税 制 A to Z 2014 年 11 月 21 日 全 13 頁 消 費 税 増 税 先 送 りに 伴 う 他 政 策 への 影 響 住 宅 ローン 減 税 自 動 車 税 制 年 金 制 度 給 付 措 置 などに 影 響 金 融 調 査 部 研 究 員 是 枝 俊 悟 [ 要 約 ] 安 倍 首 相 は 2014 年 11 月 18 日 に 記 者 会 見 を 行 い 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げ 時 期 を 2017 年 4 月 まで 1 年 半 先 送 りするとし このことについて 国 民 に 信 を 問 うため 衆 議 院 を 解 散 することを 表 明 した 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げ 時 期 は 現 行 法 では 2015 年 10 月 と 規 定 されており こ の 時 期 を 変 更 するには 法 改 正 が 必 要 である 現 行 法 には 消 費 税 率 引 き 上 げの 施 行 日 を 他 の 施 策 の 施 行 日 とリンクさせている 規 定 があり また 2015 年 10 月 に 消 費 税 率 が 10% に 引 き 上 げられることを 前 提 とした 施 策 も 多 数 ある 消 費 税 率 引 き 上 げ 時 期 の 先 送 りは 具 体 的 には 住 宅 ローン 減 税 の 実 施 期 間 自 動 車 取 得 税 の 廃 止 時 期 低 所 得 者 子 育 て 世 帯 向 け 給 付 金 の 再 度 の 給 付 年 金 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 時 期 年 金 支 援 給 付 金 の 支 給 開 始 時 期 などに 影 響 を 与 える 本 稿 ではこれらについ てまとめる [ 目 次 ] 消 費 税 改 正 法 の 規 定 とまとめ 表 2 ページ 1. 住 宅 ローン 減 税 すまい 給 付 金 等 への 影 響 3 ページ 2. 自 動 車 税 制 への 影 響 5 ページ 3. 低 所 得 者 対 策 等 への 影 響 6 ページ 4. 消 費 税 率 引 き 上 げと 連 動 した 年 金 制 度 への 影 響 10 ページ 5. 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げへの 影 響 12 ページ 6. 消 費 税 の 経 過 措 置 への 影 響 12 ページ 株 式 会 社 大 和 総 研 丸 の 内 オフィス 100-6756 東 京 都 千 代 田 区 丸 の 内 一 丁 目 9 番 1 号 グラントウキョウ ノースタワー このレポートは 投 資 勧 誘 を 意 図 して 提 供 するものではありません このレポートの 掲 載 情 報 は 信 頼 できると 考 えられる 情 報 源 から 作 成 しておりますが その 正 確 性 完 全 性 を 保 証 する ものではありません また 記 載 された 意 見 や 予 測 等 は 作 成 時 点 のものであり 今 後 予 告 なく 変 更 されることがあります 大 和 総 研 の 親 会 社 である 大 和 総 研 ホールディングスと 大 和 証 券 は 大 和 証 券 グループ 本 社 を 親 会 社 とする 大 和 証 券 グループの 会 社 です 内 容 に 関 する 一 切 の 権 利 は 大 和 総 研 にあります 無 断 での 複 製 転 載 転 送 等 はご 遠 慮 ください
2 / 13 消 費 税 法 改 正 法 の 規 定 とまとめ 表 安 倍 首 相 の 記 者 会 見 と 景 気 弾 力 条 項 安 倍 首 相 は 2014 年 11 月 18 日 に 記 者 会 見 を 行 い 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げ 時 期 を 2017 年 4 月 まで 1 年 半 先 送 りするとし このことについて 国 民 に 信 を 問 うため 11 月 21 日 に 衆 議 院 を 解 散 することを 表 明 した 安 倍 首 相 は 記 者 会 見 で 与 党 で 過 半 数 の 議 席 を 取 れなければ 退 陣 する 旨 を 述 べた 衆 議 院 で 与 党 ( 自 由 民 主 党 公 明 党 )が 過 半 数 の 議 席 を 確 保 した 場 合 引 き 続 き 安 倍 内 閣 の 下 での 政 権 運 営 が 続 くものと 考 えられる 以 下 来 る 衆 議 院 選 挙 で 与 党 が 過 半 数 を 確 保 し 安 倍 内 閣 の 下 での 政 権 運 営 が 続 くものと 仮 定 し 消 費 税 率 引 き 上 げ 先 送 りによる 他 政 策 への 影 響 についてま とめる 2012 年 8 月 に 成 立 した 消 費 税 法 改 正 法 1 では 消 費 税 率 を 8%から 10%へ 引 き 上 げる 施 行 日 を 2015 年 10 月 1 日 と 定 めている しかし 附 則 において 消 費 税 率 を 10%に 引 き 上 げる 前 に 経 済 状 況 等 を 総 合 的 に 勘 案 した 上 で その 施 行 の 停 止 を 含 め 所 要 の 措 置 を 講 ずる と 定 められて いる これがいわゆる 景 気 弾 力 条 項 であり 民 主 党 自 由 民 主 党 公 明 党 の 三 党 合 意 では 消 費 税 率 の 引 上 げの 実 施 は その 時 の 政 権 が 最 終 判 断 することを 確 認 している 2 安 倍 首 相 はこの 景 気 条 項 に 基 づいて 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げ 時 期 を 2017 年 4 月 まで 先 送 りする 方 針 を 発 表 したが 実 際 に 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げ 時 期 を 延 期 するためには 別 途 法 改 正 が 必 要 となる なお 安 倍 首 相 は 2017 年 4 月 には 確 実 に 消 費 税 率 を 10%に 引 き 上 げるよう 景 気 弾 力 条 項 を 削 除 する 方 針 も 表 明 している 他 政 策 への 影 響 現 行 法 には 消 費 税 率 引 き 上 げの 施 行 日 に 他 の 施 策 の 施 行 日 をリンクさせている 規 定 があり また 2015 年 10 月 に 消 費 税 率 が 10%に 引 き 上 げられることを 前 提 とした 施 策 も 多 数 ある 消 費 税 率 引 き 上 げ 時 期 の 先 送 りは 具 体 的 には 住 宅 ローン 減 税 の 実 施 期 間 自 動 車 取 得 税 の 廃 止 時 期 低 所 得 者 子 育 て 世 帯 向 け 給 付 金 の 再 度 の 給 付 年 金 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 