神奈川地区支部データ管理第一課長松井茂 1. はじめに道路管理センター神奈川地区支部では 横浜市管理の道路照明灯について紙ベースの管理から道路台帳図を活用したシステム管理の 要望に対応したシステム開発とデータベース 作成 ( データ入力 ) を業務受託で実施しまし た その業務内容について報告するものです 2. 経緯について 平成 23 年 3 月 11 日に発生した東日本大震災において電力供給制限により計画停電が実施されました 横浜市においては道路照明灯の消灯箇所の選定及び電力使用量減少対策を実施しました 横浜市の道路照明灯管理台帳は 全ての区が紙台帳による管理となっていたため 消灯箇所の検討及び電力量減少の報告に時間を要しました また 照明灯の点検 補修管理台帳も紙台帳によって管理しており 点検補修計画策定等に時間を要していました こうした状況を背景として この度横浜市より道路照明灯管理業務を効率化するために 道路照明灯の物件管理及び点検 補修履歴管理を一元的に実施するため 横浜市で運用中 総合管理システム ) の基本機能をカスタマイズして オンライン (WEB) により地図情報と一括管理できるシステム開発を受託しました 合わせて道路照明灯のデータ入力を受託しました なお データ入力で作成した道路照明灯のデータベースは 横浜市道路局で運用中の 道路局統合 GIS に移植し その後のデータの追加削除等は横浜市役所内 NW システムで運用します 開発にあたっては システム導入 WG を横浜市 道路管理センター 開発ベンダーで発足させ 早期導入に向けた体制を構築し開発仕様及び開発コストについて検討を実施しました の残置物件システム ( 現在は 横浜市道路 表 -1 道路照明灯管理システム導入 WG 開催内容 回数 開催年月日 W G 検 討 内 容 決 定 事 項 1 H23.7.8 道路照明灯管理システム化の検討開始 システム仕様の検討開始 2 H23.8.12 システム構築と開発コストについて 現行システムを活用する 3 H23.11.10 開発スケジュール 仕様の検討 導入時期決定 (H24.3) 4 H23.12.13 開発仕様内容の検討 開発仕様 画面等の決定 5 H24.1.11 開発仕様 (DB 仕様 画面フロー ) の検討開発仕様の決定 6 H24.2.8 システム仕様の内容検討と確認開発内容の決定 道路管理センター情報第 44 号 3
3. 目的道路照明灯物件の情報を 現在の紙ベースによる管理から地域の地図情報とあわせてシステム上で容易に管理を可能とすることを目的とします WEB 化によるレスポンスの向上を実現して 対象の道路照明灯における物件情報の迅速な確認や道路局と各土木事務所間で物件情報の共有化を実現することを目的としています ( 図 -1 参照 ) 1 既存 ( 横浜市道路総合管理システム ) のネットワーク構成を利用しています 2 Web 化のため端末利用者のライセンス費用が不要となります 3 GIS エンジンの国際標準化に対応しています など今後の互換性を考慮し開発しました WEB? 図 -1 システム導入後のイメージ図 4. 道路照明灯管理の現状道路照明灯の管理は 区ごと (18 区 ) に全て紙台帳により管理しています 管理内容と台帳の関係は下記のとおりです 1 管理台帳 照明灯設備名称 管理番号 設置場所 種別 設置形式 ランプ種別 器具等の道路照明灯に関する基本情報を一覧表にしたものです 一部の区はデータ化されています 2 竣工図書 道路照明灯を新設又は更 改等を実施した時の工事竣工図書です 管理台帳の基になる資料です 3 照明灯位置図 道路照明灯の設置位置を住宅地図に記入した図面です 照明灯の設置位置と管理番号が記入されています 現状の管理台帳は 下図のとおりです ( 図 -2 参照 ) 4 道路管理センター情報 第 44 号
管理台帳 図 照明灯 図 図 -2 現状の道路照明灯管理台帳 5. 道路照明灯管理システムについて (1) システム化の目的現在 道路照明灯の管理は紙の地図や 手作りの Excel データで行っています そのため 必要な情報を探すのに時間がかかることや 情報を集計したいといったことが困難など課題がありました これをシステム化することにより 必要な情報を即時に表示 印刷ができ また 入力されたデータ ( 照明灯の種別や点検 補修履歴等 ) をシステムから集計 出力することが可能となり道路照明灯管理の手間を大幅に削 減することができるようになります (2) システム構築本システムは 既に横浜市の業務対応で構築 運用している 横浜市道路総合管理システム 内に追加機能を組み込み対応することにしました この現行システムの資源を有効活用することで非常に有効的 ( 開発期間の短縮 ) かつ安価 ( 既存のハード及びソフトウェアの利活用 ) に システムを構築することが出来ました 道路管理センター情報第 44 号 5
