インターネット 上 と 情 報 倫 理 今 日 あらゆる 場 面 においてインターネットを 利 用 することが 常 識 となった その 主 たるものとして 情 報 伝 達 共 有 交 換 がある インターネット 普 及 当 初 は 双 方 向 性 というキーワードがインターネットを 説 明 する 言 葉 であったが 膨 大 かつ 多 様 な 情 報 がネット 上 に 散 在 し 集 合 知 ビックデータというキーワードが 近 年 のインターネットを 捉 える 言 葉 とし て 聞 かれる この 回 では インターネットの 基 本 構 造 を 理 解 し 近 年 のインターネットサービスがどのような 仕 組 で 展 開 されているかの 概 要 を 知 る そのうえで リスクに 基 づいたユーザが 持 つべき 姿 勢 倫 理 感 について 考 える 1. 情 報 倫 理 1.1. 倫 理 とはなにか 倫 理 とは 善 悪 正 邪 の 判 断 において 普 遍 的 な 基 準 となるものである 近 年 倫 理 感 の 醸 成 が 強 く 求 めら れており 大 学 生 社 会 人 を 問 わずに 適 切 な 情 報 活 用 インターネットコンテンツの 利 用 が 求 められる 情 報 倫 理 では これら 情 報 の 価 値 を 推 測 でき それらを 自 身 が 利 用 したのちに どのような 影 響 をもたらす かを 考 える 必 要 性 を 訴 える 倫 理 観 が 求 められる 場 面 論 文 のねつ 造 小 説 音 楽 の 盗 用 映 画 の 無 断 複 製 人 気 漫 画 の 複 製 配 布 友 人 の 写 真 と 住 所 をツイー ト 知 らない 人 の 写 真 を 嘲 笑 目 的 でアップロード など 倫 理 感 の 欠 如 は 情 報 を 自 身 への 効 果 のみを 考 えて 利 用 した 際 に 起 こる 例 えば 小 説 を 書 いて 儲 けたいがアイデアがない 無 名 作 家 による 面 白 い 話 を 見 つけた 盗 用 してもばれない 可 能 性 が 高 い 楽 をして 面 白 い 話 を 発 表 できる ここで 忘 れてしま っているのは 無 名 作 家 へのネガティブな 影 響 である このような 事 態 は コンピュータの 普 及 と 情 報 のデジタル 化 インターネットインフラの 普 及 により 拡 大 した 2. 情 報 の 活 用 と 倫 理 的 視 点 情 報 を 定 義 することは 対 象 が 多 岐 にわたるため 難 しい 一 般 的 には コンピュータ 領 域 を 示 す 言 葉 として 用 いられる また 抽 象 的 ではあるが 保 有 した 者 に 価 値 をもたらし 不 確 実 な 状 態 を 確 実 にする もの 物 理 的 に 実 体 を 持 たず 簡 単 に 流 通 複 製 できるもの と 捉 えることもできる 2.1. 情 報 の 種 類 事 実 情 報 : 今 回 の 数 学 の 平 均 点 は54 点 だった 社 の 売 上 が 落 ちた A さんの 父 親 は 社 長 である( 個 人 情 報 ) 技 術 情 報 :コンピュータプログラムの 開 発 方 法 ( 技 術 ) ips 細 胞 の 作 り 方 ( 発 明 ) 文 化 情 報 : 小 説 映 画 音 楽 絵 画 ( 価 値 を 持 つ) これら 情 報 は 何 等 かの 価 値 を 持 つが 物 理 的 な 形 を 持 たない そのため 伝 達 は 簡 単 (インターネット 上 のサイトに 記 載 ツイッターに 投 稿 )であり 複 製 盗 用 (コピー&ペースト リツイート)も 容 易 である 情 リテ 講 義 3-1
