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第 10 章 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 の 開 発 -169-

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第 10 章 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 新 技 術 名 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 新 技 術 番 号 新 技 術 担 当 官 民 連 携 開 発 ( 農 業 工 学 研 究 所 他 ) 都 道 府 県 名 新 技 術 特 許 有 り の 区 分 先 進 的 技 術 従 来 技 術 改 良 その 他 特 許 実 用 新 案 の 有 無 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 は 農 業 用 水 路 の 施 設 更 新 補 修 等 を 水 路 内 面 に 平 滑 度 の 高 い( 粗 度 係 数 の 小 さい)レジン( 樹 脂 )コンクリート 製 のボ ードを 補 強 材 として 用 いる 内 張 り 再 生 工 法 を 研 究 開 発 した 従 来 工 法 は 老 朽 化 した 用 水 路 のコンクリートを 取 り 壊 し 新 たにコンクリ 実 施 局 の ートを 打 設 する 工 法 が 一 般 的 である しかし この 工 法 は 大 型 機 械 の 搬 入, 総 合 評 価 工 事 騒 音 の 発 生 等 により 種 々の 対 策 工 事 が 必 要 であり コスト 高 となっている また 建 設 副 産 物 の 産 出 による 環 境 保 全 にも 配 慮 の 欠 く 工 法 と 言 える このような 従 来 工 法 に 比 べて 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 は 経 済 性, 施 工 性 で 優 れ また 環 境 面 にも 配 慮 しており 早 期 に 普 及 すべき 工 法 である 10.1 新 技 術 の 概 要 10.1.1 新 技 術 導 入 のポイント (1) 新 技 術 研 究 開 発 の 背 景 終 戦 後 の 食 糧 難 を 背 景 に 食 料 生 産 の 増 大 を 至 上 命 令 とする 国 の 重 点 施 策 として 建 設 し てきた 農 業 用 水 施 設 も 初 期 に 造 成 した 施 設 等 は 耐 用 年 数 を 過 ぎており 施 設 更 新 補 修 等 を 目 的 とした 農 業 用 水 施 設 再 編 対 策 事 業 が 近 い 将 来 に 集 中 すると 予 想 される これら 農 業 用 水 施 設 の 更 新 補 修 工 法 は 施 工 性 非 かんがい 期 施 工 ( 工 期 制 約 )のため 工 期 短 縮 が 図 られる 経 済 性 従 来 工 法 に 比 べてコスト 縮 減 が 図 られる 環 境 保 全 建 設 副 産 物 の 産 出 を 最 小 限 度 に 留 める 等 の 諸 条 件 を 満 たす 新 技 術 工 法 の 研 究 開 発 が 早 急 に 求 められている (2) 新 技 術 研 究 開 発 の 着 目 点 ひび 割 れや 摩 耗 などがコンクリート 躯 体 断 面 に 発 生 した 老 朽 化 農 業 用 水 路 の 施 設 更 新 補 修 等 にあたっては 変 状 箇 所 を 含 む 一 定 区 間 を 全 面 的 にコンクリート 取 り 壊 し コンク リート 殻 を 撤 去 し 新 たにコンクリートを 打 設 する 工 法 が 一 般 的 である しかし このような 工 法 では 工 事 用 道 路 などの 仮 設 用 地 の 確 保 コンクリートの 解 体 及 びコンクリート 殻 等 廃 棄 物 の 処 理 が 必 要 で 工 事 費 の 相 当 部 分 を 仮 設 工 事 が 占 めること になる さらに 水 路 が 人 家 等 に 近 接 している 場 合 には 大 型 機 械 搬 入 による 効 率 的 な 施 工 が 行 えないのみならず コンクリート 解 体 工 事 により 発 生 する 騒 音 防 止 や 生 活 道 路 の 迂 回 など 種 々の 対 策 工 事 が 必 要 となる そこで 当 該 既 設 水 路 を 取 り 壊 すことなく 再 生 する 工 法 として 水 路 内 面 に 平 滑 度 の 高 いレジン( 樹 脂 )コンクリート 製 のボードを 研 究 開 発 し これを 水 路 内 面 補 強 材 として 貼 -171-

り 付 ける 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 の 研 究 開 発 を 行 うものである (3) 新 技 術 研 究 開 発 機 関 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 の 研 究 開 発 は 官 民 連 携 新 技 術 開 発 事 業 として コンクリートの 特 性 の 解 明 と 設 計 施 工 法 及 び 水 路 更 新 のための 機 能 評 価 等 に 関 する 多 くの 研 究 蓄 積 のある 農 業 工 学 研 究 所 と 樹 脂 特 性 に 熟 知 した 樹 脂 製 造 会 社 の 日 立 化 成 工 業 ( 株 ) 及 び 強 化 プラスチック 複 合 管 メーカーとして 農 業 用 水, 上 下 水 道 分 野 に 製 品 を 供 給 している ミサワホーバス( 株 ) の3 者 で 共 同 開 発 を 行 うものである 表 1-1 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 研 究 開 発 機 関 研 究 開 発 機 関 名 研 究 開 発 部 室 独 立 行 政 法 人 農 業 工 学 研 究 構 造 部 施 設 機 能 研 究 室 所 農 地 整 備 部 用 水 管 理 研 究 室 水 工 部 水 路 工 水 理 研 究 室 日 立 化 成 工 業 株 式 会 社 化 成 品 事 業 部 ミサワホーバス 株 式 会 社 技 術 開 発 部 10.1.2 新 技 術 の 概 要 (1) 研 究 開 発 の 実 施 項 目 及 び 担 当 機 関 期 間 : 平 成 12 年 ~ 平 成 15 年 水 理 特 性 寿 命 特 性 農 業 工 学 研 究 所 樹 脂 組 成 接 着 剤 特 性 日 立 化 成 工 業 ( ) レジコンボード 製 造 法 諸 特 性 施 工 法 ミサワホーバス( ) 現 場 実 証 試 験 三 者 合 同 1 香 川 県 満 濃 池 土 地 改 良 区 用 水 路 (2003.5) L=6.0m B1=1.78m B2=1.30m H=0.8m 2 北 海 道 天 塩 川 上 流 地 区 士 別 川 幹 線 用 水 路 改 修 工 事 3 号 落 差 工 左 右 側 壁 (2003.10) L=5.0m H=1.6m (2)レジンコンクリートボードの 開 発 ボードの 製 造 方 法 接 着 方 法 など 種 々の 検 討 を 行 い 最 終 的 にボードの 製 造 はプレス 成 形 法 接 着 は 樹 脂 注 入 法 を 採 用 することになった 製 品 の 概 要 は 次 の 通 りである -172-

