市 民 講 座 みみ はな のどの 癌 の 話 市 立 函 館 病 院 耳 鼻 咽 喉 科 科 長 坪 田 大
耳 鼻 科 と 癌 は 関 係 があるの? 耳 鼻 咽 喉 科 は 頭 蓋 内, 眼 窩 内, 歯 牙 咬 合 を 除 く 頭 部 頸 部 の 外 科 疾 患 を 対 象 と しており, 医 学 部 医 科 大 学 や 一 部 病 院 では, 耳 鼻 咽 喉 科 頭 頸 部 外 科 と 言 う 名 称 を 用 いている. したがって, 頭 頸 部 に 生 じる 悪 性 疾 患 は 耳 鼻 咽 喉 科 が 取 り 扱 う
頭 頸 部 癌 とはどんなもの? 顔 面 頭 蓋, 頸 部 臓 器 に 発 生 する 様 々な 悪 性 腫 瘍 の 総 称 である. 対 象 となる 臓 器 は 喉 頭, 咽 頭, 頸 部 食 道, 鼻 副 鼻 腔, 口 腔, 耳, 唾 液 腺, 頸 部, 甲 状 腺 などである. 頭 頸 部 にはこのほか 悪 性 リンパ 腫, 悪 性 黒 色 種, 各 種 肉 腫 も 発 生 する.
日 本 頭 頸 部 癌 学 会 ホームページでは 頭 頸 部 という 言 葉 は 多 くの 人 にとって 聞 きなれない 言 葉 で 解 りにくいと 思 います が 簡 単 にいえば 顔 面 から 頸 部 までの 部 分 を 指 します その 範 囲 は 頭 側 では 脳 の 下 側 まで 体 に 近 い 方 では 鎖 骨 までの 範 囲 を 指 します ( 赤 い 線 に 挟 まれた 部 分 ) この 範 囲 に 含 ま れる 鼻 口 のど 上 あご 下 あご 耳 な どの 部 分 にできるがんが 頭 頸 部 がん です 脳 脊 髄 の 病 気 や 目 の 病 気 は 除 きます
頭 頸 部 がん の 特 徴 QOL(Quality of Life 生 活 の 質 )と 密 接 に 関 係 頭 頸 部 は 呼 吸 食 事 ( 咀 嚼 嚥 下 )などな ど 人 間 が 生 きる 上 で 必 要 な 機 能 さらに 発 声 味 覚 聴 覚 など 社 会 生 活 を 送 る 上 で 重 要 な 機 能 が 集 中 しています この 部 分 に 障 害 が 起 きると 直 接 QOLに 影 響 するため がんを 治 すための 根 治 性 とQOLとのバランスを 保 った 治 療 が 必 要 です また 顔 面 の 形 態 の 維 持 や 表 情 の 形 成 を 行 うのも 頭 頸 部 であり 整 容 的 な 配 慮 も 欠 かせません
低 い 発 生 頻 度 と 数 多 くの 種 類 頭 頸 部 がんは 胃 がん 大 腸 がん 肺 がん など 他 のがんに 比 べて 発 生 頻 度 は 少 ないのが 特 徴 です 2002 年 地 域 がん 登 録 による 推 計 値 ( 国 立 がんセンターがん 対 策 情 報 センター) によると 人 口 10 万 人 に 対 して 代 表 的 な 頭 頸 部 がんのうち 口 腔 咽 頭 がんは8.6 人 喉 頭 がん は2.8 人 で 全 てのがんの5% 程 度 と 考 えられ ています 全 体 数 は 少 ないのですが 鼻 副 鼻 腔 耳 下 腺 舌 喉 頭 咽 頭 など 種 類 が 非 常 に 多 く 発 生 原 因 や 治 療 法 予 後 が 異 なる のが 特 徴 です
頭 頸 部 がんの 危 険 因 子 頭 頸 部 がんの 多 くは 中 高 年 の 男 性 に 発 症 しま すが 部 位 によっては 若 年 者 や 女 性 でも 発 生 することがあります 発 生 には 喫 煙 や 飲 酒 が 大 きく 関 わっている 事 が 判 っているため 日 本 頭 頸 部 がん 学 会 では 禁 煙 節 酒 宣 言 を 出 して 啓 蒙 活 動 を 行 っています 更 に 頭 頸 部 がんは 食 道 がんなど 他 の 部 位 と 重 複 して 発 生 しやすいことが 知 られているため 頭 頸 部 が んにかかったら 他 の 部 位 も 定 期 的 に 検 査 す ることが 必 要 です
報 道 等 に 見 る 頭 頸 部 癌 とは? 三 笠 宮 寛 仁 殿 下 咽 頭 癌 など 与 謝 野 馨 元 大 臣 下 咽 頭 癌 萬 屋 錦 之 助 中 咽 頭 癌 三 木 たかし 下 咽 頭 癌 二 子 山 親 方 口 腔 底 癌 忌 和 野 清 志 郎 咽 頭 癌 愛 と 死 をみつめて 上 顎 軟 骨 肉 腫
頭 頸 部 癌 の 頻 度 はどのくら い?
