日本史 採点基準 論述部分 ( 問題 Ⅰ Ⅱ) 論述問題 添削記号 名大本番レベル模試 日本史の採点では, 次のような添削記号を用いています 1.< > 2. 3.? 4. 加点ポイント事実 ( 史実 ) に誤認あり文意不明論理に飛躍あり 5. この部分不要 / 問題の要求とズレあり 6. 誤字あり / 脱字あり ( 略字を含む ) 論述問題 共通の基準 1. 太字 アミカケ は各 3 点 ~6 点, 二重線 は各 2 点, 下線 は各 1 点 ただし, 採点に際しては常に前後の文脈に留意する 2. 表現が不十分な場合, あるいはあいまいな場合, その箇所については, それぞれの配点未満の得点とする ( 太字 アミカケ 2 点, 二重線 1 点, 下線 0 点 ) 3. 歴史的名辞 * についての誤字 当て字 ( 漢字で記すべき語句の平仮名使用を含む ) は, それが加点ポイントに直接関係する場合,1 点減点 同一語句がくりかえし誤っている場合は, それぞれを減点の対象とするのではなく, まとめて 1 点減点とする その他の部分に誤字 当て字があった場合, 今回は減点しない 4. 欄外に設問記号を記したりした答案や, 句読点のはみだしなど字数がわずかに超過している答案は, 本番では無効答案になる可能性もある しかし今回は, 受験生の学力を正確に測定するという観点から, あまりにも明白に指定条件を無視している場合を除き, その部分について注意を与えた上で, 採点の対象とする 5. 各問とも満点を超える得点は与えない 1
問題 Ⅰ 古代から近世にかけての政治 社会 ( 論述部分 ) A 天智天皇と近江令の編纂 問 1 白村江の戦いをめぐる内外情勢 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 15 点 12 点満点 ) *7 世紀の東アジア情勢 唐と新羅の提携 唐* は新羅 * と ( 軍事 ) 同盟を結んだ 百済滅亡 ( 唐 新羅によって )(660 年に ) 百済 * が滅亡した 高句麗滅亡 は 668 年で白村江の戦い後の出来事であるため, 加点対象にしない * 白村江の戦いと倭国 戦争の名称 白村江の戦い* 戦争の過程 ( 倭国は ) 百済 * 救援の要請を受けて ( 朝鮮半島に ) 出兵した 戦争の結果 (663 年の白村江の戦いで倭国は ) 唐 * 新羅* 連合軍に敗北 戦後の措置 ( 倭国は唐 新羅の侵攻に備えた ) 防衛体制を強化する必要に迫られた 問 2 天智系天皇への皇統変化と弘仁格式 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 20 点 18 点満点 ) * 平安初期の皇統変化 天智系天皇の即位 ( 称徳天皇の死後,770 年に天智天皇の孫である ) 光仁天皇 * が即位した 皇統の変化 ( 光仁天皇の即位により約 100 年ぶりに ) 天武系 *( 天皇 ) から天智系 *( 天皇 ) へと皇統が変化した 5 点以内 * 天智系天皇の権威向上政策 弘仁格式編纂 ( 光仁天皇の孫である ) 嵯峨天皇 * が弘仁格式 * を編纂した 弘仁格式 序 の意図 ( 平安時代初期という皇統変化直後の時期に ) 天智系 *( 天皇 ) の権威向上を図った / 天智系 *( 天皇 ) の皇統 * の正統性を示そうとした 5 点以内 弘仁格式 序 にみえる 近江令編纂 の記述 ( 弘仁格式 序 の 天智天皇による近江令編纂 の記述は天智系天皇の権威向上政策の一環として ) 誇張 ( 創作 ) された可能性がある 5 点以内 2
問 3 壬申の乱 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 13 点 12 点満点 ) * 壬申の乱と天皇権力高揚 壬申の乱 (672 年に ) 壬申の乱 * が発生した 壬申の乱の原因 ( 天智天皇の弟 子である ) 大海人皇子 * と大友皇子 * が皇位継承をめぐり争った 壬申の乱の結果 1 大海人皇子* が東国の軍事力を動員して大友皇子 *( 近江朝廷 * 側 ) を破った 壬申の乱の結果 2 大友皇子* 側 ( 近江朝廷 * 側 ) についた有力中央豪族が没落した 壬申の乱の結果 3 ( 有力中央豪族が没落したことにより ) 天皇に権力が集中した 3