時 期 年 金 支 援 給 付 金 の 支 給 開 始 時 期 などに 影 響 を 与 える 安 倍 内 閣 が 引 き 続 き 政 権 運 営 を 行 う 場 合 2015 年 度 の 税 制 改 正 予 算 編 成 (もしくは 2014 年 度 補 正 予 算 の 編 成 )において これらについて 現 行 法 の 規 定 通 りとするのか もしくは 消 費 税 率 引 き 上 げの 先 送 りに 合 わせて 見 直 しを 行 うのかが 検 討 課 題 となる 1 正 確 には 社 会 保 障 の 安 定 財 源 の 確 保 等 を 図 る 税 制 の 抜 本 的 な 改 革 を 行 うための 消 費 税 法 の 一 部 を 改 正 する 等 の 法 律 以 下 同 じ 2 消 費 税 法 改 正 法 における 規 定 および 三 党 合 意 の 解 説 については 吉 井 一 洋 消 費 税 法 改 正 法 の 内 容 (2012 年 8 月 22 日 発 表 )を 参 照 http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/12082201tax.html
3 / 13 次 の 図 表 1 が 消 費 税 増 税 先 送 りによる 他 施 策 への 影 響 をまとめた 表 である 以 後 各 項 目 について 詳 細 を 説 明 する 図 表 1 消 費 税 増 税 先 送 りによる 他 施 策 への 影 響 まとめ 表 住 宅 自 動 車 低 所 得 者 対 策 等 年 金 住 宅 ローン 減 税 投 資 型 減 税 すまい 給 付 金 住 まいの 復 興 給 付 金 自 動 車 取 得 税 簡 素 な 給 付 措 置 子 育 て 世 帯 臨 時 特 例 給 付 金 総 合 合 算 制 度 給 付 つき 税 額 控 除 消 費 税 の 軽 減 税 率 など 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 公 的 年 金 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げ 消 費 税 法 の 経 過 措 置 現 行 法 通 りなら 2017 年 末 をもって 期 限 切 れ 法 律 の 定 めはない( 予 算 措 置 ) 法 律 上 は 期 限 なし ( 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 では 2015 年 10 月 から 廃 止 するとしてい た) 法 律 の 定 めはない( 予 算 措 置 ) (2014 年 4 月 から2015 年 9 月 までの 分 として 給 付 が 行 われた) 法 律 の 定 めはない( 予 算 措 置 ) 現 行 消 費 税 法 の 附 則 で 検 討 事 項 と されている 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 実 施 された 日 から 実 施 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 実 施 された 日 から 受 給 資 格 期 間 が25 年 から10 年 に 短 縮 今 後 の 見 通 し 論 点 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げ 時 の 反 動 減 に 対 処 する 観 点 から 実 施 期 間 を 延 長 か? 想 定 される 実 施 期 間 が 長 期 化 され るか? 消 費 税 率 引 き 上 げの 先 送 りに 合 わ せ 廃 止 時 期 も 先 送 りか? 2015 年 10 月 から2017 年 3 月 までの 分 として 再 度 の 給 付 を 行 うか? 行 わないか? 2015 年 10 月 から2017 年 3 月 までの 分 として 再 度 の 給 付 を 行 うか? 行 わないか? 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げ 時 の 低 所 得 者 対 策 をどうするか? 法 定 通 りとするか? 法 改 正 して 当 初 予 定 の2015 年 10 月 から 支 給 す るか? 法 定 通 りとするか? 法 改 正 して 当 初 予 定 の2015 年 10 月 から 短 縮 とす るか? 法 律 の 定 めはない( 日 本 再 興 戦 代 替 財 源 の 確 保 が 厳 しくなる 中 で 略 改 訂 2014 では2015 年 度 から 引 ネット 減 税 を 行 うのか? 行 わないの き 下 げを 行 うとしていた) か? 2015 年 4 月 1 日 ( 指 定 日 )より 前 の 契 約 については 引 き 渡 しが2015 年 10 月 1 日 ( 施 行 日 ) 以 後 となっても 現 行 の8%の 税 率 を 適 用 する 法 改 正 により 施 行 日 の 先 送 りに 合 わせて 指 定 日 も 先 送 りか? 1. 住 宅 ローン 減 税 すまい 給 付 金 等 への 影 響 住 宅 ローン 減 税 投 資 型 減 税 住 宅 ローン 減 税 は 2013 年 度 の 税 制 改 正 により 消 費 税 率 8%への 引 き 上 げに 合 わせて 税 額 控 除 限 度 額 が 拡 大 されるよう 設 計 された これは 消 費 税 率 引 上 げによる 住 宅 需 要 の 減 少 が 最 も 大 きくなると 考 えられる 時 期 に 特 例 的 な 措 置 として 過 去 最 大 規 模 の 減 税 を 行 う 3 ものであ った 3 自 由 民 主 党 公 明 党 平 成 25 年 度 税 制 改 正 大 綱 ( 平 成 25 年 1 月 24 日 )より
4 / 13 次 の 図 表 2 が 新 築 および 中 古 住 宅 の 取 得 の 場 合 の 税 額 控 除 限 度 額 である 図 表 2 住 宅 ローン 減 税 の 税 額 控 除 限 度 額 ( 新 築 中 古 住 宅 の 取 得 の 場 合 10 年 間 の 累 計 ) 入 居 時 期 一 般 住 宅 認 定 住 宅 2013 年 1 月 ~2014 年 3 月 200 万 円 300 万 円 2014 年 4 月 ~2017 年 12 月 400 万 円 500 万 円 消 費 税 率 8%または10%が 適 用 されて 住 宅 を 取 得 した 場 合 に 限 る 消 費 税 率 5%または 非 課 税 で 住 宅 を 取 得 し た 場 合 は 2013 年 1 月 ~2014 年 3 月 の 欄 の 限 度 額 となる なお 東 日 本 大 震 災 の 被 災 者 には 特 例 規 定 がある 元 々は 2015 年 10 月 に 消 費 税 率 を 10%に 引 き 上 げることを 想 定 し 2017 年 12 月 末 までの 期 間 について 税 額 控 除 限 度 額 を 拡 大 したものであった しかし 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げが 