www.pediatric-rheumathology.printo.it リウマチ 熱 どんな 病 気? リウマチ 熱 は, 溶 血 レンサ 球 菌 ( 以 下, 溶 連 菌 と 略 します)という 細 菌 の 感 染 に より 引 き 起 こされる 病 気 です この 病 気 では 一 過 性 の 関 節 炎 心 炎 舞 踏 病 とい われる 異 常 運 動 皮 疹 皮 下 結 節 などに 加 え, 永 久 的 な 心 臓 の 障 害 もみられます よくみられる 病 気 なの? 抗 菌 薬 が 一 般 に 使 用 される 以 前,リウマチ 熱 は 地 域 的 流 行 が 認 められ,そのこと はこの 病 気 が 感 染 により 引 き 起 こされることを 物 語 っていました 咽 頭 炎 やリウ マチ 熱 の 再 発 防 止 にペニシリンが 使 われるようになってからは,リウマチ 熱 の 患 者 は 劇 的 に 減 少 しました リウマチ 熱 は5 歳 から15 歳, 特 に8 歳 前 後 に 好 発 します 発 展 途 上 国 においては,リウマチ 熱 はいまだに 若 年 者 の 心 臓 病 の 原 因 として 有 力 なものであり, 繰 り 返 す 再 燃 は 心 障 害 の 確 率 を 高 めます しかし,80 年 代 には, 危 険 性 の 低 いとされる 地 域 においても 流 行 の 再 発 が 認 められています リウマ チ 熱 はその 関 節 症 状 から, 小 児 や 青 少 年 のリウマチ 疾 患 のなかの 一 つとして 取 り 扱 われています この 病 気 の 原 因 は 何? この 病 気 は 溶 連 菌 による 咽 頭 感 染 に 対 して, 異 常 な 免 疫 反 応 がおこることにより 引 き 起 こされます それは, 何 らかの 個 人 の 素 因 ( 生 まれつきの 体 質 )が 関 与 し ているかもしれません つまり, 溶 連 菌 だけでなく, 自 分 の 体 の 組 織 に 対 しても 免 疫 反 応 が 働 き 攻 撃 してしまうのです 実 際,リウマチ 熱 の 発 症 の 前 には 呼 吸 器 感 染 症 が 先 行 して 起 こっています この 先 行 感 染 の 関 与 の 事 実 から, 治 療 と 予 防 という 考 えが 生 まれます 溶 連 菌 の 咽 頭 感 染 はすべての 年 齢 において 日 常 的 に 見 られますが,リウマチ 熱 を 起 こす 人 はごく 限 られた 人 のみです 一 度,リウマチ 熱 にかかると 再 発 しやすく, 特 に 発 症 から3 年 以 内 はその 危 険 性 が 高 いです 遺 伝 する 病 気 なの? リウマチ 熱 は 親 から 子 へ 直 接 伝 播 されることはなく, 遺 伝 する 病 気 ではありませ ん ただし, 素 因 ( 体 質 )という 意 味 では 何 らかの 影 響 があるかもしれません どうして 私 の 子 がこの 病 気 にかかったの? 予 防 は 可 能 なの? この 病 気 には 環 境 と 溶 連 菌 が 重 要 な 因 子 ですが, 実 際 には,だれがこの 病 気 にな るのか 予 測 するのは 困 難 です この 病 気 は 異 常 な 免 疫 反 応,すなわち, 溶 連 菌 の 菌 体 成 分 に 対 する 免 疫 反 応 がヒトのからだの 組 織 に 対 しても 起 こってしまうこと 1
が 原 因 です 溶 連 菌 の 中 にもリウマチ 熱 を 起 こしやすい 種 類 があります そのよ うなタイプの 溶 連 菌 が 感 受 性 のある 人 に 感 染 するとこの 病 気 を 引 き 起 こす 率 は 高 くなります この 菌 は,ヒトからヒトへ 感 染 するので, 人 ごみの 中 などは, 重 要 な 環 境 因 子 となります この 病 気 の 治 療 は 溶 連 菌 による 咽 頭 炎 の 早 期 発 見 と 抗 菌 薬 による 早 期 治 療 にかかっています リウマチ 熱 は 人 にうつるの? リウマチ 熱 自 体 は 人 にはうつりません 感 染 するのは, 溶 連 菌 による 咽 頭 炎 です 溶 連 菌 自 体 は 人 から 人 へ 広 がるので, 家 庭 学 校 軍 