DOI: 10.7875/leading.author.2.e010 2013 年 9 月 25 日 公 開 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 と RNA 結 合 タンパク 質 Amyotrophic lateral sclerosis and RNA-binding proteins 河 原 行 郎 Yukio Kawahara 大 阪 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科 遺 伝 子 機 能 制 御 学 要 約 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 は 上 位 および 下 位 の 運 動 ニューロ ンが 選 択 的 に 変 性 し 全 身 の 筋 力 が 低 下 していく 神 経 難 病 である. 近 年,TDP-43 や FUS など, 機 能 や 構 造 に 共 通 性 のある RNA 結 合 タンパク 質 がその 病 態 に 深 く 関 与 して いることが 明 らかになってきた.とくに, 変 性 したニュー ロンに 認 められる TDP-43 陽 性 の 封 入 体 は 孤 発 性 を 含 め た 大 部 分 の 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 に 共 通 した 病 理 像 であり, TDP-43 は 発 症 および 病 態 の 鍵 をにぎっている.また, 原 因 遺 伝 子 がつぎつぎと 同 定 されるようになり,その 一 部 は 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 とよばれる 痴 呆 性 疾 患 と 同 一 の 疾 患 ス ペクトラムにあることも 判 明 してきた. 現 在, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 においては,RNA 結 合 タンパク 質 に 共 通 する 機 能 や 標 的 の 制 御 異 常 という 観 点 と,これらタンパク 質 を 中 心 とした 凝 集 体 の 形 成 による 毒 性 という 観 点 の 両 面 から 研 究 が 進 められている.ここでは, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 研 究 の 最 新 の 動 向 について,とくに,RNA 結 合 タンパク 質 や RNA 代 謝 にかかわるタンパク 質 に 焦 点 をあて 解 説 す る. はじめに 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 (amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は 運 動 ニューロンが 選 択 的 に 変 性 し 全 身 の 筋 力 が 低 下 していく 神 経 難 病 である. 中 年 期 よりのちに 発 症 するケ ースが 多 く,いったん 発 症 するとその 進 行 は 早 く, 多 くは 数 年 で 呼 吸 不 全 にいたる. 明 らかな 遺 伝 性 を 示 すケースは 全 体 の 1 割 ほどで, 多 くは 孤 発 性 である.1 年 間 の 新 規 の 発 症 者 は 人 口 10 万 人 あたり 約 1 人 で,わが 国 には 9000 人 弱 の 患 者 が 存 在 する. 依 然 として 根 治 療 法 はない.2006 年 までは, 遺 伝 性 の 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 原 因 として 同 定 された 遺 伝 子 は SOD1 遺 伝 子 や ALS2/Alsin 遺 伝 子 などか ぎられており,また, 大 部 分 をしめる 孤 発 性 の 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 発 症 機 構 において,これらの 原 因 遺 伝 子 がどこ までかかわっているのかという 議 論 もたえなかった.しか し,2006 年,TDP-43(TAR DNA-binding protein of 43 kda)とよばれる RNA 結 合 タンパク 質 が, 変 性 したニュ ーロンの 細 胞 質 の 封 入 体 においてユビキチン 化, 異 常 なリ ン 酸 化, 断 片 化 などの 修 飾 をうけ 蓄 積 していることが 発 見 され 1,2),これを 契 機 に, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 研 究 は 大 きく 進 展 した.とくに, 次 世 代 シークエンサーの 実 用 化 に ともない 少 数 の 試 料 からでも 変 異 遺 伝 子 を 同 定 できるよ うになったことや 全 エキソン 解 析 が 容 易 になったことに より, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 発 症 と 関 連 する 遺 伝 子 変 異 が つぎつぎと 報 告 されるようになった.2009 年 以 降, 毎 年 3~5 個 ほどの 新 規 の 遺 伝 子 変 異 が 同 定 されており, 全 体 では 20 をこえている 3).