2017 年 4 月 に 先 送 りされることとなると 現 行 法 の ままでは 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 行 われた 年 の 年 末 には 住 宅 ローン 減 税 の 適 用 期 限 が 切 れることとなってしまう 現 行 法 のままでは 消 費 税 率 の 8%から 10%への 引 き 上 げ 時 の 駆 け 込 み 需 要 と 反 動 減 をより 一 層 深 刻 にしてしまうことになりかねない このため 住 宅 ローン 減 税 の 適 用 期 限 の 延 長 が 検 討 されるものと 考 えられる 住 宅 ローン 減 税 には 新 築 中 古 住 宅 の 場 合 のほか 増 改 築 省 エネ 改 修 バリアフリー 改 修 においてもそれぞれ 規 定 が 設 けられており これらも 消 費 税 率 が 5%から 8%に 引 き 上 げられ た 際 に 税 額 控 除 限 度 額 が 拡 大 されており 適 用 期 限 は 2017 年 12 月 末 となっている また 認 定 住 宅 を 新 築 した 場 合 や 省 エネ バリアフリー 耐 震 の 改 修 を 行 った 場 合 に 利 用 できる 投 資 型 減 税 についても 消 費 税 率 が 5%から 8%に 引 き 上 げられた 際 に 税 額 控 除 限 度 額 が 拡 大 されており 適 用 期 限 は 2017 年 12 月 末 となっている これらの 規 定 についても 同 様 に 適 用 期 限 の 延 長 が 検 討 されるものと 考 えられる すまい 給 付 金 住 まいの 復 興 給 付 金 すまい 給 付 金 および 住 まいの 復 興 給 付 金 については 消 費 税 率 が 8%に 引 き 上 げられた 後 に 住 宅 を 取 得 した 者 に 対 して 給 付 を 行 う 措 置 である 住 宅 ローン 減 税 の 税 額 控 除 限 度 額 引 き 上 げにより 一 定 以 上 の 所 得 のある 者 については 消 費 税 率 が 8%または 10%に 引 き 上 げられた 後 に 住 宅 を 取 得 しても 税 額 控 除 額 の 拡 大 により 負 担 が 緩 和 されることとなった( 消 費 税 率 引 き 上 げ 後 の 取 得 の 方 が 税 制 上 有 利 になるケースもある) しかし 中 低 所 得 者 層 においては 控 除 すべき 税 額 が 十 分 にないため 新 たに すまい 給 付 金 を 設 けて 消 費 税 率 引 き 上 げによる 影 響 を 緩 和 することとなった また 東 日 本 大 震 災 者 の 被 災 者 が 消 費 税 率 8%または 10%への 引 き 上 げ 後 に 住 宅 を 再 取 得 し たり 補 修 した 際 の 負 担 を 緩 和 するための 住 まいの 復 興 給 付 金 も 設 けられた これらは 法 律 上 の 規 定 はなく 予 算 措 置 として 実 施 されるものである 消 費 税 率 が 10%に
5 / 13 引 き 上 げられた 際 にはさらに 給 付 額 を 増 額 することとしていた 4 が 実 施 期 間 については 明 確 な 定 めをしていなかった これらの 措 置 においては 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げへの 先 送 りに 合 わせて 給 付 額 の 拡 大 時 期 も 先 送 りするとともに 実 施 期 間 も 長 期 化 するものと 考 えられる 図 表 3 すまい 給 付 金 住 まいの 復 興 給 付 金 の 概 要 一 般 の 住 宅 取 得 に 係 る 給 付 措 置 (すまい 給 付 金 ) 被 災 者 の 住 宅 再 建 に 係 る 給 付 措 置 ( 住 まいの 復 興 給 付 金 ) 目 的 趣 旨 対 象 者 支 給 額 予 算 消 費 税 率 の 引 上 げの 前 後 における 駆 け 込 み 需 要 及 びその 反 動 等 による 影 響 が 大 きいこ とを 踏 まえ 一 時 の 税 負 担 の 増 加 による 影 響 を 平 準 化 する 観 点 等 から ( 中 略 ) 当 該 措 置 ( 筆 者 注 : 住 宅 ローン 減 税 の 拡 充 )を 講 じても なお 効 果 が 限 定 的 な 所 得 層 に 対 して 住 宅 取 得 に 係 る 消 費 税 負 担 増 をかなりの 程 度 緩 和 するため ( 中 略 ) 給 付 措 置 を 行 う 被 災 者 については 復 興 まちづくりに 係 る 区 域 指 定 や 宅 地 造 成 の 時 期 など 外 的 な 要 因 に より 被 災 者 間 で 生 じる 負 担 の 不 均 衡 を 避 ける ため 住 宅 再 取 得 等 に 係 る 標 準 的 な 消 費 税 の 負 担 増 加 に 対 応 し 得 る 措 置 として ( 中 略 ) 給 付 措 置 を 行 う 消 費 税 増 税 後 に 住 宅 を 取 得 した 者 ( 一 定 所 得 以 下 ) 消 費 税 増 税 後 に 住 宅 を 再 取 得 補 修 した 被 災 者 消 費 税 率 8% 時 にお いては 所 得 により 10 万 円 ~30 万 円 ( 低 所 得 の 者 ほど 給 付 額 が 多 くなる) 消 費 税 率 8% 時 にお いては 再 取 得 した 住 宅 の 床 面 積 1m2あ たり5,130 円 など ( 注 ) 目 的 趣 旨 は 消 費 税 率 及 び 地 方 消 費 税 率 の 引 上 げとそれに 伴 う 対 応 について ( 平 成 25 年 10 月 1 日 閣 議 決 定 )による 1,600 億 円 250 億 円 2. 自 動 車 税 制 への 影 響 自 動 車 税 制 については 消 費 税 法 改 正 法 の 附 則 において 自 動 車 取 得 税 及 び 自 動 車 重 量 税 に ついては 国 及 び 地 方 を 通 じた 関 連 税 制 の 在 り 方 の 見 直 しを 行 い 安 定 的 な 財 源 を 確 保 した 上 で 地 方 財 政 にも 配 慮 しつつ 簡 素 化 負 担 の 軽 減 及 びグリーン 化 ( 環 境 への 負 荷 の 低 減 に 資 するための 施 策 をいう )の 観 点 から 見 直 しを 行 う ことが 定 められている これに 則 り 平 成 25 年 度 税 制 改 正 大 綱 では 自 動 車 取 得 税 を 二 段 階 で 引 き 下 げ 消 費 税 率 10% の 時 点 で 廃 止 するなどの 方 針 が 定 められた その 後 2014 年 度 の 税 制 改 正 により 消 費 税 率 8% への 引 き 上 げ 時 に 自 動 車 取 得 税 の 税 率 を 登 録 車 は 5%から 3%に 軽 自 動 車 は 3%から 2%に 引 き 下 げるなどの 改 正 が 行 われた 他 方 財 源 確 保 の 観 点 から 軽 自 動 車 税 について 2015 年 度 以 後 税 率 を 