InfiniiSimによるオシロスコープの観測点移動

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Keysight Technologies InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 シミュレーションを利用した仮想プロービングポイントでの波形表示 Application Note

02 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note はじめに Infiniium シリーズオシロスコープは測定した波形にオプションの InfiniiSim 機能によるシミュレーションを適用することにより回路条件等を変えた場合の波形を表示することができます 本書では InfiniiSim(Advanced 版 ) を使用してプローブポイントを別の場所に移動した場合の波形を表示する基本的な手順をご説明いたします InfiniiSim の効果 同一の信号もプローブを接続 する位置で波形は異なる 高速のデジタル信号は伝送線路で発生する信号の反射やロスにより波形は線路上の位置によって異なった形状になっています チップ間で通信される信号の品質を正しく評価するためには受信側チップの入力において波形を観測する必要があります InfiniiSim による観測点移動 とは 図 1. プローブ接続位置による波形の違い緑 : 線路中の VIA で測定黄 : チップ直下の VIA で測定 チップの BGA パッケージ化や基板実装の高密度化により希望する場所にオシロスコープのプローブを接続することが不可能な場合が少なくありません InfiniiSim はシミュレーションによりプローブ接続点とは異なる位置での波形を表示することができますので これにより本来評価すべき波形を観測 評価することが可能となります 図 2. InfiniiSim により観測点を移動した波形緑 :InfiniiSim により観測点をチップ直下の VIA に移動したシミュレーション波形黄 : チップ直下の VIA での実測波形

03 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note InfiniiSim 使用手順 回路データの準備 サンプル回路 下図のようなコントローラと DRAM の間の信号の観測を例とします VIA に接続したプローブで測定した波形をもとに InfiniiSim を使用して DRAM の入力での波形を表示します InfiniiSim を使用する際には A~E の情報が必要となります C プローブ Controller A 出力抵抗 実測箇所 VIA DRAM E 終端抵抗 図 3. サンプル回路 B D 表示したい箇所 A. コントローラの出力抵抗 DRAM 側 ( 受信側 ) に観測点を移動する場合にはコントローラの出力抵抗の設定は InfiniiSim の初期値のままでもある程度シミュレーションできますが より正確にシミュレーションを行うには送信側の出力抵抗値をご用意ください 出力抵抗がコントローラーチップ内にある場合にはチップの仕様も確認する必要があります より正確なシミュレーションのために出力抵抗からコントローラ側の反射特性をネットワーク アナライザで測定した ( あるいは回路設計シミュレーターなどで得た )S パラメータ ( シングルエンドでは s1p 差動では s2p) を利用することもできます B. 出力抵抗から VIA( 実測箇所 ) までの伝送線路特性 DRAM 側 ( 受信側 ) に観測点を移動する場合には出力抵抗から VIA( 実測箇所 ) までの設定は InfiniiSim の初期値のままでもある程度シミュレーションできますが より正確にシミュレーションを行いたい場合には出力抵抗から VIA までの伝送線路特性をご用意ください 伝送線路の特性情報として出力抵抗と VIA の間の伝送路の S パラメータ ( シングルエンドでは s2p 差動では s4p) を用意します S パラメータデータはネットワークアナライザで実測 あるいは基板設計シミュレーターなどから得たものを使用します シミュレーションの正確さは劣りますが InfiniiSim では簡易的に線路の特性インピーダンスと遅延時間の値を使用することもできるようになっています C. プローブの入力特性 オシロスコープのプローブは厳密には R L C でモデル化される等価回路になりますので プローブを接続することは回路に負荷を接続することと同等になります プローブによる負荷の影響を除いた波形を表示するためにプローブの入力特性の情報を使用します 弊社の標準的なプローブについてはあらかじめオシロスコープに特性データが組み込まれています

