2013年度社会調査演習報告書表紙・奥付

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Transcription:

まえがき 名取 旅おこし講の取り組みと名取市の復興 地域活性 ( 社会調査報告書第 6 号 ) まえがき 内田龍史 尚絅学院大学総合人間科学部現代社会学科では 名取市の協力のもと 毎年 本学の所在地である名取市住民の方々を対象とした地域調査を実施してきた 本年度の 社会調査演習 では 昨年度から継続する 2 つの課題に取り組んだ 一つは 名取 旅おこし講 の取り組みである 名取 旅おこし講 は明治大学商学部木村乃特任准教授と 社会調査演習 代表教員である内田が立ち上げた団体であり その企画 運営を明治大学 尚絅学院大学のそれぞれの授業の受講生が担っている 木村准教授の造語である 旅おこし とは 当地の地域文化の魅力を発掘 発信することにより 当地への 旅 を促すことによって集客を果たし 他地域と当地住民との交流機会を増幅するとともに これら活動をもって当地における経済活動を活性化するまちおこし のことである ここで 当地 とは 名取 閖上のことであり 昨年度に引き続き 名取市役所 名取市商工会 閖上さいかい市場 仮設住宅をはじめとする方々の協力を得て 名取 閖上をフィールドとする旅おこしのためのアクション リサーチを実施した 第二に 2011 年度から継続して実施している 名取市住民に対する質問紙調査である 被災から 2 年半以上を経過した後の 名取市の人口集住地域住民の震災に対する意識や生活の状況 あるいは名取市の地域活性に向けた手がかりはどのようなものか 2011 年度 2012 年度に実施した調査の調査票をもとに 質問項目を再検討し 調査票の製本 袋詰め ポスティング 入力 分析ならびに報告書の執筆を行った なお これら 2 つの課題に対し 学生たちは 4 つのグループにわかれ グループごとに役割分担したうえで取り組んだ 目標に向かい グループ内のみならず グループを超えて互いに情報交換しながら作業を進めていくことができた こうしたチームワークも社会調査の醍醐味である ここで 各調査にご協力いただいた方々に御礼を申し上げたい 昨年と同様となるが 名取 旅おこし講 では 明治大学の学生と共同して名取 閖上地区の旅おこしに取り組むことで 学生たちはかけがえのない貴重な経験を積むことができた きっかけを与えてくださった明治大学木村乃准教授 学生の皆さん 明治大学との縁を取り持っていただき 各イベントにもご協力いただいた名取市職員の方々 名取市商工会 閖上さいかい市場 愛島東部仮設住宅の方々 モデルツアーの実施に際しては地元事業者の方々 そして 数多くの名取市 閖上地区に関係する方々にご協力いただいた これら多数の方々に深く感謝申し上げる そして 今後ともよろしくお願いいたします 名取市住民意識調査においては 今年度も多くの名取市地域住民の方々にご協力をいただいた 特に これまでも設定してきた自由記述欄 ( 第 2 部第 8 章参照 ) に見られる尚絅学院大学生に対する期待 叱咤激励は 学生にとって地域社会とのつながりを見つめ直す貴重な機会になったと確信している ご協力ありがとうございました 最後に 名取市では東日本大震災において甚大な被害を受けた 952 名の方が亡くなられ いまだ行方不明の方も 40 名おられる (2014 年 2 月 10 日現在 ) 亡くなられた方々のご冥福をお祈りし 被災された方々にお見舞い申し上げるとともに 本報告書が復興と地域活性のための一助となれば幸いである 2014 年 3 月 i

名取 旅おこし講の取り組みと名取市の復興 地域活性 担当一覧 代表教員内田龍史 ( 尚絅学院大学総合人間科学部現代社会学科講師 ) 教員 杉座秀親 ( 尚絅学院大学総合人間科学部現代社会学科教授 ) 林雄亮 ( 尚絅学院大学総合人間科学部現代社会学科講師 ) 受講生 班番号学籍番号名前 1 1014314 菅原貴洋 1 1114221 渡邊謙太 1 1214118 鈴木悠貴弘 1 1214205 大友明日佳 1 1214308 宍戸こう子 1 1214401 阿部雄大 2 1014323 吉田百花 2 1114103 石田篤 2 1214117 鈴木信之 2 1214204 太田雅人 2 1214301 阿部一真 2 1214302 大友国渡 3 1114217 平塚勇人 3 1214110 鹿島翔太 3 1214111 加藤るい子 3 1214218 樋口敦 3 1214315 中塩洋平 4 1214114 佐藤裕姫 4 1214220 吉田雪花 4 1214303 川原綾香 4 1214307 佐藤友寛 4 1214321 渡邉康平 ii

