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発 起 人 となる 場 合 の 登 記 管 理 に 関 する 若 干 の 規 定 中 国 の 会 社 法 及 び 中 華 人 民 共 和 国 会 社 登 記 管 理 条 例 が 適 用 される 国 家 工 商 行 政 管 理 局 の 外 商 投 資 企 業 の 会 社 の 株 主 または 発 起 人 となることを 登 記 管 理 することについての 若 干 の 規 定 第 3 条 には 以 下 の 条 件 に 適 合 する 外 商 投 資 企 業 は 株 式 有 限 責 任 会 社 の 株 主 あるいは 有 限 会 社 の 発 起 人 として 登 記 することができ る と 規 定 されており その 第 3 号 ではその 条 件 として 企 業 所 得 税 の 納 付 を 既 に 開 始 していること が 挙 げられている 上 記 のQ&Aの 審 査 許 可 機 関 が 指 摘 する 中 外 合 弁 会 社 の 合 弁 各 当 事 者 の 出 資 に 関 する 若 干 の 規 定 を 適 用 する 法 的 根 拠 はない 上 記 (1)については まず 中 外 合 弁 会 社 の 合 弁 各 当 事 者 の 出 資 に 関 する 若 干 の 規 定 が 適 用 されるのではなく 会 社 法 及 び 外 商 投 資 企 業 が 会 社 の 株 主 または 発 起 人 となる 場 合 の 登 記 管 理 に 関 する 若 干 の 規 定 が 適 用 される 会 社 法 第 24 条 は 株 主 は 通 貨 により 出 資 することができ また 現 物 工 業 所 有 権 ノウハウ 土 地 使 用 権 を 価 格 に 評 価 したうえ 出 資 することができる 旨 規 定 しているが 自 ら 所 有 する 現 金 であるか 自 らの 名 義 で 他 人 から 借 り 入 れた 資 金 であるかにつ いては 定 められていない 出 資 者 が 自 らの 名 義 で 銀 行 から 借 り 入 れた 資 金 を 持 って 出 資 するケ ースも 実 務 上 珍 しいことではない また 上 記 (2)についても 自 己 所 有 資 金 を 出 資 する 行 為 は 会 計 勘 定 上 は 登 記 投 資 として 資 産 に 計 上 され 減 資 に 該 当 する 行 為 ではない Q2 日 本 の 大 手 電 機 メーカーA 社 が 中 国 に 設 立 した 独 資 企 業 B 社 が 中 外 合 弁 企 業 法 等 に 基 づき 中 国 企 業 と 共 同 出 資 で 中 外 合 弁 会 社 を 設 立 したと 聞 いております そこで 日 本 企 業 C 社 はこのケースと 同 様 に 中 国 に 独 資 企 業 D 社 を 設 立 し この 独 資 企 業 D 社 に 出 資 させて 中 外 合 弁 会 社 を 設 立 しようと 考 えています これは 可 能 でしょうか A2 独 資 企 業 B 社 が 出 資 して 合 弁 会 社 を 設 立 することができるのは この 独 資 企 業 B 社 が い わゆる 投 資 会 社 ( 傘 型 企 業 )であるためです 日 本 企 業 C 社 が 中 国 に 独 資 企 業 D 社 を 設 立 し この 独 資 企 業 D 社 に 出 資 させて 中 外 合 弁 会 社 を 設 立 するためには 独 資 企 業 D 社 が 投 資 会 社 ( 傘 型 企 業 )としての 厳 格 な 要 件 を 備 えなければなりません 外 国 企 業 が 投 資 し 投 資 会 社 を 経 営 することに 関 する 暫 定 規 定 ( 以 下 暫 定 規 定 という) 第 1 0 条 ( 投 資 した 企 業 の 待 遇 )には 投 資 会 社 が 投 資 し 企 業 を 設 立 する 場 合 において 投 資 会 社 ま たは 他 の 外 国 の 投 資 者 との 外 貨 による 投 資 割 合 がその 投 資 設 立 する 企 業 の 登 録 資 本 の25%を 下 回 らないときは その 投 資 した 企 業 は 外 国 投 資 企 業 の 待 遇 を 享 受 し 外 国 投 資 企 業 認 可 証 書 及 び 外 国 投 資 企 業 営 業 許 可 証 を 交 付 する とされている 投 資 会 社 とは 暫 定 規 定 第 1 条 により 外 国 の 投 資 者 が 中 国 に100% 出 資 のまたは 中 国 の 投 資 者 と 合 弁 の 形 式 で 設 立 する 直 接 投 資 に 従 事 する 会 社 をいう とされている そして 暫 定 規 定 第 2 条 には 投 資 会 社 の 設 立 申 請 の 要 件 として 以 下 の4つの 要 件 を 挙 げ 2