2.2. 個 人 情 報 の 保 護 個 人 情 報 とは 生 存 する 個 人 に 関 する 情 報 であって その 情 報 に 含 まれる 氏 名 生 年 月 日 その 他 の 記 述 等 により 特 定 の 個 人 を 識 別 することができるもの をいう その 情 報 自 体 によって 特 定 の 個 人 を 識 別 できるも ののほか 他 の 情 報 と 容 易 に 照 合 することができ それによって 特 定 の 個 人 が 識 別 できるものも 含 まれる 例 情 報 のトレーサビリティ SNS やブログでは ある 程 度 の 匿 名 性 を 持 たせることが 可 能 である しかし SNS の 種 類 が 多 様 になり またほとんどの 端 末 利 用 者 が SNS に 参 加 している 現 在 単 一 アカウントで 匿 名 性 を 保 つことが 困 難 になっ ている さらに いったん 個 人 情 報 がインターネット 上 で 公 開 されると 注 目 度 が 高 いほど 削 除 すること が 不 可 能 になる 図 個 人 情 報 トレースのイメージ SNS 上 の 行 動 が 将 来 どのような 影 響 を 及 ぼすかをイメージする 想 像 力 が 必 要 である 不 用 意 に 友 人 の 姿 を SNS にアップしたとする その 写 真 の 背 景 に 移 っている 家 道 他 の 人 時 間 などは 情 報 である も し その 友 人 が 心 無 い 人 たちの 捜 索 の 対 象 となった 場 合 その 写 真 が 友 人 の 人 生 に 悪 影 響 をもたらすきっ かけになるかもしれない 2.3. 情 報 の 伝 達 と 精 度 よく Wikipedeia を 信 用 するな という 話 を 耳 にする Wikipedeia は 前 述 のコモンズとして 不 特 定 多 数 の 執 筆 者 で 生 成 されるコンテンツであるため 情 報 の 正 確 さに 保 証 がない(まったくダメという 意 味 で はない) これは 一 般 人 の 発 信 する 情 報 (ツイート Blog)にも 言 える 震 災 の 際 に 多 くのデマ 情 報 が 流 れたこ とは 記 憶 に 新 しい これは インターネットに 限 らず 1970 年 の 石 油 ショックでも 根 拠 のない 情 報 で 消 費 者 がパニックになった インターネットの 世 界 では 情 報 の 拡 散 スピードが 速 いため この 影 響 は 瞬 時 に 波 及 する 情 リテ 講 義 3-2
図 情 報 伝 達 と 精 度 の 問 題 情 報 閲 覧 者 は 常 に 情 報 の 根 拠 を 求 め 利 用 すべき 情 報 を 選 別 する 習 慣 を 身 につけなければならない また 安 易 に 情 報 を 広 げるような 行 為 は たとえ 善 意 であったとしても 慎 むべきである 2.4. デジタル コンテンツと 複 製 行 為 コンピュータの 世 界 では 情 報 の 無 許 諾 複 製 ( 剽 窃 )が 問 題 になっている 知 的 財 産 の 領 域 では 著 作 権 が 密 接 に 絡 んでくる 領 域 である この 問 題 は 技 術 的 な 対 策 が 講 じられることがあるが 決 定 的 な 問 題 解 決 にならず ユーザの 倫 理 観 に 依 るところが 大 きい また CD や DVD などのコンテンツ 複 製 の 問 題 もある PC の 処 理 能 力 が 向 上 した 現 代 これらの 流 通 メディアを 容 易 に 複 製 できる コピープロテクトもあるが 少 し 調 べると 回 避 する 方 法 も 見 つかる そも そも 音 楽 や 映 画 を 楽 しめるのは 創 作 者 が 存 在 するおかげである 著 作 物 を 創 作 した 者 の 正 当 な 権 利 を 侵 す 行 為 が その 後 どのように 波 及 するのかをイメージできなくてはならない 私 が 一 人 やったぐらいで が 数 百 人 集 まれば 多 大 な 影 響 となる これは 違 法 合 法 の 問 題 ではない ただし コンテンツを 守 ることだけが 解 決 策 ではない デジタル コンテンツやプログラムの 世 界 では 積 極 的 な 共 有 を 図 るコンセプトとして クリエイティブコモンズ オープンソース などもある 知 的 財 産 を 学 ぶ 者 にとって コンテンツのあり 方 を 模 索 し ルールを 充 分 に 理 解 する 姿 勢 が 必 要 となる インターネットでは デジタルデータが 扱 われる デジタルデータとは 0/1 の 2 つの 状 態 で 情 報 を 表 し たモノである これは 電 気 信 号 であるため 高 速 で 簡 単 に 伝 達 できる インターネットは 国 際 的 に 広 がる ネットワークであるため 距 離 に 関 係 なく 瞬 時 に 情 報 が 伝 わる しかも 0/1 のみで 表 されていることで 情 報 が 劣 化 しない 情 リテ 講 義 3-3
