとする (2) 上 記 (1)の 意 思 表 示 がされた 場 合 には, 上 記 (1)の 行 為 は, 初 めから 本 人 に 対 して その 効 力 を 生 じなかったものとみなすものとする (3) 上 記 (1)の 意 思 表 示 は, 第 三 者 が 上 記 (1)の 目 的 を 知 り, 又 は 重 大 な 過 失 によって 知 らなかった 場 合 に 限 り, 第 三 者 に 対 抗 することができるものとする ( 注 ) 上 記 (1)については, 本 人 が 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 をすることができるとする のではなく, 当 然 に 無 効 とするという 考 え 方 がある 反 対 する なお 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 を 行 うことができるものと 変 更 する 場 合, 代 理 権 濫 用 行 為 の 後 に 本 人 が 破 産 し, 破 産 管 財 人 が 選 任 された 場 合 においては, 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 を 破 産 管 財 人 が 行 うことができることを 明 らかにすべきである この 理 は, 破 産 手 続 における 破 産 管 財 人 だけでなく, 倒 産 財 産 の 管 理 処 分 権 を 専 有 する 機 関 が 設 置 されるすべての 場 合 ( 各 手 続 における 保 全 管 理 人 民 事 再 生 手 続 において 管 理 命 令 が 発 令 された 場 合 の 管 財 人 会 社 更 生 手 続 における 管 財 人 )に 同 様 に 当 てはまるので あり,この 種 の 規 定 は 民 法 ではなく 倒 産 各 法 に 置 くべきである 代 理 権 濫 用 行 為 の 効 果 につき, 相 手 方 が 悪 意 又 は 重 過 失 の 場 合, 本 人 は, 相 手 方 に 対 し, 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 をすることによって, 遡 及 的 に 効 果 不 帰 属 という 効 果 が 生 じるとの 規 定 を 新 たに 設 けることとされていることについては, 法 定 代 理 の 場 合 の 本 人 保 護 を 図 る ことができるのか, 及 び 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 の 時 的 限 界 や, 催 告 制 度 の 導 入 等, 詰 める べき 課 題 が 多 く, 賛 成 できない それ 故, 現 状 では 判 例 ( 最 判 昭 和 42 年 4 月 20 日 民 集 21 巻 3 号 697 頁 )の 結 論 に 従 い 無 効 とするのが 妥 当 である なお, 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 を 行 うことができるものと 変 更 する 場 合, 一 般 に,あ る 意 思 表 示 が 無 効 であるならば, 本 来 であれば,その 効 果 は 誰 からでも 主 張 できるはずで 8

あるところ, 代 理 権 濫 用 行 為 後 に 本 人 が 破 産 し, 破 産 管 財 人 が 選 任 された 場 合 において, 本 人 において 行 使 することが 可 能 であった 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 を 破 産 管 財 人 が 行 使 することができるか 否 か, 必 ずしも 明 らかではない しかし,このような 場 合 において, 当 該 代 理 権 濫 用 行 為 の 効 果 を 本 人 に 帰 属 させないこ とにより 破 産 財 団 が 増 殖 するのであれば, 破 産 管 財 人 による 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 を 認 め るべき 必 要 性 は 高 い 破 産 手 続 開 始 後 は, 破 産 者 は 破 産 財 団 に 帰 属 する 財 産 の 管 理 処 分 権 を 失 い,これが 破 産 管 財 人 に 専 属 することからすれば, 破 産 財 団 に 帰 属 する 財 産 が 増 殖 す るか 否 かを 考 慮 して 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 をするか 否 かを 判 断 するのにふさわしいのは 破 産 管 財 人 である 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 をしてもしなくても, 本 人 ( 破 産 者 )の 自 由 財 産 には 原 則 として 影 響 がないと 考 えられるため, 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 を 本 人 が 行 うことを 認 める 必 要 性 は 乏 しい また, 代 理 権 濫 用 行 為 の 相 手 方 にとっても, 本 人 の 破 産 管 財 人 が 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 を 行 うことが 認 められたとしても, 特 段 の 不 利 益 はない 以 上 からすれば, 代 理 権 濫 用 行 為 の 後 に 本 人 が 破 産 して 破 産 管 財 人 が 選 任 された 場 合 に は, 効 果 不 帰 属 の 意 思 表 示 を 破 産 管 財 人 が 行 うことができることを 明 らかにすべきである なお,この 理 は, 破 産 手 続 における 破 産 管 財 人 だけでなく, 倒 産 財 産 の 管 理 処 分 権 を 専 有 する 機 関 が 設 置 されるすべての 場 合 ( 各 手 続 における 保 全 管 理 人 民 事 再 生 手 続 におい て 管 理 命 令 が 発 令 された 場 合 の 管 財 人 会 社 更 生 手 続 における 管 財 人 )に 同 様 に 当 てはま るのであり,この 種 の 規 定 は 民 法 ではなく 倒 産 各 法 に 置 くべきである 8 代 理 権 授 与 の 表 示 による 表 見 代 理 ( 民 法 第 109 条 関 係 ) 民 法 第 109 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 本 人 が 相 手 方 に 対 して 他 人 に 代 理 権 を 与 えた 旨 を 表 示 した 場 合 において,その 他 人 がその 表 示 された 代 理 権 の 範 囲 内 の 行 為 をしたときは, 本 人 は, 当 該 行 為 につ いて,その 責 任 を 負 うものとする ただし, 相 手 方 が,その 他 人 がその 表 示 された 代 理 権 を 与 えられていないことを 知 り, 又 は 過 失 によって 知 らなかったときは,こ の 限 りでないものとする (2) 上 記 (1)の 他 人 がその 表 示 された 代 理 権 の 範 囲 外 の 行 為 をした 場 合 において, 相 手 方 が 当 該 行 為 についてその 他 人 の 代 理 権 があると 信 ずべき 正 当 な 理 由 があるときは, 本 人 は, 当 該 行 為 について,その 責 任 を 負 うものとする ただし, 相 手 方 が,その 他 人 がその 表 示 された 代 理 権 を 与 えられていないことを 知 り, 又 は 過 失 によって 知 らなかったときは,この 限 りでないものとする 現 行 規 定 の 内 容 を 明 確 にするものであり,また, 判 例 の 法 文 化 であり 妥 当 である 9 権 限 外 の 行 為 の 表 見 代 理 ( 民 法 第 110 条 関 係 ) 9

民 法 第 110 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 代 理 人 がその 権 限 外 の 行 為 をした 場 合 において, 相 手 方 が 代 理 人 の 権 限 があると 信 ずべき 正 当 な 理 由 があるときは, 本 人 は, 当 該 行 為 について,その 責 任 を 負 うも のとする (2) 代 理 人 が 自 らを 本 人 であると 称 してその 権 限 外 の 行 為 をした 場 合 において, 相 手 方 が 代 理 人 の 行 為 が 本 人 自 身 の 行 為 であると 信 ずべき 正 当 な 理 由 があるときは, 本 人 は, 当 該 行 為 について,その 責 任 を 負 うものとする 現 行 規 定 の 内 容 を 明 確 にするものであり,また, 判 例 の 法 文 化 であり 妥 当 である 10 代 理 権 消 滅 後 の 表 見 代 理 ( 民 法 第 112 条 関 係 ) 民 法 第 112 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 代 理 人 であった 者 が 代 理 権 の 消 滅 後 にその 代 理 権 の 範 囲 内 の 行 為 をした 場 合 にお いて, 相 手 方 がその 代 理 権 の 消 滅 の 事 実 を 知 らなかったときは, 本 人 は, 当 該 行 為 について,その 責 任 を 負 うものとする ただし, 相 手 方 がその 代 理 権 の 消 滅 の 事 実 を 知 らなかったことにつき 過 失 があったときは,この 限 りでないものとする (2) 代 理 人 であった 者 が 代 理 権 の 消 滅 後 にその 代 理 権 の 範 囲 外 の 行 為 をした 場 合 にお いて, 相 手 方 が,その 代 理 権 の 消 滅 の 事 実 を 知 らず,かつ, 当 該 行 為 についてその 者 の 代 理 権 があると 信 ずべき 正 当 な 理 由 があるときは, 本 人 は, 当 該 行 為 について, その 責 任 を 負 うものとする ただし, 相 手 方 がその 代 理 権 の 消 滅 の 事 実 を 知 らなか ったことにつき 過 失 があったときは,この 限 りでないものとする 判 例 の 法 文 化 であり 妥 当 である 11 無 権 代 理 人 の 責 任 ( 民 法 第 117 条 関 係 ) 民 法 第 117 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 他 人 の 代 理 人 として 契 約 をした 者 は,その 代 理 権 を 有 していた 場 合 又 は 本 人 の 追 認 を 得 た 場 合 を 除 き, 相 手 方 の 選 択 に 従 い, 相 手 方 に 対 して 履 行 又 は 損 害 賠 償 の 責 任 を 負 うものとする (2) 上 記 (1)は, 次 のいずれかに 該 当 する 場 合 には, 適 用 しないものとする ア 他 人 の 代 理 人 として 契 約 をした 者 が 代 理 権 を 有 しないことを 相 手 方 が 知 ってい 10