頭 頸 部 癌 で 亡 くなる 人 は 増 えているの?
各 年 代 で 亡 くなる 方 はどのくらいいる の?
五 年 生 存 率 はどうなっている の?
舌 癌 はどんな 病 気? 舌 を 含 め, 口 唇, 頬 粘 膜, 口 腔 底, 歯 肉 などに 生 じる 癌 を 口 腔 癌 と 呼 んでいる. 喫 煙 等 の 他, 慢 性 的 な 機 械 的 な 刺 激 が 原 因 となりうる. 鏡 で 自 分 で 確 認 できることが 少 なくない. 全 癌 の1.5% 男 女 比 は2:1である. 頸 部 リンパ 節 転 移 をきたしやすい(30~ 40%)
舌 癌 の9 割 近 くは 舌 縁 に 生 じる
咽 頭 癌 とはどんな 病 気? 咽 頭 癌 は 上 咽 頭, 中 咽 頭, 下 咽 頭 の 三 つの 場 所 に 分 けられ,それぞれに 性 質 が 異 なる.
上 咽 頭 癌 とは? EBウイルスと 言 うウイルスとの 関 係 が 深 いとされており, 中 国 南 部 や 台 湾 に 多 発 する. 日 本 では10 万 人 に0.3 人 の 罹 患 率 である. 主 な 症 状 は 滲 出 性 中 耳 炎 による 難 聴, 転 移 による 首 のリンパ 節 の 腫 れ 等 であ り, 進 行 すると 様 々な 脳 神 経 症 状 ( 複 視, 嚥 下 障 害 など)を 生 じる
中 咽 頭 癌 とは? 前 壁 ( 舌 根 部 ), 側 壁 ( 扁 桃 を 含 む), 上 壁 ( 軟 口 蓋 ), 後 壁 に 分 けられる. 側 壁 にできるものが 全 体 の70%と 最 も 多 い. 主 な 症 状 は 腫 れ, 痛 み( 嚥 下 痛 )など で, 首 のリンパ 節 転 移 も 起 こしやすい. 進 行 すると 口 を 開 くにくくなる. 自 分 で 鏡 で 確 認 できる 場 合 が 少 なくな い. 扁 桃 には 悪 性 リンパ 腫 も 出 来 やすい
早 期 に 頸 部 リンパ 節 転 移 をきたす(30~ 70%) 20% 以 上 の 例 で 他 の 癌 の 合 併 を 認 める ( 重 複 癌 ) 世 界 的 にはインドやスリランカに 多 く 噛 みタバコの 影 響 が 考 えられる. 日 本 では 南 西 日 本 に 多 く,アルコール 度 数 の 強 い 飲 酒 の 影 響 が 考 えられる. 最 近 ある 種 のパピローマウイルスとの 関 係 が 言 われている.
下 咽 頭 癌 とは? 咽 頭 の 一 番 奥, 食 道 の 入 り 口 に 当 たる 部 位 に 発 生 する. 飲 酒, 喫 煙 が 危 険 因 子 となり,となり, 世 界 的 にはフランスやインドに 多 いと 言 われる. 過 去 の 放 射 線 治 療 歴 も 危 険 因 子 である. 女 性 には 圧 倒 的 に 少 ないが, 鉄 欠 乏 性 貧 血 に 伴 って 生 じる 場 合 があるので, 注 意 が 必 要 である.
