Platelet transfusion versus standard care after acute stroke due to spontaneous cerebral haemorrhage associated with antiplatelet therapy (PATCH): a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet. 2016 Jun 25;387(10038):2605-13. 抗 血 小 板 薬 内 服 中 の 非 外 傷 性 脳 出 血 に 対 する 血 小 板 輸 血 は 有 効 か 慈 恵 ICU 勉 強 会 2016/8/30 研 修 医 2 年 目 山 越 尚 也
Introduction 2016 年 4 月 19 日 慈 恵 ICU 勉 強 会 より Afの 罹 患 率 の 増 加 高 齢 化 などにより 抗 血 栓 薬 ( 抗 凝 固 薬 抗 血 小 板 薬 血 栓 溶 解 薬 )の 使 用 は 増 え 続 けている Ø 近 年 心 房 細 動 を 有 する 患 者 が 増 加 しており それに 伴 い 長 期 に 渡 って 抗 凝 固 薬 を 使 用 している 患 者 が 増 加 している Neurology. 2008;71(14):1084-1089. ØICU(アメリカ 単 施 設 )で 抗 凝 固 薬 に 関 連 した 脳 出 血 患 者 は 1988:5%(5/184) 1993:9%(23/267) 1999:17%(54/311) であった Neurology. 2007 Jan 9;68(2):116-21. ØICU(オランダ 単 施 設 )での 抗 凝 固 に 関 連 した 脳 出 血 患 者 は 2007-2009:25.8%(168/652)であった Stroke.2014 Jan;45(1):268-70.
Introduction 2016 年 4 月 19 日 慈 恵 ICU 勉 強 会 より 抗 血 栓 薬 の 使 用 は 血 腫 の 拡 大 を 助 長 し 死 亡 率 を 上 げ 機 能 的 予 後 を 悪 くする Øイギリス 単 施 設 で183 人 を 対 象 とした 前 向 きコホート 研 究 :ワーファリン 投 与 にて 脳 出 血 の 拡 大 は6.2 倍 死 亡 率 は3.5 倍 に 増 えた Neurology. 2004;63:1059 64. Øイギリス 単 施 設 で 脳 出 血 患 者 の23.4%(105/432)がワーファリンを 内 服 しており 3ヶ 月 死 亡 率 は2.2 倍 であった Arch Intern Med. 2004;164(8):880-4.
抗 血 栓 薬 内 服 中 の 脳 内 出 血 血 小 板 輸 血 は 死 亡 率 血 腫 拡 大 を 抑 制 するか? 1 脳 内 出 血 が 外 傷 性 か 非 外 傷 性 か? 2 血 小 板 輸 血 のタイミングは? 3 機 能 的 予 後 は?
抗 血 栓 薬 内 服 中 の 外 傷 性 脳 内 出 血 への24 時 間 以 内 の 血 小 板 輸 血 は 有 効 か?
J Emerg Med. 2015; 49(4): 561-72. 抗 血 栓 薬 内 服 中 の 脳 内 出 血 への 血 小 板 輸 血 は 有 効 か?
7 個 の 後 ろ 向 きコホート 研 究 を 検 討 4 個 は 外 傷 性 ICH 3 個 は 非 外 傷 性 ICH Primary Outcome: 院 内 死 亡 率 抗 血 栓 薬 内 服 中 の 外 傷 性 ICHのために 血 小 板 輸 血 した 患 者 の 院 内 死 亡 のオッズ 比 は1.77 抗 血 栓 薬 内 服 中 の 非 外 傷 性 ICHのために 血 小 板 輸 血 した 患 者 の 院 内 死 亡 率 のオッズ 比 は0.49
抗 血 栓 薬 内 服 中 の 非 外 傷 性 脳 内 出 血 への12 時 間 以 内 の 血 小 板 輸 血 は 有 効 か?