引 き 上 げるなどの 改 正 も 行 われた 自 動 車 取 得 税 は 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 では 消 費 税 率 を 10%とした 時 点 で 廃 止 すること とされているが 現 時 点 で 法 定 はされていない また 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 では 消 費 税 率 を 10%とする 際 に 自 動 車 税 に 環 境 性 能 に 応 じ た 課 税 ( 環 境 性 能 割 )を 導 入 するとしているが 現 時 点 では 法 定 されていない 4 自 由 民 主 党 公 明 党 住 宅 取 得 に 係 る 給 付 措 置 についての 自 由 民 主 党 公 明 党 の 合 意 ( 平 成 25 年 6 月 26 日 ) 自 由 民 主 党 公 明 党 東 日 本 大 震 災 による 被 災 者 の 住 宅 再 建 に 係 る 給 付 措 置 についての 自 由 民 主 党 公 明 党 の 合 意 ( 平 成 25 年 8 月 7 日 )
6 / 13 エコカー 減 税 については 現 行 法 では 2014 年 度 末 以 後 順 次 期 限 切 れとなる 5 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 では 平 成 27 年 度 税 制 改 正 において 基 準 の 切 替 えと 重 点 化 を 図 るとしているが 仮 に 税 制 改 正 法 案 が 年 度 内 に 成 立 しないこととなると エコカー 減 税 は 順 次 期 限 切 れとなって しまう 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 先 送 りされた 場 合 これらの 自 動 車 税 制 の 改 正 の 時 期 も 同 時 に 先 送 りされることが 考 えられる 図 表 4 自 動 車 税 制 の 改 正 のスケジュール 3. 低 所 得 者 対 策 等 への 影 響 年 収 の 低 い 世 帯 ほど 収 入 のうち( 消 費 税 課 税 対 象 の) 消 費 に 回 す 割 合 が 多 く 結 果 として 年 収 に 占 める 消 費 税 負 担 額 の 割 合 が 高 くなる 傾 向 がある このため 消 費 税 は 逆 進 課 税 ない し 逆 進 性 を 持 つ 税 だと 言 われることが 多 く 消 費 税 率 を 引 き 上 げる 際 には 低 所 得 者 への 配 慮 が 必 要 とされる 5 エコカー 減 税 のうち 自 動 車 取 得 税 の 期 限 は 2015 年 3 月 31 日 まで 自 動 車 重 量 税 の 期 限 は 2015 年 4 月 30 日 まで 自 動 車 税 の グリーン 化 特 例 (エコカー 減 税 と 呼 ばれることもある)の 期 限 は 2016 年 3 月 31 日 まで
7 / 13 このため 消 費 税 法 改 正 法 の 附 則 では 低 所 得 者 への 配 慮 の 観 点 から 総 合 合 算 制 度 6 給 付 つき 税 額 控 除 および 複 数 税 率 ( 軽 減 税 率 )について 検 討 する 旨 規 定 されている また これら の 検 討 に 基 づき 導 入 される 施 策 の 実 現 までの 間 の 暫 定 的 臨 時 的 な 措 置 として 簡 素 な 給 付 措 置 を 実 施 することが 規 定 されている 消 費 税 率 を 5%から 8%に 引 き 上 げる 際 には 低 所 得 者 対 策 等 として 簡 素 な 給 付 措 置 と 子 育 て 世 帯 臨 時 特 例 給 付 金 の 2 種 類 の 給 付 金 が 支 給 された 消 費 税 率 を 10%に 引 き 上 げる 際 の 低 所 得 者 対 策 等 としては 総 合 合 算 制 度 給 付 つき 税 額 控 除 複 数 税 率 ( 軽 減 税 率 )のいずれかまたは 組 み 合 わせでの 導 入 がこれまで 検 討 されてきた 図 表 5 消 費 税 増 税 時 の 低 所 得 者 対 策 等 の 概 要 と 今 後 の 見 通 し 税 率 8%への 引 き 上 げ 時 の 給 付 再 度 の 給 付 消 費 税 率 8%への 引 き 上 げ 時 に 低 所 得 者 対 策 等 として 支 給 された 簡 素 な 給 付 措 置 と 子 育 て 世 帯 臨 時 特 例 給 付 金 の 概 要 は 次 の 図 表 6 の 通 りである 図 表 6 消 費 税 率 8%への 引 き 上 げ 時 の 給 付 金 簡 素 な 給 付 措 置 ( 臨 時 福 祉 給 付 金 ) 子 育 て 世 帯 臨 時 特 例 給 付 金 目 的 趣 旨 対 象 者 支 給 額 予 算 消 費 税 率 の 引 上 げに 際 し 低 所 得 者 に 与 え る 負 担 の 影 響 に 鑑 み 一 体 改 革 の 枠 組 みの 中 で 講 じる 社 会 保 障 の 充 実 のための 措 置 と 併 せ 低 所 得 者 に 対 する 適 切 な 配 慮 を 行 う ため 暫 定 的 臨 時 的 な 措 置 として ( 中 略 ) 給 付 措 置 を 行 う 消 費 税 率 の 引 上 げに 際 し 子 育 て 世 帯 への 影 響 を 緩 和 するとともに 子 育 て 世 帯 の 消 費 の 下 支 えを 図 る 観 点 から 臨 時 的 な 給 付 措 置 として 子 育 て 世 帯 に 対 する 臨 時 特 例 給 付 措 置 を 実 施 する 市 町 村 民 税 ( 均 等 割 ) 非 課 税 の 世 帯 対 象 者 1 人 あたり 原 則 1 万 円 (5 千 円 の 加 算 あり) (1 年 半 分 を1 回 の 手 続 で 支 給 ) 児 童 手 当 の 対 象 児 児 童 手 当 支 童 1 人 あたり1 万 円 給 世 帯 ( 所 得 (2014 年 1 月 1 日 の 基 制 限 世 帯 を 準 日 をもとにした1 回 除 く) きりの 支 給 ) 3,420 億 円 1,473 億 円 ( 注 ) 目 的 趣 旨 は 消 費 税 率 及 び 地 方 消 費 税 率 の 引 上 げとそれに 伴 う 対 応 について ( 平 成 25 年 10 月 1 日 閣 議 決 定 )および 子 育 て 世 帯 に 対 す る 臨 時 特 例 給 付 措 置 の 具 体 化 に 向 けての 基 本 的 考 え 方 ( 平 成 25 年 12 月 6 日 )による 6 医 療 介 護 保 育 等 に 関 する 自 己 負 担 の 合 計 額 に 一 定 の 上 限 を 設 ける 仕 組 みその 他 これに 準 じるものをいう
