番号 1 苦情申立内容 相談者利用者サービスの種類 本人本人訪問介護 1 入浴介助中の転倒事故について (1) 〇月〇日 ヘルパーに入浴介助を受けた際 ヘルパーが足を洗うからそのまま後ろに下がるように言い 大丈夫 と言うので入浴用椅子に座ったまま少しずつ椅子を後ろに下げたところ 椅子の片方の脚が排水口に落ちて斜め後ろに倒れた その時 浴槽のタイルの縁で右側背部 蛇口で右耳後ろと後頭部をタイルで打ち あまりの痛さに息もできず一瞬何が起こったのか分からなかった 必死で体を起こそうともがいたが ヘルパーは手も貸さなかった やっと自力でうずくまったところにいきなりヘルパーから背中に浴槽のお湯をかけられ とても恐怖を感じた 寝室でヘルパーに湿布を貼ってもらい 転倒した状況を尋ねると 蛇口で耳の後ろ 頭をタイルで打ちましたよ と答えた 何故 ヘルパーは傍で見ていたのに手も出さず 聞かないと何も答えないのか (2) 翌日の夕方 主任とヘルパーが自宅を訪問し謝罪はあったが 触られるのも痛いのに ヘルパーは主任に湿布を貼った部位を見せようと 断りもなく服を持ち上げた 生活援助で訪問したヘルパーは 転倒したことを知らなかったが 申し送りはしないのか (3) 1 週間ほど我慢していたが 激しい痛みは変わらず 病院受診したところ 肋骨に骨折とヒビが見つかった (4) 総務課長と主任が自宅に来た際 自分で立ったのではないか と言われたので 自分で立てるのならヘルパーは頼まない と答えた 風呂場に案内し 転倒した時の状況を説明した 総務課長は保険の手続きのため頭部の検査をするよう言った 右耳後ろの瘤は消えていたので 今頃検査するのかと思ったが 検査をして異常はなかった 事業所の対応や発言で 今は傷の痛みより心の痛みの方が大きくなった 事故後の対応が悪いので事業所に指導をしてもらいたい 1 入浴介助中の転倒事故について (1) 利用者が転倒した際の状況について ヘルパーが シャワー椅子をいつもより少し出入口に近い位置に置いたため 利用者の左側の介助スペースが狭くなった ヘルパーは 最後に足を洗うため利用者の足元にかがんだ 狭かったので利用者が 下がるから排水口の蓋は大丈夫か と確認し ヘルパーはかがんだまま蓋を見て閉まっていると答えた 利用者が腰を少し浮かせて椅子を後ろに下げたと同時に 椅子の右後ろ脚が排水口に落下し 利用者は右斜め後方に倒れ浴槽の縁タイルで右脇腹を打ち 蛇口に右耳の後ろがあたり頭部をタイルで打撲した ヘルパーは 転倒した利用者を助けようとしたが 麻痺のある左手は引っ張れず椅子をよけている間に利用者自身で体勢を立て直した 大丈夫か と声かけをすると手で制止し 一時的に息を詰まらせた様子だったので横で見守った その後利用者が 大丈夫 と言ったため シャワー椅子を置きなおし座ってもらった 利用者が前の方をシャワーで流すので 背中も温めた方が良いと思い浴槽のお湯を洗面器でかけたところ 利用者から かけないで と言われた
転倒後 ヘルパーは排水口の蓋を確認したが蓋は動かなかった 打撲した右脇腹の痛みに対して湿布を貼ったがその後利用者は笑顔で 大丈夫 と答えたため 家族に伝えるよう話して帰った (2) 事故対応について 1 事業所への報告について ヘルパーは 事業所に帰り主任が休みなので報告せず 担当ケアマネジャーに 入浴中椅子の脚が排水口に落ち 椅子ごと転倒し脇腹を打った 利用者は大丈夫と言っており 湿布対応している とだけ電話で伝え 頭を打ったことは報告しなかった 主任は 休みでも携帯電話に連絡をすればすぐ動く体制になっていたと回答 総務課長は 事務所内に居たのに何故ヘルパーが報告をしなかったのか分からないと回答 翌朝 主任はヘルパーから簡単な報告を受けた後 詳しく確認すると事故と判断したため ヘルパーにすぐに事業所に報告し 対応すべき内容だと注意し 総務課長にその旨報告した 2 利用者への対応 ヘルパーは 怪我の状況を観察したと思うと回答したが 