平 成 2 8 年 7 月 8 日 問 い 合 わ せ 先 監 査 事 務 局 監 査 事 務 局 総 務 課 電 話 03-5320-7011 知 事 専 用 車 の 使 用 を 違 法 不 当 と し て そ の 使 用 に 要 し た 経 費 の 返 還 を 求 める 住 民 監 査 請 求 監 査 結 果 について 第 1 請 求 の 受 付 東 京 都 監 査 委 員 同 同 同 同 山 加 朱 美 吉 倉 正 美 友 渕 宗 治 岩 田 喜 美 枝 松 本 正 一 郎 1 請 求 人 ( 略 ) 2 請 求 の 提 出 平 成 28 年 5 月 13 日 3 請 求 の 内 容 (1) 主 張 事 実 ア 東 京 都 前 知 事 舛 添 氏 が 週 刊 文 春 朝 日 新 聞 などの 報 道 によれば 平 成 27 年 4 月 から 平 成 28 年 4 月 の 約 1か 年 にわたり ほぼ 毎 週 土 曜 の 午 後 3 時 頃 から 都 庁 から 庁 有 車 に 乗 り 都 職 員 である 運 転 手 が 運 転 して 神 奈 川 県 湯 河 原 の 別 荘 に 復 路 通 勤 の 形 式 で 利 用 した イ 東 京 都 自 動 車 管 理 規 則 1 条 は 公 務 を 行 うために 東 京 都 が 使 用 する 庁 有 車 の 適 正 な 運 営 を 図 るため 庁 有 車 の 使 用 に 関 し 必 要 事 項 を 定 める 8 条 は 乗 用 車 の 使 用 時 間 は 通 常 の 出 勤 時 限 ( 午 前 9 時 )から 通 常 の 退 庁 時 限 ( 午 後 5 時 45 分 )までとする とそれぞれ 定 める ウ 東 京 都 人 事 課 は 都 職 員 の 通 勤 手 当 は 1か 月 定 期 券 5 万 5 千 円 までを 実 費 支 給 し 都 知 事 もこれに 従 う と 説 明 した エ 前 記 イによれば 本 件 庁 有 車 を 舛 添 氏 の 復 路 通 勤 に 使 用 することはできない ことは 明 らかである そもそも 本 件 庁 有 車 の 使 用 は 社 会 通 念 が 許 容 する 範 囲 - 1 -
でその 使 用 が 認 められるものであり かつその 使 用 は あくまで spot use( 非 日 常 )の 公 務 使 用 を 前 提 としたものであり 本 件 のように 舛 添 氏 が 毎 週 土 曜 の 復 路 帰 路 通 勤 に48 回 使 用 したものは 違 法 性 を 帯 びる オ 請 求 人 は 小 金 井 市 の 公 用 車 管 理 規 則 を 調 べたところ 小 金 井 市 の 公 用 車 は 社 会 通 念 が 許 し かつ 非 日 常 の 使 用 というしばりが 掛 かっている カ 本 件 湯 河 原 使 用 の 結 果 都 は 庁 有 車 の 不 正 使 用 により 約 5 百 万 円 の 損 害 を 被 った 模 様 である (2) 措 置 請 求 舛 添 前 都 知 事 に 対 し 東 京 都 に 前 記 損 害 金 に 相 当 する 金 額 を 弁 済 する 措 置 を 請 求 する 4 請 求 の 要 件 審 査 本 件 請 求 において 請 求 人 は 平 成 27 年 4 月 から 平 成 28 年 4 月 の 約 1か 年 にわ たり 前 知 事 が 神 奈 川 県 湯 河 原 町 にある 別 荘 まで 知 事 専 用 車 を 使 用 して 復 路 通 勤 した 経 費 について 都 は 前 知 事 に 対 する 不 当 利 得 返 還 請 求 権 ( 以 下 本 件 債 権 という ) の 行 使 を 怠 っているとして 本 件 行 使 を 求 めているものと 解 される しかしながら 昭 和 62 年 2 月 20 日 最 高 裁 判 例 によれば 特 定 の 財 務 会 計 上 の 行 為 を 違 法 であるとし 当 該 行 為 が 違 法 無 効 であることに 基 づいて 発 生 する 実 体 法 上 の 請 求 権 の 不 行 使 をもって 財 産 の 管 理 を 怠 る 事 実 としている 監 査 請 求 であるときは 怠 る 事 実 に 係 