まえがき 目次 まえがき... i 目次... iii 第 1 部 名取 旅おこし講 の取り組み... 1 はじめに 名取 旅おこし講 とは?... 1 1. 名取 旅おこし講 とは?... 1 2. 名取 旅おこし講 のこれまで... 1 3.2013 年度の 名取 旅おこし講 の取り組み... 2 4. 今年度の動き... 3 5. 第 1 部の構成... 3 第 1 章名取 閖上フィールドワーク... 4 1. 名取 閖上フィールドワークの概要... 4 2. フィールドワーク内容... 4 3. 名取 閖上フィールドワーク コースマップ... 7 第 2 章愛島東部夏祭り... 9 はじめに... 9 1. 事前準備合宿... 9 2. 夏祭り当日... 11 第 3 章旅おこし道場... 18 1. 旅おこし道場とは... 18 2. 旅おこし道場壱 故郷への愛と誇りで地域を元気に!!... 18 3. 旅おこし道場弐 旅づくりがもたらす地域活性化の可能性... 19 第 4 章旅おこし各種イベント... 21 1. 閖上さいかい市場での取り組み... 21 2. 神田縁起市... 24 3.Y フェスタ追浜... 26 4. 尚志祭... 30 5. 明大祭参加... 39 第 5 章新閖上風土記... 42 1. はじめに... 42 2. 新閖上風土記... 43 iii

名取 旅おこし講の取り組みと名取市の復興 地域活性 3. インタビューデータ... 56 第 6 章モデルツアーに向けて... 80 1. 第一回寄合... 80 2. 第二回寄合... 80 3. 第三回寄合... 81 4. 第四回寄合... 82 5. 第五回寄合... 83 第 7 章今年度のまとめ... 87 1. 実施したこと... 87 2. 成果... 88 3. 課題... 88 第 2 部名取市住民意識調査... 89 はじめに 名取市の状況と住民意識調査の概要... 89 1. 調査目的... 89 2. 住民意識調査の概要... 89 第 1 章基本属性... 91 1. 性別... 91 2. 年齢階層... 91 3. 学歴... 92 4. 仕事... 93 5. 世帯... 95 6. 小括... 99 第 2 章居住地区とその評価... 100 1. 居住地区... 100 2. 居住形態... 100 3. 出生地... 101 4. 居住開始時期... 101 5. 加入団体... 102 6. 生活環境評価... 104 7. コミュニティ意識... 107 8. 小括... 108 第 3 章名取市とその評価... 109 はじめに... 109 1. 名取市の 顔... 109 iv

まえがき 2. 名取市の評価... 111 3. 愛着度... 112 4. 小括... 113 第 4 章防災... 114 はじめに... 114 1. 防災訓練への参加... 114 2. 避難場所の認知... 116 3. 備蓄状況... 117 4. 考察... 118 第 5 章震災の影響... 120 はじめに... 120 1. 原発事故... 120 2. ボランティア活動... 123 3. 震災後の人と人とのつながり... 126 4. 小括... 127 第 6 章復興... 129 はじめに... 129 1. 復興計画... 129 2. 災害につよいまちづくり... 131 3. 名取市の復興... 132 4. 復興のあり方... 134 5. 復興の実感... 136 6. 復興への関心... 137 7. 復興活動への評価... 139 8. 考察... 142 第 7 章ゆりあげ港朝市 閖上さいかい市場... 144 はじめに... 144 1. 閖上港朝市... 144 2. 閖上さいかい市場... 149 3. 考察... 153 第 8 章名取市 尚絅学院大学への要望... 154 はじめに... 154 1. 名取市への要望... 154 2. 尚絅学院大学生への要望... 163 第 9 章考察と提言... 171 1. 名取市とその評価... 171 v

名取 旅おこし講の取り組みと名取市の復興 地域活性 2. 防災... 171 3. 震災の影響... 171 4. 復興... 171 5. ゆりあげ港朝市 閖上さいかい市場... 171 6. 名取市への要望... 172 7. 尚絅学院大学生への要望... 172 おわりに... 172 第 3 部 1 年間を振り返って... 173 1 班... 173 2 班... 176 3 班... 179 4 班... 182 資料 : 名取市住民意識調査調査票 vi