事故報告書や文書回答 活動記録から頭部や右脇腹を観察したことの記録はなかった 翌朝 ヘルパーが利用者に電話をすると トイレが大変で 右脇腹の痛みでふき取りもできない 頭にタンコブができた と言うため 病院受診を勧めた 夕方 主任とヘルパーは利用者の自宅を訪問し謝罪をした 利用者は気にしないでいいと言った ヘルパーは 主任に利用者の右脇腹を見せるため断わりもなく湿布をはいで見せ 痛みがあったため病院受診を勧めて帰った 利用者が病院受診をした結果 肋骨に 1 本が骨折し 2 本にヒビが入っているのでしばらくヘルパーを中止にしたい旨の電話があり 夜に主任が自宅に謝罪に行った 利用者は ヘルパーが後ろに下がるように言ったと言い ヘルパーは事業所に利用者が排水口の蓋を見て勢いよく下がったと報告しており 状況に違いがあった 後日 浴室を見た際 麻痺のある利用者が椅子の後ろにある排水口の蓋を確認しながら下がることができたかということには疑問があったため 総務課長は再度ヘルパーに相違点を確認したが内容に変更はなかった しかし ヘルパーの安全配慮が足りなかったということは事実なので 利用者及び家族にその旨を伝えた 事業所は 以前家族が介助中に同様に排水口に落ちた事があったことを把握していたが 予防策を検討していなかった 訪問調査において ヘルパーに事故当日の入浴介助の状況について詳細に確認したところ ヘルパーが事業所に報告していた内容と違った 事業所内でのヘルパーへの聞き取りや事故の検証が不十分だったことが判明した (3) 苦情対応について 事業所に 包括支援センターやケアマネジャーから利用者の苦情について連絡があったため その都度利用者の自宅を訪問し謝罪するとともにサービス利用についても必要があれば言ってほしいと伝えていた
利用者からも ヘルパーが障害を負わせた ヘルパーへの指導はどうなっているのか と連絡があったため 総務課長と主任が自宅を訪問し利用者及び家族と話をした 事業所は 責任の有無は判断し辛いが 保険で治療費と家族の休業について対応する旨を説明した ヘルパーだけに話を聞いて利用者から話を聞いておらず 事故対応マニュアルはないのかと言われた 家族に案内され浴室を確認したが 実際に椅子を使っての検証はしなかった 利用者からヘルパーによる排水溝の蓋の確認が不十分だったこと 転倒後にヘルパーが何もせず 利用者自身で体を起こしたこと その後ヘルパーがお湯をかけたこと 利用者自身は排水溝の蓋が閉まっているのは目視していないなどの意見があった 事業所は 利用者に再度ヘルパーに状況確認をすると伝えたが ヘルパーに確認したところ報告内容と同じだったため 利用者には伝えなかった 事業所は 利用者及び家族に 事業所が危険を予測し 安全な対応を取るべきだったのに申し訳なかった 保険で対応する と提案し了承を得た また 頭部については病院受診を勧め 保険会社に提出するための浴室の写真を撮った 補償については 事業所は利用者からの連絡を待っている状況で 骨折の治癒状況についても確認していなかった 訪問介護サービスについても利用者から再開の申出はないため提供は行っていない 2 事業所での引き継ぎや報告について通常は利用者宅にある 申し送りノート で引き継ぎを行い 体調の変化等の 特別申し送り が必要な場合には 随時事業所に連絡し次のヘルパーへ申し送りをする 転倒があったことをヘルパーが申し送りノートに記載したものの 訪問したヘルパーの確認が徹底されておらず浴室で転倒したことを把握していなかった 3 職員研修について毎年研修内容に事故対応を入れて職員に周知していた 事故対応マニュアルは作成していたが 市に事故報告を行った際 市からマニュアルの再点検をするよう指導があり 具体的に分かりやすくフローチャート方式に作り直し職員に配布した ヘルパー会議と研修で今回の事故案件を報告し検討を行い 報告を徹底するよう指導した また 職員によって報告内容にばらつきがあるため 徹底するまで主任から夕方ヘルパーに連絡をして利用者の様子を把握し申し送り漏れのないようにする 今後は 安全に配慮した介助の方法など実技の研修を行う また 明確に利用者が理解できるよう言葉かけが大切だと思っている
