労働相談とはなにか

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9-1 退職のルール 職することは契約違反となります したがって 労働者は勝手に退職することはできません 就業規則に 契約期間途中であっても退職できる定めがある場合には それに従って退職できることになりますが 特段の定めがない場合には なるべく合意解約ができるように 十分話し合うことが大切です ただ

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労働基準関係法令に違反するおそれがある事項 労働時間 15 タイムカード等の客観的な記録から確認するなどにより 実際に働いた時間を適正に把握していますか 16 準備や片付けの時間 ( 学習塾等の場合 授業以外に行う質問対応 報告書の作成等に要した時間 ) を労働時間としていますか 賃金 17 賃金を

契約の終了 更新18 無期労働契約では 解雇は 客観的に合理的な理由を欠き 社会通念上相当であると認められない場合 は 権利濫用として無効である と定められています ( 労働契約法 16 条 ) 解雇権濫用法理 と呼ばれるものです (2) 解雇手続解雇をする場合には 少なくとも30 日前に解雇の予告

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平均賃金を支払わなければならない この予告日数は平均賃金を支払った日数分短縮される ( 労基法 20 条 ) 3 試用期間中の労働者であっても 14 日を超えて雇用された場合は 上記 2の予告の手続きが必要である ( 労基法 21 条 ) 4 例外として 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の

平成 31 年 4 月 1 日から平成 34 年 3 月 31 日まで 63 歳平成 34 年 4 月 1 日から平成 37 年 3 月 31 日まで 64 歳 4 定年について 労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません ( 均等法第 6 条 ) ( 退職 ) 第 48 条前条に定める

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知って役立つ労働法

2019-touren1-1

2 就業規則について 労働条件は個別に労働者に説明しているため 就業規則は作成していない 常時雇用している労働者が 10 人未満の場合は除く 就業規則について 使用者が一方的に作成しており 労働者からの意見は聴いていない 就業規則を作っているものの 担当者が管理しており 労働者が自由に見られるように

第 3 章 雇用 労働 1 在留資格 外国人の方は, 許可された在留資格の範囲内において, 日本で活動することが認められています 就労できるかどうかに着目してみると, 大きく次の 3 種類に分けられます 在留資格で定められた範囲で就労できる在留資格外交, 公用, 教授, 芸術, 宗教, 報道, 高度

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

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平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事

パートタイマー就業規則

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基発第 号

(発表用)260819 求人内容及び労働条件の適正化発表資料(案)

4-1 育児関連 育児休業の対象者 ( 第 5 条 第 6 条第 1 項 ) 育児休業は 男女労働者とも事業主に申し出ることにより取得することができます 対象となる労働者から育児休業の申し出があったときには 事業主は これを拒むことはできません ただし 日々雇用される労働者 は対象から除外されます

改正労働基準法

必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲内で 3 回を上限として介護休業をすることができる ただし 有期契約従業員にあっては 申出時点において 次のいずれにも該当する者に限り 介護休業をすることができる 一入社 1 年以上であること二介護休業開始予定日から 93 日を経過する日から

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

( イ ) 従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり 1 歳 6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡 負傷 疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合 6 育児休業をすることを希望する従業員は 原則として 育児休業を開始しようとする日の1か月前 (4 及び5に基づく1 歳

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Microsoft PowerPoint - 2の(別紙2)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保【佐賀局版】

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中央教育審議会(第119回)配付資料

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学生アルバイトの労働条件に関する自主点検表 労働基準関係法令に違反する事項 労働条件の明示 1 アルバイトを雇い入れる際 賃金や労働時間などの労働条件を記載した書面を交付していますか 解説 労働条件を明確にすることは全てのトラブル防止の基本です そこで 労基法では 労働者との間で労働契約を締結するに

深夜勤務の制限 5 妊産婦の時間外 休日 妊娠中の女性が 母体または胎児の健康保持のため 深夜勤務や時間外勤務等の制限を所属長に請求できます 病院助手専攻医臨床研修医 6 妊娠中の休息 妊娠中の女性は 勤務時間規程に規定する 職務に専念する義務の免除 を利用して 母体または胎児の健康保持のため 勤務

