A-1 エキス 分 の 総 量 が0.5 重 量 % 以 上 2.0 重 量 % 以 下 であるノン アルコールのビールテイスト 飲 料 であって, A-2 phが3.0 以 上 4.5 以 下 であり, A-3 糖 質 の 含 量 が0.5g/100ml 以 下 である, B 前 記 飲 料 (3



Similar documents
知財セミナーテキスト

し, 譲 渡 し, 又 は 譲 渡 の 申 出 をしてはならない 2 被 告 は, 被 告 製 品 を 廃 棄 せよ 第 2 事 案 の 概 要 本 件 は, 発 明 の 名 称 を phを 調 整 した 低 エキス 分 のビールテイスト 飲 料 とする 特 許 権 を 有 する 原 告 が, 被

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

に 公 開 された 映 画 暁 の 脱 走 ( 以 下 本 件 映 画 1 という ), 今 井 正 が 監 督 を 担 当 し, 上 告 人 を 映 画 製 作 者 として 同 年 に 公 開 された 映 画 また 逢 う 日 まで ( 以 下 本 件 映 画 2 という ) 及 び 成 瀬 巳

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

大阪府電子調達システムの開発業務 (第一期)に係る仕様書案に対する意見招請のお知らせ

Microsoft Word - 2 答申概要.doc

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加

独立行政法人国立病院機構呉医療センター医療機器安全管理規程

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第076号.doc

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

(1)1オールゼロ 記 録 ケース 厚 生 年 金 期 間 A B 及 びCに 係 る 旧 厚 生 年 金 保 険 法 の 老 齢 年 金 ( 以 下 旧 厚 老 という )の 受 給 者 に 時 効 特 例 法 施 行 後 厚 生 年 金 期 間 Dが 判 明 した Bは 事 業 所 記 号 が

1

PowerPoint プレゼンテーション

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

(1) 社 会 保 険 等 未 加 入 建 設 業 者 の 確 認 方 法 等 受 注 者 から 提 出 される 施 工 体 制 台 帳 及 び 添 付 書 類 により 確 認 を 行 います (2) 違 反 した 受 注 者 へのペナルティー 違 反 した 受 注 者 に 対 しては 下 記 のペ

一般競争入札について

< F2D E633368D86816A89EF8C768E9696B18EE688B5>

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

長 は10 年 ) にすべきことを 求 める ⑸ 改 善 意 見 として 事 務 引 継 書 にかかる 個 別 フォルダーの 表 示 について 例 えば 服 務 休 暇 全 般 ( 事 務 引 継 書 を 含 む) といったように 又 は 独 立 した 個 別 フォルダーとして 説 明 を 加 え

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

入札公告 機動装備センター

Microsoft Word - (課×県・指定)【頭紙】「精神障害者保健福祉手帳の診断書の記入に当たって留意すべき事項について」等の一部改正について.rtf

答申第585号

特 定 が 必 要 であり, 法 7 条 の 裁 量 的 開 示 を 求 める 第 3 諮 問 庁 の 説 明 の 要 旨 1 本 件 開 示 請 求 について 本 件 開 示 請 求 は, 処 分 庁 に 対 して, 特 定 法 人 が 大 森 税 務 署 に 提 出 した, 特 定 期 間 の

Ⅰ 元 請 負 人 を 社 会 保 険 等 加 入 建 設 業 者 に 限 定 平 成 28 年 10 月 1 日 以 降 に 入 札 公 告 指 名 通 知 随 意 契 約 のための 見 積 依 頼 を 行 う 工 事 から 以 下 に 定 める 届 出 の 義 務 ( 以 下 届 出 義 務 と

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

平成24年7月18日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

中根・金田台地区 平成23年度補償説明業務

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

弁護士報酬規定(抜粋)

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

損 益 計 算 書 ( 自 平 成 25 年 4 月 1 日 至 平 成 26 年 3 月 31 日 ) ( 単 位 : 百 万 円 ) 科 目 金 額 営 業 収 益 75,917 取 引 参 加 料 金 39,032 上 場 関 係 収 入 11,772 情 報 関 係 収 入 13,352 そ

後 にまで 及 んでおり(このような 外 部 研 究 資 金 を 以 下 契 約 理 由 研 究 という ) かつ その 者 が 退 職 後 も 引 き 続 き 研 究 代 表 者 となることを 研 究 所 が 認 める 場 合 とし 理 事 室 の 命 を 受 けて 発 議 書 ( 別 に 定 め

Microsoft Word - 答申第143号.doc

基 準 地 価 格 3 年 に1 度 審 議 直 近 ではH23 年 12 月 に 審 議 土 地 評 価 替 えの 流 れと 固 定 資 産 評 価 審 議 会 基 準 地 とは 土 地 評 価 の 水 準 と 市 町 村 間 の 均 衡 を 確 保 するための 指 標 となるものであり 各 市

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

工 事 名 能 代 南 中 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 5 月 24 日 ( 火

必 要 なものとして 政 令 で 定 める 原 材 料 等 の 種 類 及 びその 使 用 に 係 る 副 産 物 の 種 類 ごとに 政 令 で 定 める 業 種 をいう 8 この 法 律 において 特 定 再 利 用 業 種 とは 再 生 資 源 又 は 再 生 部 品 を 利 用 することが

接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

行 政 解 釈 上 特 定 商 取 引 法 の 通 信 販 売 における 事 業 者 について 経 産 省 は 販 売 業 者 または 役 務 提 供 事 業 者 とは 販 売 または 役 務 の 提 供 を 業 として 営 む 者 の 意 味 で あり 業 として 営 む とは 営 利 の 意 思

