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Transcription:

28 年 5 月 28 日発行 中国都市部家計の所得 消費 貯蓄 ~ 現状と株式投資による影響 ~

本誌に関するお問い合わせはみずほ総合研究所株式会社調査本部アジア調査部中国室研究員劉家敏 jiamin.liu@mizuho-ri.co.jp 電話 (3)3591-1384 まで 当リポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり 商品の勧誘を目的としたものではありません 本資料は 当社が信頼できると判断した各種データに基づき作成されておりますが その正確性 確実性を保証するものではありません また 本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります

要旨 1. 中国の個人消費の行方を見極めるには 消費関連指標だけでなく 個人消費をけん引している都市部家計部門 (Urban Household) の所得 貯蓄 投資の最新動向を把握する必要がある 都市部世帯数は 26 年末に約 1 億 9,571 万世帯となった そのうち 東部は全体の 43.5% の約 8,519 万世帯 中部は同 23.5% の約 4,588 万世帯 西部は同 22.2% の約 4,349 万世帯 東北部は同 1.8% の約 2,115 万世帯と試算される 2. 都市部世帯当たり年間可処分所得は 平均で 1998 年の 19,693 元から 26 年には 37,277 元 ( 約 56 万円 ) となり 実質的に年平均 8% 増で所得向上が進んでいる 上海や北京などは 5 万元 (75 万円 ) を超えているが 四川省や黒竜江省は 3 万元 (45 万円 ) 未満である 都市部上位 1% 所得層の同指標は 9 万元 (135 万円 ) に達し 下位 1% 所得層との世帯所得格差は 4 倍から 9 倍に広がっている 3. 都市部世帯当たり年間消費支出は 平均で 1998 年の 15,724 元から 26 年には 27,568 元 ( 約 41 万円 ) となり 実質的に年平均 7% 増で消費拡大が進んでいる 広東省は 4 万元台 (6 万円台 ) 北京や上海などは 3 万台 (45 万円台 ) となっているのに対し 黒竜江省は 2 万元を下回る水準にある 都市部上位 1% 所得層の同指標は 6 万元 (9 万円 ) に達し 下位 1% 所得層との世帯消費格差も 3 倍から 6 倍に広がっている もっとも 1 人当たり年間食品消費量や耐久消費財の世帯普及率を 24 年時点と比較すると 階層別世帯消費格差は縮小する傾向にある 4. 26 年末現在 都市部上位 2% 所得層のエンゲル係数は日本の高度成長期の同指標 (31% 台 ) を下回る 27% に低下してきたが 現在の日本 (23%) よりは高い しかし 消費支出に占める 交通 通信 保健 医療 教育教養 娯楽 住宅 光熱 水道 といった費目の割合は 合計で現在の日本とほぼ同水準 (45%) にあり 上位 2% 所得層は さらに 52% まで高まっている 5. 26 年の都市部家計の貯蓄率は 32% で日本やアメリカと比べ かなり高い その背後には 1 高齢化による老後生活に対する不安 2 計画経済から市場経済へ移行する過程における社会保障制度の不備による予備的な貯蓄動機の強まり 3 持続的な高成長を前提とした高い投資収益への過剰期待 などが原因として挙げられる 都市部世帯当たり金融資産残高は 1991 年末の 1 万元から 26 年末には 9 万元 ( 約 135 万円 ) に達している そのうち 世帯当たり株式保有額は 6 元 ( 金融資産の.1%) から 6,391 元 ( 同 7%) 債券保有額は 35 元 ( 同 4%) から 4,823 元 ( 同 5%) に増加した 金融資産に占める預金の割合は 94% から 85% に低下したが 日本の同比率 (39%) を大きく上回る水準にある 6. 有価証券や不動産などへの投資拡大を背景に 都市部 1 人当たり年間資産性所得は 26 年に前年比 26.5% 増の 244 元となった この内訳は 金融資産から 112 元 実物資産から 132 元である 階層別に見ると 上位 1% 所得層の資産性所得は 前年比

36.5% 増の 1,279 元となり そのうち 金融資産からの所得は 同 52% 増の 679 元で 資産性所得の 53% を占めている それに対し 下位 1% 所得層の資産性所得は 同 8.7% 増の 35 元に過ぎず そのうち 金融資産からの所得は 同 9% 減の 7 元である 株式投資からの 1 人当たり年間資産性所得は 25 年の 36 元から 26 年には前年比 56% 増の 56 元となり 階層別に見ると 上位 1% 所得層は 196 元から同 71% 増の 336 元 下位 1% 所得層は 3 元から同 33% 減の 2 元となり 26 年後半からの株価急騰による資産性所得の増加は 高所得層を中心とするものである 7. 一方 不動産投資からの資産性所得は 25 年の 112 元から 26 年には前年比 13% 増の 126 元に 小幅な上昇しか見られない 階層別に見ると 上位 1% 所得層は 479 元から約 19% 増の 571 元 中位 2% 所得層は 7 元から約 3% 減の 68 元となり 不動産価格上昇に伴う資産性所得の増加は 株式投資ほど顕著ではない 8. 全民炒股 ( 全国民が株式取引をしていること ) は 27 年度のキーワードとなった 個人が保有する株式の時価総額は 26 年末に流通可能な A 株の時価総額の約 57% を占めている 個人名義の ( 人民元建て )A 株取引口座数は 27 年末現在 1.1 億口座に達しているが 残高がなく長期にわたり利用されていない証券口座 ( いわゆる 休眠口座 ) や両方の取引所に開かれた同一名義口座の重複などを除くと 実際に利用されている A 株口座数は 28 年 1 月末現在 約 4, 万口座と推測される その 99% が個人名義であると試算すれば 中国の個人投資家は 都市人口の約 7% を占めることになる 9. 27 年のアンケート調査結果によれば 都市部家計の株式投資は 1 高所得世帯から中低所得世帯まで浸透しており 投資家の裾野が広い 2 銀行預金や生活余剰金からの資金が主要資金源となっている 3 他人や銀行からの借入で株式投資をするケースもあるが 限定的に止まっている 4 株式を金融資産残高の 5 割まで保有する個人投資家が回答者の 6% にも上る といった特徴がある 1. 株式投資による影響として 1 株価上昇 ( 下落 ) が続くと 高所得層を中心として資産性所得が増加 ( 減少 ) し これに株式保有の正 ( 負 ) の資産効果が加わり 家計部門の消費支出を押し上 ( 下 ) げる可能性がある 2 株式などリスクの高い有価証券への投資拡大により 家計の資産残高が株価変動の影響を受けやすくなり 株価下落による金融資産の目減りが起因する社会不安を引き起こす恐れもある などが考えられる 11. 27 年 1 月に開かれた第 17 次党大会で胡錦濤主席は より多くの国民に資産性所得を増加する環境整備に努力していく と宣言した 個人による株式保有を促進する政策の下で 都市部家計の株式投資は 今後も堅調に拡大していくと思われる もっとも 株価変動による影響が家計にまで波及するリスクが高まっている現在 株式市場の健全化 透明化への取り組みや株価安定対策が一層求められよう ( みずほ総合研究所アジア調査部中国室研究員劉家敏 )

目次 1. はじめに 1 2. 都市部家計の全体像 1 (1) 都市人口と都市化率 1 (2) 都市部世帯数 3 (3) 所得 消費 貯蓄水準 4 a. 所得 5 b. 消費 9 c. 貯蓄 24 3. 都市部家計の投資行動 29 (1) 資産性所得 31 (2) 個人による株式投資 33 a. 証券取引口座数と地域分布 34 b. 個人投資家の属性と投資規模 37 c. 投資目的 4 d. 損益状況 41 e. 保有期間と銘柄選択 41 f. 投資情報と投資家教育 42 4. 株式投資による影響 44 5. 終わりに 46

図表目次 図表 1 都市人口と都市化率の推移...2 図表 2 地域別都市人口と都市化率 (26 年 )...2 図表 3 都市人口の地域分布 (26 年 )...3 図表 4 地域別都市部世帯数 (26 年末 )...4 図表 5 都市部世帯数の地域分布 (26 年末 )...4 図表 6 都市部 1 人当たり年間可処分所得の推移...5 図表 7 地域別都市部 1 人当たり年間可処分所得 (26 年 )...6 図表 8 都市部世帯当たり年間可処分所得とその実質伸び率の推移...7 図表 9 地域別都市部世帯当たり年間可処分所得 (98/6 年 )...7 図表 1 都市部 1 人当たり年間可処分所得と階層別所得格差の推移...8 図表 11 都市部上位 1% 層と他の階層との所得格差 (98/6 年 )...8 図表 12 地域別都市部域内総生産に占める個人消費の割合の推移...9 図表 13 都市部 1 人当たり年間消費支出の推移...1 図表 14 地域別都市部 1 人当たり年間消費支出の推移...11 図表 15 地域別都市部 1 人当たり年間消費支出 (26 年 )...11 図表 16 都市部世帯当たり年間消費支出とその実質伸び率の推移...12 図表 17 地域別都市部世帯当たり年間消費支出 (98/6 年 )...12 図表 18 都市部 1 人当たり年間消費支出と階層別消費格差の推移...13 図表 19 都市部上位 1% 層と他の階層との消費格差 (98/6 年 )...14 図表 2 都市部における主要食品の 1 人当たり年間消費量 (26 年 )...15 図表 21 食品消費における都市部階層別格差 (4/6 年 )...16 図表 22 地域別都市部における主要耐久消費財の世帯普及率 (26 年末 )...17 図表 23 都市部における階層別耐久消費財の世帯普及率 (26 年末 )...18 図表 24 都市部における耐久消費財普及の階層別格差 (4/6 年 )...19 図表 25 地域別都市部消費パターンの変化 (98/6 年 )...2 図表 26 地域別都市部 1 人当たり消費支出に占める 4 費目の割合 (98/6 年 )...23 図表 27 都市部家計の預金残高の推移...24 図表 28 地域別都市部世帯当たり平均預金残高 (26 年末 )...25 図表 29 都市部家計貯蓄率の推移...26 図表 3 所得階層別都市部家計貯蓄率の推移...27 図表 31 都市部世帯当たり金融資産平均残高の推移...28 図表 32 都市部世帯当たり金融資産平均残高の構成比の推移...28 図表 33 都市部家計の貯蓄 消費 投資 ( 概念図 )...29 図表 34 年齢層別都市部家計の金融資産構成比 (25 年末 )...3 図表 35 都市部 1 人当たり資産性所得と年伸び率 (5/6 年 )...31 図表 36 階層別金融資産 実物資産による現金収入 (5/6 年 )...32 図表 37 都市部 1 人当たり株式 不動産関連収入 (5/6 年 )...32 図表 38 市場 投資家別 : 証券取引口座の構成比 (3~7 年 )...35 図表 39 証券取引口座数の年間純増減の推移...35 図表 4 証券取引口座数の純増減 ( 月次ベース )...36 図表 41 個人投資家の性別 年齢 学歴 (7/8 年末 )...38 図表 42 個人投資家の収入や投資資金 (27 年 )...39 図表 43 個人投資家の投資目的と投資収益 (27 年 )...4 図表 44 個人投資家の株式保有期間 投資銘柄 投資方向 (28 年 2 月現在 )...42 図表 45 投資情報の獲得ルートと投資家教育の現状 (27 年 )...44 図表 46 上海家計の所得 消費 貯蓄と期末株式取引口座数の推移...45