8 / 13 簡 素 な 給 付 措 置 における 給 付 額 が 原 則 1 万 円 であることについては 政 府 は 1 万 円 という 金 額 については 所 得 の 少 ない 家 計 ほど 生 活 に 必 要 不 可 欠 な 食 料 品 の 消 費 支 出 の 割 合 が 高 いこ とを 踏 まえ 消 費 税 率 の 引 上 げによる1 年 半 分 の 食 料 品 の 支 出 額 の 増 加 分 を 参 考 に 設 定 したも の 7 と 説 明 していた なお 公 的 年 金 や 児 童 福 祉 手 当 などの 受 給 者 については 5 千 円 が 加 算 され 1 万 5 千 円 の 給 付 とした この 5 千 円 の 加 算 については 平 成 26 年 4 月 には 消 費 税 率 等 の 引 上 げだけでなく 年 金 の 特 例 水 準 解 消 等 も 行 われることを 考 慮 し 老 齢 基 礎 年 金 等 の 受 給 者 については 一 人 に つき 5 千 円 を 加 算 する 8 と 説 明 していた 消 費 税 率 が 10%に 引 き 上 げられる 際 には 総 合 合 算 制 度 給 付 つき 税 額 控 除 軽 減 税 率 など の 低 所 得 者 対 策 の 導 入 が 検 討 されている 簡 素 な 給 付 措 置 における 1 万 円 の 給 付 はそれまで の 間 の 給 付 措 置 であるが 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げが 先 送 りされると 2015 年 10 月 以 後 の 期 間 分 については 給 付 が 手 当 されていない こととなる このため 簡 素 な 給 付 措 置 の 再 度 の 給 付 が 検 討 されるものと 考 えられる 再 度 の 給 付 を 行 う 場 合 本 体 部 分 の 1 万 円 のみの 給 付 とするのか 5 千 円 の 加 算 も 行 うのかも 検 討 課 題 となる 9 子 育 て 世 帯 臨 時 特 例 給 付 金 については 消 費 税 率 が 8%である 間 の 1 年 半 分 との 明 確 な 説 明 は 行 われてこなかったが 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 先 送 りされれば 簡 素 な 給 付 措 置 と 同 様 に 再 度 の 給 付 を 行 うべきか 検 討 対 象 に 挙 がるものと 考 えられる 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げ 時 の 対 応 消 費 税 法 改 正 法 には 低 所 得 者 への 配 慮 の 観 点 から 総 合 合 算 制 度 給 付 つき 税 額 控 除 およ び 複 数 税 率 ( 軽 減 税 率 )について 検 討 する 旨 規 定 されている 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 では 次 のように 定 められた 図 表 7 消 費 税 の 軽 減 税 率 についての 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 の 記 載 消 費 税 の 軽 減 税 率 制 度 については 社 会 保 障 と 税 の 一 体 改 革 の 原 点 に 立 って 必 要 な 財 源 を 確 保 しつつ 関 係 事 業 者 を 含 む 国 民 の 理 解 を 得 た 上 で 税 率 10% 時 に 導 入 する このため 今 後 引 き 続 き 与 党 税 制 協 議 会 において これまでの 軽 減 税 率 をめぐる 議 論 の 経 緯 及 び 成 果 を 十 分 に 踏 まえ 社 会 保 障 を 含 む 財 政 上 の 課 題 とあわせ 対 象 品 目 の 選 定 区 分 7 総 務 省 自 治 税 務 局 市 町 村 税 課 簡 素 な 給 付 措 置 に 係 る 税 務 情 報 の 取 扱 い 等 について ( 平 成 25 年 11 月 21 日 ) より 8 総 務 省 自 治 税 務 局 市 町 村 税 課 簡 素 な 給 付 措 置 に 係 る 税 務 情 報 の 取 扱 い 等 について ( 平 成 25 年 11 月 21 日 ) より 9 5 千 円 の 加 算 部 分 については 後 述 する 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 支 給 対 象 者 と 大 部 分 が 重 なることとなるため 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 を 2015 年 10 月 に 実 施 する 場 合 は 加 算 を 行 わない(もしくは 加 算 の 対 象 から 公 的 年 金 の 受 給 者 を 除 く) 方 法 も 考 えられる
9 / 13 経 理 等 のための 制 度 整 備 具 体 的 な 安 定 財 源 の 手 当 国 民 の 理 解 を 得 るためのプロセス 等 軽 減 税 率 制 度 の 導 入 に 係 る 詳 細 な 内 容 について 検 討 し 平 成 26 年 12 月 までに 結 論 を 得 て 与 党 税 制 改 正 大 綱 を 決 定 する ( 出 所 ) 自 由 民 主 党 公 明 党 平 成 26 年 度 税 制 改 正 大 綱 ( 平 成 25 年 12 月 12 日 ) 軽 減 税 率 について 税 率 10% 時 に 導 入 する という 文 言 については これまで 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げ 時 という 意 味 なのか 消 費 税 率 10%である 間 のいつか という 意 味 なのか あいまいになっていたが 2015 年 10 月 に 消 費 税 率 を 10%に 引 き 上 げるとすると 制 度 設 計 を 行 ったり 制 度 を 周 知 したりする 時 間 が 不 足 するため 実 務 上 対 応 が 難 しいものと 考 えられていた 軽 減 税 率 の 導 入 案 については 自 由 民 主 党 公 明 党 で 検 討 が 進 められ 2014 年 6 月 には 消 費 税 の 軽 減 税 率 に 関 する 検 討 について 10 が 取 りまとめられている その 中 では 軽 減 税 率 の 対 象 品 目 について 8 通 り 区 分 経 理 について 4 通 りの 案 が 示 されているが ここに 示 すそれぞれ の 案 の 性 格 は どの 案 が 有 力 ということではなく 国 民 の 議 論 の 材 料 とするため 考 え 得 るパ ターンをいわば 機 械 的 に 示 すもの とされており まだ 検 討 段 階 にあるものと 言 える 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 2017 年 4 月 となると その 際 の 軽 減 税 率 導 入 における 制 度 設 計 と 実 務 対 応 のための 時 間 的 猶 予 が 与 えられることとなる もっとも 消 費 税 の 軽 減 税 率 の 導 入 については 対 象 品 目 の 線 引 きが 不 明 確 で 国 民 事 業 者 に 大 きな 混 乱 を 招 くことなどを 理 由 に 経 済 界 が 強 く 反 対 している 図 表 8 給 付 つき 税 額 控 除 と 軽 減 税 率 の 特 徴 問 題 点 考 え 方 メリット 給 付 つき 税 額 控 除 主 に 低 所 得 者 に 所 得 税 住 民 税 を 軽 減 または 現 金 を 給 付 することによ り 負 担 を 緩 和 する 軽 減 税 率 よりも 事 務 負 担 が 軽 減 さ れると 考 えられる 制 度 設 計 によっては 就 労 支 援 や 子 育 て 支 援 などを 織 り 込 むことができ る 低 所 得 者 のみ 所 得 捕 捉 の 精 度 によっては 高 所 得 に 対 象 を 絞 れる 者 にも 恩 恵 が 及 ぶ 可 能 性 がある か? 