はじめに 名取 旅おこし講 とは? 第 1 部 名取 旅おこし講 の取り組み はじめに 名取 旅おこし講 とは? 内田龍史 1. 名取 旅おこし講 とは? 名取 旅おこし講 は 名取 閖上の地域活性を目的とした団体である 明治大学の木村乃准教授の造語である 旅おこし とは 当地の地域文化の魅力を発掘 発信することにより 当地への 旅 を促すことによって集客を果たし 他地域と当地住民との交流機会を増幅するとともに これら活動をもって当地における経済活動を活性化するまちおこし のことである ここで当地とは 名取 閖上のことを指す 東日本大震災で甚大な被害を受けた名取 閖上を舞台にした新しいタイプの 旅 を作り 復興に向けた取り組みを応援することを目指している 2013 年度の 社会調査演習 では 昨年度に引き続き 名取 旅おこし講 の取り組みを アクション リサーチ実習と位置づけ 実施した 2. 名取 旅おこし講 のこれまで 名取 旅おこし講 の取り組みは 2011 年末に 名取市役所を通じ 木村准教授から 明治大学の教員 学生と 名取市内の尚絅学院大学の教員 学生が共同で 名取市 閖上地域の 共同体再生 地域資源再発見事業 を行っていかないかという要請を受けたことをきっかけとしてはじまった取り組みである 昨年度の取り組みは 報告書 ( 尚絅学院大学総合人間科学部現代社会学科,2013) に詳細にまとめられているが ここで簡単に振り返っておく まず 2012 年 5 月 18 日に 社会調査演習 授業内で木村准教授より 旅おこし講 の概要について解説を受けた 翌日 2012 年 5 月 19 日には 4-114 教室にて明治大学と尚絅学院大学の学生が顔合わせし 佐々木一十郞名取市長より閖上地区の解説と旅おこし講への期待が述べられた また 名取 閖上地域の現状を知るために フィールドワークも実施した 2012 年 8 月 26 日には 閖上さいかい市場のイベントとして さいかい市場さ行ぐすぺ! 閖上のたこ焼きこせでみねすか? を実施した 名取 閖上のことを調べる中で 閖上地域で親しまれてきたたこ焼きは 串刺しでソースをどぶ漬けにしたものであることを突き止めた たこ焼きを作っていたおばあちゃんは震災で亡くなられていたため その懐かしい味を再現するために 名取 旅おこし講 のキックオフイベントとして 閖上たこ焼きの再現を行ったのである このイベントを通じて旅おこし講に協力いただける方を募り 2012 年 11 月 11 日には ザ 寄合 名取 閖上さ遊びさ来ねすか? 計画第 1 弾 として 名取市文化会館小ホールにて 旅おこしの趣旨に賛同していただいた名取 閖上地区に詳しい方々を招き ワークショップを実施し 閖上の文化を収集することに務めた 2013 年 2 月 3 日には ザ 寄合 名取 閖上さ遊びさ来ねすか? 計画第 2 弾 と題するワークショップをイオンモール名取エアリ内のイオンホールで開催し 収集した閖上文化をもとに 地元の方々とともに旅の企画を練り上げた そして 2013 年 3 月 24 日に 旅おこしモデルツアーとして ふるさとに出会う旅 ユリアゲなとりっぷ を実施した 当日は 閖上地域の概説のあと 閖上地域のゴミ拾い ( ごみしょい ) を行った 1

第 1 部 名取 旅おこし講 の取り組み 後 閖上さいかい市場でユリアゲ特製弁当を作成し 参加者の方々に味わっていただいた 午後には愛島東部仮設住宅のみなさま方の協力をえて 仮設住宅集会所で凧づくり キャンドルづくり 閖上の方々に親しまれてきた どんどん焼き を食べながらの交流を実施した 3.2013 年度の 名取 旅おこし講 の取り組み 以下では 昨年度の報告書 ( 平間,2013) と 木村准教授による 2014 年度の 名取 旅おこし講 の活動計画 ( 案 ) ( 木村,2013) をもとに 今年度の 名取 旅おこし講 の取り組みについて紹介する 3-1 目的木村 (2013) によれば 旅おこし の目的は 東日本大震災によりコミュニティが寸断された名取市閖上地区において コミュニティのつながりを維持 発展させるために不可欠な地域文化の消滅を食い止め 次代に継承するとともに その魅力をもって交流人口を増やし 共同体の再生と持続力のあるまちづくりに貢献することである そのためには 閖上の人びと自身が自らの共同体の魅力を再認識 再発見し 閖上 を維持したいという気持ちを高めることが必要となる ありのままの閖上の魅力が他地域の人びとを惹きつけ 旅 をおこすことが その大きなきっかけになる だからこそ 旅おこし に取り組むのである 3-2 目標 2012 年度の 旅おこし の目標は 以下の 4 つであった ( 平間,2013) (1) 離散した元 閖上地区共同体の維持 ( 共同体としての意識と行動の維持 ) (2) 閖上の共同体を再生したいという気持ちを高揚させる地域文化の可視化と再生 (3) 閖上の共同体によるまちづくりに対する全市民の関心喚起 ( 震災の共有 閖上への支援機運の醸成 ) (4) 閖上地区への集客 交流機会増 ( 仕事づくり 活気づくり ) 2013 年度は 上述した目的を達成するために 以下の 3 つを目標として設定した ( 木村,2013) 目標 (1) 閖上のありのままの魅力を蓄積したデータベースを充実化する 目標 (2) 東京圏や仙台圏の生活者に 名取 閖上 を認知していただけるようなPRイベントを実施する 目標 (3) 旅おこし 事業の地元の担い手を見つけ出し 一緒に学ぶ 以下 それぞれを具体的に示す 目標 (1) は 地元の方々から直接情報を引き出す あるいはすでに収集した情報を検証 充実させるために 住民インタビューを実施することを目指した 本年度は実際にさまざまなかたちでインタビューを実施し その結果は主に第 1 部第 5 章で紹介されている 目標 (2) は 東京では明治大学が主力となって 神田縁起市 明大祭 その他のイベントで閖上たこ焼き等を PR すること 仙台圏については 尚志祭 やその他仙台周辺でのイベントに出店することを目指した こちらも実際に様々なイベントを実施 参加することで PR を行うことができた 本報告書では 主に第 1 部第 4 章で紹介されている 目標 (3) は 旅おこし 事業の意義 事業としてこれを継続させていくために必要な知識や体制などを住民の皆さんにも理解していただくために 講演会 と 道場 ( ワークショップ ) を開催することを目指した こちらも実施することができ 本報告書では 主に第 1 部第 3 章で紹介されている これらを実施する中で 当初は必須としていなかったが 本年度もモデルツアーを実施する気運が 2