た 場 合 イ 他 人 の 代 理 人 として 契 約 をした 者 が 代 理 権 を 有 しないことを 相 手 方 が 過 失 によ って 知 らなかった 場 合 ただし, 他 人 の 代 理 人 として 契 約 をした 者 が 自 己 に 代 理 権 がないことを 自 ら 知 っていたときを 除 くものとする ウ 他 人 の 代 理 人 として 契 約 をした 者 が 自 己 に 代 理 権 がないことを 知 らなかった 場 合 ただし, 重 大 な 過 失 によって 知 らなかったときを 除 くものとする エ 他 人 の 代 理 人 として 契 約 をした 者 が 行 為 能 力 を 有 しなかった 場 合 規 律 として 妥 当 である 12 授 権 ( 処 分 権 授 与 ) (1) 他 人 に 対 し,その 他 人 を 当 事 者 とする 法 律 行 為 によって 自 己 の 所 有 権 その 他 の 権 利 を 処 分 する 権 限 を 与 えた 場 合 において,その 他 人 が 相 手 方 との 間 で 当 該 法 律 行 為 をしたときは, 当 該 権 利 は, 相 手 方 に 直 接 移 転 するものとする この 場 合 において, 当 該 権 利 を 有 していた 者 は, 相 手 方 に 対 し,その 他 人 と 相 手 方 との 間 の 法 律 行 為 に おいてその 他 人 が 相 手 方 に 対 して 主 張 することのできる 事 由 を, 主 張 することがで きるものとする (2) 上 記 (1)の 場 合 については,その 性 質 に 反 しない 限 り, 代 理 に 関 する 規 定 を 準 用 す るものとする ( 注 ) 授 権 に 関 する 規 定 は 設 けない( 解 釈 に 委 ねる)という 考 え 方 がある わかりやすい 民 法 の 実 現 に 資 する 第 5 無 効 及 び 取 消 し 1 法 律 行 為 の 一 部 無 効 法 律 行 為 の 一 部 が 無 効 となる 場 合 であっても, 法 律 行 為 のその 余 の 部 分 の 効 力 は 妨 げられないものとする ただし, 当 該 一 部 が 無 効 であることを 知 っていれば 当 事 者 が その 法 律 行 為 をしなかったと 認 められる 場 合 には,その 法 律 行 為 は 無 効 とするものと する ( 注 ) このような 規 定 を 設 けないという 考 え 方 がある 11

規 律 として 妥 当 である 2 無 効 な 法 律 行 為 の 効 果 (1) 無 効 な 法 律 行 為 ( 取 り 消 されたために 無 効 であったとみなされた 法 律 行 為 を 含 む )に 基 づく 債 務 の 履 行 として 給 付 を 受 けた 者 は,その 給 付 を 受 けたもの 及 びそ れから 生 じた 果 実 を 返 還 しなければならないものとする この 場 合 において, 給 付 を 受 けたもの 及 びそれから 生 じた 果 実 の 返 還 をすることができないときは,その 価 額 の 償 還 をしなければならないものとする (2) 上 記 (1)の 無 効 な 法 律 行 為 が 有 償 契 約 である 場 合 において, 給 付 を 受 けた 者 が 給 付 を 受 けた 当 時,その 法 律 行 為 の 無 効 であること 又 は 取 り 消 すことができることを 知 らなかったときは, 給 付 を 受 けたものの 価 額 の 償 還 義 務 は, 給 付 を 受 けた 者 が 当 該 法 律 行 為 に 基 づいて 給 付 し 若 しくは 給 付 すべきであった 価 値 の 額 又 は 現 に 受 けてい る 利 益 の 額 のいずれか 多 い 額 を 限 度 とするものとする (3) 上 記 (1)の 無 効 な 法 律 行 為 が 有 償 契 約 以 外 の 法 律 行 為 である 場 合 において, 給 付 を 受 けた 者 が 給 付 を 受 けた 当 時,その 法 律 行 為 の 無 効 であること 又 は 取 り 消 すことが できることを 知 らなかったときは, 給 付 を 受 けた 者 は,それを 知 った 時 点 でその 法 律 行 為 によって 現 に 利 益 を 受 けていた 限 度 において 上 記 (1)の 返 還 の 義 務 を 負 うも のとする (4) 民 法 第 121 条 ただし 書 の 規 律 に 付 け 加 えて, 次 のような 規 定 を 設 けるものとす る 意 思 能 力 を 欠 く 状 態 で 法 律 行 為 をした 者 は,その 法 律 行 為 によって 現 に 利 益 を 受 けている 限 度 において, 返 還 の 義 務 を 負 うものとする ただし, 意 思 能 力 を 欠 く 状 態 で 法 律 行 為 をした 者 が 意 思 能 力 を 回 復 した 後 にその 行 為 を 了 知 したときは,そ の 了 知 をした 時 点 でその 法 律 行 為 によって 現 に 利 益 を 受 けていた 限 度 において, 返 還 の 義 務 を 負 うものとする ( 注 ) 上 記 (2)については, 給 付 を 受 けた 者 が 当 該 法 律 行 為 に 基 づいて 給 付 し 若 し くは 給 付 すべきであった 価 値 の 額 又 は 現 に 受 けている 利 益 の 額 のいずれか 多 い 額 を 限 度 とするのではなく, 給 付 を 受 けた 者 が 当 該 法 律 行 為 に 基 づいて 給 付 し 若 しくは 給 付 すべきであった 価 値 の 額 を 限 度 とするという 考 え 方 がある 規 律 として 妥 当 である 12