血 小 板 活 性 が 減 少 しておりICHとなり 血 小 板 輸 血 を 受 けていた 患 者 45 人 中 特 に 出 血 拡 大 のリスクが 高 いとして32 人 の 患 者 を 抽 出 発 症 の12 時 間 以 内 に 血 小 板 輸 血 し た 群 と12 時 間 より 後 に 血 小 板 輸 血 し た 群 とを 比 較 Exclusion 血 小 板 減 少 症 (platelet count < 100,000 per microliter) 遺 伝 的 な 血 小 板 の 障 害 外 傷 によるICH 破 裂 動 脈 瘤 動 静 脈 奇 形 血 管 炎
発 症 の12 時 間 以 内 に 血 小 板 輸 血 した 群 は12 時 間 より 後 に 血 小 板 輸 血 した 群 に 比 べて 1 出 血 サイズがより 小 さい(8.3ml[3-17.4]vs13.8ml[12.3-62.5],P=0.04) 23ヶ 月 時 点 のADL(MRS<4)を 上 昇 させた (11/20vs0/7,P=0.01)
まとめ 1 抗 血 栓 薬 の 使 用 は 増 え 続 けている 2 抗 血 栓 薬 の 使 用 は 血 腫 の 拡 大 死 亡 率 上 昇 機 能 的 予 後 の 悪 化 3 抗 血 栓 薬 内 服 中 の 外 傷 性 脳 内 出 血 への24 時 間 以 内 の 血 小 板 輸 血 無 効 4 抗 血 栓 薬 内 服 中 の 非 外 傷 性 脳 内 出 血 への 血 小 板 輸 血 有 効 5 抗 血 栓 薬 内 服 中 の 非 外 傷 性 脳 内 出 血 への12 時 間 以 内 の 血 小 板 輸 血 有 効
そこで 今 回 抗 血 栓 薬 内 服 中 の 非 外 傷 性 脳 内 出 血 に 対 して 発 症 6 時 間 以 内 の 血 小 板 輸 血 が 3ヶ 月 後 のADL 死 亡 率 血 腫 の 詳 細 1 場 所 2 大 きさ3 拡 大 (24 時 間 ) にどのような 影 響 を 与 えるか?
Platelet transfusion versus standard care after acute stroke due to spontaneous cerebral haemorrhage associated with antiplatelet therapy (PATCH): a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet. 2016 Jun 25;387(10038):2605-13.
Methods 多 施 設 研 究 RCT オランダ36 イギリス13 フランス1 1 計 60 施 設 少 なくとも7 日 以 上 の 抗 血 小 板 薬 を 内 服 中 発 症 時 GCS8 点 以 上 のテント 上 出 血 発 症 後 6 時 間 以 内 に 研 究 に 参 加 できた190 例 標 準 治 療 群 vs. 標 準 治 療 + 画 像 で 出 血 が 判 明 してから 90 分 以 内 に 血 小 板 輸 血 が 行 われた 群 Primary outcome:3ヶ 月 後 のmRS Secondary outcome:24 時 間 後 の 画 像 評 価 mrsスコア 別 評 価
modified Rankin Scale(mRS) 0 まったく 症 候 がない 1 症 候 はあっても 明 らかな 障 害 はない 2 軽 度 の 障 害 3 中 等 度 の 障 害 4 中 等 度 から 重 度 の 障 害 5 重 度 の 障 害 6 死 亡
Inclusion criteria 18 歳 以 上 少 なくとも7 日 以 上 の 抗 血 小 板 薬 を 内 服 中 GCS8-15 頭 部 画 像 で 確 認 された 非 外 傷 性 テント 上 脳 内 出 血 血 小 板 輸 血 は 発 症 後 6 時 間 以 内 で 頭 部 画 像 後 90 分 以 内 に 開 始
Exclusion criteria 硬 膜 外 硬 膜 下 血 腫 24 時 間 以 内 に 外 科 的 治 療 を 行 う 予 定 であった 動 脈 瘤 や 動 静 脈 奇 形 ( 画 像 で 判 断 ) 脳 室 内 出 血 が 側 脳 室 後 角 以 上 に 拡 大 血 小 板 輸 血 に 対 する 影 響 因 子 ビタミンK 拮 抗 剤 使 用 (INR 1.3) 凝 固 障 害 の 既 往 血 小 板 減 少 症 (10 万 以 下 ) 精 神 的 能 力 の 欠 如 死 の 切 迫 外 科 的 治 療 を 受 ける 可 能 性 が 高 くなるテント 下 や 大 きな 脳 室 内 血 腫
