Microsoft Word - 杉山 年金

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2 社会保障 2.1 社会保障 2.2 医療保険 2.3 年金保険 2.4 介護保険 2.5 労災保険 2.6 雇用保険 介護保険は社会保険を構成する 1 つです 介護保険制度の仕組みや給付について説明していきます 介護保険制度 介護保険制度は 高齢者の介護を社会全体で支えるための制度

年金・社会保険セミナー

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Microsoft PowerPoint - 老後の年金格差(前半)HP用

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企業年金のポータビリティ制度 ホ ータヒ リティ制度を活用しない場合 定年後 : 企業年金なし A 社 :9 年 B 社 :9 年 C 社 :9 年 定年 ホ ータヒ リティ制度を活用する場合 ホ ータヒ リティ制度活用 ホ ータヒ リティ制度活用 定年後 :27 年分を通算した企業年金を受給 A

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年金・社会保険セミナー

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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第14章 国民年金 

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第 7 章 年金 福祉 1 年金 日本の公的年金制度は, 予測できない将来へ備えるため, 社会全体で支える仕組みを基本としたものです 世代を超えて社会全体で支え合うことで給付を実現し, 生涯を通じた保障を実現するために必要です 働いている世代が支払った保険料を高齢者などの年金給付に充てるという方式で

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年金の成り立ち(歴史)

年金改革の骨格に関する方向性と論点について

年金・社会保険セミナー

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 15,250 円 ( 平成 26 年度 ) 付加保険料月額 400

12 ページ, 図表 ,930 円 保険料納付済月数 + 全額免除月数 1/2+4 分の 3 免除月数 5/8+ 半額免除月数 3/4+4 分の 1 免除月数 7/8 ( 出所 ) 厚生労働省 老齢年金ガイド平成 2730 年度版 より筆者作成 40 年 ( 加入可能年数

2.3.2 公的年金制度の財源と支出 1年間の年金給付費はいくらなのか 公的年金制度の財源には保険料のほかに 積立金の運用収入や税金などがある 1年間でどれだけの金額が年金制度に使われているのでしょうか 以下の図 に 公的年金制度の財源と給付費を示します 財源については 保険料による

2004 年の制度改革案の審議中に国会議員の未納問題が話題になり 公的年金の実態は国民の誰もが注目するものになった そもそも公的年金 国民年金は日本の福祉政策の中で最も大きなもののひとつであり 国民皆保険というように国民すべてが加入の義務を負う 国民すべてが働ける間は保険料を納め 老後になると年金を

退職後の健康保険の任意継続ってなに?

第 9 回社会保障審議会年金部会平成 2 0 年 6 月 1 9 日 資料 1-4 現行制度の仕組み 趣旨 国民年金保険料の免除制度について 現行制度においては 保険料を納付することが経済的に困難な被保険者のために 被保険者からの申請に基づいて 社会保険庁長官が承認したときに保険料の納付義務を免除す

平成 29 年 1 月度実施実技試験 ( 保険顧客資産相談業務 ) 73

2 社会保障 2.1 社会保障 2.2 医療保険 2.3 年金保険 2.4 介護保険 2.5 労災保険 2.6 雇用保険 医療保険は社会保険を構成する1つです 医療保険制度の仕組みや給付について説明していきます 医療保険制度 医療保険制度は すべての国民に医療を提供することを目的とした制

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2. 年金額改定の仕組み 年金額はその実質的な価値を維持するため 毎年度 物価や賃金の変動率に応じて改定される 具体的には 既に年金を受給している 既裁定者 は物価変動率に応じて改定され 年金を受給し始める 新規裁定者 は名目手取り賃金変動率に応じて改定される ( 図表 2 上 ) また 現在は 少

いずれも 賃金上昇率により保険料負担額や年金給付額を65 歳時点の価格に換算し 年金給付総額を保険料負担総額で除した 給付負担倍率 の試算結果である なお 厚生年金保険料は労使折半であるが 以下では 全ての試算で負担額に事業主負担は含んでいない 図表 年財政検証の経済前提 将来の経済状