中 立 性 公 平 性 歳 出 増 ( 税 収 減 )の 程 度 所 得 捕 捉 の 精 度 によっては 高 所 得 者 であっても 給 付 を 受 けられる 者 が 出 る 可 能 性 がある 給 付 を 主 に 低 所 得 者 に 絞 るため 歳 出 増 ( 税 収 減 )は 比 較 的 小 さくなる 事 務 負 担 民 間 事 業 者 においてはあまり 生 じな いものと 考 えられる 導 入 の 際 に 前 提 となる マイナンバー 制 度 の 利 用 により 所 ( 望 ましい) 制 度 得 捕 捉 の 精 度 を 上 げることが 可 能 軽 減 税 率 生 活 必 需 品 への 消 費 税 を 軽 減 免 除 することにより 低 所 得 者 の 消 費 税 負 担 を 直 接 軽 減 する 全 ての 国 民 がある 程 度 の 軽 減 税 率 の 恩 恵 を 受 けられるので 理 解 が 得 やすいと 考 えられる 対 象 品 目 の 購 入 であれば 誰 でも 軽 減 税 率 となるので 高 所 得 者 にも 恩 恵 が 及 ぶ 対 象 品 目 の 設 定 によっては 業 種 間 に 不 公 平 が 生 じるおそれがある 対 象 品 目 の 範 囲 にもよるが 高 所 得 者 にも 軽 減 税 率 の 恩 恵 が 及 ぶため 税 収 減 は 比 較 的 大 きくなる 主 に 民 間 事 業 者 における 事 務 負 担 が 増 える 複 数 税 率 を 設 定 する 際 には インボ イスを 導 入 することが 一 般 的 である 10 http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/pdf179_1.pdf
10 / 13 低 所 得 者 対 策 としては 給 付 つき 税 額 控 除 も 検 討 対 象 となっている 給 付 つき 税 額 控 除 実 施 の 際 には 所 得 を 正 確 に 捕 捉 して 給 付 対 象 者 を 定 めるためにマイナンバーの 導 入 が 必 要 なものと されていた マイナンバーの 実 施 は 2016 年 1 月 が 想 定 されているため 2015 年 10 月 からの 給 付 つき 税 額 控 除 の 実 施 には 間 に 合 わないが 2017 年 4 月 からであれば 対 応 の 可 能 性 は 高 まる 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 2017 年 4 月 になることにより 軽 減 税 率 給 付 つき 税 額 控 除 の いずれの 制 度 の 実 施 のための 条 件 もある 程 度 クリアされるため 改 めて 低 所 得 者 対 策 として どちらを 実 施 すべきか 議 論 が 深 められることが 期 待 される 11 4. 消 費 税 率 引 き 上 げと 連 動 した 年 金 制 度 への 影 響 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 支 給 は 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げの 施 行 日 から 支 給 するものと 法 定 されている 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 は 低 所 得 の 年 金 生 活 者 に 対 して 最 大 月 5,000 円 などの 給 付 を 行 うも のである 低 所 得 の 年 金 生 活 者 は 原 則 として 個 人 単 位 で 判 定 するが 個 人 単 位 では 低 所 得 で も 世 帯 に 住 民 税 が 課 税 されている 者 がいると 支 給 されない 現 役 時 代 に 専 業 主 婦 だった 女 性 については 自 分 自 身 の 年 金 額 は 老 齢 基 礎 年 金 の 満 額 に 満 たな い 者 が 多 い また 厚 生 年 金 受 給 者 ( 現 役 時 代 会 社 員 であった 者 )の 平 均 的 な 年 金 支 給 額 では 住 民 税 は 課 税 されない このため 夫 婦 で 合 わせればある 程 度 年 金 額 がある 世 帯 であっても 妻 の 分 については 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 が 支 給 される 設 計 になっている 例 えば 夫 の 年 金 額 が 180 万 円 であり 妻 の 年 金 額 が 60 万 円 である 平 均 的 な 年 金 額 である 夫 婦 にも その 妻 に 対 しては 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 は 支 給 される このため 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 支 給 の 有 無 は 一 般 的 な 年 金 生 活 者 の 世 帯 にも 影 響 が 及 ぶ 12 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 予 算 規 模 は 年 間 5,600 億 円 であり 消 費 税 率 引 き 上 げによる 増 収 分 を 活 用 して 実 施 することとされていた 消 費 税 率 が 10%に 引 き 上 げられる 時 期 が 先 送 りされれば 現 行 法 のままならば 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 支 給 開 始 時 期 も 先 送 りされることになるが これについて 法 改 正 して 2015 年 10 月 から 支 給 することとするか 否 かが 政 府 の 検 討 課 題 となる 11 詳 細 は 1 拙 稿 消 費 税 増 税 時 の 逆 進 性 低 所 得 者 対 策 の Q&A ( 2012 年 6 月 19 日 ) および2 鈴 木 準 神 田 慶 司 消 費 税 増 税 と 低 所 得 者 対 策 ( 2014 年 3 月 3 日 )を 参 照 1:http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/12061901tax.html 2:http://www.dir.co.jp/research/report/japan/mlothers/20140303_008270.html 12 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 について 詳 細 は 拙 稿 年 金 制 度 の 改 正 法 の 解 説 と 意 見 2 ( 2012 年 11 月 22 日 )を 参 照 http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/12112201tax.html