1. はじめに 市場としての中国 を捉える時 個人消費をけん引している都市部家計(Urban Household) の実態究明が課題となっている 家計部門の 当期消費水準 を決める 所得 次期消費水準 に影響する 貯蓄 と 資産形成に寄与する 投資 は 都市部家計の消費行動を左右する主な要因となっている 個人消費の行方を見極めるには 消費関連指標だけでなく 家計部門の所得 貯蓄 投資の最新動向を把握する必要もある 中国では 個人消費の 晴雨計 と見なされる都市部小売売上高は 24 年の 3 兆 9,696 億元から 27 年にはその 1.5 倍の 6 兆 411 億元に 前年比 17% 増で堅調な拡大を見せている 1 同指標は 21 年の 8 兆元を経て 215 年にはさらに 16 兆元に達する見込みである 2 しかし 26 年下半期からの株価急騰を背景に 都市部家計を中心に急増する個人による株式投資は 個人消費にどのような影響があるかが注目されている 本稿では まず 都市人口と地域別都市化率から都市部世帯数とその地域分布を試算してみる また 内需拡大政策が打ち出された 1998 年を境目に 都市部家計の所得 消費 貯蓄の実態とその変化を地域 階層別に分析する さらに 都市部世帯当たり金融資産残高を試算し 金融資産構成とその変化を検討する 最後に 都市部家計による株式投資の実態を明らかにし その個人消費への影響を考えてみよう 2. 都市部家計の全体像 (1) 都市人口と都市化率中国の都市人口は 26 年末現在 5 億 7,76 万人に達している 地域別に見ると 東部都市 3 は 前年比 897 万人増の 2 億 5,387 万人 中部都市は 547 万人増の 1 億 3,396 万人 西部都市は 493 万人増の 1 億 2,916 万人 東北部都市は 76 万人増の 6,7 万人となり いずれも上昇し続けている 都市人口の前年比伸び率は 全体として 1996 年の 6% から 26 年には 2% に鈍化したが 都市化率 ( 全人口に占める都市人口の割合 ) は 持続的な上昇を見せている 4 ( 図表 1) 26 年の都市化率は 44% に達し 1978 年の 18% から倍増した 地域別に見ると 東部地域は 54% 中部地域は 38% 西部地域は 36% 東北地域は 56% となり 東部 東北地域が 5 割を超える水準にある 省 ( 直轄市 自治区 ) 別に見ると 上海市は 89% に達し 都市部トップとなっているのに対し 貴州省は 28% に過ぎず 上海市の約 3 分の 1 に止まっ 1 全国の 小売売上高 は 24 年の 5 兆 9,51 億元から 27 年には 8 兆 9,21 億元に拡大している 2 劉家敏 中国経済における個人消費の行方 ~98 年以降の消費実態と 215 年までの見通し~ みずほリポート 26 年 4 月 13 日 3 東部地域 =3 直轄市 ( 北京 上海 天津 )+ 広東省 + 浙江省 + 江蘇省 + 山東省 + 河北省 + 福建省 + 海南省 (3 市 7 省 ) 中部地域 = 山西省 + 安徽省 + 江西省 + 河南省 + 湖南省 + 湖北省 (6 省 ) 西部地域 = 重慶市 ( 直轄市 )+ 陜西省 + 四川省 + 貴州省 + 雲南省 + 甘粛省 + 青海省 + 内蒙古自治区 + 寧夏自治区 + 広西壮族自治区 + 西蔵自治区 + 新疆自治区 (1 直轄市 6 省 5 自治区 ) 東北地域 = 遼寧省 + 黒竜江省 + 吉林省 (3 省 ) とする ( 以下同じ )( 中国統計年鑑 中国統計出版社 26 年 9 月 ) 4 改革 開放初年度の 1978 年の都市部人口は 1.7 億人で 全人口の約 18% を占めている 1

ている ( 図表 2) 図表 1 都市人口と都市化率の推移 % 億人 5 9 5.8 億人 (43.9%) 45 8 4 7 35 6 3 25 5 2 4 15 1.7 億人 (17.9%) 3 1 2 5 1 78 79 8 81 82 83 84 85 86 87 88 89 9 91 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 56 年 都市人口 ( 右目盛 ) 総人口に占める割合 ( 居住者ベース ) 年伸び率 ( 右目盛 ) ( 資料 )CEIC DATA より作成 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 全体5.8 億人 (43.9%) 中部地域東部地域東北地域西部地域図表 2 地域別都市人口と都市化率 (26 年 ) 万人 % 上海 :88.7% 吉林省浙江省黒竜江省北京市天津市広東省遼寧省江蘇省上海市( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 ) 中国統計年鑑 (27 年 ) 中国統計出版社 27 年 9 月より作成 重慶市安徽省寧夏自治区河北省湖南省湖北省四川省青海省新疆自治区海南省陜西省福建省広西壮族自治区江西省内蒙古自治区山東省山西省都市部人口都市化率 ( 右目盛 ) 貴州省 :27.5% 河南省雲南省甘粛省西蔵自治区9 8 7 6 5 4 3 2 1 貴州省 1 2

都市人口の地域分布は 東部 57% 中部 19% 西部 23% 東北 1% となっており 東部都市に都市人口の 6 割弱が集中している ( 図表 3) 省 ( 直轄市 自治区 ) 別に見ると 都市人口の上位 5 省は 広東省 ( 都市部人口の 1%) 山東省と江蘇省( いずれも 7%) 河南省と浙江省 ( いずれも 5%) である 市場としての中国 を見る時 所得格差は 考察すべき重要な指標であるが 都市人口の地域分布と地域別都市化率も見落とせない指標となろう 図表 3 都市人口の地域分布 (26 年 ) 西部地域 23% 東北地域 1% その他 44% 1 広東省 1% 2 山東省 7% 3 江蘇省 7% 4 河南省 5% 中部地域 19% 東部地域 57% 1 湖南省 4% 9 湖北省 4% 8 遼寧省 4% 5 浙江省 5% 6 四川省 5% 7 河北省 5% ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 ) 中国統計年鑑 (27 年 ) 中国統計出版社 27 年 9 月より作成 (2) 都市部世帯数 世帯数 は 消費市場を分析する際に欠かせない指標である しかし 改革 開放後 人口移動が激しいことから 従来の戸籍制度が実態を反映できなくなったため 居住者ベースの都市部世帯数を正確に把握することが難しい 本稿は 公表データである 都市人口 都市化率 世帯構成員数 などで 都市部世帯数とその地域分布を試算してみた その結果によれば 都市部世帯数は 26 年末現在 1 億 9,571 万世帯に達している そのうち 東部は全体の 43.5% を占める 8,519 万世帯 中部は同 23.5% の 4,588 万世帯 西部は同 22.2% の 4,349 万世帯 東北部は同 1.8% の 2,115 万世帯である ( 図表 4) 省( 直轄市 自治区 ) 別に見ると 都市部世帯数の上位 5 省は 1 広東省 (1,719 万世帯 都市部全体の 9%) 2 山東省 (1,46 万世帯 同 8%) 3 江蘇省 (1,36 万世帯 同 7%) 4 浙江省 (991 万世帯 同 5%) 5 四川省 (943 万世帯 同 5%) である( 図表 5) 3

図表 4 地域別都市部世帯数 (26 年末 ) 全西 体蔵自治区/西万世帯 % 2, 5 都市部世帯数 18, 45 対全体比 ( 右目盛 ) 16, 4 14, 35 12, 3 1, 25 8, 2 6, 15 4, 1 2, 5 北京市/東寧夏自治区/西貴州省/西雲南省/西東部地域上海市/東新疆自治区/西東北地域青海省/西中部地域天津市/東安徽省/中吉林省/東北重慶市/西甘粛省/西陜西省/西河南省/中河北省/東西部地域内蒙古自治区/西山西省/中湖北省/中湖南省/中海南省/東黒竜江省/東北江西省/中福建省/東遼寧省/東北広西壮族自治区/西2山東省/東3江蘇省/東4浙江省/東5四川省/西1広東省/東( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 ) 中国統計年鑑 (27 年 ) 中国統計出版社 27 年 9 月より作成 図表 5 都市部世帯数の地域分布 (26 年末 ) 西部地域 2% 東北地域 11% その他 44% 1 広東省 9% 2 山東省 8% 3 江蘇省 7% 4 浙江省 5% 中部地域 23% 東部地域 46% 1 湖南省 4% 9 河北省 4% 8 湖北省 4% 5 四川省 5% 6 河南省 5% 7 遼寧省 5% ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 ) 中国統計年鑑 (27 年 ) 中国統計出版社 27 年 9 月より作成 (3) 所得 消費 貯蓄水準本節では 都市部世帯数と地域別構成を用いて 1 世帯当たり可処分所得 2 世帯当たり消費支出 3 世帯当たり預金残高 を地域 階層別に試算し 都市部家計の所得 消費 貯蓄の実態を明らかにしよう 4

