スライド 1 エピペンについて 平 成 26 年 6 月 作 成 滋 賀 県 小 児 アレルギー 疾 患 対 策 推 進 事 業 食 物 アレルギーを 持 っているお 子 さんの 中 には その 食 品 を 誤 って 口 にしてしまった ときに アナフィラキシー と 呼 ばれる 非 常 に 激 しい 反 応 を 経 験 したことがある 方 もい らっしゃると 思 います そんな 方 の 中 には 医 療 機 関 で エピペン を 持 っておいたほうがよい と 勧 められ たことがある 方 もいらっしゃるでしょうし メディアなどでも 耳 にする 機 会 があると 思 い ます そこで いつも 日 常 の 診 療 の 中 でご 説 明 させていただいているエピペンについての 説 明 をさせていただきたいと 思 います
スライド 2 エピペンとは ハチ 毒 食 物 及 び 薬 物 等 によるアナフィラキ シーの 症 状 を 緩 和 するために 自 己 注 射 する 補 助 治 療 剤 アナフィラキシー 発 現 時 の 治 療 に 用 いられる アドレナリン(エピネフリン)の 薬 液 と 注 射 針 が 内 蔵 されている
スライド 3 エピペンとは 0.15mg ( 体 重 15~30kgが 目 安 ) 0.3mg ( 体 重 30kg 以 上 が 目 安 ) オレンジ 色 の 先 端 を 太 ももの 前 外 側 に 強 く 押 し 付 けるだけで バネの 力 により 一 定 量 ( 約 0.15mg/0.3mg)の 薬 液 が 筋 肉 内 に 注 射 されるしくみになっている 自 分 で 量 を 計 る 必 要 はな い こんな 形 態 をしています その 名 の 通 り ペンのような 形 をしています 緑 色 のペンは0.15mg( 濃 度 が1mg/mlなので0.15mlとなる)で 体 重 15kgから30kgの 人 用 黄 色 のペンは0.3mg(0.3ml)で 体 重 30kg 以 上 の 人 用 です
スライド 4 どんな 人 が 持 つのか 過 去 に 食 物 により 重 篤 なアナフィラキシー 反 応 を 起 こしたことがある 医 師 により 重 篤 なアナフィラキシー 反 応 が 起 きる 可 能 性 が 高 いと 判 断 された アナフィラキシー 症 状 が 起 きても 直 ちに 医 療 機 関 で 治 療 を 受 けられない 状 況 下 にいる 血 液 検 査 などの 結 果 やいままでのお 話 を 聞 いて 医 師 が 重 篤 なアナフィラキシー 反 応 が 起 きる 可 能 性 が 高 い と 判 断 した 場 合 僻 地 や 山 の 中 など アナフィラキシー 症 状 が 起 きても 直 ちに 医 療 機 関 で 治 療 を 受 けら れない 状 況 下 にいる 場 合 など 大 人 の 場 合 林 業 に 従 事 している 人 や 養 蜂 業 (ハチ)に 従 事 している 人 が 携 帯 するこ とがあります
スライド 5 どんなときに 使 うか 皮 膚 粘 膜 症 状 が 拡 大 傾 向 にあるとき 皮 膚 粘 膜 症 状 以 外 に 咳 嗽 声 が 出 にくい 呼 吸 困 難 喘 鳴 などの 症 状 が 出 現 したとき ショック 症 状 が 発 現 する 前 に 速 やかに 使 用 す ることが 重 要 どんなときに 使 うのか ここが 実 際 に お 母 さん 方 が 迷 われるところです 大 まかに 言 うと こんなときです 1) 皮 膚 粘 膜 症 状 が 拡 大 傾 向 にあるとき 2) 皮 膚 粘 膜 症 状 以 外 に 咳 嗽 声 が 出 にくい 呼 吸 困 難 喘 鳴 などの 症 状 が 出 現 し たとき ショック 症 状 といって 血 圧 が 低 下 して 意 識 がなくなったりするような 重 篤 な 状 態 に 至 る 前 に 速 やかに 使 用 することが 大 切 です