11 / 13 図 表 9 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 の 概 要 所 得 の 額 が 一 定 の 基 準 ( 注 1)を 下 回 る 老 齢 基 礎 年 金 の 受 給 者 に 老 齢 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 ( 国 民 年 金 の 保 険 料 納 付 済 期 間 及 び 保 険 料 免 除 期 間 を 基 礎 )を 支 給 する 1 基 準 額 ( 月 額 5 千 円 )に 納 付 済 期 間 ( 月 数 )/480 を 乗 じて 得 た 額 の 給 付 2 免 除 期 間 に 対 応 して 老 齢 基 礎 年 金 の 1/6 相 当 を 基 本 とする 給 付 所 得 の 逆 転 を 生 じさせないよう 上 記 の 所 得 基 準 を 上 回 る 一 定 範 囲 の 者 ( 注 2)に 上 記 1 に 準 じる 補 足 的 老 齢 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 ( 国 民 年 金 の 保 険 料 納 付 済 期 間 を 基 礎 )を 支 給 す る 一 定 の 障 害 基 礎 年 金 または 遺 族 基 礎 年 金 の 受 給 者 に 障 害 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 または 遺 族 年 金 生 活 者 支 援 給 付 金 を 支 給 する ( 支 給 額 : 月 額 5 千 円 (1 級 の 障 害 基 礎 年 金 受 給 者 は 月 額 6.25 千 円 )) これらの 給 付 金 には 公 租 公 課 が 禁 じられる ( 注 1) 政 令 で 定 めるものとされており 厚 生 労 働 省 の 資 料 では 住 民 税 が 家 族 全 員 非 課 税 で 前 年 の 年 金 収 入 +その 他 所 得 の 合 計 額 が 老 齢 基 礎 年 金 満 額 ( 平 成 27 年 度 で 77 万 円 ) 以 下 であること と 説 明 されている ( 注 2) 政 令 で 定 めるものとされている 公 的 年 金 の 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 公 的 年 金 の 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 (25 年 から 10 年 への 短 縮 )も 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げ の 施 行 日 から 実 施 するものと 法 定 されている このため 消 費 税 率 が 10%に 引 き 上 げられる 時 期 が 先 送 りされれば 公 的 年 金 の 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 時 期 も 先 送 りされることとなる 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 により 新 たに 公 的 年 金 が 受 給 される 者 が 発 生 し その 者 への 基 礎 年 金 の 支 給 額 の 1/2 分 が 国 庫 負 担 増 となる(その 他 は 各 年 金 制 度 の 負 担 となる) 国 庫 負 担 増 は 約 300 億 円 であり 消 費 税 率 引 き 上 げによる 増 収 分 が 充 てられるものとされていた もっとも 別 途 国 民 年 金 保 険 料 の 後 納 制 度 が 2012 年 10 月 から 2015 年 9 月 まで 実 施 され ている 国 民 年 金 保 険 料 の 後 納 制 度 とは 過 去 10 年 以 内 に 支 払 うべき 国 民 年 金 保 険 料 で 未 納 で あったものは 既 に 時 効 となり 支 払 うことができなくなったものについても 遡 って 保 険 料 を 支 払 うことができ 支 払 ったものについては 年 金 納 付 実 績 として 公 的 年 金 の 受 給 資 格 期 間 や 受 給 額 に 反 映 する 制 度 である 国 民 年 金 保 険 料 の 後 納 制 度 があるため 年 金 受 給 資 格 期 間 が 10 年 未 満 である 高 齢 者 について も 国 民 年 金 保 険 料 を 後 納 することで 年 金 受 給 資 格 期 間 が 10 年 以 上 となれば 2015 年 10 月 以 後 消 費 税 率 が 10%に 引 き 上 げられれば 公 的 年 金 が 支 給 されることとなっており 日 本 年 金 機 構 もこのような 説 明 を 行 ってきた 13 年 金 受 給 資 格 期 間 が 10 年 未 満 である 高 齢 者 が 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 実 施 されること を 見 込 んで 国 民 年 金 保 険 料 の 後 納 を 行 ったものの 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 延 期 されるこ 13 日 本 年 金 機 構 ウェブサイト Q. 年 金 の 受 給 資 格 期 間 を 25 年 から 10 年 に 短 縮 する 年 金 機 能 強 化 法 が 成 立 し たと 聞 きました 後 納 保 険 料 の 納 付 申 込 みを 検 討 していますが 年 金 の 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 などについて 詳 し く 知 りたいのですが どうすればいいですか ( 2012 年 9 月 11 日 更 新 )などを 参 照 http://www.nenkin.go.jp/n/www/faq/detail.jsp?id=6706