これらのなかには 構 造 的 に 類 似 性 の 高 い RNA 結 合 タンパク 質 をコードした 遺 伝 子 が 多 く 含 まれており,RNA 結 合 タンパク 質 を 介 したなんらかの 異 常 が 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 発 症 の 鍵 をにぎると 考 えら れるようになってきた. 1. 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 と TDP-43 TDP-43 が 変 性 したニューロンの 細 胞 質 の 封 入 体 に 蓄 積 しているという 発 見 は 1,2), 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 研 究 に 多 くのパラダイムシフトをもたらした. その 1 つ 目 は, 同 様 の 病 理 像 が 痴 呆 性 疾 患 の 一 種 である 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 (frontotemporal lobar degeneration: FTLD)の 一 部 にも 見 い 出 されたことである.さらに,こ の 発 見 からまもなく, 頻 度 はきわめてまれながら, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 および 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 の 一 部 において TDP-43 をコードする TARDBP 遺 伝 子 の 変 異 が 同 定 され た 4,5) ( 図 1).このため, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 と 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 の 一 部 はひとつの 疾 患 スペクトラムとしてとら えられるようになり,とくに,TDP-43 陽 性 の 封 入 体 をと 1
もなうケースは TDP-43 タンパク 質 症 (TDP-43 proteinopathy)とよばれるようになった.すなわち, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 患 者 には 進 行 とともに 痴 呆 を 呈 する ケースがあり,また 逆 に,はじめ 痴 呆 を 発 症 しのちに 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 症 状 を 呈 する 場 合 もあることから, 同 じ 原 因 遺 伝 子 をもっていても 症 状 の 発 症 や 進 行 にはばらつ きのあることもわかってきた.また,これまで 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 においては 細 胞 体 が 大 きい, 軸 索 が 長 いなど 形 態 的 な 特 異 性 を 念 頭 におき 運 動 ニューロンの 選 択 的 な 脆 弱 性 が 考 えられてきたが, 大 脳 皮 質 のニューロンにも 脆 弱 性 という 観 点 で 類 似 するニューロンがあることが 判 明 し,こ れらのニューロンに 共 通 した 分 子 特 性 を 考 慮 する 必 要 性 がでてきた. 2 番 目 は,SOD1 遺 伝 子 の 変 異 が 原 因 で 生 じる 遺 伝 性 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 など 一 部 を 除 き,TDP-43 陽 性 の 封 入 体 は 遺 伝 性 あるいは 孤 発 性 にかかわらずほとんどの 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 に 共 通 して 認 められる 病 理 像 であることが 見 い 出 された 点 である 1,2,6).これまで,その 大 部 分 をしめ る 孤 発 性 の 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 については 病 態 にせまる 手 がかりに 乏 しかったが,TDP-43 はほとんどの 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 に 共 通 する 発 症 に 関 与 する 鍵 タンパク 質 とし て 認 識 されるようになった. 3 つ 目 は, 本 来,TDP-43 は 約 9 割 が 核 に 局 在 している が, 変 性 したニューロンにおいてはほとんどすべてが 細 胞 質 の 封 入 体 に 蓄 積 し 核 から 消 失 しているという 病 理 所 見 が 得 られたことである 1,2).したがって, 変 性 したニュー ロンにおいては, 本 来, 核 ではたされている TDP-43 の 生 理 的 な 機 能 は 喪 失 しているはずである.