認 し 通 常 の 立 入 検 査 に 際 しても 許 可 内 容 が 遵 守 されていることを 確 認 するこ と 2 学 校 薬 剤 師 業 務 の 兼 任 学 校 薬 剤 師 の 業 務 を 兼 任 する 場 合 の 取 扱 いは 次 のとおりとする (1) 許 可 要 件 1 薬 局 等 の

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

別 紙

(7) 公 共 施 設 における 建 築 物 (1 敷 地 における 延 床 面 積 の 合 計 が 5,000 m2 以 上 )の 劣 化 につ いての 調 査 ( 劣 化 度 調 査 健 全 度 調 査 等 )の 実 績 があること (8) 公 共 施 設 における 建 築 物 (1 敷 地 に

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

<4D F736F F D B8E968BC695E58F CA A2E646F63>

●労働基準法等の一部を改正する法律案

< F2D8ED089EF95DB8CAF939996A289C193FC91CE8DF42E6A7464>

< F2D8E9197BF C B68F9182C98AD682B7>

Microsoft Word 第1章 定款.doc


< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

就 業 規 則 ( 福 利 厚 生 ) 第 章 福 利 厚 生 ( 死 亡 弔 慰 金 等 ) 第 条 法 人 が 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 民 間 社 会 福 祉 施 設 等 職 員 共 済 規 程 に 基 づき 群 馬 県 社 会 福 祉 協 議 会 との 間 において 締 結 す

中国会社法の改正が外商投資企業に与える影響(2)

定款  変更

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

Microsoft Word - 諮問第82号答申(決裁後)

募集要項

< F2D D D837C815B B8EC08E7B97768D80>

定款

<8C9A90DD94AD90B696D88DDE939982CC8DC48E918CB989BB82C98AD682B782E98E9696B18EE688B CC FC90B3816A2E786477>

(2) 甲 の 登 録 商 標 スーパーアマロ と 乙 の 出 願 商 標 AMALO が 類 似 する 場 合 乙 は 指 定 商 品 化 粧 水 について 自 己 の 商 標 登 録 出 願 に 係 る 商 標 AMALO の 商 標 登 録 を 受 けるためにどのような 法 的 措 置 をとる

2. 会 計 規 程 の 業 務 (1) 規 程 と 実 際 の 業 務 の 調 査 規 程 や 運 用 方 針 に 規 定 されている 業 務 ( 帳 票 )が 実 際 に 行 われているか( 作 成 されている か)どうかについて 調 べてみた 以 下 の 表 は 規 程 の 条 項 とそこに

老発第    第 号

指 定 ( 又 は 選 択 ) 官 庁 PCT 出 願 人 の 手 引 - 国 内 段 階 - 国 内 編 - アイスランド 特 許 庁 国 内 段 階 に 入 るための 要 件 の 概 要 3 頁 概 要 国 内 段 階 に 入 るための 期 間 PCT 第 22 条 (3)に 基 づく 期 間

国 税 クレジットカード 納 付 の 創 設 国 税 のクレジットカード 納 付 については マイナンバー 制 度 の 活 用 による 年 金 保 険 料 税 に 係 る 利 便 性 向 上 に 関 するアクションプログラム( 報 告 書 ) においてその 導 入 の 方 向 性 が 示 されている

加 算 税 制 度 の 見 直 し 等 1. 現 行 制 度 の 概 要 関 税 においては 国 税 ( 輸 入 貨 物 に 対 する 内 国 消 費 税 を 含 む 以 下 同 じ ) の 制 度 と 同 様 の 過 少 申 告 加 算 税 無 申 告 加 算 税 及 び 重 加 算 税 の 制

我孫子市小規模水道条例

財団法人山梨社会保険協会寄付行為

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

工 事 名 渟 城 西 小 学 校 体 育 館 非 構 造 部 材 耐 震 改 修 工 事 ( 建 築 主 体 工 事 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 平 成 28 年 2 月 23 日 ( 火

工 事 名 沢 口 浄 配 水 場 建 設 工 事 ( 浄 水 管 理 棟 ) 入 札 スケジュール 手 続 等 期 間 期 日 期 限 等 手 続 きの 方 法 等 平 成 24 年 5 月 8 日 ( 火 ) 正 午 から 1 設 計 図 書 等 の 閲 覧 貸 出 基 本 事 項 2のとおり

Microsoft Word - 05_roumuhisaisoku

( 運 用 制 限 ) 第 5 条 労 働 基 準 局 は 本 システムの 維 持 補 修 の 必 要 があるとき 天 災 地 変 その 他 の 事 由 によりシステムに 障 害 又 は 遅 延 の 生 じたとき その 他 理 由 の 如 何 を 問 わず その 裁 量 により システム 利 用 者

公営住宅法施行令の一部を改正する政令―公営住宅法施行令例規整備*

Microsoft Word - 目次.doc

Microsoft Word - 12 職員退職手当規程_H 改正_

答申書

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

< 目 次 > 1 軽 四 輪 車 等 に 係 る 税 率 引 上 げ Q1 1 軽 四 輪 車 等 についてなぜ 標 準 税 率 を 引 き 上 げることにしたのですか? 3 Q1 2 自 家 用 乗 用 車 については 税 率 を 1.5 倍 に 引 き 上 げ それ 以 外 ( 貨 物 用 営