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

タテ ヨコ ナナメ から大解剖 保険販売の目で見る 公的年金 セールス手帖社保険FPS研究所

< 参考資料 目次 > 1. 平成 16 年年金制度改正における給付と負担の見直し 1 2. 財政再計算と実績の比較 ( 収支差引残 ) 3 3. 実質的な運用利回り ( 厚生年金 ) の財政再計算と実績の比較 4 4. 厚生年金被保険者数の推移 5 5. 厚生年金保険の適用状況の推移 6 6. 基

介護保険制度 介護保険料に関する Q&A 御前崎市高齢者支援課 平成 30 年 12 月 vol.1

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

生活福祉研レポートの雛形

現行の年金制度と問題点 赤木光春 足立大和 黒川大介 阪上純平 嶋谷直高 杉野秀平 瀧上悠希 戸上勝利 1. はじめに 私たちはゼミで年金について学習してきました その中で現行の年金制度は複雑なことがわかり 様々な問題を引き起こしていることから近い将来この制度は維持することが難しいと考えました そこ

2. 事例 Q&A [1] 公的年金制度の仕組み Q. 私は昭和 37(1962) 生まれの男性で 現在 55 歳のサラリーマンです 何歳からどのような年 金が受け取れるのでしょうか A. 65 歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金が それに加えて配偶者が 65 歳になるまで加給年金が 支給されます 確

(2) 国民年金の保険料 国民年金の第 1 号被保険者および任意加入者は, 保険料を納めなければなりません また, より高い老齢給付を望む第 1 号被保険者 任意加入者は, 希望により付加保険料を納めることができます 定額保険料月額 16,490 円 ( 平成 29 年度 ) 付加保険料月額 400

平成 28 年 9 月度実施実技試験 損保顧客資産相談業務 139

はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

年金制度のしくみ 3 階私的年金みらい企業年金基金 2 階 1 階 公的年金 厚生年金 国民年金 共済年金 自営業者など会社員の配偶者会社員公務員など 国民年金の加入者区分 第 1 号被保険者 第 33 号被保険者 第 2 号被保険者 3 階建ての年金制度 日本の公的年金制度は 国民年金 から全ての

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年金・社会保険セミナー

2. 特例水準解消後の年金額以下では 特例水準の段階的な解消による年金額の変化を確認する なお 特例水準の解消により実際に引き下げられる額については 法律で定められた計算方法により年金額を計算することに加え 端数処理等の理由により203 年 9 月の年金額に所定の減額率を乗じた額と完全に一致するもの

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第 2 節強制被保険者 1 第 1 号被保険者頻出 択 ( 法 7 条 1 項 1 号 ) 資格要件 日本国内に住所を有する20 歳以上 60 歳未満の者 ( 第 2 号 第 3 号被保険者に該当する者を除く ) 例 ) 自営業者 農漁業従事者 無業者など 適用除外 被用者年金各法に基づく老齢又は退

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現在公的年金を受けている方は その年金証書 ( 請求者及び配偶者 請求者名義の預金通帳 戸籍謄本 ( 受給権発生年月日以降のもの ) 請求者の住民票コードが記載されているもの ( お持ちの場合のみ ) 障害基礎年金 受給要件 障害基礎年金は 次の要件を満たしている方の障害 ( 初診日から1 年 6か

2. 改正の趣旨 背景税制面では 配偶者のパート収入が103 万円を超えても世帯の手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる 配偶者特別控除 の導入により 103 万円の壁 は解消されている 他方 企業の配偶者手当の支給基準の援用や心理的な壁として 103 万円の壁 が作用し パート収入を10

障害厚生年金 厚生年金に加入している間に初診日 ( 障害のもととなった病気やけがで初めて医者にかかった日 ) がある病気やけがによって 65 歳になるまでの間に 厚生年金保険法で定める障害の状態になったときに 受給要件を満たしていれば支給される年金です なお 障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害