はじめに 名取 旅おこし講 とは? 高まり 3 月にモデルツアーを実施する運びとなった 4. 今年度の動き 最後に 今年度の主な動きを紹介する 2013 年 5 月 11 日には 社会調査演習 授業内で木村准教授より 名取 旅おこし講 の解説を受け 明治大学生 尚絅学院大学生との顔合わせ 交流の後 閖上地区へのフィールドワークを実施した 8 月 14 日には 昨年度のモデルツアーにご協力いただいた愛島東部仮設住宅で行われた東部団地仮設住宅自治会主催の夏祭りに参加した さまざまな企画を持ち込むことで夏祭りを盛り上げると同時に 住民の方々との交流を深めること 住民の方々から閖上の文化を聞き取ること 名取 旅おこし講の取り組みを知ってもらうことなどをその目的とした また 前日 8 月 13 日には 尚絅学院大学内で 明治大学生とともに 準備のための合宿を行った 8 月 19 日 9 月 29 日には 旅おこしのための講演会 旅おこし道場をそれぞれ実施した 関東方面では 明治大学の学生を中心に 8 月 31 日には東京都千代田区の 神田縁起市 で 10 月 19 日には神奈川県横須賀市追浜町での Y フェスタ追浜 で 閖上たこ焼きや閖上の名産品を販売するなど 名取 閖上の知名度をあげるためにイベントに参加した 10 月 19 20 日の尚絅学院大学 尚志祭 や 11 月 1 3 日にかけての明治大学 明大祭 にも参加し 名取 旅おこし講の取り組みを幅広く知ってもらう機会とした 11 月からはモデルツアーを実施するための寄合を複数回にわたって実施し 2014 年 3 月 22 23 日に 今年度の旅おこしモデルツアー きずなとりっぷ 2014 を実施することとなった そのほか 閖上さいかい市場のイベントには継続的にボランティアとして参加し 交流を深めることができた なお これらの活動を行うにあたって アドバイザーの協力をえた アドバイザーとは 昨年度の 社会調査演習 を受講したメンバーで 今年度も継続的に関わりたいとする者たちである アドバイザーは 可能な範囲で今年度の取り組みへのアドバイスを行い イベントなどにも参加 協力した 5. 第 1 部の構成 本報告書第 1 部では 今年度の 名取 旅おこし講 が実施してきた取り組みについて紹介している 構成は 第 1 章 名取 閖上フィールドワーク 第 2 章 愛島東部夏祭り 第 3 章 旅おこし道場 第 4 章 旅おこし各種イベント 第 5 章 新閖上風土記 第 6 章 モデルツアーに向けて 第 7 章 今年度のまとめ となっている 文献 木村乃,2013 平成 25 年度の 名取 旅おこし講 の活動計画 ( 案 ) ( 授業資料 ). 平間康太郎,2013 はじめに 名取 旅おこし講とは 尚絅学院大学総合人間科学部現代社会学科 社会調査報告書第 5 号 東日本大震災からの地域社会の復興過程と地域活性 1-2. 尚絅学院大学総合人間科学部現代社会学科,2013 社会調査報告書第 5 号 東日本大震災からの地域社会の復興過程と地域活性 :1-2. 3

第1部 名取 旅おこし講 の取り組み 第1章 名取 閖上フィールドワーク 加藤 るい子 本章では 2013 年5月 11 日 土 に実施された 名取 閖上フィールドワーク について取り上 げる 名取 旅おこし講 の活動を行っていくあたり 実際に現地に赴き 現状を知らなければいけ いということから実施された 1 名取 閖上フィールドワークの概要 2013 年5月 11 日 土 明治大学 尚絅学院大学の交流をし 名取 閖上でのフィールドワーク を実施した 目的は ①明治大学の学生と尚絅学院大学の学生との交流をもつこと ②閖上で旅おこしをするに あたっては現地のことを知らなければならない そのために現地に赴き 現状を知り 私たち学生に できることを考えること であった 午前中は 尚絅学院大学で先輩方から昨年度の 名取 旅おこし講 の活動についての説明の後 明治大学生と尚絅学院大学生との交流を行った 午後からはスクールバスで名取 閖上へとフィール ドワークに向かった 2 フィールドワーク内容 2-1 視察ルート ルートとしては 以下の番号順で現地調査へと向かった ①交流会 ②那智神社 ③日和山 ④佐々直工場 ⑤ゆりあげ港朝市 ⑥貞山運河 ⑦湊神社 ⑧閖上中学校 ⑨閖上の記憶 ⑩閖上さいかい市場 2-2 視察結果 ①尚絅学院大学での交流 明治大学の木村乃特任准教授から 旅おこし講 についての説明 また昨年度 名取 旅おこし講 で活動した先輩方から昨年の活動内容について説明 していただいた その後の交流会では 3グループにわかれてアイ スブレイキングを行った 4