スライド 6 食 物 アレルギー 診 療 ガイドライン2012より 引 用 グレードIII 以 上 でエピペン 使 用 を 考 慮 グレードIV 以 上 で 速 やかに 使 用 すべき アナフィラキシーってどんな 症 状 があるのか 臓 器 別 に 重 症 度 を 表 にしたものを 紹 介 し ます 重 症 度 は 最 も 影 響 を 受 けた 器 官 をもとに 評 価 します たとえば 呼 吸 器 が 重 症 度 3で 消 化 器 が 重 症 度 1の 場 合 重 症 度 は3になります 使 う 目 安 はグレード3 以 上 ですが 過 去 に 重 篤 なアナフィラキシー 歴 があり かつ 誤 食 したことが 明 らかで グレード2の 症 状 が 出 てきてほっとくと3 以 上 になることが 充 分 に 予 測 される 場 合 は その 段 階 で 使 う 場 合 もあります
スライド 7 2013 年 7 月 24 日 日 本 小 児 アレルギー 学 会 アナフィラキシーワーキンググループ 作 成 H25 年 7 月 には 日 本 小 児 アレルギー 学 会 のアナフィラキシーワーキンググループにお いて 一 般 向 けエピペン の 適 応 が 発 表 されました 一 つの 症 状 だけでエピペンの 適 応 を 示 すことはとても 難 しいですが 各 国 の 状 況 を 調 査 した 上 で 一 般 の 方 にも 分 かりやすい 症 状 の 記 載 適 応 判 断 としました 同 学 会 としてエピペン の 適 応 の 患 者 さん 保 護 者 の 方 への 説 明 今 後 作 成 される 保 育 所 ( 園 ) 幼 稚 園 学 校 などのアレルギー アナフィラキシー 対 応 のガイドライン マ ニュアルはすべてこれに 準 拠 していくことを 基 本 とします
スライド 8 エピペンの 効 果 エピペンの 中 に 入 っているアドレナリンは もともと 人 の 副 腎 から 分 泌 されるホルモン 効 果 気 管 支 を 広 げ 呼 吸 状 態 を 改 善 心 臓 の 機 能 を 増 強 し 血 圧 を 上 昇 させ ショック 状 態 を 改 善 アナフィラキシーの 反 応 で 狭 くなっている 空 気 の 通 り 道 を 広 げて 呼 吸 状 態 を 改 善 した り 心 臓 の 機 能 を 高 めて 血 圧 を 上 昇 させてショック 状 態 を 改 善 したりします
スライド 9 エピペンの 副 作 用 副 作 用 効 果 の 裏 返 し 血 圧 上 昇 や 心 拍 数 増 加 に 伴 う 症 状 ( 動 悸 頭 痛 振 せん 高 血 圧 ) 動 脈 硬 化 や 高 血 圧 が 進 行 している 高 齢 者 などでは 脳 血 管 障 害 や 心 筋 梗 塞 などの 副 作 用 も 起 こりえる が 一 般 的 な 小 児 では 副 作 用 は 軽 微 で 問 題 にな ることはまれ エピペンの 副 作 用 は 効 果 の 裏 返 しと 思 っていただいたらわかりやすいです 先 ほどご 説 明 したように 心 臓 の 機 能 を 高 め 血 圧 を 上 昇 させる 効 果 があるのですが そのために 血 圧 上 昇 や 心 拍 数 増 加 に 伴 う 症 状 が 出 てくる 可 能 性 があります 具 体 的 には 動 悸 や 頭 痛 しんせん といって 手 足 の 震 えがでたり 高 血 圧 になった りします しかしこれは 動 脈 硬 化 や 高 血 圧 が 進 行 している 高 齢 者 では 脳 血 管 障 害 や 心 筋 梗 塞 などの 副 作 用 を 心 配 する 必 要 がありますが 一 般 的 な 小 児 では 問 題 となることは まれです アナフィラキシーによるショックで 命 の 危 険 にさらされることと 天 秤 にかけると 副 作 用 を 気 にして 打 つのをためらうよりは 迷 ったらうつ というスタンスでいていただきたい と 思 います
スライド 10 エピペンを 使 用 した 場 合 はその 後 速 やかに 医 療 機 関 を 受 診 すること エピペン 使 用 後 一 時 的 によくなっても 数 時 間 後 に 症 状 が 再 燃 することがある(ニ 相 性 反 応 ) 使 用 したエピペンは 医 療 機 関 で 回 収 するので 必 ず 持 参 すること
スライド 11 どんなものか