a. 所得 (a) 平均可処分所得都市部家計の所得水準を反映する指標の 1 つである 1 人当たり年間可処分所得 5 は 1998 年の 5,425 元 ( 約 8 万円 1998 年末現在 1 元 =14 円 以下同じ ) から 27 年には 13,785 元 ( 約 21 万円 27 年末現在 1 元 =15 円 以下同じ ) に 実質的に年平均 1% 増で向上している 6 ( 図表 6) 図表 6 都市部 1 人当たり年間可処分所得の推移 元 % 16, 都市部 1 人当たり年間可処分所得 35 14, 実質年伸び率 ( 右目盛 ) 7 年 :13,785 元 3 12, 1, 8, 6, 4, 2, 86 年 :91 元 92 年 :2,27 元 98 年 :5,425 元 86 87 88 89 9 91 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 67 年 ( 注 )27 年は速報値である ( 消費対 GDP 貢献 7 年来首超投資 8 年或有更大作用 中国証券報 28 年 1 月 3 日 ) ( 資料 )CEIC DATA などより作成 25 2 15 1 5 (b) 地域別可処分所得地域別に見ると ( 図表 7) 東部都市は 1998 年の 6,875 元 ( 約 1 万円 ) から 26 年には 14,894 元 ( 約 22 万円 26 年末現在 1 元 =15 円 以下同じ ) 中部都市は 4,6 元から 9,911 元に 西部都市は 4,96 元から 9,545 元に 東北部都市は 4,364 元から 9,776 元に 向上している 1998 年時点で同指標が最も低かった東北部都市 7 は 26 年に西部都市を上回ったが 東部都市と比べると 依然として低い水準にある 省 ( 直轄市 自治区 ) 別に見ると トップ 1 省 ( 直轄市 ) のうち 8 省 ( 直轄市 ) が東部地域にあり 特に上海市 北京市 浙江省 広東省は 平均水準を大きく上回っている 上海市の 1 人当たり年間可処分所得 は 26 年に 2,668 元 ( 約 31 万円 ) に達しており 都市部トップである 1998 年時 5 都市部 1 人当たり可処分所得 = 総収入 個人所得税 社会保障負担支出 家庭副業生産支出 その他 6 市場経済へ移行し始めた 1992 年と内需拡大政策が打ち出された 1998 年との比較では 27 年の都市部 1 人当たり可処分所得は 1992 年の約 7 倍 98 年の約 3 倍である ( 消費対 GDP 貢献 7 年来首超投資 8 年或有更大作用 中国証券報 28 年 1 月 3 日 CEIC DATA) 7 国有企業が集中した東北地域は 1998 年に本格的に始まった国有企業改革を背景に 大量の余剰労働者がレイオフされたこともあり 当時の 1 人当たり可処分所得は他の地域を下回る水準にあった 5

6 点 8 と比べ 中低所得地域 ( 省 直轄市 自治区 ) の同指標は 年間 1, 元台 (15 万円台 ) に上り 所得水準の均等化が進んでいる 図表 7 地域別都市部 1 人当たり年間可処分所得 (26 年 ) ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 )CEIC DATA より作成 (c) 世帯当り可処分所得都市部世帯当たり年間可処分所得を見ると ( 図表 8) 平均で 1998 年の 19,693 元 ( 約 28 万円 ) から 26 年には 37,277 元 ( 約 56 万円 ) となり 実質的には年平均 8% 増となっている 地域別に見ると ( 図表 9) 1998 年と比べ 各地域とも上昇傾向にあるが 5 万元 (75 万円 ) を超える上海市 広東省 北京市 浙江省といった地域もあれば 3 万元 (45 万円 ) 未満の四川省 ( 西部地域 ) や黒竜江省 ( 東北地域 ) といった地域もある もっとも 東部の上昇幅を超えて所得向上が進んでいる中西部都市もあり それらの都市の東部都市との所得格差は縮小傾向にある (d) 階層別可処分所得さらに 都市部世帯を最低所得層 (Lowest 都市部世帯の 1%) 低所得層 (Low 同 1%) 中低所得層 (Lower Middle 同 2%) 中所得層 (Middle 同 2%) 中高所得層 (Upper Middle 同 2%) 高所得者層 (High 同 1%) 最高所得層 (Highest 同 1%) に分けて 年間可処分所得を比較してみよう 上位 1% 層 ( 最高所得層 Highest) の 1 人当たり年間可処分所得は 1998 年の 1,962 元 ( 約 15 万円 ) から 26 年には約 2.9 倍の 31,967 元 (48 万円 ) になったのに対し 下位 1% 層 ( 最低所得層 Lowest) の 1 人当たり年間可処分所得は 2,477 元 ( 約 3 万円 ) から約 1.4 8 1998 年時点で 中西部都市 1 人当たり可処分所得は 4,~6, 元に止まり 高所得都市 (7,~8, 元台 ) とのギャップが大きい 2,668 元 8,871 元 5, 1, 15, 2, 25, 全体東部地域中部地域西部地域東北地域1上海市/東2北京市/東3浙江省/東4広東省/東5天津市/東6江蘇省/東7福建省/東8山東省/東重慶市/西湖南省/中遼寧省/東北内蒙古自治区/西河北省/東雲南省/西山西省/中広西壮族自治区/西河南省/中湖北省/中吉林省/東北安徽省/中江西省/中海南省/東四川省/西陜西省/西黒竜江省/東北寧夏自治区/西貴州省/西青海省/西西蔵自治区/西甘粛省/西新疆自治区/西..5 1. 1.5 2. 2.5 3. 26 年対 98 年比元倍

倍の 3,569 元 ( 約 5 万円 ) となり 最高 最低間の所得格差は 4 倍から 9 倍に拡大した 世帯当たり構成員数を 3 人として世帯当たり年間可処分所得を試算すれば 上位 1% 層の世帯当たり可処分所得は 32,886 元 ( 約 46 万円 ) から 95,9 元 ( 約 144 万円 ) に 下位 1% 層は 7,431 元 ( 約 1 万円 ) から 1,77 元 ( 約 16 万円 ) に増加した 3, 2, 1, 図表 8 都市部世帯当たり年間可処分所得とその実質伸び率の推移 元 % 8, 都市部平均 6 年 7, 上海上海市 :54,77 元 45 6, 北京北京市 :52,741 元実質年伸び率 ( 都市部平均 右目盛 ) 都市平均 :37,277 元 35 5, 4, 25 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 ( 資料 )CEIC DATA より作成 15 5-5 7, 6, 5, 4, 3, 2, 1, 全体図表 9 地域別都市部世帯当たり年間可処分所得 (98/6 年 ) 元 東部地域中部地域1998 年 26 年対 98 年比 ( 右目盛 ) 江西省/中遼寧省/東北寧夏自治区/西広東省/東福建省/東江蘇省/東広西壮族自治区/西河北省/東河南省/中湖北省/中四川省/西貴州省/西湖南省/中上海市/東内蒙古自治区/西西部地域西蔵自治区/西山西省/中山東省/東新疆自治区/西東北地域青海省/西雲南省/西安徽省/中吉林省/東北海南省/東重慶市/西浙江省/東陜西省/西天津市/東甘粛省/西北京市/東倍 3. 2.8 2.6 2.4 2.2 2. 1.8 1.6 1.4 1.2 黒竜江省/東北1. ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 )CEIC DATA より作成 最低所得層 (Lowest) の各年の1 人当たり年間可処分所得を 1 とし 他の階層との比率を見ると 8 年代後半には 階層別所得格差は 3 倍以下に抑えられていたが 9 年代に入 7

ると そのギャップは広がり始め 2 年以降 さらに拡大する傾向にある 特に上位 2% 層 (Highest+High) とのギャップが目立っている ( 図表 1) 上位 1% 層 (Highest) と各所得層 ( 都市部高所得層 (High) から最低所得層 (Lowest) まで ) との比率の変化を図表 11 で比べて見ると いずれの比率も 1998 年の 1.4~4.4 から 26 年の 1.7~9. に拡大したことが見て取れる 図表 1 都市部 1 人当たり年間可処分所得と階層別所得格差の推移 (lowest=1) ( 元 ) 1, Lowest( 右目盛 ) 4, Low 9 Lower Middle 3,5 Middle 8 Upper Middle High 3, 7 Highest 都市部平均 2,5 6 5 4 3 2, 1,5 1, 2 1 85 86 87 88 89 9 91 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 56 年 5 ( 注 )Lowest= 下位 1% Low=1% Lower Middle=2% Middle=2% Upper Middle=2% High=1% Highest= 上位 1% ( 資料 )CEIC DATA より作成 図表 11 都市部上位 1% 層と他の階層との所得格差 (98/6 年 ) 対 Lowest 比 ( 倍 ) 12 9 対 High 比 6 対 Low 比 3 対 Upper Middle 比 対 Lower Middle 比 98 年 6 年 対 Middle 比 ( 注 ) 都市部所得階層別 1 人当たり年間可処分所得で算出した ( 資料 )CEIC DATA より作成 8

b. 消費 (a) GDP に占める個人消費の割合 27 年中国の実質 GDP 成長率は 1996 年以降の最高となる 11.4% 9 に達しており GDP ベースの個人消費は 1998 年の 39,23 億元から 26 年にはその約 2 倍の 8,12 億元に増加した そのうち 都市部個人消費は 16,812 億元から 59,433 億元へ約 3.5 倍となり 個人消費全体に占める割合は 43% から 74% に上昇した また 27 年は個人消費の実質 GDP 成長率への寄与率が 21 年以来初めて固定資産形成の同寄与率を上回ったと見込まれている 1 GDP ベースの個人消費を地域別に見ると 東部都市は 1998 年の 7,823 億元から 26 年には約 4 倍の 3 兆 3,73 億元に 中部都市は 3,23 億元から約 3 倍の 1 兆 982 億元に 西部都市は 3,19 億元から約 3 倍の 1 兆 36 億元に 東北都市は 2,568 億元から約 2 倍の 5,19 億元になり 東部都市の急伸 中西部都市の堅調な拡大と東北部の伸び悩みが特徴として捉えられる 個人消費の対 GDP 比は 全国ベースでは 1998 年の 45% から 26 年には 36% に低下した 地域別でも 東部地域は 36% から 33% 中部地域は 45% から 4% 西部地域は 48% から 4% 東北地域は 44% から 32% へ いずれも低下を辿り 東北地域や西部地域の下げ幅が比較的に激しい もっとも 都市部だけを取り上げて見ると 東北都市の同比率は 31% から 25% に低下したが 東部都市は 19% から 26% 中部都市は 19% から 25% 西部地域は 22% から 26% へ むしろ小幅な上昇が見られた ( 図表 12) 従って 全国ベースで見た個人消費の対 GDP 比の低下は 主に農村部個人消費の伸び悩みによるものである 55 5 % 図表 12 地域別都市部域内総生産に占める個人消費の割合の推移 全国東部地域中部地域西部地域東北地域 % 7 6 5 全国東部都市中部都市西部都市東北都市 45 4 4 3 35 2 1 3 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 )CEIC DATA より作成 9 国家統計局は 28 年 4 月 1 日にその数字を 11.9% に上方修正した それによれば 27 年の GDP は 24 兆 9,53 億元 ( 約 37 兆円 ) となった 1 国家統計局が発表した速報値によれば 27 年の GDP は 24 兆 6,619 億元 ( 約 37 兆円 27 年 12 月末現在 1 元 =15 円 ) であり 個人消費 の寄与度は 4.4 ポイントで 固定資産形成 の寄与度 (4.3 ポイント ) をやや上回った ( 消費対 GDP 貢献 7 年来首超投資 8 年或有更大作用 中国証券報 28 年 1 月 3 日 ) 9