初 期 症 状 は 咽 頭 違 和 感, 異 物 感 などで あり, 進 行 すると 嚥 下 痛, 耳 への 放 散 痛, 血 痰 などを 訴 える. 喉 頭 に 広 がると 声 がかれるようになり, 腫 瘍 組 織 の 壊 死 が 進 むと 独 特 の 口 臭 が する. 頸 部 リンパ 節 転 移 が 初 発 症 状 となるこ とも 少 なくない. 約 30%に 重 複 癌 特 に 食 道 がんを 認 め る.
下 咽 頭 癌 の 内 視 鏡 所 見
喉 頭 癌 とはどんな 病 気? 喉 頭 は 声 帯 ( 声 門 部 )を 真 ん 中 にして, 声 門 上, 声 門 下 の 三 つの 部 分 に 分 けら れ, 早 期 から 声 がれを 生 じて 診 断 しや すいのは 声 門 癌 に 限 る. 世 界 的 にはラテンアメリカ 諸 国,ラテ ン 諸 国 に 多 く, 日 本 では 大 阪 に 多 い. 全 癌 の2%, 頭 頸 部 癌 の3 分 の1を 占 める.
喫 煙 が 危 険 因 子 とされ( 喉 頭 癌 患 者 の 喫 煙 率 は90 数 %と 高 い), 女 性 は 圧 倒 的 に 少 ないが, 近 年 徐 々に 女 性 の 割 合 が 増 大 しつつある. 飲 酒 や 歯 牙 衛 生 の 不 良 も 危 険 因 子 とな る. 6 割 が 声 門 部 癌,3 割 が 声 門 上 癌 であり, 声 門 部 癌 は 比 較 的 予 後 良 好 であるが, 声 門 上 癌 はリンパ 節 転 移 もきたしやす く, 予 後 は 必 ずしも 良 好 ではない.
甲 状 腺 癌 とはどんな 病 気? 甲 状 腺 ホルモンを 作 っている 甲 状 腺 に 生 じる 癌 で, 女 性 に 非 常 に 多 い. おもに 乳 頭 状 腺 癌, 濾 胞 状 腺 癌, 髄 様 癌, 未 分 化 癌 に 分 けられ, 日 本 では 乳 頭 状 腺 癌 が 最 も 多 い. 乳 頭 状 腺 癌 は 比 較 的 進 行 も 遅 く, 治 癒 率 の 高 い 癌 であるが, 未 分 化 癌 は 非 常 に 進 行 が 早 く, 予 後 も 良 くない.
甲 状 腺 の 位 置 甲 状 軟 骨 気 管 甲 状 腺
前 頸 部 の 腫 れを 自 覚 するほか 他 人 か ら 指 摘 されたり 頸 部 のエコー 検 査 や 触 診 で 偶 然 発 見 されることも 多 い. 声 帯 を 動 かす 反 回 神 経 を 侵 して 声 帯 を 麻 痺 させ 声 がれの 原 因 となることが ある. 遠 隔 転 移 は 肺 や 骨 に 多 いが 分 化 癌 の 場 合 は 肺 転 移 があっても 進 行 が 遅 いこ とも 少 なくない. 分 化 癌 の 治 療 の 基 本 は 手 術 のみである が 遠 隔 転 移 に 対 しては 甲 状 腺 の 手 術 後 ヨード 治 療 という 特 別 な 放 射 線 治 療 を 行 う 場 合 がある.
鼻 副 鼻 腔 癌 とはどんな 病 気? 上 顎 洞 に 生 じる 場 合 が 多 く, 慢 性 副 鼻 腔 炎 が 危 険 因 子 とされる. 近 年 慢 性 副 鼻 腔 炎 の 罹 患 率 が 経 るとと もに 発 生 率 は 減 少 しつつある. 頬 部 の 腫 れ, 眼 球 の 変 位 など, 進 行 し た 症 状 で 気 が 付 く 場 合 が 少 なくない. 鼻 閉 や 鼻 出 血 がきっかけで 見 つかるも のの 中 に 悪 性 黒 色 種 もある.
唾 液 腺 癌 とはどんな 病 気? 唾 液 腺 は 大 きなものが 耳 下 腺, 顎 下 腺, 耳 下 腺 の3 種 類 で,その 他 唇 や 口 蓋 に 小 さなものが 多 数 存 在 するが, 特 に 耳 下 腺 や 顎 下 腺 に 癌 が 発 生 する. 耳 下 腺 に 発 生 する 腫 瘍 の7 割 程 度 は 良 耳 下 腺 に 発 生 する 腫 瘍 の7 割 程 度 は 良 性 だが, 顎 下 腺 では5 割 以 上 が 悪 性 と されている.