3 追 認 の 効 果 ( 民 法 第 122 条 関 係 ) 民 法 第 122 条 ただし 書 を 削 除 するものとする 民 法 122 条 ただし 書 には 適 用 場 面 がないので 削 除 に 4 取 り 消 すことができる 行 為 の 追 認 ( 民 法 第 124 条 関 係 ) 民 法 第 124 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 取 り 消 すことができる 行 為 の 追 認 は, 取 消 しの 原 因 となっていた 状 況 が 消 滅 し, かつ, 追 認 権 者 が 取 消 権 を 行 使 することができることを 知 った 後 にしなければ,そ の 効 力 を 生 じないものとする (2) 次 に 掲 げるいずれかの 場 合 には, 上 記 (1)の 追 認 は, 取 消 しの 原 因 となっていた 状 況 が 消 滅 した 後 にすることを 要 しないものとする ア 法 定 代 理 人 又 は 制 限 行 為 能 力 者 の 保 佐 人 若 しくは 補 助 人 が 追 認 をする 場 合 イ 制 限 行 為 能 力 者 ( 成 年 被 後 見 人 を 除 く )が 法 定 代 理 人, 保 佐 人 又 は 補 助 人 の 同 意 を 得 て 追 認 をする 場 合 現 行 規 定 の 内 容 を 明 確 にするものであり,また, 判 例 の 法 文 化 であり 妥 当 である 5 法 定 追 認 ( 民 法 第 125 条 関 係 ) 民 法 第 125 条 の 規 律 に, 法 定 追 認 事 由 として, 弁 済 の 受 領 及 び 担 保 権 の 取 得 を 付 け 加 えるものとする ( 注 ) 弁 済 の 受 領 及 び 担 保 権 の 取 得 を 付 け 加 えないという 考 え 方 がある 反 対 する 追 加 される 法 定 追 認 事 由 は, 追 認 権 者 の 落 ち 度 がない 場 合 でも 成 立 する 可 能 性 があるも のであり, 追 認 権 者 の 保 護 に 欠 けるので 反 対 する 6 取 消 権 の 行 使 期 間 ( 民 法 第 126 条 関 係 ) 13

民 法 第 126 条 の 規 律 を 改 め, 取 消 権 は, 追 認 をすることができる 時 から3 年 間 行 使 しないときは 時 効 によって 消 滅 するものとし, 行 為 の 時 から10 年 を 経 過 したとき も, 同 様 とするものとする ( 注 ) 民 法 第 126 条 の 規 律 を 維 持 するという 考 え 方 がある 反 対 する 現 行 規 定 については 特 段 問 題 なく, 改 正 する 必 要 性 が 認 められない 第 6 条 件 及 び 期 限 1 条 件 条 件 に 関 する 民 法 第 127 条 から 第 134 条 までの 規 律 は, 基 本 的 に 維 持 した 上 で, 次 のように 改 めるものとする (1) 民 法 第 127 条 に 条 件 という 用 語 の 定 義 を 付 け 加 え, 条 件 とは, 法 律 行 為 の 効 力 の 発 生 消 滅 又 は 債 務 の 履 行 を 将 来 発 生 することが 不 確 実 な 事 実 の 発 生 に 係 らしめ る 特 約 をいうものとする (2) 民 法 第 130 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする ア 条 件 が 成 就 することによって 不 利 益 を 受 ける 当 事 者 が, 条 件 を 付 した 趣 旨 に 反 して 故 意 にその 条 件 の 成 就 を 妨 げたときは, 相 手 方 は,その 条 件 が 成 就 したもの とみなすことができるものとする イ 条 件 が 成 就 することによって 利 益 を 受 ける 当 事 者 が, 条 件 を 付 した 趣 旨 に 反 し て 故 意 にその 条 件 を 成 就 させたときは, 相 手 方 は,その 条 件 が 成 就 しなかったも のとみなすことができるものとする わかりやすい 民 法 の 実 現 に 資 する 2 期 限 期 限 に 関 する 民 法 第 135 条 から 第 137 条 までの 規 律 は, 基 本 的 に 維 持 した 上 で, 次 のように 改 めるものとする (1) 民 法 第 135 条 に 期 限 という 用 語 の 定 義 を 付 け 加 え, 期 限 とは, 法 律 行 為 の 効 力 の 発 生 消 滅 又 は 債 務 の 履 行 を 将 来 発 生 することが 確 実 な 事 実 の 発 生 に 係 らしめる 特 約 をいうものとする (2) 民 法 第 135 条 第 1 項 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする 14

ア 法 律 行 為 に 始 期 を 付 したときは,その 法 律 行 為 の 効 力 は, 期 限 が 到 来 した 時 に 発 生 するものとする イ 債 務 の 履 行 に 始 期 を 付 したときは, 期 限 が 到 来 するまで,その 履 行 を 請 求 する ことができないものとする (3) 民 法 第 137 条 第 2 号 の 規 律 を 改 め, 債 務 者 が,その 義 務 に 反 して, 担 保 を 滅 失 させ, 損 傷 させ, 又 は 減 少 させたときは, 債 務 者 は, 期 限 の 利 益 を 主 張 することが できないものとする ただし, 民 法 137 条 1 号 は 削 除 すべきである 1 法 制 審 議 会 での 議 論 の 経 過 民 法 137 条 1 号 の 改 正 についての 法 制 審 議 会 の 議 論 は, 債 務 者 について 破 産 手 続 開 始 決 定 がされた 場 合 の 破 産 債 権 の 期 限 については 破 産 法 103 条 3 項 の 規 定 に 委 ね, 財 団 債 権 の 期 限 については 解 釈 に 委 ねることとして, 民 法 の 規 定 からは 債 務 者 について 破 産 手 続 開 始 決 定 がされた 場 合 を, 期 限 が 到 来 する 事 由 から 除 外 する 旨 の 提 案 がなされたことに 始 まる( 債 権 法 改 正 の 基 本 方 針 79 頁 ( 別 冊 NBL/No126,2009 年 )) 当 初 は 民 法 137 条 1 号 の 削 除 について, 破 産 法 148 条 3 項 による 財 団 債 権 の 現 在 化 については, 破 産 手 続 の 終 了 までに 相 当 期 間 を 要 すると 見 込 まれ,かつ, 財 団 債 権 の 履 行 期 が 破 産 手 続 中 に 到 来 すると 見 込 まれるとき, 殊 さら 現 在 化 する 必 要 はない とする 見 解 が 現 在 では 多 数 ではないかと 見 られる その 点 で, 破 産 債 権 と 財 団 債 権 を 区 別 しない 民 法 137 条 1 号 の 規 律 は 誤 解 を 招 くおそれがあると 考 える との 意 見 もあった( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 の 第 12 回 会 議 議 事 録 ( 平 成 22 年 7 月 20 日 )) その 後, 破 産 法 に 委 ねて 民 法 の 当 該 規 定 を 削 除 するかどうかについて, 更 に 検 討 して はどうか との 意 見 が 出 た( 民 法 ( 債 権 関 係 )の 改 正 に 関 する 中 間 的 な 論 点 整 理 ( 平 成 23 年 4 月 12 日 )) これを 受 けて, 分 科 会 においては 二 つの 案 が 示 された 第 一 案 は 民 法 137 条 1 号 を 削 除 するものであり, 第 二 案 は, 同 号 を 残 しつつ 例 えば 括 弧 で 破 産 法 に 別 の 定 めがあると きはこの 限 りでないといった 破 産 法 の 規 律 と 整 合 性 を 取 る 形 で 規 定 を 置 く というもので ある( 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 3 分 科 会 第 1 回 会 議 議 事 録 ( 平 成 23 年 12 月 27 日 )) しかし,その 後, 法 制 審 議 会 民 法 ( 債 権 関 係 ) 部 会 第 65 回 会 議 ( 平 成 24 年 12 月 1 8 日 開 催 )では 論 点 として 取 り 上 げられず, 以 降,この 点 について 議 論 がなされていない 2 結 論 以 上 のとおり, 民 法 137 条 1 号 は, 破 産 法 の 規 律 と 整 合 性 がとれていない また, 実 務 的 にも, 同 号 を 存 続 させると, 財 団 債 権 についても 一 律 に 期 限 の 利 益 を 喪 失 する 事 態 が 生 じ, 遅 延 損 害 金 の 発 生 等 により 破 産 財 団 が 毀 損 するおそれがある 一 方, 同 号 を 存 続 さ せる 理 由 としては, 契 約 上 の 特 約 の 有 効 性 の 解 釈 において 指 標 としての 意 味 がある,とい 15

