私 の 政 策 提 言 ~ふるさと 館 林 から 考 える~ 群 馬 県 立 太 田 女 子 高 校 1 年 松 本 良 子
目 次 1. はじめに 2. 現 状 について 3.ヒートアイランド 現 象 について 4.わたしが 必 要 と 考 える 対 策 (1)アスファルト 面 の 対 策 (2)エアコン 室 外 機 対 策 (3) 自 然 環 境 都 市 計 画 の 見 直 し 5.おわりに
1. はじめに わたしは 群 馬 県 の 東 南 部 に 位 置 する 館 林 市 に 住 んでいる 南 北 を 渡 良 瀬 川 利 根 川 の 二 大 河 川 に 挟 まれ 城 沼 多 々 良 沼 などの 湿 地 帯 やつつじヶ 丘 公 園 野 鳥 の 森 などがあり 田 畑 も 存 在 し 緑 豊 かな 町 である 近 年 この 館 林 は 多 くのメディアに 取 り 上 げられるように なった 全 国 最 高 気 温 の 常 連 となっているからである 隣 接 する 埼 玉 県 熊 谷 市 とともに 連 日 の 猛 暑 日 を 記 録 している わたしは 生 まれ 育 った 故 郷 館 林 から 身 近 な 環 境 について 考 えてみたいと 思 う 2. 現 状 について 館 林 の 気 温 上 昇 の 原 因 のひとつはいわゆるヒートアイランド 現 象 にある ヒートアイラ ンド 現 象 とは 都 市 の 中 心 部 の 気 温 が 郊 外 に 比 べて 島 状 に 高 くなる 現 象 である ヒートア イランド 現 象 は 年 間 を 通 じて 生 じているが 特 に 夏 季 の 気 温 上 昇 が 都 市 生 活 の 快 適 性 を 低 下 させるとして 問 題 となっている 東 京 周 辺 30 以 上 となる 時 間 数 は 1980 年 代 前 半 には 年 間 200 時 間 程 度 であったが 最 近 では 20 年 前 の 約 2 倍 になり その 範 囲 も 郊 外 へ 広 がっ ている 東 京 など 首 都 圏 で 温 められた 空 気 が 南 風 にのって 館 林 地 域 にもたらされている そして 二 つ 目 は 赤 城 山 から 来 る 偏 西 風 が 館 林 地 域 に 来 る 時 に フェーン 現 象 を 起 こ しているといわれている フェーン 現 象 とは 湿 った 空 気 が 上 昇 して 山 を 越 えるときに 水 分 を 失 い 高 温 の 乾 いた 空 気 が 山 から 吹 き 降 りることで 生 じるものである
館 林 市 では2001 年 から 市 民 一 斉 気 温 測 定 を 行 い 市 内 の 気 温 分 布 を 調 査 しているが 森 林 や 水 辺 のある 郊 外 では 市 街 地 より5 度 程 度 低 く 高 温 は 市 街 地 で 発 生 することがわかっ た 狭 い 館 林 市 内 でもヒートアイランド 現 象 はおこっていた 3.ヒートアイランド 現 象 について ヒートアイランド 現 象 の 主 な 原 因 は 人 工 排 熱 の 増 加 ( 建 物 や 工 場 自 動 車 などの 排 熱 ) 地 表 面 被 覆 の 人 工 化 ( 緑 地 の 減 少 とアスファルトやコンクリート 面 などの 拡 大 ) 都 市 形 態 の 高 密 度 化 ( 密 集 した 建 物 による 風 通 しの 阻 害 や 天 空 率 の 低 下 )の3つが 挙 げられる それに 対 して 現 在 館 林 市 では 様 々な 計 画 はあるが 実 際 行 われている 暑 さ 対 策 としては 熱 中 症 予 防 啓 発 ミスト 機 の 設 置 配 付 緑 のカーテン 推 進 可 搬 式 樹 木 の 貸 し 出 し 商 工 会 による 打 ち 水 大 作 戦 などがあげられる 4.わたしが 必 要 と 考 える 対 策 (1)アスファルト 面 の 対 策 わたしが 生 活 の 中 でまず 感 じていることは アスファルト 面 の 高 温 化 である わたしの 生 活 の 移 動 手 段 のおおくは 自 転 車 を 利 用 している 道 路 の 照 り 返 し 路 面 の 高 温 化 は 徒 歩 や 自 転 車 を 利 用 していると 身 近 に 感 じられる 歩 道 は 木 質 系 舗 装 材 や 浸 水 機 能 の 舗 装 普 及 などを 推 進 することはできないのだろうか 夏 期 ではアスファルトの 表 面 温 度 は60 近 く に 達 する 館 林 市 では 打 ち 水 活 動 を 市 民 に 呼 びかけている わたしも 休 日 