博 士 論 文 要 旨 韓 国 における 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 代 表 をめぐる 政 治 女 性 の 独 自 組 織 の 組 織 化 と 社 会 的 連 携 を 中 心 に 1. 論 文 の 構 成 序 章 第 1 節 問 題 意 識 と 研 究 の 目 的 第 2 節 先 行 研 究



Similar documents
Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

<6D313588EF8FE991E58A778D9191E5834B C8EAE DC58F4992F18F6F816A F990B32E786C73>

●幼児教育振興法案

預 金 を 確 保 しつつ 資 金 調 達 手 段 も 確 保 する 収 益 性 を 示 す 指 標 として 営 業 利 益 率 を 採 用 し 営 業 利 益 率 の 目 安 となる 数 値 を 公 表 する 株 主 の 皆 様 への 還 元 については 持 続 的 な 成 長 による 配 当 可

<4D F736F F D E598BC68A8897CD82CC8DC490B68B7982D18E598BC68A8893AE82CC8A C98AD682B782E993C195CA915B C98AEE82C382AD936F985E96C68B9690C582CC93C197E1915B927582CC898492B75F8E96914F955D89BF8F915F2E646F6

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

<6E32355F8D918DDB8BA697CD8BE28D C8EAE312E786C73>

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

学校安全の推進に関する計画の取組事例

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

Microsoft Word - 交野市産業振興基本計画 doc

その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農


Microsoft Word 行革PF法案-0概要

スライド 1

< F2D819A8B638E968E9197BF82528E968BC68C7689E68F C>

文化政策情報システムの運用等

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

神 戸 法 学 雑 誌 65 巻 1 号 45 神 戸 法 学 雑 誌 第 六 十 五 巻 第 一 号 二 〇 一 五 年 六 月 a b c d 2 a b c 3 a b 4 5 a b c

m07 北見工業大学 様式①

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

代 議 員 会 決 議 内 容 についてお 知 らせします さる3 月 4 日 当 基 金 の 代 議 員 会 を 開 催 し 次 の 議 案 が 審 議 され 可 決 承 認 されました 第 1 号 議 案 : 財 政 再 計 算 について ( 概 要 ) 確 定 給 付 企 業 年 金 法 第

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

(Microsoft Word - \221\346\202P\202U\201@\214i\212\317.doc)

市街化調整区域における地区計画の

続 に 基 づく 一 般 競 争 ( 指 名 競 争 ) 参 加 資 格 の 再 認 定 を 受 けていること ) c) 会 社 更 生 法 に 基 づき 更 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなされている 者 又 は 民 事 再 生 法 に 基 づき 再 生 手 続 開 始 の 申 立 てがなさ

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

(2) 検 体 採 取 に 応 ずること (3) ドーピング 防 止 と 関 連 して 自 己 が 摂 取 し 使 用 するものに 責 任 をもつこと (4) 医 師 に 禁 止 物 質 及 び 禁 止 方 法 を 使 用 してはならないという 自 己 の 義 務 を 伝 え 自 己 に 施 される

共 通 認 識 1 官 民 較 差 調 整 後 は 退 職 給 付 全 体 でみて 民 間 企 業 の 事 業 主 負 担 と 均 衡 する 水 準 で あれば 最 終 的 な 税 負 担 は 変 わらず 公 務 員 を 優 遇 するものとはならないものであ ること 2 民 間 の 実 態 を 考

1 リーダーシップと 意 思 決 定 1-1 事 業 所 が 目 指 していることの 実 現 に 向 けて 一 丸 となっている 評 価 項 目 事 業 所 が 目 指 していること( 理 念 基 本 方 針 )を 明 確 化 周 知 している 1. 事 業 所 が 目 指 していること

公表表紙

安 芸 太 田 町 学 校 適 正 配 置 基 本 方 針 の 一 部 修 正 について 1 議 会 学 校 適 正 配 置 調 査 特 別 委 員 会 調 査 報 告 書 について 安 芸 太 田 町 教 育 委 員 会 が 平 成 25 年 10 月 30 日 に 決 定 した 安 芸 太 田

18 国立高等専門学校機構

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

<4D F736F F D F8D828D5A939982CC8EF68BC697BF96B38F9E89BB82CC8A6791E52E646F63>

独立行政法人国立病院機構呉医療センター医療機器安全管理規程

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

<6D33335F976C8EAE CF6955C A2E786C73>

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

< F2D A C5817A C495B6817A>

Ⅰ 元 請 負 人 を 社 会 保 険 等 加 入 建 設 業 者 に 限 定 平 成 28 年 10 月 1 日 以 降 に 入 札 公 告 指 名 通 知 随 意 契 約 のための 見 積 依 頼 を 行 う 工 事 から 以 下 に 定 める 届 出 の 義 務 ( 以 下 届 出 義 務 と

