無 痛 分 娩 / 選 択 的 分 娩 誘 発 について 皆 様 妊 娠 おめでとうございます 皆 様 が 健 康 に 妊 娠 生 活 を 過 ごされ お 腹 の 赤 ちゃんも 健 やかに 成 長 して 私 ども 杉 山 産 婦 人 科 にいらっしゃる 日 をスタッフ 一 同 お 待 ちしております ただし 無 痛 分 娩 を 希 望 される 場 合 にはさまざま な 条 件 が 存 在 することをご 理 解 ください 1. 当 院 は 産 婦 人 科 診 療 所 であり 救 命 救 急 内 科 外 科 専 門 医 は 勤 務 されておりません このため 下 記 のようなハイリ スク 妊 娠 の 分 娩 の 管 理 能 力 はないと 考 え 分 娩 をお 引 き 受 けしておりません 多 胎 妊 娠 子 宮 腺 筋 症 合 併 頚 部 筋 腫 最 大 6 cm 以 上 の 筋 腫 多 発 筋 腫 合 併 BMI( 体 重 身 長 の 二 乗 )が 30 以 上 または 非 妊 時 85 kg 以 上 血 液 型 不 適 合 妊 娠 (Rh マイナス 妊 婦 ) 発 作 を 繰 り 返 す 喘 息 患 者 妊 娠 34 週 以 前 の 早 産 既 往 高 血 圧 合 併 糖 尿 病 合 併 膠 原 病 合 併 巨 大 児 妊 娠 既 往 プロテインC S 異 常 精 神 神 経 疾 患 その 他 産 婦 人 科 以 外 の 他 科 併 診 が 必 要 な 疾 患 を 有 する 場 合 2. 硬 膜 外 および 脊 髄 硬 膜 外 併 用 無 痛 分 娩 を 担 当 いたします のは 産 科 部 長 谷 昭 博 と 家 永 聡 医 師 の 二 名 です( 曽 我 部 豊 医 師 は 硬 膜 外 カテーテル 挿 入 のみ 行 います) この 二 名 が 不 在 の 夜 間 日 曜 祝 日 には 無 痛 分 娩 は 行 えません さ らに 夜 間 日 曜 祝 日 は 看 護 要 員 の 少 なさからも 対 応 不 能 です ご 理 解 ください この 間 は 和 痛 分 娩 で 対 応 させてい ただきます
3. 夜 間 日 曜 祝 日 に 無 痛 分 娩 ができないため 計 画 ( 選 択 的 誘 発 ) 無 痛 分 娩 を 行 うことがあります 母 児 に 医 学 的 適 応 がない 場 合 自 然 陣 発 を 待 って 分 娩 とした 方 が 安 全 である ことは 当 然 ですが 慎 重 に 分 娩 に 適 した 時 期 を 推 測 して 陣 痛 発 来 前 に 計 画 分 娩 を 実 行 いたします おおよそ 初 産 婦 様 は 妊 娠 39 週 以 降 経 産 婦 様 は 妊 娠 38 週 以 降 となります さらに 子 宮 の 出 口 の 準 備 状 態 の 指 標 であるビショップ スコア 6 点 前 後 となったときに 計 画 分 娩 をいたします(ビ ショップ スコアが 6 点 前 後 では 計 画 分 娩 成 功 率 は 90% 以 上 です) 4. ビショップ スコア 改 善 のために ラミナリヤ ミニメト ロという 子 宮 の 出 口 を 器 械 的 に 開 大 させる 器 械 を 挿 入 す る 場 合 があります この 挿 入 により 多 少 痛 みが 伴 います また 陣 痛 を 誘 発 する 場 合 があります 硬 膜 外 無 痛 分 娩 について はじめに 分 娩 時 の 痛 みにいかに 対 処 するかという 事 がしばしば 話 題 になっておりま す 当 院 では 無 痛 分 娩 を 希 望 される 妊 婦 さんには 基 本 的 に 選 択 的 分 娩 誘 発 を 行 ない 無 痛 分 娩 を 行 なっております このパンフレットは 私 達 が 行 なっている 分 娩 方 法 を 説 明 したものです 無 痛 分 娩 のメリット 合 併 症 がなく 分 娩 が 正 常 に 経 過 している 場 合 には, 多 くの 場 合 自 然 分 娩 が 