短時間 有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 について ( 同一労働同一賃金ガイドライン ) 厚生労働省雇用環境 均等局有期 短時間労働課職業安定局需給調整事業課

(2)3 年以内の有期プロジェクト型業務 ( 同項第 2 号イ ) 事業の開始 転換 拡大 縮小または廃止のために必要な業務で 一定期間内で完了することが予定されている業務への派遣については その業務が完了するまでの期間であれば 受入期間の制限はありません (3) 日数限定業務 ( 同項第 2 号ロ

育児 介護休業規程 第 1 章 目的 第 1 条 ( 目的 ) 本規程は社員の育児 介護休業 育児 介護のための時間外労働および深夜業の制限並びに育児 介護短 時間勤務等に関する取り扱いについて定めるものである 第 2 章 育児休業制度 第 2 条 ( 育児休業の対象者 ) 1. 育児のために休業す

第22回規制改革会議 資料3

士業PDF

 

2. 使用者は 労働者を解雇しようとする場合においては 少なくとも30 日前にその予告をしなければならない 30 日前に予告をしない使用者は 30 日分以上の平均賃金を支払わなければならない 但し 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基づ

小-労働法ハンドブック-18.indd

育児休業制度の概要

4-1 育児関連 休業期間を有給にするか 無給にするかは 就業規則等の定めに従います また 雇用保険に加入している労働者には 国から給付金が支給されます (P106 参照 ) 産前産後休業期間中及び育児休業期間中は 労働者 使用者とも申請により社会保険料が免除になります 育児休業の対象者 ( 第 5

企業ブランディング計画

休業補償( 法 76 条 ) 使用者は 労働者が業務上負傷し 又は疾病にかかった場合には 療養補償として必要な療養を行い または療養の費用を負担し ( 法 75 条 ) その療養のために 労働することができないために賃金を受けない労働者に対しては 療養中平均賃金の 100 分の 60 の休業補償を行

その他のチェックポイント 次ページ ➊~➎ のチェックポイントについて ご説明します 受付年月日 紹介期限日 受付年月日は 求人の申込書を安定所が受理した日です 紹介期限日は応募の締切日のことではなく 最大限公開可能な期限であり 採用者が決定した場合 や 求人者から募集打ち切りの連絡を受けた場合 な

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定していました 平成 25 年 4 月 1 日施行の 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律 では, 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止について規定されていますが, 平成 25 年 4 月 1 日の改正法施行の際, 既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準につい

無期転換嘱託職員の報酬 退職等に関する規程平成 30 年 4 月 1 日制定 ( 趣旨 ) 第 1 条この規程は 別に定めるもののほか 公益社団法人全国市有物件災害共済会職員就業規則 ( 以下 規則 という ) 第 2 条第 2 号に定める嘱託職員のうち 労働契約法 ( 平成 19 年法律第 128

無期契約職員就業規則

Microsoft Word - syukkou

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【全文】就業規則(今井保育園H29.1.1)

条第一項の通算契約期間に関する基準を定める省令 ( 平成 24 年 10 月 26 日厚生労働省令第百四十八号 ) に定める期間 ) 以上であるときは 当該空白期間前に満了した労働契約の期間は含まないものとする 5 第 1 項から第 3 項の労働契約の期間を定める場合において 労働契約の期間の終期は

025 of 訪問介護員のための魅力ある就労環境づくり

調査等 何らかの形でその者が雇用期間の更新を希望する旨を確認することに代えることができる ( 雇用期間の末日 ) 第 6 条第 4 条及び第 5 条の雇用期間の末日は 再雇用された者が満 65 歳に達する日以後における最初の3 月 31 日以前でなければならない 2 削除 3 削除 ( 人事異動通知

