の 火 山 活 動 解 説 資 料 福 岡 管 区 気 象 台 地 域 火 山 監 視 警 報 センター 鹿 児 島 地 方 気 象 台 < 噴 火 警 戒 レベル5( 避 難 )を3( 入 山 規 制 )に 引 下 げました> では 2015 年 6 月 19 日 のごく 小 規 模 な 噴 火 後 噴 火 は 発 生 していません 火 映 1) は 観 測 されておらず 新 岳 火 口 の 西 側 割 れ 目 付 近 の 熱 異 常 域 の 温 度 も 低 下 した 状 態 が 続 いています 新 岳 火 口 付 近 の 火 山 性 地 震 は 2014 年 8 月 の 噴 火 前 よりやや 少 なく また 火 山 性 微 動 は 観 測 されていません 地 殻 変 動 観 測 では 新 岳 火 口 を 挟 む GNSS 2) の 基 線 長 に 2016 年 1 月 頃 から 縮 みの 傾 向 がわずか に 認 められ 5 月 以 降 は 明 瞭 になり 2015 年 5 月 の 噴 火 前 から 続 いていた 島 の 膨 張 状 態 が 収 縮 に 転 じているとみられます また 火 山 ガス( 二 酸 化 硫 黄 )の 放 出 量 3) は 1 月 以 降 は1 日 あたり 50~200 トンで 2015 年 5 月 の 噴 火 前 後 より 大 幅 に 減 少 した 値 で 経 過 しています これらのことから 2015 年 5 月 29 日 と 同 程 度 の 噴 火 が 発 生 する 可 能 性 は 更 に 低 下 していると 判 断 し 本 日 (14 日 )18 時 00 分 に 火 口 周 辺 警 報 を 発 表 し 噴 火 警 戒 レベルを5( 避 難 )から3( 入 山 規 制 )に 引 下 げました なお 火 山 ガス( 二 酸 化 硫 黄 )の 放 出 量 は 2014 年 8 月 の 噴 火 前 よりもやや 多 い 状 態 で 経 過 し ていることから 引 き 続 き 居 住 地 域 の 近 くまで 影 響 を 及 ぼす 噴 火 の 可 能 性 があります 防 災 上 の 警 戒 事 項 等 4) 新 岳 火 口 から 概 ね2km の 範 囲 では 噴 火 に 伴 う 弾 道 を 描 いて 飛 散 する 大 きな 噴 石 及 び 火 砕 流 に 警 戒 してください 向 江 浜 地 区 から 新 岳 の 南 西 にかけての 火 口 から 海 岸 までの 範 囲 では 火 砕 流 に 警 戒 してください 風 下 側 では 火 山 灰 だけでなく 小 さな 噴 石 が 風 に 流 されて 降 るおそれがあるため 注 意 してくださ い 降 雨 時 には 土 石 流 の 可 能 性 があるため 注 意 してください 活 動 概 況 噴 煙 など 表 面 現 象 の 状 況 ( 図 2 図 3 図 4-15) では 2015 年 6 月 19 日 のごく 小 規 模 な 噴 火 後 噴 火 は 発 生 していません 遠 望 カメラによる 観 測 では 2015 年 12 月 以 降 白 色 の 噴 煙 が 概 ね 火 口 縁 上 100~200m 程 度 で 経 過 し 最 高 で 火 口 縁 上 500mまで 上 がりました 火 映 は 2015 年 5 月 29 日 の 噴 火 以 降 観 測 さ れていません この 火 山 活 動 解 説 資 料 は 福 岡 管 区 気 象 台 ホームページ(http://www.jma-net.go.jp/fukuoka/)や 気 象 庁 ホームページ(http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/volcano.html)でも 閲 覧 することがで きます この 資 料 は 気 象 庁 のほか 国 土 地 理 院 京 都 大 学 東 京 大 学 国 立 研 究 開 発 法 人 防 災 科 学 技 術 研 究 所 国 立 研 究 開 発 法 人 産 業 技 術 総 合 研 究 所 および 屋 久 島 町 のデータも 利 用 して 作 成 しています 資 料 中 の 地 図 の 作 成 に 当 たっては 国 土 地 理 院 長 の 承 認 を 得 て 同 院 発 行 の 基 盤 地 図 情 報 基 盤 地 図 情 報 ( 数 値 標 高 モデル) 数 値 地 図 50mメッシュ( 標 高 ) を 使 用 しています( 承 認 番 号 : 平 26 情 使 第 578 号 ) - 1 -