(Microsoft Word - \212\356\226{\225\373\220j _\217C\220\263\201j.doc)

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

スライド 1

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 法 人 の 長 A 18,248 11,166 4, ,066 6,42

 

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

< F2D8ED089EF95DB8CAF939996A289C193FC91CE8DF42E6A7464>


第2分野 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革

国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

Microsoft Word - 目次.doc

Microsoft Word 基本計画.doc

学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について(通知)

加 古 川 市 市 街 化 調 整 区 域 における 地 区 計 画 制 度 の 運 用 基 準 ( 概 要 ) 第 1 章 総 則 運 用 基 準 の 目 的 地 区 計 画 制 度 の 運 用 により 良 好 な 居 住 環 境 の 維 持 及 び 育 成 を 目 的 とする ( 第 1 条 )

一般競争入札について

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

による 共 同 作 業 を 行 い 同 時 に 分 科 会 幹 事 会 を 組 織 して 幹 事 会 による 分 科 会 間 の 広 域 的 かつ 継 続 的 な 価 格 形 成 要 因 の 分 析 検 討 を 行 うことで 均 衡 のとれた 成 果 を 確 保 する (2) 市 町 村 の 固 定

平成24年度開設予定大学院等一覧(判定を「不可」とするもの)

02【発出】280328福島県警察職員男女共同参画推進行動計画(公表版)

01.活性化計画(上大久保)

(2) 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 保 育 の 必 要 な 子 どものいる 家 庭 だけでなく 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 のために 利 用 者 支 援 事 業 や 地 域 子 育 て 支 援 事 業 な

能勢町市街化調整区域における地区計画のガイドライン

Microsoft Word - 公表用答申422号.doc

<81696D373188A E58A77816A E93788D9191E5834B C8EAE82502E786C73>

主要生活道路について

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

< DB8CAF97BF97A6955C2E786C73>

資 料 年 オリンピック パラリンピック 東 京 大 会 における ホストシティ タウン 構 想 (イメージ) 1. 趣 旨 経 済 財 政 運 営 と 改 革 の 基 本 方 針 2014( 平 成 26 年 6 月 24 日 閣 議 決 定 )を 踏 まえ 2020 年 オリン

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

慶應義塾利益相反対処規程

07_住宅バウチャー(家賃補助)制度の表紙.doc

●電力自由化推進法案

別 紙

d02 国際交流基金 様式1

1 農 地 中 間 管 理 機 構 のねらい (1)24 年 度 から 開 始 した 各 市 町 村 における 人 農 地 プラン ( 地 域 の 農 業 者 の 徹 底 した 話 合 いにより 人 農 地 問 題 の 解 決 方 向 や 地 域 農 業 の 将 来 のあり 方 を 明 確 にしてい

1. 中 小 企 業 等 経 営 強 化 法 の 目 的 (1) 生 産 性 向 上 の 必 要 性 (3) 業 種 別 の 経 営 課 題 への 対 応 少 子 高 齢 化 人 手 不 足 等 の 状 況 において 効 果 的 に 付 加 価 値 を 生 み 出 せるよう 製 造 業 はもとより

示 とする 原 処 分 を 行 ったところ 異 議 申 立 てが 提 起 されたものである なお, 本 件 対 象 文 書 の 一 部 開 示 決 定 に 係 る 審 査 会 への 諮 問 は2 度 目 であ り, 前 回 の 一 部 開 示 決 定 について,その 決 定 は 妥 当 である 旨

Microsoft Word - 都市計画法第34条第11号及び第12号

( 続 紙 1 ) 京 都 大 学 博 士 ( 法 学 ) 氏 名 小 塚 真 啓 論 文 題 目 税 法 上 の 配 当 概 念 の 意 義 と 課 題 ( 論 文 内 容 の 要 旨 ) 本 論 文 は 法 人 から 株 主 が 受 け 取 る 配 当 が 株 主 においてなぜ 所 得 として

Microsoft PowerPoint - 【資料5】社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し(案)について

4 松 山 市 暴 力 団 排 除 条 の 一 部 風 俗 営 業 等 の 規 制 及 び 業 務 の 適 正 化 等 に 関 する 法 律 等 の 改 正 に 伴 い, 公 共 工 事 から 排 除 する 対 象 者 の 拡 大 等 を 図 るものです 第 30 号 H H28.1

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第076号.doc

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

(3) その 他 市 長 が 必 要 と 認 める 書 類 ( 補 助 金 の 交 付 決 定 ) 第 6 条 市 長 は 前 条 の 申 請 書 を 受 理 したときは 速 やかにその 内 容 を 審 査 し 補 助 金 を 交 付 すべきものと 認 めたときは 規 則 第 7 条 に 規 定 す