る 請 求 権 の 発 生 原 因 たる 財 務 会 計 行 為 のあった 日 又 は 終 わった 日 を 基 準 として 地 方 自 治 法 ( 昭 和 22 年 法 律 第 67 号 以 下 法 という ) 第 242 条 第 2 項 を 適 用 すべきものと 解 するのが 相 当 である としている このことから 平 成 27 年 5 月 12 日 以 前 の 本 件 債 権 の 不 行 使 については 法 第 242 条 第 2 項 に 定 める 請 求 期 間 の1 年 を 経 過 しているため 平 成 27 年 5 月 13 日 から 平 成 28 年 4 月 30 日 までの 本 件 債 権 の 不 行 使 について 法 第 242 条 所 定 の 要 件 を 備 えているものと 認 め 監 査 を 実 施 した - 2 -
第 2 監 査 の 実 施 1 監 査 対 象 事 項 平 成 27 年 5 月 13 日 から 平 成 28 年 4 月 30 日 までの 間 に 前 知 事 が 都 庁 から 神 奈 川 県 湯 河 原 町 にある 別 荘 まで 知 事 専 用 車 を 使 用 して 復 路 通 勤 した 経 費 について 都 は 前 知 事 に 対 し 不 当 利 得 返 還 請 求 権 の 行 使 を 怠 っている 事 実 があるか 否 かを 監 査 対 象 とする 2 監 査 対 象 局 財 務 局 を 対 象 とした 政 策 企 画 局 に 対 して 関 係 人 調 査 を 行 った 3 証 拠 の 提 出 及 び 陳 述 等 法 第 242 条 第 6 項 の 規 定 に 基 づく 陳 述 については 請 求 人 から 平 成 28 年 5 月 30 日 付 け 陳 述 書 の 提 出 のみとする 旨 の 申 し 出 があった 陳 述 書 において 請 求 人 は 当 初 請 求 書 に 記 載 していた 損 害 額 約 5 百 万 円 を 請 求 人 が 調 査 した 損 害 額 371 万 6,160 円 に 訂 正 し その 額 を 前 知 事 は 都 に 弁 済 するように 求 めた また 平 成 28 年 6 月 2 日 監 査 対 象 局 職 員 の 陳 述 の 聴 取 を 行 った - 3 -
第 3 監 査 の 結 果 1 事 実 関 係 の 確 認 (1) 知 事 専 用 車 について ア 都 の 庁 有 車 は 東 京 都 自 動 車 の 管 理 等 に 関 する 規 則 ( 以 下 本 件 管 理 規 則 という ) 第 1 条 で 公 務 を 行 うために 使 用 することが 記 載 されている イ 知 事 は 本 件 管 理 規 則 第 9 条 第 1 項 により 乗 用 車 を 専 用 するものとされ 専 用 の 車 ( 以 下 知 事 専 用 車 という )が 配 車 されている ウ 知 事 専 用 車 は 本 件 管 理 規 則 第 8 条 により 使 用 時 間 の 適 用 が 除 外 されてい る また 財 務 局 庁 有 車 管 理 要 綱 ( 以 下 本 件 管 理 要 綱 という ) 第 8 条 第 2 項 では 休 日 であっても 運 行 することができると 定 められている エ 知 事 専 用 車 の 使 用 手 続 については 本 件 管 理 要 綱 第 9 条 第 2 項 に 定 められて おり 専 用 車 利 用 者 は 原 則 として 運 転 指 示 書 により 運 転 者 に 指 示 するとさ れ 休 日 に 専 用 車 を 使 用 する 場 合 は これとは 別 に 休 日 使 用 届 を 庁 有 車 管 理 者 ( 財 務 局 経 理 部 総 務 課 長 )に 提 出 することされている しかしながら 財 務 局 によると 知 事 専 用 車 を 利 用 する1か 月 から 数 週 間 前 の 時 点 から 政 策 企 画 局 秘 書 課 との 間 で 予 め 日 程 等 を 確 認 することなどにより 綿 密 に 専 用 車 の 運 行 計 画 を 調 整 し さらに 随 時 の 日 程 の 変 更 に 対 しても 緊 密 に 連 携 をとることで 対 応 