可 能 であり, 陣 痛 も 一 般 的 によく 知 られている 呼 吸 法 などである 程 度 は 痛 みを 軽 減 することができます その 範 囲 内 では 陣 痛 が 赤 ちゃんに 悪 影 響 を 及 ぼすこと はあまりありません しかし,それらの 呼 吸 法 をお 産 の 前 に 練 習 せず, 分 娩 中 に 不 安 や 恐 怖 感,あるいは 強 い 陣 痛 によるストレスがお 母 さんにかかると, 難 産 になったり, 高 血 圧 による 合 併 症 が 増 加 したり, 赤 ちゃんにも 悪 影 響 を 及 ぼ すことがあります 従 って, 分 娩 中 の 陣 痛 を 適 切 な 方 法 で 和 らげることは 安 全 に 出 産 をする 一 つの 方 法 とも 考 えられます もちろん, 心 臓 病 や 糖 尿 病 をわず らっている 場 合, 妊 娠 中 に 血 圧 が 上 がったり 蛋 白 尿 が 出 たりした 場 合 には, 医 学 的 な 適 応 で 積 極 的 に 無 痛 分 娩 を 行 う 場 合 があります
無 痛 分 娩 の 方 法 無 痛 分 娩 といっても 薬 により 痛 みも 含 め 全 ての 感 覚 が 無 くなってしまうわ けではなく, 主 として 痛 みを 感 じる 神 経 を 麻 痺 させて 痛 みを 和 らげる 方 法 で すので, 多 くの 場 合 ある 程 度 触 っている 感 覚 や 圧 迫 感 は 残 ります 従 って 手 術 の 時 のような 完 全 な 知 覚 運 動 麻 痺 の 状 態 とは 異 なります 選 択 される 麻 酔 法 や 使 用 する 薬 は 産 婦 様 や 赤 ちゃんの 状 態 などで 多 少 異 な ります また, 入 院 予 定 前 に 夜 間 に 急 に 分 娩 が 進 行 したり 祝 祭 日 に 陣 痛 が 発 来 した 場 合 などは 必 ずしも 産 婦 様 の 希 望 に 添 えないこともありますのでご 了 承 ください 硬 膜 外 ブロック 麻 酔 について 出 産 に 伴 う 子 宮 の 収 縮 や 産 道 の 広 がりによる 痛 み( 陣 痛 )は, 背 中 の 脊 髄 (せ きずい)という 神 経 を 通 って 脳 に 伝 えられます. 硬 膜 外 無 痛 分 娩 法 は, 陣 痛 を 和 らげるために, 細 いチュ-ブ(カテーテル)を 腰 の 脊 髄 の 近 く( 腰 部 硬 膜 外 腔 といいます)に 入 れて,そこから 麻 酔 の 薬 ( 歯 科 で 用 いる 局 所 麻 酔 と 同 じ ような 薬 )を 少 しずつ 注 入 します. 腰 から 下 の 痛 みを 感 じる 神 経 だけをにぶく させるので, 産 婦 様 や 赤 ちゃんの 意 識 の 低 下 をきたすことはありません.また, 赤 ちゃんが 生 まれるまで 続 けてカテーテルから 麻 酔 薬 を 投 与 しますので, 途 中 で 麻 酔 が 切 れてしまうこともありません. 効 き 目 には 個 人 差 が 生 じる 場 合 があ ります 実 際 にこの 麻 酔 (ブロック)を 行 う 時 には 産 婦 様 は 横 になるか 座 るかして, お 臍 をのぞき 込 み, 両 膝 は 抱 えるようにし,じっとしていることが 必 要 となり ます 麻 酔 を 行 う 医 師 はまず 背 中 を 消 毒 した 後, 針 をさす 場 所 に 痛 み 止 めの 注 射 をします( 点 滴 と 同 じくらいの 痛 みが 一 瞬 あります) その 後 はカテーテル を 通 すための 針 を 刺 しますが 押 される 感 じだけでほとんど 痛 みはありません そのカテーテルを 入 れた 後 に 針 は 抜 いてしまいますので,ベッド 上 で 動 くこと は 出 来 ます( 歩 行 は 原 則 禁 止 です) 出 産 が 近 づいてくると, 赤 ちゃんの 下 降 感 や 圧 迫 感 が 強 くなる 場 合 も 多 くあ ります 