唾 液 腺 の 分 布
顔 面 神 経 麻 痺 を 伴 う 巨 大 な 耳 下 腺 癌
耳 にも 癌 はできるの? 発 生 頻 度 は 非 常 に 低 いが, 外 耳 道 癌, 中 耳 癌 も 認 められる( 頭 頸 部 癌 の1~ 2%). 早 期 には 診 断 が 困 難 な 場 合 が 多 い. 非 常 に 治 りにくく 血 性 の 耳 だれを 伴 う ような 外 耳 道 炎 は 悪 性 を 疑 って 検 査 を してみる. 頭 蓋 底 にあるため, 手 術 に 高 度 な 技 術 を 要 する 場 合 が 少 なくない.
頭 頸 部 癌 の 診 断 にはどんな 事 をするの? まず 目 で 見 て 確 かめる. 表 面 に 汚 なら しいびらんや 出 血 を 認 める 事 が 多 い. 肉 眼 で 確 認 困 難 な 病 変 は, 内 視 鏡 を 用 いて 観 察 する. ついで, 手 指 の 届 く 範 囲 であれば 触 診 する. 一 般 に 癌 は 硬 いしこりを 触 れる 場 合 が 多 く, 口 内 炎 と 舌 癌 などは 触 診 である 程 度 区 別 できる.
頸 部 リンパ 節 転 移 をともなう 場 合 が 少 なくないので, 頸 部 の 触 診 も 行 う. 一 般 に,1cm 以 上 の 大 きさで, 比 較 的 丸 く, 硬 いものは 転 移 である 可 能 性 が 高 くな る. 痛 みはある 場 合 もない 場 合 もある. 確 定 診 断 には, 生 検 による 病 理 組 織 診 断 が 必 須 であるが, 甲 状 腺 癌 では 細 胞 診 の 診 断 率 が 高 い. ついで,CTやMRI 等 の 画 像 診 断 を 行 う.
口 腔 咽 頭 癌, 特 に 中 下 咽 頭 癌 は 食 道 癌 の 合 併 が 比 較 的 多 く, 他 の 頭 頸 部 癌 も 危 険 因 子 が 共 通 する 場 合 が 多 いので, 食 道 胃 内 視 鏡 検 査 を 行 う. 肺 転 移 や 肝 転 移 の 有 無 を 調 べるための 胸 部 CT 検 査 や 腹 部 エコー 検 査 なども 行 われるが, 早 期 の 喉 頭 癌 などは 遠 隔 転 移 は 起 こしにくいので, 検 査 のメリッ ト,デメリットを 考 えて 行 う.
最 近 は 遠 隔 転 移 の 評 価 としてPETという 検 査 を 行 う 場 合 もある. 骨 の 転 移 が 疑 われる 場 合,シンチグラ ムを 行 う. CTとMRIでは,それぞれに 診 断 上 の 特 徴 があり,MRIは 新 しいからCTよりすぐれ ているという 事 はない.お 互 いを 補 い あう 関 係 である. 甲 状 腺 癌 では 細 胞 診 の 診 断 率 が 非 常 に 高 い.
上 咽 頭 癌 のCT MRI
FDG-PET
頭 頸 部 癌 の 治 療 はどのようにする の? 頭 頸 部 癌 の 治 療 には, 大 きく 手 術, 抗 ガン 剤 による 化 学 療 法, 放 射 線 治 療 の 三 つの 柱 があり,しばしばそれらを 組 み 合 わせて 複 合 的 な 治 療 を 行 う. その 他 遺 伝 子 治 療 免 疫 療 法 温 熱 療 法 などが 行 われているが 保 険 診 療 として 認 められているのは 温 熱 療 法 の みである
放 射 線 治 療 の 役 割 は? 放 射 線 治 療 は 単 独 で,あるいは 抗 ガン 剤 と 組 み 合 わせて 根 治 的 な 治 療 として 行 われる 場 合 と, 手 術 前, 手 術 後 の 補 助 的 治 療 や, 再 発 に 対 する 緩 和 的 治 療 として 行 われる 場 合 もある. 従 来 から 行 われている 照 射 方 法 の 他, 定 位 照 射,IMRT,γナイフ, 重 粒 子 線 治 療 などの 新 しい 方 法 も 次 々と 開 発 さ れている.