4 調 査 の 対 話 内 容 (1) 調 査 対 象 財 産 の 土 地 建 物 等 を 活 用 して 展 開 できる 事 業 のアイディアをお 聞 かせく ださい 事 業 アイディアには, 次 の 可 能 性 も 含 めて 提 案 をお 願 いします ア 地 域 の 活 性 化 と 様 々な 世

Microsoft Word - 奨学金相談Q&A.rtf

(1) 社 会 保 険 等 未 加 入 建 設 業 者 の 確 認 方 法 等 受 注 者 から 提 出 される 施 工 体 制 台 帳 及 び 添 付 書 類 により 確 認 を 行 います (2) 違 反 した 受 注 者 へのペナルティー 違 反 した 受 注 者 に 対 しては 下 記 のペ

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

< EE597768E968BC688EA97972D372E786477>

社 会 保 障 税 一 体 改 革 ( 年 金 分 野 )の 経 緯 社 会 保 障 税 一 体 改 革 大 綱 (2 月 17 日 閣 議 決 定 ) 国 年 法 等 改 正 法 案 (2 月 10 日 提 出 ) 法 案 を 提 出 する または 法 案 提 出 を 検 討 する と された 事

<4D F736F F F696E74202D208CE38AFA8D8297EE8ED288E397C390A CC8A AE98EBA8DEC90AC816A2E707074>

<819A955D89BF92B28F BC690ED97AA8EBA81418FA48BC682CC8A8890AB89BB816A32322E786C7378>

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾

Transcription:

韓 国 における 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 代 表 をめぐる 政 治 Title : 女 性 の 独 自 組 織 の 組 織 化 と 社 会 的 連 携 を 中 心 に Author(s) 金, 美 珍 Citation Issue 2016-03-18 Date Type Thesis or Dissertation Text Version none URL http://hdl.handle.net/10086/27762 Right Hitotsubashi University Repository

博 士 論 文 要 旨 韓 国 における 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 代 表 をめぐる 政 治 女 性 の 独 自 組 織 の 組 織 化 と 社 会 的 連 携 を 中 心 に 1. 論 文 の 構 成 序 章 第 1 節 問 題 意 識 と 研 究 の 目 的 第 2 節 先 行 研 究 第 3 節 分 析 視 角 第 4 節 調 査 の 概 要 第 5 節 論 文 の 構 成 及 び 概 要 一 橋 大 学 大 学 院 社 会 学 研 究 科 博 士 後 期 課 程 SD101030 金 美 珍 第 Ⅰ 部 歴 史 的 な 背 景 第 1 章 周 辺 部 労 働 者 をめぐる 歴 史 的 背 景 第 1 節 民 主 化 以 降 社 会 運 動 の 変 化 第 2 節 労 働 者 大 闘 争 以 降 の 労 働 体 制 の 変 化 第 3 節 非 正 規 雇 用 の 問 題 と 労 働 運 動 の 戦 略 的 対 応 第 2 章 女 性 労 働 運 動 をめぐる 歴 史 的 背 景 はじめに 第 1 節 1970 代 ~1990 年 代 における 労 働 運 動 と 女 性 労 働 者 第 2 節 1980 年 ~1990 年 代 における 女 性 運 動 と 女 性 労 働 運 動 第 3 節 1997 年 以 降 の 新 たな 女 性 労 働 運 動 の 登 場 第 Ⅱ 部 組 織 分 析 第 3 章 独 自 組 織 の 分 析 第 1 節 韓 国 女 性 団 体 連 合 (KWAU)の 組 織 と 活 動 上 の 特 性 第 2 節 韓 国 女 性 労 働 組 合 (KWTU)の 組 織 と 活 動 上 の 特 性 第 3 節 周 辺 部 女 性 労 働 をめぐる 独 自 組 織 の 特 性 第 Ⅲ 部 社 会 的 連 携 の 多 様 性 第 4 章 非 正 規 職 保 護 法 の 法 制 化 過 程 における 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 代 表 第 1 節 非 正 規 職 保 護 法 制 定 過 程 における 特 徴 と 社 会 運 動 団 体 の 関 わり 第 2 節 非 正 規 雇 用 問 題 の 社 会 的 争 点 化 と 非 正 規 共 同 対 策 委 員 会 (2000 年 ) 第 3 節 労 使 政 委 員 会 審 議 の 段 階 における 非 正 規 共 同 対 策 委 員 会 (2000 年 )の 関 わり 第 4 節 国 会 審 議 段 階 における 社 会 的 連 携 の 関 与 第 5 章 最 低 賃 金 の 引 上 げをめぐる 社 会 的 連 携 第 1 節 最 低 賃 金 引 上 げ 過 程 における 代 表 性 の 問 題 と 社 会 運 動 団 体 の 関 与 1

