家計の所得 消費 貯蓄 : 全国消費実態調査 家計調査 国民生活基礎調査 の比較 * 大野太郎 *1 中澤正彦 *2 三好向洋 *3 松尾浩平 *4 松田和也 *5 片岡拓也 *6 高見澤有一 *7 蜂須賀圭史 *8 増田知子 *9 概要本稿では総務省 全国消費実態調査 家計調査 厚生労働省 国民生

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税・社会保障等を通じた受益と負担について

ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

目次 第 1 章調査概要 調査の目的 調査の方法... 1 第 2 章分析内容 世帯主年齢階級別の世帯数割合 世帯主年齢階級別の等価可処分所得 世帯主年齢階級別の等価所得 拠出金の内訳 世帯主年齢階級別


図表 II-39 都市別 世帯主年齢階級別 固定資産税等額 所得税 社会保険料等額 消 費支出額 居住コスト 年間貯蓄額 ( 住宅ローン無し世帯 ) 単位 :% 東京都特別区 (n=68) 30 代以下 (n=100) 40 代

公 的 年金を補完して ゆとりあるセカンドライフを実 現するために は 計 画 的 な 資金準備 が必要です 老後の生活費って どれくらい 必要なんですか 60歳以上の夫婦で月額24万円 くらいかな? 収入は 公的年金を中心に 平均収入は月額22万円くらいだ 月額2万の マイナスか いやいやいや 税

(3) 消費支出は実質 5.3% の増加消費支出は1か月平均 3 万 1,276 円で前年に比べ名目 6.7% の増加 実質 5.3% の増加となった ( 統計表第 1 表 ) 最近の動きを実質でみると 平成 2 年は 16.2% の増加となった 25 年は 7.% の減少 26 年は 3.7% の

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

図表目次 ([ ] 内は詳細結果表の番号 ) 表 1 貯蓄現在高の推移... 4 [8-4 表,8-3 表 ] 図 1 貯蓄現在高階級別世帯分布... 5 [8-1 表,8-3 表 ] 表 2 貯蓄の種類別貯蓄現在高の推移... 6 [8-4 表 ] 図 2 貯蓄の種類別貯蓄現在高及び構成比...

家計調査報告 ( 貯蓄 負債編 ) 平成 23 年平均結果速報 ( 二人以上の世帯 ) 目 次 Ⅰ 貯蓄の状況 1 概要 貯蓄の種類別内訳 貯蓄現在高階級別貯蓄の分布状況... 9 Ⅱ 負債の状況 Ⅲ 世帯属性別にみた貯蓄 負債の状況 1 世帯主の職業別の状況

3 世帯属性ごとのサンプルの分布 ( 両調査の比較 参考 3) 全国消費実態調査は 相対的に 40 歳未満の世帯や単身世帯が多いなどの特徴がある 国民生活基礎調査は 高齢者世帯や郡部 町村居住者が多いなどの特徴がある 4 相対的貧困世帯の特徴 ( 全世帯との比較 参考 4) 相対的貧困世帯の特徴とし

第 3 節食料消費の動向と食育の推進 表 食料消費支出の対前年実質増減率の推移 平成 17 (2005) 年 18 (2006) 19 (2007) 20 (2008) 21 (2009) 22 (2010) 23 (2011) 24 (2012) 食料

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2 累計 収入階級別 各都市とも 概ね収入額が高いほども高い 特別区は 世帯収入階級別に見ると 他都市に比べてが特に高いとは言えない 階級では 大阪市が最もが高くなっている については 各都市とも世帯収入階級別の傾向は類似しているが 特別区と大阪市が 若干 多摩地域や横浜市よりも高い 東京都特別区

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01 公的年金の受給状況

20 金融資産目標残高 今後の金融商品の保有希望 元本割れを起こす可能性があるが 収益性の高いと見込まれる金融商品の保有 日常的な支払い ( 買い物代金等 ) の主な資金決済手段 日常的な支払い ( 買い物代金等 ) の主な資金決済手段 ( 続き )

親と同居の壮年未婚者 2014 年

(2) 全国との比較消費支出は全国の 1.14 倍東京都の1 世帯当たりの消費支出 331,74 円は 全国の1 世帯当たり消費支出 29,788 円に対し 1.14 倍となっており 前年と同じであった ( 図 Ⅱ-1-3 統計表 第 1 表 参考表 1 ) 1 大費目別の消費支出を全国で調べると

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

(3) 可処分所得の計算 可処分所得とは 家計で自由に使える手取収入のことである 給与所得者 の可処分所得は 次の計算式から求められる 給与所得者の可処分所得は 年収 ( 勤務先の給料 賞与 ) から 社会保険料と所得税 住民税を差し引いた額である なお 生命保険や火災保険などの民間保険の保険料およ

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2. 繰上げ受給と繰下げ受給 65 歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は 本人の選択により6~64 歳に受給を開始する 繰上げ受給 と 66 歳以降に受給を開始する 繰下げ受給 が可能である 繰上げ受給 を選択した場合には 繰上げ1カ月につき年金額が.5% 減額される 例えば 支給 開始年齢

NIRA 日本経済の中期展望に関する研究会 家計に眠る過剰貯蓄国民生活の質の向上には 貯蓄から消費へ という発想が不可欠 エグゼクティブサマリー 貯蓄から消費へ これが本報告書のキーワードである 政府がこれまで主導してきた 貯蓄から投資へ と両立しうるコンセプトであるが 着眼点がやや異なる すなわち

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高齢者の貯蓄と資産の実態 - 全国消費実態調査 の個票による分析 1-2 中澤正彦 3 菊田和晃 4 米田泰隆 要約 本稿では 2009 年の 全国消費実態調査 の個票を用いて 先行研究を踏まえ 資産の取り崩し額 貯蓄額についてのバイアスを考慮した分析を行うこと等により高齢者の貯蓄と資産の実態を明ら

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1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

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資料 5_ 世帯年収額 世帯消費支出額 1.23 区全体 図表 1 23 区全体でのひと月当たり平均世帯消費支出額の分布 1 万円未満 万円以上 2 万円未満 万円以上 3 万円未満 万円以上 4 万円未満 27 4 万円以上 5 万円未満 万円以上

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Ⅰ 調査の概要 1. 調査の目的 本調査は 今後の公的年金制度について議論を行うにあたって 自営業者 被用者 非就業者を通じた横断的な所得に関する実態を総合的に把握し その議論に資する基礎資料を得ることを目的とする なお 本調査は 平成 22 年公的年金加入状況等調査 の特別調査として 当該調査の調

b. 世帯主年齢階級別 負担率 図表 II- 6-4 墨田ブロックの世帯主年齢階級別 平均負担率 図表 II- 6-5 墨田ブロックの世帯主年齢階級別 負担率の分布 合計 5% 未満 % 以上 1% 未満

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目 次 1-1. 勤労者財産形成貯蓄制度の概要 財形持家融資制度の概要 勤労者の貯蓄をめぐる状況について 財形貯蓄制度をめぐる状況について 勤労者の貯蓄と財形貯蓄制度をめぐる状況について 勤労者の持家をめぐる状況について 10 3

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Transcription:

PRI Discussion Paper Series (No.13A-5) 家計の所得 消費 貯蓄 : 全国消費実態調査 家計調査 国民生活基礎調査 の比較 尾道市立大学経済情報学部講師 / 財務省財務総合政策研究所上席客員研究員大野太郎京都大学経済研究所先端政策分析センター准教授中澤正彦愛知学院大学経済学部講師 / 財務省財務総合政策研究所上席客員研究員三好向洋前 財務省財務総合政策研究所研究員松尾浩平前 財務省財務総合政策研究所研究員松田和也前 財務省財務総合政策研究所研究員片岡拓也前 財務省財務総合政策研究所研究員高見澤有一財務省財務総合政策研究所研究員蜂須賀圭史財務省財務総合政策研究所研究員増田知子 213 年 7 月 本論文の内容は全て執筆者の個人的見解であり 財務省あるいは財務総合政策研究所の公式見解を示すものではありません 財務省財務総合政策研究所研究部 1-894 千代田区霞が関 3-1-1 TEL 3-3581-4111 ( 内線 5489)