人 によってはこれらの 圧 迫 感 もなくなり, 陣 痛 が 弱 くなる 場 合 があり, 最 後 の 力 みが 不 十 分 と 判 断 された 場 合 には 医 師 による 腹 部 圧 迫 や 吸 引 / 鉗 子 分 娩 が 必 要 になることがしばしばあります なおこの 麻 酔 は 穿 刺 という 処 置 を 必 要 とするため 背 中 に 解 剖 学 的 な 異 常 が ある 場 合, 血 液 が 固 まりにくい 病 気 の 人,または 血 が 固 まりにくくする 薬 を 服 用 している 場 合, 穿 刺 部 付 近 に 炎 症 がある 場 合, 穿 刺 のための 適 切 な 体 位 を 保 持 できない 場 合 などでは 行 うことが 出 来 ません
この 硬 膜 外 ブロックにはいくつかの 副 作 用 があります 1) 血 圧 低 下 :ブロックの 前 に 点 滴 をしますが,それでも 血 圧 が 下 がった 時 には 放 置 すると 赤 ちゃんへの 血 流 が 下 がりますので,そうならないように 血 圧 をあげる 薬 を 用 います 2)かゆみ: 用 いる 薬 によって 生 じるものでアレルギーなどと 関 係 ないこと がほとんどです 3)( 赤 ちゃんの) 脈 拍 低 下 : 多 くは 一 時 的 で, 重 症 の 場 合 にはその 原 因 を 取 り 除 く 薬 を 使 うこともあります 4)はき 気 / 嘔 吐 : 妊 娠 そのものにより はき 気 / 嘔 吐 は 起 き 易 くなってい ますが,それに 薬 による 過 敏 反 応, 血 圧 低 下 などが 重 なって 起 きる 場 合 があり ます 5) 尿 閉 :おしっこの 出 が 悪 くなることです これは 妊 娠 そのものによる 影 響 下 にブロックの 影 響 が 強 く 出 た 時 に 起 こります 分 娩 中 は 助 産 師 が 必 要 に 応 じて 尿 の 介 助 をしますので 安 心 してください これら 以 外 に 以 下 の 合 併 症 があります 1) 頭 痛, 腰 痛 : 無 痛 分 娩 をしなくても 分 娩 後 に 家 に 帰 ってこれらを 訴 える ひとは 10 人 のうち 2~3 人 いるといわれています それとは 別 に 麻 酔 の 合 併 症 としての 頭 痛 が 100 人 に 1 人 程 度 生 じます そのうち 2/3 は 1 週 間 程 度 で 自 然 に 治 りますが, 逆 に 1/3 は 激 しい 頭 痛 のため 処 置 が 望 まれる 場 合 があります ( 放 置 した 場 合 の 治 癒 期 間 は 数 ヶ 月 ~1 年 くらいです) 2) 神 経 障 害 : 数 千 回 に 一 回 くらい 発 生 し, 薬 そのものが 原 因 のものと 針 や カテーテルによる 刺 激 が 原 因 のものとがあります 程 度 の 軽 い も の は 数 日 で 良 くなり, 重 症 の 場 合 は 数 ヶ 月 しびれや 運 動 機 能 障 害 が 生 じる 場 合 が 極 めて 稀 に あります 3) 髄 膜 炎, 硬 膜 外 膿 瘍 : 極 めて 稀 ですが, 脊 髄 やその 周 囲 に 炎 症 が 及 んだ り, うみ が 溜 まった 場 合 には 高 熱 が 出 て 動 くこともままなりません 積 極 的 な 治 療 が 必 要 となります 4) 局 所 麻 酔 薬 中 毒, 全 脊 麻 :いずれも 正 しい 場 所 以 外 の 所,すなわち 全 身 に 薬 が 回 ってしまった 時 に 生 じます したがって 産 婦 様 は 気 分 不 快,めまい, 呼 吸 苦 などの 後,すぐに 寝 てしまいます 放 置 するといろいろな 臓 器 に 障 害 を 来 すので, 血 圧 や 呼 吸 の 補 助 をしながら 薬 が 全 身 から 抜 けるまで 治 療 を 続 けま す 5) 硬 膜 外 血 腫 :10~20 万 人 に 一 人 と 非 常 に 稀 ですが 麻 酔 の 薬 が 投 与 さ れるべき 硬 膜 外 腔 や 脊 髄 くも 膜 下 腔 に 血 腫 ( 血 液 のかたまり)がたまって 神 経 を 圧 迫 することがあります 永 久 的 な 神 経 の 障 害 が 残 ることがあるため で きる 限 り 早 期 に 手 術 をして 血 腫 を 取 り 除 かなければならない 場 合 があります