このため, 封 入 体 を 構 成 する TDP-43 凝 集 体 が 毒 性 を 発 揮 し 細 胞 死 にいた るという 毒 性 の 獲 得 の 面 と,TDP-43 の 機 能 の 異 常 という 面 から 病 態 の 研 究 が 展 開 されるようになった. 2. TDP-43 の 機 能 と 病 態 次 世 代 シークエンサーを 駆 使 した 網 羅 的 な 解 析 によれ ば,TDP-43 は 6000 種 以 上 の RNA の 40,000 以 上 の 部 位 に 結 合 しているという 7,8).UG 配 列 の 豊 富 な 領 域 に 好 ん で 結 合 し, 結 合 部 位 の 大 部 分 はイントロンにある 7,8). TDP-43 はこれら 標 的 となる RNA のプロセシングをさま ざまなステップで 制 御 しており, 転 写,スプライシング, RNA 輸 送,RNA の 安 定 化 にくわえ,マイクロ RNA の 発 現 の 促 進 など,その 機 能 は 多 様 である 9-11) ( 図 2a). 野 生 型 のヒト TDP-43 を 過 剰 に 発 現 したトランスジェ ニックマウスは, 運 動 ニューロンの 変 性 により 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 様 の 症 状 を 呈 する.また, 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 にお いて 認 められるような 大 脳 皮 質 のニューロンの 変 性 も 認 められる 12).さらに,TDP-43 陽 性 の 封 入 体 が 形 成 され, 断 片 化 した TDP-43 の 蓄 積 も 認 められる. 同 様 に, 遺 伝 性 の 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 において 同 定 された 変 異 型 TDP-43 を 発 現 させたトランスジェニックマウスも, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 様 の 症 状 を 呈 する 13).これらの 所 見 は, 運 動 ニューロンなど 特 定 のニューロンは TDP-43 の 変 異 の 有 無 にかかわらず,とくに,TDP-43 の 過 剰 な 状 態 に 脆 弱 であることを 示 唆 している. TDP-43 を 介 した 細 胞 死 の 誘 導 の 機 構 については,さき に 述 べたように, 毒 性 の 獲 得 と 機 能 の 異 常 という 2 つの 考 え 方 がある.まず 前 者 については,TDP-43 は C 末 端 の 領 域 にプリオン 様 ドメインを 保 有 しており 凝 集 しやすい 性 質 のあることに 由 来 する 14,15) ( 図 1).とくに,その 断 片 化 により 産 生 される C 末 端 の 断 片 は 凝 集 の 効 率 が 高 いた め 封 入 体 に 蓄 積 しやすいと 考 えられる( 図 2b). 実 際 に, 培 養 細 胞 に C 末 端 の 断 片 だけを 発 現 させると 凝 集 体 を 形 成 し 細 胞 死 が 誘 導 される 16).また, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 において 同 定 されている TARDBP 遺 伝 子 の 変 異 のほとん どは C 末 端 の 領 域 に 集 中 しており, 変 異 が 導 入 されると さらに 安 定 化 し 凝 集 しやすくなることも 知 られている 17,18) ( 図 1).さらに,プリオン 病 のように,ある 細 胞 に おいて 凝 集 した TDP-43 がほかの 細 胞 にも 伝 搬 して 凝 集 を 促 進 する 可 能 性 も 示 唆 されている 15).したがって,ヒ ト TDP-43 を 過 剰 に 発 現 したトランスジェニックマウス のように TDP-43 が 凝 集 しやすい 状 況 となれば,つぎつぎ と 断 片 化 と 凝 集 体 の 形 成 による 毒 性 が 運 動 ニューロンに 拡 散 しうるので, 毒 性 獲 得 説 では 凝 集 体 の 形 成 にともなう 細 胞 死 の 誘 導 が 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 病 態 の 主 要 な 原 因 ではないかと 考 える( 図 2b). 一 方 で,TDP-43 が 核 から 細 胞 質 の 封 入 体 へと 移 行 する と, 本 来, 核 においてはたしている 機 能 は 喪 失 されること から,TDP-43 による RNA 制 御 の 異 常 が 細 胞 死 の 主 要 な 原 因 であるとする 考 え 方 もある( 図 2b). 実 際, 運 動 ニュ ーロンに 特 異 的 な TDP-43 のノックアウトマウスは 晩 発 性 に 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 様 の 症 状 を 呈 する 19).また, 図 1 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 または 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 において 報 告 されている TDP-43 の 変 異 変 異 の 位 置 を 赤 色 の 丸 で 示 した. RRM:RNA 結 合 モチーフ,GRD:グリシンリッチドメイン. 2