家計の所得 消費 貯蓄 : 全国消費実態調査 家計調査 国民生活基礎調査 の比較 * 大野太郎 *1 中澤正彦 *2 三好向洋 *3 松尾浩平 *4 松田和也 *5 片岡拓也 *6 高見澤有一 *7 蜂須賀圭史 *8 増田知子 *9 概要本稿では総務省 全国消費実態調査 家計調査 厚生労働省 国民生活基礎調査 の家計ミクロデータを用い 家計の所得 消費 貯蓄及び消費 1 大費目の支出割合について考察する その際 特に家計の所得水準や消費水準についてはライフサイクルの影響を受けるため 年齢階層別を含むクロス集計を用いた考察も行う 考察の結果 (1) 所得 消費 貯蓄は共に 5 歳前後にかけてピークに達する (2)65 歳以上でも低所得世帯を除けば純貯蓄が存在する (3) 消費 貯蓄の水準のみならず 消費内訳もライフサイクルの影響を受け 特に若年期は住居費 中年期は教育費 高齢期は保健医療費といった支出割合が相対的に高い (4) なお 国民生活基礎調査 は若年世帯や低所得世帯の所得水準が相対的に小さい などの点が確認された JEL 区分 :D12, D31, D91 キーワード : 家計 ミクロデータ 所得 消費 貯蓄 * 本稿の作成にあたっては財務省財務総合政策研究所における研究会にてフロアの方々から多くの貴重なコメントを賜った 記して謝意を表する なお 本稿の内容は著者らの個人的見解であり 著者らが所属する機関の公式見解を示すものではない *1 尾道市立大学経済情報学部講師 / 財務省財務総合政策研究所上席客員研究員 *2 京都大学経済研究所先端政策分析センター准教授 *3 愛知学院大学経済学部講師 / 財務省財務総合政策研究所上席客員研究員 *4 株式会社 NTT データ公共システム事業本部主任 / 前 財務省財務総合政策研究所研究員 *5 前 財務省財務総合政策研究所研究員 *6 西日本旅客鉄道株式会社近畿統括本部 / 前 財務省財務総合政策研究所研究員 *7 日本たばこ産業株式会社社会環境推進部 / 前 財務省財務総合政策研究所研究員 *8 財務省財務総合政策研究所研究員 *9 財務省財務総合政策研究所研究員 1

1. はじめに家計の所得 消費 貯蓄の状況を計測する研究は少なくない また近年は日本における家計ミクロデータの整備が進められており こうした家計ミクロデータが利用可能な調査統計のうち 公的統計としては総務省の 全国消費実態調査 や 家計調査 厚生労働省の 国民生活基礎調査 が挙げられる 1 そして阿部(211) や府川 (29) などのように こうした家計ミクロデータを用いた分析も進められつつある 本稿も 全国消費実態調査 家計調査 国民生活基礎調査 といった家計ミクロデータを用いながら 主に所得 消費 貯蓄について注目し これを各種階層別 ( 年齢階層別 所得水準別 消費水準別 主要所得源泉別 世帯形態別 ) に捉えながら考察するものである ところで 各種階層別のうち 家計の区分をその経済力に基づいて行う場合には主に所得階層別 ( 所得 1 分位 ) を用いることが多い しかし近年 この所得階層別という区分そのものに対して留意すべき点が指摘されている すなわち 消費の恒常所得仮説 ライフサイクル仮説に基づくとき 特定の 1 時点における所得水準は当該家計の真の経済力を反映していないかもしれない 例えば 八塩 長谷川 (29) は 所得は勤労の引退や転職といったライフ サイクルの影響で大きく変動する一方 個人は恒常所得の大きさをある程度見通しつつ所得変動を貯蓄で調整し 消費をより安定的に行う ( 八塩 長谷川 29, p.27) とし 家計の恒常所得は消費に反映されるとしている 2 ここから 宇南山(211) が指摘するように 消費のライフサイクル仮説に基づけば 消費は家計の期待生涯所得を反映しており 1 時点の所得や資産よりも正確な経済厚生の尺度となると考えられる その意味で経済的な豊かさの水準で家計を分類するのにより適した分類は 消費水準別 の集計 ( 宇南山 211, p.14) であり すなわち家計の恒常所得 ( 期待生涯所得 ) に対する代理変数として消費水準を使用し 消費階層別の下でも考察することが求められている さらには ライフサイクルの視点を重視して 年齢別 所得水準別のクロス集計や年齢別 消費水準別のクロス集計を整備することへの潜在的な需要は大きく 集計の方法も再検討する必要がある ( 宇南山 211, p.14) との指摘もある 本稿ではこうした論点を踏まえつつ 家計の所得 消費 貯蓄についても年齢階層別を含むクロス集計を活用して考察していきたい 以下 本稿の構成を述べる はじめに 2 節では本稿で使用するデータ 計測方法 分析対象の項目 使用する階層別について説明する それを踏まえて まず 3 節では全世帯ベースに基づく計測結果を確認し これを通じて各統計の特徴も捉えていきたい 次に 4 節 1 阿部 (211) によると 家計消費のミクロデータにはこのほか 家計経済研究所の 消費生活に関するパネル調査 (JPSC) 慶應義塾大学によるパネルデータ (KHPS) 大阪大学の くらしの好みと満足度についてのアンケート 旧郵政研究所の 家計と貯蓄に関する調査 日経デジタルメディア社の 日経スキャンパネル インテージ社の 全国消費世帯パネル調査 (SCI) 等がある 2 こうした指摘の前提として 家計消費について恒常所得仮説 ライフサイクル仮説が成り立つかどうかは重要な点である これについて 阿部 (211) はアメリカの研究成果を紹介し 消費は長期的な所得変動に反応し ( 中略 ) この結果は Friedman(1957) が提示した恒常所得仮説 すなわち 消費は恒常的な所得変化に対して反応するという仮説に沿うものになっている ( 阿部 211 p.72) と述べると共に 日本においても家計の消費は長期的な所得変化に対してより反応することを示しながら同様の旨を指摘している ( 阿部 211 p.7) 2

では 1 時点ベースに基づく計測結果を各種階層別 ( 年齢階層別 所得階層別 消費階層別 主要所得源泉別 世帯形態別 ) に考察する また 5 節ではライフサイクルの視点を考慮し 年齢階層別を含むクロス集計 ( 年齢階層別 所得階層別 年齢階層別 消費階層別 ) を利用して考察を行う 最後に 6 節で結論と課題を述べる 2. 計測方法本稿では 全国消費実態調査 ( 平成 21 年調査 ) 家計調査 ( 平成 21 年調査 ) 国民生活基礎調査 ( 平成 22 年調査 ) の調査票データを使用する 3 まず分析対象世帯( 使用サンプル ) の選定については 以下で説明する所得や消費 税 保険料など各調査項目において空欄や不詳コード付き ( 超高所得を示す ) トップコード付きの世帯を削除する また 全国消費実態調査 家計調査 では自営業者世帯を削除し さらに 家計調査 では調査対象の期間において世帯構成等が変更された世帯を削除した この結果 本研究では 全国消費実態調査 44,423 世帯 家計調査 22,5 世帯 国民生活基礎調査 18,55 世帯を分析対象としている 所得については 第 1に各統計の年間収入を用いる すなわち 全国消費実態調査 の 年収 貯蓄等調査票 家計調査 の 年間収入調査票 国民生活基礎調査 の 所得票 における年間収入を用い 以下ではこれを 総所得 と呼ぶ 4 また第 2に 総所得 から各種の税 保険料 ( 勤労所得税 個人住民税 消費税 公的年金保険料 健康保険料 介護保険料 その他の社会保険料 ) を差し引いた水準を用い 以下ではこれを 可処分所得 と呼ぶ 消費については 全国消費実態調査 家計調査 では 家計簿 に記載された 1 大費目の合計を使用する また 国民生活基礎調査 では 世帯票 の 5 月中家計支出総額 を使用する 以下ではこれを 消費支出合計 と呼ぶ 3 全国消費実態調査 家計調査 国民生活基礎調査 それぞれにおける調査方法については大野 中澤 三好 松尾 松田 片岡 高見澤 蜂須賀 増田 ( 近刊 ) を参照されたい 4 なお 各統計における年間収入の内容については多少異なる点に留意すべきである 例えば 全国消費 実態調査 の収入内訳としては (1) 勤め先からの年間収入 (2) 農林漁業収入 (3) 農林漁業以外の事業 収入 (4) 内職などの年間収入 (5) 家賃 地代の年間収入 (6) 公的年金 恩給 (7) 企業年金 個人 年金受取金 (8) 利子 配当金 (9) 親族などからの仕送り金 (1) その他の年間収入が含まれる 家 計調査 の場合は (1) 勤め先年間収入 ( 定期収入 賞与 その他の臨時収入 ) (2) 営業年間利益 (3) 内職年間収入 (4) 公的年金 恩給 (5) 農林漁業収入 (6) その他の年間収入が含まれる 国民生活基 礎調査 の場合は (1) 雇用者所得 (2) 事業所得 (3) 農耕 畜産所得 (4) 家内労働所得 (5) 財産 所得 (6) 公的年金 恩給 (7) 雇用保険 (8) その他の社会保障給付金 (9) 仕送り (1) 企業年金 個人年金等 (11) その他の所得が含まれる 3