第1章 名取 閖上フィールドワーク ②那智神社 熊野那智神社 熊野那智神社は 宮城県名取市にある神社である 名取熊野三社のうち一社である 那智神社から は名取市内が一望できる 以下 熊野那智神社 Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/熊野那智 神社_ 名取市 より引用する 鎮座地 宮城県名取市高舘吉田字舘山 8 主祭神 羽黒飛龍神 熊野夫須美神 例祭日 4 月 29 日 熊野那智神社は創建が 719 年 伝説によると養 老 4 年 719 閖上浜の漁師が海底から御神体を引 き上げたところ その光の輝きの止まる所が高舘山 であったことから そこに宮社を建て羽黒飛龍神と して祀ったという 一方 閖上 の地名の由来とし て貞観 13 年 871 年 に霊験あらたかな十一面観音像が波に揺り上げられているのを漁師が見つけ それが現在高舘山の那智神社に那智観音像として安置されている という話も伝わっている 鳥居は存在せず 鐘堂が境内にあるなど 神仏習合の影響が色濃く残る 表参道の石段を登り切っ た所には神門が存在するが 現在は通行不可となっている 境内には高さ 32m 幹の周囲 5.2m 樹 齢 800 年以上の杉の神木 山一 が存在する この巨木は名取市街からも視認できるほどのものであ り 神社の目印となっている 鐘堂付近の階段下には 紀州の那智滝を写した那智滝と飛瀧神社 不 動堂が鎮座している ③日和山 閖上の風土をまとめた 閖上風土記 閖上郷土史研究会岡崎一郎編 1977 によると 日和山は 大正 9 年在郷軍人分会の発起で 当時の村民全体で築いた山である 築山落成とともに かつて宮下 橋の下にあり その後湊神社に移転されてあった 富主弁才天 が安置された 山の上にある 神山 の碑は もとの日和山山頂にあったものが移転されたものである 日和山を越える波が襲ったにもかかわらずその姿を残したので 犠牲者を慰霊している 復興のシ ンボルである 日和山の東側には日和山公園があり 子どもたち が遊び 春はお祭りの屋台の出店が立ち並び 夏 は盆踊りの会場 冬はどんと祭りと一年中閖上の 人々が集まる場所があった 震災後 湊神社と ここ日和山 富主姫神社の神霊が宿るとされる神 籬を総代らが設立した 日和山の桜の木は 震災から1カ月後 津波を 浴びながらもがれきの中で花をさかせ 多くの被 災者を励ました ④佐々直工場 海岸部から 500 メートル程しか離れていない 高 さ約2メートルの第1波が沿岸に到着したのち お よそ 25 分後に到達した第 2 波は 6 メートルを超え たであろうと推測されている 今回の津波被害によ り ここのエリアは危険区域のため建物を壊さなけ ればならないのだが 佐々直工場の佐々木直哉社長 は 津波で傷ついた工場を 復興のシンボル とし てあえて残している 現在の佐々直工場は 2011 年 4 月 28 日から仙台市太白区にある田中バイパス店に併設していた休 止中工場を活用している 5

第1部 名取 旅おこし講 の取り組み 出典 尚絅学院大学 総合人間科学部 現代社会学科 2012 年度 社会調査報告書 第 5 号 東日本 大震災からの地域社会の復興過程と地域活性 2013 年 3 月発行 ⑤ゆりあげ港朝市 震災直後は イオンモール名取エアリを借りて 朝市を再開していたが 再び港で朝市を行いたい ということで 2012 年 5 月 14 日にカナダのブラティッシュコロンビア州から 150 万カナダドル 約 1 億 2 000 万円 の援助をうけ 2013 年 5 月に会場を再開した 魚介類や水産加工品 青果など 36 店舗が入居し 飲食ができるフードコートやイベントスペースも設けられている ゆりあげ港朝市は 毎週日曜日と祝日の朝 6 00 13 00 に開催されている 出典 尚絅学院大学 総合人間科学部 現代社会学科 2012 年度 社会調査報告書 第 5 号 東日本 大震災からの地域社会の復興過程と地域活性 2013 年 3 月発行 ⑥貞山運河 伊達政宗からの命を受けた川村孫兵衛が 1597 年に貞山運河の開削に取り組んだ 伊達政宗は 1600 年の関ヶ原の戦い 1603 年仙台城を建てるよりも先に 貞山運河を開削をした この貞山運河は 日本一古い運河である 阿武隈川 名取川 仙台運河 石巻運河 松島川などにも 渡っており 約 46.4m と日本一長い運河である 出典 2012 年度 社会調査報告書 第 5 号 東日本大震災からの地域社会の復興過程と地域活性 2013 年 3 月発行 ⑦湊神社 鎮座地 宮城県名取市高舘吉田字舘山 8 主祭神 健御賀豆智命 伊波比主命 他 2 柱 例祭日 10 月 19 日 大震災によって右に映っている写真のように 建物ひとつない閑散とした土地に変貌してしま った 湊神社には武道 競技の必勝 事業の創 始 旅行安全の神が祀られていたが 他にも雷 神 刀剣の神 弓術の神 武神 軍神と多くの 神が祀られていた 震災後は 無事に日和山へ と分霊され復活し 今では閖上市民の心の拠り 所となっている 出典 尚絅学院大学 総合人間科学部 現代社会学科 2012 年度 社会調査報告書 第 5 号 東日本 大震災からの地域社会の復興過程と地域活性 2013 年 3 月発行 ⑧閖上中学校 入口正面にある非常階段上の方についている時計は 14 時 46 分で止まっている 中学校の中には入 ることはできなかったが 学校の前に献花代があり机にメッセージが書かれていたのが印象的であっ た ⑨閖上の記憶 閖上の記憶とは 地球のステージが 2012 年 4 月 22 日 更地になってしまった閖上の真ん中に 閖 上の記憶 というプレハブを設置した そこが復興の中核として機能することを目指している 閖上 の記憶は人々が集い ふれあい 失われてしまった自分の故郷をどうやって再建していくのかのイメ ージを膨らませるための施設でもある 6