第 2 節 韓 国 における 最 低 賃 金 制 度 第 3 節 最 低 賃 金 連 帯 (2002 年 ~)の 連 携 関 係 の 内 実 終 章 2. 博 士 論 文 要 旨 内 容 本 論 文 は 1990 年 代 以 降 の 韓 国 における 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 がいかに 代 表 されたかを 明 らかにすること を 目 的 としている 周 辺 部 労 働 者 とは 非 正 規 雇 用 インフォーマル 部 門 での 労 働 や 失 業 などにより 労 働 市 場 の 中 心 から 排 除 されている 労 働 者 を 指 す かれらの 多 くは 労 働 市 場 における 低 い 地 位 によって 経 済 的 不 安 定 に 陥 っており また 既 存 の 労 使 関 係 からもこぼれ 落 ち 自 らの 利 害 を 代 表 する 手 段 を 持 たないという 問 題 を 抱 え ている こうした 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 を 代 表 するため 1990 年 代 末 以 降 韓 国 では 2 つの 新 たな 戦 略 的 運 動 が 現 れた それは これまで 既 存 の 労 働 組 合 から 排 除 されてきた 周 辺 部 労 働 者 の 問 題 を 取 り 上 げる 新 たな 労 働 運 動 組 織 の 登 場 であり 市 民 運 動 (Civic Movement)による 労 働 問 題 への 関 与 である 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 代 表 をめぐる 全 体 的 なダイナミズムを 捉 えるため 本 論 文 では 既 存 の 労 働 組 合 の 取 り 組 みを 視 野 に 入 れた 上 で 第 1 に 新 たな 労 働 運 動 組 織 による 組 織 化 過 程 を 明 らかにすることと 第 2 に 労 働 組 合 と 社 会 運 動 との 社 会 的 連 携 関 係 に 注 目 し 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 がどのように 政 策 過 程 に 反 映 されるかを 解 明 するという 2 つの 研 究 課 題 を 設 定 した その 際 新 たな 労 働 運 動 組 織 の 代 表 的 な 事 例 として 正 規 職 中 心 の 既 存 の 労 働 組 合 の 流 れとは 一 線 を 画 し いち 早 く 女 性 の 非 正 規 雇 用 問 題 に 取 り 組 んできた 韓 国 女 性 労 働 者 会 (KWWA)と 韓 国 女 性 労 働 組 合 (KWTU)という 女 性 労 働 運 動 組 織 に 焦 点 を 絞 っている その 上 で これらの 組 織 が 参 加 した 労 働 組 合 と 社 会 運 動 との 社 会 的 連 携 その 中 でも 非 正 規 職 保 護 法 の 法 制 化 と 最 低 賃 金 引 上 げに 影 響 を 与 えるために 形 成 された 非 正 規 共 同 対 策 委 員 会 (2000 年 ) 非 正 規 法 共 同 対 策 委 員 会 (2004 年 )と 最 低 賃 金 連 帯 (2002 年 ~) の 事 例 をとり 上 げている 新 しい 労 働 運 動 組 織 と 社 会 的 連 携 の 実 践 の 詳 細 を 捉 えるために 以 下 の 2 つの 分 析 視 角 を 設 定 した 第 1 は 労 働 NGO と 労 働 組 合 という 異 なる 形 態 の 女 性 労 働 運 動 組 織 による 活 動 を 総 合 的 包 括 的 に 捉 えるため 女 性 の 独 自 組 織 という 視 角 の 導 入 である つまり 独 自 組 織 の 定 義 を 職 場 で 団 体 交 渉 力 を 持 つ 労 働 組 合 とい う 狭 義 のそれに 限 定 せず 職 場 と 生 活 空 間 及 び 市 民 社 会 領 域 にまたがる 組 織 として 拡 張 して 理 解 し その 活 動 形 式 を 労 働 者 の 日 常 生 活 及 び 市 民 運 動 の 変 化 と 連 動 させて 捉 えようとするのである こうした 視 角 に 基 づき 本 論 文 では 2 つの 女 性 労 働 運 動 組 織 間 の 協 力 関 係 の 形 成 過 程 を 歴 史 的 な 脈 絡 から 把 握 し 女 性 非 正 規 労 働 者 の 利 害 代 表 をめぐって 両 組 織 がいかなる 役 割 分 担 関 係 をつくり 出 してきたのかを 多 角 的 に 分 析 している これによっ て 女 性 非 正 規 労 働 者 をめぐる 独 自 組 織 の 取 り 組 みの 多 様 性 を 把 握 することができるからである 加 えて 第 2に 社 会 的 連 携 の 形 成 過 程 及 び 各 参 加 団 体 の 役 割 を 検 討 する 際 には 連 携 関 係 を 形 成 する4つの 要 素 共 通 の 関 心 連 携 の 構 造 参 加 団 体 の 能 力 とコミットメント 連 携 活 動 のスケール に 基 づいた 分 析 を 行 2