04 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note D. VIA ( 実測箇所 ) から DRAM 入力までの伝送線路特性 出力抵抗と VIA ( 実測箇所 ) までの間の伝送路の S パラメータ ( シングルエンドでは s2p 差動では s4p) を用意します S パラメータデータはネットワーク アナライザで実測 あるいは基板設計シミュレーターなどから得たものを使用します DRAM 側 ( 受信側 ) に観測点を移動する場合にはシミュレーション上重要な特性となります 正確なデータを入手してください S パラメータは等間隔の周波数 (10MHz ステップなど ) でのデータが望ましいです E. 終端抵抗 終端抵抗の設定は InfiniiSim の結果に大きな影響を与えます 可能であれば終端部の S パラメータ ( シングルエンドでは s1p 差動では s2p) を入手してください S パラメータを入手できない場合には終端の抵抗値を調べて入力してください 終端抵抗がチップ内にある場合もありますのでチップの仕様も確認する必要があります IBIS モデルのようなチップの入力部分の R L C によるモデルが入手可能な場合には InfiniiSim 上に R L C の回路として入力することもできます R L C によるモデルの正確さは S パラメータを使用した場合より劣ります 回路モデルの入力 InfiniiSim の開始 S パラメータについて高周波用の回路や伝送路などのデバイスに信号を入射した場合 信号が進む経路は 2 つあり 1 つはデバイスの入力で反射される経路 もう 1 つはデバイス内部を伝送して出力される経路となります デバイスに正弦波信号を入射し 正弦波信号の周波数を変化させて周波数ごとの反射信号 伝送信号の大きさを測定したものが S パラメータです 反射信号 伝送信号の大きさは入射信号に対する測定信号の比で表します 測定にはネットワーク アナライザを使用します 回路や基板の設計に使用するシミュレータには S パラメータを生成する機能を持つものもあります また デバイスメーカーが自社のデバイスの S パラメータを提供している場合もあります InfiniiSim では Touchstone 形式で保存した S パラメータ データを利用することができます プリント基板のパターンなどの伝送路は伝送信号 反射信号の S パラメータ (S11,S21,S12,S22) を格納した拡張子.s2p のファイルを使用します 受信 IC の入力抵抗 ( 終端抵抗 ) 送信 IC の出力抵抗は反射信号の S パラメータ (S11) を格納した拡張子.s1p のファイルを使用します 差動線路の場合には 4 ポートのデバイスの S パラメータ ( 伝送信号 反射信号は.s4p 反射信号のみは.s2p) を使用します Channel Setup 画面を開きます ( メニュー Setup->Channel<n>) InfiniiSim セクションで下記を選択します 2Port シングルエンド測定の場合に選択 4Port(Channel s1 & 3) Channel1,3 を使用した差動測定の場合に選択 4Port(Channel 1) Channel1 で差動プローブを使用した差動測定あるいはコモンモード測定の場合に選択 図 4. Channel Setup 画面

05 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note Create Transfer Function from Model をクリック 図 5. Infiniium Setup 画面 General purpose 9 blocks を選択 図 6. 構成の選択 9block モデルが表示されます 図 7. 9 ブロックモデル

06 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note 回路のモデル化 サンプル回路は図のように 9 ブロックの InfiniiSim モデル上に配置することができます A 出力抵抗 B Bridge D Controller-VIA VIA-DRAM E 終端抵抗 Transmitter Source Transmitter Channel General Purpose General Purpose Receiver Channel Receiver Load + - General Purpose 表示したい箇所 C プローブ Probe 実測箇所 図 8. 9 ブロックモデルへのサンプル回路の配置 A. コントローラの出力抵抗 初期値は 50Ω になっています 変更する場合にはモデルの抵抗記号の上をクリックして設定画面を開きます Port1 が出力抵抗の値です Measurement Circuit と Simulation Circuit の両方に送信側の出力抵抗値を入力します (Port2 は終端抵抗の値です 後で設定します ) 出力抵抗値の代わりに出力抵抗からコントローラ側の反射特性を測定した S パラメータ (.s1p) を使用する場合には Transmitter Source ブロックで S パラメータのデータファイルを指定します この場合も Measurement Circuit と Simulation Circuit の両方に同じ S パラメータファイルを指定するようにします S パラメータを使用する場合には出力抵抗ブロックの Port1(Source Resistor) の抵抗値は 50Ω としてください 図 9. 出力部ブロック 図 10. 出力抵抗値の設定 観測点移動を行う場合には各ブロックの Measurement Circuit と Simulation Circuitの設定を同じにしておきます ただし 実際の回路素子の代わりに異なる定数の素子を使用したときの波形を表示したい場合にはMeasurement Circuit に実際の素子の定数を Simulation Circuitに置き換えたい素子の定数を入力します