する 必 要 があるため 個 別 の 運 転 指 示 書 及 び 休 日 使 用 届 の 対 象 とはしていないとしている (2) 知 事 専 用 車 の 運 転 日 誌 について ア 庁 有 車 の 運 転 者 は 本 件 管 理 規 則 第 11 条 第 1 項 により 運 転 終 了 後 に 運 転 者 名 運 転 の 開 始 及 び 終 了 の 日 時 運 転 した 距 離 その 他 必 要 な 事 項 を 運 転 日 誌 に 記 載 し 庁 有 車 管 理 者 に 提 出 することとされており 知 事 専 用 車 について も 運 転 日 誌 が 作 成 されている イ 知 事 専 用 車 の 運 転 日 誌 ( 以 下 本 件 運 転 日 誌 という )によれば 監 査 対 象 期 間 ( 平 成 27 年 5 月 13 日 から 平 成 28 年 4 月 30 日 )のうち 知 事 専 用 車 が 湯 河 原 町 を 最 終 到 着 地 ( 復 路 )としているのが41 回 であった (3) 知 事 専 用 車 の 運 用 ルールについて 財 務 局 によれば 具 体 的 な 運 用 に 関 しては 本 件 管 理 規 則 及 び 本 件 管 理 要 綱 に は 特 段 の 記 載 はないものの 本 件 管 理 規 則 第 1 条 に 公 務 を 行 うために 東 京 都 が 使 用 する 庁 有 車 とあるとおり 専 用 車 の 使 用 は 公 務 を 行 うためのものであり - 4 -
移 動 先 か 移 動 元 のどちらかが 公 務 であることを 前 提 に 運 用 しているとのことであ った また 実 際 の 使 用 に 当 たっては 知 事 の 広 範 かつ 重 要 な 職 責 から 使 用 目 的 や 形 態 も 多 岐 に 亘 るため 個 々 具 体 的 なケースで 判 断 しており その 積 み 重 ねの 内 容 をルールとしているとの 説 明 があった (4) 都 庁 湯 河 原 町 間 の 所 要 時 間 について 財 務 局 に 確 認 したところ 都 庁 湯 河 原 町 間 の 所 要 時 間 は2 時 間 程 度 と 推 測 さ れるとのことであった (5) 知 事 専 用 車 における 知 事 と 連 絡 がとれる 態 勢 について 知 事 専 用 車 には 移 動 中 の 知 事 と 常 に 連 絡 が 取 れる 態 勢 を 取 るために 緊 急 時 に 優 先 的 に 回 線 を 利 用 することが 可 能 な 公 用 携 帯 電 話 のほか 防 災 無 線 電 話 車 載 電 話 が 設 置 されている 2 監 査 対 象 局 の 説 明 財 務 局 経 理 部 総 務 課 では 本 件 管 理 規 則 に 基 づき 公 営 企 業 等 の 所 管 分 を 除 き 庁 有 車 の 運 行 管 理 をしている 今 回 の 監 査 の 対 象 となっている 庁 有 車 は 知 事 専 用 車 である 知 事 は 都 を 統 轄 してこれを 代 表 し その 事 務 を 管 理 してこれを 執 行 する 広 範 かつ 重 要 な 地 位 及 び 職 責 を 有 している この 地 位 及 び 職 責 を 全 うするため 機 動 的 な 交 通 手 段 を 確 保 するとともに 移 動 時 にあっても 常 に 知 事 と 連 絡 がとれる 態 勢 に なければならないとの 観 点 から 本 件 管 理 規 則 第 9 条 第 1 項 に 基 づき 知 事 専 用 車 を 制 度 化 している この 知 事 専 用 車 を 含 めた 専 用 車 については 他 の 庁 有 車 とは 異 な り 使 用 時 間 に 関 する 本 件 管 理 規 則 上 の 特 段 の 定 めはない 知 事 専 用 車 の 運 行 手 続 については 次 のとおりである 専 属 運 転 手 は 知 事 就 任 時 に 財 務 局 経 理 部 総 務 課 で 決 定 する 専 属 運 転 手 は 知 事 の 指 示 に 従 い 知 事 専 用 車 を 運 行 する 運 行 状 況 については 運 転 日 誌 等 により 財 務 局 