などには 打 ち 水 を 行 っている 打 ち 水 の 作 法 はお 風 呂 の 残 り 湯 や 雨 水 を 利 用 するそうだが その 程 度 の 水 量 では 高 温 に 暖 まったアスファルトはあっという 間 に 乾 いてしまう 最 近 ではゲリ ラ 豪 雨 のような 雨 もみられる しかし そのような 夕 立 のあとでも 体 感 気 温 は 下 がらな いのが 現 状 である 館 林 市 役 所 の 周 辺 の 道 路 には 高 木 の 植 樹 がなされ 新 緑 の 季 節 には 青 々 とした 美 しい 景 色 がみられる 加 えて 夏 の 暑 いときには 路 面 に 日 陰 を 作 ってくれている このような 計 画 は 身 近 に 感 じられるうれしい 対 策 である 大 型 ショッピングセンターの 駐
車 場 なども 運 用 されていけば 良 いと 思 う 館 林 市 内 にあるショッピングセンターの 駐 車 場 には 桜 の 木 がそばにある 沼 沿 いに 植 えられている 夏 の 暑 いときは 木 陰 の 駐 車 スペースか ら 利 用 されている 駐 車 場 の 植 樹 を 企 業 に 検 討 していただければうれしいと 思 う 植 樹 だ けでなく さらに 緑 化 ブロックなどを 利 用 しての 駐 車 場 緑 化 も 有 効 ではないか 群 馬 県 は 自 動 車 普 及 率 が 上 位 の 県 である 航 空 写 真 で 地 域 を 観 察 しても 駐 車 場 が 多 く 存 在 する 駐 車 場 の 緑 化 は 意 味 のあるものと 考 えられる 病 院 にかかったときなども 帰 りの 車 内 は 高 温 となり ハンドルが 握 れないくらい 熱 くなっている 公 共 施 設 学 校 病 院 企 業 の 駐 車 場 などのアスファルト 面 が 変 わってくれれば 良 いとおもう また 屋 上 緑 地 化 計 画 の 普 及 はどうであろうか コケによる 屋 上 緑 化 を 学 校 や 工 場 などに 推 進 できないだろうか 館 林 市 では 緑 のカーテン 活 動 を 推 進 している 市 民 に 窓 辺 をニガウリやアサガオ ゴ ーヤやヘチマといったつる 性 の 植 物 で 被 う 緑 のカーテン 事 業 を 実 施 している 緑 のカ ーテンコンテストが 行 われ 市 民 に 浸 透 してきている わたしの 父 は 職 場 で 緑 のカーテンを 育 てている 琉 球 アサガオの 勢 いはすばらしく 建 物 の 壁 面 を 覆 い 遮 熱 効 果 が 期 待 できる 館 林 市 では 屋 上 緑 化 計 画 の 実 証 実 験 も 行 われている これらの 結 果 が 広 く 反 映 されるよう 期 待 したいと 思 う (2)エアコン 室 外 機 対 策 次 に 感 じるのはエアコンの 室 外 機 の 熱 風 である 建 物 の 横 を 自 転 車 で 通 過 するときに このエアコンの 熱 風 は 不 快 感 をおぼえる ヒートアイランド 現 象 の 一 つである 排 熱 これ は 高 校 生 のわたしの 考 えでは 及 ばない 難 題 である しかし この 不 快 感 は 多 くの 人 が 感 じ ていることではないだろうか 日 本 の 技 術 力 は 世 界 をリードするものであり その 技 術 開 発 により 排 熱 を 下 水 や 地 中 に 流 すことが 可 能 になるような 政 策 がなされてほしい ハイブ リッド 車 や 電 気 自 動 車 が 私 たちの 生 活 に 普 及 し 始 めている これは 二 酸 化 炭 素 排 出 量 の 軽 減 に 国 や 企 業 が 力 を 注 いだ 成 果 である 近 年 のこの 技 術 発 展 が エアコンの 室 外 機 の 不 快 な 熱 風 をぜひ 改 善 してほしいと 思 う すでにヒートポンプエアコンなど 熱 を 地 中 に 排 出 す る 商 品 などもあるようだが まだまだ 認 知 度 が 低 いようであり 価 格 も 一 般 家 庭 には 手 が 届 きにくいように 思 える しかし 一 部 の 学 校 や 温 泉 施 設 庁 舎 などでこの 方 式 が 採 用 さ れ 始 めている 群 馬 は 温 泉 大 国 であり 館 林 は 地 下 水 が 豊 富 である このような 事 業 に 光 が 当 てられ もっとわたしたちの 生 活 に 身 近 に 普 及 されていってほしいと 思 う