現 地 調 査 では 火 口 周 辺 の 地 形 や 噴 気 等 の 状 況 に 変 化 は 見 られませんでした また 赤 外 熱 映 像 装 置 5) による 観 測 では 2015 年 3 月 頃 から5 月 29 日 の 噴 火 前 に 温 度 上 昇 が 認 められていた 新 岳 火 口 西 側 割 れ 目 付 近 の 熱 異 常 域 の 温 度 は 引 き 続 き 低 下 した 状 態 です 地 震 や 微 動 の 発 生 状 況 ( 図 4-2367) 火 山 性 地 震 は 2014 年 8 月 の 噴 火 前 よりやや 少 なく 2015 年 10 月 以 降 は 月 回 数 6~15 回 で 経 過 しています 火 山 性 微 動 は 2015 年 7 月 以 降 観 測 されていません 地 殻 変 動 の 状 況 ( 図 5 図 6) GNSS 連 続 観 測 では 2014 年 8 月 3 日 の 噴 火 により 火 口 付 近 の 観 測 点 が 障 害 となっているため 火 口 付 近 の 状 況 は 不 明 ですが 火 口 を 挟 む 山 麓 の 基 線 長 に 2016 年 1 月 頃 から 縮 みの 傾 向 が 認 められ 5 月 以 降 は 明 瞭 になっています このことは 2015 年 5 月 の 噴 火 前 から 続 いていた 島 の 膨 張 状 態 が 収 縮 に 転 じていることを 示 していると 考 えられます 火 山 ガスの 状 況 ( 図 4-48) 火 山 ガス( 二 酸 化 硫 黄 )の 放 出 量 は 1 月 以 降 は1 日 あたり 50~200 トンで 2015 年 5 月 の 噴 火 前 後 よりも 減 少 していますが 2014 年 8 月 の 噴 火 前 よりはやや 多 い 状 態 で 経 過 しています 1) 赤 熱 した 溶 岩 や 高 温 の 火 山 ガス 等 が 噴 煙 や 雲 に 映 って 明 るく 見 える 現 象 です 2)GNSS(Global Navigation Satellite Systems)とは GPSをはじめとする 衛 星 測 位 システム 全 般 を 示 す 呼 称 です 3) 火 口 から 放 出 される 火 山 ガスには マグマに 溶 けていた 水 蒸 気 や 二 酸 化 硫 黄 硫 化 水 素 など 様 々な 成 分 が 含 まれており これらのうち 二 酸 化 硫 黄 はマグマが 浅 部 へ 上 昇 するとその 放 出 量 が 増 加 します 気 象 庁 では 二 酸 化 硫 黄 の 放 出 量 を 観 測 し 火 山 活 動 の 評 価 に 活 用 しています 4) 火 砕 流 とは 火 山 灰 や 岩 塊 空 気 や 水 蒸 気 が 一 体 となって 急 速 に 山 体 を 流 下 する 現 象 です 火 砕 流 の 速 度 は 時 速 数 十 kmから 数 百 km 温 度 は 数 百 にも 達 することがあります 5) 赤 外 熱 映 像 装 置 は 物 体 が 放 射 する 赤 外 線 を 感 知 して 温 度 分 布 を 測 定 する 測 器 です 熱 源 から 離 れた 場 所 か ら 測 定 することができる 利 点 がありますが 測 定 距 離 や 大 気 等 の 影 響 で 実 際 の 熱 源 の 温 度 よりも 低 く 測 定 される 場 合 があります - 2 -
向 江 浜 地 区 七 釜 集 落 跡 付 近 図 1 噴 火 に 伴 う 弾 道 を 描 いて 飛 散 する 大 きな 噴 石 及 び 火 砕 流 に 警 戒 が 必 要 な 範 囲 図 2 噴 煙 の 状 況 (6 月 10 日 本 村 西 遠 望 カメラによる) - 3 -
2016 年 6 月 3 日 2016 年 6 月 3 日 05 時 53 分 2016 年 3 月 23 日 2016 年 3 月 23 日 08 時 39 分 本 村 から 撮 影 した 可 視 画 像 と 地 表 面 温 度 分 布 ( 上 図 :2016 年 6 月 3 日 下 図 :2016 年 3 月 23 日 ) 撮 影 位 置 と 方 向 B C A 2015 年 4 月 23 日 14 時 50 分 温 度 ( ) :A 領 域 の 最 高 温 度 :B 領 域 の 最 高 温 度 :C 領 域 の 最 高 温 度 : 熱 異 常 域 のない 領 域 の 平 均 2015 年 5 月 29 日 の 噴 火 図 3 新 岳 西 斜 面 の 地 表 面 温 度 分 布 と 熱 異 常 域 の 温 度 時 系 列 (2014 年 8 月 12 日 ~2016 年 6 月 10 日 : 本 村 から 新 岳 の 北 西 側 を 撮 影 ) 2015 年 3 月 頃 から5 月 29 日 の 噴 火 前 に 温 度 上 昇 が 認 められていた 新 岳 火 口 西 側 割 れ 目 付 近 の 熱 異 常 域 の 温 度 は 引 き 続 き 低 下 した 状 態 で 経 過 しています - 4 -