経 理 部 総 務 課 が 管 理 している 本 件 に 関 する 請 求 人 の 主 張 は 週 刊 文 春 などの 報 道 によれば とした 上 で 舛 添 前 知 事 が 平 成 27 年 4 月 から 平 成 28 年 4 月 までのほぼ 毎 週 土 曜 日 神 奈 川 県 湯 河 原 の 別 荘 に 復 路 通 勤 に 都 庁 職 員 の 運 転 する 庁 有 車 を 利 用 している 一 方 本 件 管 理 規 則 により 庁 有 車 の 利 用 は 通 常 の 出 勤 時 限 から 退 庁 時 限 までであり 知 事 も 都 職 員 と 同 様 に 通 勤 手 当 の 対 象 となることから 復 路 通 勤 としての 庁 有 車 の 使 用 は 認 められず 都 は 不 正 な 利 用 により 約 371 万 円 の 損 害 を 被 った よって 前 知 事 に 当 - 5 -
該 損 害 金 に 相 当 する 金 額 を 弁 済 する 措 置 を 求 める というものである これに 対 し 前 知 事 の 公 務 の 場 である 都 庁 から 湯 河 原 町 への 送 迎 のため 庁 有 車 を 運 行 した 事 実 はあるが これは 前 述 のように 本 件 管 理 規 則 第 9 条 第 1 項 に 定 め る 知 事 専 用 車 であり 請 求 人 のいう 同 第 8 条 に 定 める 使 用 時 間 に 制 限 のある 庁 有 車 ではない すなわち 知 事 専 用 車 を 含 む 専 用 車 は 請 求 人 のいう 土 曜 日 ( 曜 日 については 引 用 のある 週 刊 誌 の 記 事 が ほぼ 毎 週 末 と 記 載 していたことから 金 曜 日 の 誤 用 と 思 われる )を 含 む 休 庁 日 や 早 朝 夜 間 を 含 め 使 用 者 の 重 要 な 職 責 を 全 うし 各 所 への 移 動 時 に 常 に 連 絡 がとれるよう 使 用 者 の 指 示 に 基 づき 適 正 に 運 行 している また 請 求 人 は 伝 聞 ではあるが 知 事 の 通 勤 手 当 の 有 無 について 言 及 している 趣 旨 は 明 確 ではないが 仮 に 経 費 の 重 複 した 支 出 を 問 うものであれば ( 所 管 外 では あるが) 知 事 を 含 め 専 用 車 の 使 用 者 に 対 して 通 勤 手 当 は 支 給 されていない 以 上 のとおり 明 確 な 算 定 根 拠 が 示 されていない 損 害 金 を 含 め 請 求 人 の 主 張 に は 理 由 がないと 考 える 財 務 局 としては 今 後 とも 本 件 管 理 規 則 に 則 って 専 用 車 の 運 行 管 理 に 努 めていく 3 関 係 人 調 査 (1) 神 奈 川 県 湯 河 原 町 にある 建 物 の 位 置 付 け 政 策 企 画 局 では 神 奈 川 県 湯 河 原 町 にある 建 物 を 湯 河 原 の 事 務 所 ( 以 下 本 件 建 物 という )と 把 握 しており 世 田 谷 の 自 宅 と 同 様 に 前 知 事 の 送 り 届 け 先 に 当 たるものと 考 えているとの 説 明 があった (2) 庁 外 における 前 知 事 との 連 絡 体 制 庁 外 における 前 知 事 との 連 絡 体 制 について 政 策 企 画 局 より 以 下 のとおり 説 明 があった 世 田 谷 の 自 宅 においては 災 害 時 優 先 のNTT 電 話 防 災 無 線 電 話 防 災 無 線 ファクシミリが 設 置 されている 本 件 建 物 においては 衛 星 携 帯 電 話 を 設 置 している その 他 屋 外 にいる 場 合 においては 災 害 時 優 先 の 公 用 携 帯 電 話 を 携 帯 して いる - 6 -