高齢者福祉

ファイナンシャル プランニングと倫理 関 連法規 Copyright (c) Akira Sugiyama all rights reserved 2

みずほインサイト 政策 2018 年 10 月 18 日 ideco 加入者数が 100 万人超え加入率引き上げへさらなる制度見直しを 政策調査部上席主任研究員堀江奈保子 naoko. ideco( 個人型確定拠出年金 ) の加入

退職後の医療保険制度共済組合の年金制度退職後の健診/宿泊施設の利用済組合貸付金/私的年金退職手当/財形貯蓄/児童手当個人型確定拠出年金22 共イ特別支給の老齢厚生年金老齢厚生年金は本来 65 歳から支給されるものです しかし 一定の要件を満たせば 65 歳未満でも 特別支給の老齢厚生年金 を受けるこ

中小企業の退職金制度への ご提案について

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2 給付と負担における世代間の大きな格差給付と負担を比較すると 後の世代ほど負担がより重くなっており 世代間の不公平感が高まっている 3 職業や世帯形態による制度の違い負担面での一元化が行われておらず ( 注 3) また 被用者の扶養配偶者 (3 号被保険者 ) の取扱いは 女性の就業意欲を妨げる要

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01 公的年金の受給状況

農業者年金で生活の安定を考えませんか?

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入状況

2. 繰上げ受給と繰下げ受給 65 歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は 本人の選択により6~64 歳に受給を開始する 繰上げ受給 と 66 歳以降に受給を開始する 繰下げ受給 が可能である 繰上げ受給 を選択した場合には 繰上げ1カ月につき年金額が.5% 減額される 例えば 支給 開始年齢

無年金・低年金の状況等について

Q1 社会保険とはどのような制度でしょうか 会社などで働く人たちが収入に応じて保険料を出し合い いざというときの生活の安定を図る目的でつくられた制度のことで 一般的に健康保険や厚生年金保険のことを 社会保険 といいます 健康保険法第 1 条では 労働者の業務外の事由による疾病 負傷若しくは死亡又は出

米国の給付建て制度の終了と受給権保護の現状

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質問 1 11 月 30 日は厚生労働省が制定した 年金の日 だとご存じですか? あなたは 毎年届く ねんきん定期便 を確認していますか? ( 回答者数 :10,442 名 ) 知っている と回答した方は 8.3% 約 9 割は 知らない と回答 毎年の ねんきん定期便 を確認している方は約 7 割

各国の年金制度 ( ノルウェー ) ノルウェーの年金制度 坂本純一 ( 野村総合研究所金融 ITイノベーション研究部主席研究員 ) 1. 制度の特色 2009 年に成立した年金改正法により, 現在のノルウェーの年金制度は過渡期にある 旧制度は定額部分と報酬比例部分からなる給付体系であったが, 201

年金・社会保険セミナー

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1. はじめに 自ら変わります 社会保険庁を変えます 社会保険庁ホームページ : 社会保険庁改革リスタートプラン より やるき化 プロジェクト あたりまえ化プロジェクト 見える化 プロジェクト きれい化 プロジェクト 2007/4/14 Copyright

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確定給付企業年金制度のご案内 ━ 大阪府電設工業企業年金基金のご案内 ━

冷え込む韓国のシニア消費

ただし 対象期間の翌年度から起算して3 年度目以降に追納する場合は 保険料に加算額が上乗せされます 保険料の免除や猶予を受けず保険料の未納の期間があると 1 年金額が減額される 2 年期を受給できない3 障害基礎年金や遺族基礎年金を請求できない 場合がありますのでご注意ください 全額または一部免除

はじめに 定年 は人生における大きな節目です 仕事をする 働く という観点からすれば ひとつの大きな目標 ( ゴール ) であり 定年前と定年後では そのライフスタイルも大きく変わってくることでしょう また 昨今の労働力人口の減少からも 国による 働き方改革 の実現に向けては 高齢者の就業促進も大き

社会保障 税一体改革大綱(平成24 年2月17 日閣議決定)社会保障 税一体改革における年金制度改革と残された課題 < 一体改革で成立した法律 > 年金機能強化法 ( 平成 24 年 8 月 10 日成立 ) 基礎年金国庫負担 2 分の1の恒久化 : 平成 26 年 4 月 ~ 受給資格期間の短縮