12 / 13 ととなると 現 行 法 上 は この 高 齢 者 は 2015 年 10 月 以 後 も( 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 実 施 されるまで) 公 的 年 金 の 受 給 資 格 は 得 られず かつ 後 納 した 保 険 料 の 返 還 もされないとい う 苦 しい 立 場 に 立 たされることになる 現 行 法 に 則 れば 消 費 税 率 10%への 引 き 上 げが 延 期 されるならば 受 給 資 格 期 間 の 短 縮 も 延 期 されることになるが これについてどう 判 断 するべきか 検 討 されるものと 考 えられる 5. 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げへの 影 響 日 本 再 興 戦 略 改 訂 2014 ( 平 成 26 年 6 月 24 日 閣 議 決 定 )にて 法 人 実 効 税 率 を 20% 台 まで 引 き 下 げること および 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げを 2015 年 度 から 行 うことが 明 記 された 法 人 実 効 税 率 引 き 下 げのための 代 替 財 源 は 課 税 ベースの 拡 大 により 恒 久 財 源 を 得 て 実 施 す ることとされていたが アベノミクスの 成 果 による 税 収 の 上 振 れ 分 も 法 人 税 率 引 き 下 げのため の 財 源 に 充 てることができるのではないかとの 議 論 が 行 われていた しかしながら 消 費 税 率 の 10%への 引 き 上 げが 先 送 りされることとなると 財 政 事 情 は 厳 しさを 増 すこととなる このため 法 人 税 率 引 き 下 げを 行 うとすると 課 税 ベースの 拡 大 により 確 保 された 分 しか 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げに 充 てることができず 実 施 される 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げ 幅 が 縮 小 さ れることが 考 えられ 従 来 よりも 法 人 税 率 引 き 下 げのためのハードルが 上 がる(もしくは 代 替 財 源 確 保 のプレッシャーが 高 まる)ものと 考 えられる 14 この 点 については 日 本 経 済 新 聞 は 安 倍 首 相 にインタビューを 行 い 来 年 度 からの 法 人 減 税 が 企 業 への 減 税 分 を 上 回 る ネット 減 税 となるかどうかは 自 民 党 与 党 の 税 制 調 査 会 でど のような 形 で 財 源 を 確 保 するか 検 討 していきたい と 述 べるにとどめた 15 と 報 道 している 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げについて 政 府 は 難 しい 判 断 を 迫 られることとなる 6. 消 費 税 の 経 過 措 置 への 影 響 消 費 税 法 改 正 法 は 消 費 税 率 引 き 上 げの 施 行 日 のほかに 経 過 措 置 のための 基 準 日 も 定 めている 消 費 税 法 改 正 法 は 2015 年 10 月 1 日 を 施 行 日 として 施 行 日 から 消 費 税 率 を 8%から 10% に 引 き 上 げるものと 定 めている 原 則 として 資 産 の 譲 渡 (モノの 売 買 )については 施 行 日 以 後 に 資 産 の 引 き 渡 しが 完 了 す る 取 引 について 役 務 の 提 供 (サービスの 提 供 )については 施 行 日 以 後 に 役 務 が 完 了 する 14 課 税 ベースの 拡 大 による 増 収 分 が 消 費 税 率 引 き 上 げ 先 送 りにより 不 足 する 分 の 財 源 に 充 てられ 法 人 実 効 税 率 の 引 き 下 げが 行 えなくなることも 考 えうる 15 2014 年 11 月 19 日 付 日 本 経 済 新 聞 朝 刊 1 面
13 / 13 取 引 について 10%の 税 率 が 適 用 されることとなっている 16 このため たとえ 施 行 日 前 に 契 約 を 締 結 済 みであっても 商 品 の 引 き 渡 しが 施 行 日 後 であれば 原 則 として 10%の 税 率 が 適 用 される しかし 契 約 締 結 から 商 品 の 引 き 渡 しまで 長 期 間 かかるような 事 業 については 商 品 の 納 期 が 施 行 日 前 なのか 施 行 日 後 なのかの 判 別 が 難 しく 適 用 税 率 がわからないまま 取 引 をしなけれ ばならないケースが 多 くなってくる このため 消 費 税 法 改 正 法 には 経 過 措 置 を 設 けてあり 請 負 工 事 等 に 関 しては 指 定 日 よ り 前 に 契 約 を 締 結 していれば 引 き 渡 しが 施 行 日 以 後 になったとしても 8%の 税 率 を 適 用 す るものと 定 めている この 指 定 日 は 2015 年 4 月 1 日 である 前 回 消 費 税 率 が 5%から 8%に 引 き 上 げられた 際 も 施 行 日 (2014 年 4 月 1 日 )の 6 ヵ 月 前 の 2013 年 10 月 1 日 を 指 定 日 として 定 めていた 法 改 正 を 行 い 消 費 税 率 を 8%から 10%に 引 き 上 げる 際 の 施 行 日 が 2017 年 4 月 1 日 に 1 年 半 延 期 するならば 指 定 日 についても 1 年 半 延 期 され 2016 年 10 月 1 日 に 定 められる 公 算 が 大 きいだろう 指 定 日 が 関 連 する 消 費 税 法 の 経 過 措 置 は 主 に 以 下 のものがある 図 表 10 指 定 日 が 関 連 する 消 費 税 法 の 主 な 経 過 措 置 項 目 請 負 工 事 等 に 関 する 経 過 措 置 資 産 の 貸 付 けに 関 する 経 過 措 置 予 約 販 売 に 係 る 書 籍 等 に 関 す る 経 過 措 置 主 な 内 容 指 定 日 より 前 に 契 約 していれば 引 き 渡 しが 施 行 日 以 後 になっ ても 税 率 は 8%のまま 指 定 日 より 前 に 契 約 し 施 行 日 前 から 継 続 して 貸 付 が 行 われ 施 行 日 以 後 も 引 き 続 き 当 該 契 約 に 基 づき 貸 付 が 行 われている 場 合 施 行 日 以 後 の 分 についても 税 率 は 8%のまま 雑 誌 等 の 定 期 購 読 契 約 を 指 定 日 の 前 までに 締 結 し 代 金 の 一 部 または 全 部 を 施 行 日 の 前 までに 支 払 っている 場 合 引 き 渡 しが 施 行 日 以 後 の 分 についても 税 率 は 8%のまま 通 信 販 売 に 関 する 経 過 措 置 指 定 日 より 前 に 刊 行 されたカタログ 等 の 販 売 価 格 に 基 づき 施 行 日 より 前 に 申 し 込 んだ 商 品 の 販 売 については 引 き 渡 しが 施 行 日 以 後 の 分 についても 税 率 は 8%のまま ( 注 )これらの 措 置 については 消 費 税 率 が 5%から 8%に 引 き 上 げられる 際 にも 同 様 の 経 過 措 置 が 設 けられて いる 以 上 16 消 費 税 法 改 正 法 附 則 第 15 条 および 消 費 税 法 基 本 通 達