貯蓄 ( フロー値 ) については 理論上の純貯蓄を計測し 第 1に 総所得消費差額 (= 総所得 - 消費支出合計 ) を用いる また第 2に 可処分所得消費差額 (= 可処分所得 - 消費支出合計 ) を用いる 貯蓄残高 借入金残高 ( ストック値 ) については 各統計の貯蓄残高と借入金残高を用いる すなわち 全国消費実態調査 の 年収 貯蓄等調査票 家計調査 の 貯蓄等調査票 国民生活基礎調査 の 貯蓄票 における水準を用いる 5 個別消費費目については 以下の消費 1 大費目を扱う 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 これらの項目についてはそれぞれ月額換算し さらに (1) 式に基づいた等価世帯ベースに換算する ( 但し 貯蓄残高と借入金残高については月額換算せず 等価ベースに換算している ) 世帯所得 ( 消費 税 保険料等 ) 等価世帯所得 ( 消費 税 保険料等 )= (1) 世帯人員数 また 総所得 消費支出合計 所得消費差額 貯蓄残高 借入金残高それぞれについては金額で表す また 所得消費差額については総所得消費差額と可処分所得消費差額のど 5 各統計における貯蓄 借入金の内容については多少異なる点に留意すべきである 例えば 全国消費実態調査 の貯蓄としては (1) 郵便局 (2) 銀行 信用金庫 信用組合ほか (3) 生命保険 損害保険 簡易保険 (4) 貸付信託 金銭信託 (5) 株式 株式投資信託 (6) 債券 公社債投資信託 (7) その他が含まれる また 借入金としては (1) 月賦 年賦の未払残高 (2) 住宅の購入 建築 増改築 土地の購入のための借入金残高 (3)1 及び 2 以外の借入金残高が含まれる 家計調査 の貯蓄としては (1) ゆうちょ銀行 郵便貯金 簡易生命保険管理機構 (2) 銀行 信用金庫 信用組合 農業協同組合 労働金庫 その他の金融機関 (3) 生命保険 損害保険 簡易保険 (4) 株式 株式投資信託 (5) 貸付信託 金銭信託 (6) 債券 公社債投資信託 (7) 社内預金 その他の預貯金が含まれる また 借入金としては (1) 住宅の購入 建築 増改築 土地の購入のための借入金残高 (2) 住宅 土地のための借入金以外の借入金残高 (3) 月賦 年賦の未払残高が含まれる 国民生活基礎調査 の貯蓄としては貯蓄合計金額 借入金としては借入金合計金額を用いる 4

ちらの場合も それを対総所得割合 ( 所得消費差額が総所得に占める割合 ) でも計測する 消費 1 大費目については構成比で表し それぞれを対消費支出合計割合 ( 各費目額が消費支出合計に占める割合 ) で計測する 最後にこれら家計の所得 消費 貯蓄を捉えるにあたり ここでは以下のような各種階層別を用いる (1) 世帯主の年齢階層別 : 25 歳未満と 25 歳以上を 1 歳刻みで分類した 7 階層 (2) 世帯の所得階層別 : 世帯の総所得を 1 階層 ( 所得 1 分位 ) に分類した 1 階層 ( 第 1 階層が低所得層 第 1 階層が高所得層を表す ) (3) 世帯の消費階層別 : 世帯の消費支出合計を 1 階層 ( 消費 1 分位 ) に分類した 1 階層 ( 第 1 階層が低消費層 第 1 階層が高消費層を表す ) (4) 世帯の主要所得源泉別 : 給与所得 事業所得 年金所得が総所得の 5 以上の世帯をそれぞれ 給与世帯 事業世帯 年金世帯 とし それ以外を その他 とした 4 区分 ( 但し 全国消費実態調査 の場合は 給与世帯 年金世帯 その他 の 3 区分 また 家計調査 の場合は所得の内訳が得られないため 主要所得源泉別を割愛する ) (5) 世帯形態別 : 世帯形態に応じて 男単独 女単独 夫婦のみ 夫婦と未婚の子のみ ひとり親と未婚の子のみ 三世代 その他 に分類した 7 区分 3. 全世帯ベースに基づく計測本節ではまず家計の所得 消費 貯蓄を全世帯ベースに基づいて考察し これを通して各統計の特徴を確認する なお 水準は全て全世帯の値である まず所得 消費 貯蓄について見ていく 総所得 は 全国消費実態調査 が 28.7 万円 家計調査 が 28.7 万円 これに対して 国民生活基礎調査 が 26.8 万円とやや少ない 同様に 消費支出合計 も 全国消費実態調査 17.3 万円と最も高く 家計調査 17.1 万円 国民生活基礎調査 14.6 万円と続く 他方 純貯蓄については 総所得消費差額 と 可処分所得消費差額 のいずれで見てみても 国民生活基礎調査 が最も高く 家計調査 全国消費実態調査 と続く ( 図表 1 を参照 ) また貯蓄残高 借入金残高 ( ストック値 ) であるが 貯蓄残高 は 全国消費実態調査 が 86.9 万円と最も高く 家計調査 782.3 万円 国民生活基礎調査 742.5 万円と続く 5

借入金残高 は 全国消費実態調査 238.7 万円と最も高く 国民生活基礎調査 213. 万円 家計調査 196.6 万円と続く ( 図表 1 を参照 ) また消費 1 大費目であるが この点は 全国消費実態調査 家計調査 のみで計測を行っている 上述の通り 消費支出合計 の金額は 全国消費実態調査 の方が 家計調査 よりもやや高い水準となっている 一方 各費目の消費支出合計に占める割合はいずれも統計間で大きな違いは見られない 支出割合の大きい順 ( その他の消費支出を除く ) には 食料 22~23% 交通通信 13~15% 教養娯楽 1 となっている 統計間における若干の相違点としては 全国消費実態調査 では 交通 通信 がやや高い割合となっており また 家計調査 では 光熱 水道 がやや高い割合となっている ( 図表 2 を参照 ) < 図表 1~2 挿入 > 4.1 時点ベースに基づく各種階層別の計測 本節では 1 時点ベースに基づき 家計の所得 消費 貯蓄を各種階層別に考察する 4.1 年齢階層別所得 消費 貯蓄について3 統計で共通していることは まず 総所得 と 消費支出合計 がそれぞれ 45 歳以上 55 歳未満 といった時期においてピークに達する 6 また 所得消費差額 も( 総所得消費差額 と 可処分所得消費差額 のいずれも) 45 歳以上 55 歳未満 といった時期においてピークに達している このとき 65 歳未満 の若年 中年世帯 ( 現役世帯 ) のみならず 65 歳以上 の高齢世帯 ( 引退世帯 ) においても 所得消費差額 は正であり 純貯蓄が存在している点は特徴的である 7 なお 所得消費差額割合 で見るとき 35 歳以上 55 歳未満 というようにピークはやや幅広い時期において確認される また 75 歳以上 の 所得消費差額割合 については 65 歳以上 75 歳未満 とほぼ同程度か それよりも高い 8 一方 3 統計の相違点としては 25 歳未満 の 総所得 が挙げられる この年代の 総 6 こうした計測結果は阿部 (21) とも一致している 阿部 (21) は 家計調査 を用いて所得と消費のライフサイクルプロファイルを考察する中で 家族人数の平方根で定義すると支出と所得のピークはほぼ一致する ( 阿部 21, 要旨 ) とともに 支出のピークは 51 歳になる ( 同, p.6) と述べている 7 本稿では便宜上 45 歳未満 の世帯を若年世帯 45 歳以上 65 歳未満 を中年世帯 65 歳以上 を高齢世帯と表現する また 65 歳未満 の若年 中年世帯を合わせて現役世帯 これに対して 65 歳以上 を引退世帯と表現する 8 本稿では 所得消費差額 の指標として具体的には 総所得消費差額 と 可処分所得消費差額 を用い 計測結果の頑健性のために双方を確認しながら考察する 他方 以下で 所得消費差額 の特徴を記述する際は 基本的に 総所得消費差額 と 可処分所得消費差額 の双方で共通して確認される内容を指す そして 総所得消費差額 と 可処分所得消費差額 がそれぞれ異なる内容となる場合において適宜その点を明記する このことは 所得消費差額割合 についても同様である 6