樹 脂 には コンクリートにない 高 強 度 といえる 性 質 があり 尚 かつ 優 れた 接 着 力 があるので 使 用 する 全 ての 材 料 に 樹 脂 を 使 用 することにした その 中 でも 不 飽 和 ポリエステルを 主 材 料 として 研 究 した さらに 施 工 性 も 検 討 することで 経 済 性 を 追 求 した 画 期 的 な 工 法 となった ライニング 材 商 品 名 : レジコンボード 粗 骨 剤 細 骨 剤 形 状 10 樹 脂 (レジン)+ 炭 酸 カルシ ウム 形 状 1000 x 2000 x 10 mm 重 量 50kg/ 枚 ライニング 材 としてのレジンコンクリートボードの 最 大 の 特 長 は 板 の 表 面 が 非 常 に 滑 らかで しかも 既 設 水 路 へ 張 り 付 けるため 最 大 限 に 通 水 量 を 確 保 できる 点 である また 耐 摩 耗 性 耐 久 性 耐 候 性 に 優 れ コスト 的 に 安 価 であるため 水 路 のライニング 材 としては 今 までに 無 い 製 品 である 基 本 配 合 表 材 料 不 飽 和 ポリエステル 樹 脂 配 合 部 数 (%) 13 ~ 15 測 定 値 強 度 比 較 コンクリート 強 度 炭 酸 カルシウム 30 ~ 35 圧 縮 85~95 > 19.6~39.2 細 骨 材 粗 骨 材 45 ~ 55 曲 げ 12~19 > 7.27~11.54 補 強 材 その 他 2 ~ 5 1 ~ 2 (MPa) 商 品 名 :プライマー レシ コン コンクリート 塗 布 用 商 品 名 : ジョイント レジコンボード 接 続 用 シーリング 用 商 品 名 : ポリセットX1555P 注 入 用 3~6 10~11 月 春 秋 タイプ 7 月 ~9 月 夏 タイプ 12 月 ~2 月 冬 タイプ 不 飽 和 ポリエステル 樹 脂 を 採 用 していることで ラジカル 反 応 を 活 かした 寒 冷 地 施 工 も 行 うことが できる 気 温 の 変 化 によるコンクリート 水 路 とレジコンボードの 収 縮 差 を 隙 間 に 注 入 した 伸 び 率 50~60%の 接 着 剤 ( 樹 脂 )で 緩 和 追 従 する 機 能 を 持 たせた 通 常 樹 脂 は 水 と 混 合 すると 硬 化 しなくなるのだが5%~20%の 水 分 があっても 硬 化 するような 特 性 にした 基 本 配 合 表 材 料 不 飽 和 ポリエステル 樹 脂 (PS-1555P) 添 加 剤 (TEA) 促 進 剤 (DMA) 硬 化 剤 (BPO) 配 合 部 数 (%) 92 ~ 96 3.7 ~ 6.0 0.09 ~ 3.0 1.8 ~ 3.5 この 新 技 術 で 老 朽 水 路 とレジコンボートが 完 全 一 体 化 となる 新 規 再 生 水 路 を 安 価 に 更 生 することができる -173-

(3)レジンコンクリート 張 り 付 け 方 法 1) 比 較 工 法 の 設 定 確 定 した 樹 脂 組 成 で 開 発 したレジンコンクリート 製 ボードを 既 設 水 路 に 張 り 付 ける 工 法 を 表 1-2に 示 す4 案 について 比 較 を 行 ったが 経 済 性 施 工 性 からみて 最 も 実 現 性 の 高 い 接 着 剤 注 入 工 法 を 採 用 することとなった 表 1-2 比 較 する 工 法 の 概 要 及 び 特 性 比 較 工 法 工 法 概 要 長 所 短 所 判 定 (ア) 接 着 剤 塗 布 工 法 施 工 現 場 で 接 着 剤 を 均 一 厚 さに 塗 布 す ( 従 来 工 法 ) る 標 準 タイプである 開 発 したレジンコンクリートボードに 接 着 剤 を 塗 布 し 既 設 水 路 に 張 り 付 ける 接 着 強 度 3.33MPa (イ) 接 着 剤 含 浸 シート 工 施 工 現 場 で 接 着 剤 を 均 一 厚 さに 塗 布 す 法 る 労 力 をなくした 斬 新 な 方 法 である レジンコンクリートボードに 接 着 剤 を 塗 ることなく このシートを 既 設 水 路 との 間 に 挟 むことで1 日 後 に 硬 化 する 接 着 強 度 3.43MPa (ウ) 通 電 式 接 着 シート 工 施 工 現 場 で 接 着 剤 を 均 一 厚 さに 塗 布 す 法 る 労 力 をなくした 斬 新 な 方 法 である レジンコンクリートボードに 接 着 剤 を 塗 ることなく このシートを 既 設 水 路 との 間 に 挟 むことで 数 時 間 で 硬 化 する 強 制 的 に 通 電 発 熱 させ 硬 化 させる システムを 採 用 しているため 気 象 条 件 に 左 右 されない( 寒 冷 地 施 工 可 能 ) (エ) 接 着 剤 注 入 方 式 既 設 コンクリートとレジンコンクリー ト 版 の 間 に 樹 脂 を 注 入 し 両 者 を 接 着 し て 一 体 化 する 版 と 版 の 間 は 注 入 樹 脂 と 同 一 のもの をベースとした 接 着 剤 又 はシリコン 系 シーリング 剤 を 用 いて 注 入 樹 脂 が 漏 れないようにシールする 接 着 強 度 3.50MPa 張 り 付 けに 時 間 がかか る 施 工 時 間 が 最 も 短 いた め 施 工 性 に 優 れている 含 浸 シートを 施 工 直 前 まで 冷 凍 しておかなけ ればならず 常 に 冷 凍 車 が 必 要 となる コスト 高 で 実 用 に 至 っ ていない 通 電 式 接 着 シート 取 り 付 けに 時 間 がかかる 他 の 接 着 方 法 に 比 べて 厚 さを 増 やすため 通 水 断 面 が 縮 小 する 既 設 コンクリートとレ ジンコンクリート 版 の 間 は 樹 脂 注 入 により 完 全 に 充 填 され 空 隙 がない この 部 分 への 水 の 侵 入 が 無 いため 凍 結 融 解 による 版 の 面 外 方 向 へ -174-