正 常 な 人 にも 起 こることがありますが 血 液 が 固 まりにくい 体 質 の 方 は 血 腫 ができやすいので 硬 膜 外 鎮 痛 を 行 うことができません 重 症 な 合 併 症 ほど 極 めて 頻 度 は 少 なく, 出 産 そのものの 危 険 性 に 比 べると 麻 酔 で 命 を 落 とす 確 率 は 数 十 分 の 一 です しかし 私 たちは 例 え 極 めて 頻 度 の 低 い 合 併 症 であっても,このような 合 併 症 が 起 きないように 細 心 の 注 意 を 払 ってお ります.これらの 合 併 症 は 間 違 えが 無 くても 100 % 防 止 できるというもので は 無 いため, 万 が 一 に 発 生 した 場 合 にも 十 分 対 応 できる 準 備 をしています. 特 に 分 からないこと, 不 安 なことなどご 遠 慮 なくお 尋 ねください 選 択 的 誘 発 分 娩 ( 計 画 分 娩 ) 選 択 的 誘 発 分 娩 ( 計 画 分 娩 )とは, 医 学 的 適 応 で 分 娩 誘 発 が 必 要 であったり 無 痛 分 娩 を 希 望 される 妊 婦 様 に 対 して 人 為 的 に 分 娩 日 を 決 めて 分 娩 誘 発 を 行 なうことですが, 単 純 に, 分 娩 日 を 決 定 するわけではなくきちんとした 産 科 学 的 判 断 のもとに 行 なわれています 分 娩 前 処 置 入 院 後, 赤 ちゃんの 心 拍 数 陣 痛 をモニターして 赤 ちゃんの 状 態 に 問 題 のな いことを 再 度 確 認 します 子 宮 の 所 見 により 分 娩 をよりスム-ズに 進 めるた めにあらかじめ 子 宮 を 広 げる 処 置 が 必 要 になる 場 合 があります 基 本 的 には 計 画 分 娩 予 定 日 前 日 に 入 院 となりますが 初 産 で 子 宮 の 出 口 が 固 い 場 合 等 は この 前 処 置 に2 日 以 上 要 する 事 があります( 前 泊 入 院 は 別 途 入 院 費 が か か り ま す) この 時 に 用 いる 器 械 は, 細 い 天 然 の 海 草 を 乾 燥 させたもの(ラミナリア) またはミニメトロといわれる 小 さな 風 船 のいずれかです 分 娩 当 日 浣 腸 後,ゆっくり 陣 痛 をおこして 子 宮 を 軟 らかくする 薬 剤 を 朝 から 1 時 間 毎 に 1 錠 を 4~6 回 服 用 していただく 場 合 があります 全 ての 準 備 が 整 ったと ころで 陣 痛 の 強 さを 確 認 しながら 点 滴 による 陣 痛 促 進 を 開 始 します 経 過 が 順 調 であれば 当 日 にお 産 となりますが 陣 痛 効 果 が 弱 くお 産 経 過 がゆっくりの 場 合 翌 日 に 仕 切 り 直 しする 事 もあります
1. 分 娩 誘 発 が 必 要 となる 場 合 について まず,われわれ 産 婦 人 科 医 は, 助 産 師 といっしょに, 母 児 ともに 安 全 に 分 娩 が 終 了 することを 最 大 の 目 的 として 努 力 しています 日 本 の 周 産 期 死 亡, 妊 産 婦 死 亡 が 世 界 でトップクラスに 減 少 した 理 由 は, 分 娩 を 自 然 に 放 置 するのでは なく 適 切 な 医 療 介 入 を 行 ってきたからにほかなりません このため 自 然 のまま 放 置 すると 母 児 の 生 命, 安 全 が 危 険 にさらされるような 場 合 には 分 