B 福原遷都 問 5 治承 寿永の乱開始 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 30 点 26 点満点 ) * 平氏の専制とそれへの反発 平氏の専制 1 ( 1179 年に平氏に敵対的だった ) 後白河法皇 * を幽閉した 平氏の専制 2 ( 1180 年に平清盛の孫である ) 安徳天皇 * を即位させた 平氏の専制 3 ( 安徳天皇 ) 平清盛 * の孫 /( 平 ) 徳子 *( 清盛 * の娘 ) の子 平氏の専制への反発 1 ( 専制を行う平氏に対して貴族 大寺院 地方武士団が ) 反発を強めた 平氏の専制への反発 2 ( 専制を行う平氏に対して ) 以仁王 * らが挙兵した / 源頼政 * らが挙兵した 平氏の専制への反発 3 ( 専制を行う平氏の打倒を促す ) 以仁王 * の令旨 * が ( 諸国の武士に ) 伝えられた 平氏の専制への反発 4 ( 以仁王の令旨に呼応して園城寺 = 三井寺や興福寺などの ) 僧兵 * が挙兵した 平氏の専制への反発 5 ( 以仁王の令旨に呼応して源頼朝や源義仲など各地の ) 武士が挙兵する動きをみせた 反平氏諸勢力の活動の結果 1 治承 寿永の乱* が勃発した 内乱が全国化した など一般化した表現には,2 点のみ与える 反平氏諸勢力の活動の結果 2 ( 平清盛は平氏の拠点である ) 福原 ( 京 )* への遷都を断行した 4
C 読史余論 問 7 読史余論 特有の史観 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 13 点 6 点満点 ) * 読史余論 のもつ性格 読史余論 の性格 1 将軍* に対する政治指導書 1 点以内 読史余論 の性格 2 歴史を独自に時代区分したもの/ 九変五変論 * を展開したもの 読史余論 の性格 3 武家* 政治の興亡 ( 変遷 ) を発展的に論じたもの / 江戸幕府 * 成立に至るまでの政治史を論じたもの 史書 歴史書 といった表現にとどまっている場合は,3 点のみ与える 読史余論 の性格 4 武家 * 政治や徳川 * 政権成立の必然性 正統性を明示したもの 問 8 惣無事令 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 15 点 12 点満点 ) * この法令 の名称 名称 惣無事令 * * この法令 の内容 内容 1 ( 諸大名に ) 戦争の即時停止を命じた /( 諸大名にあらゆる ) 私戦の禁止を強制した 内容 2 ( 諸大名に ) 紛争の解決 ( 領国の確定 ) を豊臣秀吉 * の裁定に委ねることを強制した 5
問題 Ⅱ 昭和天皇とその時代 ( 論述部分 ) 問 1 ワシントン体制の成立と日本 (1) 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 17 点 12 点満点 ) * 四カ国条約 条約名 (1921 年 ) 四カ国条約 * 条約の内容 1 太平洋地域の現状維持/ 太平洋地域の平和 条約の内容 2 日英同盟協約* の廃棄を明記した 1 点以内 * 九カ国条約 条約名 (1922 年 ) 九カ国条約 * 条約の内容 1 中国の領土と主権の尊重 門戸開放 機会均等/ 中国の現状維持 条約の内容 2 ( これにより ) 石井 ランシング協定 * が廃棄された 1 点以内 * ワシントン海軍軍縮条約 条約名 (1922 年 ) ワシントン海軍軍縮条約 * 条約の内容 1 今後 10 年間の主力艦建造禁止 条約の内容 2 ( 各国の主力艦保有比率は米 英 日 仏 伊の順に )5:5:3:1.67: 1.67 とされた 1 点以内 * 山東懸案解決条約 条約名 (1922 年 ) 山東懸案解決条約 * 1 点以内 条約の内容 ( 日中間の直接交渉で ) 山東省の旧ドイツ権益 * の中国への返還 1 点以内 6