抗 ガン 剤 はどのように 使 われるの? 頭 頸 部 癌 の 領 域 では, 抗 ガン 剤 のみで 根 治 的 な 治 療 を 行 うことはほとんどな いが, 放 射 線 と 組 み 合 わせる 放 射 線 化 学 療 法 は, 症 例 によっては 手 術 と 同 等 以 上 の 効 果 が 期 待 できる. また, 術 前 の 補 助 療 法, 術 後 の 再 発 予 防 としての 治 療, 転 移 に 対 する 治 療 と しても 行 われる.
頭 頸 部 癌 の 手 術 の 実 際 とは? 頭 頸 部 癌 手 術 の 歴 史 上 顎 全 摘 術 1827 年 喉 頭 全 摘 術 1873 年 頸 部 郭 清 術 1906 年
頭 頸 部 癌 手 術 の 特 徴 とは? 手 術 により 嚥 下, 呼 吸, 会 話 などの 機 能 に 大 きな 影 響 を 与 える 外 見 上 の 変 化 を 示 すことがある 脳 神 経 外 科, 消 化 器 外 科, 胸 部 外 科, 形 成 外 科 などとの 協 力 を 必 要 とする 場 合 も 少 なくない
再 建 外 科 の 必 要 性 とは? 手 術 による 各 種 機 能 の 喪 失 害 喉 頭 全 摘 発 声 機 能 の 喪 失 舌 亜 全 摘 全 摘, 口 腔 底 癌, 中 咽 頭 癌 切 除 咀 嚼, 嚥 下, 構 語 障 上 顎 全 摘 咀 嚼, 構 語 障 害 美 容 上 の 問 題 下 咽 頭 頚 部 食 道 癌 切 除 嚥 下 機 能 の 喪 失
口 腔 底 癌 における 再 建 手 術 の 例
顎 骨 区 域 切 除 舌 動 部 半 側 切 除 下 顎 骨 区 域 切 除 舌 可 動 部 半 側 切 除 両 頸 部 郭 清 術 腓 骨 複 合 皮 弁 による 再 建
手 術 終 了 時 の 口 腔 内 と, 術 後 のレントゲン 写 真
放 射 線 治 療 の 実 際 声 門 癌 (T1)の 放 射 線 治 療 後 再 発
声 門 上 部 癌 (T2N2c) 局 所 に 対 する 放 射 線 治 療
喉 頭 癌 のレーザー 治 療 CO2レーザーによる 腫 瘍 の 蒸 散
治 療 成 績 はどうなっている の?
生 存 率 中 咽 頭 扁 平 上 皮 癌 疾 患 特 異 的 生 存 率 全 体 5 年 生 存 率 :64.8%
中 咽 頭 癌 病 期 分 類 別 疾 患 特 異 的 生 存 率 stageⅠ,Ⅱ,Ⅲ stageⅣ
その 他 の 成 績 5 年 生 存 率 で 上 咽 頭 癌 :35 50% 下 咽 頭 癌 :30% 前 後 喉 頭 癌 :80%( 声 門 部 癌 90%, 声 門 上 癌 70%) 舌 癌 :55 65% 上 顎 癌 :60 70% 唾 液 腺 癌 :25 40% 甲 状 腺 癌 ( 分 化 癌,10 年 生 存 率 ):95%
頭 頸 部 癌 を 予 防 するには? 禁 煙 飲 酒 特 にアルコール 度 の 高 いお 酒 の 制 限 口 腔 衛 生 の 保 持 ( 歯 磨 き. 虫 歯 歯 周 病 適 合 していない 義 歯 などの 処 置.)