娩 の 誘 発 や 促 進 をおこなう 必 要 があります 分 娩 の 誘 発 や 陣 痛 の 促 進 は, 母 児 にとって 利 益 があると 考 えられる 医 学 的 適 応 によっておこなわれる 場 合 と 無 痛 分 娩 を 安 全 に 行 う 目 的 で 行 われる 場 合 とがあります 分 娩 誘 発 促 進 の 適 応 を 表 に 示 します また 代 表 的 な 医 学 的 適 応 について 説 明 いたします 1 前 期 破 水 陣 痛 がはじまる 前 に 破 水 が 起 こった 場 合 には, 分 娩 が 長 期 化 すると 母 児 への 感 染 が 起 こるので, 感 染 の 兆 候 が 現 れる 前 に 分 娩 が 終 わることが 必 要 です 破 水 が 起 こっても, 一 定 時 間 以 上 陣 痛 がはじまらないか, 陣 痛 が 弱 い 場 合 には 子 宮 収 縮 薬 の 使 用 が 必 要 となります
2 過 期 妊 娠 予 定 日 を 2 週 間 以 上 すぎると, 胎 盤 の 機 能 が 低 下 して,そのまま 放 置 する とお 腹 のなかで 赤 ちゃんの 状 態 が 悪 くなることがあります これが 過 期 妊 娠 です 過 期 妊 娠 では 羊 水 量 も 減 少 して, 赤 ちゃんを 取 りま く 環 境 が 急 激 に 悪 化 します したがって, 過 期 妊 娠 にならないように 多 くの 施 設 が 原 則 的 に 分 娩 予 定 日 を 1 週 間 以 上 すぎると, 自 然 陣 痛 発 来 を 希 望 されてい る 妊 婦 様 でも 子 宮 収 縮 薬 による 分 娩 誘 発 を 勧 めるようにしています 3 微 弱 陣 痛, 母 体 疲 労, 分 娩 遷 延 分 娩 がはじまっても, 長 時 間 陣 痛 の 弱 い 状 態 ( 微 弱 陣 痛 )がつづくと 分 娩 が 長 引 き, 母 児 ともに 疲 れ 果 ててしまいます このため, 上 手 にいきむことが できなかったり, 分 娩 後 に 子 宮 の 収 縮 が 悪 くなって 出 血 が 多 くなったり, 児 が 低 酸 素 状 態 になったりすることがあります 適 切 な 陣 痛 を 起 こし, 分 娩 をスム -ズに 進 行 させるためには 子 宮 収 縮 薬 の 使 用 が 必 要 になります 2. 子 宮 収 縮 薬 の 種 類 と 使 用 方 法 子 宮 収 縮 薬 には 経 口 錠 と 点 滴 で 用 いる 注 射 薬 があります 子 宮 頸 部 の 熟 化 の 状 態 に 応 じていずれを 用 いるかを 決 めています 経 口 錠 を 別 にすると, 子 宮 収 縮 薬 は 点 滴 により 投 与 します 過 剰 投 与 による 過 強 陣 痛 が 最 も 危 険 であるため, 輸 液 ポンプを 用 いて 薬 液 量 を 厳 密 に 調 整 しながら 最 少 量 から 開 始 し, 有 効 な 陣 痛 が 得 られるまで, 徐 々に 増 量 していきます また, 赤 ちゃんや 子 宮 収 縮 ( 陣 痛 の 状 態 )を 客 覿 的 に 把 握 するために 分 娩 監 視 装 置 を 装 着 し, 不 測 の 事 態 に 備 えます 細 心 の 注 意 を 払 って 子 宮 収 縮 薬 を 使 用 しますので,ご 安 心 ください 子 宮 口 が 開 いていない 場 合 は,ラミナリア 桿 ( 海 草 の 一 種 でつくったもの) や 風 船 状 のミニメトロという 装 置 を 子 宮 口 に 挿 入 し, 時 間 をかけて, 機 械 的 に 子 宮 口 を 開 大 させてから 陣 痛 誘 発 をおこないます 3. 