TDP-43 が 細 胞 質 の 封 入 体 に 移 行 するまえの 段 階 から RNA 制 御 に 異 常 をきたしていることを 示 唆 する 所 見 もあ ることから 10,20), 凝 集 体 の 形 成 は 細 胞 死 を 加 速 させるもの の, 初 期 的 なニューロンの 変 性 の 原 因 は TDP-43 の 機 能 の 異 常 にある 可 能 性 が 示 唆 されている.いずれにしても 現 状 では,なぜ 運 動 ニューロンなど 特 定 のニューロンが TDP-43 の 過 剰 な 状 態 に 脆 弱 であるのか,また, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 患 者 の 運 動 ニューロンにおいて TDP-43 の 代 謝 に 初 期 的 にどのような 異 常 が 生 じているのかは 解 決 されていない.かりに,TDP-43 の 機 能 の 異 常 が 初 期 的 な ニューロンの 変 性 の 原 因 であるなら, 特 異 的 な TDP-43 の 機 能 あるいはその 標 的 が 運 動 ニューロンに 存 在 すると 予 想 されることから,これらが 同 定 されれば 病 態 の 解 明 にむ け 大 きく 前 進 すると 考 えられる. 3. 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 と FET ファミリー 2009 年, 遺 伝 性 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 原 因 遺 伝 子 とし て FUS(fused in sarcoma) 遺 伝 子 が 同 定 された 21,22) ( 図 3).この 遺 伝 子 の 産 物 FUS は TDP-43 と 同 様 に RNA 結 合 タンパク 質 であること, 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 の 一 部 に FUS 遺 伝 子 の 変 異 が 同 定 されたことから, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 および 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 の 病 態 には 共 通 して RNA 結 合 タンパク 質 が 関 与 するのではないかと 考 えられるよ うになった.FUS は 核 により 多 く 局 在 するが,TDP-43 と 比 べると 細 胞 質 に 局 在 する 割 合 は 多 い.また,5500 種 以 上 の RNA の 44,000 以 上 の 部 位 に 結 合 することが 知 ら れており,スプライシングや mrna の 安 定 化 など RNA の 機 能 に 多 様 に 関 与 している 23-25).しかしながら,おお まかには TDP-43 とは 標 的 や 結 合 部 位 は 異 なっており, 共 通 する 標 的 はかぎられている 23,24). 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 に おいて 同 定 されている 変 異 は N 末 端 側 のプリオン 様 ドメ インと C 末 端 側 の 核 局 在 化 シグナルの 付 近 に 多 い 26) ( 図 3). 核 局 在 化 シグナルの 側 に 生 じた 変 異 は FUS の 局 在 を 核 から 細 胞 質 へと 変 えることもあり,これらの 変 異 をもつ 患 者 はより 早 期 に 発 症 する 傾 向 にある 27).また,TDP-43 と 同 様 に,プリオン 様 ドメインがあるため 凝 集 体 を 形 成 し やすく,FUS 遺 伝 子 の 変 異 をともなう 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 では 多 くのケースにおいて FUS 陽 性 の 封 入 体 が 認 めら れる 21,22). 一 方 で,FUS 陽 性 の 封 入 体 をもつケースでは TDP-43 の 異 常 をともなわないこと,FUS 遺 伝 子 に 変 異 を もたない 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 でも FUS 陽 性 の 封 入 体 の 認 め られるケースのあることから 28), 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 お よび 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 には TDP-43 に 依 存 しない FUS を 介 した 発 症 の 病 態 があると 考 えられている. 実 際, 野 生 型 のヒト FUS を 過 剰 に 発 現 するトランスジェニックマウス は 麻 痺 を 生 じ 生 後 3 カ 月 で 死 にいたる 29).