ている 1. 外 国 の 投 資 者 は 信 用 状 態 が 良 好 であり 投 資 会 社 の 経 営 に 絶 対 的 に 必 要 な 経 済 的 実 力 を 擁 し 申 請 の 前 1 年 のその 投 資 者 の 資 産 総 額 が4 億 米 ドルを 下 回 らず かつその 投 資 者 が 中 国 国 内 に 外 国 投 資 企 業 を 既 に 設 立 しており その 実 際 に 払 い 込 んだ 登 録 資 本 の 出 資 額 が1000 万 米 ドルを 超 えており 併 せて3 件 以 上 の 投 資 をしようとする 投 資 案 件 の 建 議 書 が 承 認 を 得 ていること 2. 外 国 の 投 資 者 の 信 用 状 態 が 良 好 で 投 資 会 社 経 営 に 絶 対 的 に 必 要 な 経 済 的 実 力 を 擁 し その 投 資 者 が 中 国 国 内 に10 以 上 の 生 産 またはインフラストラクチュアの 建 設 に 従 事 する 外 国 投 資 企 業 を 既 に 設 立 しており その 実 際 に 払 い 込 んだ 登 録 資 本 の 出 資 額 が3 000 万 米 ドルを 超 えていること 3. 合 弁 方 式 で 投 資 会 社 を 設 立 するときは 中 国 の 投 資 者 の 信 用 状 態 が 良 好 でなければな らず 投 資 会 社 の 経 営 に 絶 対 的 に 必 要 な 経 済 的 実 力 を 擁 し その 資 産 総 額 が1 億 人 民 元 を 下 回 らないこと 4. 投 資 会 社 の 登 録 資 本 金 は 3000 万 米 ドルを 下 回 らないこと 上 記 のQ&Aの 独 資 企 業 B 社 は この 投 資 会 社 に 該 当 し かつ 独 資 企 業 B 社 の 合 弁 会 社 の 登 録 資 本 に 占 める 投 資 割 合 が25%を 下 回 らないため 外 国 投 資 企 業 の 待 遇 を 享 受 することがで き 中 外 合 弁 企 業 法 等 の 規 定 の 適 用 を 受 けることができたのであり 日 本 企 業 C 社 が 中 国 に 独 資 企 業 D 社 を 設 立 し この 独 資 企 業 D 社 に 出 資 させて 中 外 合 弁 会 社 を 設 立 するためには 独 資 企 業 D 社 が 投 資 会 社 としての 要 件 を 備 えなければならない 二 分 工 場 の 設 立 Q3 日 本 法 人 A 社 は ある 中 国 企 業 B 社 及 び 中 国 企 業 C 社 と 中 国 において ある 家 電 製 品 を 生 産 する 合 弁 会 社 D 社 を 設 立 する 予 定 です 当 該 合 弁 会 社 の 総 投 資 額 は 約 1000 万 米 ドルです 中 国 企 業 B 社 は 北 京 市 において 土 地 及 び 建 物 を 有 しているため 合 弁 会 社 の 工 場 を 北 京 市 に 設 置 することを 希 望 しています( 中 国 企 業 B 社 は 土 地 及 び 建 物 を 合 弁 会 社 D 社 に 賃 貸 するという 構 想 です) しかし 中 国 企 業 C 社 は 上 海 市 において 当 該 家 電 製 品 を 生 産 する 工 場 を 既 に 有 しているなどの 理 由 で 日 本 法 人 A 社 及 び 中 国 企 業 C 社 は 合 弁 会 社 の 工 場 を 上 海 市 に 設 置 することを 希 望 しています( 中 国 企 業 C 社 は 土 地 および 建 物 を 合 弁 会 社 D 社 に 賃 貸 するという 構 想 です) 現 在 三 当 事 者 の 協 議 を 経 て 合 弁 会 社 の 本 社 を 北 京 市 に 設 置 しますが 中 国 企 業 B 社 が 当 該 家 電 製 品 の 生 産 の 経 験 がありませんので 合 弁 会 社 D 社 の 設 立 当 社 の2 年 間 においては 合 弁 会 社 の 分 工 場 を 上 海 市 に 設 置 し 2 年 後 において 工 場 を 北 京 市 に 移 転 し かつ 総 合 的 に 見 て 最 適 な 場 所 で 生 産 を 行 うことについて 再 検 討 することを 合 意 しました 3