所得 を統計間で比較するとき 全国消費実態調査 家計調査 では約 2 万円程度であるのに対して 国民生活基礎調査 では約 1 万円とかなり低い水準となっている ( 図表 3 を参照 ) 貯蓄残高 借入金残高 ( ストック値 ) について3 統計で共通していることは 貯蓄残高 は概ね年齢階層が高まるにつれて金額が高まっている これに対して 借入金残高 は 35 歳以上 55 歳未満 といった時期においてピークに達している 一方 3 統計の相違点としては まず 65 歳以上 の 貯蓄残高 が挙げられる 例えば 全国消費実態調査 家計調査 では年齢階層が高まるにつれてわずかながらも金額が高まっている これに対して 国民生活基礎調査 では 55 歳以上 65 歳未満 をピークに これより上で年齢階層が高まるにつれてわずかながらも金額が低下している また 借入金残高 におけるピークの時期も統計間で相違がある 全国消費実態調査 家計調査 では 35 歳以上 45 歳未満 の時期にピークに達しており これに対して 国民生活基礎調査 では 45 歳以上 55 歳未満 の時期にピークが来る ( 図表 4 を参照 ) 消費 1 大費目について2 統計で共通していることは まず 食料 は ( その他の消費支出 を除くとき ) どの年代においても最も支出割合が高い項目となっている 住居 は若年世帯ほど割合が高く また年代が高まるにつれてその割合は低下して 45 歳以上 55 歳未満 においてボトムとなる 交通 通信 も若年世帯ほど割合が高く また年代が高まるにつれてその割合は低下する 反対に 教育 は年代が高まるにつれてその割合は上昇して 45 歳以上 55 歳未満 でピークに達するが 55 歳以上 では年代が高まるにつれてその割合は低下する 保健医療 は 55 歳未満 まではそれほど変化はないが 55 歳以上 では年代が高まるにつれてその割合は上昇する 一方 2 統計の相違点としては まず 住居 における 25 歳未満 の支出割合が挙げられる 25 歳未満 の支出割合が 全国消費実態調査 では 25 歳以上 35 歳未満 よりも高いが これに対して 家計調査 では 25 歳以上 35 歳未満 よりも低くなっている また 被服及び履物 における 25 歳未満 の支出割合も統計間で異なっている 25 歳未満 の支出割合は 全国消費実態調査 では 25 歳以上 35 歳未満 とほぼ同程度であるが これに対して 家計調査 では 25 歳以上 35 歳未満 よりも高くなっている ( 図表 5 を参照 ) < 図表 3~5 挿入 > 4.2 所得階層別所得 消費 貯蓄について3 統計で共通していることは まず 総所得 と 消費支出合計 はともに所得階層が高いほど それらの水準は大きい 但し 消費支出合計 の階 7

層間格差は 総所得 のそれよりも小さいものである 所得消費差額 も所得階層が高いほど その水準は大きい これは 所得消費差額割合 についても同様である 一方 3 統計の相違点としては 低所得階層の 総所得 が挙げられる 国民生活基礎調査 における階層ごとの所得の水準は 特に低所得階層で他の統計よりも小さい 例えば 第 1 所得階層 の 総所得 を統計間で比較するとき 全国消費実態調査 家計調査 では約 1 万円程度であるのに対して 国民生活基礎調査 では約 5 万円とかなり低い水準となっている ( 但しこれとは反対に 第 1 所得階層 の 総所得 を統計間で比較するとき 全国消費実態調査 家計調査 では約 65 万円程度であるのに対して 国民生活基礎調査 では約 72 万円と相対的に高い水準となっている ) また このことから低所得階層の 所得消費差額 も統計間で相違がある 総所得消費差額 で捉えるとき 全国消費実態調査 では 第 1 所得階層 の 所得消費差額 が負 家計調査 では 第 1 所得階層 の 所得消費差額 が正 また 国民生活基礎調査 では 第 1-2 所得階層 の 所得消費差額 が負となっている ( 図表 6 を参照 ) 貯蓄残高 借入金残高 ( ストック値 ) について3 統計で共通していることは 貯蓄残高 も 借入金残高 も概ね所得階層が高まるにつれて金額が高いことである ( 図表 7 を参照 ) 消費 1 大費目について2 統計で共通していることは まず 食料 は ( その他の消費支出 を除くとき ) どの所得階層においても最も支出割合が高く また所得階層が高まるにつれてその割合は低下する 同様に 住居 や 光熱 水道 も所得階層が高まるにつれてその割合は低下する 反対に 交通 通信 や 教育 は所得階層が高まるにつれてその割合は上昇する ( 図表 8 を参照 ) < 図表 6~8 挿入 > 4.3 消費階層別所得 消費 貯蓄について3 統計で共通していることは まず 総所得 と 消費支出合計 はともに消費階層が高いほど それらの水準は大きい 但し 消費支出合計 の階層間格差は 総所得 のそれよりも小さいものである 上述の通り こうした特徴は所得階層別で捉えるときと同様である 所得階層別と消費階層別との比較では 総所得 の階層間格差は消費階層別で捉えるときの方が小さく また 消費支出合計 の階層間格差は消費階層別で捉えるときの方が大きいことが分かる 所得消費差額 については 第 9 消費階層 までにおいてその水準が階層ごとにそれほど違いがない 但し 所得消費差額割合 で見るとき 消費階層が高いほど その割合は低下する ( 図表 9 を参照 ) 貯蓄残高 借入金残高 ( ストック値 ) について 3 統計で共通していることは 貯蓄残高 8