また, 変 異 型 図 2 TDP-43 の 機 能 と TDP-43 を 介 した 細 胞 死 の 誘 導 の 機 構 (a)tdp-43 は, 転 写,スプライシング,RNA 輸 送,RNA の 安 定 化,マイクロ RNA の 発 現 ( 右 側 の 経 路 )の 促 進 など, 多 様 な 機 能 をもつ. (b)tdp-43 はおもに 核 に 局 在 しているが, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 および 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 では 核 から 消 失 し 細 胞 質 において 凝 集 する. このため,TDP-43 の 核 における 機 能 の 喪 失 と, 細 胞 質 における 凝 集 体 の 形 成 による 毒 性 により, 複 合 的 に 細 胞 死 がひき 起 こされると 考 えられている. TDP-43 のオレンジ 色 の 部 分 は,プリオン 様 ドメインを 示 す. 3
のヒト FUS の 発 現 を 生 後 から 誘 導 したラットでは 生 後 70 日 で 麻 痺 を 生 じ 死 にいたる 30).このように,TDP-43 と 同 様 に,モデル 動 物 においては 変 異 の 有 無 にかかわらず FUS の 過 剰 発 現 により 運 動 ニューロンに 症 状 を 呈 する. FUS は 構 造 的 に 近 い TAF15(TATA-binding protein associated factor 15 )と EWSR1 ( Ewing sarcoma breakpoint region 1)とともに FET ファミリーを 構 成 す る( 図 3).これらは 構 造 的 に 近 いだけでなく,さまざま ながんにおいて 染 色 体 転 座 の 生 じやすい 領 域 にあるとい う 点 もあわせもつ 26).このため,TAF15 遺 伝 子 および EWSR1 遺 伝 子 についても 変 異 解 析 が 進 められ, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 において 特 異 的 な 変 異 が 同 定 された 31,32) ( 図 3).また,FET ファミリーには 共 通 してプリオン 様 ドメ インが 存 在 するため 凝 集 しやすい 傾 向 にあり, 本 来 はおも に 核 に 局 在 している FET ファミリータンパク 質 は 変 性 し たニューロンにおいては 細 胞 質 に 移 行 している.このよう に,TDP-43 と FET ファミリーについては 病 理 像 におい ては 相 互 に 排 他 的 であるが, 構 造 や 生 理 的 な 機 能 において は 共 通 点 が 多 く, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 発 症 にいたる 経 路 はある 程 度 まで 類 似 しているのではないかと 予 想 される. これに 関 しても,TDP-43 と FET ファミリーとのあいだ には 共 通 した RNA 制 御 の 機 能 や 標 的 RNA があり,その 制 御 の 異 常 により 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 は 発 症 するのでは ないかという 考 え 方 と, 構 造 的 な 類 似 性 からともに 凝 集 し やすく,これにより 毒 性 を 獲 得 するのではないかという 考 え 方 がある. 4. 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 とリピート 配 列 の 異 常 な 伸 長 2010 年 から 2011 年 にかけて, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 病 態 を 考 えるうえで,さらなる 重 要 な 発 見 があいついだ.こ れまで, 遺 伝 性 脊 髄 小 脳 変 性 症 や 筋 緊 張 性 ジストロフィー などにおいては 特 定 のリピート 配 列 の 異 常 な 伸 長 が 原 因 であることが 知 られ,リピート 病 とよばれてきた.とくに, Huntington 病 などではタンパク 質 コード 領 域 に 生 じる CAG リピート 配 列 の 異 常 な 伸 長 がポリグルタミン 鎖 へと 翻 訳 されることから,ポリグルタミン 病 と 総 称 される. 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 はこういったリピート 配 列 の 伸 長 とは 無 縁 と 考 えられてきたが,2010 年,ポリグルタミン 病 の 一 種 である 遺 伝 性 脊 髄 小 脳 変 性 症 2 型 の 原 因 となる ATXN2 遺 伝 子 (Ataxin-2 をコードする)の CAG リピー ト 配 列 が, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 患 者 において 有 意 に 伸 長 していることが 報 告 された 33). 