4 判 断 本 件 請 求 において 請 求 人 は 前 知 事 が 神 奈 川 県 湯 河 原 町 にある 別 荘 まで 知 事 専 用 車 を 使 用 し 復 路 通 勤 したことは 本 件 管 理 規 則 に 反 しており 違 法 性 を 帯 びると 主 張 している このことから 本 件 建 物 まで 知 事 専 用 車 を 使 用 したことについて 前 記 事 実 関 係 の 確 認 監 査 対 象 局 の 説 明 関 係 人 調 査 及 び 関 係 資 料 の 調 査 等 に 基 づき 次 のよ うに 判 断 する (1) 知 事 専 用 車 の 趣 旨 について 知 事 は 普 通 地 方 公 共 団 体 の 長 であって 当 該 普 通 地 方 公 共 団 体 の 統 轄 及 び 代 表 その 事 務 の 管 理 及 び 執 行 予 算 の 調 製 及 び 執 行 地 方 税 の 賦 課 徴 収 等 を 行 うなど 広 範 かつ 重 要 な 職 責 を 有 している( 法 第 139 条 第 147 条 から149 条 まで 等 ) 本 件 管 理 規 則 第 9 条 第 1 項 が 知 事 に 専 用 車 を 使 用 させることとしているのは 上 記 のような 知 事 が 担 う 職 責 の 性 質 内 容 等 に 照 らし その 職 責 を 全 うさせる ため 知 事 について 機 動 的 な 交 通 手 段 を 確 保 するとともに 移 動 時 にあっても 常 に 知 事 と 連 絡 を 取 ることができるようにするなどの 危 機 管 理 の 観 点 からである ( 平 成 20 年 2 月 8 日 東 京 地 裁 判 決 )と 解 される (2) 知 事 専 用 車 の 使 用 時 間 について 知 事 は 特 別 職 の 地 方 公 務 員 であり( 地 方 公 務 員 法 第 3 条 第 3 項 第 4 号 ) 原 則 と して 地 方 公 務 員 法 は 適 用 されず( 地 方 公 務 員 法 第 4 条 第 2 項 ) 勤 務 時 間 等 の 勤 務 条 件 は 定 められていないところ 知 事 専 用 車 については 他 の 乗 用 車 と 異 なり 使 用 時 間 の 適 用 が 除 外 されている( 本 件 管 理 規 則 第 8 条 ) (3) 知 事 専 用 車 の 使 用 方 法 及 び 態 様 について 知 事 が 担 う 職 責 の 内 容 及 び 性 質 本 件 管 理 規 則 が 知 事 に 専 用 車 を 使 用 させる こととした 趣 旨 及 び 目 的 本 件 管 理 規 則 の 具 体 的 規 定 等 に 照 らすと 知 事 専 用 車 の 使 用 の 方 法 及 び 態 様 については 知 事 の 合 理 的 な 判 断 に 委 ねられているという べきである ( 平 成 20 年 2 月 8 日 東 京 地 裁 判 決 )と 解 される (4) 本 件 建 物 まで 知 事 専 用 車 を 使 用 することの 違 法 性 不 当 性 について 平 成 20 年 2 月 8 日 の 東 京 地 裁 判 決 によれば 自 宅 への 送 迎 における 知 事 専 用 車 の 使 用 は 公 的 活 動 と 私 的 活 動 との 切 替 え 時 においても 機 動 性 を 確 保 し 危 機 管 理 を 徹 底 しようとするものであるから その 使 用 は 合 理 性 を 有 するといえる ところ 自 宅 への 送 迎 でなくとも 公 的 活 動 と 私 的 活 動 との 切 替 え 時 における 合 - 7 -
理 的 な 方 法 及 び 態 様 で 知 事 専 用 車 を 使 用 することは 機 動 性 の 確 保 及 び 危 機 管 理 の 徹 底 の 観 点 から 知 事 専 用 車 が 設 けられた 趣 旨 及 び 目 的 にかなうものである としている 本 件 建 物 は 前 知 事 にとって 世 田 谷 区 にある 自 宅 同 様 前 知 事 の 活 動 の 一 つの 拠 点 と 考 えられ 前 知 事 が 私 的 な 日 常 活 動 の 拠 点 とするのに 不 適 当 な 場 所 といえ ず 執 務 場 所 である 都 庁 からの 所 要 時 間 も 片 道 2 時 間 程 度 であることを 考 慮 する と 社 会 通 念 上 自 動 車 を 利 用 して 移 動 する 距 離 として 長 すぎるものとはいえな い よって 本 件 建 物 まで 知 事 専 用 