は概ね消費階層が高まるにつれて金額が高いことである 一方 借入金残高 には消費階層間での違いはそれほどなく むしろ金額が近いことである ( 図表 1 を参照 ) 消費 1 大費目について2 統計で共通していることは まず 食料 は ( その他の消費支出 を除くとき ) どの消費階層においても最も支出割合が高く また消費階層が高まるにつれてその割合は低下する 同様に 光熱 水道 も消費階層が高まるにつれてその割合は低下する さらにこれら 食料 や 光熱 水道 における階層間格差については 所得階層別のときよりも大きいと言える 反対に 教育 は消費階層が高まるにつれてその割合は上昇する また 住居 や 交通 通信 は 第 9 消費階層 までにおいてその割合は階層ごとにそれほど違いがなく 第 1 消費階層 のみでその割合が相対的に高い この点は所得階層別の計測結果と異なっている ( 図表 11 を参照 ) < 図表 9~11 挿入 > 4.4 主要所得源泉別所得 消費 貯蓄について ここでは 全国消費実態調査 国民生活基礎調査 のみで計測を行っている これら2 統計で共通していることは まず 総所得 は 給与世帯 の方が 年金世帯 よりもその水準が大きいのに対して 消費支出合計 は 給与世帯 と 年金世帯 との間でその水準にそれほど違いはない 所得消費差額 については 給与世帯 の方が 年金世帯 よりもそれらの水準が大きいが 但し 年金世帯 も 所得消費差額 は正となっている また 所得消費差額割合 も 給与世帯 の方が 年金世帯 よりもそれらの水準が大きい 一方 2 統計の相違点としては 年金世帯 の 総所得 が挙げられる 例えば 全国消費実態調査 では 年金世帯 の 総所得 が約 21 万円程度であるのに対して 国民生活基礎調査 では約 17 万円と相対的に低い水準となっている ( 図表 12 を参照 ) 貯蓄残高 借入金残高 ( ストック値 ) について3 統計で共通していることは 貯蓄残高 は 給与世帯 の方が 年金世帯 よりもその水準が小さい 一方 借入金残高 は 給与世帯 の方が 年金世帯 よりもその水準が大きい 一方 2 統計間の相違点としては 年金世帯 の 貯蓄残高 が挙げられる 例えば 全校消費実態調査 では約 1,3 万円であるのに対して 国民生活基礎調査 では約 9 万円と相対的に低い水準となっている ( 図表 13 を参照 ) 消費 1 大費目について ここでは 全国消費実態調査 のみで計測を行っている まず 食料 は( その他の消費支出 を除くとき) 給与世帯 も 年金世帯 も最も支出割合が高い 住居 や 光熱 水道 については 給与世帯 と 年金世帯 の間でその割 9

合にそれほど違いはない 一方 交通 通信 や 教育 は 給与世帯 の方が 年金世帯 よりもその割合は高く また 保健医療 や 教養娯楽 は 年金世帯 の方が 給与世帯 よりもその割合は高い ( 図表 14 を参照 ) < 図表 12~14 挿入 > 4.5 世帯形態別所得 消費 貯蓄について3 統計で共通していることは まず 女単独世帯 や ひとり親と未婚の子のみ世帯 で 総所得 が相対的に小さいことである またこれらの世帯では 所得消費差額 や 所得消費差額割合 も相対的に低い 一方 3 統計の相違点としては 女単独世帯 の 総所得 が挙げられる 例えば 全国消費実態調査 や 家計調査 では 女単独世帯 の 総所得 が約 2 万円程度であるのに対して 国民生活基礎調査 では約 16 万円と相対的に低い水準となっている ( 図表 15 を参照 ) 貯蓄残高 借入金残高 ( ストック値 ) について3 統計で共通していることは 貯蓄残高 は 夫婦のみ世帯 の水準が相対的に大きい 一方 借入金残高 は 夫婦と未婚の子のみ世帯 の水準が相対的に大きい ( 図表 16 を参照 ) 消費 1 大費目について2 統計で共通していることは まず 食料 は ( その他の消費支出 を除くとき ) どの世帯形態においても最も支出割合が高い 住居 については 男単独世帯 女単独世帯 ひとり親と未婚の子のみ世帯 でその割合が高い 保健医療 については 女単独世帯 や 夫婦のみ世帯 でその割合が高い また 教育 は 夫婦と未婚の子のみ世帯 三世代世帯 でその割合が高い ( 図表 17 を参照 ) < 図表 15~17 挿入 > 5. クロス集計を用いた計測本節ではライフサイクルの視点を考慮し 年齢階層別を含むクロス集計 ( 年齢階層別 所得階層別 年齢階層別 消費階層別 ) を利用した考察を行う 以下では 所得 消費 貯蓄については横軸に (1) 所得階層別 消費階層別をとる場合 (2) 年齢階層別をとる場合の双方を扱う 一方 貯蓄残高 借入金残高 消費 1 大費目については横軸に (1) 所得階層別 消費階層別をとる場合のみを扱う 1

5.1 年齢階層別 所得階層別のクロス集計 9 所得 消費 貯蓄について3 統計で共通していることは まず 消費支出合計 においてライフサイクルの影響が見られる このことは横軸に年齢階層別をとる場合に確認でき 同じ所得水準の下でも世帯の消費水準は年齢に応じて異なることが分かる 例えば ( 第 3-8 所得階層 については ) 概ね 65 歳以上 75 歳未満 の世帯で最も消費水準が大きく それに対して若年世帯は相対的に消費水準が小さい 上述の通り 1 時点ベースに基づく年齢階層別の下では 消費支出合計 が 45 歳以上 55 歳未満 といった時期において最も大きい (4.1 節 ) しかし ほぼ同じ所得水準を前提とする限りにおいては さらに高齢の世帯がより多くの消費を行っていることが分かる ( 図表 18 その2を参照 ) 1 また 所得消費差額割合 についても横軸に年齢階層別をとる場合 同じ所得水準の下で当該世帯の貯蓄率は年齢に応じて異なる 例えば ( 第 3-8 所得階層 については ) 概ね 65 歳以上 75 歳未満 の世帯で最も貯蓄率が小さく それに対して 45 歳未満 の若年世帯は相対的に貯蓄率が大きい そしてここでも上述の通り 1 時点ベースに基づく年齢階層別の下では 所得消費差額 が 45 歳以上 55 歳未満 といった時期において最も大きい (4.1 節 ) しかし ほぼ同じ所得水準を前提とする限りにおいては さらに若年の世帯がより多くの貯蓄を行っていることが分かる ( 図表 19 2 その2を参照 ) 一方 3 統計間の相違点としては まず 消費支出合計 や 貯蓄消費差額割合 について横軸に年齢階層別をとる場合 第 9-1 所得階層 の傾向については統計間で共通性が低い ( 図表 18~2 その2を参照 ) また 貯蓄消費差額割合 について横軸に年齢階層別をとる場合 低所得階層の水準についても統計間で相違がある 特に 国民生活基礎調査 の場合は 第 1-2 所得階層 の 所得消費差額割合 は負であり またその水準は他の統計と比べると極端に低い ( 図表 19 2 その2を参照 ) このことは上述の通り 国民生活基礎調査 において低所得者の 総所得 が低いからでもある (4.2 節 ) 次に貯蓄残高 借入金残高について見ていくが ここでは主に横軸に所得階層別をとる場合を用いる このとき 各年齢階層のグラフに乖離が小さいほど世代間の相違が小さく すなわちライフサイクルの影響が小さいことを表す 反対に各年齢階層のグラフに乖離が大きいほど世代間の相違が大きく ライフサイクルの影響が大きいことを表す 統計間で共通していることは まず 貯蓄残高 や 借入金残高 については相対的に各年齢階層のグラフに乖離が大きく これらの水準はライフサイクルに大きく影響される 例えば 貯蓄残高 は 65 歳以上 といった高齢世帯の水準が高い なお 貯蓄残高 はストック値であるため このことは家計がこうした年齢に至るまで純貯蓄を続けていることを示して 9 ここでの議論において 総所得 に関する考察はそれほど意味を持たない なぜなら 特定の所得階層内において年齢階層間での所得の違いを確認することができず その理由に全ての年齢階層で共通した所得 1 分位を利用しているからである そのため ここでは 総所得 に関するクロス集計を割愛する 1 横軸に年齢階層別をとる場合 各年齢階層のは 1 時点ベースに基づく年齢階層別の計測結果 (4.1 節 ) と同じである 以下の計測結果においても同様である 11