第1章 名取 閖上フィールドワーク 施設の役割と機能としては ①地元閖上の人の場所 閖上に足が向かない地元の人たちも ここに集う場所が あることで いつか自宅跡地へ戻る一助となることを願 っている ②伝える場所 津波祈念資料館として 資料 展示をしており 津波に関する写真 動画などを視聴し ていただける ③慰霊碑を守る 社務所 記帳所 閖 上中学校遺族会が建立した慰霊碑の清掃 お花の整理 千羽鶴などの保管など また参拝してくださった方の記 帳所としても活用している 震災を風化させないよう 全国そして全世界から訪れる方々へ震災の事実や現状を 伝え続けている 出典 閖上の記憶 http://tsunami-memorial.org/ ⑩閖上さいかい市場 閖上さいかい市場とは 2011 年 3 月 11 日の東日本大震災の影響を大きく受けた 閖上地区住民の 復興の願いが込められた 自営業者のための仮設店舗である 閖上さいかい市場は 13 店の飲食物販売店と 6 店の物品販売店 9 のサービス業種店舗 2 つの 事務所から成り立っている 仙台空港アクセス鉄道美田園駅より徒歩 10 分 名取 IC から車で 12 分 仙台空港 IC から車で 15 分という位置にあり 交通の便には良い位置に立地している 出典 閖上さいかい市場 http://natori.in-shoko.com/saikai_ichiba/ 参考文献 閖上郷土史研究会岡崎一郎編 1977 閖上風土記 ウィキペディア 熊野那智神社 Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/熊野那智神社_ 名取市 3 名取 閖上フィールドワーク コースマップ ②那智神社 ⑩閖上さいかい市場 出典 名取市商工会 http://natori.in-shoko.com/map/index.html 7 ③日和山 ④佐々直工場 ⑤ゆりあげ港朝市 ⑥貞山運河 ⑦湊神社 ⑧閖上中学校 ⑨閖上の記憶

第 1 部 名取 旅おこし講 の取り組み 参加者名簿 明治大学教員木村乃先生 尚絅学院大学教員内田龍史先生 尚絅学院大学学生 3 年生平塚勇人, 石田篤, 渡辺謙太 2 年生大友明日佳, 太田雅人, 吉田雪花, 阿部雄大, 菅原貴洋, 中塩洋平, 鈴木信之, 吉田百花, 樋口敦, 鈴木悠貴弘, 鹿島翔太, 佐藤裕姫, 川原綾香, 佐藤友寛, 阿部一真大友国渡, 渡邉康平, 宍戸こう子, 加藤るい子 明治大学学生 4 年生藤本壮平, 水谷ななみ, 坪井聡 3 年生木村賢吾, 土橋加奈, 牧田拓也, 升谷友樹, 森脇麻生, 君島功樹, 柳田太志, 山田康平, 上野佑輔 2 年生坂口諒介 アドバイザー 4 年生小林里美, 平間康太郎, 五島将哉, 菊池京香 3 年生千葉大樹, 武田麻里子 8

第 2 章愛島東部夏祭り 第 2 章愛島東部夏祭り 渡邊謙太 はじめに 2013 年 8 月 14 日 ( 水 ) 私たちは愛島東部仮設住宅で行われた東部団地仮設住宅自治会主催の夏祭りをさらに盛り上げるため 企画を持ち込ませていただくという形で活動を行った 目的は 1 子どもから大人まで多くの人に楽しんでもらうと同時に われわれ学生を介することで幅広い年代の交流を促すこと 2 現地の人々との交流を通じて 名取 旅おこし講について知ってもらうとともに 私たちも名取 ゆりあげの文化や風習に触れ 学ばせてもらうこと であった 第 2 章では 愛島東部夏祭り当日の様子と その前日に行った事前準備合宿の様子を報告する 1. 事前準備合宿 鈴木悠貴弘 はじめに私たち尚絅学院大生は 2013 年 8 月 13 日に愛島東部お祭りの準備をするため 明治大生と一緒に尚絅学院大学で合宿をした 1-1 スケジュール 表 2-1 2 日間のスケジュール 8 月 13 日 8 月 14 日 10:00~ 学校集合 6:00~ 起床 10:30~ 全体ミーティング 7:00~ 朝食 12:00~ 昼食 8:30~ 学校出発 13:00~ 準備作業 19:00~ 夕食 20:00~ 花火イベント 自由時間 23:00~ 就寝 8 月 13 日は集合時刻である 10 時に学校に集まり その後ミーティングと昼食をはさんで午後に作業を始めた その後夕食をとり花火をして就寝した 8 月 14 日は 6 時に起床して朝食をとった後は製作物の点検とトラックへ詰め込み 夏祭りの会場へと向 かった 1-2 目的目的は夏祭りの縁日や旅おこし講の説明で合宿の使う小道具を作製することである 今回のイベントを実施する上で目標のひとつに 自分たちで作れるものはできるだけ自作する というスローガンがあった そこでほとんどが正規品ではなく各自 自分たちで持ち寄った素材で製作にあたった 9