い 既 存 の 労 働 組 合 市 民 運 動 と 女 性 の 独 自 組 織 とがどのような 役 割 を 果 たしたのかを 明 らかにする その 上 で 社 会 的 連 携 が 政 策 決 定 に 影 響 力 を 展 開 する 場 として 政 策 アリーナの 内 部 と 外 部 を 設 定 し 非 正 規 職 保 護 法 の 法 制 化 と 最 低 賃 金 の 引 上 げという 主 要 政 策 決 定 過 程 において 参 加 諸 団 体 が 相 互 に 果 たした 役 割 関 係 を 分 析 しようとした こうした 独 自 組 織 と 社 会 的 連 携 を 分 析 する 際 には 女 性 労 働 運 動 組 織 と 非 正 規 職 保 護 法 の 法 制 化 と 最 低 賃 金 引 上 げの 政 策 過 程 に 参 加 した 運 動 諸 団 体 に 関 する 第 1 次 資 料 に 加 え 2009 年 から 2014 年 まで 関 係 者 を 対 象 に 実 施 したインタビュー 調 査 及 び 参 与 観 察 から 得 られたデータを 用 いている これらの 資 料 は 女 性 労 働 運 動 組 織 や 社 会 的 連 携 に 参 加 した 運 動 諸 団 体 の 結 成 の 背 景 や 歴 史 組 織 運 営 や 活 動 また 非 正 規 保 護 法 の 法 制 化 や 最 低 賃 金 に 関 する 諸 団 体 の 問 題 意 識 などを 把 握 する 上 で 不 可 欠 である とりわけ 社 会 的 連 携 の 形 成 過 程 及 び 各 参 加 団 体 の 歴 史 に 関 しては 聖 公 会 大 学 民 主 資 料 館 で 段 ボール 箱 詰 めの 未 開 封 の 状 態 で 保 管 されていた 資 料 を 整 理 し た 上 で 用 いており これらによって 労 働 運 動 研 究 においてこれまで 研 究 の 対 象 として 注 目 されてこなかった 新 たな 労 働 運 動 組 織 と 市 民 運 動 団 体 の 活 動 及 び 役 割 を 実 証 的 に 解 明 することが 可 能 となる 以 上 の 問 題 意 識 と 分 析 視 角 に 基 づき つづく 本 文 では 歴 史 的 背 景 組 織 分 析 社 会 的 連 携 の 事 例 分 析 という 3つの 部 分 に 分 け 考 察 を 行 った 第 Ⅰ 部 では 周 辺 部 労 働 者 の 増 加 と それに 対 する 取 り 組 みが 登 場 する 歴 史 的 背 景 を 検 討 した まず 第 1 章 では 1987 年 の 民 主 化 以 降 市 民 社 会 及 び 労 働 体 制 労 働 市 場 労 使 関 係 労 働 政 治 の 変 化 に 焦 点 を 置 い た 市 民 社 会 領 域 においては 民 主 化 以 降 経 済 以 外 の 問 題 に 積 極 的 に 関 わっていた 市 民 運 動 が アジア 通 貨 危 機 以 降 経 済 構 造 の 変 化 中 間 層 の 崩 壊 により 貧 困 失 業 社 会 的 安 全 網 非 正 規 雇 用 の 問 題 などへの 関 与 が 増 加 するという 変 化 が 見 られた さらに 労 働 市 場 においては アジア 通 貨 危 機 以 降 大 企 業 正 規 中 心 の 安 定 的 な 内 部 労 働 市 場 が 縮 小 すると 同 時 に 中 小 企 業 非 正 規 雇 用 を 中 心 とする 外 部 労 働 市 場 が 拡 大 するなど 労 働 市 場 の 二 重 構 造 化 が 顕 著 になってきた これに 対 して 労 使 関 係 においては 正 規 職 労 働 者 を 中 心 とする 労 働 組 合 から 非 正 規 労 働 者 が 排 除 されてきた さらに 1987 年 民 主 化 以 前 の 労 働 運 動 を 主 導 していた 民 主 労 働 運 動 勢 力 は アジア 通 貨 危 機 以 降 合 法 的 なナショナルセンターとして 認 定 され 労 働 者 の 代 表 として 政 策 過 程 に 参 加 できたものの この 参 加 は 非 正 規 雇 用 の 増 加 をもたらす 労 働 の 柔 軟 化 政 策 に 合 意 する 代 わりに 得 られたもの であった 以 上 の 検 討 から 導 き 出 されたのは 非 正 規 雇 用 が 労 働 市 場 労 使 関 係 労 働 政 治 から 排 除 されてきた こと 及 び 市 民 社 会 がその 受 け 皿 になってきた 動 向 である さらに 周 辺 性 という 視 点 を 中 心 に 女 性 非 正 規 雇 用 の 実 態 を 考 察 したうえ その 実 態 と 非 正 規 労 働 者 をめぐる 既 存 の 労 働 組 合 の 取 り 組 みの 間 にずれがあったこ とを 明 らかにした 第 2 章 では 女 性 労 働 の 独 自 組 織 の 起 源 を 1970 年 代 の 軍 事 独 裁 政 権 に 対 抗 してきた 民 主 労 働 組 合 運 動 と 1980 年 代 の 女 性 運 動 の 分 化 から 探 り 組 織 形 態 の 特 徴 活 動 内 容 の 変 化 を 考 察 した 1970 年 代 の 民 主 労 働 組 合 運 動 と 1980 年 代 の 女 性 運 動 という 2 つの 流 れから 始 まった 韓 国 の 女 性 労 働 をめぐる 運 動 は 1987 年 に 韓 国 女 性 労 働 者 会 (KWWA)の 結 成 につながった 韓 国 女 性 労 働 者 会 (KWWA)は 進 歩 的 との 評 価 を 集 める 3