車 を 使 用 したことは 本 件 管 理 規 則 で 定 める 専 用 車 使 用 の 趣 旨 を 逸 脱 したものとは 認 められず 違 法 不 当 であるとはいえない なお 公 務 終 了 後 前 知 事 を 本 件 建 物 まで 送 り 届 けるために 知 事 専 用 車 を 頻 繁 に 使 用 したことについて 別 項 のとおり 意 見 を 付 する 5 結 論 (1) 結 論 前 知 事 が 本 件 建 物 まで 知 事 専 用 車 を 使 用 して 復 路 通 勤 した 経 費 について 都 は 前 知 事 に 対 する 本 件 債 権 の 行 使 を 怠 っているとする 請 求 人 の 主 張 には 理 由 がない (2) 意 見 公 務 終 了 後 前 知 事 を 都 外 の 自 宅 以 外 の 場 所 まで 送 り 届 けるため ほぼ 毎 週 末 知 事 専 用 車 の 運 行 をしていたことは 違 法 不 当 であるといえないものの 都 民 の 理 解 が 得 難 いと 思 われる 財 務 局 は 政 策 企 画 局 と 連 携 の 上 知 事 専 用 車 の 厳 格 な 運 行 に 努 められたい - 8 -
資 料 ( 東 京 都 職 員 措 置 請 求 書 等 ) 第 1 請 求 の 要 旨 (1) 東 京 都 知 事 舛 添 氏 が 週 刊 文 春 朝 日 新 聞 などの 報 道 によれば 平 成 27 年 4 月 から 平 成 28 年 4 月 の 約 1か 年 にわたり ほぼ 毎 週 土 曜 の 午 後 3 時 ころから 都 庁 から 庁 有 車 に 乗 り 都 職 員 である 運 転 手 が 運 転 して 神 奈 川 県 湯 河 原 の 別 荘 に 復 路 通 勤 の 形 式 で 利 用 した (2) 東 京 都 自 動 車 管 理 規 則 1 条 は 公 務 を 行 うために 東 京 都 が 使 用 する 庁 有 車 の 適 正 な 運 営 を 図 るため 庁 有 車 の 使 用 に 関 し 必 要 事 項 を 定 める 8 条 は 乗 用 車 の 使 用 時 間 は 通 常 の 出 勤 時 限 ( 午 前 9 時 )から 通 常 の 退 庁 時 限 ( 午 後 5 時 45 分 )までとする とそれぞれ 定 める (3) 東 京 都 人 事 課 は 都 職 員 の 通 勤 手 当 は 1か 月 定 期 券 5 万 5 千 円 までを 実 費 支 給 し 都 知 事 もこれに 従 う と 説 明 した (4) 前 記 (2)によれば 本 件 庁 有 車 を 舛 添 氏 の 復 路 通 勤 に 使 用 することはでき ないことは 明 らかである そもそも 本 件 庁 有 車 の 使 用 は 社 会 通 念 が 許 容 する 範 囲 でその 使 用 が 認 められるものであり かつその 使 用 は あくまで spot use ( 非 日 常 )の 公 務 使 用 を 前 提 としたものであり 本 件 のように 舛 添 氏 が 毎 週 土 曜 の 復 路 帰 路 通 勤 に48 回 使 用 したものは 違 法 性 を 帯 びる (5) 請 求 人 は 小 金 井 市 の 公 用 車 管 理 規 則 を 調 べたところ 小 金 井 市 の 公 用 車 は 社 会 通 念 が 許 し かつ 非 日 常 の 使 用 というしばりが 掛 かっている (6) 本 件 湯 河 原 使 用 の 結 果 都 は 庁 有 車 の 不 正 使 用 により 約 5 百 万 円 の 損 害 を 被 った 模 様 である (7) 請 求 人 は 舛 添 都 知 事 に 対 し 東 京 都 に 前 記 損 害 金 に 相 当 する 金 額 を 弁 済 す る 措 置 を 請 求 する ( 原 文 のまま 掲 載 ) 事 実 証 明 書 (1) 東 京 都 自 動 車 の 管 理 等 に 関 する 規 則 (2) 東 京 都 監 査 委 員 に 対 する 平 成 28.5.13 付 東 京 都 知 事 舛 添 措 置 請 求 書 に 係 る 追 加 資 料 (3) 週 刊 文 春 記 事 ( 平 成 28 年 5 月 19 日 号 ) - 9 -