健 常 者 はこのリピートの 回 数 が 23 回 以 下 であるのに 対 し, 遺 伝 性 脊 髄 小 脳 変 性 症 2 型 の 患 者 では 34 回 以 上 に 伸 長 している. 一 方 で, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 患 者 ではこの 中 間 の 長 さ,27~33 回 の リピート 数 を 保 有 しているケースが 有 意 に 多 かった.その のち,Huntington 病 や 遺 伝 性 脊 髄 小 脳 変 性 症 1 型 などほ かのリピート 病 の 原 因 となる 遺 伝 子 のリピートの 回 数 と 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 発 症 との 相 関 も 解 析 されたが, 有 意 な 相 関 は ATXN2 遺 伝 子 のみで 認 められた 34).この 結 果 か ら,Ataxin-2 が 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 発 症 に 関 与 してい ると 考 えられるようになったが, 現 状 では,CAG リピー ト 配 列 の 中 等 度 の 伸 長 だけで 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 が 発 症 するかどうかは 不 明 であり, 発 症 を 高 める 危 険 因 子 として 認 識 されている.Ataxin-2 はポリ A 鎖 結 合 タンパク 質 で ある PABPC1 と 直 接 に 結 合 することからなんらかの RNA 代 謝 に 関 与 していると 考 えられており,また,TDP-43 と Ataxin-2 は RNA を 介 し 結 合 している 33,35).ショウジョウ バエの 眼 に TDP-43 を 過 剰 に 発 現 させると 神 経 変 性 が 生 じるが,ここにさらに Ataxin-2 を 過 剰 に 発 現 させると 神 経 変 性 は 加 速 することから,Ataxin-2 は TDP-43 を 介 し た 神 経 変 性 の 分 子 機 構 を 促 進 する 機 能 があると 推 測 され 図 3 FET ファミリーの 構 造 と 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 に 特 異 的 な 変 異 変 異 の 位 置 を 赤 色 の 丸 で 示 した. SYGQ:セリン-チロシン-グリシン-グルタミンリッチドメイン,GRD:グリシンリッチドメイン,RRM:RNA 結 合 モチーフ,RGG: アルギニン-グリシン-グリシンリピートリッチドメイン. 4
ている 33). 2011 年,C9orf72 遺 伝 子 のイントロンにおける GGGGCC リピート 配 列 の 異 常 な 伸 長 が 一 部 の 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 および 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 の 原 因 として 同 定 さ れた 36,37).この 遺 伝 子 変 異 は 欧 米 において 比 較 的 多 く, 遺 伝 性 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 30~40%, 孤 発 性 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 5~8%に 認 められたが,わが 国 ではきわめて 少 数 例 であったことから 強 い 創 始 者 効 果 が 想 定 された. 一 方, 日 本 の 紀 伊 半 島 には 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 多 発 する 地 域 のあることが 知 られているが,その 一 部 は C9orf72 遺 伝 子 の GGGGCC リピート 配 列 の 異 常 な 伸 長 をもつことが 確 認 された 38). 長 年 にわたり, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 多 発 する 理 由 についてはさまざまな 仮 説 が 提 唱 されてきた 経 緯 もあり,その 原 因 の 一 端 が 明 らかになった 意 義 は 大 き い. この 発 見 により, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 と 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 とが 同 じ 疾 患 スペクトラムにあることを 再 認 識 するこ とになっただけでなく, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 および 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 がほかのリピート 病 と 共 通 した 発 症 機 構 をも つ 可 能 性 も 考 えられるようになった.