合 弁 会 社 D 社 を 設 置 する 際 本 社 を 北 京 市 に 置 き 分 工 場 を 上 海 市 に 置 くというこのよう な 方 法 は 法 律 及 び 実 務 において 実 行 可 能 なものですか 実 行 可 能 であれば 必 要 な 手 続 き 及 び 実 際 の 操 作 において 注 意 すべき 点 をご 教 示 下 さい A3 合 弁 会 社 D 社 の 設 立 と 同 時 に 本 社 を 北 京 市 に 置 き 分 工 場 を 上 海 市 に 置 くという 方 法 は 法 律 の 明 文 の 規 定 に 反 するものであるため 実 行 不 可 能 といわざるを 得 ません 国 家 工 商 行 政 管 理 局 が1995 年 7 月 18 日 に 交 付 した 外 商 投 資 企 業 登 記 管 理 において 会 社 登 記 管 理 法 規 を 適 用 することに 関 する 問 題 についての 執 行 意 見 ( 以 下 執 行 意 見 という)の 第 1 2 条 には 登 録 資 本 が 既 に 払 い 込 まれ 生 産 経 営 活 動 が 正 常 な 外 商 投 資 企 業 の 有 限 責 任 会 社 及 び 株 式 有 限 会 社 は 分 公 司 を 設 立 することができる と 規 定 されている すなわち (1) 登 録 資 本 が 既 に 払 い 込 まれ かつ(2) 生 産 経 営 活 動 が 正 常 であるという 条 件 に 合 致 する 場 合 に 限 り 合 弁 会 社 は 分 公 司 ( 分 工 場 )の 設 立 を 申 請 することができる とされているのである 実 務 上 も 審 査 許 可 機 関 は 通 常 本 社 の 設 立 が 完 了 した 後 に 限 り 当 該 合 弁 会 社 による 分 公 司 の 設 立 申 請 を 許 可 するのであり 本 社 の 設 立 と 同 時 に 分 公 司 を 設 立 するというやり 方 は 認 め られていない したがって 合 弁 会 社 D 社 を 設 立 する 際 本 社 を 北 京 市 に 置 き 分 工 場 を 上 海 市 に 置 くという 方 法 は 上 記 の 執 行 意 見 第 12 条 の 規 定 に 違 反 するものであり 法 律 的 に 認 められていないし ま た 筆 者 は 過 去 の 実 務 においても 類 似 する 事 例 を 扱 ったことはない 合 弁 会 社 の 分 公 司 を 設 立 するためには まず 本 社 を 設 立 し かつ 本 社 が 上 記 の 執 行 意 見 12 条 に 定 められた2つの 意 見 をすべて 満 たしてはじめて 分 公 司 を 設 置 することができる Q4 結 局 日 本 企 業 A 社 中 国 法 人 B 社 及 び 中 国 企 業 C 社 は 合 弁 会 社 D 社 の 本 社 及 び 工 場 を 上 海 市 に 設 立 することで 合 意 しました そして 合 弁 会 社 D 社 を 設 立 してから2 年 が 経 過 し 合 弁 当 事 者 は 工 場 を 上 海 市 から 北 京 市 に 移 転 することに 合 意 しました このような 移 転 は 法 律 及 び 実 務 において 実 行 可 能 なものですか A4 このような 場 合 の 分 工 場 の 移 転 は 法 律 的 及 び 実 務 的 に 実 行 可 能 です 以 上 から 考 えると 合 弁 会 社 D 社 の 本 社 は 当 初 は 上 海 市 に 置 くべきであり 原 審 査 許 可 機 関 の 許 可 を 得 られることを 条 件 に 2 年 経 過 後 に 本 社 を 上 海 市 から 北 京 市 に 移 転 することを 合 弁 契 約 中 に 規 定 するのが 無 理 のない 現 実 的 な 対 応 ではないかと 筆 者 は 考 える ただし 三 社 間 の 合 意 事 項 をどうしても 実 現 するため 合 弁 会 社 の 本 社 を 当 初 から 北 京 市 に 置 きたいのであれば 第 一 段 階 として 中 国 企 業 B 社 から 合 弁 会 社 に 対 して 当 初 の2 年 間 は 無 償 で(または 非 常 に 低 い 賃 料 ベースで) 北 京 市 の 工 場 ( 土 地 建 物 )をリースさせ かつ 中 国 企 業 C 社 の 有 する 上 海 市 の 工 場 に 当 該 家 電 製 品 のすべての 部 品 を 生 産 させ その 部 品 を 合 弁 会 社 D 社 が 4