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

3. 無期労働契約への転換後の労働条件無期労働契約に転換した後の職務 勤務地 賃金 労働時間等の労働条件は 労働協約 就業規則または個々の労働契約等に別段の定めがない限り 直前の有期労働契約と同一になるとされており 無期転換に当たって職務の内容などが変更されないにもかかわらず 無期転換後の労働条件を

Microsoft Word - 22育児・介護休業等規程

Microsoft Word - H29 結果概要

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第 1 章育児休業 第 1 条 ( 対象者 ) 生後 1 年未満 ( 第 5 条による育児休業の場合は 1 歳 6 ヶ月 ) の子と同居し養育する従業員であって 休業後も引き続き勤務する意思のある者は 育児のための休業をすることができる ただし 日々雇用者 期間雇用者 ( 申出時点において雇用期間が

3 育児 介護 112

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本調査へのコメント ( 独立行政法人労働政策研究 研修機構労働政策研究所副所長荻野登氏 ) 無期転換ルールに基づく申し込み権が本格的に発生するまで一年を切るなか 連合調査によるとまだ半数の有期雇用労働者がこのルールを知らないままでいる まず この周知が残された期間での最大の課題になるのではないか 当

指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

申出が遅れた場合は 会社は育児 介護休業法に基づき 休業開始日の指定ができる 第 2 条 ( 介護休業 ) 1 要介護状態にある対象家族を介護する従業員 ( 日雇従業員を除く ) 及び法定要件を全て満たした有期契約従業員は 申出により 介護を必要とする家族 1 人につき のべ 93 日間までの範囲で

本調査へのコメント ( 独立行政法人労働政策研究 研修機構労働政策研究所副所長荻野登氏 ) 労働契約法第 18 条の無期転換ルールが本格的に実施された今年 4 月以降 直近の状況を知るうえで 貴重なデータを提供している それによると 転換申込権の対象者 (175 人 ) のうち 4 人に 1 人が

題名

Microsoft PowerPoint - 02 別添 パンフレット (3)

Microsoft Word - 改訂 H28 H27施行状況記者発表(リード文)

H28.10・育児休業や介護休業をすることができる有期契約労働者について

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改正労働基準法

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就業規則

シルバー派遣事業のご利用を検討されているお客様へ Ⅰ 労働者派遣事業と請負の違いについて 労働者派遣と請負の違いについて 労働者派遣 労働者派遣契約 請負 請負契約 センター派遣先センター発注者 雇用契約指揮命令センターの指揮命令なし 派遣労働者 構成員 シルバー会員 雇用主は派遣会社 派遣先が派遣

ただし 日雇従業員 期間契約従業員 ( 法に定める一定の範囲の期間契約従業員を除く ) 労使協定で除外された次のいずれかに該当する従業員についてはこの限りではない (2) 週の所定労働日数が2 日以下の従業員 (3) 申出の日から93 日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員 2 要介護状態に

第 11 条育児休業を終了して復帰する教職員の年次有給休暇については 理事長が別に定める ( 育児短時間勤務 ) 第 12 条小学校就学の始期に達するまでの子と同居し 当該子を養育する教職員が申し出た場合には 当該子がその始期に達するまで 当該教職員の所定勤務時間を 6 時間とすること ( 以下 育

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「高年齢者雇用安定法《のポイント

(1) 出産予定日前に子が出生したこと (2) 配偶者が死亡したこと (3) 配偶者が負傷又は疾病により,1 週間を超える期間継続して, 通院, 加療, 入院又は安静を必要とする状態となり, 育児休業申出に係る子を養育することが困難になったこと (4) 配偶者が育児休業申出に係る子と同居しなくなった

育児休業及び育児短時間勤務に関する規則

目次 はじめに 第 1 章労働法ついて 1 労働法と労働契約について 1 2 労働組合法について 3 第 2 章労働者を雇い入れるとき 1 労働契約を結ぶとき 5 2 就業規則 6 3 各種保険と年金制度 7 第 3 章労働条件に関するルール 1 賃金 9 2 労働時間と休憩 休日など