の 押 し 出 しが 防 がれる 注 入 樹 脂 は 柔 らかい 弾 性 樹 脂 を 用 いるため 既 設 コンクリートと 版 の 間 の 熱 変 形 差 を 吸 収 で き 版 のひび 割 れを 防 止 できる 水 路 を 十 分 に 乾 燥 させ ること シールを 完 全 に 行 うことなど 施 工 にやや 手 間 が 掛 かる -175-

10.1.3 新 技 術 の 特 徴 (1) 従 来 工 法 に 対 する 新 技 術 の 特 徴 1) 従 来 工 法 農 業 用 水 路 の 施 設 更 新 の 一 般 的 な 工 法 は 老 朽 化 コンクリートを 取 り 壊 し 新 たにコン クリートを 打 設 する 工 法 が 採 用 されてきた 従 来 技 術 重 機 搬 入 取 り 壊 し 撤 去 掘 削 コンクリート 打 設 図 1-1 従 来 工 法 模 式 図 従 来 工 法 は コンクリートの 取 り 壊 し, 運 搬, 廃 棄 物 処 理 等 が 必 要 であり 工 事 用 道 路 設 置, 重 機 施 工 による 工 事 騒 音 の 発 生, 取 り 壊 したコンクリート 殻 投 棄 による 環 境 破 壊 等 が 問 題 となる また この 工 法 は 耐 用 年 数 を 過 ぎても 余 寿 命 のある 水 路 構 造 物 に 対 しても 施 設 更 新 と いう 観 点 から 取 り 壊 され 新 設 されてきたために 新 設 する 用 水 路 に 比 べて 工 事 費 が 増 大 する 工 法 であるといえる 2) 新 技 術 工 法 新 技 術 工 法 は 現 在 求 められている 環 境 保 全, 経 済 性, 省 資 源 型 循 環 社 会 の 構 築 とい う 国 土 保 全 の 理 念 に 立 ち 用 水 路 を 補 修 再 生 するためレジンコンクリートボード 及 び 現 場 張 り 付 け 工 法 を 研 究 開 発 したものである この 工 法 は 老 朽 化 した 用 水 路 を 全 区 間 にわたり 適 用 することができるものではなく 杭 土 圧 構 造 物 として 既 設 コンクリートが 構 造 的 に 安 定 ( 構 造 劣 化 のない)している 特 定 区 間 において 採 用 する 工 法 である したがって 進 行 性 のひび 割 れ, 浮 き,コンクリート 表 面 の 剥 離, 断 面 の 欠 損, 鉄 筋 の 露 出 等 がみられ コンクリート 構 造 体 に 著 しい 劣 化 が 見 受 けられるもの 及 び 許 容 値 以 上 の 不 同 沈 下, 変 形, 変 位 により 水 路 の 安 定 性 が 損 なわれているバレルには 適 用 できな い -176-

新 技 術 水 路 清 掃 ボード 貼 り 付 け 図 1-2 新 工 法 の 模 式 図 新 工 法 の 導 入 効 果 として ア. 既 設 水 路 の 構 造 的 に 安 定 した 区 間 において コンクリートを 取 り 壊 すことなく 再 生 できるため 工 事 費 の 縮 減 及 び 工 期 短 縮 が 図 れる イ. 既 設 水 路 の 取 り 壊 しがないことから 産 業 廃 棄 物 の 発 生 を 最 小 限 に 押 さえる ことができる ウ. 大 型 機 械 による 騒 音, 振 動, 排 気 ガス 発 生 等 による 周 辺 地 域 に 与 える 影 響 が 少 な いことから 環 境 に 配 慮 した 施 工 ができる エ. レジンコンクリートボードの 張 り 付 けにより 粗 度 係 数 がコンクリート 水 路 に 比 べて 小 さくなることから 通 水 断 面 が 多 少 縮 小 されるが 断 面 を 拡 大 すること なく 水 路 再 生 が 可 能 となる オ. 水 路 断 面 にもよるが 粗 度 係 数 の 改 良 により 通 水 能 力 の 増 加 が 見 込 める 等 により 既 設 水 路 が 構 造 的 に 安 定 しており 不 同 沈 下, 変 形, 変 位 等 が 許 容 値 以 下 の 用 水 路 の 再 生 には 優 れた 工 法 である -177-

(2) 経 済 性 工 事 費 を 比 較 する 水 路 断 面 を B=250,H=1.60m と 仮 定 し 従 来 工 法 3 案 ( 現 場 打 設 工 法, L 型 水 路 工 法, 大 型 フリューム 工 法 )を 対 象 として 新 工 法 ( 水 路 再 生 工 法 )の 概 算 工 事 費 を 比 較 すると 次 のとおりである 表 1-3 工 事 費 比 較 表 改 修 工 法 水 路 再 生 工 法 現 場 打 設 工 法 L 型 水 路 工 法 大 型 フリューム 工 法 改 修 費 比 率 75% 125% 100% 137% 概 算 工 事 費 の 比 較 表 ( 表 1-3)から 従 来 工 法 のうち 最 も 経 済 的 なL 型 水 路 工 法 (222,400 円 /m)に 比 べて 新 工 法 (171,000 円 /m)は 75% 程 度 であることから 約 25%(54,600 円 /m) の 工 事 費 縮 減 となる 新 工 法 は 平 成 13 年 3 月 にレジンコンクリートボードの 開 発 に 着 手 し 平 成 15 年 5 月 香 川 県 満 濃 池 土 地 改 良 区 用 水 路 (B1=1.78m,B2=1.30m,H=0.80m)L=6m 区 間 において 現 場 実 証 試 験 のため 試 験 施 工 を 行 った また 北 海 道 士 別 川 幹 線 用 水 路 の 落 差 工 側 壁 (L=5m H=1.6m)で 寒 冷 地 の 現 場 実 証 試 験 のため 施 工 を 行 った 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 を 老 朽 化 水 路 の 標 準 工 法 として 認 められるには 多 く の 試 験 施 工 により 信 頼 性 を 高 めるための 各 種 データの 収 集 が 必 要 であり 施 工 技 術 を 主 とする 他 の 新 工 法 とは 異 なり 導 入 にはある 程 度 の 期 間 が 必 要 であると 思 われるが レジ ンコンクリートボードの 量 産 体 制 が 整 い 更 に 施 工 技 術 に 改 良 が 加 えられるならば 大 幅 な コスト 縮 減 が 図 られる -178-

