職 業 指 導 キャリア 発 達 の 効 果 測 定 -メカニズムの 解 明 にむけて- 清 水 和 秋 ( 関 西 大 学 社 会 学 部 ) 実 践 活 動 Frank Parsonsによる 職 業 紹 介 活 動 YMCAによる 支 援 活 動 適 性 の 診 断 心 理 測 定 ( 心 理 テスト) 産 業 心 理 学 Vocational Psychology Guidance/Counseling 精 神 分 析 カウンセリング 理 論 Vocational Career 発 達 心 理 学 Donald Super 職 業 キャリア 伝 統 的 な 心 理 学 の 枠 組 みを 再 構 築 Career Pattern 研 究 キャリア 発 達 の 実 証 的 な 研 究 社 会 的 文 化 的 文 脈 の 影 響 Glen Elder 大 恐 慌 の 子 どもたち Fred Vondracek 生 涯 キャリア 発 達 0 世 紀 の 成 果 キャリア 発 達 の 重 要 性 の 認 識 キャリア 発 達 への 介 入 の 必 要 性 の 共 有
プロ 野 球 選 手 のキャリア 発 達 打 率 ( 00 倍 ) 40 5 0 5 0 5 Y Y Y Y4 Y5 Y6 Y7 Y8 Y9 Y0 プ ロ 軍 で の career 年 数 広 岡 達 朗 山 倉 和 博 仰 木 彬 山 下 大 輔 岡 田 彰 布 田 尾 安 志 田 淵 幸 一 長 嶋 茂 雄 有 藤 道 世 山 本 浩 二 大 杉 勝 男 藤 田 平 若 松 勉 福 本 豊 高 木 守 道 王 貞 治 張 本 勲 清 原 和 博 広 沢 克 小 早 川 毅 彦 Embeddedness 個 人 の 発 達 過 程 のなかで 埋 め 込 まれるものがある 社 会 や 文 化 に 埋 め 込 まれているものが 個 人 の 発 達 に 影 響 している これは また 社 会 の 変 動 とともに 変 容 していく すなわち 社 会 的 文 化 的 文 脈 の 下 標 準 年 齢 的 影 響 標 準 歴 史 的 影 響 非 標 準 的 影 響 の 中 で 独 自 のキャリア パターンが 形 成 される そして 制 度 が 個 人 のキャリア 発 達 へ 介 入 的 に 機 能 している キャリア 教 育 の 学 校 教 育 での 最 近 の 進 展 は 子 どもたちにその 成 果 が 埋 め 込 まれることを 期 待 しているわけである 概 念 もまた 埋 め 込 まれている 適 材 適 所 に 代 表 されるように 特 性 因 子 論 は 現 代 社 会 の 共 通 概 念 あるいは 用 語 となっている キャリア 発 達 も 同 様 となりつつある Antecedents Outcomes キャリア 発 達 に 因 果 的 に 影 響 する 要 因 変 数 につい ての 研 究 蓄 積 は そのメカニズムを 説 明 するところま では 進 んでいない 基 礎 的 諸 能 力 に 加 えて 何 が そして それらが 相 互 に どのように という 点 での 解 明 が 待 たれる 研 究 スタイルを 縦 断 的 なデータ 収 集 へと 変 革 する 必 要 がある 因 果 的 な 関 係 性 のモデル 化 が キャリア 発 達 メカニズムの 解 明 への 道 をより 確 固 としたものと するのではないだろうか キャリア 発 達 への 介 入 プログラムを 開 発 する 研 究 と 平 行 して 介 入 効 果 を 測 定 するため 研 究 方 法 論 の 確 立 も 必 要 である 実 験 的 方 法 や 準 実 験 的 調 査 法 などを 上 の 因 果 的 モデルへと 展 開 することに 加 えて 先 行 する 諸 研 究 が 報 告 している 結 果 を 総 括 するメ タ 分 析 も 今 後 の 重 要 な 課 題 である
Change sensitive measures 特 性 因 子 論 的 考 えからB = f(p, E)の 下 で 行 動 の 予 測 の 方 法 論 が 心 理 テストの 開 発 とともに 進 展 した 安 定 性 による 予 測 は キャリア 関 連 行 動 では 適 切 な 目 標 なのだろうか 日 々 刻 々と 変 化 する 心 理 的 状 態 を 測 定 の 対 象 とするには 心 理 測 定 のこの 伝 統 を 革 新 する 必 要 がある キャリア 関 連 尺 度 の 妥 当 性 は 起 きる 変 化 を 測 定 す ることにあると 考 える Interdisciplinary Parsonsの 実 践 から 始 まった 分 野 である この 分 野 は 他 に 