いる ( 図表 21 を参照 ) 一方 借入金残高 は 35 歳以上 55 歳未満 といった時期の水準が高い ここでも 借入金残高 はストック値であるため このことは家計がこうした年齢に至るまでは借入を続け またこうした年齢を過ぎた後は借入の返済を進めていることを示している ( 図表 22 を参照 ) 最後に消費 1 大費目についてみていくが ここでも主に横軸に所得階層別をとる場合を用いる 2 統計で共通していることは まず 食料 や 光熱 水道 については相対的に各年齢階層のグラフに乖離が小さく これらの支出割合はライフサイクルの時期にそれほど影響されない しかし 所得階層が高まるほど これらの支出割合は低下する傾向がある ( 図表 23 25 を参照 ) 反対に 住居 教育 保健医療 などは相対的に各年齢階層のグラフに乖離が大きく これらの支出割合はライフサイクルの時期に大きく影響される 例えば 住居 は 35 歳未満 といった若年世帯の支出割合が高く ( 図表 24 を参照 ) 教育 は 45 歳以上 65 歳未満 といった中年世帯の支出割合が高く ( 図表 3 を参照 ) 保健医療 は 65 歳以上 といった高齢世帯の支出割合が高い ( 図表 28 を参照 ) なお 2 統計間の相違点として 24 歳未満 の傾向については統計間で共通性が低いことが挙げられる この背景には どちらの統計においても 24 歳未満 の分析対象世帯数 ( 使用サンプル数 ) が少ないことも影響している < 図表 18~32 挿入 > 5.2 年齢階層別 消費階層別のクロス集計 11 所得 消費 貯蓄について3 統計で共通していることは まず 総所得 がそれぞれ 45 歳以上 55 歳未満 といった時期においてピークに達する このことは横軸に年齢階層別をとる場合に確認できる そこでは 全ての消費階層において 45 歳以上 55 歳未満 の世帯で最も 総所得 が大きい 上述の通り 1 時点ベースに基づく年齢階層別の下では 総所得 が 45 歳以上 55 歳未満 といった時期において最も大きいことが確認された (4.1 節 ) 消費水準を恒常所得( 期待生涯所得 ) の代理変数として捉えるとき このことはどのような恒常所得水準にあっても 家計の 総所得 がこうした 45 歳以上 55 歳未満 の時期においてピークに達することが分かる ( 図表 33 その2を参照 ) また 所得消費差額割合 についても横軸に年齢階層別をとる場合 全ての消費階層において 45 歳以上 55 歳未満 の世帯で最も 所得消費差額割合 が大きい 上述の通り 1 時点ベースに基づく年齢階層別の下では 所得消費差額割合 が 35 歳以上 55 歳未満 といった時期において最も大きいことが確認された (4.1 節 ) このことはどのような恒常所得水準にあっても 家 11 5.1 節と同様 ここでの議論において 消費支出合計 に関する考察はそれほど意味を持たない なぜなら 特定の消費階層内において年齢階層間での消費の違いを確認することができず その理由に全ての年齢階層で共通した消費 1 分位を利用しているからである そのため ここでは 消費支出合計 に関するクロス集計を割愛する 12

計の 所得消費差額割合 も概ね 45 歳以上 55 歳未満 の時期においてピークに達することが分かる さらに 第 1 消費階層 の世帯で 所得消費差額割合 が負となる場合があり 特に 35 歳未満 の若年世帯と 65 歳以上 の高齢世帯がそれに該当する ( 図表 34 35 その2を参照 ) 一方 3 統計間の相違点としては 総所得 や 貯蓄消費差額割合 について横軸に年齢階層別をとる場合 特に 第 1 消費階層 で 25 歳未満 の世帯に関する傾向については統計間で共通性が低い 例えば 第 1 消費階層 で 25 歳未満 の世帯について注目すると 国民生活基礎調査 の場合は当該世帯の 総所得 や 所得消費差額割合 が他の統計と比べると極端に低い ( 図表 33~35 その2を参照 ) このことは上述の通り 国民生活基礎調査 において低所得者の 総所得 が低いからでもある (4.2 節 ) 貯蓄残高 借入金残高について見ていくが ここでは主に横軸に消費階層別をとる場合を用いる 統計間で共通していることは まず 貯蓄残高 や 借入金残高 については相対的に各年齢階層のグラフに乖離が大きく これらの水準はライフサイクルに大きく影響される 例えば 貯蓄残高 は 65 歳以上 といった高齢世帯の水準が高い ( 図表 36 を参照 ) また 借入金残高 は 35 歳以上 55 歳未満 といった時期の水準が高い ( 図表 37 を参照 ) これらの特徴は年齢階層別 所得階層別のクロス集計のときと同様である 消費 1 大費目について見ていくが ここでは主に横軸に消費階層別をとる場合を用いる 2 統計で共通していることは まず 食料 や 光熱 水道 については相対的に各年齢階層のグラフに乖離が小さく これらの支出割合はライフサイクルの時期にそれほど影響されない しかし 消費階層が高まるほど これらの支出割合は低下する傾向がある さらにこれらの階層間格差については 年齢階層別 所得階層別のクロス集計のときよりも大きい ( 図表 38 4 を参照 ) 反対に 住居 教育 保健医療 などは相対的に各年齢階層のグラフに乖離が大きく これらの支出割合はライフサイクルの時期に大きく影響される 例えば 住居 は 35 歳未満 といった若年世帯の支出割合が高く ( 図表 39 を参照 ) 教育 は 45 歳以上 65 歳未満 といった中年世帯の支出割合が高く ( 図表 45 を参照 ) 保健医療 は 65 歳以上 といった高齢世帯の支出割合が高い ( 図表 43 を参照 ) これらの特徴は年齢階層別 所得階層別のクロス集計のときと同様である なお 2 統計間の相違点として 24 歳未満 の傾向については統計間で共通性が低いことが挙げられ このことは年齢階層別 所得階層別のクロス集計のときと同様である < 図表 33~47 挿入 > 13

6. 結論本稿では総務省 全国消費実態調査 家計調査 厚生労働省 国民生活基礎調査 の家計ミクロデータを用い 家計の所得 消費 貯蓄について考察した またその際 特に家計の所得水準や消費水準はライフサイクルの影響を受けるため これを考慮して年齢階層別 所得階層別のクロス集計や 年齢階層別 消費階層別のクロス集計を用いた分析を行った 考察の結果 (1) 所得 消費 貯蓄は共に 5 歳前後にかけてピークに達する (2)65 歳以上でも低所得世帯を除けば純貯蓄が存在する (3) 消費 貯蓄の水準のみならず 消費内訳もライフサイクルの影響を受け 特に若年期は住居費 中年期は教育費 高齢期は保健医療費といった支出割合が相対的に高い (4) なお 国民生活基礎調査 は若年世帯や低所得世帯の所得水準が相対的に小さい などの点が確認された 上述 (1 節 ) の通り 家計の区分をその経済力に基づいて行う場合には主に所得階層別の下で行われることが多いが 近年は家計の恒常所得 ( 期待生涯所得 ) に対する代理変数として消費水準を使用し 消費階層別の下でも考察すべき点が指摘されている 大野ほか ( 近刊 ) を踏まえるとき 家計の属する所得階層は当該家計がライフサイクルのどの時期にいるのかにも依存しており 特定の 1 時点における所得水準は必ずしも当該家計の真の経済力を反映していない それゆえ 消費階層別から捉えることの意義は高い一方 消費階層別の使用には留意すべき点もあり 少なくとも2つの前提が必要となる 第 1は 家計の消費行動について恒常所得仮説がどの程度成り立つか であり 第 2は 統計調査自体が家計の消費水準をどれだけ正確に捕捉できているか である 前者については そもそも家計の消費行動に関する分析自体が大きな広がりを持っており 一概に捉えきれるものではない しかし 消費は恒常的な所得変化に対して反応するという仮説に沿うものとなっている ( 阿部 211, p.72) といった指摘など 基本的には恒常所得仮説が支持されていると言えよう 一方 後者については 下記で述べるように調査自体の特性等から消費水準の正確な捕捉について課題がないわけではない 最後に今後の課題を述べる 本稿では家計の所得 消費 貯蓄について年齢階層別を含むクロス集計を用いて分析を行ったが 但しそこでは全ての年齢階層で共通した所得 1 分位や消費 1 分位を利用している 5 節の考察からも確認されたように この分析からも家計の消費や貯蓄の水準についてはライフサイクルの影響が大きいことが示された しかし 実際は年齢階層ごとに的な所得水準は異なるため 全ての年齢階層で共通した所得 1 分位や消費 1 分位を用いた分析には限界もある それゆえ 第 1の課題はこうした点を克服して分析を深めることである 具体的には年齢階層ごとに所得 1 分位や消費 1 分位を作成することも一つの方法ではあるが より望ましいのは生年別や生年代別のコーホート データを構築の上で年齢階層ごとに所得 1 分位や消費 1 分位を作成することである 繰り返しクロスセクション データを利用して疑似パネル データを構築することで 同一生年や同一生年代における家計の所得 消費 貯蓄を考察することが可能となる 14