購 入 して 組 立 生 産 (SKD 生 産 )を 北 京 市 の 工 場 において 行 う 第 二 段 階 として 登 録 資 本 の 払 い 込 み 及 び 正 常 な 生 産 経 営 活 動 という 上 記 の 執 行 条 件 の 二 つの 要 件 をクリアしたうえ 上 海 市 の 工 場 を 合 弁 会 社 の 分 工 場 として 登 記 し 上 海 市 の 分 工 場 で 部 品 の 生 産 から 完 成 品 の 組 立 までのす べての 生 産 (CKD 生 産 )を 行 う 第 三 段 階 として 上 海 市 の 分 工 場 を 閉 鎖 し 本 社 のある 北 京 市 の 工 場 にて 部 品 の 生 産 から 完 成 品 の 組 立 までのすべての 生 産 (CKD 生 産 )を 行 うという 方 法 が 考 え られる なお 上 海 市 の 分 工 場 を 廃 止 して 北 京 市 の 本 社 に 移 転 する 際 の 手 続 きとして 中 華 人 民 共 和 国 会 社 登 記 管 理 条 例 第 44 条 は 分 公 司 の 廃 止 を 決 定 した 日 から30 日 以 内 に 当 該 分 公 司 の 会 社 登 記 機 関 に 抹 消 登 記 を 申 請 しなければならず 抹 消 登 記 を 申 請 するためには 会 社 の 法 定 代 表 者 の 署 名 した 抹 消 登 記 申 請 書 及 び 分 公 司 の 営 業 許 可 証 を 提 出 しなければならないと 規 定 している 三 出 資 額 の 譲 渡 に 関 する 拒 否 権 優 先 的 購 入 権 の 事 前 放 棄 (エスケープクローズ) Q5 日 本 法 人 A 社 は 中 国 企 業 B 社 と 合 弁 会 社 C 社 を 南 京 市 に 設 立 しようとしています そし て 日 本 企 業 A 社 は 合 弁 事 業 からの 撤 退 を 容 易 にするため 合 弁 契 約 に 出 資 額 の 譲 渡 に ついて 次 のような 規 定 を 設 けようと 考 えています すなわち 日 本 企 業 A 社 は 中 国 企 業 B 社 への 書 面 による 事 前 通 知 をもって (first refusal の 適 用 なく)いつでも 希 望 する ときに みずからの 合 弁 会 社 C 社 の 出 資 額 の 全 部 または 一 部 を 第 三 者 に 譲 渡 する 権 利 を 持 つ 中 国 企 業 B 社 は この 日 本 法 人 A 社 の 要 求 に 応 じて 董 事 会 において 中 国 企 業 B 社 からの 派 遣 董 事 に この 合 弁 会 社 C 社 の 出 資 額 の 譲 渡 決 議 に 賛 成 させるものとす る そして 南 京 市 の 権 限 ある 部 門 に 働 きかけ 日 本 企 業 A 社 から 第 三 者 への 合 弁 会 社 C 社 の 出 資 額 の 譲 渡 を 批 准 させるものとする という 規 定 です このような 規 定 を 設 けるこ とは 通 常 中 国 において 審 査 許 可 機 関 により 許 可 されますか このような 規 定 では 許 可 されないとすれば どのような 代 案 がありますか A5 合 弁 契 約 変 更 契 約 に 上 記 のような 規 定 を 入 れることは 優 先 的 購 入 権 と 拒 否 権 に 関 する 合 弁 法 や 合 弁 法 実 施 条 例 に 定 める 規 定 に 明 白 に 違 反 することになり 通 常 は 中 国 に おける 審 査 許 可 機 関 は 許 可 しないと 考 えられます 中 外 合 弁 企 業 法 第 4 条 第 3 項 は 