(3) 自 然 環 境 都 市 計 画 の 見 直 し そして 水 と 緑 の 街 館 林 に 流 れる 河 川 にも 注 目 したい 街 の 緑 化 自 然 環 境 の 改 善 はヒー トアイランド 現 象 の 改 善 におおきな 役 割 をはたす 市 内 を 流 れる 鶴 生 田 川 はアオコが 発 生 し 悪 臭 を 放 っていたが さまざまな 浄 化 事 業 に 取 り 組 まれた 結 果 平 成 元 年 ころには 最 大 30mg/L 近 かったBOD( 生 物 学 的 酸 素 要 求 量 )が 現 在 では5~10mg/L 程 度 となり 大 幅 に 改 善 されてきている 特 にコンクリートで 囲 われていた 岸 辺 が 多 自 然 型 川 づくり 工 法 により 自 然 に 近 くなり 景 観 も 豊 かになった 生 き 物 が 生 活 しやすい 環 境 は わたしたちが 生 活 し やすい 環 境 にも 繋 がると 思 う いま 様 々な 河 川 が フタ をされてしまったり 四 角 い 箱 で 両 岸 をおおわれてしまっている これらが 少 しずつでも 本 来 の 川 の 姿 を 取 り 戻 してほし い スイス ドイツ オーストリアでは 国 境 をこえて 自 然 型 の 川 づくりが 行 われている 都 市 空 間 での 生 態 系 復 元 は 環 境 改 善 だけでなく 人 々に 潤 いや 安 らぎを 与 えている 河 川 の 多 い 館 林 や 群 馬 が 水 辺 づくりの 演 出 をリードしていくべきではないだろうか そして これからの 都 市 計 画 において 地 形 等 を 研 究 し ふるくからある 公 園 や 緑 地 を 利 用 した 熱 環 境 に 配 慮 した 街 づくりがなされてほしいと 思 う 5. おわりに わたしたちは 経 済 や 利 便 性 を 求 め 環 境 問 題 を 後 回 しにしてしまった かつての 公 害 問 題 を 筆 頭 に 産 業 の 発 展 のために 健 康 被 害 がおよぶことがみられた 政 治 努 力 企 業 努 力 に より 公 害 問 題 はなくなってきたが 新 たな 問 題 が 生 じている これが 地 球 温 暖 化 であり いま 生 活 に 身 近 に 感 じているヒートアイランド 現 象 である わたしの 住 む 館 林 では 連 日 の 40 近 い 日 々に 悩 まされている これは 市 民 の 個 々の 努 力 を 超 えた 現 実 であり 健 康 被 害 に 値 する この 現 実 をふるさと 館 林 から 発 信 したい 古 くからくらしの 知 恵 としておこな ってきた 生 活 の 工 夫 では 対 処 できなくなっている そのことを 館 林 から 群 馬 から 発 信 し 環 境 を 変 えていくことができないだろうか いま 館 林 市 では 電 線 類 地 中 化 事 業 が 行 われ ている 電 線 でジグソーパズルのように 区 切 られていた 空 が 広 々とし 青 空 を 取 り 戻 した ような 気 分 である 水 と 緑 豊 かな 館 林 が 住 みやすい 環 境 を 取 り 戻 すには 市 民 一 人 ひと りの 協 力 もさることながら 政 治 力 や 企 業 の 力 が 必 要 である 二 年 半 前 の 東 日 本 大 震 災 の あと 日 本 や 世 界 がひとつになった そんな 力 が こんどは 私 たちの 生 きる 地 球 環 境 の 改
善 に 結 集 することはできないだろうか 水 を 緑 と 青 空 を 取 り 戻 し 美 しい 日 本 の 未 来 像 を 描 きたいと 思 う 参 考 文 献 ヒートアイランド 現 象 とは 環 境 省 www.env.go.jp/air/life/heat_island/guideline 館 林 市 公 式 ホームページ www.city.tatebayashi.gunma.jp/ 館 林 市 役 所 クールルーフ 実 証 実 験 結 果 www.city.tatebayashi.gunma.jp/kankyo/cool_roof ウッドチップ 舗 装 協 会 whitehill.web.fc2.com 駐 車 場 緑 化 ガイド 東 京 都 環 境 局 www.kankyo.metro.tokyo.jp 地 下 熱 利 用 www.meti.go.jp/committee/kenkyukai コロナ www.corona.co.jp/geosisaircon 近 畿 経 済 産 業 国 www.kansai.meti.go.jp 近 自 然 河 川 工 法 とは kinshizen.sakura.ne.jp