第 2に 高齢者の貯蓄行動について更に考察を深めることである 4 節の考察からも確認されたように 日本では 65 歳以上の高齢世帯においても純貯蓄があることが示された この点は特徴的な結果と言えるが 高齢世帯の多様性を踏まえながらより詳細な考察が必要と思われる 第 3に 家計の経済力をどのように測るべきかについてもさらに検討していく必要がある ここで 家計の経済力を測る上で 所得水準が良いのか 消費水準が良いのか を考えてみたい 生涯ベースを利用する場合 仮に正確に計測できるなら 生涯所得と生涯消費はどちらを用いても良い 遺産がないと仮定すれば 双方は一致するはずだからである しかし 現実面では多くの場合において年間ベースのデータしか利用できないという制約がある そこで年間ベースを利用する場合であるが 仮に正確に計測できるなら 年間所得よりも年間消費の方が望ましい 消費のライフサイクル仮説に基づけば 消費は家計の期待生涯所得を反映し 1 時点の所得や資産よりも正確な経済厚生の尺度になると考えられる ( 宇南山 211, p.14) からである しかし 現実面では消費水準の正確な計測にも課題が残る 例えば 全国消費実態調査 や 家計調査 における家計簿の場合などにおいては 家計が直接記入する形式であるため 記入漏れや記入ミスの問題が生じている可能性は排除できない また 調査時期が年間における数ヶ月間であるため 季節性の問題などが調査結果に反映されてしまうといった問題がある したがって 家計の消費水準を正確に計測するためには これらの問題に対処していく取り組みが必要となる もちろん 家計の所得水準についても正確な計測に課題がある 例えば 家計の所得のみに限定せず 多様な資力源泉 ( 所得 貯蓄 借入れなど ) を正確に計測する取り組みが必要となろう このように 家計の経済力を正確に把握する上では 調査統計自体において年間所得や年間消費の正確な計測が望まれる それと同時に 調査統計自体の特性 課題を認識した上で それを補うための対処法も重要な議論となる 15

参考文献阿部修人 (21) 近年の日本家計消費の動向: 家計調査の結果を中心として 一橋大学経済研究所ディスカッションペーパー A No.54 阿部修人 (211) 家計消費の経済分析 岩波書店宇南山卓 (211) 家計調査の課題と改善に向けて 統計と日本経済 1(1), pp.3-28 大野太郎 中澤正彦 三好向洋 松尾浩平 松田和也 片岡拓也 高見澤有一 蜂須賀圭史 増田知子 ( 近刊 ) 家計の世帯分布: 全国消費実態調査 家計調査 国民生活基礎調査 の比較, PRI Discussion Paper Series 八塩裕之 長谷川裕一 (29) わが国家計の消費税負担の実態について 経済分析 182 号, pp.25-47 府川哲夫 (21) 総人口及び65 才以上人口の所得状況 : 国民生活基礎調査を用いて, IPSS Discussion Paper Series, No.29-J1 16

< 図表 1 > 家計の所得 消費 貯蓄 金額 消費 1 大費目構成比 ( 対 消費支出合計 ) 全国消費実態調査 家計調査 国民生活基礎調査 全国消費実態調査 家計調査 総所得 287,.8 287,5.1 267,738.2 可処分所得 245,359.4 247,373.3 225,599.3 食料 38,739.9 39,16.7 22.4% 22.8% 住居 11,437.3 11,924.8 6.6% 7. 光熱 水道 1,861.3 12,639.6 6.3% 7.4% 家具 家事用品 5,66.4 5,681.2 3.2% 3.3% 被服及び履物 6,79.6 7,2.8 3.9% 4.2% 保健医療 7,832.4 7,559.1 4.5% 4.4% 交通 通信 25,869.9 21,999.6 14.9% 12.9% 教育 6,767. 5,68.4 3.9% 3.3% 教養娯楽 18,776. 18,367.5 1.8% 1.7% その他の消費支出 4,572.9 41,193. 23.4% 24.1% 消費支出合計 173,172.6 171,19.6 145,821.7 1. 1. 総所得消費差額 113,828.2 115,814.5 121,916.6 可処分所得消費差額 72,186.8 76,182.8 79,777.7 貯蓄残高 8,69,92.2 7,822,931.6 7,425,331.3 借入金残高 2,386,879.7 1,965,624.5 2,129,858.7 < 図表 2 > 家計の消費 1 大費目 ( 対 消費支出合計 ) 3. 25. 全国消費実態調査 家計調査 2. 15. 1. 5.. 17

< 図表 3 > 1 時点ベース 年齢階層別から見た所得 消費 貯蓄 4, 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 25 歳未満 35 歳未満 45 歳未満 55 歳未満 65 歳未満 75 歳未満 75 歳以上 5. 45. 4. 35. 3. 25. 2. 15. 1. 5.. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) (2) 家計調査 4, 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 25 歳未満 35 歳未満 45 歳未満 55 歳未満 65 歳未満 75 歳未満 75 歳以上 5. 45. 4. 35. 3. 25. 2. 15. 1. 5.. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) 18

(3) 国民生活基礎調査 4, 6. 35, 5. 3, 25, 4. 2, 3. 15, 2. 1, 5, 1. 25 歳未満 35 歳未満 45 歳未満 55 歳未満 65 歳未満 75 歳未満 75 歳以上. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) < 図表 4 > 1 時点ベース 年齢階層別から見た貯蓄残高 借入金残高 単位 : 万円 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 25 歳未満 35 歳未満 45 歳未満 55 歳未満 65 歳未満 75 歳未満 75 歳以上 貯蓄残高 借入金残高 19

(2) 家計調査 単位 : 万円 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 25 歳未満 35 歳未満 45 歳未満 55 歳未満 65 歳未満 75 歳未満 75 歳以上 貯蓄残高 借入金残高 (3) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 1, 9 8 7 6 5 4 3 2 1 25 歳未満 35 歳未満 45 歳未満 55 歳未満 65 歳未満 75 歳未満 75 歳以上 貯蓄残高 借入金残高 2

< 図表 5 > 1 時点ベース 年齢階層別から見た消費 1 大費目構成比 3 25% 2 15% 1 5% 25 歳未満 35 歳未満 45 歳未満 55 歳未満 65 歳未満 75 歳未満 75 歳以上 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 (2) 家計調査 3 25% 2 15% 1 5% 25 歳未満 35 歳未満 45 歳未満 55 歳未満 65 歳未満 75 歳未満 75 歳以上 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 21

< 図表 6 > 1 時点ベース 所得階層別から見た所得 消費 貯蓄 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 1, 7. 6. 5. 4. 3. 2. 1.. 1. 2. 3. 4. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) (2) 家計調査 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 1, 7. 6. 5. 4. 3. 2. 1.. 1. 2. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) 22

(3) 国民生活基礎調査 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 1, 総所得 消費支出合計 総所得消費差額 可処分所得消費差額 総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) 8. 6. 4. 2.. 2. 4. 6. 8. 1. 12. < 図表 7 > 1 時点ベース 所得階層別から見た貯蓄残高 借入金残高 単位 : 万円 1,6 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高 借入金残高 23

(2) 家計調査 単位 : 万円 1,6 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高 借入金残高 (3) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 1,8 1,6 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高 借入金残高 24

< 図表 8 > 1 時点ベース 所得階層別から見た消費 1 大費目構成比 35% 3 25% 2 15% 1 5% 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 (2) 家計調査 35% 3 25% 2 15% 1 5% 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 25

< 図表 9 > 1 時点ベース 消費階層別から見た所得 消費 貯蓄 5, 7. 4, 3, 6. 5. 4. 2, 1, 3. 2. 1. 1,. 1. 2. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) (2) 家計調査 5, 4, 3, 2, 1, 1, 8. 7. 6. 5. 4. 3. 2. 1.. 1. 2. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) 26