VPN (3) システムの主な機能 システムの主な機能は以下のとおりです ア. 各種照明設備の作図機能 地図画面へ 照明灯 分電盤 ト ンネル灯 などのアイコンを配置する 図 -3 システム構成図 ( イメージ図 ) WEB ことが可能となり 現場の何処に照明 灯が配置されているか 画面地図上か らひと目でわかります 図 -4 照明灯の表示機能 アイコン紹介 ( 一部抜粋 ) 6 道路管理センター情報 第 44 号
イ. 各種照明設備の管理機能 道路照明 分電盤 隧道 橋梁 の詳細情報を登録することができます 地図上から見たい照明灯アイコンを 道路照明分電盤 クリックすることで 簡単にその照明灯の詳細情報を参照することが可能となります 隧道 橋梁 図 5 照明灯管理内容の表示図 -5 照明灯管理内容の表示ウ. 補修履歴の管理機能照明灯の補修内容を管理することが一覧で 履歴情報を確認することが可できます 補修内容は 履歴管理され 能になります 補修情報の一覧 補修情報の入力画面 4 図 -6 補修履歴の表示エ. 点検履歴の管理機能照明灯の点検内容を管理することがた一覧で 履歴情報を確認することができます 点検内容は 履歴管理され可能になります 道路管理センター情報第 44 号 7
点検情報の 点検情報の 力 図 -7 点検履歴の表示 オ. 各種道路照明灯台帳の出力 印刷機能登録した 照明灯の詳細情報 補修 履歴 点検履歴 は 台帳として印刷 することが可能になります 図 8 各種道路照明灯の管理台帳 図 -8 各種道路照明灯の管理台帳 8 道路管理センター情報 第 44 号
カ. 絞り込み条件設定による表の作成 (CSV 出力 ) 機能登録した情報は さまざまな条件 ( 照明灯の種別 年度ごとや区ごと等 ) で抽出することができ さまざまな形での集計が可能になります 抽出したものは CSV 形式ファイル で出力が可能となります CVS データは汎用性が高く Excel やデータベースソフト等の様々なソフトウェアに取り込むことができ 自由に編集 操作ができます イ ー 図 CSV 2012/4/1 イ ー 図 CSV CSV 図 -9 各種 CSV ファイル出力の表示 道路管理センター情報第 44 号 9
6. 道路照明灯管理業務受託の内容について道路照明灯管理のシステム開発及びデーシステム開発の費用を安価にできる点などタ入力業務については 記述のとおり道路を挙げて 神奈川地区支部長を筆頭に横浜管理センターで運用している 横浜市道路市と折衝を重ねた結果 道路管理センター総合管理システム の1GIS とデータベーが業務受託することができました スミドルウェアソフトが利用できる 2ベー業務受託は 平成 23 年度から平成 27 年スマップを道路管理システムの道路 地形度までシステム開発 道路照明灯のデータデータ (= 横浜市道路台帳図 ) を使用して入力を受託しました いる 3 横浜市及びシステム参加企業者の各年度の業務内容は下記の表 -2のとおネットワーク設備と端末機が利用できる りです など 既存のシステム環境を利活用でき 表 -2 各年度の業務受託内容 年度業務受託内容対象区名 入力数 ( 計画箇所 ) 記 事 23 システム開発 データ入力 ( 試行 ) 西区 2,260 24 データ入力 システムサポート中 磯子 緑 青葉 都筑区 20,512 25 データ入力 システムサポート 保土ヶ谷 戸塚 旭 瀬谷 栄 泉区 15,990 26 データ入力 システムサポート鶴見 神奈川 港北 南区 8,300 27 データ入力 システムサポート金沢 港南区 5,000 データ入力完了 28 システムサポート横浜市に移行 データ入力業務は 平成 27 年度で 横浜市 18 区 道路照明灯 52,062 個所の入力が完了します 平成 28 年度以降は 入力した道路照明灯データを 横浜市道路局統合型 GIS に移植し 点検 補修業務のデータベースとして 活用することになっています なお 道路照明灯管理システム運用開始後は システムサポート業務を受託し ハードウェア及びソフトウェアの保守業務を実施することにより業務運用に支障が発生しないように対応しています 7. おわりに道路管理センター神奈川地区支部では各システム参加者が道路付属物 道路占用物件を適正かつ円滑に管理できるように 横浜市道路総合管理システム のシステム資源を活用して取り組みました 今回 道路照明灯管理システムの構築及びデータ入力に関して御指導 御鞭撻をいただきました 横浜市道路局道路部施設課の皆様及び本システム開発に協力していただきました開発ベンダー等関係各位に感謝いたします 今後も道路管理センターのシステム資源を活用して 新たな業務受託実施に向けて取り組みますので ご理解のほどよろしくお願いします 10 道路管理センター情報 第 44 号