インターネット 以 前 は 物 理 的 な 紙 媒 体 や 記 録 媒 体 に 縛 られており アナログデータであれば 情 報 伝 達 の 際 に 散 逸 ( 伝 達 中 にノイズが 乗 る 物 理 的 な 欠 損 など)が 起 こり 情 報 の 拡 散 は 限 定 的 であった デジタルは 情 報 劣 化 が 起 こらないため 世 界 中 へ 完 全 な 情 報 が 伝 達 してし まう これは 利 用 においては 大 きく 利 便 性 を 高 めるもので あるが 流 通 を 抑 止 したい 立 場 からすると リスクの 増 大 へとつながる 情 報 伝 達 におけるインターネット 前 後 の 違 い インターネット 上 でサーバにデータをアップロードすると サーバは 世 界 中 のコンピュータへデータを 配 信 可 能 な 状 態 となる ここでサーバを 停 止 させればよいが 近 年 はユーザ 同 志 でデータを 共 有 し 必 要 に 応 じて 配 信 する 仕 組 みがある 2.5. 一 般 消 費 者 とコンテンツ 創 作 CGM(Consumer Generated Media)は 一 般 消 費 者 によってコンテンツが 交 換 される 基 盤 のことを 言 う 例 えば Facebook などの SNS 動 画 投 稿 サイトがある そこで 生 成 される 個 別 コンテンツは UGC (User Generated Contents)と 呼 ばれ テキスト 情 報 動 画 情 報 などがある これらは 二 次 的 な 創 作 物 として 作 成 されることが 多 く 権 利 侵 害 の 起 こりやすい 状 態 であるが 一 般 消 費 者 のコンテンツ 創 作 能 力 向 上 につながる 効 果 があるとして 注 目 されている 上 記 を 考 慮 すると デジタル コンテンツを 著 作 物 として 保 護 をしようとするのが 当 然 ではあるが 保 護 の 一 方 だけを 考 えるのは 適 切 ではない そこで コンテンツをあえて 流 通 させ その 利 用 可 能 範 囲 を 明 示 的 に 提 示 する 手 法 として クリエイティブ コモンズ(CC)というプロジェクトが 注 目 されている CC では 共 有 するコンテンツの 対 象 をプログラム 以 外 の 著 作 物 とし 著 作 物 の 利 用 可 能 範 囲 をコモンズ ライセンスとして 下 記 のようなマークで 明 示 するようになっている 情 リテ 講 義 3-4
表 示 非 営 利 改 変 禁 止 継 承 CC ライセンスのレベル 左 に 行 くほどライセンスは 強 力 ( 通 常 の 著 作 物 として 扱 う) 右 に 行 くほど 緩 和 され 全 ての 権 利 を 放 棄 すると パブリックドメイン となる 侵 害 のリスクを 回 避 しつつ インターネットの 利 便 性 を 最 大 限 に 活 用 するためには 著 作 権 制 度 の 基 本 を 踏 まえておくことだけでなく コンテンツ 流 通 の 知 識 を 持 っておくことが 必 要 である 3. インターネット 上 のリスク インターネットは 自 由 な 世 界 である その 自 由 さが 新 たな 概 念 を 生 み 出 す 源 泉 となっているが 情 報 統 制 が 困 難 であり 情 報 が 地 球 規 模 で 拡 大 しているために 問 題 に 対 して 適 切 な 対 処 ができない 場 合 がある 3.1. マルウェア(ウィルス スパイウェア) フィッシング マルウェアとは コンピュータ 技 術 を 利 用 して 悪 さをするソフトウェアの 総 称 である これには ウィルス ソフト スパイウェア ハッキングツールなどが 含 まれる これに 対 しては 不 明 なソフトのダウンロード& 実 行 差 出 人 が 明 確 でない 案 内 メールなどに 十 分 注 意 し アンチウィルスソフトウェアを 導 入 してシステムを 