(b) 平均消費支出家計部門の消費水準を反映する 1 人当たり年間消費支出 は 都市部平均では 1998 年の 4,332 元 ( 約 6 万円 ) から 26 年にはその 2 倍の 8,697 元 ( 約 13 万円 ) に達し 実質的に年平均 9% 増で拡大している ( 図表 13) 11 図表 13 都市部 1 人当たり年間消費支出の推移 元 1, % 3 9, 6 年 :8,697 元 8, 25 7, 2 6, 98 年 :4,332 元 15 5, 4, 92 年 :1,672 元 1 3, 5 2, 1, 1 人当たり年間消費支出実質年伸び率 ( 右目盛 ) 92 94 96 98 2 4 6 年 ( 資料 )CEIC DATA より作成 (c) 地域別消費支出地域別に見ると 東部都市は 5,446 元から 2. 倍の 1,829 元 中部都市は 3,695 元から 2. 倍の 7,227 元 西部都市は 3,945 元から 1.8 倍の 7,233 元 東北部都市は 3,548 元から 2.1 倍の 7,332 元に拡大した ( 図表 14) GDP ベース個人消費が伸び悩んでいる東北都市の 1 人当たり年間消費支出はむしろ他の地域を上回るスピードで拡大している 東部都市と比べ 出稼ぎ労働者を中心とする農村部からの人口流入が少ないことが原因の1つとして考えられる 1998 年時点で消費水準が低かった東北部都市 12 は 26 年には中西部平均水準 ( 年間 7, 元前後 ) に達している ( 図表 15) 省 ( 直轄市 自治区 ) 別に見ると 東部都市が上位 1 省の大半を占めており 都市部消費市場のリード役となっている 一方 他の地域においては 1 人当たり年間消費支出は 26 年に 7, 元 ( 約 11 万円 ) に揃い始め 1998 年時点 13 と比べ 消費能力の増強とともに 地域間の消費水準の均等化が進んでいる 年間可処分所 11 日本の 27 年 ( 総世帯 ) 世帯当たり消費支出は 実質で前年比 1.2% 増である ( 家計調査報告 ~ 平成 19 年平均速報結果の概況について ( 要約 ) 総務省統計局 28 年 2 月 15 日 ) 12 国有企業が集中した東北地域では 1998 年に本格的に始まった国有企業改革により 大量のレイオフが発生し 同地域の所得低下に繋がったと考えられる 13 1998 年時点で 多くの中西部都市の 1 人当たり年間消費支出は 3,~4, 元で 東部都市 (5,~6, 元台 ) とのギャップが大きい 1

11 得 ( 図表 7) と比べ 年間消費支出の上昇幅 ( 対 98 年比 ) は各地域とも比較的に小さい 図表 14 地域別都市部 1 人当たり年間消費支出の推移 ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 )CEIC DATA より作成 図表 15 地域別都市部 1 人当たり年間消費支出 (26 年 ) ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 )CEIC DATA より作成 (d) 世帯当たり消費支出都市部世帯当たり年間消費支出は ( 図表 16) 平均で 1998 年の 15,724 元 ( 約 22 万円 ) から 26 年には 27,568 元 ( 約 41 万円 ) に達し 実質的に年平均 7% 増で拡大している 地域別に 26 年の水準を見ると ( 図表 17) 広東省は 4 万元台 (6 万円台 ) 北京市や上海市など 6 省 ( 直轄市 ) は 3 万元台 (45 万円台 ) その他の都市は 2 万元台 (3 万円台 ) となっている 東北地域の黒竜江省は 都市部世帯当たり年間消費支出が 2 万元を下回る水準にあり 同地域の遼寧省や吉林省と比較しても低い 世帯当たり年間消費支出は 1998 年から地域を問わず 拡大してきたが 一部の都市では 小幅な上昇に止まっている 6,193 元 14,825 元 4, 8, 12, 16, 2, 全体東部地域中部地域西部地域東北地域1北京市/東2上海市/東3浙江省/東4広東省/東5天津市/東6福建省/東7江蘇省/東重慶市/西山東省/東湖南省/中遼寧省/東北内蒙古自治区/西陜西省/西四川省/西湖北省/中雲南省/西吉林省/東北河北省/東安徽省/中寧夏自治区山西省/中海南省/東甘粛省/西貴州省/西広西壮族自治区/西新疆自治区/西河南省/中黒竜江省/東北江西省/中青海省/西西蔵自治区/西..5 1. 1.5 2. 2.5 3. 3.5 4. 26 年対 98 年比 ( 右目盛 ) 元倍 1,829 元 8,697 元 2, 4, 6, 8, 1, 12, 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年東部都市中部都市西部都市東北都市都市部平均元

中部地域安徽省/中吉林省/東北天津市/東湖北省/中湖南省/中甘粛省/西陜西省/西西蔵自治区/西山東省/東山西省/中内蒙古自治区/西寧夏自治区/西浙江省/東江西省/中江蘇省/東遼寧省/東北広西壮族自治区/西福建省/東重慶市/西四川省/西河北省/東河南省/中貴州省/西海南省/東雲南省/西新疆自治区/西東部地域青海省/西図表 16 都市部世帯当たり年間消費支出とその実質伸び率の推移 元 % 5, 6 年都市部平均北京市 :39,139 元 45, 上海上海市 :39,119 元北京 3 4, 都市部平均 :27,568 元実質年伸び率 ( 都市部平均 右目盛 ) 35, 3, 25, 2, 15, 1, 5, 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 ( 資料 )CEIC DATA より作成 2 1 図表 17 地域別都市部世帯当たり年間消費支出 (98/6 年 ) 元 6, 5, 4, 全3, 2, 1, 体26 年 1998 年対 98 年比 ( 右目盛 ) 西部地域広東省/東北京市/東東北地域上海市/東倍 4. 3.5 3. 2.5 2. 1.5 1..5 黒竜江省/東北. ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 )CEIC DATA より作成 (e) 階層別消費支出都市部世帯を所得階層別に見ると 上位 1% 層 ( 最高所得層 Highest) の 1 人当たり年間消費支出は 1998 年の 7,594 元 ( 約 11 万円 ) から 26 年には約 2.8 倍の 21,62 元 ( 約 32 万円 ) に 下位 1% 層 ( 最低所得層 Lowest) は 2,398 元 ( 約 3 万円 ) から約 1.4 倍の 3,423 元 ( 約 5 万円 ) となっている 最高 最低所得層間の消費格差は 3 倍から 6 倍に拡大しているが 所得格差の拡大幅 (4 倍から 9 倍へ ) よりは小さい 各階層の世帯当たり構成員数を 3 12

人と仮定し 世帯当たり年間消費支出を計算すると 最高所得層は 2 万 2,782 元 ( 約 31 万円 ) から約 2.8 倍の 6 万 3,186 元 ( 約 95 万円 ) 最低所得層は 7,194 元 ( 約 1 万円 ) から約 1.4 倍の 1 万 269 元 ( 約 15 万円 ) に拡大した 最低所得層 (Lowest 下位 1%) の1 人当たり年間消費支出を 1 とし 各階層との消費格差の推移を見ると ( 図表 18) 8 年代後半には 階層別消費格差はほぼ 3 倍以下に抑えられていたが 9 年代に入ると 格差が広がり 2 年以降は 急拡大している 特に上位 2% 層 (Highest+High) と下位 1% 層 (Lowest) との消費格差が顕著である 14 ( 図表 18) さらに 1 人当たり年間消費支出の上位 1% 層 (Highest) と各所得層 ( 都市部高所得層 (High) から最低所得層 (Lowest) まで ) との比率は 1998 年の 1.3~3.2 倍から 26 年には 1.6~6.2 倍へ拡大した ( 図表 19) もっとも 上位 1% 層 (Highest) と下位 1% 層 (Lowest) との拡大幅 (3 倍から 6 倍へ ) は 年間可処分所得の拡大幅 (4 倍から 9 倍へ 図表 11) より小さい 図表 18 都市部 1 人当たり年間消費支出と階層別消費格差の推移 (lowest=1) ( 元 ) 7 Lowest( 右目盛 ) 4, Low 6 Lower Middle 3,5 Middle Upper Middle High 3, Highest 5 都市部平均 2,5 4 2, 3 1,5 1, 2 5 1 85 86 87 88 89 9 91 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 ( 注 )Lowest= 下位 1% Low=1% Lower Middle=2% Middle=2% Upper Middle=2% High=1% Highest= 上位 1% ( 資料 )CEIC DATA より作成 14 26 年には 高所得層 (High) の消費支出の伸び悩みにより 同所得層との比率が大幅に低下した 13

