_ Bluetooth アナライザの正しい配置 はじめに 全バンド同時記録のスニッファーを用いて Bluetooth トラフィックをキャプチャするのは簡単です アナライザの電源を入れ キャプチャを開始するだけですぐにトラフィックが表示されます しかし どの無線技術についてもいえる事ですが トラフィックを正確にキャプチャするための理想的なアナライザ配置について注意しなければならないことがいくつかあります この文書は いくつかのためになる実践的情報と 2, 3 の回避すべき落とし穴について説明します アナライザの配置アナライザは デバイスがアンテナにあまり近づきすぎないようにして なるべくキャプチャするデバイスの間に配置すべきです アナライザと各デバイス間の理想的な距離は約 1m です あり得る最悪の配置は デバイスがお互いに非常に近くてアナライザが離れている場合です この状況では デバイスは伝送電力を最小に減らすためにアナライザは非常に弱い信号しか受信できず 従って干渉を受けやすくなります アンテナの輻射パターンに注意各デバイスのアンテナ輻射パターンを最低限理解することはとても重要です これはよく誤解される概念で 不十分な無線の品質につながり 直観的でないので検出が困難です 簡単に言えば アンテナはパワーを全ての方向に等しく送出せず ブラインドスポットに対してはほとんどの場合何も出さないか弱いパワーで送出しています 携帯電話を例にとってみると スクリーンの前後方向に送出していて 横方向には弱い信号を出しています テーブルに携帯電話を横に置いた場合 典型的に弱い伝送品質しか得られません 受信装置が弱い信号を受信した時 携帯電話に対して電力レベルを上げるように伝えます このケースでは さらに悪いことに これらのブラインドスポットへの伝送パワーが弱まるばかりでなく歪んでしまいます デバイスは 相互に監視し伝達できると思いますが 再送が非常に多くなります アナライザは再送要求を出せないので このようなトラフィックを完璧にキャプチャすることは不可能で その結果トレースの品質は悪くなります 1
_ 輻射パターンとアンテナのタイプに関するより詳しい情報は Expert Note Understanding Antenna s Radiation Pattern を参照してください 干渉の回避 干渉は キャプチャ時のもう一つの問題で その干渉の原因を突き止めるのは直観的ではありません シンプルな例をあげます ノート PC の隣にアナライザがあり デバイスがノート PC の右と左に置かれているとします この配置は良さそうに見えますが 通常 WiFi アンテナはノート PC の画面の縁に沿ってつながれています アナライザをノート PC の画面に近づけ WiFi を ON にすると WiFi がアナライザのアンテナに強く伝送され 実際に非常に悪くなります Bluetooth デバイスが遠くにあるので WiFi それほどまでに干渉しないのですが より悪いことに そのためその周波数エリアを回避しません 画面は非常に良い無線シールドですので デバイスとアナライザの間にスクリーンを置かないようにしましょう 配置例以下の図は 配置のいい例と悪い例を示しています 図は概念を示すためのもので 実際の製品 モデルを示しているわけではないことに注意してください 多くの携帯電話が テーブル上に横に置くと性能が非常に悪くなるのに対し いくつかの携帯電話は同じ状況でも問題なく動作するようにデザインされているようです 推奨する配置 : アナライザをキャプチャ対象の双方のデバイスの間に それぞれのデバイスから約 1m 離して配置するのが理想的です また デバイスの輻射パターンも正しいことを確認してください 携帯電話の横置き : 2 つの携帯電話がテーブルの上に横置きにされています チップアンテナがこの状態でも正しく動作するようにデザインされていない限り これらの携帯電話は通信を行うのが困難です 2
_ 通常の携帯電話 : このケースではほとんどの携帯電話にとって理想的な配置となるように携帯電話は縦に置かれています 水平ドングル : ほとんどのドングルはチップアンテナを使用していて ほとんどのチップアンテナは垂直時に良好な輻射パターンを持っています そのように使われると解っていても 水平に使用した場合 ほとんどのドングルは低い性能になります 垂直ドングル : この場合 ドングルを垂直に出来るようなアダプタを用いてノート PC に接続されるので アンテナは最適な配置にできます 偽造アンテナ付きドングル : このタイプの Bluetooth ドングルには注意してください このモデルは 常に最適な配置にできるような可動アンテナが付いていて非常にいいもののように見えます しかし このアンテナは偽物です これは無線チップにつながった金属またはワイヤが入った ただのプラスチック片で全く使い物になりません 3
_ ラップトップの画面からの干渉 : 下の図はラップトップの近くに置かれています これはいいように見えますが 画面の右側に配置されたラップトップの WiFi アンテナがあり 携帯電話からの弱い信号は粉砕されます Wireless shield 無線のシールド : ラップトップの画面は非常に良い無線のシールドです この例では 2 つのデバイスに干渉し伝送品質を低下させます 近接デバイスと遠方のアナライザ : 近くに置かれた 2 つの携帯電話は 伝送パワーを厳密に最小まで減少します 遠くに配置されたアナライザは弱いトラフィックを受信し その結果より干渉を受けやすくなり キャプチャのエラー率が増加します アナライザの感度最適なキャプチャをするコンフィグレーションにするための最後の検討事項は アナライザの受信機が受け取る信号が使用可能な範囲内 ( 強すぎず弱すぎず ) にあるか確認することです BEX400 の受信機は かなり大きなレンジを持っていますが それはさらに減衰または利得 (Gain) を加えることで 更にレンジを調整することが可能です これは メニューの Record - Recording options - RF Gain で設定することができます 4
_ デフォルトの Gain は 0 db で これは減衰も利得もないことを意味します これでほとんどのケースは問題なく使用できますが いくつかのデバイスはバッテリーをセーブするために伝送パワーを極端に減少させることがあり このような場合には利得が役立ちます ソフトウェアには RF Gain を最適化するための手助けとなる 2 つの指標があります オーバービューでパケットが選択された場合 ディテールには受信強度 (RX Strength Level) フィールドを持つ Baseband Information と呼ばれるセクションがあります このフィールドの望ましい値は Average または High です インスタントピコネットも各デバイスの横に受信強度のレベルを表示します このレベルの望ましい値は 中央から最上部までの間です キャプチャの品質が良ければそのまま 0 db 受信強度が低ければ 15 db で試す 受信強度が高すぎたら -6 db で試す というのがこれまでの経験から言えます フィードバック 本文書は Ellisys Bluetooth Expert Notes Rev. B. 2011-10-20 を翻訳したものです 原文 本文書及び Ellisys 製品に関するお問い合わせは Ellisys 日本総代理店ガイロジック株式会社 bt@gailogic.co.jp までご連絡ください Ellisys Bluetooth エキスパートノート和文 (Expert Notes 原文 ) EEN_BT01J - トラフィックの正しい解析方法 (EEN_BT01 Capturing Bluetooth Traffic, the Right Way) EEN_BT02J - Bluetooth 解析 - チュートリアル (EEN_BT02 Bluetooth Analysis Tutorial) EEN_BT03J- 初めてのワイドバンドキャプチャ (EEN_BT03 - Your First Wide-Band Capture) () EEN_BT05J - アンテナの輻射パターンについて (EEN_BT05 Understanding Antenna s Radiation Pattern) EEN_BT06J - Bluetooth セキュリティのウソ? ホント? (EEN_BT06 - Bluetooth Security - Truths and Fictions) EEN_BT07J - Secure Simple Pairing について (EEN_BT07 - Secure Simple Pairing Explained) 5