学 問 分 野 よりも 基 礎 科 学 ( 一 般 的 な 法 則 の 発 見 ) 解 釈 学 ( 質 的 理 解 )から 実 践 学 ( 実 際 的 問 題 解 決 )までの 多 岐 の 性 質 を 合 わせて 持 っている キャリア 関 連 研 究 は 心 理 学 社 会 学 教 育 学 経 済 学 経 営 学 な どのそれぞれの 固 有 の 方 法 論 を 踏 まえながら 研 究 がおこなわれ ている 共 通 の 用 語 を 確 定 することは Life-span/Life cycle/life courseなどのように 固 有 の 伝 統 がある 問 題 を 個 別 学 問 がその 内 に 閉 じこめることができるわけではない 結 果 を 共 有 する 方 向 で 概 念 や 測 定 の 内 容 の 共 通 性 を 高 める 努 力 が 必 要 なのではないだろうか Accountability Score キャリア 発 達 への 介 入 を 我 々は 大 きな 目 標 と している 学 術 的 研 究 や 実 践 について その 内 容 と 成 果 とを 説 明 する 責 任 がある キャリア 関 連 の 政 策 立 案 に 貢 献 できるように 基 礎 的 なデータを キャリア 関 連 の 理 論 をベー スにした 専 門 性 の 観 点 から 研 究 することも 責 務 と 考 える Score Age Age Age 差 異 に 変 個 人 によって 個 人 間 化 がない 加 齢 変 化 のみ 加 齢 変 化 が 異 なる Age Age Age 非 線 形 の 成 長 曲 線 が 共 通 に 生 起 成 長 曲 線 の 型 はほぼ 同 じ 成 長 曲 線 の 型 も 異 なる
集 団 A: 成 長 が 早 い 集 団 B: 成 長 が 遅 い Overall latent growth curve does not capture either A or B 集 団 A 内 の 個 人 集 団 B 内 の 個 人 全 体 を 合 併 介 入 効 果 測 定 の 方 法 論 a) 測 定 で 使 用 する 変 数 : 変 化 に 敏 感 な 変 数 安 定 性 vs 変 動 性 b) 調 査 のデザイン( 縦 断 的 (パネル)データ 準 実 験 的 な 調 査 法 統 制 群 と 実 験 群 を 置 くことの 倫 理 的 問 題 ) 対 象 母 集 団 からの 標 本 抽 出 の 適 切 性 を 強 調 し 過 ぎることは 研 究 の 実 施 を 困 難 にすることもある 小 規 模 なデータからの 研 究 も 知 見 の 蓄 積 に そして 研 究 の 進 展 に 貢 献 する 方 法 論 の 適 用 が 不 適 切 であることは 論 外 ではあるが データの 公 開 あるいは 問 い 合 わせに 応 じる 方 策 を 立 てておけば 将 来 において Elderの 研 究 のように 資 産 となるのではないだろうか c)データの 解 析 方 法 論 d) 介 入 変 数 の 因 果 的 関 係 性 のモデル 化 方 法 論 ( 縦 断 的 データ 解 析 ) 古 典 的 なデータ 分 析 方 法 t- 検 定 分 散 分 析 ( 繰 り 返 し 測 定 ) 新 しい 方 法 論 Structural Equation Modeling (SEM) 構 造 方 程 式 モデリング Latent Growth Modeling 潜 在 成 長 モデル( 清 水 999) Multi-Level modeling 階 層 線 形 モデリング 4
プロ 野 球 選 手 の 熟 達 の 軌 跡 - 潜 在 成 長 モデルの 打 撃 成 績 への 適 用 - 悠 峰 職 業 科 学 研 究 所 紀 要, 第 巻, 6-7 (00) 打 率 (00 倍 した 数 値 ) 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 4.0.5.0 Y Y Y Y4 Y5 Y6 Y7 Y8 Y9 Y0 軍 で の プ ロ 経 験 年 数 標 本 の 平 均 モデル 値 ( 結 果 ) 今 後 の 課 題 (その) -a)キャリア カウンセリングでの 介 入 の 道 具 と 方 法 の 充 実 ( 伝 統 的 な 特 性 因 子 論 的 立 場 でのキャリア カウンセリングで 活 用 する 心 理 テスト 職 業 情 報 の 充 実 ) -b)キャリア 教 育 での 教 育 的 介 入 プログラムの 開 発 ( 初 等 中 等 高 等 教 育 課 程 職 業 世 界 への 移 行 過 程 職 業 世 界 職 業 からの 退 職 