スライド 12 どのように 使 うのか 親 指 を 端 にかけず 必 ずグーで 握 って 太 ももの 前 外 側 に 垂 直 になるようにオレンジ 色 の 先 端 を 強 く 押 しつけます ただそれだけです そのまま 数 秒 間 待 ったあと 針 の 出 たエピペンを 抜 き 取 り 注 射 したところを 数 秒 間 も みます 緊 急 の 場 合 は 服 の 上 からでも 注 射 できます
スライド 13 保 存 と 携 帯 についての 注 意 光 により 分 解 しやすいので 携 帯 用 ケースに 収 めら れた 状 態 で 保 存 携 帯 する 冷 所 ( 冷 蔵 庫 の 中 ) 日 光 の 当 たる 高 温 下 ( 夏 場 の 車 のダッシュボードの 中 )を 避 け 15 ~30 で 保 存 する アナフィラキシー 発 現 時 に 備 えて すぐに 取 り 出 せる ところに 保 存 する 有 効 期 限 が 切 れたら 再 度 処 方 を 受 ける 保 存 と 携 帯 についてです 戸 棚 の 中 の 金 庫 の 中 しかも 鍵 がなかなか 見 つからない といった 事 態 にならない ように 比 較 的 すぐに 取 り 出 せるとこに 保 存 してください また 関 係 者 がみな 保 存 場 所 を 知 っている 状 態 にしておくことが 迅 速 な 処 置 を 行 うためには 大 切 です ペンの 外 側 に 有 効 期 限 が 記 されています だいたい1 年 強 ぐらいです 有 効 期 限 が 切 れたら 忘 れずに 再 処 方 を 受 けて 下 さい 使 用 期 限 お 知 らせプログラムのはがきが 同 封 されているので 必 ず 送 るようにして 下 さ い
スライド 14 保 育 所 幼 稚 園 や 学 校 での 取 り 扱 い エピペンの 注 射 は 法 的 には 医 行 為 医 師 でない 者 ( 本 人 と 家 族 以 外 の 者 である 第 3 者 )が 医 行 為 を 反 復 継 続 する 意 図 をもっ て 行 えば 医 師 法 ( 昭 和 23 年 法 律 第 201 号 ) 第 17 条 に 違 反 することになる 最 後 に エピペンと 第 三 者 との 関 わりについてご 説 明 しておきます まず 幼 稚 園 や 学 校 での 取 り 扱 いについてです エピペンの 注 射 は 法 的 には 医 行 為 なので 医 師 でない 者 ( 本 人 と 家 族 以 外 の 者 で ある 第 3 者 )が 医 行 為 を 反 復 継 続 する 意 図 をもって 行 えば 医 師 法 ( 昭 和 23 年 法 律 第 201 号 ) 第 17 条 に 違 反 することになります(これは 具 体 的 には 医 師 でないものが 医 師 の 名 をかたって 医 療 行 為 をするような 場 合 を 指 します)
スライド 15 幼 稚 園 や 学 校 での 取 り 扱 い しかし アナフィラキシーの 進 行 は 一 般 的 に 急 速 で あり エピペンが 手 元 にありながら 症 状 によっ ては 児 童 生 徒 が 自 己 注 射 できない 場 合 も 考 えられる しかし アナフィラキシーの 進 行 は 一 般 的 に 急 速 であり エピペンが 手 元 にありながら 症 状 によっては 児 童 生 徒 が 自 己 注 射 できない 場 合 も 考 えられます そもそも 幼 稚 園 児 や 小 学 校 低 学 年 の 場 合 たとえ 意 識 があっても 技 術 的 に 自 分 で 打 つのは 難 しい 場 合 が 多 いです
スライド 16 幼 稚 園 や 学 校 での 取 り 扱 い 実 際 にはアナフィラキシーの 救 命 の 現 場 に 居 合 わ せた 教 職 員 が エピペンを 自 ら 注 射 できない 状 況 に ある 児 童 生 徒 に 代 わって 注 射 することは 反 復 継 続 する 意 図 がないものと 認 められるため 医 師 法 違 反 にならない また 医 師 法 以 外 の 刑 事 民 事 の 責 任 についても 人 命 救 助 の 観 点 からやむをえず 行 った 行 為 である と 認 められる 場 合 に 関 係 法 令 の 規 定 によりその 責 任 が 問 われないものと 考 えられる ここからが 実 際 のところです ( 以 下 スライド 文 章 参 照 )