07 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note B. 出力抵抗から VIA までの 伝送線路特性 D. VIA から DRAM 入力までの伝送線路特性 図 11. 伝送路部ブロック 出力抵抗と VIA の間の伝送 反射特性の S パラメータ (.s2p) ファイル VIA から DRAM までの伝送 反射特性の S パラメータ (.s2p) ファイルをそれぞれ指定します Measurement Circuit と Simulation Circuit の両方に同じ S パラメータファイルを指定します 図 12. S パラメータの設定 C. プローブの入力特性 Probe ブロックにプローブの特性を設定します Measurement Circuit には使用しているプローブヘッドの型番を指定するか S パラメータデータを指定します InfiniiMax 差動プローブ用のプローブヘッドの S パラメータデータはオシロスコープの下記のフォルダに格納されています C:\Users\Public\Documents\Infiniium \Filters\Probes\InfiniiMax 図 13. プローブ部ブロック Simulation Circuit にはプローブの回路に対する負荷を取り除いた状態での波形を表示するために Open(= 無負荷 ) を指定します 図 14. プローブ負荷の設定 図 15. Open の設定

08 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note E. 終端抵抗 初期値は 50Ω になっています 変更する場合にはモデルの抵抗記号の上をクリックして設定画面を開きます Port2 が終端抵抗の値です Measurement Circuit と Simulation Circuit に所望の抵抗値を入力します (Port1 は出力抵抗の値です Port1 と Port2 に別の値を設定する場合には Applies to all のチェックをはずしてから設定を行います ) 終端抵抗値の代わりに終端部の反射特性を測定した S パラメータ (.s1p) を使用する場合には Receiver Load ブロックで S パラメータのデータファイルを指定します この場合も Measurement Circuit と Simulation Circuit の両方に同じ S パラメータファイルを指定するようにします Receiver Load ブロックに S パラメータを使用する場合には終端抵抗ブロックの Port2(Load Resistor) の抵抗値は 50Ω としてください 図 16. 出力部ブロック 図 17. 終端抵抗値の設定 R L C による回路モデルの使用 チップの入出力部などの R L C による回路モデルが入手できる場合にはこれを InfiniiSim のブロックに入力することができます Block Type として Combination of Sub -circuits を選択します これによりブロック内に 3 つまでのサブブロックを作成できます サブブロック間の接続は Cascade /Parallel/Series が選択できます 各サブブロックのタイプに RLC を選択すると R L C の値を入力できます 図 18. R,L,C モデルの入力例

09 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note その他のブロック Bridgeブロックは開放としますので初期値のまま (Measurement Circuitと Simulation Circuitの両方がOpen) とします その他のブロックにはIdeal Thru ( 理想伝送線路 : 減衰無し 線路長 =0) とします 図 19. Bridge ブロック 図 20. Ideal Thru の設定 観測点の指定 S マークが観測点の位置を示します InfiniiSim を適用するとこの部分での波形がオシロスコープ画面に表示されます 観測点を別のノードに設定したい場合にはノード上の をクリックして S マークを移動してください 図 21. 観測点マーク M マークは実測点です プローブを使用する場合には初期設定の Probe ブロックと 50Ω 抵抗の間のままで結構です 図 22. 完成したモデル

10 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note モデルの保存 保存する InfiniiSim モデルのファイル名を指定し Save Transfer Function をクリックして作成したモデルを保存します 問題なく保存が完了すると Successful とメッセージが表示されます OK をクリックしてモデル作成画面を閉じて結構です モデルの誤りにより観測信号が極端に小さくなる等の場合や不適切な S パラメータが使用されている場合にはエラーメッセージが表示され データは保存されません モデルを修正して再度保存を行ってください 図 23. モデル保存 図 24. 完了時の表示 InfiniiSim の実行 モデル保存後 あるいは既存のモデルを読み込み後からオシロスコープ上に表示される波形はInfiniiSimを適用したものになります 波形表示とともにInfiniiSimに関する情報 ( 図 25ではFrequency Response) が画面下部に表示されます 図 25. InfiniiSim モデル (Transfer Function) の周波数特性表示 ( 下段 黄線 ) 図 26. InfiniiSim モデル (Transfer Function) のインパルス応答表示