指導及び助言 厚生労働省令第 31 号 ( 平成 21 年 3 月 13 日付け ) 指定居宅サービス等の事業の人員 設備及び運営に関する基準 ( 以下 基準 という ) に則り改善を図り 適切な運営に努めること 1 事故発生時の対応ヘルパーは 利用者の 大丈夫 との発言をそのまま受け取り 怪我の状況確認も十分に行わずその後も通常通りの入浴を行うなど適切な事故対応が行われていなかった 今後は言葉だけで安易に考えず 本人 家族に受診を勧めるなどの対応が重要となる 事故発生後の状態把握及び応急処置は その後の対応に大きな影響を及ぼすため 対応方法や連絡体制について職員に周知徹底すること 2 事故対応について事故が起きた場合には 事業所内で早急に事実関係の確認や事故調査を行い 事故報告書を作成するとともに 利用者や家族に懇切丁寧に説明し信頼関係を損なうことのないように努めること さらに 事業所が安全対策など検討をしていなかった 今後はヒヤリハットの活用や事例等をもとにリスク対策の検討やマニュアルの見直しを行い 事業所の危機管理意識を高め 安全にサービスを提供できるようにすること 3 苦情対応について事業所は 利用者から事故の実際の状況を聞いて保険で対応すると説明し サービスを中止のまま連絡を待つという対応をしていた 利用者側にしてみれば骨折が新たな負担を生じさせたことは事実であるため 利用者の心情を理解した誠意ある対応が必要だったと思われる 今後は苦情内容を正確に把握し 懇切丁寧に説明を行うと共にその対応経過等についても記録し 介護サービスの質の向上に向けた取組みを行うこと 4 サービス提供にあたって今後は 介助動作の前には必ず声かけをし 事故を防止するために安全対策をとったうえで次の行動を促すなど 常に利用者の安全について適切な注意と措置を講じてサービス提供を行うこと 5 記録についてサービス提供記録からは利用者の状態やヘルパーの対応の経過を確認することができず 頭部を打撲したことの記載もない また 事故の状況については 文書調査時と訪問調査時の回答には違いがあった 今後 記録は事実に基づき正確な情報を記載するように心がけ 事業所内で検討する際に具体的 客観的に判断を行えるようにすること 改善状況報告 1 事故発生時の対応些細なことでもサービス提供時に利用者に好ましくない状況が発生した場合 職員は事業所へ報告を行い 事業所は家族への報告を行う 利用者の受傷状況などを正確に把握し 受診を勧める 事故発生時の連絡体制については 既に職員に対し周知を図ったが 対応方法などについても研修会等を通じて周知する 2 事故対応について早急に事実関係の確認や検証などの事故調査を行い 事故報告書を作成するとともに利用者や家族への懇切丁寧な説明に努める 把握された前例から必要とされる安全対策を検討し 訪問介護の手順書に反映する
改善状況報告 3 苦情対応について懇切丁寧な説明に努め 対応経過等については記録しているので 今後 介護サービスの質の向上に向けて参考にする 4 サービス提供にあたって行動の前には利用者に声掛けをし これから何をするのかということをしっかりと伝えながら援助を行う 利用者の能力 適性 心身の状況 環境を踏まえ 事故につながるような危険な行為をさせない 危険を予測し 安全を確保すべく適切な介護環境を整備する 日々の業務報告により 課題やリスクが潜在していないかを把握し 危険な環境や状態に気付いたときは 利用者及び家族 介護支援専門員へ相談し 対策を講じる 5 記録について職員に記録の重要性を理解してもらい 詳細かつ内容に漏れのない活動日誌等の記載を指導していく 今後は記載者が責任を持って正確な内容を記載するように努める