第 1 部 名取 旅おこし講 の取り組み 1-3 縁日の出し物 準備風景 出し物一覧 1 ヨーヨー 2 輪投げ 3 ベイゴマ 4 カキ氷 5 旅おこし講説明会 6 スタンプラリー 7 インタビュー その中で事前に準備が必要なヨーヨー掬い 輪投げ スタンプラリー 旅おこし講説明会の準備をした なので 小道具作りはどれも根気のいる作業で お客様に少しでも楽しんでもらうために試行錯誤の連続だった 誰もが一生懸命になって 時間ぎりぎりになるまで熱中していた また このように皆でひとつのことを成す為に学校に泊まり込むということはあまりない経験だったので 忙しく 大変であると同時に心地よい充実感をもたらした 1-4 夕食 準備作業が終わると制作物を片づけてから 夕食へと移った 夕食は弁当屋から弁当を注文して 皆で多目的ホールでとった 食事中は和気藹々と和やかな雰囲気で行われた その後は各自食べ終わった人から花火を開始する時間まで自由行動となった 1-5 花火交流会準備が終わった後 花火交流会を開いた 今日一日の疲れを忘れさせてしまうほど楽しい一時で あっという間に時間が過ぎ去って行った この交流会を通してより一層親睦を深めたように思う 最後にこれからの意気込みと私たちがお手伝いさせて頂いている地域である 閖上 をもじり 皆で ゆりあげていこう! と円陣を組んで締めくくり 1 日を 10

第 2 章愛島東部夏祭り 終えた 表 2-2 尚絅学院大学メンバー担当一覧 責任者 1ヨーヨー 宍戸こう子 鹿島翔太 佐藤裕姫 中塩洋平 2 輪投げ 鈴木悠貴弘 加藤るい子 樋口敦 3ベイゴマ 大友明日佳 渡邉康平 4カキ氷 阿部雄大 吉田雪花 5 旅おこし講説明会スタンプラリー 渡邊謙太 平塚勇人 吉田百花 6インタビュー 石田篤 大友国渡 鈴木信之 太田雅人 阿部一真 7Tシャツ作成 吉田百花 8 撮影 佐藤友寛 2. 夏祭り当日 渡邊謙太 2-1 タイムスケジュール当日の流れは 以下の通りである 午前 10 時現地集合 テント設営 縁日準備 午後 0 時流しそうめん 午後 1 時お祭り開始 午後 4 時竹灯篭準備 午後 5 時竹灯篭 午後 6 時ゆりあげ太鼓 午後 6 時半盆火 饅頭焼き 子ども花火 以降様子を見て片付け 解散 11

第1部 名取 旅おこし講 の取り組み 2-2 当日の内容 ここでは 私たちが持ち込んだ企画と 当日夏祭り で行われた活動を 写真を交え紹介していく ①かき氷 お祭りに遊びに来た人へ かき氷を無料配布した 味は イチゴ メロン レモン ブルーハワイ グレ ープの 5 種を用意した 当日は非常に良い天気で 気 温も高い日だったため 多くの人がかき氷を食べに来 た 中には何度も来る子どももいて 無料という事も あったためか大盛況だった 私たちの持ち込み企画の 中ではダントツの一番人気だった ②ベーゴマ 大人から子ども まで楽しめる昔懐か しの遊びとして 自 由にベーゴマを遊べ るスペースを用意し た ベーゴマの指導 は ベーゴマに詳し い現地の年配の方々 にお願いし 名取 旅おこしメンバーは そのサポートをした 現地の年配の方は 子どものころにベーゴマに熱中していた人が多く 思い出を語りながら楽しそ うにベーゴマを教えていた 遊びに来た子どもたちも最初はほとんど回せないのだが 教えてもらっているうちに少しずつ上達 していき 夢中になってベーゴマを楽しんでいた ここでは小さい子どもから年配の方まで 幅広い 年齢層の人たちが一緒になって楽しんでいる姿が見られた ③わなげ 輪っかを 3 回投げてもらい 得点に応じて景品を与えるというルールで遊べるブースを用意した わなげの土台や輪っかは全て旅おこしメンバーが手作りで用意した 景品はお菓子やシール 水鉄砲などを用意した 参加費が無料のため 子どもたちが集まって何回 も繰り返し挑戦し 楽しんでいる様子が見られた 12