う 程 度 の 弱 い 理 由 しかない また, 分 科 会 においては,1 民 法 137 条 1 号 を 削 除 する 考 え 方 と,2 破 産 法 との 調 整 という 観 点 から, 破 産 法 によれば 期 限 の 利 益 を 主 張 することができるものとされる 場 合 を 除 くといった 文 言 を 付 け 加 えることによって, 民 法 137 条 1 号 を 存 置 するという 考 え 方 しか 議 論 されておらず, 何 の 留 保 も 付 けずに, 現 行 の 条 文 を 存 続 させることは 不 合 理 であ る したがって, 民 法 137 条 1 号 は 削 除 すべきである 第 7 消 滅 時 効 1 職 業 別 の 短 期 消 滅 時 効 の 廃 止 民 法 第 170 条 から 第 174 条 までを 削 除 するものとする 条 件 付 賛 成 弁 護 士 法 倒 産 各 法 その 他 の 法 律 に, 弁 護 士 一 般 又 は 破 産 管 財 人 その 他 法 的 倒 産 手 続 における 各 機 関 の 書 類 保 管 義 務 の 期 間 ( 現 行 法 上 は3 年 間 )を 定 める 規 定 (す なわち, 現 行 民 法 171 条 と 同 様 の 規 定 )を 別 途 新 設 するのであれば, 民 法 における 職 業 別 の 短 期 消 滅 時 効 についての 規 定 を 廃 止 することに 1 弁 護 士 の 職 務 に 適 用 される 短 期 消 滅 時 効 制 度 の 趣 旨 短 期 消 滅 時 効 制 度 のうち 弁 護 士 の 職 務 に 適 用 される 規 定 について 見 ると, 書 類 に 関 する 債 権 につき3 年 ( 現 行 民 法 171 条 ), 職 務 に 関 する 債 権 につき2 年 ( 法 172 条 )と 規 定 するが, 同 じ 職 務 を 遂 行 する 上 で 生 じる 債 権 間 の 消 滅 時 効 期 間 に 差 異 を 設 ける 合 理 的 な 理 由 があるのか 疑 問 である したがって, 弁 護 士 の 職 務 に 適 用 される 短 期 消 滅 時 効 の 規 定 を 廃 止 することに 異 論 はない 2 倒 産 処 理 実 務 における 保 管 書 類 の 早 期 処 理 を 行 う 必 要 性 と 合 理 性 破 産 手 続 においては, 手 続 が 終 了 すると 商 業 帳 簿 等 の 保 存 義 務 は 破 産 者 に 復 すると 解 さ れるため, 破 産 者 や 破 産 者 の 代 表 者 に 対 し 帳 簿 等 を 引 き 渡 せば 足 りるはずであるが, 事 実 上 困 難 であることが 多 い このような 場 合 には, 破 産 手 続 終 結 後 も 破 産 管 財 人 が 帳 簿 等 を 引 き 続 き 保 管 する 必 要 がある この 点 について, 東 京 地 方 裁 判 所 破 産 再 生 部 においては, 破 産 手 続 の 終 了 時 から3 年 間 保 存 した 後 は 帳 簿 等 を 廃 棄 して 差 し 支 えないという 取 扱 いを 行 っている( 東 京 地 裁 破 産 実 務 研 究 会 破 産 管 財 の 手 引 き[ 増 補 版 ] [ 橋 本 和 美 執 筆 部 分 ] 340 頁 以 下 (きんざい 2012 年 )) また,このような 取 扱 いの 論 拠 として 民 法 1 71 条 を 挙 げる 見 解 も 存 在 する( 鶴 巻 暁 破 産 管 財 人 の 書 類 保 管 期 間 全 国 倒 産 処 理 弁 護 士 ネットワーク 編 破 産 実 務 Q&A200 問 177 頁 (きんざい 2012 年 ), 大 阪 地 方 裁 判 所 大 阪 弁 護 士 会 破 産 管 財 運 用 検 討 プロジェクトチーム 新 版 破 産 管 財 手 続 の 運 用 と 書 式 305 頁 以 下 ( 新 日 本 法 規 2009 年 )) このように 破 産 管 財 人 に 帳 簿 等 の 早 期 処 理 を 認 める 根 拠 としては, 書 類 を 大 量 に 保 管 し なければならないのは 非 常 に 煩 雑 であるため 早 期 に 書 類 の 保 管 義 務 から 解 放 する 必 要 性 が 16

ある 一 方 で, 破 産 手 続 ( 債 権 調 査 確 定 等 )を 通 じて 一 旦 権 利 関 係 を 確 定 させた 以 上, 帳 簿 等 を 第 三 者 に 開 示 することに 備 え 長 期 に 亘 り 保 存 させる 意 味 が 乏 しい 点 が 考 えられる いずれの 点 も, 破 産 管 財 人 による 帳 簿 等 の 早 期 処 理 を 認 めるに 足 る 必 要 性 及 び 合 理 性 があ るものといえよう したがって, 上 記 のとおり, 弁 護 士 法 倒 産 諸 法 その 他 の 法 律 に, 弁 護 士 一 般 又 は 破 産 管 財 人 その 他 法 的 倒 産 手 続 における 各 機 関 の 書 類 保 管 義 務 の 期 間 ( 現 行 法 上 は3 年 間 )を 定 める 規 定 (すなわち, 現 行 民 法 171 条 と 同 様 の 規 定 )を 別 途 新 設 するのであれば, 民 法 における 職 業 別 の 短 期 消 滅 時 効 についての 規 定 を 廃 止 することに 2 債 権 の 消 滅 時 効 における 原 則 的 な 時 効 期 間 と 起 算 点 甲 案 権 利 を 行 使 することができる 時 ( 民 法 第 166 条 第 1 項 )という 起 算 点 を 維 持 した 上 で,10 年 間 ( 同 法 第 167 条 第 1 項 )という 時 効 期 間 を5 年 間 に 改 めるものとする 乙 案 権 利 を 行 使 することができる 時 ( 民 法 第 166 条 第 1 項 )という 起 算 点 か ら10 年 間 ( 同 法 第 167 条 第 1 項 )という 時 効 期 間 を 維 持 した 上 で, 債 権 者 が 債 権 発 生 の 原 因 及 び 債 務 者 を 知 った 時 ( 債 権 者 が 権 利 を 行 使 することがで きる 時 より 前 に 債 権 発 生 の 原 因 及 び 債 務 者 を 知 っていたときは, 権 利 を 行 使 す ることができる 時 ) という 起 算 点 から[3 年 間 /4 年 間 /5 年 間 ]という 時 効 期 間 を 新 たに 設 け,いずれかの 時 効 期 間 が 満 了 した 時 に 消 滅 時 効 が 完 成 する ものとする ( 注 ) 甲 案 と 同 様 に 権 利 を 行 使 することができる 時 ( 民 法 第 166 条 第 1 項 )という 起 算 点 を 維 持 するとともに,10 年 間 ( 同 法 第 167 条 第 1 項 )という 時 効 期 間 も 維 持 した 上 で, 事 業 者 間 の 契 約 に 基 づく 債 権 につ いては5 年 間, 消 費 者 契 約 に 基 づく 事 業 者 の 消 費 者 に 対 する 債 権 について は3 年 間 の 時 効 期 間 を 新 たに 設 けるという 考 え 方 がある 時 効 期 間 を 短 縮 することに 反 対 する 時 効 期 間 を 短 縮 することについて 国 民 的 コンセンサスが 得 られているとはいえないので 反 対 する 3 定 期 金 債 権 の 消 滅 時 効 ( 民 法 第 168 条 第 1 項 関 係 ) (1) 民 法 第 168 条 第 1 項 前 段 の 規 律 を 改 め, 定 期 金 の 債 権 についての 消 滅 時 効 は, 次 の 場 合 に 完 成 するものとする ア 第 1 回 の 弁 済 期 から[10 年 間 ] 行 使 しないとき イ 最 後 に 弁 済 があった 時 において 未 払 となっている 給 付 がある 場 合 には, 最 後 の 弁 済 の 時 から[10 年 間 ] 行 使 しないとき 17