20代のワークルールに関する意識・認識調査

育児休業をすることができる有期契約労働者の範囲 申出の時点で 次の12の両方を満たす方です 同一の事業主に引き続き 1 年以上雇用されていること 子が1 歳 6か月に達する日までに 労働契約 ( 更新される場合には 更新後の契約 ) の期間が満了することが明らかでないこと ご注意 :1 歳以降の育児

H29.10・育児休業や介護休業をすることができる有期契約労働者について

(3) 始業 終業時刻が労働者に委ねられることの明確化裁量労働制において 使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化する (4) 専門業務型裁量労働制の対象労働者への事前通知の法定化専門業務型裁量労働制の導入に当たり 事前に 対象労働者に対して 1 専

改正要綱 第 1 国家公務員の育児休業等に関する法律に関する事項 育児休業等に係る職員が養育する子の範囲の拡大 1 職員が民法の規定による特別養子縁組の成立に係る監護を現に行う者 児童福祉法の規定により里親である職員に委託されている児童であって当該職員が養子縁組によって養親となることを希望しているも

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知っていますか? 労働法このパンフレットは 労働者として知っておきたい 基本的な働くルールをまとめたものです 皆さんの働くルールは 労働基準法や最低賃金法などの法律によって定められています これらを 労働法 と呼んでいます 労働法についての知識は 皆さんが働いていく上できっと役に立つはずですから 困

就業規則への記載はもうお済みですか

目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

Transcription:

福祉まなびま専科 + 交流会 介護保険 障害福祉サービス事業所職員研修会 資料豊中市福祉指導監査室 H27.2.25( 水 ) 1 労働契約と労働法 労働契約とは 労働者が 働く ことに対して使用者が 賃金を支払う ことを約束する契約 労働者が 働く ことを 使用者が 賃金 ( 働くことの対価 ) を支払うことを合意して効力が発生 口頭でも成立 労働契約には 使用者が労働者を指揮して命令する権利が入っている 労働契約は 労働力を提供する労働者と労働力を利用する使用者との関係が続くため お互いの信頼関係 ( 誠実配慮の関係 ) が重視される 契約関係は お互いの対等な関係が基本だが 労働者より使用者の力が強く ( 経済力 交渉力 ) 実際 には対等ではない 労働者の保護 労働法 具体的には 使用者は 賃金や労働時間などの重要な労働条件について 労働者が働き始めるときに書面を交付して明示しなければならない 労働基準法第 15 条 同法施行規則第 5 条 使用者は 労働条件について労働者が理解を深めるようにし また できる限り書面で確認することとする 労働契約法第 4 条 労働契約関係 ( 使用従属関係 ) < 労働者の義務 > 労働義務 ( 誠実労働義務含む )[ ] 秘密保持義務 競業避止義務 企業の信用 名誉を傷つけない義務 など < 使用者の義務 > 賃金支払義務 安全配慮義務 人格権尊重義務 職場環境保持義務 など [ ] 使用者の指揮 命令権が予定されている - 1 -