第 2 章愛島東部夏祭り 4 ヨーヨー釣り参加費は無料の 一般的なヨーヨー釣りを楽しめるブースを用意した 子どもたちは夢中になってヨーヨーすくいを楽しんでいて なかなか盛況な様子だった ヨーヨーがほとんどの子どもの手元に渡ったころにはおもちゃの金魚を投入し おもちゃの金魚すくいとして再度楽しめるようにした 5 旅おこし講説明コーナー昨年度の旅おこし講参加者を中心に お祭りへ遊びに来た人に向けて旅おこし講について知ってもらうブースを設けた 具体的には 事前に用意したパンフレットや名刺 活動紹介用の模造紙などを活用して ブースに来た人に紹介をした また 今後の活動のために 何人かの方にインタビューをし ゆりあげの郷土料理や特有の文化 名所などを紹介していただいた 6 スタンプラリー私たちが用意した企画をさらに楽しんでもらえるように 上記の計 5 箇所にそれぞれスタンプを設 13

第 1 部 名取 旅おこし講 の取り組み 置し 全て集めた人には景品を渡すという企画 景品はお菓子詰め合わせやスーパーボール 花火などを用意した 7 インタビュー活動お祭りの企画とは別に 今後の私たちの活動のために仮設住宅の方々に協力していただき インタビュー活動を行った 内容は主にゆりあげの郷土料理 文化 名所 有名人などについて インタビューを行ったメンバーそれぞれが非常に有意義なお話を聞くことができ 私たちの今後の活動に役立つ貴重な情報を得ることができた 8 流しそうめんお祭り開始直前から 夏らしい催し物と言うことで流しそうめんが行われていた 使われた竹は神戸市の団体から提供されていたもののようである 夏祭りスタッフと来場者が一緒になって流しそうめんを楽しく味わっている様子が見られた 9 竹灯篭少しずつ日が落ちてきた午後 5 時ごろ 竹灯篭を開始した 竹灯篭は震災の津波でなくなった人の追悼のため行われた 竹には津波で無くなった人の名前が書いてあり 蝋燭に火をつけ一本一本に灯りをともしていった こちらで使われた竹も 流しそうめんと同じく 神戸市の団体から提供されたものであった 14

第2章 愛島東部夏祭り ⑩ゆりあげ太鼓 午後6時ごろ 閖上太鼓保存会によるゆりあげ名物であるゆりあげ太鼓の演奏が開始された 太鼓 の演奏は流石の迫力で 来場者もその場にいたスタッフも その力強い演奏に魅入っていた ⑪盆日 饅頭焼き 午後6時半頃 ゆりあげ地区において昔からの風習である盆火と盆火饅頭を開始した この焚き火 には 先祖や震災犠牲者への供養の意味がこめられている 以下の写真は 盆火を準備している様子 と 串刺しにした3個の饅頭を盆火で焼いて食べている来場者たちの様子である 15

第 1 部 名取 旅おこし講 の取り組み 12 花火盆火とほぼ同時刻 来場した子どもたちに花火を配り始め 会場の大人やお祭りスタッフとともに花火を楽しんでもらった 子どもたちは嬉しそうに花火を受け取り とても楽しそうにはしゃぎまわっていた 配る花火もなくなってきたころ 会場も徐々に人が減っていき お祭りも終了の運びとなっていった 2-3 お祭りを終えてお祭り当日は現地の主催者の方々と私たち旅お越し講メンバーの活動だけではなく 現地の方によるゆりあげたこ焼きのお店やどんどん焼きのお店 兵庫県神戸市からのボランティア学生によるお店などが出店されており 仮設住宅の敷地内という規模にもかかわらず 長い時間楽しめるような 非常に内容の濃いお祭りとなった 昼頃になると少しずつお客さんの姿が見え始め 会場がにぎわい始めた お客さんは仮設住宅の住民の方々はもちろん 名取 ゆりあげ地区の方からも足を運んできてくださったようである 子ども連れや現地の子どもが多く来ていて たくさんの子どもが一日中元気にはしゃぎまわっている様子を見ることができた また 子どもだけでなく老若男女問わず多くの人の笑顔を見ることができ 企画としては大成功と言える結果になったのではないかとも思う 活動の中 たくさんのゆりあげ住民の方々と交流することができ 皆ゆりあげが好きなのだということを再認識する良いきっかけともなった 今後も地域との繋がりを大切にしていき 活動を続けていきたい 16

第 2 章愛島東部夏祭り 担当一覧 統括 ( スタンプラリー兼任 ) 渡邊謙太 平塚勇人 升谷友樹 かき氷 阿部雄太 藤本壮平 吉田雪花 石田葵 田嶋秀次 ベーゴマ 大友明日佳 土橋加奈 木村賢吾 渡邉康平 わなげ 鈴木悠貴弘 森脇麻生 吉田百花 加藤るい子 樋口敦 ヨーヨー 宍戸こう子 佐藤裕姫 坂口諒介 中塩洋平 鹿島翔太 旅おこし講説明 平間康太郎 菊地京香 石井智美 水谷ななみ 坪井聡 太田直規 ビデオ 君島功樹 川原綾香 カメラ 佐藤友寛 柳田太志 呼び込み & インタビュー 石田篤 太田雅人 阿部一真 大友国渡 鈴木信之 17