ウ 最 後 に 弁 済 があった 時 において 未 払 となっている 給 付 がない 場 合 には, 次 の 弁 済 期 から[10 年 間 ] 行 使 しないとき (2) 民 法 第 168 条 第 1 項 後 段 を 削 除 するものとする 規 律 として 妥 当 である 4 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 消 滅 時 効 ( 民 法 第 724 条 関 係 ) 民 法 第 724 条 の 規 律 を 改 め, 不 法 行 為 による 損 害 賠 償 の 請 求 権 は, 次 に 掲 げる 場 合 のいずれかに 該 当 するときは, 時 効 によって 消 滅 するものとする (1) 被 害 者 又 はその 法 定 代 理 人 が 損 害 及 び 加 害 者 を 知 った 時 から3 年 間 行 使 しないと き (2) 不 法 行 為 の 時 から20 年 間 行 使 しないとき 規 律 として 妥 当 である 5 生 命 身 体 の 侵 害 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 消 滅 時 効 生 命 身 体 [ 又 はこれらに 類 するもの]の 侵 害 による 損 害 賠 償 請 求 権 の 消 滅 時 効 につ いては, 前 記 2における 債 権 の 消 滅 時 効 における 原 則 的 な 時 効 期 間 に 応 じて,それより も 長 期 の 時 効 期 間 を 設 けるものとする ( 注 ) このような 特 則 を 設 けないという 考 え 方 がある 反 対 する 中 間 試 案 においては, 生 命 身 体 の 侵 害 による 損 害 賠 償 請 求 権 について, 原 則 的 な 時 効 期 間 よりも 長 期 の 時 効 期 間 を 設 けるという 考 え 方 が 示 されている このような 考 え 方 を 認 めることになれば, 同 一 の 原 因 に 基 づく 損 害 賠 償 請 求 権 について,その 損 害 項 目 に 応 じて 異 なる 時 期 に 消 滅 時 効 が 成 立 することになるが,そのこと 自 体 の 合 理 的 に 疑 問 があること に 加 えて, 生 命 身 体 の 侵 害 による 損 害 賠 償 請 求 権 といってもその 具 体 的 範 囲 が 明 確 でない 判 例 を 通 じて 明 確 になっていくにしても 相 当 の 長 期 間 を 要 すると 考 えられ, 長 期 18

間 にわたり 消 滅 時 効 の 成 否 が 不 明 確 な 状 態 に 置 かれることは 適 当 とは 言 い 難 い 倒 産 手 続 における 債 権 調 査 においても, 長 期 間 にわたり 必 要 以 上 の 混 乱 をもたらす 危 険 があり, 賛 成 できない 6 時 効 期 間 の 更 新 事 由 時 効 の 中 断 事 由 の 規 律 ( 民 法 第 147 条 ほか)を 次 のように 改 めるものとする (1) 時 効 期 間 は, 次 に 掲 げる 事 由 によって 更 新 されるものとする ア 確 定 判 決 によって 権 利 が 確 定 したこと イ 裁 判 上 の 和 解, 調 停 その 他 確 定 判 決 と 同 一 の 効 力 を 有 するものによって 権 利 が 確 定 したこと ウ 強 制 執 行 又 は 担 保 権 の 実 行 としての 競 売 の 手 続 が 終 了 したこと( 権 利 の 満 足 に 至 らない 場 合 に 限 る ) ただし, 当 該 手 続 が 権 利 者 の 請 求 により 又 は 法 律 の 規 定 に 従 わないことにより 取 り 消 されたときを 除 くものとする エ 相 手 方 の 権 利 を 承 認 したこと (2) 上 記 (1)ア 又 はイに 該 当 するときは,それぞれその 確 定 の 時 から, 新 たに[10 年 間 ]の 時 効 期 間 が 進 行 を 始 めるものとする (3) 上 記 (1)ウに 該 当 するときは 当 該 手 続 が 終 了 した 時 から, 上 記 (1)エに 該 当 すると きはその 承 認 があった 時 から, 新 たに 前 記 2 又 は4の 原 則 的 な 時 効 期 間 と 同 一 の 時 効 期 間 が 進 行 を 始 めるものとする ただし, 従 前 の 時 効 期 間 の 残 存 期 間 が 原 則 的 な 時 効 期 間 より 長 い 場 合 には, 時 効 期 間 の 更 新 の 効 力 が 生 じないものとする わかりやすい 民 法 の 実 現 に 資 する 7 時 効 の 停 止 事 由 時 効 の 停 止 事 由 に 関 して, 民 法 第 158 条 から 第 160 条 までの 規 律 を 維 持 するほ か, 次 のように 改 めるものとする (1) 次 に 掲 げる 事 由 がある 場 合 において, 前 記 6(1)の 更 新 事 由 が 生 ずることなくこれ らの 手 続 が 終 了 したときは,その 終 了 の 時 から6か 月 を 経 過 するまでの 間 は, 時 効 は, 完 成 しないものとする この 場 合 において,その 期 間 中 に 行 われた 再 度 のこれ らの 手 続 については, 時 効 の 停 止 の 効 力 を 有 しないものとする ア 裁 判 上 の 請 求 イ 支 払 督 促 の 申 立 て ウ 和 解 の 申 立 て 又 は 民 事 調 停 法 家 事 事 件 手 続 法 による 調 停 の 申 立 て エ 破 産 手 続 参 加, 再 生 手 続 参 加 又 は 更 生 手 続 参 加 オ 強 制 執 行, 担 保 権 の 実 行 としての 競 売 その 他 の 民 事 執 行 の 申 立 て 19

カ 仮 差 押 命 令 その 他 の 保 全 命 令 の 申 立 て (2) 上 記 (1)アによる 時 効 の 停 止 の 効 力 は, 債 権 の 一 部 について 訴 えが 提 起 された 場 合 であっても,その 債 権 の 全 部 に 及 ぶものとする (3) 民 法 第 155 条 の 規 律 を 改 め, 上 記 (1)オ 又 はカの 申 立 ては, 時 効 の 利 益 を 受 ける 者 に 対 してしないときは,その 者 に 通 知 をした 後 でなければ, 時 効 の 停 止 の 効 力 を 生 じないものとする (4) 民 法 第 153 条 の 規 律 を 改 め, 催 告 があったときは,その 時 から6か 月 を 経 過 す るまでの 間 は, 時 効 は, 完 成 しないものとする この 場 合 において,その 期 間 中 に 行 われた 再 度 の 催 告 は, 時 効 の 停 止 の 効 力 を 有 しないものとする (5) 民 法 第 161 条 の 規 律 を 改 め, 時 効 期 間 の 満 了 の 時 に 当 たり, 天 災 その 他 避 ける ことのできない 事 変 のため 上 記 (1)アからカまでの 手 続 を 行 うことができないとき は,その 障 害 が 消 滅 した 時 から6か 月 を 経 過 するまでの 間 は, 時 効 は, 完 成 しない ものとする (6) 当 事 者 間 で 権 利 に 関 する 協 議 を 行 う 旨 の[ 書 面 による] 合 意 があったときは, 次 に 掲 げる 期 間 のいずれかを 経 過 するまでの 間 は, 時 効 は, 完 成 しないものとする ア 当 事 者 の 一 方 が 相 手 方 に 対 して 協 議 の 続 行 を 拒 絶 する 旨 の[ 書 面 による] 通 知 をした 時 から6か 月 イ 上 記 合 意 があった 時 から[1 年 ] ( 注 ) 上 記 (6)については,このような 規 定 を 設 けないという 考 え 方 がある 1 (1)~(5)について 条 件 付 賛 成 民 法 第 152 条 について, 規 定 を 残 すか, 規 定 を 削 除 する 場 合 には 破 産 法 民 事 再 生 法 会 社 更 生 法 において 同 種 の 規 定 を 設 けるべきである 2 (6)について 当 事 者 間 で 権 利 に 関 する 協 議 を 行 う 旨 の[ 書 面 による] 合 意 があった 場 合 の 時 効 の 停 止 については 反 対 する 1 民 法 第 152 条 ( 破 産 再 生 更 生 手 続 に 参 加 した 債 権 者 がその 届 出 を 取 下 げ,また はその 届 出 が 却 下 された 場 合 の 効 力 )について 民 法 第 152 条 ( 破 産 再 生 更 生 手 続 に 参 加 した 債 権 者 がその 届 出 を 取 下 げ,または その 届 出 が 却 下 された 場 合 の 効 力 )について, 議 論 がされておらず, 当 該 規 定 を 存 続 する か 否 かが 明 らかではない そこで, 改 正 民 法 において, 民 法 第 152 条 と 同 種 の 規 定 を 残 すか, 仮 に 削 除 される 場 合 には 倒 産 各 法 で 手 当 てする 必 要 がある 2 当 事 者 間 で 権 利 に 関 する 協 議 を 行 う 旨 の[ 書 面 による] 合 意 があった 場 合 の 時 効 の 停 止 について (6) 当 事 者 間 で 権 利 に 関 する 協 議 を 行 う 旨 の[ 書 面 による] 合 意 があった 場 合 の 時 効 の 停 止 については, 協 議 の 有 無 の 事 実 及 びその 解 釈 をめぐって 紛 争 が 生 じる 可 能 性 があり, 20