Randomization and masking 標 準 的 治 療 vs. 血 小 板 輸 血 + 標 準 治 療 のいずれかに 1:1の 比 率 で 無 作 為 に 割 り 当 て 無 作 為 化 : 参 加 病 院 と 内 服 抗 血 小 板 薬 の 種 類 を 隠 した 状 態 で webのコンピュータ 無 作 為 化 システム 使 用 盲 目 化 : 研 究 者 に 治 療 の 割 り 当 ては 盲 目 化 されていなかったが データ 分 析 者 outcome 評 価 者 には 盲 目 化 されていた
標 準 治 療 ヨーロッパや 国 のガイドラインに 従 った 標 準 治 療 を 受 けた プロトコルでは 脳 内 出 血 発 症 の6 時 間 以 内 と 頭 部 画 像 診 断 の90 分 以 内 に 血 小 板 輸 血 とした
標 準 治 療 + 血 小 板 輸 血 COX 阻 害 薬 単 独 +ジピリダモール 1 濃 縮 血 小 板 輸 血 (10 単 位 ) ADP 阻 害 薬 単 独 +その 他 抗 血 栓 薬 2 濃 縮 血 小 板 輸 血 (20 単 位 ) ( 血 小 板 投 与 量 は in vitro 研 究 に 基 づいている) 血 小 板 輸 血 が 発 症 後 3 時 間 または3-6 時 間 のどちらに 開 始 したかを 記 録
Primary Outcome 3ヵ 月 時 点 のmRS Secondary outcome 3ヵ 月 時 点 のmRS3-6の 割 合 とmRS4-6の 割 合 3ヵ 月 の 死 亡 率 画 像 はランダマイズ 化 後 24 時 間 (±3 時 間 ) 時 点 1 脳 内 出 血 の 場 所 2 脳 室 血 腫 の 拡 大 について 評 価 治 療 に 関 与 していない 神 経 科 医 や 研 究 看 護 師 によって 評 価
Primary outcomeの 決 定 にあたって
抗 血 栓 薬 内 服 中 非 外 傷 性 脳 内 出 血 の 患 者 血 小 板 輸 血 のタイミングについて 検 討 した 論 文 で 13ヶ 月 時 点 のADL(MRS<4)と2 出 血 サイズを Outcomeとしていた 今 回 の 研 究 でも3ヵ 月 時 点 のmRSを Primary outcomeに 選 択 した
統 計 行 政 のRJdHという 組 織 に 登 録 研 究 の 倫 理 質 安 全 を 担 保 target sample size: Primary outcomeが 標 準 治 療 群 で70%のmRS4-6または 死 亡 の 発 生 率 血 小 板 輸 血 群 で50%の 発 生 率 として この20% 減 少 が 臨 床 上 重 要 な 値 (odds ratio 0.43)と 考 え 検 出 力 80% で 有 意 水 準 両 側 0.05とする 片 群 95 人 の 総 数 190 人 となった しかし STICH II: a randomised trial. Lancet 2013; 382: 397 408. によって 同 様 のodds ratio 0.43を 検 出 するためには 検 出 力 91%に あがることがわかった
統 計 primary outcome:ロジスティック 回 帰 モデルの 多 変 量 解 析 および 交 互 作 用 解 析 secondary outcome:カイ2 乗 検 定 頭 蓋 内 出 血 の 拡 大 中 央 値 :Mann-Whitney U 検 定
Results
両 群 間 のベースラインの 特 性 ベースラインの 特 性 はprimary outcome に 予 後 関 連 性 が 考 慮 されなかった 末 梢 動 脈 疾 患 は 別 として 血 小 板 輸 血 群 と 標 準 治 療 群 でバランスがとられた 心 血 管 既 往 歴 脳 卒 中 やTIA 脳 出 血 高 血 圧 糖 尿 病 高 脂 血 症 虚 血 性 心 疾 患 末 梢 動 脈 病 変 凝 固 障 害
脳 出 血 の 部 位 テント 上 の 髄 質 が6 割 強 テント 上 の 皮 質 下 が2 割 テント 下 が1-2 割 だった
primary outcomeについては3ヶ 月 後 のADLは 血 小 板 輸 血 群 で 悪 化 してした
Secondary outcome 3ヵ 月 時 点 のmRS4-6の 割 合 : 血 小 板 輸 血 群 > 標 準 治 療 群 3ヵ 月 の 死 亡 率 mrs3-6の 割 合 : 両 群 間 で 差 なし
抗 血 小 板 療 法 の 種 類 国 血 腫 のボリュームによる 相 互 作 用 に は 血 小 板 輸 血 群 と 標 準 治 療 群 で 有 意 な 差 は 認 めなかった
3 時 間 以 内 に 血 小 板 輸 血 された 患 者 のほうが3-6 時 間 の 間 に 血 小 板 輸 血 された 患 者 よりも3か 月 後 のmRSが 悪 かった