合 弁 当 事 者 が 登 録 資 本 を 譲 渡 する 場 合 は 必 ず 合 弁 各 当 事 者 の 同 意 を 得 なければならない と 規 定 し 中 外 合 弁 企 業 法 実 施 条 例 第 23 条 は 一 方 の 合 弁 当 事 者 が 出 資 額 の 全 部 若 しくは 一 部 を 第 三 者 に 譲 渡 する 場 合 には 他 方 の 合 弁 当 事 者 の 同 意 を 得 かつ 審 査 許 可 機 関 の 許 可 を 受 けなければならない 一 方 の 合 弁 当 事 者 が 出 資 額 の 全 部 若 し くは 一 部 を 譲 渡 するとき 他 方 の 合 弁 当 事 者 は 優 先 的 な 購 買 権 を 有 する 一 方 の 合 弁 当 事 者 が 第 三 者 に 出 資 額 を 譲 渡 する 条 件 は 他 方 の 合 弁 当 事 者 に 譲 渡 する 条 件 より 有 利 であってはならない 上 記 の 規 定 に 違 反 した 場 合 その 譲 渡 は 無 効 である と 規 定 している 5

これらの 規 定 から 合 弁 当 事 者 は 他 の 合 弁 当 事 者 が 合 弁 会 社 の 出 資 額 の 第 三 者 への 譲 渡 を 希 望 する 場 合 1 優 先 的 購 入 権 (first refusal right)と2 拒 否 権 (veto power)を 持 つことにな る 現 に 筆 者 が 過 去 に 取 り 扱 ったいかなる 案 件 においても 上 記 のQ&Aの 規 定 のような 無 制 限 かつ 自 由 な 譲 渡 の 規 定 が 認 められたケースはない 代 案 としては 上 記 の 規 定 を 記 載 した 同 意 書 を 中 国 企 業 B 社 から 日 本 法 人 A 社 宛 に 別 途 提 出 させたうえ 合 弁 契 約 において 以 下 のような 規 定 を 設 けることが 考 えられる 1 日 本 企 業 A 社 がその 出 資 額 の 全 部 または 一 部 を 第 三 者 に 譲 渡 しようとする 場 合 事 前 に 中 国 企 業 B 社 の 書 面 による 同 意 を 得 なければならず かつ 原 審 査 許 可 機 関 に 申 請 してその 許 可 を 得 なければならない 21の 規 定 にもかかわらず 一 方 当 事 者 が その 子 会 社 ( 合 弁 当 事 者 が 直 接 または 間 接 に5 0%の 出 資 をしている 会 社 )に 譲 渡 する 場 合 他 方 当 事 者 は 譲 渡 に 同 意 し かつ 自 己 が 派 遣 している 董 事 に 董 事 会 の 出 資 額 譲 渡 承 認 決 議 において 賛 成 の 議 決 をさせなければなら ない その 他 の 場 合 譲 渡 を 希 望 する 合 弁 当 事 者 は 他 方 当 事 者 に 対 して 譲 渡 を 希 望 する 旨 譲 渡 を 希 望 する 出 資 額 その 譲 渡 価 格 及 び 提 案 した 譲 受 人 を 書 面 により 通 知 しなけれ ばならない この 場 合 合 弁 会 社 の 他 方 当 事 者 は 譲 渡 人 の 譲 受 人 に 対 して 提 案 したいか なる 条 件 または 当 該 譲 受 人 が 提 案 した 条 件 よりも 不 利 でない 条 件 にて 優 先 的 に 当 該 出 資 額 を 購 入 する 権 利 を 有 する 他 方 当 事 者 は 譲 渡 の 通 知 を 受 領 した 後 の60 日 以 内 に 譲 渡 人 の 合 弁 会 社 に 対 する 出 資 額 を 購 入 するか 否 か 及 び 当 該 譲 渡 に 反 対 するか 否 かについて 必 ず 回 答 しなければならない 他 方 当 事 者 が 出 資 額 の 譲 渡 について60 日 以 内 に 購 入 す る 旨 の 回 答 をしない 場 合 当 該 譲 渡 に 対 して 書 面 による 同 意 をしたものとみなされ 譲 渡 を 希 望 する 合 弁 当 事 者 は 上 記 の 通 知 において 説 明 された 条 件 に 従 ってその 出 資 額 を 提 案 し た 譲 受 人 に 譲 渡 することができる 3 一 方 当 事 者 の 合 弁 会 社 における 出 資 額 または 出 資 比 率 に 変 