リピート 病 では 一 般 に,リピート 配 列 から 翻 訳 されたタンパク 質 が 毒 性 を 発 揮 する 場 合 と,リピート 配 列 を 含 む RNA そのものが 毒 性 を 発 揮 する 場 合 とが 知 られているが, 近 年 では,いずれのリ ピート 病 においてもその 両 者 が 複 合 的 に 関 与 していると 考 えられるようになってきている. 実 際 に, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 および 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 においては, 当 初,C9orf72 遺 伝 子 の GGGGCC リピート 配 列 はイントロンにあるこ とからこのリピート 配 列 を 含 む RNA が 毒 性 を 発 揮 すると 考 えられ,さまざまな RNA 結 合 タンパク 質 を 吸 着 して 形 成 される 細 胞 内 構 造 体 である RNA 凝 集 体 (RNA foci)の 観 察 されることが 報 告 された 36,37) ( 図 4).しかしそのの ち,リピート 配 列 に 関 連 し 開 始 コドンである ATG の 非 存 在 下 にて 開 始 する 特 殊 な 形 式 での 翻 訳 (repeat-associated non-atg-initiated translation,ran 翻 訳 ) 機 構 を 介 し て,C9orf72 遺 伝 子 の GGGGCC リピート 配 列 をもつ 領 域 からタンパク 質 が 発 現 していることが 発 見 された 39) ( 新 着 論 文 レビュー でも 掲 載 )( 図 4). C9orf72 遺 伝 子 の GGGGCC リピート 配 列 が 異 常 に 伸 長 している 患 者 の 脳 においては,TDP-43 陽 性 の 封 入 体 とともに TDP-43 陰 性 の 封 入 体 も 認 められるが,この TDP-43 陰 性 の 封 入 体 には GGGGCC リピート 配 列 から 翻 訳 されたタンパク 質 が 凝 集 していることも 明 らかになった 39). 今 後 は,C9orf72 遺 伝 子 の GGGGCC リピート 配 列 の 伸 長 がどのように TDP-43 の 機 能 や 局 在 に 影 響 するのか,その 分 子 機 構 が 明 らかになれば, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 全 般 に 共 通 する TDP-43 を 介 した 発 症 機 構 の 上 流 にせまることができる と 期 待 される. 5. 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 と 多 系 統 タンパク 質 症 最 近 になり, 頻 度 はきわめてまれではあるが 筋 萎 縮 性 側 図 4 C9orf72 遺 伝 子 の GGGGCC リピート 配 列 の 異 常 な 伸 長 と 細 胞 死 の 誘 導 の 機 構 RBD:RNA 結 合 タンパク 質. 5
図 5 hnrnpa1 および hnrnpa2 の 構 造 と 疾 患 に 特 異 的 な 変 異 変 異 の 位 置 を 赤 色 の 丸 で 示 した.hnRNPA1 における 変 異 は 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 および 多 系 統 タンパク 質 症,hnRNPA2 における 変 異 は 多 系 統 タンパク 質 症 において 見 い 出 されている. RRM:RNA 結 合 モチーフ,GRD:グリシンリッチドメイン,PLD:プリオン 様 ドメイン. 索 硬 化 症 において 新 たな RNA 結 合 タンパク 質 の 変 異 が 同 定 された 40) ( 図 5).もともと, 封 入 体 ミオパチーおよび 骨 Paget 病 に 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 や 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 合 併 する, 常 染 色 体 優 性 遺 伝 性 のまれな 疾 患 があった.こ の 疾 患 では 病 変 部 位 に TDP-43 陽 性 の 封 入 体 が 観 察 され, 近 年, 多 系 統 タンパク 質 症 (multisystem proteinopathy: MSP)とよばれるようになっている.その 原 因 遺 伝 子 の ひとつとして VCP(Valosin-containing protein) 遺 伝 子 が 同 定 されていたが 41),この VCP 遺 伝 子 の 変 異 はそのの ち, 非 複 合 型 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症, 前 頭 側 頭 葉 変 性 症, 封 入 体 ミオパチー, 骨 Paget 病 の 患 者 からも 同 定 された.