(3) 国民生活基礎調査 5, 8. 4, 7. 6. 3, 5. 2, 4. 3. 1, 2. 1.. 1, 1. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) < 図表 1 > 1 時点ベース 消費階層別から見た貯蓄残高 借入金残高 単位 : 万円 1,6 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高借入金残高 27

(2) 家計調査 単位 : 万円 1,6 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高 借入金残高 (3) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 1,6 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高 借入金残高 28

< 図表 11 > 1 時点ベース 消費階層別から見た消費 1 大費目構成比 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 (2) 家計調査 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 29

< 図表 12 > 1 時点ベース 主要所得源泉別から見た所得 消費 貯蓄 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 給与世帯年金世帯その他 5. 45. 4. 35. 3. 25. 2. 15. 1. 5.. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) (2) 国民生活基礎調査 35, 6. 3, 5. 25, 2, 15, 1, 4. 3. 2. 5, 1. 給与世帯事業世帯年金世帯その他. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) 3

< 図表 13 > 1 時点ベース 主要所得源泉別から見た貯蓄残高 借入金残高 単位 : 万円 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 給与世帯年金世帯その他 貯蓄残高 借入金残高 (2) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 1,2 1, 8 6 4 2 給与世帯事業世帯年金世帯その他 貯蓄残高 借入金残高 31

< 図表 14 > 1 時点ベース 主要所得源泉別から見た消費 1 大費目構成比 3 25% 2 15% 1 5% 給与世帯年金世帯その他 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 < 図表 15 > 1 時点ベース 世帯形態別から見た所得 消費 貯蓄 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 5. 45. 4. 35. 3. 25. 2. 15. 1. 5.. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) 32

(2) 家計調査 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 6. 5. 4. 3. 2. 1.. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) (3) 国民生活基礎調査 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 6. 5. 4. 3. 2. 1.. 総所得消費支出合計総所得消費差額 可処分所得消費差額総所得消費差額割合 ( 右軸 ) 可処分所得消費差額割合 ( 右軸 ) 33

< 図表 16 > 1 時点ベース 世帯形態別から見た貯蓄残高 借入金残高 1,4 単位 : 万円 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高 借入金残高 (2) 家計調査 単位 : 万円 1,4 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高 借入金残高 34

(3) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 1,2 1, 8 6 4 2 貯蓄残高 借入金残高 < 図表 17 > 1 時点ベース 世帯形態別から見た消費 1 大費目構成比 3 25% 2 15% 1 5% 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 35

(2) 家計調査 3 25% 2 15% 1 5% 食料住居光熱 水道家具 家事用品被服及び履物 保健医療交通 通信教育教養娯楽その他の消費支出 36

< 図表 18 > 消費支出合計に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 単位 : 円 5, 4, 3, 2, 1, ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 単位 : 円 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 37

(2) 家計調査 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 単位 : 円 5, 4, 3, 2, 1, ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 単位 : 円 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 38

(3) 国民生活基礎調査 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 単位 : 円 5, 4, 3, 2, 1, ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 単位 : 円 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 39

< 図表 19 > 総所得消費差額割合に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 1 8 6 4 2 2 4 6 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 1 8 6 4 2 2 4 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 4

(2) 家計調査 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 8 7 6 5 4 3 2 1 1 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 41

(3) 国民生活基礎調査 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 1 5 5 1 15 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 1 5 5 1 15 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 42

< 図表 2 > 可処分所得消費差額割合に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 1 8 6 4 2 2 4 6 8 1 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 1 8 6 4 2 2 4 6 8 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 43

(2) 家計調査 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 6 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 44

(3) 国民生活基礎調査 ( その1) 横軸に所得階層別をとる場合 1 5 5 1 15 2 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 1 5 5 1 15 2 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 45

< 図表 21 > 貯蓄残高に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 単位 : 万円 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 5 (2) 家計調査 単位 : 万円 6, 5, 4, 3, 2, 1, 46

(3) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 3, 2,5 2, 1,5 1, 5 < 図表 22 > 借入金残高に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 単位 : 万円 8 7 6 5 4 3 2 1 47

(2) 家計調査 単位 : 万円 6 5 4 3 2 1 (3) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 8 7 6 5 4 3 2 1 48

< 図表 23 > 食料 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% (2) 家計調査 45% 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% 49

< 図表 24 > 住居 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 3 25% 2 15% 1 5% (2) 家計調査 2 18% 16% 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% 5

< 図表 25 > 光熱 水道 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 18% 16% 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% (2) 家計調査 2 18% 16% 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% 51

< 図表 26 > 家具 家事用品 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 5. 4. 3. 2. 1.. (2) 家計調査 6. 5. 4. 3. 2. 1.. 52

< 図表 27 > 被服及び履物 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% (2) 家計調査 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% 53

< 図表 28 > 保健医療 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 9% 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% (2) 家計調査 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% 54

< 図表 29 > 交通 通信 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% (2) 家計調査 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% 55

< 図表 3 > 教育 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% (2) 家計調査 12% 1 8% 6% 4% 2% 56

< 図表 31 > 教養娯楽 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 18% 16% 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% (2) 家計調査 25% 2 15% 1 5% 57

< 図表 32 > その他の消費支出 ( 比率 ) に関する年齢階層別 所得階層別のクロス集計 45% 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% (2) 家計調査 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% 58

< 図表 33 > 総所得に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 単位 : 円 6, 5, 4, 3, 2, 1, ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 単位 : 円 6, 5, 4, 3, 2, 1, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 59

(2) 家計調査 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 単位 : 円 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 単位 : 円 6, 5, 4, 3, 2, 1, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 6

(3) 国民生活基礎調査 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 単位 : 円 9, 8, 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 単位 : 円 6, 5, 4, 3, 2, 1, 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 61

< 図表 34 > 総所得消費差額割合に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 62

(2) 家計調査 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 6 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 63

(3) 国民生活基礎調査 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 1 5 5 1 15 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 1 5 5 1 15 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 64

< 図表 35 > 可処分所得消費差額割合に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 6 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 6 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 65

(2) 家計調査 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 6 8 1 12 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 8 6 4 2 2 4 6 8 1 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 66

(3) 国民生活基礎調査 ( その1) 横軸に消費階層別をとる場合 1 5 5 1 15 ( その 2) 横軸に年齢階層別をとる場合 1 5 5 1 15 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 67

< 図表 36 > 貯蓄残高に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 単位 : 万円 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 5 (2) 家計調査 単位 : 万円 3, 2, 1, 68

(3) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 2,5 2, 1,5 1, 5 < 図表 37 > 借入金残高に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 単位 : 万円 8 7 6 5 4 3 2 1 69

(2) 家計調査 単位 : 万円 6 5 4 3 2 1 (3) 国民生活基礎調査 単位 : 万円 7 6 5 4 3 2 1 7

< 図表 38 > 食料 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% (2) 家計調査 45% 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% 71

< 図表 39 > 住居 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 3 25% 2 15% 1 5% (2) 家計調査 2 18% 16% 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% 72

< 図表 4 > 光熱 水道 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 18% 16% 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% (2) 家計調査 2 18% 16% 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% 73

< 図表 41 > 家具 家事用品 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 5. 4. 3. 2. 1.. (2) 家計調査 6. 5. 4. 3. 2. 1.. 74

< 図表 42 > 被服及び履物 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% (2) 家計調査 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% 75

< 図表 43 > 保健医療 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 9% 8% 7% 6% 5% 4% 3% 2% 1% (2) 家計調査 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% 76

< 図表 44 > 交通 通信 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% (2) 家計調査 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% 77

< 図表 45 > 教育 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% (2) 家計調査 12% 1 8% 6% 4% 2% 78

< 図表 46 > 教養娯楽 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 18% 16% 14% 12% 1 8% 6% 4% 2% (2) 家計調査 25% 2 15% 1 5% 79

< 図表 47 > その他の消費支出 ( 比率 ) に関する年齢階層別 消費階層別のクロス集計 45% 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% (2) 家計調査 4 35% 3 25% 2 15% 1 5% 8