図表 19 都市部上位 1% 層と他の階層との消費格差 (98/6 年 ) 対 Lowest 比 12 ( 倍 ) 9 対 High 比 6 対 Low 比 3 対 Upper Middle 比 対 Lower Middle 比 6 年 98 年 対 Middle 比 ( 注 ) 都市部階層別 1 人当たり年間消費支出で算出した ( 資料 )CEIC DATA より作成 (f) 階層別消費行動と階層間消費格差以下では 都市部家計の階層別消費行動には どのような変化があるかを食品と耐久消費財から確認しよう まず 日常生活に欠かせない食品の階層別 ( 都市部所得層を最低所得 ( 第 1 分位 ) から最高所得 ( 第 5 分位 ) まで 5 段階に分け 各所得層が全体の 2% を占める )1 人当たり年間消費量を見ると ( 図表 2) 穀物 は都市部平均では 24 年の 78.2 kg から 26 年は 75.9kg に低下している しかし 最高所得層 ( 第 5 分位 以下同じ ) は 68.6 kg から 7.5kg に増加する一方で 最低所得層 ( 第 1 分位 以下同じ ) は 82.5 kg から 78. kg に減少しており 最高 最低所得層間の比率は.8 倍から.9 倍へ上昇した これに対し 鶏肉など は 都市部平均では 24 年の 6.4kg から 26 年には 8.3kg に増えた そのうち 最高所得層は 8.2 kg から 1.5kg に増加 (28% 増 ) 最低所得層も 4.2 kg から 6.2kg(48% 増 ) に増加しており 最高 最低所得層間の比率は 2. 倍から 1.7 倍に低下した 所得向上に伴い 穀物のような 必需品 だけでなく 肉類などのような 贅沢品 にも消費格差の縮小 ( 最高 最低所得層間の比率が 1 に近づいていく傾向 ) が見られた 14

図表 2 都市部における主要食品の 1 人当たり年間消費量 (26 年 ) 平均 第 1 分位 第 2 分位 第 3 分位 第 4 分位 第 5 分位 第 5/ 第 1 穀物 (kg) 75.9 78. 78.2 76.7 75. 7.5.9 食用植物性油 (kg) 9.4 9. 9.6 9.8 9.4 8.9 1. 野菜 (kg) 117.6 17.9 116.1 121.2 123.7 12.9 1.1 卵 (kg) 1.4 8.8 1.4 1.9 11.2 11. 1.3 豚肉 (kg) 2. 17.4 19.4 2.6 21.4 21.9 1.3 牛羊肉 (kg) 3.8 2.8 3.7 4.1 4.3 4.2 1.5 鶏肉など (kg) 8.3 6.2 7.8 8.5 9.4 1.5 1.7 新鮮なミルク (kg) 18.3 1.9 16.3 19.1 22.3 25.2 2.3 魚 海老 (kg) 1.9 7.5 9.5 1.8 12.6 14.9 2. 果物 (kg) 6.2 4.6 54.8 63.4 69.8 78. 1.9 ( 注 )1. 所得者層は最低所得層 ( 第 1 分位 ) から最高所得層 ( 第 5 分位 ) まで 5 段階に分け 各所得層が全体 の 2% を占める 2.24 年の同数字は 中国の個人消費を支える家計部門 ~ 所得 消費 貯蓄 投資から捉えた実態 ~ ( みずほリポート 26 年 9 月 28 日 ページ 12 図表 15) を参照 ( 資料 ) 27 年中国統計年鑑 より作成 都市部 1 人当たり年間消費量を 1 とし 24 年と 26 年の階層別消費格差の変化を比べてみよう ( 図表 21) 各品目の階層別曲線は 右向きに開いたラッパの形状となっているが 品目が横軸の右になるほど 贅沢品 の性格が強い また 贅沢品 の性格が強い品目ほど 高所得層が全体平均 ( 縦軸 =1) を上回る量 (>1) を 低所得層が全体平均に至らない量 (<1) を消費している傾向にあり 最高 最低所得層間の開きも大きくなる 点線を 24 年 実線を 26 年とし それぞれの品目曲線を結び 24~26 年の変化を考察してみると 穀物や食用植物性油などの 必需品 の消費量は 各階層とも都市平均に収斂する傾向にある一方で 肉 魚 海老 果物などの 贅沢品 の消費量は 所得向上に伴い 都市平均を上回って増加している 26 年の都市部低所得層 ( 第 1 2 分位 ) の 1 人当たり 贅沢品 の年間消費量は 24 年と比べ 都市平均 (1) に回帰するようになっており 所得向上による消費拡大効果が相当大きい 都市部高所得層 ( 第 4 5 分位 ) の 1 人当たり 贅沢品 の年間消費量は 都市平均に接近するようになり 最高 最低所得層間の開きは 24 年から収斂する傾向にある 高所得層の 贅沢品 の割合低下は 1 低所得層の消費能力向上による都市部平均値の底上げ 2 高所得層の健康志向による食生活の見直し ( 消費支出品目が 贅沢品 から 穀物 に回帰 ) 3 贅沢品 の値上がりによる消費量の減少 などが原因として考えられる 15

15 13 11 9 7 5 3 穀物図表 21 食品消費における都市部階層別格差 (4/6 年 ) 点線 4 年実線 6 年 牛肉鶏肉など魚 海老豚肉果物食用植物性油新鮮な野菜卵ミルク各年都市部平均 =1 第 5 分位 (6 年 ) 第 5 分位 (4 年 ) 第 4 分位 (4 年 ) 第 4 分位 (6 年 ) 第 3 分位 (6 年 ) 第 3 分位 (4 年 ) 第 2 分位 (6 年 ) 第 2 分位 (4 年 ) 第 1 分位 (6 年 ) 第 1 分位 (4 年 ) ( 注 )1. 所得者層は最低所得層 ( 第 1 分位 ) から最高所得層 ( 第 5 分位 ) まで 5 段階に分け 各所得層が全体の 2% を占める 2. 階層別各食品の 1 人当たり年間消費量で算出した ( 資料 ) 中国統計年鑑 25 年 27 年 より作成 次に 26 年末の耐久消費財の普及状況を見てみよう 都市部における主要耐久消費財の世帯普及率 (1 世帯に占める所有台数 ) から 耐久消費財の品目を 3 つのグループに分けることができる ( 図表 22 の ( 注 )1) グループ1はすでに普及した耐久消費財( 携帯電話から冷蔵庫まで 世帯普及率 9% 以上の耐久消費財 ) であり 今後 こうした消費財は買い替え需要が期待できる グループ 2 は普及が進行している耐久消費財 ( エアコンから PC まで 世帯普及率 2~89% の耐久消費財 ) であり 家計の所得向上により 新規需要が期待できる グループ 3 はこれから普及し始める耐久消費財 ( ビデオカメラからピアノまで 世帯普及率 2% 未満の耐久消費財 ) であり 全面的な普及まではなお時間がかかる 地域別に見ると 普及格差が比較的に小さい耐久消費財は 洗濯機 冷蔵庫 固定電話であり 比較的に大きい耐久消費財は エアコンである 洗濯機 冷蔵庫 固定電話は 各地域が同水準の普及率を維持しながら普及している 24 年の水準から普及が大幅に進んだ耐久消費財は 1 携帯電話 (26 ポイント増 ) 2カラーテレビ (19 ポイント増 ) 3エアコン (18 ポイント増 ) 4PC(14 ポイント増 ) である また 26 年で普及水準が最も高い耐久消費財は 携帯電話 カラーテレビ 電子炊飯器である 15 15 24 年の地域別耐久消費財普及率は 中国の個人消費を支える家計部門 ~ 所得 消費 貯蓄 投資から捉 16

地域別普及率から捉えた特徴としては 1 東部都市のみグループ1の耐久消費財に エアコンが入っていること 2 東部都市はグループ 2 の耐久消費財の普及率も都市部平均を凌ぐ水準にあること などが挙げられる 中 西部都市の主要耐久消費財の普及率も 24 年から大幅に上昇したが 東部都市との普及格差は依然として大きい 地域間普及格差が最も大きい消費財は エアコンである エアコンの普及率は最高 ( 東部都市 ) 最低( 東北都市 ) 間で 119 ポイントの普及格差がある 所得格差に加え 気候 生活習慣 居住環境などがその理由として考えられる 一方 普及率が高水準にあり 地域間普及格差が最も小さい耐久消費財は洗濯機である 居住環境が改善し 共働きの割合が高い都市部世帯にとって 洗濯機はもはや日常生活に欠かせない耐久消費財となっている 世帯普及率が 1% を超えた携帯電話 カラーテレビ 電子炊飯器は 新製品の開発によって買い替え需要が喚起できる耐久消費財となっている 16 図表 22 地域別都市部における主要耐久消費財の世帯普及率 (26 年末 ) ピアノマイカービデオカメラ PC カメラ電子レンジ VDP 湯沸かし器エアコン冷蔵庫固定電話洗濯機電子炊飯器カラーテレビ携帯電話 所有台数 /1 世帯 グループ 3 グループ 2 グループ 1 2 4 6 8 1 12 14 16 18 都市部平均東部都市中部都市西部都市東北都市 ( 注 )1. 都市部平均で世帯普及率が 9% 以上はグループ 1 2~89% はグループ 2 2% 未満はグループ 3 と定義される 2.VDP は Visual Disk Player PC は Personal Computer を指す ( 資料 ) 中国統計年鑑 27 年 より作成 えた実態 ~ ( みずほリポート 26 年 9 月 28 日 ページ 13 図表 17) を参照 16 26 年の農村部家計の世帯普及率は 携帯電話 62%( 東部 98% 中部 71% 西部 57% 東北部 73%) カラーテレビ 89%( 東部 114% 中部 9% 西部 84% 東北部 12%) となっている ( 27 年中国統計年鑑 国家統計局 27 年 9 月 ) 17