10.2 新 技 術 に 適 合 する 条 件 10.2.1 適 用 できる 既 設 水 路 (1) 構 造 体 ( 躯 体 ) 及 び 基 礎 等 の 安 定 性 10.1 新 技 術 の 概 要 で 記 述 しているとおり 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 は 既 設 水 路 の 内 面 にレジンコンクリートボードを 張 り 付 けることにより 用 水 路 の 水 輸 送 能 力 を 更 新 する 工 法 である したがって その 前 提 条 件 となる 既 設 水 路 は ひび 割 れ, 浮 き,コンクリート 表 面 の 剥 離, 断 面 の 欠 損, 鉄 筋 の 露 出 等 は 多 少 認 めら れるがコンクリートの 構 造 体 ( 躯 体 )に 著 しい 劣 化 が 見 受 けられず 杭 土 圧 構 造 物 とし ての 許 容 強 度 を 有 している 区 間 施 工 時 における 盛 土 管 理, 地 耐 力 不 足 等 に 起 因 する 不 同 沈 下, 変 形, 変 位 により 余 裕 高 の 減 少, 伸 縮 継 目 の 目 違 い 等 が 許 容 値 以 下 で 躯 体 が 安 定 した 状 態 にあると 評 価 できる 区 間 を 適 用 範 囲 とする (2) 適 用 範 囲 決 定 基 準 等 1) 施 設 評 価 基 準 ( 案 )の 活 用 農 林 水 産 省 農 村 振 興 局 計 画 部 が 推 進 する 広 域 基 盤 整 備 計 画 調 査 において 基 幹 的 水 利 施 設 の 機 能 診 断 を 行 うため 土 地 改 良 事 業 計 画 設 計 基 準 水 路 工 に 記 載 している 構 造 診 断 (4 要 素 ) 等 をもとに コンクリート 構 造 物 の 評 価 基 準 ( 案 ) を 各 農 政 局 調 査 事 務 所 管 内 別 に 作 成 しており マクロ 的 には 新 技 術 に 適 用 できる 既 設 水 路 が 確 定 できる 表 2-1 ( 表 -15.1.1) 土 木 建 築 整 備 構 造 診 断 (4 要 素 ) 要 素 診 断 内 容 構 造 物 の 耐 久 性 ひび 割 れ( 鉄 筋 に 沿 うもの 開 口 部 網 目 状 のもの) 浮 き( 面 積 発 生 率 ) 剥 離 ( 鉄 筋 の 露 出 の 有 無 等 ) 表 面 劣 化 ( 外 観 断 面 欠 損 ) 漏 水 の 痕 跡 の 有 無 変 形 ( 変 形 の 有 無 ) 材 料 の 劣 化 度 中 性 化 ( 中 性 化 とかぶり 深 さ) 表 面 状 態 ( 錆 汚 れ エフロレッセンス 表 面 のぜい 弱 化 ) 強 度 (コアボーリング 法 テストハンマー 法 ) 品 質 ( 単 価 セメント 量 塩 害 の 影 響 アルカリ 骨 材 反 応 ) 鉄 筋 の 腐 肉 ( 錆 の 程 度 ) 基 礎 地 盤 の 安 定 地 盤 の 変 形 ( 不 同 沈 下 による 地 盤 の 変 形 ) 性 地 下 水 の 上 昇 ( 地 下 水 位 の 変 動 がみられる) 使 用 形 態 使 用 履 歴 ( 用 途 増 改 築 補 修 被 災 ) 荷 重 ( 静 衝 撃 荷 重 振 動 荷 重 繰 返 し 荷 重 熱 荷 重 ) 環 境 ( 振 動 ガス 敷 地 及 び 地 形 ) -179-

土 地 改 良 事 業 計 画 設 計 基 準 水 路 工 基 準 書 技 術 書 (P.655) 2) 地 域 別 地 区 別 改 修 基 準 の 作 成 コンクリート 構 造 の 劣 化 進 行 は 使 用 骨 材 における 有 害 物 質 の 含 有 及 び 付 着, 地 下 水 質 (PH), 気 象 条 件, 環 境 条 件, 施 工 年 代 等 により 異 なるため 事 業 地 区 においては 検 討 委 員 会 ( 有 識 者, 研 究 機 関,コンサルタント 等 で 構 成 )を 設 置 して 調 査 (ひび 割 れ 浮 き 剥 離 表 面 劣 化 漏 水 の 痕 跡 変 形 等 ) 試 験 ( 中 性 化 表 面 状 態 強 度 品 質 鉄 筋 の 腐 食 等 ) を 行 い 構 造 物 の 耐 久 性 及 び 材 料 の 劣 化 度 をランク 区 分 するとともに 基 礎 地 盤 の 安 定 性 使 用 形 態 等 により 総 合 評 価 を 行 って 用 水 路 劣 化 補 修 基 準 用 水 路 改 修 基 準 等 を 作 成 し 農 業 用 水 再 編 対 策 事 業 等 の 実 施 計 画 策 定 を 行 っている 新 技 術 ( 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 ) 工 法 による 既 設 水 路 の 再 生 は 部 分 的 または 区 間 的 に 採 用 するのではなく 現 況 水 路 構 造 体 ( 躯 体 )が 将 来 的 にみて 土 圧, 内 外 水 圧 等 の 荷 重 条 件 に 耐 え 得 る 強 度 を 有 することが 必 要 条 件 となる 細 骨 材 塩 分 の 付 着 した 海 砂, 粒 度 分 布 (FM)の 片 寄 った 細 骨 材 粗 骨 材 アルカリ 骨 材 反 応 のある 粗 骨 材 水 質 特 に 水 路 構 造 物 では 強 酸 性 強 アルカリ 性 の 地 下 水 環 境 条 件 温 度 差 の 大 きい 地 域, 振 動 排 ガス 等 の 影 響 の 受 ける 地 域 等 の 要 件 により コンクリート 劣 化 が 異 なるため 十 分 調 査 試 験 を 行 い 信 頼 できる 調 査 研 究 機 関 等 を 含 む 有 識 者 で 構 成 する 検 討 委 員 会 を 設 置 し 既 設 水 路 コンクリートの 構 造 体 としての 余 寿 命 を 把 握 し 事 業 実 施 地 域 全 体 の 施 設 更 新 補 修 計 画 のなかで 適 用 区 間 を 決 定 することが 望 ましい 10.2.2 適 合 する 現 場 条 件 開 発 したレジンコンクリートボード(L=2,000,B=1.000,t=10mm)の 重 量 を50kg/ 枚 として おり 作 業 員 2 人 編 成 で 運 搬 張 り 付 け 等 の 現 場 作 業 ができる 但 し 現 場 内 の 小 運 搬 等 は 人 力 により 可 能 であるが 長 区 間 にわたる 人 力 運 搬 には 限 界 があ るため4t 積 トラック 走 行 用 の 仮 設 道 路 の 設 置 が 望 ましい 10.3 設 計 の 考 え 方 10.3.1 設 計 の 手 順 水 路 再 生 コンクリート 工 法 は 老 朽 化 水 路 の 内 面 にレジンコンクリートボードを 張 り 付 け ることにより 水 路 内 面 からのコンクリート 劣 化 の 防 止 粗 度 係 数 が 小 さくなることから 低 下 を 来 した 用 水 路 の 送 水 能 力 の 復 元 向 上 を 目 的 -180-