Microsoft PowerPoint - 基金制度

< F2D824F C D9197A791E58A C938C8B9E>

福 岡 厚 生 年 金 事 案 4486 第 1 委 員 会 の 結 論 申 立 人 の 申 立 期 間 については その 主 張 する 標 準 報 酬 月 額 に 基 づく 厚 生 年 金 保 険 料 を 事 業 主 により 給 与 から 控 除 されていたことが 認 められることから 申 立 期

公文書非公開決定処分に関する諮問について(答申)

H28記入説明書(納付金・調整金)8

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

(12) 配当所得の収入金額の収入すべき時期

<4D F736F F D D31208EC096B18F438F4B8E7793B1834B FC92F BD896694C5816A2E646F6378>

Transcription:

E-20 phを 調 整 した 低 エキス 分 のビールテイスト 飲 料 特 許 権 侵 害 差 止 請 求 事 件 : 東 京 地 裁 平 成 27(ワ)1025 平 成 27 年 10 月 29 日 ( 民 40 部 ) 判 決 < 請 求 棄 却 > キーワード 特 許 発 明 の 進 歩 性 ( 特 29 条 2 項 ), 特 許 の 無 効 事 由 と 特 許 権 の 行 使 ( 特 104 条 の 3 第 1 項 ), 公 然 実 施 発 明 ( 特 29 条 1 項 2 号 ), 特 許 無 効 審 判 の 請 求 事 案 の 概 要 本 件 は, 発 明 の 名 称 を phを 調 整 した 低 エキス 分 のビールテイスト 飲 料 と する 特 許 権 を 有 する 原 告 が, 被 告 に 対 し, 被 告 による 被 告 製 品 の 製 造 等 が 特 許 権 侵 害 に 当 たると 主 張 して, 特 許 法 100 条 1 項 及 び2 項 に 基 づき, 被 告 製 品 の 製 造 等 の 差 止 め 及 び 廃 棄 を 求 める 事 案 である 1 前 提 事 実 ( 当 事 者 間 に 争 いのない 事 実 並 びに 後 掲 の 証 拠 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 により 容 易 に 認 められる 事 実 ) (1) 当 事 者 ア 原 告 (サントリーホールディングス 株 式 会 社 )は, 清 涼 飲 料 その 他 の 飲 料, 酒 類 の 製 造 及 び 販 売 等 の 事 業 を 営 む 会 社 等 の 株 式 又 は 持 分 を 所 有 するこ とにより, 当 該 会 社 等 の 事 業 活 動 を 支 配, 管 理 することを 目 的 とする 株 式 会 社 である イ 被 告 (アサヒビール 株 式 会 社 )は,ビールその 他 の 酒 類, 清 涼 飲 料 その 他 の 飲 料 の 製 造, 販 売 等 を 目 的 とする 株 式 会 社 である (2) 原 告 の 特 許 権 ア 原 告 は, 次 の 特 許 権 ( 以 下 本 件 特 許 権 といい,その 特 許 請 求 の 範 囲 請 求 項 1に 係 る 特 許 を 本 件 特 許 という )の 特 許 権 者 である 特 許 番 号 第 5382754 号 原 出 願 日 平 成 24 年 11 月 19 日 出 願 日 平 成 25 年 5 月 27 日 ( 特 願 2013-110731) 優 先 日 平 成 23 年 11 月 22 日 登 録 日 平 成 25 年 10 月 11 日 発 明 の 名 称 phを 調 整 した 低 エキス 分 のビールテイスト 飲 料 イ 本 件 特 許 の 特 許 請 求 の 範 囲 の 請 求 項 1(ただし, 平 成 26 年 8 月 7 日 に 確 定 した 審 決 による 訂 正 後 のもの)の 記 載 は, 次 のとおりである( 以 下,この 発 明 を 本 件 発 明 といい, 同 訂 正 後 の 明 細 書 及 び 図 面 を 本 件 明 細 書 と いう ) エキス 分 の 総 量 が0.5 重 量 % 以 上 2.0 重 量 % 以 下 であるノンアルコー ルのビールテイスト 飲 料 であって,pHが3.0 以 上 4.5 以 下 であり, 糖 質 の 含 量 が0.5g/100ml 以 下 である, 前 記 飲 料 ウ 本 件 発 明 は, 以 下 の 構 成 要 件 に 分 説 される 1