更 が 生 じた 場 合 本 契 約 及 び 定 款 における 当 該 合 弁 当 事 者 の 権 利 及 び 義 務 は 当 該 変 更 後 の 出 資 額 及 び 出 資 比 率 に 応 じて 変 更 されるものとする この 場 合 合 弁 当 事 者 は 本 契 約 及 び 定 款 中 の 合 弁 当 事 者 の 権 利 及 び 義 務 に 関 する 条 項 を 改 訂 した 上 改 訂 した 本 契 約 及 び 定 款 を 原 審 査 機 関 に 提 出 して その 許 可 を 得 るものとする 上 記 の 規 定 により 日 本 企 業 A 社 は 合 弁 会 社 C 社 に 対 する 持 分 の 全 部 また 一 部 について 中 国 企 業 B 社 が 優 先 的 購 入 権 を 一 定 期 間 内 に 行 使 しない 場 合 に 拒 否 権 を 行 使 しない 義 務 を 中 国 法 人 B 社 に 負 わせることができる 上 記 の 規 定 を 入 れた 合 弁 契 約 は 筆 者 が 取 り 扱 った 多 数 の 案 件 において 中 国 の 審 査 許 可 機 関 による 許 可 を 受 けた 実 例 があるので 実 行 可 能 な 方 法 といえ る 6

また 拒 否 権 や 優 先 的 購 入 権 の 放 棄 を 記 載 した 同 意 書 は 原 審 査 許 可 機 関 の 許 可 を 受 けて いないので 中 国 法 上 法 的 拘 束 力 がないと 解 釈 されるが ある 程 度 の 心 理 的 な 拘 束 力 は 期 待 で きる 四 設 立 前 の 休 眠 の 可 否 Q6 日 本 法 人 A 社 と 中 国 法 人 B 社 は 青 島 市 に 合 弁 会 社 C 社 を 設 立 するため 合 弁 契 約 を 締 結 し その 後 対 外 貿 易 経 済 合 作 部 の 批 准 が 下 りました しかし 中 国 企 業 B 社 は 中 国 の 市 況 の 悪 化 と 合 弁 会 社 C 社 の 事 業 性 がなくなったことを 理 由 に 出 資 金 の 払 込 を 行 わないことを 主 張 しています このような 場 合 合 弁 会 社 C 社 について 青 島 市 工 商 行 政 管 理 局 への 営 業 許 可 証 申 請 は 所 定 の 期 限 までに 必 ず 行 わなければならないのでしょう か また 所 定 の 期 限 までに 申 請 を 行 わなかった 場 合 どのような 措 置 がとられるのでしょ うか A6 青 島 市 工 商 行 政 管 理 局 への 営 業 許 可 証 申 請 は 所 定 の 期 限 までに 必 ず 行 わなければな りません また 所 定 の 期 限 までに 申 請 を 行 わなかった 場 合 は 期 限 の 経 過 後 に 青 島 市 工 商 行 政 管 理 局 に 営 業 許 可 証 の 申 請 をしても 受 理 されないものと 思 われます 合 弁 法 実 施 条 例 第 11 条 に 従 い 合 弁 契 約 の 批 准 が 下 りた 後 1ヶ 月 以 内 に 合 弁 会 社 所 在 地 の 省 自 治 区 直 轄 市 工 商 行 政 管 理 局 に 営 業 許 可 証 申 請 を 行 わなければならない 所 定 の 期 限 までに 申 請 を 行 わなかった 場 合 対 外 貿 易 経 済 合 作 部 が 当 該 合 弁 プロジェクトに 対 して 発 行 した 批 准 証 書 が 自 動 的 に 失 効 するとの 明 文 の 規 定 はないが 中 華 人 民 共 和 国 公 司 登 記 管 理 条 例 第 17 条 及 び 中 華 人 民 共 和 国 外 資 企 業 法 実 施 細 則 第 13 条 の 規 定 の 趣 旨 から 同 日 以 後 に 国 家 工 商 行 政 管 理 局 へ 営 業 許 可 証 を 申 請 するためには 批 准 証 書 に 原 審 査 許 可 機 関 ( 原 認 可 機 関 ともいう)である 対 外 貿 易 経 済 合 作 部 の 確 認 を 取 るか 新 たに 批 准 証 書 を 取 り 直 す 必 要 があるであろう 筆 者 が 直 接 経 験 したケースではないが 所 定 の 期 限 後 に 工 商 行 政 管 理 局 に 対 し 営 業 許 可 証 を 