女 性 運 動 の 連 合 体 である 韓 国 女 性 団 体 連 合 (KWAU)との 密 接 な 関 係 に 基 づき 女 性 労 働 を 改 善 する 法 制 化 運 動 を 主 導 してきた だが 1990 年 代 半 ば 以 降 は 女 性 運 動 のテーマが 多 様 化 していくなか 低 所 得 層 女 性 をめぐる 労 働 のイシューは 女 性 運 動 の 中 心 課 題 から 遠 ざかるに 至 っていた また 韓 国 女 性 労 働 者 会 (KWWA)は 交 渉 力 を 持 たない NGO という 限 界 に 直 面 し 女 性 のみの 労 働 組 合 である 韓 国 女 性 労 働 組 合 (KWTU)を 結 成 するに 至 った こうした 歴 史 的 背 景 を 踏 まえた 上 で 第 Ⅱ 部 の 組 織 分 析 では 第 3 章 において 韓 国 女 性 労 働 者 会 (KWWA)と 韓 国 女 性 労 働 組 合 (KWTU)の 組 織 と 活 動 上 の 特 性 を 分 析 した 韓 国 女 性 労 働 者 会 (KWWA)は 周 辺 部 労 働 者 を 対 象 とした 生 活 と 就 労 の 支 援 サービスの 提 供 と 政 策 対 応 に 関 するアドボカシーという 生 活 空 間 と 市 民 社 会 領 域 にまたがる 活 動 を 担 ってきている 具 体 的 には 韓 国 女 性 労 働 者 会 (KWWA)は 労 働 相 談 貧 困 女 性 の 自 立 支 援 女 性 労 働 者 の 職 業 訓 練 職 業 斡 旋 家 事 労 働 者 の 組 織 化 といった 生 活 と 就 労 の 支 援 サ ービスを 提 供 するとともに アドボカシーなどの 政 策 対 応 活 動 を 担 ってきた これに 対 し 韓 国 女 性 労 働 組 合 (KWTU)は 多 様 な 業 種 にわたる 女 性 非 正 規 労 働 者 を 組 織 化 し 団 体 交 渉 を 行 うなど 職 場 における 利 害 に 基 づ いた 女 性 非 正 規 労 働 者 の 当 事 者 組 織 として 位 置 づけられる 第 Ⅲ 部 社 会 的 な 連 携 の 多 様 性 では 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 が 政 策 過 程 にいかに 反 映 されるのかを 社 会 的 連 携 を 中 心 に 考 察 した 第 4 章 では 非 正 規 職 保 護 法 の 制 定 に 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 が 反 映 される 過 程 を 社 会 的 争 点 化 労 使 政 委 員 会 審 議 国 会 審 議 という 3 つの 段 階 に 分 け 各 政 策 過 程 において 労 働 組 合 独 自 組 織 及 び 他 の 社 会 運 動 がいかに 連 携 関 係 を 形 成 し また これらの 連 携 活 動 が 政 策 決 定 過 程 にどの ような 影 響 を 与 えたかを 考 察 した その 考 察 から 社 会 的 争 点 化 労 使 政 委 員 会 審 議 の 段 階 で 形 成 され た 非 正 規 共 同 対 策 委 員 会 (2000 年 )の 事 例 では 非 正 規 雇 用 の 不 安 定 性 が 社 会 正 義 の 観 点 から 生 活 の 質 を 脅 かすものとして 共 通 に 認 識 されたことによって 多 様 な 運 動 団 体 が 社 会 的 連 携 の 結 集 に 繋 がっていたこ とを 解 明 した さらに 各 団 体 における 連 携 関 係 への 参 画 の 程 度 は 多 様 であったが なかでも 労 働 組 合 のみな らず 市 民 運 動 団 体 女 性 労 働 の 独 自 組 織 などの 積 極 的 な 関 与 が 確 認 できた 一 方 2004 年 発 表 された 政 府 案 に 反 対 するため 結 成 された 非 正 規 法 共 同 対 策 委 員 会 (2004 年 )は 非 正 規 職 保 護 の 法 案 が 国 会 で 審 議 される 際 に さまざまな 圧 力 をかけた これによって 同 法 案 は 国 会 審 議 の 段 階 で 労 使 が 直 接 議 論 できる 労 使 政 代 表 者 会 議 という 政 策 決 定 の 場 が 設 けられた しかし 非 正 規 法 共 同 対 策 委 員 会 (2004 年 )に 参 加 していた 諸 参 加 団 体 間 の 利 害 関 心 がくいちがっていたために さらに 仲 介 団 体 の 求 心 力 の 低 下 によって 社 会 的 連 携 に 参 加 した 労 働 組 合 と 他 の 社 会 運 動 間 の 関 係 は 解 散 に 至 らざるをえなかった こう した 非 正 規 職 保 護 法 をめぐる 社 会 的 連 携 の 考 察 を 通 じて 同 法 の 法 制 化 過 程 において 大 きく 影 響 を 与 えていたの は 労 働 組 合 の 組 織 的 な 動 員 よりも 市 民 社 会 における 社 会 的 連 携 であったことが 明 らかになった 第 5 章 では 最 低 賃 金 連 帯 (2002 年 ~)の 事 例 を 中 心 に 労 働 組 合 と 周 辺 部 労 働 者 の 独 自 組 織 及 びその 他 の 社 会 運 動 団 体 の 役 割 について 検 討 した 各 参 加 団 体 の 役 割 は 次 の 3 点 が 明 らかになった 第 1 は 韓 国 労 総 民 主 労 総 といった 既 存 の 労 働 組 合 による 政 策 過 程 のインサイダーの 役 割 と 政 策 過 程 と 他 の 4