2 様々な雇用形態と労働契約 1 正社員一般に 契約期間に定めがなく 企業等で中核的な業務に従事している 昇給がある等待遇が安定 入社 ( 働く ) 定年 (60~65 歳 ) 正社員以外 ( 契約社員 パートタイム労働者 派遣労働者 アルバイトなど ) 契約期間に定めがある ( 有期労働契約 / 契約期間が終了すると退職することが基本 ) ことが多い 正社員に比べると待遇が低い ( 不安定 ) 2 契約社員 有期労働契約で 正社員と同じ労働時間 労働日数で働く労働者 恒常的な業務に就き 契約期間終了後 同じ期間の契約が繰り返し更新される場合が多く見られる パターンとして入社 ( 働く ) 期間満了 別の会社に入社 ( 働く ) 期間満了 別の会社に 恒常的業務 ( 働く ) ( 働く ) ( 働く ) ( 働く ) 入社期間満了 / 更新期間満了 / 更新期間満了 / 更新 有期労働契約から無期労働契約への転換有期労働契約が繰り返し更新されて通算 5 年を超えたときは 労働者の申込みにより 期間の定めのない労働契約 ( 無期労働契約 ) に転換できる 労働契約法第 18 条 3 パートタイム労働者 1 週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者に比べて短い労働者 ( パートタイム労働法 ) 有期労働契約か無期かは 事業所によって様々 ( 契約期間の定めがない労働者もいる ) 4 アルバイト 本業とは別に 収入を得るため一時的に就労する労働者 ( 契約期間の定めがないアルバイトもいる ) 学生アルバイトが典型例 5 派遣労働者 1 人材派遣会社等 ( 派遣元 ) に雇用され 2 派遣元と派遣される会社 ( 派遣先 ) との労働者派遣契約に基づいて派遣元から派遣先に派遣され 3 派遣先の指揮命令を受けて働く労働者 派遣先との労働契約は結ばれていない - 2 -

< 派遣労働以外 > 使用者 派遣元 労働者派遣契約 派遣先 指揮命令 賃金支払 労務提供 賃金支払 労務提供 雇用関係 指揮命令 ( 労働契約関係 ) 労働者 労働者 労務の提供を受ける者と賃金の支払いを受ける者が直接の対抗関係ではないため ( 間接雇用 ) 労働法の適用関係 ( 使用者の法的責任事項 ) も派遣元と派遣先との共同責任または分担される 正社員 契約社員 パートタイム労働者 アルバイト 派遣労働者 嘱託など どのような働き方でも 雇われて働いていれば 労働契約が結ばれている 6 労働契約ではない働く契約 ( 請負 委任など ) 雇われて働く 労働者 とは 使用者に使用されて労働し 賃金を支払われる者 労働契約法第 2 条 事業または事務所に使用される者で賃金を支払われる者 労働基準法第 9 条 労働契約関係では 労働者に労働基準法 労災補償法などの労働者保護法規が適用される 一方 労働契約関係ではない請負契約 [ ] 民法 632 条 や委任契約 民法第 656 条 で働く場合は 労働者保護法規が適用されない ( 業務委託などと呼ばれる場合もある ) [ ] ある仕事について 発注主がその仕事の完成を他の者 ( 請負人 ) に請け負わせ その結果に対して発注主が請負人に対して報酬を支払う契約 労働者保護法規が適用される労働者のポイントは 相手方の指揮 監督に従って労務を提供しているという使用従属関係があり かつ 労務の対価としての賃金が支払われている 者かどうか. 労働契約 請負契約 契約の目的 労務の提供 仕事の完成 契約当事者 使用者 労働者 発注主 請負人 指揮命 令 時間 的拘束 報酬の性格 労働基準法 等の適用 労働保険 ( 労災 雇 用 ) の適用 あり労務の対価 ( 賃金 ) ありあり なし結果に対する報酬なしなし * 労働組合法における労働者は 賃金 給料その他これに準ずる収入によって生活する者 労働組合法第 3 条 と定められ 使用従属性や賃金の支払を要件としない - 3 -