湯沸かし器冷蔵庫ビデオカメラ固定電話洗濯機パソコンカメラカラーテレビエア帯電話コン階層別主要耐久消費財の普及率を見ると ( 図表 23 左) 26 年末現在 各所得階層間で平均的に普及しているのは携帯電話 カラーテレビ 洗濯機 固定電話 冷蔵庫である また 普及率にバラツキがあるのは エアコン カメラ パソコンである 低所得層でも携帯電話の世帯普及率は 24 年の 3% 台から 26 年には 1% 近くまで上昇した 一方 ビデオカメラやマイカーは 都市部上位 2% 層から普及が始まっているが 他の耐久消費財と比べ 世帯普及率は極めて低い水準にある 主な耐久消費財を取り上げてさらに世帯普及率の上昇幅を比較してみると ( 図表 23 右 ) 26 年末現在で 1998 年より 携帯電話は都市部平均では 15 ポイント 階層別では 93 ~195 ポイント上昇している カラーテレビは前者 32 ポイント 後者 22~47 ポイント 冷蔵庫は前者 16 ポイント 後者 13~17 ポイント 洗濯機は前者 6 ポイント 後者 5~7 ポイント上昇した これに対し カメラは 都市部平均で 12 ポイント 階層別では-3~34 ポイント変動しており 中高所得層を中心に普及が緩やかに進んでいる つまり 携帯電話 カラーテレビ 洗濯機 冷蔵庫といった耐久消費財は 都市部世帯の欠かせない 必需品 になっている一方で カメラやマイカーは 高所得世帯が保有する 贅沢品 に止まっている 25 2 15 携( 所有台数 /1 世帯 ) 図表 23 都市部における階層別耐久消費財の世帯普及率 (26 年末 ) ( 世帯普及率の上昇幅 98/6 年 ) 25 2 1 5 マイカー第 1 分位第 2 分位第 3 分位第 4 分位第 5 分位都市部平均 15 1 5 都市平均第 1 分位第 2 分位第 3 分位第 4 分位第 5 分位 携帯電話カラーテレビ冷蔵庫カメラ洗濯機 ( 注 ) 所得者層は最低所得層 ( 第 1 分位 ) から最高所得層 ( 第 5 分位 ) まで 5 段階に分け 各層が全体の 2% を占める ( 資料 ) 中国統計年鑑 25 年 27 年 より作成 さらに 都市部耐久消費財の世帯普及率を 1 とし 24 年と 26 年の階層別普及格差の変化を見てみよう ( 図表 24) 各消費財を結んだ階層別曲線は 右向きに開いたラッパの形状となっているが 食品消費量で見た形とやや異なっている ( 図表 21) 食品消費量の曲線と同様に 横軸は右になるほど 贅沢品 の性格が強い 贅沢品 の性格が強いほど 高所得層が全体平均 ( 縦軸 =1) を上回る普及水準 (>1) 低所得層が全体平均に至らない普及水準 (<1) にあり 最高 最低所得層間の開きも大きくなる 点線を 24 年 実線を 26 年とし 期間内変化を見ると 所得向上に伴い 都市生活ではすでに 必需品 と 18

携帯電話固定電話ピアノVDPPCカメラ濯機イカー各年都市部平均 =1 オカメラかし器レンジコンなっているカラーテレビ 洗濯機 冷蔵庫 固定電話 電子炊飯器は 普及率の階層間の均等化が進んでいる ( 縦軸 =1 に収束している ) これらの耐久消費財より右側にある携帯電話 パソコン エアコンは 中所得層 ( 第 3 分位 ) まで普及が進んでいるが 低所得層 ( 下位 2%) の一部にとってまだ手の届かない高額耐久消費財である もっとも 所得向上により 低所得層 ( 下位 2% 層 ) の携帯電話 パソコン エアコンなどの世帯普及率の対都市平均比は 24 年と比べ 26 年は小幅ながら 1 に近づいている 中低所得層 ( 第 2 3 分位 4% 層 ) への普及が都市部平均水準を底上げる効果もあり 高額耐久消費財 ( 携帯電話より右側にあるもの ) の高所得層 ( 第 4 5 分位 4% 層 ) の世帯普及率の対都市部平均比は 24 年から大幅に下方シフトし 都市平均 (1) に近づいている つまり 食品消費量と同様に 耐久消費財で見た所得階層間の普及格差も縮小する傾向にある 図表 24 都市部における耐久消費財普及の階層別格差 (4/6 年 ) 45 点線 4 年実線 6 年 第 5 分位 (4 年 ) 4 35 第 5 分位 (6 年 ) 3 25 2 15 第 4 分位 (4 年 ) 5 1 5 洗電子炊飯器冷蔵庫カラーテレビ湯沸電子エアビデマ第 4 分位 (6 年 ) 第 3 分位 (6 年 ) 第 3 分位 (4 年 ) 第 2 分位 (6 年 ) 第 2 分位 (4 年 ) 第 1 分位 (6 年 ) 第 1 分位 (4 年 ) ( 注 )1. 所得階層は最低所得層 ( 第 1 分位 ) から最高所得層 ( 第 5 分位 ) まで 5 段階に分け 各層が全体の 2% を占める 2. 階層別各耐久消費財の世帯普及率で算出した 3.VDP は Visual Disk Player PC は Personal Computer を指す ( 資料 ) 中国統計年鑑 25 年 27 年 より作成 (g) 地域別消費構造の変化都市部家計の消費支出の増加に伴い 消費構造 ( 項目別消費支出の割合 ) にも変化が見られた 1 人当たり消費支出を 8 つの費目 (1 食料 2 被服及び履物 3 住居 光熱 水道 4 家具 家事用品 5 交通 通信 6 保健 医療 7 教育教養 娯楽 8その他 ) に分類し 1998 年と 26 年の都市部家計の消費パターン ( 消費支出額に占める各費目の割合 ) の変化 19

を見てみよう 1 人当たり消費支出に占める食料の割合は エンゲル係数と呼ばれている エンゲル係数の高低は 他の費目への支出をどの程度まで拡大することができるかを示している 都市部のエンゲル係数は 1998 年の 44.5% から 26 年には 35.8% に低下している ( 図表 25) 所得階層別に見ると 26 年の都市部の上位 2% 層のエンゲル係数は 27.3% まで低下したが 下位 2% 層は 46.3% に高止まっている 下位 2% 層は食品支出の割合が高いことから 耐久消費財への消費支出が拡大しにくい状態にある 地域別に見ると 東部都市のエンゲル係数は 1998 年の 45.3% から 26 年には 35.1% 中部都市は 45.3% から 36.7% 西部都市は 44.6% から 37.4% 東北部都市は 44.7% から 35.3% にいずれも低下した 26 年時点において東部 東北部都市は都市部平均を下回り 中西部都市はそれを上回る状況にある 図表 25 地域別都市部消費パターンの変化 (98/6 年 ) 中国都市部 % 2% 4% 6% 8% 1% 1998 年 26 年 26 年上位 2% 層中位 2% 層下位 2% 層 ( 東部 )1998 年 26 年 ( 中部 )1998 年 26 年 ( 西部 )1998 年 26 年 ( 東北部 )1998 年 26 年 26 年日本食料住居 光熱 水道家具 家事用品被服及び履物保健医療交通 通信教育 教養娯楽その他 ( 注 )1. 地域定義は脚注 3 を参照 ここでは 都市部のみ対象とする 2.24 年地域別耐久消費財普及率は 中国経済における個人消費の行方 ~98 年以降の消費実態と 215 年までの見通し ( みずほリポート 26 年 4 月 13 日 ページ 6 図表 6) を参照 但し 地域定義はやや異なっている ( 資料 ) 中国統計年鑑 1999 年 27 年 CEIC DATA より作成 1 人当たり消費支出に占める割合が低下しているのはエンゲル係数だけではない 被服及び履物 と耐久消費財への支出などを含む 家具 家事用品 の割合も低下した 前者の都市部平均は 1998 年の 11.1% から 26 年には 1.4% に 後者は 8.2% から 5.7% に低下した 26 年の都市部上位 2% 層の同比率は 前者は都市部平均を下回る 9.3% となり 後者はそれを上回る 6.7% となった 一方 下位 2% 層は前者 8.4% 後者 4.1% となり 高 2

所得層よりかなり低い水準に止まっている 被服及び履物 の 1 人当たり消費支出に占める割合を地域別に見ると 東部都市は 1998 年の 8.9% から 26 年には 8.7% 西部都市は 12.% から 11.4% 東北都市は 14.7% から 12.4% に低下し 中部都市は 11.8% から 12.2% にやや上昇した エンゲル係数の低い東部都市は 被服及び履物 の割合も他の地域より低い 家具 家事用品 の 1 人当たり消費支出に占める割合を地域別に見ると 東部都市は 1998 年の 9.3% から 26 年には 5.8% 中部都市は 7.1% から 5.9% 西部都市は 7.9% から 5.9% 東北都市は 6.4% から 4.5% に いずれも低下した 一方 消費支出に占める割合が上昇しているのは 1 交通 通信 2 保健 医療 3 教育教養 娯楽 4 住居 17 光熱 水道 である 1 人当たり消費支出に占める 交通 通信 の割合は 都市部平均で 1998 年の 5.9% から 26 年には 13.2% に倍増した 26 年の階層別同割合を見ると 都市部上位 2% 層は 2.5% 中位 2% 層は 1.9% 下位 2% 層は 7.5% となっており 所得水準がその割合の高低を決める要因となっている 地域別同割合を見ると 東部都市は 1998 年の 6.3% から 26 年には 14.9% 中部都市は 5.5% から 1.8% 西部都市は 5.8% から 11.6% 東北都市は 5.3% から 1.4% に いずれも大幅な上昇を見せている その背景には 携帯電話の普及による通信費の支出増 18 がある 1 人当たり消費支出に占める 保健 医療 の割合は 同期間に都市部平均で 4.7% から 7.1% に上昇した 26 年の階層別同割合を見ると 都市部上位 2% 層は 6.2% 中位 2% 層は 7.5% 下位 2% 層は 6.9% に上昇している 地域別同割合を見ると 東部都市は 1998 年の 4.3% から 26 年には 7.% 中部都市は 4.2% から 7.1% 西部都市は 5.1% から 6.9% 東北都市は 6.1% から 9.4% に上昇している その背景には医療費の高騰と高所得層の健康志向の強まりがある 19 1 人当たり消費支出に占める 教育教養 娯楽 の割合は 同期間に都市部平均で 11.5% から 13.8% に上昇した 26 年の階層別同割合を見ると 都市部上位 2% 層は 15.1% 中位 2% 層は 13.3% 下位 2% 層は 11.9% となっている 地域別同割合を見ると 東部都市は 1998 年の 11.8% から 26 年には 14.6% 中部都市は 12.% から 13.4% 西部都市は 11.6% から 12.9% 東北都市は 9.9% から 11.8% に 小幅ながら上昇している 同割合上昇の背後には 1 学費の値上がりなどによる教育費の支出増 2 所得向上による娯楽費の支出増 がある 2 17 住居費とは家賃と建築用材料である 家賃は持ち家の帰属家賃を含まない 建築用材料は内装工事費や住宅改装費がある 家計調査において住宅購入費は消費支出から除かれている 18 都市部 1 人当たり年間通信費は 1998 年の 142 元から 26 年には 28% 増の 54 元となった そのうち 東部都市は 188 元から 252% 増の 661 元 中部都市は 116 元から 38% 増の 473 元 西部都市は 124 元から 282% 増の 474 元 東北都市は 19 元から 294% 増の 429 元に上昇した 19 都市部 1 人当たり年間保健医療費は 1998 年の 25 元から 26 年には 148% 増の 621 元になった そのうち 東部都市は 235 元から 22% 増の 754 元 中部都市は 157 元から 225% 増の 51 元 西部都市は 199 元から 153% 増の 53 元 東北都市は 215 元から 221% 増の 691 元に上昇した 2 都市部 1 人当たり教育費は 1998 年の 275 元から 26 年には 123% 増の 612 元になった 東部都市は 33 21