危 険 性 および 副 作 用 子 宮 収 縮 薬 も 一 種 の 薬 ですから, 副 作 用 がまったくないわけではありません アレルギー 反 応,ショック, 子 宮 破 裂 や 過 強 陣 痛, 過 強 陣 痛 による 胎 児 機 能 不 全 が 起 こる 可 能 性 もあります また, 羊 水 塞 栓 症 ( 分 娩 時 に 羊 水 が 母 体 の 肺 の 血 管 に 入 って 呼 吸 困 難 になる)や 分 娩 後 の 弛 緩 出 血 などの 母 体 合 併 症 があると いわれています しかし,これらの 合 併 症 は 自 然 分 娩 でも 起 こることです 適 正 な 使 い 方 をしているかぎり, 子 宮 収 縮 薬 を 使 用 したために,その 危 険 性 がと くに 増 すことはありません なお, 一 度, 子 宮 収 縮 薬 の 投 与 をはじめて 経 腟 分 娩 をめざしていても, 赤 ちゃんの 状 態 および 分 娩 の 進 行 状 況 によっては 経 腟 分
娩 をあきらめて, 帝 王 切 開 分 娩 をおこなうこともあります 分 娩 中 の 監 視 母 体 の 監 視 ( 全 身 状 態, 陣 痛 ) 分 娩 時 には 陣 痛 が 強 くなるにつれて 血 圧 が 上 昇 する 場 合 があったり, 逆 に 麻 酔 の 影 響 で 低 血 圧 になったりするため 夜 間 でも 定 時 的 な 血 圧 測 定 を 行 います 胎 児 の 監 視 分 娩 中 は 陣 痛 という 反 復 するストレスのために 胎 児 の 状 態 は 変 動 しやすく, また 母 体 の 努 責 や 麻 酔 などによっても 強 い 影 響 を 受 けます 胎 児 が 受 けた 影 響 への 反 応 は 心 拍 数 の 変 化 として 現 れるため, 分 娩 中 は 胎 児 心 拍 数 モニタリング が 不 可 欠 です 胎 児 心 拍 数 モニタリングは 理 想 的 には 持 続 的 に 行 うのがよいの ですが, 母 体 の 自 由 を 拘 束 するという 欠 点 があります 当 院 では 選 択 的 誘 発 分 娩 及 び 麻 酔 分 娩 を 行 う 産 婦 さんには 医 療 介 入 を 行 う 意 味 から,また 母 児 の 合 併 症 があるハイリスクの 産 婦 さんではその 危 険 性 を 回 避 するために 原 則 として 分 娩 まで 多 くの 時 間 分 娩 監 視 装 置 ( 胎 児 心 拍 数 陣 痛 図 )を 装 着 していただいております 会 陰 切 開 について 私 たちはすべての 産 婦 様 に 会 陰 切 開 を 行 っているわけではありません 実 際 に 会 陰 切 開 をしたほうがよい,あるいはすべきである 状 態 がある 時 に 切 開 して います 会 陰 切 開 の 効 果 は, 1 膣 の 出 口 に 赤 ちゃんの 頭 (お 尻 )が 見 えた 状 態 ( 排 臨 )から 分 娩 までの 時 問 を 短 くすることができる す な わ ち 赤 ち ゃ ん が 生 ま れ る 直 前 の 苦 し い 時 期 を 短 縮 することができる 2 切 開 創 のほうが 自 然 裂 傷 (ギザギザな 傷 )よりきれいに 治 癒 する 3 直 腸 にまで 達 する 裂 傷 を 生 じることを 防 ぐ 4 伸 びきった 膣 と 伸 びきる 前 に 切 開 した 膣 では 産 後 の 回 復 度 が 異 なる
陣 痛 発 作 の 間 は, 赤 ちゃんへ 供 給 される 酸 素 は 減 少 している 状 態 で, 初 産 婦 さんでは 平 均 12 時 間 かけて 赤 ちゃんはやっと 出 口 部 まで 下 降 してきたのです から 一 番 消 耗 している 段 階 です この 苦 しい 段 階 を 短 く 終 えるために 会 陰 切 開 をする 場 合 があります また 膣 壁 の 伸 びが 十 分 でないために, 分 娩 の 時 に 膣 が 裂 けると 予 想 される 場 合 にも 切 開 を 行 っています さ ら に 麻 酔 分 娩 で 産 婦 さ ん が 充 分 に いきむ( 腹 圧 をかける) ことができないときにも 切 開 が 必 要 にな ることが 多 くなります