とするものである したがって 特 別 に 構 造 設 計 等 の 設 計 手 順 はない ただし 設 計 に 当 たっては 10.2 新 技 術 に 適 合 する 条 件 が 基 本 事 項 となる 10.3.2 粗 度 係 数 の 検 討 水 路 モデル 実 験 における 粗 度 係 数 の 測 定 では n=0.012の 試 験 結 果 を 得 ている 10.3.3 水 路 断 面 別 通 水 能 力 の 検 討 既 設 水 路 内 に 厚 さ10mmのレジンコンクリートボードを 張 り 付 けるため 水 路 の 通 水 断 面 が 縮 小 することになる 一 般 的 な 鉄 筋 コンクリートの 粗 度 係 数 n=0.015とレジンコンクリ ートボードの 粗 度 係 数 n=0.012で 通 水 能 力 を 比 較 する 表 3-1 通 水 能 力 比 較 表 名 称 鉄 筋 コンクリート 水 路 レジンコンクリートボード 張 付 水 路 最 小 断 面 通 水 断 面 積 :A(m 2 ) 0.80 0.45=0.36 0.78 0.39=0.304 ( 水 路 断 面 拡 大 粗 度 係 数 :n 0.015 0.012 なし) 水 路 勾 配 :I 1/1000 1/1000 平 均 流 速 :V(m/s) 0.748 0.886 通 水 量 :Q(m 3 / s) 0.270 0.270 平 均 的 断 面 通 水 断 面 積 :A(m 2 ) 2.50 1.25=3.125 2.48 1.24=3.075 粗 度 係 数 :n 0.015 0.012 水 路 勾 配 :I 1/1000 1/1000 平 均 流 速 :V(m/s) 1.541 1.916 通 水 量 :Q(m 3 / s) 4.817 5.892 表 3-1 通 水 能 力 比 較 から 水 路 勾 配 をI=1/1000としたとき 水 路 断 面 B=0.80m,H=0.60m ( 通 水 断 面 0.80 0.45m) 程 度 では, 通 水 能 力 は 同 じである 通 水 量 5m 3 /s 程 度 の 平 均 的 な 水 路 断 面 では レジンコンクリート 水 路 の 通 水 増 は1.2 倍 程 度 である 10.4 設 計 のフローチャート 当 該 既 設 水 路 を 新 工 法 で 再 生 する 場 合 は 当 該 地 区 の 施 設 更 新 補 修 計 画 にしたがって 本 工 法 採 用 区 間 の 水 路 再 生 を 行 うため 他 工 種 も 含 めた 単 位 水 理 ユニットの 不 等 流 計 算 によ り 計 画 水 位 を 計 算 し 水 路 系 の 水 理 状 況 を 把 握 する 必 要 がある ( 最 多 流 量, 最 小 流 量 等 ) -181-

既 設 水 路 の 構 造 物 ( 躯 体 の 強 度 的 )な 計 算 は 調 査, 試 験, 診 断 等 により 余 寿 命 予 測 から 再 生 区 間 が 決 定 されているため 改 めて 構 造 計 算 を 行 う 必 要 はない したがって 設 計 フロ ーチャートは 特 に 作 成 しなくてよいので 省 略 する 10.5 設 計 に 当 っての 留 意 事 項 設 計 に 必 要 な 各 種 数 値 については 各 種 試 験 結 果 による 数 値 であるため 水 路 再 生 レジン コンクリート 工 法 設 計 に 必 要 な 各 種 数 値 については 試 験 施 工 事 例 によるデータ 収 集 から 現 場 測 定 値 をもとに 修 正 する 必 要 がある 10.6 設 計 に 必 要 な 各 種 設 計 数 値 の 考 え 方 10.6.1 レジンコンクリートボードの 開 発 目 標 の 設 定 と 実 験 検 証 結 果 (1) 樹 脂 の 確 定 1) 開 発 目 標 の 設 定 (a) レジンコンクリートボード 用 樹 脂 の 開 発 目 標 低 粘 度 化 が 可 能 な 樹 脂 とする 耐 候 化 措 置 がとれ 実 績 があり 安 価 な 樹 脂 にする (b) 接 着 剤 用 樹 脂 の 開 発 目 標 低 粘 度 化 が 可 能 な 樹 脂 にする コンクリート 構 造 物 の 形 状 に 追 随 する 樹 脂 にする 低 温 度 に 強 い 硬 化 構 造 である 連 鎖 反 応 が 可 能 な 樹 脂 にする 2) 実 験 検 証 種 々な 角 度 から 比 較 検 討 により 採 用 する 樹 脂 を 決 定 する (a) レジンコンクリートボード 用 樹 脂 熱 可 塑 性 樹 脂 では 粘 性 度 が 高 いため 熱 硬 化 性 樹 脂 を 選 択 する 熱 硬 化 性 樹 脂 のうち 耐 候 化 装 置 がとれ 実 績 があり かつ 安 価 な 不 飽 和 ポリエス テル 樹 脂 とした (b) 接 着 剤 用 樹 脂 熱 可 塑 性 樹 脂 では 粘 性 度 が 高 いため 熱 硬 化 性 樹 脂 を 選 択 する 熱 硬 化 性 樹 脂 のうち 実 績 のある 不 飽 和 ポリエステル 樹 脂,アクリル 樹 脂,ウレタン 樹 脂,エポキシ 樹 脂 等 がある 温 度 が5 以 下 -5 でも 連 鎖 反 応 し 硬 化 する 樹 脂 として 不 飽 和 ポリエステル 樹 脂,アクリル 樹 脂 がある アクリル 樹 脂 は 耐 候 性 に 優 れているが 高 価 なので 不 採 用 とする (c) レジンコンクリートボード 及 び 接 着 剤 用 樹 脂 の 決 定 以 上 (a) 及 び(b)の 検 証 結 果 により レジンコンクリートボード 用 及 び 接 着 剤 用 樹 脂 は 共 に 不 飽 和 ポリエステル 樹 脂 に 決 定 する 配 合 は 製 品 概 要 参 照 -182-