11 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note InfiniiSim 実行時の設定 (InfiniiSim Setup) モデル作成画面を閉じると InfiniiSim Setup 画面が表示されます 各パラメータは初期値のままでも波形は表示できますが 下記のように適宜設定を変更してください - Include Filter Delay 初期設定ではモデルで作成された特性どおりに波形にディレイ ( 時間軸方向へのシフト ) を適用します もとの波形との比較がしやすいようディレイを除いた波形を表示させることも可能です - Bandwidth Limit 必要以上に広い周波数帯域で InfiniiSim を適用するとノイズを増幅してしまう場合があります 信号を観測するのに必要十分な帯域に制限することで不要なノイズを低減させることができます 図 27. InfiniiSim Setup - Filter Size Max Time Span を大きくすると Min Frequency Resolution( 周波数分解能 ) が小さくなり分解能が向上しますが処理時間が長くなります 図 26 のように表示されるインパルス応答波形が左右の両端で収束する ( 両端がフラットになっている ) よう Max Time Span が設定されていれば結構です チャネル設定 - Acquisition HW Acquisition HW で指定する Scale( 垂直軸 1 マスの電圧 ) Offset( 画面中央での電圧 ) は実際の信号を取得する際の設定になります InfiniiSim オフの状態の波形を観測し 波形が画面からはみださない範囲でなるべく大きく表示されるように設定すると測定される信号の品質が最良になります - Display InfiniiSim 適用後の波形を画面に表示する際の Scale Offset を設定します Auto をチェックすると Acquisition HW の設定と同じになります - Show Raw Channels InfiniiSim を適用していない状態での波形を表示します 図 28. Channel Setup

12 InfiniiSim によるオシロスコープの観測点移動 Application Note コンプライアンスアプリケーションでの InfiniiSim の利用 InfiniiSimはDDR USB Ethernetをはじめ様々なコンプライアンスアプリケーションでも使用することができます 作成したInfiniiSimのモデル (.tf2 差動は.tf4) をコンプライアンスアプリケーションから読み込みことでき コンプライアンステスト内で測定された波形にInfiniiSimが適用されます InfiniiSimモデルを適用するにはコンプライアンスアプリケーションのメニュー Tools->Infiniium->InfiniiSim.. を選択します 表示された画面のBrowseをクリックして InfiniiSimモデル (.tf2 差動の場合は.tf4) を読み込みます 画面上のパラメータを適宜変更します 表示されている設定項目は図 27の InfiniiSim Setup 画面に表示されるものと同じです 図 29. アプリケーションの Tools メニュー 使用するチャネルすべてについて上記の設定を行ってください これによりInfiniiSimが適用された後の波形に対してコンプライアンステストが行われます 図 30. アプリケーションの InfiniiSim 設定画面

関連情報 - N5465A InfiniiSim 波形変換ツールセット Data Sheet (5990-4059JAJP) - N5465A InfiniiSim Waveform Transformation Toolset Software User's Guide - W3630-Series DDR3 DRAM BGA Probes Installation Guide (W3631-97005) - ベクトル ネットワーク解析の基礎 (5965-7707J ) キーサイト テクノロジー合同会社本社 192-8550 東京都八王子市高倉町 9-1 計測お客様窓口受付時間 9:00-18:00( 土 日 祭日を除く ) TEL 0120-421-345 (042-656-7832) FAX 0120-421-678 (042-656-7840) Email contact_japan@keysight.com ホームページ www.keysight.co.jp 記載事項は変更になる場合があります ご発注の際はご確認ください Keysight Technologies. 2015 Published in Japan, June 30, 2015 5992-0735JAJP 0000-08A