スライド 17 幼 稚 園 や 学 校 での 取 り 扱 い 以 下 をよく 話 し 合 ってあらかじめ 決 めておく 1 アナフィラキシー 発 現 時 の 対 応 方 法 ( 役 割 分 担 や 手 順 ) 2 エピペンの 保 管 場 所 ( 他 の 児 が 誤 って 使 用 しないように かつ すぐとりだ せる 場 所 に) 3 エピペンを 誰 が 打 つのか ( 打 ち 方 やタイミングを 事 前 に 関 係 者 が 知 っておく) 学 校 の 場 合 学 校 のアレルギー 疾 患 に 対 する 取 り 組 みガイドライン というものが 日 本 学 校 保 健 会 というところから 発 刊 され そこに アナフィラキシー 発 現 時 の 対 応 の 仕 方 が 載 っています また 保 育 所 での 対 応 ガイドラインも 作 成 されました その 手 順 にしたがって だれが どのような 役 割 を 持 つのかあらかじめ 話 し 合 っておくとよい と 思 います たとえば エピペンを 持 ってくるのは 誰 なのか 救 急 車 を 呼 ぶのはだれなのか など またエピペンはどこに 保 管 するのか 決 めておくのも 大 切 です エピペンを 誰 が 打 つのか 打 つことになる 人 には 打 ち 方 やタイミングを 知 って 貰 う 必 要 があります
スライド 18 救 急 救 命 士 による 代 行 注 射 救 急 車 を 呼 んで 救 命 救 急 士 に 代 行 注 射 して もらうことも 可 能 となった ただし あくまで 自 分 のエピペンを 持 っていて 誰 も 使 える 人 がいない 場 合 に( 救 急 車 にエピ ペンが 常 備 されているわけではない) 実 際 の 対 応 には 地 域 による 温 度 差 があるの で 管 轄 の 消 防 署 に 確 認 しておくことが 望 まし い 幼 稚 園 や 学 校 以 外 の 第 三 者 としては 救 急 救 命 士 に 注 射 してもらう というのも 近 年 可 能 となりました もし 本 人 がエピペンを 持 っているのに 周 囲 に 打 てる 人 がだれもいない という 状 況 になったときは 救 急 車 を 呼 んで 注 射 してもらうことが 可 能 です ただし 救 急 車 にエピペンが 常 備 されているわけではないので 本 人 が 自 分 のエピペ ンを 持 っている 場 合 に 限 ります 実 際 の 対 応 には 地 域 による 温 度 差 がありますので 実 際 エピペンを 持 ったときには 管 轄 の 消 防 署 に アナフィラキシー 時 の 対 応 や 到 着 時 間 などを 確 認 しておくことが 望 ま しいと 思 います
スライド 19 参 考 エピペンが 使 用 できない 場 合 以 下 の 基 礎 疾 患 がある 場 合 動 脈 硬 化 甲 状 腺 機 能 亢 進 症 糖 尿 病 心 室 頻 拍 などの 重 症 不 整 脈 精 神 神 経 症 状 コカ イン 中 毒 以 下 の 薬 剤 を 使 用 している 場 合 α 遮 断 薬 一 部 の 抗 精 神 病 薬 これらの 疑 いがある 場 合 はご 相 談 下 さい エピペンの 併 用 禁 忌 薬 抗 精 神 病 薬 ブチロフェノン 系 薬 剤 セレネース トロペロン 等 フェノチアジン 系 薬 剤 ウインタミン 等 イモノジベンジル 系 薬 剤 デフェクトン 等 ゾテピン ロドピン リスペリドン リスパ ダール α 遮 断 薬 ( 本 剤 の 昇 圧 作 用 の 反 転 により 低 血 圧 があらわれることがある これらの 薬 剤 のα 遮 断 作 用 により 本 剤 のβ 刺 激 作 用 が 優 位 になると 考 えられている ) イソプロテレノール 等 のカテコールアミン 製 剤 アドレナリン 作 動 薬 プロタノール 等 ( 不 整 脈 場 合 により 心 停 止 があらわれることがある 蘇 生 等 の 緊 急 時 以 外 には 併 用 しない これらの 薬 剤 のβ 刺 激 作 用 により 交 感 神 経 興 奮 作 用 が 増 強 すると 考 えられ ている )