10.6.2 レジンコンクリートボード, 接 着 剤 の 耐 久 性 の 確 認 確 定 した 樹 脂 でレジンコンクリートボードを 製 作 し 粘 着 性, 寿 命 特 性, 耐 摩 擦 性, 耐 候 性, 線 膨 張 係 数, 耐 水 劣 化 特 性 の6 項 目 について 実 験 検 証 を 行 い 耐 久 性 等 を 確 認 した 結 果 すべての 面 で 開 発 目 標 の 設 定 値 を 満 足 する 結 果 となった 設 計 に 当 たりレジンコンクリート ボードの 耐 用 年 数, 耐 摩 耗 性, 剥 離 等 に 対 する 試 験 結 果 を 要 約 すると 次 のとおりである (1) 耐 用 年 数 の 推 定 寿 命 特 性 を 把 握 するための 自 然 曝 露 試 験, 耐 用 年 数 を 推 定 するためのプラスチック 実 験 室 光 源 による 曝 露 試 験 結 果 から レジンコンクリートボードの 耐 用 年 数 が30~40 年 と 推 定 できた (2) 耐 摩 耗 性 耐 摩 耗 性 を 把 握 するため 研 磨 材 によるプラスチックの 摩 耗 性 試 験 結 果 から コンクリ ートに 比 べ2 割 程 度 耐 磨 耗 性 が 高 い (3)レジンコンクリートボードと 既 設 コンクリートの 剥 離 に 対 する 検 討 レジンコンクリートボード, 接 着 剤, 既 設 コンクリートの 線 形 膨 張 係 数 の 測 定 により レジンコンクリートボードと 既 設 水 路 間 の 線 膨 張 係 数 の 差 は 接 着 剤 の 伸 び 率 により 追 従 できることが 確 認 できた (レジンコンクリートの 線 膨 張 係 数 は1.8 10-5 / コンクリ ートは1.0 10-5 / ) 10.6.3 水 路 モデル 実 験 による 水 理 特 性 等 の 確 認 (1) 水 理 特 性 開 発 したレジンコンクリートボードの 水 理 特 性 を 把 握 するため 延 長 20m, 通 水 断 面 1m 1m 試 験 水 路 で 粗 度 係 数 及 び 流 速 度 分 布 測 定 を 行 った 1) 粗 度 係 数 試 験 水 路 におけるコンクリート 張 り 付 け 面 の 粗 度 係 数 測 定 値 n=0.0155,レジンコン クリートボード 張 り 付 け 面 の 粗 度 係 数 測 定 値 n=0.012であった 2) 流 速 度 分 布 レジンコンクリートボード 張 り 付 け 水 路 の 流 速 度 分 布 は コンクリート 水 路 に 近 似 す ることが 確 認 できた したがって コンクリート 水 路 の 水 理 特 性 と 同 一 である (2) 水 密 特 性 1.0m 1.0m 6.0m の 試 験 水 槽 を 製 作 し 水 密 試 験 を 行 った 結 果 レジンコンクリートボー ドはコンクリート 水 路 と 同 等 の 水 密 性 があることを 確 認 した 10.6.4 接 着 剤 硬 化 特 性 試 験 によるボード 固 定 治 具 取 りはずし 時 間 の 設 定 -183-

開 発 目 標 を 満 たす 接 着 強 度 と 養 生 時 間, 温 度 の 関 係 を 把 握 するため 温 度 別 接 着 強 度 試 験 結 果 から 完 全 硬 化 基 準 を 満 たす 養 生 温 度 は5 で1 日 養 成 することによりボード 固 定 治 具 の 取 りはずしが 可 能 となる 10.6.5 製 品 の 信 頼 性 に 関 する 検 討 新 製 品 開 発 による 各 種 試 験 検 証 結 果 は すべての 面 でコンクリート 以 上 の 材 質 である と 確 認 できたが 試 験 施 工 を 積 み 重 ね そこからデータ 収 集 し 現 場 試 料 による 各 種 試 験 を 行 い その 試 験 結 果 による 設 計 数 値 の 補 正 が 必 要 である -184-

10.7 積 算 の 考 え 方 10.7.1 施 工 法 の 開 発 (1)レジンコンクリートボード 張 り 付 け 機 械 の 開 発 専 用 機 械 方 式, 半 機 械 方 式, 人 力 方 式 の3 方 式 について 張 り 付 け 方 法 を 確 定 し 施 工 法 を 工 場 に 設 置 したモデルにより 検 討 した 表 7-1 施 工 方 式 の 開 発 施 工 方 式 機 械 施 工 工 程 人 力 施 工 工 程 適 用 (1) 専 用 機 械 方 式 (ワークステーション) 1) 既 設 水 路 の 洗 浄 及 び 乾 燥 2)プライマー 塗 布 3)ボードに 接 着 剤 塗 布 の 後 既 設 水 路 への 張 り 付 け 4)サポート 金 具 の 設 置 5) 保 温 養 生 及 び 取 りはず 大 型 水 路 及 び1ヶ 所 当 たり 施 工 延 長 が 長 い 水 路 を 対 象 とした 作 業 時 間 60 分 /4m 2 機 械 の 作 動 性 に 対 する 改 良 が 必 要 で ある し 6) 次 のバレル(2m)への 機 械 移 動 及 び 据 付 け (2) 半 機 械 方 式 1)ボードの 張 り 付 け 機 と して リフター 利 用 し た 機 械 を 設 計 製 作 し 1) 既 設 水 路 の 洗 浄 及 び 乾 燥 2)プライマー 塗 布 中 小 断 面 水 路 を 対 象 とした 作 業 時 間 45 分 /4m 2 た 3)サポート 治 具 の 設 置 及 び 撤 去 4) 保 温 養 生 (3) 人 力 方 式 1) 専 用 機 械 方 式 の 機 械 施 工 工 程 の すべてを 人 力 施 工 とする 小 断 面 水 路 及 び 中 大 断 面 水 路 の 人 家 連 担 区 域 で 専 用 機 械 方 式 半 機 械 方 式 が 採 用 不 可 能 な 範 囲 を 対 象 とす る 専 用 機 械 方 式 (ワークステーション)については 建 設 機 械 設 備 の 設 計 製 作 を 専 門 と する 機 械 メーカーに 発 注 し 製 作 する 必 要 がある 10.7.2 積 算 の 考 え 方 -185-