A-1 エキス 分 の 総 量 が0.5 重 量 % 以 上 2.0 重 量 % 以 下 であるノン アルコールのビールテイスト 飲 料 であって, A-2 phが3.0 以 上 4.5 以 下 であり, A-3 糖 質 の 含 量 が0.5g/100ml 以 下 である, B 前 記 飲 料 (3) 本 件 特 許 の 出 願 経 過 等 ア 原 告 は, 平 成 23 年 11 月 22 日 に 優 先 権 の 基 礎 となる 出 願 を 行 い( 特 願 2011-255388), 平 成 24 年 11 月 19 日 に 優 先 権 を 主 張 して 国 際 出 願 をした(PCT/JP2012/079973) この 国 際 出 願 は 日 本 国 に 国 内 移 行 され( 特 願 2013-516897), 原 告 は,この 国 内 移 行 された 出 願 につき 平 成 25 年 5 月 27 日 に 本 件 発 明 に 係 る 分 割 出 願 を 行 っ た ( 乙 39,40) イ 本 件 特 許 の 特 許 出 願 時 の 特 許 請 求 の 範 囲 の 請 求 項 1は, 次 のとおりであっ た エキス 分 の 総 量 が2.0 重 量 % 以 下 であるビールテイスト 飲 料 であって, phが2.7 以 上 4.5 以 下 である, 前 記 飲 料 ウ 原 告 は, 平 成 25 年 8 月 5 日 付 けで 手 続 補 正 書 ( 乙 3)を 提 出 し, 特 許 請 求 の 範 囲 の 請 求 項 1を 次 のとおり 補 正 し( 下 線 部 は 補 正 箇 所 以 下,この 補 正 を 本 件 補 正 という ), 同 年 10 月 11 日 に 特 許 登 録 を 受 けた エキス 分 の 総 量 が0.5 重 量 % 以 上 2.0 重 量 % 以 下 であるビールテイス ト 飲 料 であって,pHが3.0 以 上 4.5 以 下 であり, 糖 質 の 含 量 が0.5 g/100ml 以 下 である, 前 記 飲 料 エ 原 告 は, 本 件 特 許 の 登 録 後, 前 後 (2)イの 訂 正 に 係 る 訂 正 審 判 を 請 求 し, 訂 正 を 認 める 旨 の 審 決 がされた (4) 被 告 の 行 為 被 告 は, 平 成 25 年 9 月 上 旬 からノンアルコールのビールテイスト 飲 料 であ る 被 告 製 品 (ドライゼロ)の 製 造, 販 売 を 行 っている (5) ノンアルコールのビールテイスト 飲 料 の 発 売 ノンアルコールのビールテイスト 飲 料 である 原 告 の サントリー オールフ リー ( 以 下 オールフリー という ) 及 び 被 告 の アサヒ ダブルゼロ ( 以 下 ダブルゼロ という )は, 平 成 22 年 8 月 3 日 にそれぞれ 発 売 が 開 始 された( 乙 4,9) オールフリー 及 びダブルゼロは,いずれも 本 件 補 正 前 ( 特 許 出 願 時 )の 特 許 請 求 の 範 囲 の 請 求 項 1 記 載 の 発 明 の 技 術 的 範 囲 に 属 する ものであったが, 本 件 補 正 後 はその 技 術 的 範 囲 に 属 しないものとなった( 乙 1, 弁 論 の 全 趣 旨 ) 2 争 点 被 告 は, 被 告 製 品 が 本 件 発 明 の 技 術 的 範 囲 に 属 することを 争 っていない 本 件 の 争 点 は, 本 件 特 許 が 特 許 無 効 審 判 により 無 効 にされるべきものとして 原 告 が 本 件 特 許 権 を 行 使 することができないか 否 かであり( 特 許 法 104 条 の 2

3 第 1 項 ), 被 告 は 本 件 特 許 には 以 下 の 無 効 理 由 があると 主 張 している (1) サポート 要 件 ( 特 許 法 36 条 6 項 1 号 ) 違 反 (2) 実 施 可 能 要 件 ( 同 条 4 項 1 号 ) 違 反 (3) 補 正 要 件 ( 同 法 17 条 の2 第 3 項 ) 違 反 (4) オールフリーに 係 る 発 明 ( 以 下 公 然 実 施 発 明 1 という )に 基 づく 進 歩 性 欠 如 (5) ダブルゼロに 係 る 発 明 ( 以 下 公 然 実 施 発 明 2 という )に 基 づく 進 歩 性 欠 如 (6) 米 国 特 許 第 3717471 号 公 報 ( 以 下 乙 13 公 報 という )に 記 載 された 発 明 ( 以 下 乙 13 発 明 という )に 基 づく 進 歩 性 欠 如 (7) 特 開 2013-21944 号 公 報 ( 以 下 乙 17 公 報 という )に 記 載 された 発 明 ( 以 下 乙 17 発 明 という )に 基 づくいわゆる 拡 大 先 願 要 件 ( 同 法 29 条 の2) 違 反 (8) 優 先 権 の 主 張 が 認 められないことを 前 提 とする 進 歩 性 欠 如 判 断 1 争 点 (4)( 公 然 実 施 発 明 1(オールフリー)に 基 づく 進 歩 性 欠 如 )につい て まず, 争 点 (4)について 判 断 する 前 記 前 提 事 実 (5)のとおり,オールフリーは 本 件 特 許 の 優 先 日 前 である 平 成 22 年 8 月 3 日 に 原 告 が 販 売 を 開 始 したものであり,その 成 分 等 を 分 析 するこ とが 格 別 困 難 であるとはうかがわれないから,オールフリーに 係 る 発 明 ( 公 然 実 施 発 明 1)は 日 本 国 内 において 公 然 実 施 をされた 発 明 ( 特 許 法 29 条 1 項 2 号 )に 当 たる 被 告 は, 本 件 発 明 は 公 然 実 施 発 明 1に 基 づいて 容 易 に 発 明 をす ることができたので 特 許 を 受 けることができない 旨 ( 同 条 2 項 ) 主 張 するもの である (1) 本 件 発 明 と 公 然 実 施 発 明 1の 対 比 ア 本 件 発 明 は, 前 記 前 提 事 実 (2)イの 特 許 請 求 の 範 囲 の 請 求 項 1 記 載 のとお り, エキス 分 の 総 量 が0.5 重 量 % 以 上 2.0 重 量 % 以 下 であるノンアル コールのビールテイスト 飲 料 であって,pHが3.0 以 上 4.5 以 下 であ り, 糖 質 の 含 量 が0.5g/100ml 以 下 である, 前 記 飲 料 というも のである 一 方, 公 然 実 施 発 明 1は, 証 拠 ( 乙 1,4,41の1) 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によれば, 別 紙 1-1~3に 示 された 各 分 析 項 目 の 成 分 量 ないし 特 性 を 備 え たノンアルコールのビールテイスト 飲 料 であり,エキス 分 の 総 量 は0.39 重 量 %,phの 値 は3.78, 糖 質 はゼロ( 栄 養 表 示 基 準 に 基 づき100m l 当 たり0.5g 未 満 )であると 認 められる そうすると, 本 件 発 明 と 公 然 実 施 発 明 1は,エキス 分 の 総 量 につき, 本 件 発 明 が0.5 重 量 % 以 上 2.0 重 量 % 以 下 であるのに 対 し, 公 然 実 施 発 明 1 3