年金額の改定について 公的年金制度は平成 16 年の法改正により永久に年金財政を均衡させる従来の仕組みから おおむね ( 100 ) 年間で年金財政を均衡させる仕組みへと変わった この年金財政を均衡させる期間を 財政均衡期間 という これにより 政府は少なくとも ( 5 ) 年ごとに財政の検証をおこ

平成 24 年度国民健康保険税税率改定案 1 医療保険分 ( 基礎課税額 ) 現行 改定 増減 伸率 所得割額 4.30 % 4.63 % % 資産割額 % 9.80 % % 税率等 均等割額 17,100 円 18,000 円 900 円 5.3%

【政治経済】 第9回 「W」の未来予想図

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スライド 1

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強制加入被保険者(法7) ケース1

目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

150130【物価2.7%版】プレス案(年金+0.9%)

31 Vol.105 わかりいただけたと思います では 地方公務員の皆さんが老後に受け取る年金はどのようなものでしょうか 図2 をご覧ください 共済年金制度から 退職共済年金 国民年金制度から 老齢基礎年金 と 二つの年金がそれぞれ共済組合と日本年金機構から支給されます 退職共済年金は 共済年金を含

ライフプランニングと資金計画 問題 1. ファイナンシャル プランナーの顧客に対する行為に関する次の記述のうち 職 業倫理や関連法規に照らし 最も適切なものはどれか 1. 税理士資格を有しないファイナンシャル プランナーが 住宅ローン相談セミナーを開催し その出席者に対して無償で確定申告書の作成代行

Transcription:

年金について考える 杉山暢嶺 1. はじめにいま日本が抱えている年金問題とはどのようなモノなのか 近年あった問題としては年金の記入漏れ そして今抱えている問題は少子高齢化による年金制度の見直し 今後の改善 そして後を追うように若者の年金未払いという問題を抱えている この問題は私達に直接関わってくる問題であり考える必要がある 年金について知るにあたって そもそも年金制度について知らなければならないと考え調べた 2. 年金とは 年金には 公的年金と私的年金がある 私的年金は民間の企業 団体が行う企業年金 団体年金などと 個人が任意で加入する個人年金である (1) 公的年金は国が運営 実施する年金のこと 公的年金には公的機関が運営する年金 国民年金 厚生年金 共済年金等があり 国民年金には20 歳以上 60 歳未満の人は皆加入が義務づけられ 国民年金は 基礎年金 とも呼ばれている 国民年金の被保険者は 第 1 号被保険者 第 2 号被保険者 第 3 号被保険者となっている ちなみに 現在の日本の公的年金制度を図にすると下記のような図になっている (1 階 : 基礎年金 +2 階 : 上乗せ年金 )