3 労働条件が決まるしくみ 1 労働契約 ( 労働者と使用者との個別の契約 ) で労働条件が決まる場合 労働契約の締結に際し 使用者は労働条件を労働者に明示しなければならない 特に 重要な労働条件は書面を交付して明示しなければならない 労働基準法第 15 条 労働基準法施行規則第 5 条 パートタイム労働者には 昇給の有無 退職手当の有無 賞与の有無 も書面の交付等により明示しなければならない パートタイム労働法第 6 条 有期労働契約では 更新の有無 と 更新する場合 しない場合の判断基準 について書面を交付して明示しなければならない 労働基準法第 15 条 労働基準法施行規則第 5 条 派遣労働者には 派遣元がその就業条件を書面の交付等により明示しなければならない 労働者派遣法第 34 条 使用者は 労働者が労働条件の理解を深めるようにし また 労働者と使用者は 労働契約の内容について できる限り書面により確認することとされている 労働契約法第 4 条 2 就業規則で労働条件が決まる場合 多くの労働者が働く企業 事業所における統一的な労働条件と労働者が守るべき服務規律等を定めたルール. ブックが就業規則 特に 労働組合との労働協約がない職場では 合理的な内容からなる就業規則が労働者の労働契約の内容となり 使用者 労働者ともに拘束される 事業所で常時 10 人以上の労働者を使用する使用者は その事業所における就業規則を作成し 労働基準監督署に届け出て 労働者に内容を周知しなければならない [ ]( 規則の内容を変更する場合も同じ ) 労働基準法第 89 条 第 90 条 第 106 条 賃金規程 旅費規程 育児休業規程 慶弔見舞金規程なども就業規則に含まれる [ ] 1 常時見やすい場所に掲示 備付 2 書面で交付 3 磁気ディスク等への記録と常時確認できる機器の設置 のいずれかが義務付けられている 正社員だけではなく 契約社員 パートタイム労働者 アルバイト 出向社員などの雇用形態が異なる労働者についても それぞれに適用される就業規則が必要 労働契約を締結するとき 使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には 労働契約の内容は それに定める労働条件による ただし 労働契約において その内容と異なる労働条件を合意していた部分についてはこの限りではない 労働契約法第 7 条 就業規則に定める労働条件は 労働契約よりも優先する 労働基準法第 93 条 労働契約法第 12 条 3 労働協約で労働条件が決まる場合 労働協約は 労働組合と使用者が団体交渉の中で組合員の労働条件等について合意した事項を文書化し 双方の代表者が署名または記名押印したもの 労働組合法第 14 条 労働協約の内容は 個々の労働契約や就業規則よりも優先する 労働基準法第 92 条 - 4 -

4 最低の労働条件は法律で決まっている 労働条件の最低基準は法律で決まっている 法律の内容を下回るものは 労使の合意であっても無効 労働条件決定の規範の序列 = 法令 ( 強行法規 )> 労働協約 > 就業規則 > 労働契約 ( 個別の合意内容 ) 期間に定めがあることによる不合理な労働条件の相違は禁止 労働契約法第 20 条 賃金や労働時間等の狭義の労働条件だけでなく 災害補償 服務規律 教育訓練 付随義務 福利厚生など 労働者の待遇一切が含まれる 特に 通勤手当 食堂の利用 安全管理などについて相違させることは 特段の理由がない限り 合理的とは認められないと解されている 5 労働条件の変更について 労働契約の内容である労働条件は 契約当事者である労働者と使用者との合意がなければ変更できないことが法の原則 労働契約法第 8 条 就業規則による労働条件の変更については 合意を原則として例外規定が定められている 労働契約法第 9 条 第 10 条 労働協約による労働条件の変更については 原則として その規範的効力により可能である 4 法律で定められている最低の労働条件とは たとえば 最低賃金 労働基準法第 28 条 最低賃金法 大阪府最低賃金 ( 地域別最低賃金 ): 時間額 838 円 (H26.10.5 より ) 特定最低賃金 ( 産業別最低賃金 ) もある 但し 減額特例 適用除外 ( 産業別最低賃金 ) あり 賃金支払の原則 労働基準法第 24 条 賃金支払の 5 原則 通貨払いの原則 = 現金で支払わなければならない ( 例外あり ) 直接払いの原則 = 働いた本人に直接支払わなければならない 全額払いの原則 = 賃金はその全額を支払わなければならない 毎月払いの原則 = 毎月 1 回以上支払わなければならない 一定期日払いの原則 = 決められた日に支払わなければならない 労働時間 休日 休暇 労働時間は 1 日 8 時間 1 週 40 時間 が原則 労働基準法第 32 条 変形労働時間制 みなし労働時間制 裁量労働制などの例外や 労働基準法第 32 条の 2~5 第 38 条 2~4 管理監督者 監視断続労働などの適用除外 労働基準法第 41 条 がある 1 日 8 時間 1 週 40 時間 を超えて労働させる場合は 労働者の過半数を組織する労働組合または労働者の過半数代表と協定 ( 三六協定 ) を結び 労働基準監督署に届け出ることが必要 労働基準法第 36 条 1 日 8 時間 1 週 40 時間 を超えた労働に対して割増賃金 ( 残業代 ) を支払わなければならない 労働基準法第 37 条 変形労働時間制の場合は 週 40(44) 時間を超えた場合 休憩時間は 労働時間 6 時間超 ~8 時間 45 分以上 労働時間 8 時間超 1 時間以上与えなけ - 5 -