さ らに 最 近, 多 系 統 タンパク 質 症 の 新 たな 遺 伝 子 変 異 が RNA 結 合 タンパク 質 をコードする hnrnpa2b1 遺 伝 子 お よび hnrnpa1 遺 伝 子 において 同 定 された 40) ( 図 5). ま た, 多 系 統 タンパク 質 症 だけでなく, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 においても hnrnpa1 遺 伝 子 の 変 異 が 同 定 されるにいた った 40).これらの 事 実 は, 同 じ 遺 伝 子 に 起 因 する 異 常 が, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 や 前 頭 側 頭 葉 変 性 症 など 神 経 変 性 疾 患 にとどまらず, 筋 や 骨 の 疾 患 の 病 態 にも 共 通 している 可 能 性 を 示 唆 しており, 疾 患 スペクトラムをさらに 広 げて 考 える 必 要 性 がでてきた.これらの 疾 患 においては, 本 来 は 核 に 局 在 し 一 部 は TDP-43 と 生 理 的 に 結 合 している hnrnpa1 や hnrnpa2b1 が 細 胞 質 の 封 入 体 に 蓄 積 して おり,この 病 理 像 は VCP 遺 伝 子 の 変 異 に 起 因 するケース でも 認 められる.hnRNPA1 および hnrnpa2b1 は TDP-43 や FET ファミリーと 同 じくプリオン 様 ドメイン をもっており,このプリオン 様 ドメインにおける 変 異 によ り 凝 集 しやすくなる( 図 5).また,FUS の 局 在 は 正 常 で ある 一 方,TDP-43 陽 性 の 封 入 体 も 観 察 されるが,この 封 入 体 における hnrnpa1 や hnrnpa2b1 との 共 局 在 は 一 部 にとどまる 40).このため,C9orf72 遺 伝 子 の GGGGCC リピート 配 列 のケースと 同 様 に,hnRNPA1 や hnrnpa2b1 における 変 異 がどのように TDP-43 の 機 能 や 局 在 に 影 響 するのか, 今 後,その 分 子 機 構 が 明 らかとな ることを 期 待 したい. おわりに これまで, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 においては 病 態 に 関 連 す るタンパク 質 がほとんど 未 知 であったことから, 仮 説 主 導 型 の 研 究 が 主 流 であった.しかし,TDP-43 の 発 見 ののち 多 くの 知 見 が 得 られるようになり, 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 と いう 疾 患 の 単 位 を 再 考 する 必 要 性 にせまられるほど,さま ざまな 疾 患 と 発 症 の 病 態 が 共 通 している 可 能 性 が 示 唆 さ れるようになってきた.また,TDP-43 を 中 心 として,そ れより 上 流 に 位 置 するタンパク 質 や 下 流 にある 機 構 もし だいに 解 明 されつつある. 今 回 は,これら 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 に 関 連 するすべての 遺 伝 子 やタンパク 質 はとりあげ なかったが, このなかには, ADAR2, Senataxin, Angiogenin など RNA 制 御 に 関 連 するタンパク 質 や, Ubiquilin-2,p62(SQSTM1)などユビキチン-プロテア ソーム 系 に 関 連 するタンパク 質 が 含 まれている.いずれに しても, 大 部 分 をしめる 孤 発 性 の 筋 萎 縮 性 側 索 硬 化 症 の 発 症 機 構 を 解 明 するには,TDP-43 の 代 謝 がどのような 分 子 機 構 により 破 綻 するのかを 解 明 することが 鍵 をにぎって いる. 近 い 将 来,これらの 問 題 が 解 決 され 治 療 法 および 予 防 法 が 確 立 できるよう, 筆 者 自 身 も 尽 力 したい. 文 献 1) Arai, T., Hasegawa, M., Akiyama, H. et al.: TDP-43 is a component of ubiquitin-positive tau-negative inclusions in frontotemporal lobar degeneration and amyotrophic lateral sclerosis. Biochem. Biophys. Res. Commun., 351, 602-611 (2006) 2) Neumann, M., Sampathu, D. M., Kwong, L. K. et al.: Ubiquitinated TDP-43 in frontotemporal lobar degeneration and amyotrophic lateral sclerosis. Science, 314, 130-133 (2006) 3) Robberecht, W. & Philips, T.: The changing scene of amyotrophic lateral sclerosis. Nat. Rev. Neurosci., 14, 6
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