Discussion PATCHは 抗 血 小 板 療 法 中 の 急 性 脳 内 出 血 での 血 小 板 輸 血 の 影 響 を 調 査 するための 初 めての 無 作 為 化 試 験 この 多 施 設 試 験 では primary outcomeに 関 する 血 小 板 輸 血 の 効 果 は 3ヨーロッパ 諸 国 で 一 致 してい た( 発 展 途 上 国 への 一 般 化 は 不 明 であるが ) この 試 験 の 妥 当 性 を 支 持 している
Discussion 参 加 者 のベースライン 特 性 は 以 前 の 急 性 脳 内 出 血 のためのRCTと 同 様 であった 割 り 当 てられた 治 療 法 のアドヒアランスは 良 好 primary outcome 臨 床 上 のフォローアップは 完 璧 で あった 目 標 試 料 サイズを 達 成
Discussion Primary outcomeが 悪 化 した 結 果 を 説 明 するため の 明 確 なメカニズムを 発 見 することはできなかった が 1 脳 梗 塞 後 の 出 血 が 一 定 数 含 まれている 可 能 性 が ある このような 患 者 では 出 血 病 変 周 囲 の 血 流 が 障 害 されて 虚 血 が 増 悪 したかもしれない ただし 梗 塞 後 出 血 かどうかの 情 報 は 集 めてない のでこの 仮 説 は 憶 測 に 過 ぎない
Discussion 2 大 規 模 観 察 研 究 におけるTTPやHITでは 血 小 板 輸 血 により 血 栓 症 が 増 えて 予 後 が 悪 くなると 言 われてお り 同 様 なことが 脳 出 血 でおこってもおかしくないの ではないか? 3 血 小 板 は 炎 症 を 増 悪 させる 可 能 性 があり 輸 血 によ り 血 管 透 過 性 が 亢 進 するかもしれない
LIMITATION サンプルサイズが 他 の 急 性 脳 卒 中 の 試 験 より 小 さ い PATCHの 研 究 者 らは スクリーニングの 記 録 の 保 持 を 求 められてはいなかったので 選 択 バイアス のレベルは 不 明
LIMITATION 参 加 者 のほとんどは アスピリンを 内 服 比 較 的 少 数 しかADP 阻 害 剤 を 内 服 していなかった この 結 果 がADP 阻 害 剤 を 内 服 していた 人 数 が 増 加 しても 普 遍 的 かは 不 明 抗 血 小 板 薬 のアドヒアランスは 不 明
CASPから 研 究 対 象 となった 介 入 以 外 は 両 方 のグルー プで 同 じように 治 療 が 行 われたか? 標 準 治 療 の 内 容 が 明 確 にされていない その 結 果 はあなたの 現 場 での 対 象 者 に 当 てはめ ることができるか? 血 小 板 輸 血 をそもそも 施 行 していない この 臨 床 試 験 結 果 に 基 づいて 健 康 政 策 や 方 針 医 療 内 容 を 変 えるべきか? さらなる 研 究 が 必 要 である
現 在 進 行 中 のNCT00699621 デザイン:ランダム 化 比 較 試 験 Location : Finland Primary Outcome : 頭 部 CTにおける24 時 間 以 内 に 血 腫 の 体 積 の 増 加 Secondary Outcome: Glasgow Outcome Score 治 療 期 間 内 に 発 生 した 心 血 管 死 治 療 期 間 内 で 発 生 する 任 意 の 原 因 による 死 亡 急 性 心 筋 梗 塞 静 脈 血 栓 塞 栓 症
Inclusion アスピリンまたはクロピドグレルまたはアスピリンと ジピリダモールを 組 み 合 わせて 内 服 急 性 非 外 傷 性 脳 内 出 血 18 歳 以 上 ICH 発 症 後 6 時 間 以 内 に 入 院 ICH score<4
Exclusion 急 性 非 外 傷 性 脳 内 出 血 以 外 の 脳 内 出 血 脳 神 経 外 科 手 術 を 必 要 とする 患 者 併 存 疾 患 による 余 命 3ヵ 月 未 満 の 患 者 悪 性 疾 患 ( 癌 ) 心 筋 梗 塞 肝 炎 肝 硬 変 腎 不 全 感 染 症 (HIV 心 内 膜 炎 ) 血 液 疾 患 またはその 既 往 妊 娠 中 前 30 日 に 別 の 研 究 に 参 加
私 見 現 在 非 外 傷 性 脳 出 血 の 患 者 に 対 して 血 小 板 輸 血 を 施 行 することはあまりない mrsが 悪 化 する 機 序 は 不 明 だが 今 後 も 少 なくと もGCS>8の 場 合 では 血 小 板 輸 血 を 行 う 必 要 はない か 血 腫 ボリュームが 大 きい 場 合 や12 時 間 以 上 経 過 している 症 例 では 血 小 板 輸 血 することも 選 択 肢 に なると 考 えた 今 回 の 結 果 は 仮 説 と 逆 の 結 果 であったため 同 様 のランダム 化 試 験 (NCT00699621)の 完 了 が 待 た れる