ればならない 労働基準法第 34 条 休日は 少なくとも週 1 日 もしくは 4 週間を通じて 4 日以上与えなければならない 労働基準法第 35 条 ( 法定 ) 休日労働に対しても割増賃金を支払わなければならない 労働基準法第 37 条 働き始めてから 6 ヵ月以上勤務し その間の所定労働日数の 80% 以上出勤した労働者には 年次有給休暇 ( 給料が保障される休暇 ) が法律で与えられる 労働基準法第 39 条 制裁規定の制限 労働基準法第 91 条 就業規則で労働者に減給の制裁を定める場合 その減給は 1 回の額が平均賃金の 1 日分の半額を超え 総額が一賃金支払期における賃金総額の 10 分の 1 を超えてはならない 休業補償 労働基準法第 26 条 使用者の責めに帰すべき事由 ( 使用者側の都合 ) により労働者を休業させたときは 当該所定労働日について 平均賃金の 6 割以上の手当 ( 休業手当 ) を支払わなければならない 使用者の責めに帰すべき事由とは 使用者の故意 過失または信義則上これと同視すべきものよりも広く 経営上の障害も天災事変などの不可抗力に該当しないかぎりは含まれる 賠償予定の禁止 労働基準法第 16 条 使用者は 労働契約の不履行について違約金を定め または損害賠償額を予定する契約をしてはならない 働く女性の労働基準 産前産後休業 労働基準法第 65 条 6 週間 ( 多胎妊娠の場合は 14 週間 ) 以内に出産予定の女性が休業を請求した場合 就業させてはならない また 妊娠中の女性が請求した場合は 他の軽易な業務に転換させなければならない 産後 8 週間を経過しない女性を就業させてはならない ( 産後 6 週間を経た女性については例外あり ) 妊産婦の労働時間 労働基準法第 66 条 変形労働時間制がとられていても 妊産婦が請求した場合は法定労働時間を超えて労働させることはできない また 妊産婦が請求した場合 時間外 休日労働 深夜労働をさせてはならない 育児時間 労働基準法第 67 条 生後満 1 年に達しない生児を育てる女性から請求があった場合には 休憩時間のほかに 1 日 2 回それぞれ少なくても 30 分の生児を育てる時間を与えなければならない 5 労働契約が終わるしくみ 1 辞職 ( 契約期間中に労働者から一方的に辞めること ) 憲法で定められた職業選択の自由 憲法第 22 条 から 労働者には退職の自由が保障されている 契約期間に定めがない場合 原則として 退職する と申し出てから 2 週間で退職が成立する 民法第 627 条第 1 項 2 週間以内でも使用者が合意すれば退職することができる 有期労働契約の場合 期間の途中でもやむを得ない事由があればただちに退職することができる やむを得ない事由なく一方的に辞めた場合は 使用者が受けた損害について賠償責任を負う可能性がある 民法第 628 条 期間の途中でも使用者が合意すれば退職することができる - 6 -