出所 ) 国民年金 http://ja.wikipedia.org/wiki/%e5%9b%bd%e6%b0%91%e5%b9%b4%e9%87%91 H25.01.23. そして国民年金の給付の本質は 日本国憲法第 2 項にも記載されているように 最低限度の生活を営むため のものである だが 20 歳 ~60 歳の間に国民年金を払い続けたとしても 月額約 6 万 6 千円にしかならない 一方 老後に必要な生活費は 平成 23 年家計調査 ( 総務省統計局 ) によれば 高齢者夫婦の世帯の支出は 月額約 27 万円 (2) 国民年金を夫婦 2 人分足しても月額 13 万 2 千円 (3) 残りの13 万 8 千円はどうしたらいいのか? という疑問が浮かぶ それを補うのが 第 1 号被保険者では国民年金基金制度なのである 第 2 号被保険者の場合では厚生年金 ここでは先に厚生年金について見ていく 1) 厚生年金とは厚生年金とは第 2 号被保険者が対象である 厚生年金とは会社のサラリーマン OL を対象とし 会社等の法人に勤務している人を被保険者として保険料を徴収し 被保険者の老齢 障害および死亡について厚生年金保険から給付を行う公的年金のことである 被保険者本人や家族の生活安定と福祉の向上を目的とする社会保険制度です 厚生年金と国民年金を足した合計の期間が 25 年以上ないと将来年金は一円ももらえない 常時 5 人以上の従業員が働いている個人事業所 およびすべての法人会社 ( 株式会社など ) は原則として必ず厚生年金保険に加入することが義務となっている (4) 2) 国民年金基金とは目的はサラリーマンとの年金額の差を解消するため 公的な年金制度として平成 3 年に創設された物である 機能としては 自営業者など国民年金の第 1 号被保険者の方々の多様化するニーズに応え より豊かな老後を過ごすことができるよう 国民年金 ( 老齢基礎年金 ) に上乗せした年金を受け取るための公的な年金制度である (2) 加入対象者は 国民年金保険料を支払っている 20 歳以上 60 歳未満の自営業者 となる 3. 年金財政の徴収方式今の日本は賦課方式をとっているがこのままで良いのか 積立方式 賦課方式の2つを理解し考える必要がある 積立方式とは若い現役時代に払い込んだ金を積み立て 老後にそのお金を受け取る仕組みである 高齢者に支給される年金は 当該高齢者が現役の時代に積み立てたものを受け取っているだけであり 高齢者と同時代の現役世代が扶養しているのではないからである (5) 一方 賦課方式は現在働いている現役の人から保険料を徴収し 現在の高齢者に年金を給

付する仕組みである 各年度 ( あるいは数年間 ) で収支が均衡するように制度が設計される 4. 徴収方法によるメリットとデメリット 1 メリットについては以下の通りである 積立方式 自分の保険料のみ支払えばよく 人口構造に左右されないので 掛け金負担が重くなってゆくことは免れる 世代間の不公平がなく国民の納得を得やすい 賦課方式 金利の影響を受けにくい 2 デメリットについては以下の通りである 賦課方式 老齢世代の人口に応じて保険料率の変更が求められ 少子高齢社会である現在のように老齢世代の人口が多いと 拠出金の割にあった年金受給額がもらえなくなる 人口構造が変化したとき 制度を維持するためには 保険料を上げ給付を下げるしかない 世代間の不公平が生じやすい 給付と負担の関係が不明確である 積立方式 金利水準の変動の影響を受ける 5. 年金の問題点国民年金の納付率は低迷が続いている 厚生労働省の調査では 平成 24 年 3 月末で国民年金のみに加入する第 1 号被保険者の約 40% が保険料未納になっている ただし 厚生年金と合わせた公的年金全体では約 5% の未納となる (7) 保険料を納付しない理由として最も多いのは 保険料が高く 経済的に支払うのが困難 という経済的なものである 次いで多いのが 年金制度の将来が不安 信用できない という年金制度自体への不信が挙げられている 積立方式は 若い現役時代に納付した保険料を積み立て 運用益も加えた額を老後に年金として給付する仕組みである 私的年金の場合には各個人ごとに収支が均衡化するように保険料と年金額が設定されるが 公的年金の場合にはある年齢階層 ( あるいは数年間の年齢階層 ) で収支が均衡するように制度が設計される 6. 各国々の年金制度ここでは各国々について簡単にふれておく 現在のところ公的年金制度のある国の方が少ないのが現状のようだ しかし 先進国では公的年金制度が行き渡っている たとえば サミットG8で公的年金制度のないところはない またイギリス アメリカ ドイツ スウェーデン イタリア 日本 カナダ オーストラリアいずれも社会保険方式であり 世代間扶養 方式をとっている 世界の国々の中で魅力を感じた国 ニュージーランドである この国は唯一と言ってもいい 税金を支払うだけで年金をもらえる年金制度をとっている国である