隊 などの 人 ごみでは 注 意 が 必 要 です リウマチ 熱 の 主 な 症 状 は? リウマチ 熱 の 症 状 はいくつかの 症 状 の 組 み 合 わせで 形 成 され,そのパターンは 人 によって 様 々です この 病 気 は, 溶 連 菌 による 咽 頭 炎 扁 桃 炎 がしっかりと 治 療 されていない 場 合 に 起 こってきます 咽 頭 炎 扁 桃 炎 は 発 熱, 咽 頭 痛, 頭 痛, 口 蓋 発 赤, 扁 桃 白 苔, 頚 部 リンパ 節 腫 脹 疼 痛 などの 症 状 で 気 づかれます しかし, 年 長 児 では,このような 症 状 が 全 く 見 られない,あるいは 非 常 に 軽 いケースもま れではありません 溶 連 菌 感 染 のあとしばらくの 潜 伏 期 をおいて, 発 熱 や 以 下 の 様 なリウマチ 熱 の 主 症 状 が 現 れます 関 節 炎 : 主 に 移 動 性 関 節 炎 が 多 くの 関 節 ( 膝, 肘, 足 首, 肩 )に 認 めら れます 関 節 炎 はひとつの 関 節 から 別 の 関 節 へと 場 所 が 移 動 していきます 手 首 や 頚 椎 の 関 節 は 侵 されにくいです 関 節 の 痛 みは 激 しいですが, 腫 脹 はそれほど 目 立 ちません 関 節 痛 は 一 般 にアスピリンや 非 ステロイド 性 抗 炎 症 剤 により 速 や かに 消 失 するのが 特 徴 です 心 炎 : 心 臓 の 炎 症 ですが, 最 も 深 刻 な 症 状 です 安 静 時 や 睡 眠 時 の 動 悸 で 気 づかれ, 聴 診 で 心 雑 音 が 聞 かれます 心 雑 音 は 小 さいものから 大 きいものまで 様 々で, 心 臓 の 弁 の 炎 症 があるために 起 こるのです この 状 態 を 心 内 膜 炎 と 呼 びます もし 心 臓 を 包 む 袋 ( 心 嚢 )に 炎 症 があると, 心 外 膜 炎 と 呼 ばれます 心 臓 の 周 囲 に 液 体 が 貯 留 することがありますが 通 常 は 無 症 状 で, 自 然 に 消 失 し ます 心 筋 炎 の 重 症 例 では 心 臓 のポンプ 機 能 が 障 害 されます 咳 や 胸 痛, 動 悸, 頻 脈 などで 気 づかれます 心 臓 専 門 医 による 精 査 が 必 要 で 必 要 です 舞 踏 病 :Choreaは 踊 りを 意 味 するギリシャ 語 に 由 来 します これは 脳 の 中 の 運 動 の 協 調 をつかさどる 部 分 の 炎 症 による 運 動 障 害 です 患 者 の10-30%にこの 症 状 が 見 られます 関 節 炎 や 心 炎 と 異 なり, 本 症 の 経 過 の 後 期 (ほとんどが 咽 頭 感 染 から1-6か 月 後 )に 出 現 します 初 期 症 状 は 不 随 意 運 動 による 筆 記 困 難, 着 衣 や 身 だしなみができない, 歩 行 困 難, 食 事 ができないなどです 異 常 運 動 は 短 時 間 なら 意 図 的 に 止 められ,また 睡 眠 中 あるいはストレスや 疲 労 が 強 い 時 には 消 失 します 学 生 では,この 異 常 運 動 による 集 中 力 障 害 や 不 安 により 学 力 に 悪 影 響 を 及 ぼします 症 状 が 軽 い 場 合 は,ただの 行 動 障 害 として 見 過 ごされてしまうか もしれません この 異 常 運 動 は2-6ヶ 月 のセルフリミット( 時 期 がければ 軽 快 す る)なものですが, 治 療 と 経 過 観 察 が 必 要 です 2