契約期間の有無にかかわらず 入社する前に約束された労働条件と実際の労働条件が違っていた場合には いつでも退職することができる 労働基準法第 15 条第 2 項 2 解雇 ( 契約期間中に使用者から一方的に辞めさせること ) 仕事でのケガ 病気による休業期間 産前産後の休業期間など 一定の状況での解雇が法律で禁止されている 労働基準法 労働組合法 男女雇用機会均等法 育児 介護休業法など 解雇するには 客観的に合理的で社会通念上相当であると認められる理由が必要 ( 認められない解雇は無効 ) 労働契約法第 16 条 有期労働契約期間中の解雇は やむを得ない事由がなければできない 労働契約法第 17 条 それが使用者の過失であれは 労働者が被る損害を賠償する責任が生じる 民法第 628 条 解雇する場合 少なくとも 30 日以上前に予告するか しない場合は 30 日分以上の平均賃金を解雇予告手当として支払わなければならない ( 適用除外あり ) 労働基準法第 20 条 第 21 条 試用期間中でも 14 日を超えて引き続き使用している労働者を解雇する場合は 解雇予告または解雇予告手当が必要 労働基準法第 20 条 第 21 条 また 試用期間中の解雇は 試用期間後よりも広い範囲で解雇の自由が認められているが 客観的で合理的な理由がなく 社会通念上相当と認められない場合には 無効 労働契約法第 16 条 3 期間満了 雇止め 有期労働契約の場合 当該期間が満了すれば労働契約が終了することが原則 ( 期間満了 ) 有期労働契約の更新が繰り返され 一定期間にわたり雇用が継続されたにもかかわらず 契約期間の満了に伴い 使用者が労働者に労働契約の更新を拒絶することがある ( 雇止め ) 雇止め の場合 恒常的な業務内容に従事し 形式的な手続きのみで繰り返し契約が更新され 有期労働契約が無期労働契約と実質的に異ならない状態で存在している場合 または 契約期間終了後の雇用の継続について合理的な期待が認められる場合 当該雇止めに客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当であると認められないときは 当該契約が更新 ( 締結 ) されたものとみなされる 労働契約法第 19 条 あらかじめ当該有期労働契約を更新しない旨が明示されておらず 1 年を超えて継続して雇用している労働者 契約を 3 回以上更新している労働者 1 年を超える期間を契約している労働者を 雇止め する場合には 少なくとも当該契約の期間が満了する 30 日前までに予告をしなければならない 有期労働契約の締結 更新及び雇止めに関する基準 4 合意解約 ( 労働者と使用者とが辞めることに合意すること ) 労働者が 辞めさせてください とお願いし 使用者が わかりました と合意する 使用者が 辞めてくれ とお願いし ( 退職を勧めて ) 労働者が わかりました と合意する 使用者からの 辞めて欲しい 辞めてくれ は 退職勧奨 合意するかどうかは労働者の自由 受け入れなければならない義務はない - 7 -

退職勧奨の手段 方法が社会通念上の相当性を欠く場合は 行為そのものが不法行為 ( 違法な退職強要 ) として 損害賠償請求の対象となり得る 希望退職の募集も基本的には 退職勧奨 6 労働関係法改正の動き 特定高度専門業務 成果型労働制の創設 ( ホワイトカラー エグゼンプション ) 働く時間ではなく成果で賃金を払う制度の導入 ( 労働法上の規制緩和 適用免除制度 ) 金融ディーラー アナリスト コンサルタント 医薬品の開発者 SE 等を想定 年次有給休暇の時季指定権の企業側への一部移行 ( 有給休暇の年 5 日消化の義務付け 正社員中心 ) 有給休暇の取得が確実に進むよう時季指定を使用者に義務付ける ( 働き過ぎ防止のための法制度の整備 ) 計画的 効率的に年次有給休暇を消費させて企業の生産性を高めることが可能 月 60 時間を超える残業代の割増率を 25% から 50% 以上に 裁量労働制の適用拡大 フレックスタイム制の見直し 7 おわりに 労働契約の内容 ( 労働条件 ) は 必ず書面で確認しましょう! 労働契約 労働条件に関する最低限の法律知識を知っておきましょう! 働く人 雇う人 には 法的な権利と義務があります! - 8 -