が0.39 重 量 %である 点 で 相 違 し,その 余 の 点 で 一 致 する イ これに 対 し, 原 告 は, 本 件 発 明 はエキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 含 量 の 各 数 値 範 囲 と 飲 み 応 え 感 及 び 適 度 な 酸 味 付 与 という 効 果 の 関 連 性 を 見 いだし たことを 技 術 思 想 とするものであり, 公 然 実 施 発 明 1はこのような 技 術 思 想 を 開 示 するものではないから,オールフリーの 多 数 の 分 析 項 目 の 中 からエキ ス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 含 量 のみを 抜 き 出 して 公 然 実 施 発 明 1を 特 定 す ることは 許 されず,エキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 含 量 をひとまとまりの 構 成 として 相 違 点 を 認 定 すべきである 旨 主 張 する そこで 判 断 するに, 後 掲 の 証 拠 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によれば, 以 下 のとおり 解 することができる (ア) 本 件 発 明 は, 特 許 請 求 の 範 囲 の 記 載 上,エキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 含 量 につき 数 値 範 囲 を 限 定 しているが, 各 数 値 がそれぞれ 当 該 範 囲 内 に あれば 足 りるのであり,これらが 相 互 に 特 定 の 相 関 関 係 を 有 することは 規 定 されていない また, 本 件 明 細 書 の 発 明 の 詳 細 な 説 明 の 欄 をみても, 例 え ば,エキス 分 の 総 量 が0.5 重 量 %であるときはpHをどの 範 囲 とし,これ が2.0 重 量 %であるときはpHをどの 範 囲 とするのが 望 ましいなどといっ た 記 載 は 見 当 たらず, 要 は,エキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 含 量 がそれぞ れ 数 値 範 囲 内 にあれば 足 りるとされている (イ) 証 拠 ( 乙 4,21,28の1) 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によれば,1リキュ ールの 品 質 及 び 成 分 の 評 価 においてエキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 含 量 が 一 般 的 な 分 析 項 目 とされていること,2 本 件 特 許 の 優 先 日 前 に 頒 布 された Biere der Welt( 世 界 のビール) と 題 する 文 献 ( 乙 28 の1)に, 各 種 のノンアルコールビールテイスト 飲 料 についてエキス 分 及 び phを 測 定 項 目 に 含 めた 一 覧 表 が 掲 載 されていること,3 原 告 が 公 然 実 施 発 明 1の 発 売 に 当 たり 糖 質 の 含 量 を 測 定 し, 糖 質 がゼロであることを 宣 伝 文 句 としていることが 認 められる これら 事 実 関 係 に 照 らせば,エキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 はノンアルコールのビールテイスト 飲 料 の 性 状 を 特 定 する 上 でごくありふれた 項 目 であり, 当 業 者 であれば 当 然 に 着 目 する 事 項 とみる ことができる (ウ) さらに, 本 件 発 明 は, 特 許 請 求 の 範 囲 の 記 載 上,エキス 分 又 は 糖 質 と して 具 体 的 にどのような 物 質 をいかなる 量 含 有 するか,pHの 数 値 をどのよ うに 規 制 するかを 特 定 するものでなく,また, 他 の 成 分 の 存 否 や 測 定 値 につ き 触 れるところもない 本 件 明 細 書 ( 甲 2)の 発 明 の 詳 細 な 説 明 の 記 載 をみ ても,エキス 分 の 具 体 的 成 分 及 び 総 量 を 規 制 する 手 段,pH 調 整 剤 の 種 類 及 び 使 用 方 法, 糖 質 の 種 類,その 他 の 添 加 物 の 有 無 等 に 格 別 の 限 定 はされてい ない( 段 落 0020, 0021, 0024 ~ 0027, 0030, 0033 ) そうすると, 別 紙 1-1~3に 示 された 公 然 実 施 発 明 1の 多 数 の 分 析 項 目 のうちエキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 以 外 の 成 分 等 の 分 析 結 果 は, 本 件 発 明 の 進 歩 性 を 検 討 するに 当 たり 考 慮 する 必 要 は 4