問 題 が 多 い 例 えば, 金 銭 貸 借 契 約 書 において, 問 題 が 生 じた 場 合 に, 契 約 当 事 者 双 方 が 誠 実 に 協 議 する 旨 の 条 項 を 置 くことが 多 いが,この 場 合, 借 主 は 協 議 の 続 行 を 拒 絶 する 旨 の 書 面 による 通 知 を しない 限 り, 時 効 が 容 易 に 完 成 せず, 借 主 の 時 効 援 用 の 利 益 が 害 され る 恐 れがある 倒 産 手 続 との 関 係 では, 制 度 化 された 私 的 整 理 である 事 業 再 生 ADR において,すでに 裁 判 外 紛 争 解 決 の 手 続 の 利 用 の 促 進 に 関 する 法 律 25 条 により, 特 定 調 停 手 続 についても 民 事 調 停 法 19 条 により,それぞれ 時 効 の 停 止 が 認 められている これらの 制 度 を 利 用 しな い 純 粋 な 私 的 整 理 においても, 金 融 機 関 との 交 渉 にあたっては, 債 権 の 存 在 及 び 額 につい て 争 いが 無 く, 債 権 の 弁 済 期 の 繰 り 延 べ 及 び 債 権 放 棄 について 協 議 を 行 っているため, 債 務 承 認 による 時 効 中 断 ( 民 法 146 条 3 号 )がなされることも 想 定 される そのため, 倒 産 手 続 の 関 係 では,あえて 本 規 定 を 設 ける 必 要 に 乏 しい 一 方, 前 述 のような, 解 釈 をめぐる 紛 争 の 発 生 等 の 不 都 合 が 生 じる 可 能 性 が 高 いことに 鑑 みれば, 本 規 定 を 設 ける 必 要 は 無 いものと 考 えられる 8 時 効 の 効 果 消 滅 時 効 に 関 して, 民 法 第 144 条 及 び 第 145 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるもの とする (1) 時 効 期 間 が 満 了 したときは, 当 事 者 又 は 権 利 の 消 滅 について 正 当 な 利 益 を 有 する 第 三 者 は, 消 滅 時 効 を 援 用 することができるものとする (2) 消 滅 時 効 の 援 用 がされた 権 利 は, 時 効 期 間 の 起 算 日 に 遡 って 消 滅 するものとする ( 注 ) 上 記 (2)については, 権 利 の 消 滅 について 定 めるのではなく, 消 滅 時 効 の 援 用 が された 権 利 の 履 行 を 請 求 することができない 旨 を 定 めるという 考 え 方 がある わかりやすい 民 法 の 実 現 に 資 する 第 8 債 権 の 目 的 1 特 定 物 の 引 渡 しの 場 合 の 注 意 義 務 ( 民 法 第 400 条 関 係 ) 民 法 第 400 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 契 約 によって 生 じた 債 権 につき,その 内 容 が 特 定 物 の 引 渡 しであるときは, 債 務 者 は, 引 渡 しまで,[ 契 約 の 性 質, 契 約 をした 目 的, 契 約 締 結 に 至 る 経 緯 その 他 の 事 情 に 基 づき, 取 引 通 念 を 考 慮 して 定 まる] 当 該 契 約 の 趣 旨 に 適 合 する 方 法 により,そ の 物 を 保 存 しなければならないものとする (2) 契 約 以 外 の 原 因 によって 生 じた 債 権 につき,その 内 容 が 特 定 物 の 引 渡 しであると きは, 債 務 者 は, 引 渡 しまで, 善 良 な 管 理 者 の 注 意 をもって,その 物 を 保 存 しなけ 21

ればならないものとする ( 注 ) 民 法 第 400 条 の 規 律 を 維 持 するという 考 え 方 がある 規 律 として 妥 当 である 2 種 類 債 権 の 目 的 物 の 特 定 ( 民 法 第 401 条 第 2 項 関 係 ) 種 類 債 権 の 目 的 物 の 特 定 ( 民 法 第 401 条 第 2 項 )が 生 ずる 事 由 につき, 債 権 者 と 債 務 者 との 合 意 により 目 的 物 を 指 定 したとき を 付 加 するものとする 規 律 として 妥 当 である 3 外 国 通 貨 債 権 ( 民 法 第 403 条 関 係 ) 民 法 第 403 条 の 規 律 を 次 のように 改 めるものとする (1) 外 国 の 通 貨 で 債 権 額 を 指 定 した 場 合 において, 別 段 の 意 思 表 示 がないときは, 債 務 者 は,その 外 国 の 通 貨 で 履 行 をしなければならないものとする (2) 外 国 の 通 貨 で 債 権 額 を 指 定 した 場 合 において, 別 段 の 意 思 表 示 がないときは, 債 権 者 は,その 外 国 の 通 貨 でのみ 履 行 を 請 求 することができるものとする ただし, 民 法 の 改 正 と 併 せて, 以 下 のとおり, 破 産 法, 民 事 再 生 法 及 び 会 社 更 生 法 の 改 正 が 必 要 である 第 1 破 産 法 改 正 の 必 要 性 1 債 権 届 出 及 び 債 権 調 査 ( 債 権 認 否 )の 観 点 破 産 手 続 においては 配 当 原 資 が 固 定 されていることから, 中 間 試 案 のとおり 民 法 403 条 が 改 正 されたとしても, 配 当 額 を 計 算 して 配 当 表 を 作 成 する 上 で, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 の 破 産 手 続 開 始 時 における 評 価 が 必 要 であることに 変 わりはない そこで, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 の 破 産 手 続 開 始 時 における 評 価 額 を 明 確 化 するため, 破 産 法 を 改 正 し, 為 替 相 場 の 基 準 地 ( 換 算 レート)を 明 確 化 した 条 項 を 定 める 必 要 がある 2 配 当 の 観 点 22

