田川地域における観光推進モデルの構築 神崎聡 ( こうざきさとし )
1 田川地域の観光を取り巻く現状 (1) 観光客に関するデータ (1) 観光客は 約 75% が 50 歳以上となっており 年齢層が高い 60 歳代以上が約半数 50 歳代が2 割から3 割 北九州都市圏や福岡都市圏といった比較的近場からの訪問が多く 観光客の約 9 割が日帰り客で 田川在住者の観光は1 割未満である 平日は団塊世代の夫婦 ( 旅行グループの約 3 割 ) や母娘が多い 休日は家族 ( 旅行グループの約 2 割 ) や若いカップルが多い その合間に旅行会社主催の団体ツアー客が訪れている
2 田川地域の観光を取り巻く現状 (2) 観光客に関するデータ (2) 旅行人数は夫婦や母娘 カップルなどの 2 人が 4 割を占めており ツアーや団体 旅行である 10 人以上は全体の 1/4 程度を占めている 約 7 割の観光客が自家用車で訪問し 次に多いのが観光バスによる訪問である 一人当たりの観光消費額は減少傾向にあり 5 割弱が 5,000 円未満の低金額の 出費に抑えた旅行となっている 観光情報の入手先は テレビ ラジオ 新聞が 4 割強であるが 一方で 知人か らの口コミやインターネットで情報収集してからの訪問も多い
3 田川地域の観光が抱える問題点 観光における改善ポイント 観光情報が分散して集約されていないので 情報収集がしにくく 結果として観光名所がアピールできていない 観光地周辺の駐車場や観光案内サインの整備が不十分 観光コースが充実していないので 観光客の顧客化が困難 観光地を周遊させるための仕組みが出来上がっていない お金を使う場所や仕組みが整備されていないので 立ち寄り型の観光 スタイルに終始し 田川地域内でお金を使うシステムができていない 観光客を顧客化させるための仕組みづくりが必要
4 観光面における問題解決策 ICT を利用した問題解決策 1 効果的な情報配信体制の構築 田川地域の観光情報をポータルサイトに集約して情報配信 外国人観光客の集客のために多言語化対応 属性情報に応じたオススメの観光ルート提案機能を実装 ユーザー層を分析したうえでの各種情報端末への対応 2 観光客顧客化のための地域通貨発行 観光ルートを周遊したり イベントに参加したり 買い物することでポイントを付与 付与されたポイントは 買い物時に利用可能な地域通貨との交換が可能
5 効果的な情報発信体制の構築 (1) 効果的な情報発信の概要 1 官民の情報を集約した観光系ポータルコンテンツの提供 属性情報にマッチングしたオススメ観光ルートの提案 2 多言語化による国際化への対応 少なくとも 日本語 英語 韓国語 中国語での対応は必須 可能であれば繁体文字と簡体文字にも対応 3 ターゲット層に合わせた情報チャネルの提供 団塊世代の夫婦には パソコンと携帯電話でアプローチ 母娘などの女性グループや若いカップルには 携帯電話でアプローチ 海外からの観光客には WiFi 端末とパソコンでアプローチ
6 効果的な情報発信体制の構築 (2) 官民の情報を集約した観光系ポータルコンテンツの提供 現在 田川地域の観光情報が充実している Web サイトとしてたがわネット ( 田川地域観光ガイドサイト ) を挙げることが出来ますが 福岡県の クロスロードふくおか や福岡市の よかなび ほど情報が充実しておらず 使い勝手もまだまだ改善の余地があります 特に よかなび の場合 PC での閲覧だけでなく 携帯電話 WiFi 端末 観光案内所などの情報端末での閲覧にも対応しており 様々な場所で情報収集が出来るというメリットがあります 現在 田川のグルメ情報サイト YOU 遊 マップ たがわーるど や田川観光案内マップを含め 田川地域の観光情報ならここにアクセスすれば全て把握できるというサイトがあれば ユーザーの使い勝手があがるとともに あまり知られていない観光地のアピールなど 今まで対応が不十分だった点もカバーすることが出来るようになります 参考サイト クロスロードふくおか (http://www.crossroadfukuoka.jp/) 天神 大名 WiFi 化協議会 (http://tenjin.kyushu-wifi.net/) よかなび (http://yokanavi.com/)