(1) 材 料 単 価 等 レジンコンクリートボード, 接 着 剤, 目 地 材 及 び 接 着 剤 保 管 用 冷 蔵 庫 等 の 価 格 は 見 積 り 価 格 とする (2) 施 工 歩 掛 新 しく 開 発 した 製 品 (レジンコンクリートボード 及 び 接 着 剤 等 )であり 試 験 施 工 はB1= 1.78m,B2=1.30m,H=0.80mの 水 路 断 面 において 施 工 延 長 6.0mのみであるため 事 業 主 体 の 理 解 と 協 力 を 得 て 少 なくとも10 例 程 度 の 試 験 施 工 により 施 工 歩 掛 の 調 査 が 必 要 である -186-

10.8 参 考 歩 掛 積 算 パネル 式 水 路 人 力 据 付 1. 適 用 範 囲 本 歩 掛 りは パネル 式 水 路 を 人 力 により 据 付 ける 場 合 ( 水 路 を 構 成 するパネル1 枚 の 質 量 が50kg 以 下 の 規 格 )に 適 用 する 2. 施 工 概 要 施 工 フローは 次 図 を 標 準 とする 準 備 工 仮 排 水 工 旧 水 路 洗 浄 工 止 水 処 理 工 水 路 成 形 工 測 量 工 底 版 敷 砂 工 旧 コンクリート 成 形 工 底 版 工 スぺーサー 設 置 工 パネル 及 びコンクリート 面 プライマー 塗 布 工 コーナーパネル 設 置 工 ジョイント 部 接 着 剤 塗 布 工 底 版 パネル 設 置 工 端 面 シール 工 樹 脂 注 入 工 側 壁 工 スぺーサー 設 置 工 パネル 及 びコンクリート 面 プライマー 塗 布 工 側 壁 パネル 設 置 工 ジョイント 部 接 着 剤 塗 布 工 端 面 シール 工 樹 脂 注 入 工 仕 上 げ 切 断 仕 上 げ 工 耐 候 性 樹 脂 塗 布 工 清 掃 工 打 診 検 査 ( 注 ) 本 歩 掛 りで 対 応 しているのは 実 線 部 分 のみである -187-

3. 施 工 歩 掛 り 表 8-1パネル 式 水 路 人 力 据 付 歩 掛 り (10m 2 当 たり) 労 務 配 置 作 業 項 目 世 話 役 ( 人 ) 特 殊 作 業 員 ( 人 ) 普 通 作 業 員 ( 人 ) 底 版 工 底 版 パネル 設 置 樹 脂 注 入 計 側 壁 工 側 壁 パネル 設 置 樹 脂 注 入 計 ハンチ 工 ハンチパネル 設 置 樹 脂 注 入 計 コーナー 工 コーナーパネル 設 置 樹 脂 注 入 計 仕 上 げ 工 切 断 仕 上 げ 打 診 検 査 計 ( 注 )1. 据 付 けに 伴 う 材 料 の 移 動 手 間 を 含 む 2. 据 付 けの 際 の 小 器 具 損 料 を 含 む 3. 本 表 におけるパネルの 長 さは2.0mを 標 準 とする 4. 据 付 けに 伴 う 基 面 整 正 コンクリートの 整 形 敷 砂 は 別 途 計 上 する 4. 歩 掛 り 補 正 4-1.パネル 長 パネル 長 が1m 以 下 の 場 合 にあっては 据 付 け 歩 掛 り( 表 8-1)を 補 正 する 表 2 パネル 長 補 正 係 数 パネル 長 1.0m 以 下 補 正 係 数 1.25 4-2. 地 域 別 補 正 係 数 住 宅 密 集 地 域 や 山 間 部 など 施 工 条 件 に 制 約 のある 場 合 にあっては 据 付 け 歩 掛 り( 表 1)を 補 正 する 表 3 地 域 別 補 正 係 数 補 正 係 数 1.25-188-

5. 単 価 表 表 8-2 底 版 工 10m 2 当 たり 名 称 規 格 単 位 数 量 摘 要 世 話 役 人 特 殊 作 業 員 人 普 通 作 業 員 人 プライマー kg 4 底 版 パネル m2 10 樹 脂 kg 55 諸 雑 費 式 1 材 料 の5% 側 壁 工 10m 2 当 たり 名 称 規 格 単 位 数 量 摘 要 世 話 役 人 特 殊 作 業 員 人 普 通 作 業 員 人 プライマー kg 4 側 壁 パネル m2 10 樹 脂 kg 33 諸 雑 費 式 1 材 料 の5% ハンチ 工 10m 2 当 たり 名 称 規 格 単 位 数 量 摘 要 世 話 役 人 特 殊 作 業 員 人 普 通 作 業 員 人 プライマー kg 4 側 壁 パネル m2 10 樹 脂 kg 44 諸 雑 費 式 1 材 料 の5% コーナー 工 10m 2 当 たり 名 称 規 格 単 位 数 量 摘 要 世 話 役 人 特 殊 作 業 員 人 普 通 作 業 員 人 プライマー kg 4 側 壁 パネル m2 10 樹 脂 kg 44 諸 雑 費 式 1 材 料 の5% -189-