注 1 注 2 75 回 289 回 注 3 1,000~4,200 図 4 火 山 活 動 経 過 図 (2002 年 1 月 ~2016 年 6 月 13 日 ) 遠 望 カメラによる 観 測 では 2015 年 12 月 以 降 白 色 の 噴 煙 が 概 ね 火 口 縁 上 100~200m 程 度 で 経 過 し 最 高 で 火 口 縁 上 500mまで 上 がりました 火 山 性 地 震 は 2014 年 8 月 の 噴 火 前 よりやや 少 なく 2015 年 10 月 以 降 は 月 回 数 6~15 回 で 経 過 しています 火 山 性 微 動 は 2015 年 7 月 以 降 観 測 されていません 火 山 ガス( 二 酸 化 硫 黄 )の 放 出 量 は 1 月 以 降 は1 日 あたり 50~200 トンで 2015 年 5 月 の 噴 火 前 後 よりも 減 少 していますが 2014 年 8 月 の 噴 火 前 よりはやや 多 い 状 態 で 経 過 しています 注 1 2014 年 8 月 3 日 の 噴 火 により 火 口 周 辺 の 観 測 点 が 障 害 となったため 噴 火 以 降 は 新 岳 火 口 から 約 2.3km にある 新 岳 北 東 山 麓 観 測 点 の 上 下 動 1μm/s 以 上 で 計 数 しており 検 知 力 が 低 下 しています 注 2 2015 年 5 月 1 日 から 計 数 基 準 を 新 岳 北 東 山 麓 観 測 点 上 下 動 1μm/s 以 上 または 新 岳 西 山 麓 観 測 点 上 下 動 3μm/s に 変 更 しています 2015 年 5 月 29 日 の 噴 火 及 びその 後 の 停 電 や 通 信 障 害 の 間 は 永 迫 観 測 点 も 使 用 して 計 数 しています 注 3 2016 年 6 月 1 日 からは 野 池 山 3 観 測 点 上 下 動 8μm/s 以 上 または 新 岳 西 山 麓 観 測 点 上 下 動 3μ m/s 以 上 で 計 数 しています - 5 -
2011 年 10 月 23 日 解 析 開 始 2011 年 10 月 23 日 解 析 開 始 2013 年 1 月 1 日 解 析 開 始 図 5 GNSS 連 続 観 測 による 基 線 長 変 化 (2010 年 10 月 ~2016 年 6 月 13 日 ) GNSS 連 続 観 測 では 2014 年 8 月 3 日 の 噴 火 により 火 口 付 近 の 観 測 点 が 障 害 となっている ため 火 口 付 近 の 状 況 は 不 明 ですが 火 口 を 挟 む 山 麓 の 基 線 長 に 2016 年 1 月 頃 から 縮 みの 傾 向 ( 赤 矢 印 )が 認 められ 5 月 以 降 は 明 瞭 になっています これらの 基 線 は 図 6の1~5 11に 対 応 しています 灰 色 部 分 は 観 測 点 障 害 のため 欠 測 を 表 しています ( 国 ): 国 土 地 理 院 - 6 -
図 6 GNSS 連 続 観 測 点 と 基 線 番 号 小 さな 白 丸 ( )は 気 象 庁 小 さな 黒 丸 ( )は 気 象 庁 以 外 の 機 関 の 観 測 点 位 置 を 示 しています ( 国 ): 国 土 地 理 院 ( 防 ): 防 災 科 学 技 術 研 究 所 ( 産 ): 産 業 技 術 総 合 研 究 所 図 中 の 赤 印 は 噴 火 や 停 電 等 により 障 害 となった 観 測 点 を 示 しています(6 月 14 日 現 在 ) 図 7 観 測 点 配 置 図 小 さな 白 丸 ( )は 気 象 庁 小 さな 黒 丸 ( )は 気 象 庁 以 外 の 機 関 の 観 測 点 位 置 を 示 しています ( 国 ): 国 土 地 理 院 ( 京 ): 京 都 大 学 ( 防 ) 防 災 科 学 技 術 研 究 所 ( 産 ): 産 業 技 術 総 合 研 究 所 図 中 の 赤 印 及 び 灰 色 の 観 測 点 名 は 噴 火 や 停 電 等 により 障 害 となった 観 測 点 を 示 しています(6 月 14 日 現 在 ) - 7 -