具体的に述べると 20 歳以降 10 年以上居住しており,50 歳になってから5 年間の居住期間があれば, 男女に関わらず 65 歳時点で年金受給権が発生するという制度 (6) それに比べ日本はどうだろう? ニュージーランドでは 10 年以上住んでいるだけで税金をもらえるのに対し 日本では少ない収入から一生懸命やり繰りして保険料を継続的に支払い続けないともらえないという事実 誰が見ても差は歴然だ そしてもう一つ紹介しておきたい国がスウェーデンという国である 参考文献 : この国の公的年金制度は必要かつ十分な暮らしを保障するのが国民年金とされており 純粋な公的年金であるこの制度の財源すべてが国家予算に含まれる そのうえに加給される年金としては 国民所得比例年金 そして企業年金があるが いずれも独立会計であって 国家予算とは分離された制度である それだけに 政情などに影響されにくい高い安定性で制度が保たれ 信頼のおける年金とされる (8) また 公的年金の制度として最低保証年金という制度がある この制度は 生涯に亘って所得が低い者や保険料拠出期間の短い者には年金額が低くなるが保証年金を用意する という制度である 受給には 3 年以上のスウェーデン居住が必要であり 居住年数に応じて支給し 40 年居住で満額となる 近年 民主党が打ち出した新しい年金制度として最低保証年金がある いつ実現するかは分からないが早く新たな取り組みを始めて欲しいものである 7. 結論これからの日本を考えると年金財政により高齢化問題に対応する必要がある いずれは積立方式に考え直さなくてはいかなくなるであろう そうなったとしても 年金制度で国民から信頼されていない政府が 将来にわたって 面倒見ます と言っても 誰も信用しない= 保険料を払おうと思わないでしょう だから今 若者の年金未払い問題という事実があるのだろう それよりも基礎年金として 誰であろうと収入や貯金がいくらであろうと平等にし 後の足りない分は各々が働くなり貯金するなり資産運用するなりしていけば良いのではないか? これぐらいシンプルなやり方だと無駄な税金は使われないし 年金記録問題のようなことは起きない いま考えられている 積立方式にすること以上に最終的には このぐらいシンプルにする必要があるのではないだろうか? 今後も年金問題について学習していきたい 注 (1) 年金の基礎知識 http://homepage2.nifty.com/h_noguchi/sakusaku/1_1.htm H25.01.21

(2) 国民年金基金制度のしくみ http://www.npfa.or.jp/about/shikumi/index.html H.25.01.23 (3) 厚生年金の老齢年金とは? http://www.kokumin-nenkin.com/knowledge/rourei-kouseinenkin.html H25.01.23 (4) 厚生年金とは http://www.nennkinn.net/kouseinennkinntoha.html H25.01.23. (5) 年金- 賦課方式と積立方式 http://homepage2.nifty.com/k-todo/ninngenn/keizai/na/nennkinn.htm H.25.01.23 (6) 図表でみる世界の年金 公的年金政策の国際比較 もっとシンプルにできないものか http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/b145f5869cf51a112ed8ad1bb398cad1 H25.01.23 (7) 年金未納問題 http://ja.wikipedia.org/wiki/%e5%b9%b4%e9%87%91%e6%9c%aa%e7%b4%8d%e5%95%8f%e9%a1 %8C H25.01.23 (8) 竹崎孜 貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン p161 あけび書房平成 20 年 11 月 参考文献一覧 厚生年金とは http://www.nennkinn.net/kouseinennkinntoha.html 厚生年金の老齢年金とは? http://www.kokumin-nenkin.com/knowledge/rourei-kouseinenkin.html 国民年金基金制度のしくみ http://www.npfa.or.jp/about/shikumi/index.html 図表でみる世界の年金 公的年金政策の国際比較 もっとシンプルにできないものか http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/b145f5869cf51a112ed8ad1bb398cad1 年金未納問題 http://ja.wikipedia.org/wiki/%e5%b9%b4%e9%87%91%e6%9c%aa%e7%b4%8d%e5%95%8f%e9%a1 %8C 年金- 賦課方式と積立方式 http://homepage2.nifty.com/k-todo/ninngenn/keizai/na/nennkinn.htm 年金の基礎知識 http://homepage2.nifty.com/h_noguchi/sakusaku/1_1.htm 竹崎孜 貧困にあえぐ国ニッポンと貧困をなくした国スウェーデン あけび書房平成 20 年 11 月