ないと 考 えられる (エ) 以 上 によれば, 本 件 発 明 の 進 歩 性 を 判 断 する 前 提 として 公 然 実 施 発 明 1との 相 違 点 を 認 定 するに 当 たっては,エキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 各 数 値 をみれば 足 りると 解 すべきであるから, 原 告 の 上 記 主 張 を 採 用 すること はできない (2) 相 違 点 の 容 易 想 到 性 ア 後 掲 の 証 拠 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によれば, 次 の 事 実 が 認 められる (ア) 公 然 実 施 発 明 1は, 本 件 特 許 の 優 先 日 当 時, 我 が 国 におけるノンアル コールのビールテイスト 飲 料 の 中 で 販 売 金 額 が 最 も 大 きかったが,その 一 方 で, 消 費 者 から,コク( 飲 み 応 え)がない, 物 足 りない, 味 が 薄 いといった 評 価 を 受 けていた ( 乙 10,34~36) (イ) ノンアルコールのビールテイスト 飲 料 については, 本 件 特 許 の 優 先 日 以 前 から, 濃 厚 感, 旨 味 感,モルト 感,ボリューム 感 やコク 感 を 欠 くという 問 題 点 が 指 摘 されており,これらを 解 消 して 飲 み 応 えを 向 上 させるため, 穀 物 の 摩 砕 物 にプロテアーゼ 処 理 を 施 して 得 られる 風 味 付 与 剤, 麦 芽 溶 液 を 抽 出 して 得 られる 香 味 改 善 剤 又 は 香 料 組 成 物, 植 物 性 タンパク 分 解 物 や 麦 芽 抽 出 物, 麦 芽 エキス, 清 酒 由 来 のエキスを 用 いる 風 味 向 上 剤, 茶 葉 の 水 又 はエ タノール 抽 出 物 といった 添 加 物 を 用 いる 技 術 が 周 知 となっていた ( 乙 14 ~16,25~27) (ウ) 本 件 明 細 書 におけるエキス 分 の 総 量 とは,アルコール 度 数 が0.00 5% 未 満 の 飲 料 の 場 合, 脱 ガスしたサンプルをビール 酒 造 組 合 国 際 技 術 委 員 会 (BOCJ)が 定 めるビール 分 析 法 に 従 って 測 定 したエキス 値 ( 重 量 %) をいう( 段 落 0022 ) 上 記 (イ)の 風 味 付 与 剤 等 は,いずれもこの 方 法 の 測 定 対 象 となるエキス 分 に 当 たる ( 甲 2, 乙 2) イ 上 記 事 実 関 係 によれば, 公 然 実 施 発 明 1に 接 した 当 業 者 において 飲 み 応 え が 乏 しいとの 問 題 があると 認 識 することが 明 らかであり,これを 改 善 するた めの 手 段 として,エキス 分 の 添 加 という 方 法 を 採 用 することは 容 易 であった と 認 められる そして,その 添 加 によりエキス 分 の 総 量 は 当 然 に 増 加 すると ころ, 公 然 実 施 発 明 1の0.39 重 量 %を0.5 重 量 % 以 上 とすることが 困 難 であるとはうかがわれない そうすると, 相 違 点 に 係 る 本 件 発 明 の 構 成 は 当 業 者 であれば 容 易 に 想 到 し 得 る 事 項 であると 解 すべきである なお, 飲 料 中 のエキス 分 の 総 量 を 増 加 させた 場 合 にはpH 及 び 糖 質 の 含 量 が 変 化 すると 考 えられるが,エキス 分 には 糖 質 由 来 のものとそれ 以 外 のもの があり( 本 件 明 細 書 の 段 落 0020, 0033 参 照 ),phにも 多 様 のものがあると 解 されることに 照 らすと, 公 然 実 施 発 明 1にエキス 分 を 適 宜 ( 例 えば, 非 糖 質 由 来 で 酸 性 又 は 中 性 のものを) 加 えてその 総 量 を0.5 重 量 以 上 としつつ,pH 及 び 糖 質 の 含 量 を 公 然 実 施 発 明 1と 同 程 度 のもの ( 本 件 発 明 の 特 許 請 求 の 範 囲 に 記 載 の 各 数 値 範 囲 を 超 えないもの)とするこ とに 困 難 性 はないと 解 される 5

ウ これに 対 し, 原 告 は,1 公 然 実 施 発 明 1については, 消 費 者 の 満 足 度 が 高 く, 飲 み 応 えに 関 する 課 題 はなかったこと,2 飲 み 応 え 感 を 付 与 する 方 法 と してエキス 分 の 総 量 に 着 目 する 動 機 付 けがないこと,3 公 然 実 施 発 明 1は, トリプルゼロ(アルコール,カロリー 及 び 糖 質 のゼロ)を 商 品 コンセプトと し,エキス 分 が 薄 いことを 特 徴 としていたから,エキス 分 を 増 加 させること は 考 え 難 いこと,4 本 件 発 明 には 公 然 実 施 発 明 1から 予 測 できない 顕 著 な 効 果 があることを 理 由 に, 本 件 発 明 に 進 歩 性 がある 旨 主 張 するが, 以 下 のとお り,いずれも 採 用 することができない 1について, 公 然 実 施 発 明 1に 対 する 消 費 者 の 評 価 は 前 記 ア(ア)のとおり であり, 飲 み 応 えに 乏 しいとの 意 見 もあったから, 当 業 者 ( 原 告 に 限 らな い )において 公 然 実 施 発 明 1より 飲 み 応 えが 高 いノンアルコールのビール テイスト 飲 料 を 開 発 することの 動 機 付 けはあったと 考 えられる 2について,ノンアルコールのビールテイスト 飲 料 につき 飲 み 応 え 感 を 付 与 するために 各 種 のエキス 分 を 添 加 する 技 術 が 周 知 であったことは 前 記 ア (イ) 及 び(ウ)のとおりであり,これに 伴 いエキス 分 の 総 量 が 増 加 することは 当 然 に 想 定 されるということができる 3について, 公 然 実 施 発 明 1の 商 品 コンセプトは,アルコール,カロリー 及 び 糖 質 がゼロであることであり( 乙 4),エキス 分 には 糖 質 に 由 来 しない ものがあるから( 上 記 イ),エキス 分 の 総 量 を 増 加 させることが 上 記 コンセ プトの 破 壊 につながるとは 認 められない 4について,エキス 分 の 増 加 により 飲 み 応 えが 向 上 することが 周 知 であっ たことは 前 記 ア(イ) 及 び(ウ)のとおりであるから, 本 件 発 明 が 公 然 実 施 発 明 1から 予 測 し 得 る 範 囲 を 超 えた 顕 著 な 効 果 を 奏 するということはできない (3) 小 括 以 上 によれば, 本 件 発 明 は 公 然 実 施 発 明 1に 基 づいて 容 易 に 想 到 することが できたから, 本 件 特 許 は 特 許 無 効 審 判 により 無 効 にされるべきものと 認 められ る( 特 許 法 123 条 1 項 2 号 ) 2 争 点 (5)( 公 然 実 施 発 明 2(ダブルゼロ)に 基 づく 進 歩 性 欠 如 )について 事 案 に 鑑 み, 争 点 (5)についても 判 断 する 前 記 前 提 事 実 (5)のとおり,ダブルゼロは 本 件 特 許 の 優 先 日 前 に 被 告 が 販 売 を 開 始 したものであり,その 成 分 等 を 分 析 することが 格 別 困 難 であるとはうか がわれないから,ダブルゼロに 係 る 発 明 ( 公 然 実 施 発 明 2)は 日 本 国 内 におい て 公 然 実 施 をされた 発 明 に 当 たる 被 告 は,これに 基 づく 本 件 発 明 の 進 歩 性 欠 如 を 主 張 するものである (1) 本 件 発 明 と 公 然 実 施 発 明 2の 対 比 ア 本 件 発 明 は, 前 記 前 提 事 実 (2)イの 特 許 請 求 の 範 囲 の 請 求 項 1 記 載 のとお りのものである 一 方, 公 然 実 施 発 明 2は, 証 拠 ( 乙 1,9,41の3) 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によれば, 別 紙 2-1~5に 示 された 各 分 析 項 目 の 成 分 量 ないし 特 性 を 備 え 6