守 らなくてはならない 技 術 発 展 に 伴 い 不 正 行 為 を 働 くソフトウェア 技 術 や 手 法 も 発 展 している インター ネット 普 及 後 は 技 術 に 詳 しくない 一 般 ユーザがターゲットになっているため 個 人 レベルでの 適 切 な 対 策 が 要 求 される ワームによる 踏 み 台 特 殊 なプログラム(ワームやウィルス)をダウンロードソフトやメールを 介 して 送 信 することにより 一 般 ユーザのコンピュータに 侵 入 し 遠 隔 操 作 を 利 用 して 他 者 を 攻 撃 する 被 害 者 がアクセスをトレースす ると 全 く 自 覚 のない 一 般 ユーザにたどり 着 く スパイウェア キーロガーによる 情 報 流 出 ユーザの 行 動 履 歴 やキータイピングを 逐 次 発 信 するソフトウェアがある 利 用 者 には 何 ら 不 具 合 が 見 えな いため 重 要 なパスワードや 個 人 情 報 が 流 出 してしまう 不 正 アクセス インターネット 上 のサーバやコンピュータに 侵 入 する 手 法 である ID パスワードの 不 正 取 得 や OS やア プリケーションのバグ(セキュリティホール)を 利 用 した 方 法 がある また マルウェアを 利 用 して 個 人 のコンピュータをハッキングし それを 踏 み 台 に 他 者 を 攻 撃 する 手 法 な ども 用 いられる そのため 不 正 アクセスのターゲットとして 個 人 コンピュータが 利 用 されることも 多 情 リテ 講 義 3-5
い フィッシングによる 情 報 流 出 巧 妙 な 偽 サイトを 構 築 し ユーザの 個 人 情 報 を 抜 き 出 す インターネットサイトは コピーしてしまえば 簡 単 に 同 じものを 作 成 できる 偽 サイトを 作 成 することは 容 易 であるため パソコンに 詳 しくない 利 用 者 は 個 人 情 報 ( 銀 行 ログイン ID,パスワードなど)を 入 力 してしまう フィッシングの 例 3.2. 対 策 リスクに 対 処 するには 前 述 の 事 項 を 知 識 として 持 っておき 不 明 なアクセス ダウンロードなどを 避 け ることが 必 要 である ただし 不 測 の 事 態 に 対 処 するためにシステムとして 下 記 の 事 項 を 意 識 しておく ことも 重 要 である アンチウィルスソフトの 導 入 Windows7~10には Defender と 呼 ばれるシステムがあらかじめ 導 入 されているが その 他 にも 多 くの 機 能 を 備 えたアンチウィルスソフトウェアが 販 売 されている このソフトウェアは 常 にファイルやイン ターネットアクセスを 監 視 し リスクが 発 生 した 際 に 自 動 で 対 処 する しかし リスクの 情 報 は 常 に 変 化 するため 定 期 的 なアップデートが 利 用 の 前 提 となる ソフトウェアアップデート Windows MacOSX などの OS に 限 らず あらゆるソフトウェアは 日 々アップデートされる 近 年 のソ フトウェアはプログラムが 複 雑 になり リリースした 後 にバグが 見 つかることが 多 々ある これらは リ リース 後 に 修 正 が 行 われる スマートフォンでも 同 様 であり Android のアップデート アプリのアップ デートが 行 われる 特 に 重 要 なのは OS のアップデートである その 他 一 般 的 に 利 用 頻 度 の 高 いソフトウェア(Office Adobe Reader ブラウザなど)は ネット 上 では コンピュータ 技 術 を 利 用 した 不 正 行 為 が 後 を 絶 たない また 知 識 を 持 たない 個 人 ユーザを 狙 ったものも 増 えている これらの 対 策 としては インターネットの 構 造 を 理 解 したうえで 不 正 行 為 の 事 例 を 知 り リスクを 把 握 す る 姿 勢 が 重 要 である 日 頃 からニュースサイトなどで 事 例 をチェックし そこで 解 説 されている 内 容 を 理 解 す る 努 力 が 求 められる 情 リテ 講 義 3-6