社 会 運 動 とをつなぐ 架 け 橋 としての 役 割 である 両 組 合 は その 専 門 性 やインサイダーとしての 位 置 を 保 ちつ つ 最 低 賃 金 連 帯 (2002 年 ~)という 社 会 的 連 携 において 幹 事 団 体 の 役 割 を 担 っていたのである 第 2 は 最 低 賃 金 に 直 接 的 な 影 響 を 受 けている 当 事 者 を 組 織 化 した 団 体 の 存 在 が 政 策 過 程 に 参 加 する 労 働 組 合 に 正 当 性 を 与 えていたことである その 代 表 的 な 例 としては 韓 国 女 性 労 働 組 合 (KWTU)と 韓 国 青 年 ユニオンがあ る 第 3 は 社 会 的 な 影 響 力 と 道 徳 的 な 権 威 に 基 づく 支 援 の 役 割 である 参 与 民 主 社 会 と 人 権 のための 市 民 連 帯 や 経 済 正 義 実 践 市 民 連 合 といった 社 会 的 な 影 響 力 をもつ 市 民 運 動 団 体 の 参 加 を 得 て 周 辺 部 労 働 者 の 抱 える 低 賃 金 の 問 題 が 社 会 的 経 済 的 公 正 の 観 点 から 押 し 出 されるようになった これらの 参 加 諸 団 体 の 役 割 が 相 互 補 完 的 に 作 用 し 最 低 賃 金 に 対 する 社 会 的 な 関 心 が 寄 せられた 結 果 最 低 賃 金 連 帯 (2002 年 ~)という 社 会 的 連 携 関 係 の 形 成 が 使 用 者 側 や 政 府 にも 圧 迫 をかける 有 効 な 戦 略 となったのである 終 章 では これまでの 議 論 を 総 括 するとともに 今 後 の 課 題 を 提 示 した 以 上 の 本 論 文 の 考 察 を 通 じて 以 下 の 知 見 を 提 示 することができる 第 1 は 女 性 労 働 運 動 組 織 間 における 相 互 補 完 的 な 協 力 関 係 あるいは 役 割 分 担 関 係 である 本 論 文 で 検 討 した 2 つの 女 性 労 働 運 動 組 織 は 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 と 深 く 関 与 しつつ 多 面 的 な 活 動 を 展 開 してきた これらの 組 織 は 労 働 NGO と 労 働 組 合 という 異 なる 組 織 形 態 を 持 つことによって 幅 広 い 活 動 領 域 を 担 うことができ またそれを 可 能 とする 明 確 な 役 割 分 担 関 係 を 有 していた この 点 から 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 を 代 表 するためには 活 動 範 囲 を 労 働 条 件 の 改 善 や 雇 用 安 定 といった 職 場 における 活 動 だけ に 留 めることなく 職 場 生 活 市 民 社 会 領 域 をつなぐ 多 面 的 な 活 動 を 展 開 することが 周 辺 部 労 働 者 の 現 実 に 合 致 した 戦 略 となりうるとの 示 唆 を 得 ることができるだろう 第 2 に 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 を 政 策 過 程 に 反 映 するにあたって 現 に 労 働 組 合 以 外 の 多 様 なアクターが 関 与 した 事 実 が 重 要 である 社 会 的 連 携 に 参 加 した 運 動 団 体 の 特 徴 を 運 動 分 野 政 治 的 志 向 民 主 化 運 動 への 関 わり 方 という 歴 史 的 な 経 緯 運 動 スタイルなどを 基 準 に 分 類 して 検 討 した 結 果 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 