皮 膚 症 状 はリウマチ 熱 の 症 状 としては 低 頻 度 です 輪 状 紅 斑 は 体 幹 に 広 がる 一 過 性 の 発 疹 で, 中 心 部 が 抜 け, 周 囲 が 赤 いのが 特 徴 で, 一 見, 蛇 柄 のようです 皮 下 結 節 は 無 痛 性 可 動 性 粒 状 の 結 節 で, 外 見 上 は 通 常 の 皮 膚 で 覆 われ てます 通 常, 関 節 表 面 に 見 られます これらの 皮 膚 症 状 は5% 未 満 の 頻 度 であ り, 軽 微 なものや 一 過 性 のものは 見 逃 されやすいです その 他, 初 発 症 状 として 両 親 が 気 づくものとして, 発 熱, 倦 怠 感, 疲 労 感, 食 欲 不 振, 顔 色 不 良, 腹 痛, 鼻 出 血 などリウマチ 熱 の 初 期 におこる 症 状 があげられま す 病 気 はすべての 子 どもで 同 じなの? 年 長 児 では 関 節 炎 や 発 熱 にともなった 心 雑 音 が 最 も 一 般 的 な 症 状 です 年 少 児 で は 心 炎 を 認 めやすく, 激 しい 関 節 症 状 の 訴 えは 少 ないです 舞 踏 病 は 単 独 で みられるか, 心 炎 とともに 出 現 します しかし,すべての 症 例 において 心 炎 に 対 する 注 意 深 い 経 過 観 察 が 必 要 です 本 症 の 発 症 や 経 過 については, 治 療 の 有 無 に かかわらず 非 常 に 様 々です 子 どもと 大 人 では 違 いがあるの? リウマチ 熱 は 学 童 や25 歳 未 満 の 若 者 の 病 気 です 3 歳 未 満 の 発 症 はまれで,80% 以 上 の 症 例 が5-19 歳 の 間 にみられます しかし, 再 燃 予 防 の 抗 菌 薬 内 服 を 続 けて いなければ,もっと 高 齢 で 再 燃 をみることはあります 診 断 はどのようにするの? 本 症 の 診 断 に 特 異 的 な 症 状 や 検 査 はないので, 全 体 的 な 症 状 や 検 査 の 把 握 が 重 要 です Jones Criteriaという 診 断 基 準 が 診 断 の 目 安 になっています 世 界 中 の 小 児 科 医 は,その 多 くの 症 状 に 関 し,リウマチ 熱 を 認 知 しています 本 症 を 疑 わ れた 児 は, 医 師 の 充 分 な 管 理 下 におかれ, 適 切 な 診 断 を 下 されなければなりませ ん 心 炎 を 有 する 症 例 では 心 臓 専 門 医 への 紹 介 も 必 要 です リウマチ 熱 に 似 た 病 気 にはどのようなものがあるの? 溶 連 菌 感 染 後 反 応 性 関 節 炎 と 呼 ばれる 疾 患 があり, 溶 連 菌 感 染 後 にみられる 関 節 炎 です( 関 節 症 状 のみ) これはリウマチ 熱 の 多 彩 な 臨 床 症 状 の 中 の 一 部 である と 考 えられます 検 査 で 重 要 なものは? 診 断 や 経 過 観 察 に 欠 かせない 検 査 がいくつかあります 血 液 検 査 は 再 燃 中 に 有 用 な 検 査 です 舞 踏 病 が 唯 一 の 症 状 である 場 合 を 除 いて, 全 身 性 の 炎 症 反 応 は, 他 のリウマチ 性 疾 患 と 同 様 にほぼすべての 患 者 に 見 られます 先 行 する 溶 連 菌 感 染 の 証 拠 は 診 断 に 非 常 に 重 要 です しかし,ほとんどの 患 者 では 本 症 発 症 までの 間 に 溶 連 菌 は 咽 頭 から 排 除 されているでしょうから, 咽 頭 拭 い 液 による 溶 連 菌 培 養 検 査 は 理 想 的 な 検 査 とはいえません 両 親 や 患 児 本 人 が 感 染 のことを 記 憶 してい ない 場 合 でも, 溶 連 菌 に 対 する 抗 体 を 検 出 する 血 液 の 検 査 があります 2-4 週 間 3
隔 での 血 液 中 のこれらの 抗 体 の 値 の 上 昇 は 最 近 の 感 染 を 意 味 します しかし, 舞 踏 病 単 独 の 症 例 では,これらの 抗 体 検 査 では 上 昇 を 認 めないことがあり, 診 断 を 難 しいものとします ASO( 抗 ストレプトリジン 抗 体 価 )の 異 常 高 値 は, 最 近 の 溶 連 菌 の 暴 露 が 抗 体 産 生 の 免 疫 システムを 刺 激 したことを 意 味 しますが,それだ けでリウマチ 熱 であるという 証 拠 にはなり 得 ません 心 炎 はどうやって 見 つけるの? 