日 本 頭 頸 部 癌 学 会 の 禁 煙 節 酒 宣 言 頭 頸 部 癌 とは 口 腔 癌 鼻 副 鼻 腔 癌 咽 頭 喉 頭 癌 唾 液 腺 甲 状 腺 癌 など 首 から 上 の 臓 器 ( 脳 と 眼 を 除 く)に 発 生 する 癌 を いいます 日 本 頭 頸 部 癌 学 会 の 調 査 では 頭 頸 部 癌 の 多 くは 口 腔 咽 頭 喉 頭 領 域 や 食 道 および 肺 に 重 複 多 発 する 傾 向 があり さらに 重 要 なことは 喫 煙 と 過 度 の 飲 酒 がその 発 生 の 強 い 誘 因 と して 関 わっていることが 判 明 しています このように 共 通 の 誘 因 により いくつかの 領 域 にまたがって 広 く 発 癌 する 現 象 は 広 域 発 癌 field cancerizationといわれ 最 近 注 目 されてきま した この 点 については 医 療 界 にはもちろん 国 民 の 皆 様 にも もっと 広 く 認 識 していただきたいと 考 えています
喫 煙 が 虚 血 性 心 疾 患 や 種 々の 癌 など 多 くの 疾 患 の 誘 因 であり 受 動 喫 煙 も 含 めて 健 康 に 悪 影 響 を 及 ぼすことは 近 年 の 科 学 的 根 拠 の 蓄 積 により 今 や 周 知 の 事 柄 です 平 成 15 年 5 月 健 康 増 進 法 の 発 効 および 平 成 16 年 6 月 WHO たばこ 規 制 枠 組 み 条 約 の 批 准 などで わが 国 においても 具 体 的 な 対 策 が 進 み さまざま な 学 会 団 体 からも 禁 煙 宣 言 が 出 されています
飲 酒 に 関 しても 平 成 15 年 にはWHOにより 中 下 咽 頭 癌 口 腔 癌 食 道 癌 が 飲 酒 関 連 癌 とされています また 日 本 人 において は アルコールが 代 謝 される 過 程 で 産 生 される 毒 性 の 強 いアセ トアルデヒドが 蓄 積 しやすい 体 質 のひとが 多 く そうしたひと では 少 量 の 飲 酒 でも 健 康 に 悪 い 影 響 が 現 れ より 飲 酒 関 連 癌 に かかりやすいことがわかっています 日 本 頭 頸 部 癌 学 会 およびその 全 会 員 は 頭 頸 部 癌 の 診 断 治 療 とそれに 関 わる 研 究 を 行 ってきました これらの 成 果 から 多 くの 頭 頸 部 癌 の 誘 因 が 喫 煙 と 過 度 の 飲 酒 によるものであること が 判 明 しています これらの 誘 因 を 排 除 するために 日 本 頭 頸 部 癌 学 会 およびその 各 会 員 は 以 下 に 述 べる 諸 活 動 を 実 行 する ことを 宣 言 します また 国 民 の 皆 様 には 喫 煙 と 過 度 の 飲 酒 を 戒 め 禁 煙 節 酒 を 心 がけるようお 願 いいたします
日 本 頭 頸 部 癌 学 会 として 学 会 の 取 り 組 み (1) 国 民 の 皆 様 に 対 する 禁 煙 節 酒 の 啓 発 に 努 めます (2) 喫 煙 飲 酒 と 頭 頸 部 癌 との 関 わりについての 研 究 をさらに 進 めます (3) 学 術 大 会 場 内 を 全 面 禁 煙 とします 各 学 会 員 の 取 り 組 み (4) 国 民 の 皆 様 に 対 して 喫 煙 と 過 度 の 飲 酒 を 戒 め 頭 頸 部 の 飲 酒 関 連 癌 患 者 に 対 して 禁 煙 禁 酒 を 奨 励 します (5) 学 会 員 の 所 属 機 関 においては 受 動 喫 煙 の 防 止 のために 施 設 等 の 全 面 禁 煙 に 率 先 して 協 力 し その 推 進 に 努 めます () (6) 禁 煙 指 導 を 実 施 し あるいは 実 施 を 支 援 します (7) 全 会 員 およびその 運 営 に 参 与 する 者 は 喫 煙 と 過 度 の 飲 酒 を 戒 め 禁 煙 節 酒 を 心 がけます
わが 国 の 喫 煙 対 策 への 要 望 (8) タバコ 税 の 大 幅 引 き 上 げに 賛 成 し 税 の 用 途 を 禁 煙 推 進 に 活 用 することを 要 望 します (9) 未 成 年 者 喫 煙 の 防 止 のためタバコ 自 動 販 売 機 の 廃 止 を 要 望 します 平 成 18 年 6 月 15 日 日 本 頭 頸 部 癌 学 会 理 事 長 岸 本 誠 司