1 人当たり消費支出に占める 住居 光熱 水道 ( 住宅関連支出を含む ) の同割合は 同期間に都市部平均で 9.4% から 1.4% 21 に上昇した 26 年の階層別同割合を見ると 都市部上位 2% 層は 1.4% 中位 2% 層は 1.1% 下位 2% 層は 12.5% に 上昇している 地域別同割合を見ると 東部都市は 1998 年の 9.3% から 26 年には 1.3% 中部都市は 9.7% から 1.7% 西部都市は 8.2% から 1.2% 東北都市は 8.9% から 12.% に上昇が見られた その背景には光熱費の支出増がある 1998 年以降の住宅制度改革 22 を背景に新築住宅の内装などを含む住宅関連消費支出は年々拡大している 23 が その 1 人当たり消費支出に占める割合は 1998 年の 4.% から 26 年には 3.3% にむしろ低下している 26 年末現在 都市部家計の消費構造には 以下の特徴が見て取れる それは 1 最も豊かな階層 ( 都市部所得上位 2%) のエンゲル係数は 27% に低下し 日本の高度成長期の同指標 (31% 台 ) を下回るようになった ( もっとも 26 年の日本 ( 全世帯平均 23%) と比べ やや高い ) 2 都市部平均の 交通 通信 保健 医療 教育教養 娯楽 住宅 光熱 水道 といった 4 費目の消費支出に占める割合は 合計で 45% となり 現在の日本と同じ水準 (45%) にあり 上位 2% 層はさらに 52% まで高まっている ( 図表 26) などである 元から 132% 増の 765 元 中部都市は 27 元から 89% 増の 51 元 西部都市は 236 元から 1% 増の 473 元 東北都市は 219 元から 126% 増の 496 元といずれの地域でも増加している 都市部 1 人当たり娯楽費は 1998 年の 224 元から 26 年には 123% 増の 591 元になった 東部都市は 31 元から 162% 増の 812 元 中部都市は 173 元から 164% 増の 457 元 西部都市は 219 元から 19% 増の 457 元 東北都市は 133 元から 176% 増の 367 元に上昇した 21 1995 年時点では 7.1% である ( 成思危 中国城鎮住房制度改革 目標模式与実施難点 民主与建設出版社 1999 年 1 月 ) 22 住宅制度改革 は 主に 1 国有企業などが賃貸住宅 ( 福祉住宅 ) を低家賃で提供する制度を廃止し 代わりに住宅補助金を支給する 2 福祉住宅の家賃は住宅建設コスト及びリフォーム費用に見合うレベルまで引き上げる 3 既存の福祉住宅の払い下げを推進する 4 住宅金融制度を整備し 個人のマイホーム取得を促進する などを軸に推進されている ( 劉家敏 急成長を見せた中国都市部の住宅投資 国際金融 23 年 2 月 1 日 ) 23 都市部 1 人当たり年間光熱費は 1998 年の 235 元から 26 年には 569 元に 142% 増となった 東部都市は 293 元から 632 元 (116% 増 ) 中部都市は 191 元から 52 元 (163% 増 ) 西部都市は 186 元から 49 元 (163% 増 ) 東北都市は 214 元から 633 元 (196% 増 ) に上昇した 一方 都市部 1 人当たり年間住居関連費用は 1998 年の 173 元から 26 年には 285 元に 65% 増となった 東部都市は 213 元から 418 元 (96% 増 ) 中部都市は 165 元から 239 元 (45% 増 ) 西部都市は 136 元から 27 元 (52% 増 ) 東北都市は 12 元から 221 元 (117% 増 ) に上昇した 22

図表 26 地域別都市部 1 人当たり消費支出に占める 4 費目の割合 (98/6 年 ) 地域 交通 通信保健 医療教育教養 娯楽住居 光熱 水道 1998 年 26 年 1998 年 26 年 1998 年 26 年 1998 年 26 年 中国都市部 ( 平均 ) 5.9 13.2 4.7 7.1 11.5 13.8 9.4 1.4 全体平均 6.3 14.9 4.3 7. 11.8 14.6 9.3 1.3 東部都市 最高 9.1 19.3 5.9 1. 13.8 17. 12.9 13. 最低 4.7 1.4 3.1 5.2 9.1 11.1 7.6 8.2 全体平均 5.5 1.8 4.2 7.1 12. 13.4 9.7 1.7 中部都市 最高 6.3 11.8 6. 8.2 14.7 14.5 11.9 11.6 最低 4.2 9. 2.8 5.4 9.4 11.9 7.2 1.2 全体平均 5.8 11.6 5.1 6.9 11.6 12.9 8.2 1.2 西部都市 最高 6.8 14.6 8.2 8.3 12.8 16.9 12.9 12.2 最低 4.8 1.1 3.1 3.6 9.3 5.8 5.6 7.9 全体平均 5.3 1.4 6.1 9.4 9.9 11.8 8.9 12. 東北部都市 最高 5.6 11.1 7.4 9.6 1.4 12.7 9.5 13.4 最低 5.2 1. 5.2 9.1 9.6 1.7 8.3 11.3 日本 ( 全国平均 ) 1.6 12.8 3.4 4.4 14.3 14.5 12.6 13.8 ( 注 ) 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 ) 中国統計年鑑 1999 年 26 年 CEIC DATA より作成 4 費目の消費支出に占める割合変化を地域別に比較してみると 消費支出に占める 交通 通信 の割合は 26 年時点で最高地域は 19.3%( 東部都市 ) 最低地域は 9.%( 中部都市 ) となっており 1998 年の最高 (9.1%) 最低(4.2%) から大幅に上昇した その背景には通信費支出の急増がある 通信手段の近代化により 携帯電話やインターネットなどは中国都市部家計の日常生活に欠かせないものとなっている 26 年時点で日本の同割合 ( 全国平均 ) と比べ 東部都市に限らず 中 西部都市もかなり高い水準に達していると言えよう 一方 消費支出に占める 保健 医療 の割合は 26 年時点で最高地域は 1.%( 東部都市 ) 最低地域は 3.6%( 西部都市 ) となっており 1998 年と比べ 最高 最低間のギャップが広がっている 医療サービスの値上がりが進行している中で 高所得層の健康志向の高まりによる支出増と低所得者層の治療放棄による支出減が同時に進行している 26 年現在 消費支出に占める 保健 医療 の割合は都市部平均では 日本の高度成長期 (1953 年の 2.2% から 1971 年の 2.6% へ ) の水準を超え 26 年の同指標 (4.4%) よりも約 3 ポイント高い また 消費支出に占める 教育教養 娯楽 の割合は 26 年時点で最高地域は 17.%( 東部都市 ) 最低地域は 5.8%( 西部都市 ) となっており 1998 年と比べ 最高 最低間のギャップは 6 ポイントから 11 ポイントに広がった 所得 消費格差の拡大に伴い 都市部世帯においても 教育サービスやライフスタイルの差別化が進み 教育教養 娯楽 支出割合に顕著な違いが生じている ちなみに 日本では 消費支出に占める 教育教養 娯楽 の割合は高度成長期には 1953 年の 8.1% から 1971 年の 11.9% へ上昇した 26 年現在では 14.5% となっている 消費支出に占める 住居 光熱 水道 の割合は 26 年時点で最高地域は 13.4%( 東北部都市 ) 最低地域は 7.9%( 西部都市 ) となっており 1998 年と比べ 最高 最低間のギャップは 7 ポイントから 6 ポイントに縮小した 1998 年以降のマイホーム促進策の下で 住 23

居関連支出の割合は 現在の日本とほぼ同じ水準にまで上昇してきた c. 貯蓄 (a) 家計預金残高中国の家計部門の預金残高は 1978 年の 211 億元から 27 年末には 17 兆 2,534 億元に 年平均 28% 増で急伸している ( 図表 27) そのうち 都市部家計の預金残高は 全家計部門預金残高の 96% を占める 16 兆 3,251 億元 24 に達し 内需拡大政策が打ち出された 1998 年時点の約 3 倍となった 前述の都市部世帯数で試算すると 都市部世帯当たり預金残高は平均で 8 万 4, 元になる 地域別に見ると ( 図表 28) 東部都市 1 万 3, 元 中部都市 6 万 4, 元 西部都市 7 万 1, 元 東北都市 7 万 2, 元となっており 東部都市の平均水準が高い 省 ( 直轄市 自治区 ) 別に見ると 北京市は 17 万 2, 元で最も高く 続いて上海市 14 万 4, 元 広東省 12 万 6, 元 重慶市 12 万 4, 元 山西省 11 万 2, 元で これらが全国の上位 5 省 ( 直轄市 ) となっている 貴州省の同指標は 5 万 5, 元で最も低く トップの北京市の 3 分の 1 に及ばない水準にある 図表 27 都市部家計の預金残高の推移 億元 18, 16, 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 年末預金残高 ( 全家計部門 ) 都市部 全家計 :17 兆 2,534 元都市部 :16 兆 3,251 元 78 79 8 81 82 83 84 85 86 87 88 89 9 91 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 67 年 ( 注 ) 都市部預金残高には 農村からの出稼ぎ労働者などが都市部銀行に預ける預金なども含まれていることから 本図表の数字が都市部家計の貯蓄状況を正確に反映していない可能性はある ( 資料 )CEIC DATA より作成 しかし 上述の世帯当たり預金残高は あくまでも単純計算で得られた平均値であり 預金の 8 割を 2 割の都市人口が所有している 25 という先行研究をもとに 都市部世帯数 (1 億 9,571 万世帯 ) で試算してみると 都市部上位 2% 層 ( 約 3,914 万世帯 ) の世帯当たり預金残高は 35 万元に達し 他の都市世帯 ( 約 1 億 5,659 万世帯 ) の平均水準 ( 約 2 万元 ) の約 18 倍 24 農村からの出稼ぎ労働者などを含む居住者ベースの数字である 25 通脹在隠患従細節凸現 金融投資報 26 年 6 月 19 日 24