心 臓 の 炎 症 による 心 雑 音 ( 新 しく 出 現 したもの)は 心 炎 のもっとも 一 般 的 な 症 状 で, 通 常 医 師 の 聴 診 により 気 づかれます 心 臓 の 電 気 的 活 動 を 示 す 心 電 図 検 査 や 心 臓 の 拡 大 をチェックできる 胸 部 レントゲン 検 査 は 心 臓 の 病 変 の 程 度 を 調 べるの に 役 立 ちます 心 臓 超 音 波 検 査 は 心 炎 の 検 査 として 最 も 有 用 ですが, 臨 床 的 に 兆 候 がなければ 実 施 されないものです これらの 検 査 はすべて, 全 く 痛 みを 伴 わず, 唯 一 の 難 点 は 子 どもが 検 査 の 間 に 鎮 静 を 保 つ 必 要 があることくらいです 治 療 法 がありますか? 本 症 の 予 防 治 療 の 件 は, 世 界 の 一 部 の 地 域 では 深 刻 な 課 題 です 溶 連 菌 の 咽 頭 感 染 を 発 見 し 次 第 即 座 に 治 療 すればリウマチ 熱 を 予 防 することができます 副 反 応 のない, 溶 連 菌 に 対 するワクチンの 開 発 は 現 在 進 行 中 で,この 研 究 は 将 来 実 現 するでしょう 治 療 はどのようにするの? 初 発 時, 診 断 確 定 後, 十 分 な 抗 生 物 質 投 与 が 推 奨 されています 溶 連 菌 は,リウ マチ 熱 発 症 時 にも 扁 桃 内 に 存 在 し 免 疫 システムを 刺 激 している 可 能 性 があるので 咽 頭 感 染 に 対 する 治 療 も 必 要 です 120 万 単 位 のペニシリンGの1 回 投 与 で 溶 連 菌 を 撲 滅 し,その 後 3-4 週 間 の 感 染 予 防 ができます 既 にリウマチ 熱 を 発 症 してい る 患 児 においては, 再 発 予 防 のために,3 週 間 毎 の 長 期 のペニシリンG 投 与 が 必 須 とされます 関 節 痛 に 対 しては,サリチル 酸 や 他 の 非 ステロイド 性 抗 炎 症 剤 を6-8 週 間 または 症 状 消 失 まで 使 用 することが 推 奨 されます 重 篤 な 心 炎 に 対 しては,ベッド 上 安 静 とステロイド 剤 (プレドニゾン)の2-3 週 間 内 服 (その 後 次 第 に 減 量 )が 推 奨 されます 舞 踏 病 に 対 しては, 両 親 や 学 校 のサポートを 要 します 舞 踏 病 に 対 する 薬 物 療 法 としては,ハロペリドールやバルプロ 酸 が 十 分 な 副 作 用 チェックのもとに 使 用 されます 一 般 的 な 副 作 用 は 眠 気, 振 戦 などですがこれら は, 投 与 量 調 節 で 容 易 にコントロールできます 十 分 な 治 療 にも 関 わらず, 舞 踏 病 が 数 ヶ 月 も 持 続 することが 時 々 見 受 けられます 薬 物 治 療 の 副 作 用 は? 短 期 間 の 対 症 療 法 としてのサリチル 酸 や 他 の 非 ステロイド 性 抗 炎 症 剤 は, 通 常, あまり 副 作 用 は 認 められません ステロイド 剤 のもっとも 目 に 見 える 副 作 用 は 体 重 増 加, 顔 のむくみ,ニキビ, 皮 膚 線 条, 多 毛 などです 予 防 薬 としての,ペニ シリンアレルギーのリスクは 非 常 に 低 いですが, 注 意 は 必 要 です ペニシリン 注 4
射 の 主 な 問 題 は 注 射 時 の 痛 みです 局 所 麻 酔, 適 切 な 注 射 法 と 精 神 的 リラックス などが 推 奨 されています 再 発 予 防 の 治 療 はどのくらい 続 けるの? 以 前 のリウマチ 熱 の 自 然 経 過 では, 再 発 の 危 険 性 は 発 症 後 3-5 年 間 が 高 く, 再 発 のたびに 心 炎 合 併 の 可 能 性 は 増 加 します したがって,リウマチ 熱 を 起 こしたこ とがある 人 には 全 員, 溶 連 菌 感 染 症 の 二 次 予 防 が 推 奨 されています 再 発 は 軽 い 症 状 だった 人 にも 起 こってくることがありますので, 臨 床 症 状 の 程 度 にかかわら ず 二 次 予 防 を 行 ないます ほとんどの 医 師 が 抗 菌 薬 による 二 次 予 防 は 心 合 併 症 が なくても 少 なくとも5 年 間,もしくは 患 児 が18 歳 になるまで 継 続 すべきと 考 えて います 心 合 併 症 がある 症 例 では40 歳 までの 予 防 投 与 が 推 奨 されています 心 臓 の 弁 に 障 害 がある 人 は 全 員, 抗 菌 薬 による 細 菌 性 心 内 膜 炎 予 防 を 歯 科 治 療 や 手 術 に 際 して 行 うよう 推 奨 されています 細 菌 はからだの 各 所, 特 に 口 から 他 の 部 分 へ 移 動 して 心 臓 弁 膜 の 感 染 症 を 引 き 起 こしうるからです どのような 定 期 的 検 査 が 必 要 ですか? 