をめぐ る 政 策 過 程 には 既 存 の 労 働 組 合 をはじめ 民 衆 運 動 市 民 運 動 女 性 運 動 などに 関 わるさまざまな 諸 団 体 が 参 加 していたことが 明 らかになった 本 論 文 における 非 正 規 共 同 対 策 委 員 会 (2000 年 ) 非 正 規 法 共 同 対 策 委 員 会 (2004 年 ) 及 び 最 低 賃 金 連 帯 (2002 年 ~)の 分 析 から 浮 かび 上 がったのは 韓 国 における 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 代 表 には 既 存 の 労 働 組 合 以 外 の 女 性 の 独 自 組 織 を 始 めとした 新 たな 労 働 運 動 組 織 及 び 市 民 運 動 団 体 の 参 加 による 社 会 的 連 携 とその 裾 野 の 広 がりが 決 定 的 な 役 割 を 果 したという 事 実 である こう した 知 見 は 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 の 代 表 において 既 存 の 労 働 組 合 の 取 り 組 みだけに 注 目 する 視 角 を 越 え て 周 辺 部 労 働 者 の 独 自 組 織 の 取 り 組 みと 市 民 社 会 とりわけ 市 民 運 動 といった 社 会 運 動 の 役 割 を 分 析 の 射 程 に 取 りこんだ 本 論 文 の 独 自 の 方 法 視 角 から 明 らかにしえたと 言 うことができるだろう 本 論 文 が 取 り 上 げた 1997 年 のアジア 通 貨 危 機 から 非 正 規 職 保 護 法 が 制 定 された 2006 年 までの 約 10 年 間 は 民 主 化 運 動 勢 力 の 支 持 を 基 盤 としていた 金 大 中 政 権 と 盧 武 鉉 政 権 によって 政 治 社 会 における 民 主 化 改 革 が 行 われると 同 時 に アジア 通 貨 危 機 の 影 響 を 受 け 新 自 由 主 義 政 策 が 本 格 的 に 展 開 しはじめた 時 期 である とりわ け この 時 期 から 既 存 の 労 働 組 合 に 包 摂 されない 労 働 者 層 の 増 加 によって 労 働 者 の 代 表 性 に 対 する 懐 疑 の 念 が 社 5

会 的 に 強 くなり 労 働 組 合 の 衰 退 が 顕 著 になってきた 本 論 文 は 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 をめぐって 市 民 運 動 及 び 新 たな 労 働 運 動 組 織 労 働 組 合 の 間 に 連 携 形 成 の 動 きが 顕 在 化 し 始 めた 時 期 に 注 目 し その 経 緯 を 捉 えた 本 論 文 で 明 らかにしてきたように 韓 国 の 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 代 表 の 動 きは 新 しい 労 働 運 動 組 織 と 市 民 運 動 が 既 存 の 労 働 組 合 の 影 響 力 低 下 を 補 って 余 りあるかたちでなされてきた 民 主 化 政 権 に 続 く 保 守 政 権 李 明 博 政 権 と 朴 槿 恵 政 権 期 において 新 自 由 主 義 政 策 がより 一 層 加 速 化 されている 今 日 新 たな 労 働 運 動 組 織 及 びの 社 会 的 連 携 の 動 向 が 今 後 の 周 辺 部 労 働 者 の 利 害 代 表 をめぐる 労 働 政 治 にどのように 影 響 を 与 えるかについて 本 論 文 の 分 析 視 角 を 用 いつつフォローアップする 必 要 がある 6