たノンアルコールのビールテイスト 飲 料 であり,エキス 分 の 総 量 は1.07 重 量 %,phの 値 は3.05, 糖 質 は0.9g/100mlであると 認 めら れる そうすると, 本 件 発 明 と 公 然 実 施 発 明 2は, 糖 質 の 含 量 につき, 本 件 発 明 が0.5g/100ml 以 下 であるのに 対 し, 公 然 実 施 発 明 2が0.9g/ 100mlである 点 で 相 違 し,その 余 の 点 で 一 致 する イ これに 対 し, 原 告 は,ダブルゼロの 多 数 の 分 析 項 目 の 中 からエキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 含 量 のみを 抜 き 出 して 公 然 実 施 発 明 2を 特 定 し, 相 違 点 を 認 定 することは 許 されない 旨 主 張 するが, 争 点 (4)につき 判 示 したのと 同 様 の 理 由 により,これを 採 用 することはできない (2) 相 違 点 の 容 易 想 到 性 ア 証 拠 ( 乙 10~12) 及 び 弁 論 の 全 趣 旨 によれば, 本 件 特 許 の 優 先 日 当 時, 健 康 志 向 の 高 まりを 受 けて,ノンアルコールのビールテイスト 飲 料 の 分 野 では 糖 質 ゼロ との 表 示 のある 商 品 が 消 費 者 から 支 持 されていたこと, 栄 養 表 示 基 準 ( 平 成 15 年 4 月 24 日 厚 生 労 働 省 告 示 第 176 号 )において は, 糖 質 を100ml 当 たり0.5g 未 満 とすれば 糖 質 を 含 まない 旨 の 表 示 をすることができることが 認 められる イ 上 記 事 実 関 係 によれば, 公 然 実 施 発 明 2に 接 した 当 業 者 においては, 糖 質 の 含 量 を100ml 当 たり0.5g 未 満 に 減 少 させることに 強 い 動 機 付 けが あったことが 明 らかであり,また, 糖 質 の 含 量 を 減 少 させることは 容 易 であ るということができる そうすると, 相 違 点 に 係 る 本 件 発 明 の 構 成 は 当 業 者 であれば 容 易 に 想 到 し 得 る 事 項 であると 解 すべきである なお, 飲 料 中 の 糖 質 の 含 量 を 減 少 させた 場 合 にはエキス 分 の 総 量 が 減 り, phが 変 化 すると 考 えられるが,エキス 分 には 糖 質 由 来 のものとそれ 以 外 の ものがあり( 本 件 明 細 書 の 段 落 0020, 0033 参 照 ),そのp Hにも 多 様 のものがあると 解 されることに 照 らすと, 公 然 実 施 発 明 2の 糖 質 の 含 量 を 減 少 させてこれを0.5g/100ml 以 下 としつつ, 糖 質 に 由 来 しないエキス 分 であって, 酸 性 又 は 中 性 のものを 増 加 させるなどして(な お,エキス 分 の 増 加 が 容 易 であることは 前 記 1(2)イ 参 照 ),エキス 分 の 総 量 及 びpHを 公 然 実 施 発 明 2と 同 程 度 のもの( 本 件 発 明 の 特 許 請 求 の 範 囲 記 載 の 各 数 値 範 囲 を 超 えないもの)とすることに 困 難 性 はないと 解 される ウ これに 対 し, 原 告 は,1 公 然 実 施 発 明 2は 主 成 分 を 糖 質 とする 麦 芽 エキス を 使 用 することを 特 徴 としているから, 糖 質 の 含 量 を 低 下 させることに 阻 害 要 因 があること,2 本 件 発 明 には 公 然 実 施 発 明 2から 予 測 のできない 顕 著 な 効 果 があることを 理 由 に, 本 件 発 明 に 進 歩 性 がある 旨 主 張 するが, 以 下 のと おり,いずれも 採 用 することができない 1について, 前 記 アのとおり 糖 質 ゼロ のノンアルコールのビールテイ スト 飲 料 が 消 費 者 の 支 持 を 受 けていたことに 照 らせば, 当 業 者 ( 被 告 に 限 ら ない )において 麦 芽 エキスの 使 用 量 を 減 少 させてでも 糖 質 の 含 量 を 低 下 さ 7