民 事 再 生 手 続 ( 会 社 更 生 手 続 )の 場 合, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 者 に 対 しても 日 本 の 通 貨 で 弁 済 を 行 うと 記 載 した 再 生 ( 更 生 ) 計 画 が 効 力 を 発 生 すれば,これにより 権 利 の 変 更 がなさ れることから,これをもって 中 間 試 案 における 別 段 の 意 思 表 示 があったと 解 釈 して, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 者 に 対 し 日 本 の 通 貨 で 弁 済 を 行 うことが 可 能 となる これに 対 して 破 産 手 続 では, 上 記 のような 別 段 の 意 思 表 示 による 権 利 の 変 更 は 予 定 されていないが, 破 産 手 続 においてのみ 外 国 通 貨 で 配 当 を 行 わなければならないというの は 合 理 的 でない よって, 中 間 試 案 のとおり 民 法 403 条 が 改 正 される 場 合 には, 破 産 法 も 改 正 し, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 者 に 対 する 弁 済 方 法 につき, 日 本 の 通 貨 で 配 当 を 行 うことも 可 能 とする 条 項 を 定 める 必 要 がある 第 2 民 事 再 生 法 及 び 会 社 更 生 法 改 正 の 必 要 性 1 債 権 調 査 ( 債 権 認 否 )の 観 点 中 間 試 案 のとおり 民 法 403 条 が 改 正 されたとしても, 債 権 者 平 等 の 原 則 から 再 生 債 権 更 生 債 権 に 対 する 弁 済 率 は 原 則 同 率 であることから, 再 生 債 権 者 更 生 債 権 者 に 対 す る 弁 済 額 を 計 算 する 上 で, 議 決 権 のみならず, 再 生 債 権 更 生 債 権 の 額 についても, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 の 再 生 手 続 開 始 時 更 生 手 続 開 始 時 における 評 価 が 必 要 である そこで, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 の 再 生 手 続 開 始 時 更 生 手 続 開 始 時 における 評 価 額 を 明 確 化 するため, 民 事 再 生 法 会 社 更 生 法 を 改 正 し, 現 行 破 産 法 同 様, 金 銭 債 権 で,その 額 を 外 国 の 通 貨 をもって 定 めたものに 係 る 再 生 債 権 更 生 債 権 の 額 は, 再 生 手 続 開 始 更 生 手 続 開 始 の 時 における 評 価 額 が 再 生 債 権 更 生 債 権 の 額 とする 規 定 を 設 け,かつ, 為 替 相 場 の 基 準 地 ( 換 算 レート)を 明 確 化 した 条 項 を 定 める 必 要 がある 2 再 生 計 画 更 生 計 画 の 策 定 及 び 弁 済 の 観 点 前 述 のとおり, 民 事 再 生 手 続 ( 会 社 更 生 手 続 )の 場 合, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 者 に 対 しても 日 本 の 通 貨 で 弁 済 を 行 うと 記 載 した 再 生 ( 更 生 ) 計 画 が 効 力 を 発 生 すれば,これにより 権 利 の 変 更 がなされることから,これをもって 中 間 試 案 における 別 段 の 意 思 表 示 があっ たと 解 釈 して, 外 国 通 貨 金 銭 債 権 者 に 対 し 日 本 の 通 貨 で 弁 済 を 行 うことが 可 能 となる ただし, 解 釈 上 の 疑 義 を 残 さないため, 中 間 試 案 のとおり 民 法 403 条 が 改 正 される 場 合 には, 上 記 の 趣 旨 で 民 事 再 生 法 及 び 会 社 更 生 法 も 改 正 すべきである 4 法 定 利 率 ( 民 法 第 404 条 関 係 ) (1) 変 動 制 による 法 定 利 率 民 法 第 404 条 が 定 める 法 定 利 率 を 次 のように 改 めるものとする ア 法 改 正 時 の 法 定 利 率 は 年 [3パーセント]とするものとする イ 上 記 アの 利 率 は, 下 記 ウで 細 目 を 定 めるところに 従 い, 年 1 回 に 限 り, 基 準 貸 付 利 率 ( 日 本 銀 行 法 第 33 条 第 1 項 第 2 号 の 貸 付 に 係 る 基 準 となるべき 貸 付 利 率 をいう 以 下 同 じ )の 変 動 に 応 じて[0.5パーセント]の 刻 みで, 改 定 される ものとする ウ 上 記 アの 利 率 の 改 定 方 法 の 細 目 は, 例 えば, 次 のとおりとするものとする (ア) 改 定 の 有 無 が 定 まる 日 ( 基 準 日 )は,1 年 のうち 一 定 の 日 に 固 定 して 定 めるも 23

のとする (イ) 法 定 利 率 の 改 定 は, 基 準 日 における 基 準 貸 付 利 率 について, 従 前 の 法 定 利 率 が 定 まった 日 ( 旧 基 準 日 )の 基 準 貸 付 利 率 と 比 べて[0.5パーセント] 以 上 の 差 が 生 じている 場 合 に, 行 われるものとする (ウ) 改 定 後 の 新 たな 法 定 利 率 は, 基 準 日 における 基 準 貸 付 利 率 に 所 要 の 調 整 値 を 加 えた 後,これに[0.5パーセント] 刻 みの 数 値 とするための 所 要 の 修 正 を 行 う ことによって 定 めるものとする ( 注 1) 上 記 イの 規 律 を 設 けない( 固 定 制 を 維 持 する)という 考 え 方 がある ( 注 2) 民 法 の 法 定 利 率 につき 変 動 制 を 導 入 する 場 合 における 商 事 法 定 利 率 ( 商 法 第 514 条 )の 在 り 方 について,その 廃 止 も 含 めた 見 直 しの 検 討 をする 必 要 がある 法 定 利 率 の 変 動 制 に 反 対 し,( 注 1: 固 定 制 の 維 持 )に 1 国 民 にとって 分 かりやすい 民 法 という 基 本 思 想 との 矛 盾 中 間 試 案 本 文 で 示 される 利 率 の 変 動 制 は, 基 準 貸 付 利 率 の 変 動 に 連 動 して 利 率 を 変 動 さ せようとするものであるが,このような 仕 組 みを 導 入 するとすれば, 民 法 を 参 照 しただけ では 最 新 の 法 定 利 率 さえも 分 からず,また, 過 去 の 法 定 利 率 の 推 移 等 も 簡 単 には 分 からな くなる このような 仕 組 みの 導 入 が, 一 般 国 民 にとって 難 解 なものとなることは 明 らかで あり, 国 民 にとって 分 かりやすい 民 法 という 今 回 の 民 法 改 正 の 基 本 思 想 に 真 っ 向 から 反 するものであることは 明 白 である 2 改 正 の 必 要 性 の 不 存 在 金 銭 消 費 貸 借 契 約 等, 利 息 が 発 生 する 当 事 者 間 の 合 意 において 利 率 を 定 めないことは 皆 無 に 等 しく, 現 在 の 我 が 国 において 実 際 に 法 定 利 率 が 機 能 するのは, 事 実 上, 不 法 行 為 に 基 づく 損 害 賠 償 の 遅 延 損 害 金 請 求 や, 不 当 利 得 に 関 する 悪 意 の 受 益 者 に 対 する 利 息 請 求 の 場 合 が 多 いと 考 えられる この 点, 法 定 利 率 が 遅 延 損 害 金 の 趣 旨 を 持 たない 場 合 には,デフォルトルールとしての 法 定 利 率 は, 経 済 取 引 で 一 般 に 行 われている 利 率 に 近 いことが 望 ましいとも 考 えられる もっとも, 事 実 上, 法 定 利 率 が 遅 延 損 害 率 として 機 能 することが 多 い 状 況 下 においては, 必 ずしもそのように 考 える 必 要 があるとまではいえず,また,( 遅 延 損 害 金 としての) 履 行 のインセンティブ 確 保 の 観 点 からすれば, 現 行 の 法 定 利 率 の 水 準 が 不 自 然 に 高 いともい えない( 現 在 の 我 が 国 においては, 約 定 の 遅 延 損 害 金 利 率 については, 年 14パーセント 台 の 固 定 金 利 で 合 意 されることも 多 い ) 以 上 に 鑑 みれば, 現 行 の 年 5%という 利 率 を 引 き 下 げる 必 要 は 無 く,また, 利 率 を 敢 え て 変 動 制 に 変 更 する 必 要 もない 現 在, 法 定 利 率 が5%の 固 定 制 であることによる 契 約 上 の 不 便 は 何 ら 生 じていない 3 倒 産 事 件 における 債 権 認 否 等 における 煩 瑣 24