活 動 性 があるときには,きめ 細 かな 診 察 と 検 査 が 必 要 です 特 に, 心 炎 や 舞 踏 病 を 有 する 症 例 では 注 意 深 いフォローアップを 必 要 とします 症 状 が 沈 静 化 した 後 には, 長 期 的 再 発 予 防 や 晩 期 心 合 併 症 発 症 への 警 戒 など, 十 分 な 管 理 が 必 要 です 病 気 はどのくらい 長 く 続 きますか? 本 症 の 主 症 状 はいずれ 自 然 消 退 するものです しかし, 特 に 初 発 後 5 年 間 は,ま た 新 たな 再 発 の 危 険 性 があります 再 発 予 防 のために, 予 防 投 薬 を 続 ける 必 要 が あります 長 期 的 予 後 はどうですか? いつ,どの 程 度 の 再 発 が 起 こるかを 予 測 することは 難 しいです 初 発 時 に 心 炎 が あった 人 は 後 遺 症 を 残 す 可 能 性 が 高 いですが, 完 治 する 例 もあります 心 合 併 症 が 重 度 の 場 合 は 弁 置 換 などの 手 術 を 要 することもあります 完 治 することもありますか? 可 能 です, 心 炎 による 重 篤 な 弁 障 害 をおこさなければ 日 常 生 活 はどうですか? 心 炎 や 舞 踏 病 のある 患 児 では 家 族 の 支 えが 必 要 です 関 節 炎 は 通 常 自 然 軽 快 し, また, 非 ステロイド 性 抗 炎 症 剤 によく 反 応 します 主 要 症 状 が 落 ち 着 き, 定 期 的 検 査 で 心 臓 に 問 題 がなければ, 通 常 の 日 常 生 活 や 学 校 生 活,スポーツ, 予 防 接 種 などにおいて 特 別 な 制 限 は 必 要 ありません 主 要 症 状 は 自 然 軽 快 するので,おも な 問 題 は 長 期 の 抗 菌 薬 予 防 内 服 がしっかり 行 われるか(コンプライアンスという ),そのためには, 周 囲 の 理 解 が 非 常 に 重 要 となります 特 に 思 春 期 においては 5
, 治 療 のコンプライアンスを 向 上 させるために 教 育 が 必 要 となります 思 春 期 の 自 立 心 の 芽 生 え( 反 抗 期 )によるコンプライアンスの 低 下 に 対 処 するために, 患 児 の 健 康 ために 必 要 と 判 断 されれば, 両 親 の 介 入 が 必 要 となることも 認 識 してお くべきです 溶 連 菌 感 染 後 反 応 性 関 節 炎 POST STREPTOCOCCAL ARTHRITIS どんな 病 気? 成 人 や 少 年 において,リウマチ 熱 の 診 断 基 準 を 満 たさない, 溶 連 菌 に 関 連 した 関 節 炎 が 認 められることがあります 関 節 炎 は, 手 首 の 関 節 などに, 感 染 後 比 較 的 早 い 時 期 にみられ, 抗 炎 症 剤 への 反 応 は 不 良 で, 通 常 数 ヶ 月 持 続 します 臨 床 症 状 より 他 の 疾 患 の 関 節 炎 と 紛 らわしいです 診 断 は, 最 近 の 溶 連 菌 感 染 に 関 連 し ているかどうかが 決 め 手 になります この 病 気 の 人 の 一 部 が 後 に 心 炎 を 起 こして きます ほとんどの 医 師 が 溶 連 菌 感 染 後 反 応 性 関 節 炎 はリウマチ 熱 の 亜 型 だと 考 えています したがって, 抗 菌 薬 の 予 防 投 与 と 定 期 的 な 心 臓 検 査 が 推 奨 されてい ます ( 訳 : 鹿 児 島 大 学 小 児 科 前 野 伸 昭 ) 6