(2) 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 30 点 26 点満点 ) * ワシントン体制のもつ特質 新しい国際秩序 の通称 ワシントン体制* ワシントン体制の推進国 ( ワシントン体制は ) アメリカが主導 ワシントン体制の原則 1 多国間協調 ワシントン体制の原則 2 ( 東アジア 太平洋地域の ) 現状維持 ( 平和 ) ワシントン体制の目的 ( 東アジア 太平洋地域における ) 日本の膨張の抑制 * ワシントン体制に対する日本外交 ワシントン体制に対する日本の態度 ( 日本はワシントン体制を ) 受容 / 協調外交 *( 幣原外交 *) を展開した 対米英 ( 日本は ) 米英と協調 対中国 1 ( 日本は中国に対して ) 内政不干渉 武力不行使 /( 日本は中国の ) 主権を尊重 対中国 2 ( 日本は中国での ) 経済的利益の拡大を追求 /( 日本は中国での ) 経済進出を推進 /( 日本は中国での ) 経済権益を確保 7
問 2 政党内閣継続 の観測成立の理由 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 18 点 18 点満点 ) * 年表の分析 整理 着目すべき箇所 原敬 * の暗殺, 加藤友三郎 * 加藤高明 * の病死, 浜口雄幸 * のテロ遭遇 暗殺 病死 テロ遭遇 のうち 3 つとも指摘できていれば 6 点与える 3 つのうちの 2 つ が指摘されている場合は 4 点与える 1 つのみ指摘されている場合は 2 点与える 着目箇所から読み取るべき内容 ( それぞれ ) 立憲政友会 * 海軍* 出身者 憲政会 * 立憲民政党 * が連続して組閣 読み取り内容から導くべき結論 テロ( や首相の不慮の死など ) により内閣が退陣した場合には同一の性格の組織 ( 政党 勢力 ) から後継首相が選ばれた 問 3 国家総動員法 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 12 点 12 点満点 ) * 国家総動員法の内容と特異性 内容 勅令による( 人的 物的 ) 資源の統制 運用を認める /( 全面的な ) 委任立法 特異性 ( 政府は総力戦のために ) 議会の承認なしに経済 社会の ( 自在な ) 統制が可能に / 帝国議会 * が無力した 8
問 4 1945.8 の戦局 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 6 点 6 点満点 ) * ポツダム宣言発表直後の戦局 アメリカの対日軍事行動 ( 広島 長崎に ) アメリカが原子爆弾 * 投下 ソ連の対日軍事行動 ソ連* が宣戦布告して対日参戦 問 5 日本国憲法の制定過程 論述問題 設問別基準 ( 基準の合計 30 点 26 点満点 ) * 原案作成過程 政府の改正案 1 ( 政府は ) 憲法問題調査委員会 *( 松本委員会 *) 設置 政府の改正案 2 幣原( 喜重郎 ) 内閣 * が作成 /( 政府は ) 憲法改正要綱* ( 松本案 *) を作成 政府案の問題点 ( 内容的に ) 大日本帝国憲法 *( 明治憲法 * 帝国憲法*) と大差なし / 天皇 * の統治権 * を基本的に容認 GHQ の対応 1 (GHQ は ) 政府の改正案 ( 松本案 *) を拒否 GHQ の対応 2 (GHQ は独自に ) 憲法案作成を進めた /(GHQ は独自に )GHQ 案 ( マッカーサー草案 ) を起草 * 改正過程 改正手続き ( 形式的には ) 大日本帝国憲法 *( 明治憲法 * 帝国憲法 *) の改正手続き ( を経て制定 ) 改正時の内閣 ( 第 1 次 ) 吉田 ( 茂 ) 内閣期 * 吉田内閣の性格 新選挙法 * に基づく ( 女性も参加した ) 総選挙後に成立 / 戦後初の政党内閣 * 審議 1 帝国議会 * で ( 審議 ) 可決 ( して日本国憲法として公布された ) 審議 2 枢密院 * でも ( 審議 ) 承認 ( して日本国憲法として公布された ) 9