10.9 施 工 段 階 での 留 意 事 項 施 工 実 績 は 現 場 実 証 試 験 を 目 的 とした 施 工 であるため 新 工 法 により 開 発 した 施 工 方 式 に よる 試 験 施 工 結 果 により 施 工 段 階 での 留 意 事 項 が 指 摘 できると 思 われる 10.10 設 計 Q&A Q1: 新 工 法 の 適 用 範 囲 ( 区 間 ) 決 定 のため 構 造 物 の 耐 久 性 及 び 材 料 (コンクリート)の 劣 化 度 をランク 区 分 し 基 礎 地 盤 の 安 定 性, 使 用 形 態 等 により 総 合 評 価 を 行 って 用 水 路 劣 化 補 修 基 準 用 水 路 改 修 等 を 作 成 している 地 区 はどこか? A1: 下 記 の 旧 国 営 事 業 地 区 である 用 水 路 劣 化 補 修 基 準 ( 案 ) 香 川 用 水 農 業 水 利 事 業 地 区 用 水 路 改 修 基 準 ( 案 ) 道 前 道 後 平 野 農 業 水 利 事 業 地 区 Q2: 試 験 施 工 実 績 のない 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 の 設 計 積 算 を 行 うために はどのように 対 処 したらよいか? A2: 従 来 材 料 開 発 を 含 む 新 工 法 については 試 験 施 工 を 行 い 断 続 的 に 機 能 確 認 及 び 施 工 歩 掛 等 の 調 査 を 実 施 することにより 新 工 法 としての 信 頼 性 を 高 めてきた 本 工 法 ( 水 路 再 生 レジンコンクリート 工 法 )は 開 発 した 製 品 (レジンコンクリ ートボード 及 び 接 着 剤 等 )は 10.6 設 計 に 必 要 な 各 種 設 計 数 値 の 考 え 方 に 記 述 しているとおり 各 種 試 験 を 行 い 製 品 の 耐 久 性, 耐 用 年 数 等 について 検 証 ずみ である したがって 信 頼 度 の 高 い 製 品 といえることから 現 場 における 張 り 付 け 作 業 の 歩 掛 がないために 当 該 既 水 路 断 面 における 試 験 施 工 を 行 い この 資 料 を もとに 積 算 を 行 うことが 望 ましい Q3: 施 工 上 の 留 意 点 について 知 りたい A3: 性 能 を 保 つためには 施 工 中 に 次 の 点 などに 留 意 する 必 要 がある (1) 適 用 箇 所 は よく 洗 浄 すること (2) 接 着 面 は バーナーなどで 完 全 に 乾 燥 させること (3) 降 雨 対 策 として 施 工 場 所 を 覆 う 移 動 可 能 なテントを 設 けるとよい -190-

1. 準 備 工 施 工 前 状 況 コンクリート 表 面 が 劣 化 して 骨 材 が 表 面 に 出 て 凹 凸 が 見 られる 上 幅 1800mm 下 幅 1300mm 高 さ 800mm 水 路 勾 配 1/1000 粗 度 係 数 通 水 能 力 が 低 下 仮 排 水 土 のう 水 路 に 土 のうを 積 み 水 路 内 の 水 を 遮 断 ポンプで 上 流 の 水 を 迂 回 させ る ウオッシャー 洗 浄 高 水 圧 で 苔 浮 き 石 コンク リート 表 面 の 清 掃 を 行 う 使 用 する 水 は 水 路 内 を 流 れる 水 を 使 用 する -191-

止 水 処 理 1. 準 備 工 クラック 目 地 等 からの 浸 入 水 を 急 結 モルタルで 止 水 処 理 す る レベル スタッフ 2. 測 量 工 水 路 縦 断 勾 配 を 測 量 する 現 況 水 路 なりの 勾 配 に 合 わせてレ ジンコンクリート 板 を 張 り 付 ける ため 現 況 に 沿 った 勾 配 で 施 工 する レベル 測 量 レベル 測 量 スペーサー 水 糸 スペーサーを 置 き 接 着 剤 ( 樹 脂 ) 注 入 厚 分 の 隙 間 を 確 保 する -192-

3. 底 版 工 敷 砂 コーナーパネル 均 平 化 目 的 に 砂 を 敷 きならす 注 入 樹 脂 と 混 合 しレジンコンク リートとなる 各 コーナーパネルを 接 続 する 粒 径 5mm ポリビーカーに 接 着 剤 を 入 れ ヘ ラで 接 着 剤 ( 接 着 コンパウンド) を 適 量 取 りながら ジョイント 部 に 接 着 剤 を 塗 布 する 不 飽 和 ポリエステル 樹 脂 伸 びがある 注 入 用 樹 脂 PS-X1555P-S を 改 良 し 塗 布 しやすく するため 粘 度 を 上 げた 接 着 コンパウンド 日 立 化 成 工 業 ( 株 ) 接 着 コンパウンド はみ 出 し 確 認 はみ 出 しを 取 り 除 くだけで 同 時 に 目 地 仕 上 げとなる レジコンボード -193-

3. 底 版 工 底 版 パネル 底 版 パネルの 設 置 を 行 う コーナーパネル 接 合 と 同 様 に 接 着 コンパウンドを 塗 布 して 重 ね 合 わ せる 砂 がジョイント 部 にのら ないように 又 接 着 コ ンパウンドに 混 ざらない ように 気 を 付 けながら 設 置 していく 設 置 したレジコンボード 両 端 断 面 をシールする 接 着 剤 を 注 入 するので 漏 れないように 注 意 深 く 均 一 に 塗 布 する バックアップ 材 シーリング 剤 シーリング 剤 =レジコン 接 続 接 着 剤 注 入 ホッパーに 配 合 した 接 着 剤 を 投 入 する 樹 脂 18kgなので1 人 で 充 分 投 入 可 能 です ホッパー 水 路 形 状 に 合 わせて ホッパー 位 置 を 自 在 に 調 節 することが 可 能 です -194-

4. 側 壁 工 側 壁 パネル 裏 面 プライマー 塗 布 パネル 裏 面 と 設 置 するコンク リート 水 路 部 にプライマーを 塗 布 する ( 底 版 工 でも 行 います) はみ 出 す 量 の 接 着 コンパウンドを 使 用 しているので 側 壁 パネル 設 置 後 に 接 着 剤 のはみ 出 し 分 を 取 り 除 いています 硬 化 してしまう 前 に ヘラ を 用 いて 綺 麗 に 取 り 除 いて 下 さい 支 保 工 サポート 台 サポート 台 車 を 搬 入 させ 固 定 し ます ホッパーに 注 入 接 着 剤 を 投 入 します 注 入 -195-

5. 仕 上 げ 工 側 壁 パネル 上 端 と 現 況 水 路 上 端 を 切 り 揃 えます ダイヤモンドサンダーで 容 易 に 切 ることが 可 能 で す マスキングテープを 張 っ てはみ 出 さないようにし ます 表 面 保 護 材 を 剥 離 してレジ コンボードを 出 します 目 地 の 硬 化 バリを 取 っていま す 表 面 保 護 材 は 発 泡 スチロールのような 感 触 で 簡 単 に 手 で 破 ける 素 材 です 切 断 面 と 注 入 した 接 着 剤 の 見 える 部 位 に 耐 候 性 樹 脂 をハケで 塗 布 します 耐 候 性 樹 脂 680-T 日 立 化 成 工 業 ( 株 ) -196-

6. 完 成 打 診 検 査 接 着 剤 の 充 填 確 認 のため 打 診 にて 確 認 します 施 工 部 シール 工 接 着 剤 現 況 水 路 玉 石 通 水 施 工 終 了 -197-