とその 後 の 家 庭 生 活 ) ) 介 入 の 効 果 測 定 ( 測 定 の 道 具 の 開 発 方 法 論 の 検 討 起 きる 変 化 のメカニズムの 解 明 個 々の 対 象 者 のキャリア 発 達 の 程 度 の 評 価 (キャリア 成 熟 ) 政 策 の 効 果 の 評 価 ) 今 後 の 課 題 (その) ) 効 果 的 な 研 究 蓄 積 の 方 法 の 確 立 4) accountability(あるいはpublicity) ( 学 術 団 体 として 研 究 大 会 研 究 セミナー 学 術 誌 の 発 行 ) 5) 教 育 プログラム: 次 の 世 代 の 人 材 の 育 成 ( 大 学 大 学 院 学 術 団 体 としての 認 定 制 度 の 充 実 ) 6) 教 育 行 政 労 働 行 政 への 政 策 への 貢 献 最 後 に キャリア 関 連 行 動 の 研 究 とキャリア カウンセリ ングの 研 究 との 分 離 が 進 みつつあることを Savickas(00)が 指 摘 している キャリア 教 育 の 研 究 者 と 実 践 者 を 育 てていく 統 合 的 な 教 育 プログラムと 研 究 の 学 際 的 な 交 流 が 以 上 で 指 摘 した 今 後 の 課 題 に 応 えるためにもます ます 重 要 であると 考 えている 5
引 用 参 考 文 献 Walsh, W. B. & Savickas, M. L. (005). Handbook of vocational psychology. (rd Ed.) Mahwah, N.J.: Lawrence Erlbaum. Savickas, M. (00).Introduction: Envisioning the future of vocational psychology. Journal of Vocational Behavior, 59, 84-90. Vondracek, F. W., Lerner, R. M., & Schulenberg, J. E. (986). Career development: A life span developmental approach. Hillsdale, N.J.: Lawrence Erlbaum. 関 連 研 究 の 一 部 Shimizu, K., Vondracek, F. W., Schulenberg, J. E., & Hostetler, M. (988) The factor structure of the Career Decision Scale: Similarities across selected studies. Journal of Vocational Behavior,, -5 Shimizu, K., Vondracek, F.W., & Schulenberg, J. (994) Unidimensionality versus multidimensionality of the Career Decision Scale: A critique of Martin, Sabourin, Laplante, and Coallier. Journal of Career Assessment,,-4. 清 水 和 秋 坂 柳 恒 夫 (988) 進 路 不 決 断 と 進 路 成 熟 父 親, 母 親, 友 人, 教 師 の 影 響 に 関 する 高 校 生 の 横 断 的 な 研 究. 進 路 指 導 研 究, 9, 8-6. 清 水 和 秋 (999a) 潜 在 成 長 モデルによる 進 路 成 熟 の 解 析 - 不 完 全 コーホート データへの 適 用 - 関 西 大 学 社 会 学 部 紀 要,0(),-47 清 水 和 秋 (999b)キャリア 発 達 の 構 造 的 解 析 モデルに 関 する 比 較 研 究 進 路 指 導 研 究, 9(), - 清 水 和 秋 (00b) 構 造 方 程 式 モデリングによる 平 均 構 造 の 解 析 モデル 関 西 大 学 社 会 学 部 紀 要 第 4 巻 第 号 8-08 清 水 和 秋 (00)プロ 野 球 選 手 の 熟 達 の 軌 跡 - 潜 在 成 長 モデルの 打 撃 成 績 への 適 用 - 悠 峰 職 業 科 学 研 究 所 紀 要, 第 巻, 6-7 清 水 和 秋 花 井 洋 子 (007) キャリア 意 思 決 定 尺 度 の 開 発 -その: 大 学 生 を 対 象 とした 探 索 的 因 子 分 析 から 尺 度 構 成 - 関 西 大 学 社 会 学 部 紀 要 第 8 巻 第 号 97-8 6