申 請 した 際 に 批 准 証 書 を 新 たに 取 り 直 すよう 要 求 されたケースがある また 所 定 の 期 限 までに 申 請 を 行 わなかった 場 合 工 商 行 政 管 理 局 により 警 告 または 罰 金 の 処 罰 を 受 ける 可 能 性 がある Q7 合 弁 当 事 者 の 協 議 により 合 弁 会 社 C 社 の 合 弁 契 約 を 合 意 解 約 することはできますか A7 合 弁 契 約 の 解 約 規 定 に 従 って 解 約 することができます 合 弁 会 社 C 社 は 営 業 許 可 証 を 取 得 していないので 設 立 はされていないが 合 弁 契 約 や 定 款 7

は 対 外 貿 易 経 済 合 作 部 の 批 准 により 発 効 している したがって 合 弁 契 約 の 解 約 規 定 に 基 づき 当 該 条 項 に 定 める 事 由 が 発 生 したものとして 合 弁 契 約 を 書 面 により 合 意 解 約 し 原 審 査 許 可 機 関 である 対 外 貿 易 経 済 合 作 部 に 届 け 出 ることができる 合 弁 契 約 を 解 約 する 場 合 以 下 の 点 に 留 意 すべきである 1 合 弁 契 約 が 解 約 について いかなる 規 定 を 定 めているかを 確 認 すること 2 合 弁 会 社 C 社 の 設 立 準 備 費 用 として 各 当 事 者 が 負 担 した 費 用 についてどのように 処 理 す べきかを 解 約 合 意 書 に 明 記 すること 3 合 弁 契 約 を 解 約 する 原 因 特 に 自 らが 解 約 を 要 求 したためではないことをできるだけ 明 確 に 解 約 合 意 書 に 表 明 し 中 国 企 業 C 社 から 違 約 責 任 を 追 及 されないようにすること 4 関 連 部 門 と 協 議 して 当 該 プロジェクトをしばらくの 間 実 施 せず 停 止 させる 可 能 性 の 有 無 を 探 求 すること Q8 営 業 許 可 証 取 得 後 合 弁 会 社 C 社 を 運 営 してもフィージブルと 考 えられる 時 点 まで 合 弁 会 社 C 社 への 登 録 資 本 の 払 い 込 み 及 び 運 営 を 延 期 休 眠 させることはできますか っ できるとしてその 場 合 の 注 意 点 をご 教 示 下 さい A8 中 国 の 現 行 の 法 律 に 基 づく 限 り 合 弁 会 社 C 社 を 休 眠 状 態 にさせる 可 能 性 はありませ ん そもそも 中 国 の 法 律 中 には 休 眠 の 概 念 や 規 定 は 存 在 しません 中 華 人 民 共 和 国 企 業 法 人 登 記 管 理 条 例 第 22 条 の 規 定 により 企 業 法 人 は 営 業 許 可 証 を 取 得 した 後 満 6ヶ 月 間 経 営 活 動 を 展 開 しないか または 経 営 活 動 を 満 1 年 間 停 止 した 場 合 休 業 とみなされ その 場 合 登 記 抹 消 手 続 等 の 手 続 を 行 わなければならない 中 国 のすべての 企 業 は 毎 年 4 月 末 までに 工 商 年 検 という 手 続 きを 行 い 企 業 法 人 に 経 営 継 続 の 資 格 があるか 否 かを 確 認 するので 現 実 的 にも 合 法 的 に1 年 以 上 休 眠 状 態 にすることはできない 一 般 に 工 商 行 政 管 理 局 では 特 別 な 理 由 がない 限 り 2 年 以 上 工 商 年 検 の 手 続 きをしていない 企 業 に 対 して 営 業 許 可 証 の 取 消 (すなわち 登 記 抹 消 )を 行 うことを 実 務 上 の 原 則 としているようである ただし 何 らの 明 確 な 法 律 上 の 根 拠 はないが 単 に 出 資 義 務 の 履 行 を 遅 延 させることについて 対 外 貿 易 経 済 合 作 部 や 国 家 工 商 行 政 管 理 局 等 の 関 連 部 門 の 特 別 な 許 可 (あるいは 黙 認 )が 得 られれば 超 法 規 的 な 措 置 として 当 該 プロジェクトをしばらくの 間 実 施 しないという 所 望 の 状 況 を 作 り 出 すこ とは 可 能 かもしれない 8