以 上 に 加 え, 中 間 試 案 本 文 の 利 率 の 変 動 制 を 採 用 した 場 合, 倒 産 事 件 における 債 権 認 否 等 のような 大 量 の 処 理 を 求 められる 場 合 には, 破 産 管 財 人 や 債 権 者 にとって 極 めて 重 い 負 担 となりうる 場 合 がある 点 からしても, 変 動 制 の 採 用 についてはなお 慎 重 な 検 討 を 要 すべ きと 考 えられる (2) 法 定 利 率 の 適 用 の 基 準 時 等 ア 利 息 を 生 ずべき 債 権 について 別 段 の 意 思 表 示 がないときは,その 利 率 は, 利 息 を 支 払 う 義 務 が 生 じた 最 初 の 時 点 の 法 定 利 率 によるものとする イ 金 銭 の 給 付 を 内 容 とする 債 務 の 不 履 行 については,その 損 害 賠 償 の 額 は, 当 該 債 務 につき 債 務 者 が 遅 滞 の 責 任 を 負 った 最 初 の 時 点 の 法 定 利 率 によるものとする ウ 債 権 の 存 続 中 に 法 定 利 率 の 改 定 があった 場 合 に, 改 定 があった 時 以 降 の 当 該 債 権 に 適 用 される 利 率 は, 改 定 後 の 法 定 利 率 とするものとする (3) 中 間 利 息 控 除 損 害 賠 償 額 の 算 定 に 当 たって 中 間 利 息 控 除 を 行 う 場 合 には,それに 用 いる 割 合 は, 年 [5パーセント]とするものとする ( 注 ) このような 規 定 を 設 けないという 考 え 方 がある また, 中 間 利 息 控 除 の 割 合 についても 前 記 (1)の 変 動 制 の 法 定 利 率 を 適 用 する 旨 の 規 定 を 設 けるという 考 え 方 がある ( 中 間 利 息 控 除 に 関 する) 規 定 を 設 けない( 解 釈 論 に 委 ねる) という 立 場 があると 紹 介 されているが, 仮 に 法 定 利 率 について 変 動 制 を 採 用 する 場 合 には,この 立 場 には 反 対 す る この 場 合, 中 間 利 息 控 除 に 関 する 一 定 のルールを 設 けるべきである 1 中 間 利 息 控 除 に 関 する 規 定 を 設 けるべきはないとする 意 見 の 論 拠 中 間 利 息 控 除 については, 民 法 ( 債 権 法 )において 規 定 を 設 けるべきではないとする 意 見 が 存 在 する 具 体 的 には, 法 定 利 率 について 変 動 制 を 採 用 したとしても, 引 き 続 き 法 定 利 率 を 参 照 すればよいという 理 解 を 含 め, 解 釈 論 に 委 ねるという 立 場 である この 点, 損 害 賠 償 額 の 算 定 に 当 たり 被 害 者 の 将 来 の 逸 失 利 益 を 現 在 価 値 に 換 算 するため 控 除 すべき 中 間 利 息 の 割 合 は, 民 事 法 定 利 率 によらなければならないとする 最 高 裁 判 決 が 存 在 するが,かかる 判 決 がなされる 以 前 は, 中 間 利 息 に 係 る 利 率 を 運 用 利 益 に 係 る 利 率 に ついての 事 実 認 定 の 問 題 と 捉 えて, 法 定 利 率 を 適 用 せずに 年 5% 未 満 とした 下 級 審 裁 判 例 が 複 数 存 在 していた かかる 下 級 審 裁 判 例 のように, 特 に( 不 法 行 為 等 による) 被 害 者 救 済 の 見 地 から, 中 間 利 息 控 除 において 適 用 する 利 率 については, 裁 判 所 の 広 範 な 裁 量 に 委 ねるべきであるとの 見 解 も 有 力 であり,このような 見 解 からは 上 記 最 高 裁 判 決 に 対 する 批 判 も 強 いところであ る 2 中 間 利 息 控 除 に 関 するルールを 規 定 しないことの 弊 害 25

しかしながら, 上 記 最 高 裁 判 決 も 指 摘 しているとおり, 裁 判 所 裁 判 官 ごとに 中 間 利 息 の 控 除 割 合 についての 判 断 が 区 々になることは, 法 的 安 定 及 び 統 一 的 処 理 の 観 点 から 望 ま しくない ましてや, 倒 産 各 法 に 規 定 される 中 間 利 息 控 除 においては, 中 間 利 息 を 控 除 したとして も 多 くの 場 合 その 額 は 少 額 であって 大 勢 に 影 響 を 与 えることは 希 であるのに 対 し, 実 務 上 中 間 利 息 を 控 除 するための 計 算 に 多 大 な 負 担 が 生 じている 状 況 である それにもかかわら ず, 仮 に 中 間 利 息 控 除 について 一 定 のルールを 定 めない 場 合 には, 倒 産 事 件 においては, 裁 判 所 債 権 者 債 務 者 毎 に 適 用 すべき 中 間 利 息 控 除 の 割 合 の 考 え 方 に 齟 齬 が 生 じ, 債 権 調 査 確 定 手 続 において 多 大 なるコストが 生 じることが 予 想 される 特 に, 法 定 利 率 について 変 動 制 を 導 入 する 場 合 に, 控 除 すべき 中 間 利 息 の 割 合 について 解 釈 論 に 委 ねるものとすれば,いつの 時 点 における 利 率 を 採 用 するのか 一 義 的 に 明 らかに ならず, 債 権 認 否 との 関 係 で, 債 務 者 と 債 権 者 との 間 で 紛 争 が 生 じることは 必 至 である 仮 に, 法 定 利 率 について 変 動 制 を 導 入 する 場 合 には, 倒 産 事 件 における 債 権 調 査 確 定 手 続 との 関 係 では,たとえば, 中 間 利 息 控 除 をすべき 場 合 には, 倒 産 手 続 開 始 決 定 がなされ た 日 の 属 する 年 度 において 適 用 される 法 定 利 率 を 適 用 するとの 立 法 を 行 う 等, 一 定 の 手 当 が 必 要 不 可 欠 である 5 選 択 債 権 ( 民 法 第 406 条 ほか 関 係 ) 選 択 債 権 に 関 する 民 法 第 406 条 から 第 411 条 までの 規 律 を 基 本 的 に 維 持 した 上 で, 次 のように 改 めるものとする (1) 民 法 第 409 条 の 規 律 に 付 け 加 えて, 第 三 者 が 選 択 をすべき 場 合 には,その 選 択 の 意 思 表 示 は, 債 権 者 及 び 債 務 者 の 承 諾 がなければ 撤 回 することができないものと する (2) 民 法 第 410 条 を 削 除 するものとする (3) 選 択 の 対 象 である 給 付 の 中 に 履 行 請 求 権 の 限 界 事 由 ( 後 記 第 9,2に 掲 げる 事 由 をいう )があるものがある 場 合 ( 第 三 者 が 選 択 をすべき 場 合 を 除 く )において, その 事 由 が 選 択 権 を 有 する 当 事 者 による 選 択 権 付 与 の 趣 旨 に 反 する 行 為 によって 生 じたときは,その 選 択 権 は, 相 手 方 に 移 転 するものとする 規 律 として 妥 当 である 第 9 履 行 請 求 権 等 1 債 権 の 請 求 力 債 権 者 は, 債 務 者 に 対 して,その 債 務 の 履 行 を 請 求 することができるものとする 26