せようとする 動 機 があったものと 解 される 2について, 公 然 実 施 発 明 2のエキス 分 の 総 量,pH 及 び 糖 質 の 含 量 は 本 件 明 細 書 中 の 発 明 品 4とほぼ 同 じであるところ( 表 1 ), 発 明 品 4と 本 件 発 明 の 実 施 例 である 発 明 品 3( 同 )を 比 べると, 飲 み 応 えの 平 均 値 をみて も( 発 明 品 3は3.3, 発 明 品 4は4.0),pHの 調 整 による 飲 み 応 えの 変 化 をみても( 発 明 品 3は 対 照 品 3に 対 し1.0の 改 善, 発 明 品 4は 対 照 品 4に 対 し1.0の 改 善 ), 発 明 品 3の 効 果 が 顕 著 に 優 れているとは 認 められ ない (3) 小 括 以 上 によれば, 本 件 発 明 は 公 然 実 施 発 明 2に 基 づいて 容 易 に 想 到 することが できたから, 本 件 特 許 は 特 許 無 効 審 判 により 無 効 にされるべきものと 認 められ る 3 結 論 以 上 の 次 第 で, 原 告 は 被 告 に 対 して 本 件 特 許 権 を 行 使 することができないか ら( 特 許 法 104 条 の3 第 1 項 ),その 余 の 点 を 判 断 するまでもなく, 原 告 の 請 求 はいずれも 理 由 がない よって, 原 告 の 請 求 をいずれも 棄 却 することとし て, 主 文 のとおり 判 決 する 論 説 1. 本 件 特 許 権 侵 害 差 止 請 求 事 件 は 不 思 議 なことに 被 告 に 対 する 原 告 の 差 止 め 請 求 に 対 し 被 告 は 被 告 製 品 が 本 件 発 明 の 技 術 的 範 囲 に 属 することを 争 って いないのである ということは 被 告 は 自 らの 侵 害 行 為 に 対 する 原 告 の 差 止 請 求 を 認 めていることになる これに 対 し 被 告 は 原 告 の 本 件 特 許 発 明 が 特 許 無 効 審 判 により 無 効 にされる べきものであるから 原 告 による 本 件 特 許 権 の 行 使 はできない( 特 許 法 104 条 の3 第 1 項 )と 主 張 し これが 争 点 の 一 つとなっていた しかし 被 告 は 本 件 特 許 発 明 に 対 する 特 許 無 効 審 判 の 請 求 はしていず 裁 判 所 における 被 告 の 抗 弁 と してのみ 主 張 するだけである 特 許 法 104 条 の3 第 1 項 には 当 該 特 許 権 が 特 許 無 効 審 判 により 無 効 にさ れるべきものと 認 められるときは と 明 文 をもって 規 定 しているし 特 許 無 効 の 判 断 をした 旨 を 特 許 登 録 原 簿 に 登 録 する 行 為 は 特 許 庁 という 行 政 庁 が 行 う 行 為 である 以 上 侵 害 裁 判 所 が 特 許 無 効 を 判 決 中 に 宣 言 することは 違 法 性 があ るのではないかと 思 う 特 許 における 特 許 無 効 審 判 を 請 求 した 時 は その 審 決 が 出 るはでは 訴 訟 を 中 止 することができるとの 原 則 がある 以 上 司 法 裁 判 所 は 一 方 的 に 特 許 無 効 の 宣 言 を 判 決 ですべきではないのである 本 件 において 被 告 は 本 件 特 許 発 明 に 対 する 無 効 理 由 を 主 張 したとしても 特 許 庁 に 特 許 無 効 の 審 判 請 求 はしていないのに それを 想 定 するのみならず 無 効 審 決 まで 想 定 した 判 決 をしていることはおかしいと 思 う 8

このような 場 合 裁 判 所 は 被 告 に 対 し なぜ 特 許 無 効 審 判 の 請 求 を 勧 告 しない のだろうか 2. 本 件 において 裁 判 所 は 争 点 (4)(5)について 本 件 特 許 発 明 の 公 然 実 施 発 明 1に 基 づく 進 歩 性 の 欠 如 と 公 然 実 施 発 明 2に 基 づく 進 歩 性 の 欠 如 について 審 理 した 結 果 それぞれ 容 易 に 想 到 することができた 発 明 として 特 許 無 効 があると 認 定 したから 特 許 法 104 条 の3 第 1 項 によって 特 許 権 の 行 使 を 不 可 能 であ ると 判 断 したのである 3. 争 点 (4)(5)において 引 用 されている 公 知 発 明 とは 刊 行 物 公 知 の 発 明 ではな く 事 実 上 公 知 の 発 明 であるから 被 告 から 具 体 的 にどのような 証 拠 が 提 出 され たのか 筆 者 は 目 撃 していないから 全 く 不 明 であるけれども 裁 判 所 としては 提 出 された 証 拠 書 類 についてそれぞれ 目 撃 し 検 討 しているのだから 第 三 者 は 間 違 いないと 信 ずるしかないだろう 牛 木 理 一 ( 別 紙 ) 被 告 製 品 目 録 製 品 名 : Asahi DRY ZERO -ドライゼロ- 9