9 効果的な情報発信体制の構築 (3) ターゲット層に合わせた情報チャネルの提供 田川地域観光ホ ータルサイト 観光情報 地図情報 団塊世代の夫婦 PC や携帯電話 音声 動画データ ショップ情報 イベント情報 母娘の女性グループや若者 携帯電話 他言語化対応 海外からの観光客 PC や WiFi 端末
8 効果的な情報発信体制の構築 (4) 観光周遊ルートの提案とプロモーション 現状の田川地域における観光は 観光客の約 9 割が日帰りで しかも50% 弱が5,000 円未満しか使わないことからも 1 2カ所の観光地をまわる立ち寄り型の観光スタイルであるといえます これでは大幅な客単価アップは見込めないため ユーザーの目的に応じた観光周遊ルートをいくつか提案し ルートを周遊してもらうことで客単価のアップを図っていく必要があります 周遊ルート案 炭坑跡などを巡る近代化産業の遺産巡りルート ( メインターゲット : 高齢者 ) 温泉 農産物直売所 焼き物を巡る食と憩いルート ( メインターゲット : 高齢者 女性 ) 焼き物や英彦山歴史を中心と散策ルート ( メインターゲット : 高齢者 女性 )
7 効果的な情報発信体制の構築 (5) 観光系ポータルコンテンツの事例 前述の よかなび 以外にも 福岡市では天神 大名 WiFi 化プロジェクトという取り組みが行われており 観光情報を日本語 英語 韓国語の3カ国語で提供しています 将来的には繁体文字と簡体文字への対応も検討しており 外国からの観光客への対策が進んでいます 天神 大名 WiFi 化協議会のコンテンツ (http://tenjin.kyushu-wifi.net) WiFi 端末 (iphone ipod touch) に特化させた表示を行っているが PC からでも閲覧可能 他に イベント ライブ情報が閲覧 検索可能なコンテンツが利用できたりと 様々な工夫がなされている また メインとなるショップ情報は 下記の企業と連携しながら情報の充実を図っています 日本語 :ZIMenu( 福岡中心の SNS サービス ) 英語 韓国語 :Fukuoka Now( 外国人向けフリーペーパー )
15 観光客顧客化のための地域通貨発行 (1) 観光地としてのブランド化の概要 観光地としての たがわ のブランドを確立させるための対策として 列挙できるものだけでも以下のものがあります 1 観光周遊ルートの提案とプロモーション 2 観光地を活用したイベントの企画
16 観光客顧客化のための地域通貨発行 (2) 顧客獲得のための地域通貨発行 観光客を顧客化し再度訪問させる 地域を活性化する目的で地域通貨の発行を行い 下記のような機会に地域通貨のポイントを発行することで地域全体を巻き込んだ活性化を図ります 1 観光地周遊ルートを廻ることで地域通貨を発行 2 各種イベントに参加することで地域通貨を発行 3 美化運動への参加など地域貢献することで地域通貨を発行 4 市内の商店で買い物をした際にも地域通貨を発行
17 観光客顧客化のための地域通貨発行 (3) 地域通貨を活用するためのイベント企画 田川地域の観光地をアピールしたり 多くの人々に認知してもらうことを目的に観光地を絡めたイベントを積極的に企画 開催していくこと イベントを開催する際には 地域通貨制度を絡めて既存の施設を活用しつつ たがわ のファン獲得と顧客化を図る必要があります 観光地をターゲットにした写真 ( 絵画 ) コンテスト 観光地周遊スタンプラリー 住民参加型イベント ( 観光地周辺の美化運動など ) 観光ガイド育成講座 田川観光検定テストの企画 実施