25 となる 図表 28 地域別都市部世帯当たり平均預金残高 (26 年末 ) ( 注 )1. 都市部家計全体の預金残高は地域別合計値である 2. 図表 27 の ( 注 ) を参照 3. 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 ) 中国人民銀行貨幣政策分析小組 26 年中国区域金融運行報告 中国金融出版社 27 年 8 月より作成 (b) 家計貯蓄率中国の家計貯蓄率 26 は全国平均では 1992 年の 16.7% から 1999 年には 24% に上昇したが その後 横ばいで推移し 26 年は 25% となり やや上向きになっている ( 図表 29 左 ) そのうち 都市部家計貯蓄率は 全国平均の家計貯蓄率より高く 1992 年の 28% から 1994 年には 4% に上昇したが 1998 年には 22% に低下し 2 年から再び上向きに転じ 26 年は 32% と上昇傾向が続いている 地域別に見ると ( 図表 29 右 ) 1992 年から 26 年にかけて 東部都市は 3% から 34% 中部都市は 29% から 34% 東北都市は 25% から 31% に上昇したが 西部都市は 3% から 27% にむしろ低下した 東 中 東北部の都市が比較的に高い水準にある 西部より経済的に豊かになったこれらの地域は 所得水準が高まっても 社会保障制度が十分に整備されていないため 家計貯蓄率が下がりにくい状態にある ちなみに 日本の家計貯蓄率は 9 年代後半まで 1% を上回る水準で推移していたが 2 年以降 1% 割れとなり 26 年には 3.2% と低下が続いている 27 また アメリカの家計貯蓄率は 8~9 年代には 5% 26 家計調査データで算出した家計の黒字率である 家計貯蓄率 = 黒字 (1 人当たり年間可処分所得 1 人当たり年間消費支出 ) 1 人当たり年間可処分所得 27 内閣府が発表した 26 年度の国民経済計算によると 同年度の家計貯蓄率は 3.2% と 24 年度の 3.4% 2, 4, 6, 8, 1, 12, 14, 16, 18, 2, 全体東部都市中部都市西部都市東北都市1北京市/東2上海市/東3広東省/東4重慶市/西5山西省/中6浙江省/東7天津市/東8河北省/東9新疆自治区1江蘇省/東陜西省/西遼寧省/東北西蔵自治区/西甘粛省/西福建省/東寧夏自治区/西河南省/中海南省/東雲南省/西四川省/西山東省/東青海省/西吉林省/東北黒竜江省/東北広西壮族自治区/西江西省/中湖北省/中湖南省/中内蒙古自治区/西安徽省/中貴州省/西 5 1 15 2 25 世帯当たり預金残高前年比伸び率 ( 右目盛 ) 元 %

を下回る水準にまで低下が続き 24 年に 1.8% 27 年にはさらに.4% に低下した 28 日本やアメリカと比べ 中国都市部の家計貯蓄率が如何に高い水準にあるかが分かる 図表 29 都市部家計貯蓄率の推移 45 % % 45 4 35 都市平均 4 35 3 3 25 25 2 15 1 5 全国平均 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 2 15 1 5 東部都市中部都市西部都市東北都市都市平均全国平均 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 ( 注 )1. 家計貯蓄率 = 黒字 (1 人当たり年間可処分所得 1 人当たり年間消費支出 ) 1 人当たり年間可処分所得 2. 地域定義は脚注 3 を参照 ( 資料 ) 中国統計年鑑 ( 家計調査データ ) より作成した 中国の家計貯蓄率はなぜ高いか について 数多くの経済学者が実証分析に努めている 彼らが発表した結果によれば 1 都市部の高齢化や少子化の進行による老後生活に対する不安の増幅 (Wakabayashi,Mackellar(1999)) 2 計画経済から市場経済へ移行する過程に生じた社会保障制度の欠如による予備的な貯蓄動機の増強 ( 袁志剛 宋錚 (2)) 3 持続的な高成長を前提とした高い投資収益に対する過剰期待 29 ( 王弟海 龔六堂 (27) などが原因として挙げられる (c) 階層別家計貯蓄率階層別都市部家計貯蓄率を見ると ( 図表 3) 上位 1% 層 ( 最高所得者層 Highest) の同比率は 1985 年の 9% から 26 年には 34% に上昇したのに対し 下位 1% 層 ( 最低所得者層 Lowest) は 1997 年にマイナスからプラスに転じた後 21 年から 25 年までは ゼロに近い水準で推移していたが 26 年には 4% と低水準ながら上昇している ( 低所得層 (Low) も同様な傾向が見られた ) もっとも 最高 最低の開きは 1985 年の 13 倍から 26 年には 3 倍に広がっている 階層別に推移を見ると 都市部家計貯蓄率は 高所得層によって押し上げられてきたと言えよう を下回り 1996 年度に現基準に改定されて以来 最低となった 急速な高齢化や賃金の伸び悩みが背景にあり 現基準でピークだった 1997 年度の 11.4% から 1 年経たずに 3 分の 1 以下の水準まで低下している ( 毎日新聞 28 年 1 月 8 日 ) 28 日本 米国並み低貯蓄時代に 日本経済新聞 28 年 5 月 8 日 29 余剰資金が投資に回され 結果として当期消費の抑制と貯蓄率の上昇が生じたと考えられる 26

図表 3 所得階層別都市部家計貯蓄率の推移 % 4 35 3 25 2 15 1 5-5 -1 Lowest Lower Middle Upper Middle Highest Low Middle High -15 85 86 87 88 89 9 91 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 ( 注 ) 階層別家計貯蓄率 = 各階層の黒字 (1 人当たり年間可処分所得 1 人当たり年間消費支出 ) 各階層の 1 人当たり年間可処分所得 ( 資料 )CEIC DATA より作成 (d) 世帯当たり金融資産残高貯蓄率の高まりに伴い 家計の金融資産残高は増加している 金融資産には 手持ち現金 預金 債券 株式 保険などがある 中国では 金融資産に関する家計調査は 27 年から開始されているが 現段階では利用できるデータがないため ここでは 家計の金融資産を預金 有価証券 保険のみと仮定し 発表されている 都市部家計の年末預金残高 流通株の年末時価総額 未償還債券の年末残高 年間保険料 を用いて都市部世帯当たり金融資産残高を試算した 3 これにより 都市部世帯当たり金融資産平均残高は( 図表 31) 1991 年末の 1 万元台から 26 年末には 8 万台 ( 約 12 万円 ) となり 上昇傾向にある このうち 世帯当たり株式平均保有額は 1991 年末のほぼゼロから 26 年末には 6,391 元 同様に債券保有額は 35 元から 4,823 元に増加した 金融資産に占める預金の割合は 94% から 85% に低下したのに対し 株式は 1991 年の.1% から 2 年の 11% をピークに 25 年は 4% まで低下した後 26 年下半期からの株価急騰を背景に 7% に再び上昇した ( 図表 32) 債券は金融資産の 5% を占めるようになった ちなみに 26 年末の日本の貯蓄保有世帯の世帯当たり金融資産残高は 平均で中国都市部家計の 11 倍に相当する 1,488 万円である その構成比を見ると 預貯金は 39% 債券は 2% 株式は 9% 投資信託は 5% となっている 日本と比較し 中国の都市部家計は 有価証券の割合はほぼ同じ水準にあるが 3 各種の資料より 都市部家計が流通株時価総額の 5 割 未償還債券の 3 割 保険料の 9 割を占めていると仮定して算出した 27

保険の割合が日本 (24% 31 ) を大きく下回り 金融資産の 85% が預金として保有されているという特徴が捉えられよう 図表 31 都市部世帯当たり金融資産平均残高の推移 元元 9, 7, 預貯金 8, 株式 ( 右目盛 ) 6, 債券 ( 右目盛 ) 7, 保険 ( 右目盛 ) 5, 6, 5, 4, 4, 3, 2, 1, 91 92 93 94 95 96 97 98 99 1 2 3 4 5 6 年 3, 2, 1, - ( 注 ) 都市部世帯当たり預貯金 = 都市部家計の預金残高 ( 人民元建て 全金融機関 ) 都市部世帯数 都市部世帯数 = 都市部人口 都市部世帯の構成員数 ( 資料 )CEIC DATA より作成 図表 32 都市部世帯当たり金融資産平均残高の構成比の推移 預金株式債券保険 6 年 5 4 3 2 1 99 98 97 96 95 94 93 92 91 85% 7% 5% 3% 11% % 2% 4% 6% 8% 1% 1% ( 注 ) 都市部家計が流通株 ( 時価総額 ) の 5 割 債券 ( 未償還残高 ) の 3 割 保険 ( 年間保険料 ) の 9 割を保有していると仮定 ( 資料 )CEIC DATA より作成 31 27 年末現在 日本の貯蓄保有世帯の金融資産残高は 平均で 1,624 万円である そのうち 預貯金は 39% 債券保有は 4% 株式は 8% 投資信託は 6% 各種の保険は 24% を占めている ( 平成 19 年家計の金融行動に関する世論調査 (2 人以上世帯調査 ) 金融広報中央委員会 28 年 2 月 27 日 http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/yoron27fut/hist.html) 28

1 人当たり可処分所得貯蓄GDP消費構造3. 都市部家計の投資行動経済成長と家計部門の所得 消費 貯蓄 投資との関係を図表 33 で整理した 流れとしては 1 経済成長が続くと 所得分配により家計部門の賃金収入が増加し 社会保障制度からの移転収入が加わり 可処分所得が形成される 2 所得向上に伴い 家計部門の消費支出も次第に拡大していく 3 消費支出増は GDP ベース個人消費 ( 内需の一部 ) の拡大につながり 経済成長率をさらに加速することとなる ( 右ルート ) 一方 可処分所得から消費支出を差し引いたものは 貯蓄となる 4 家計部門の消費性向 ( 換言すれば 貯蓄率 ) によって貯蓄額が決められる 5 次期消費に回される貯蓄は 家計の投資行動によって 預金や有価証券などの金融資産 あるいは 不動産などの実物資産の形態で保有され 家計部門の資産形成に寄与する 6 一定の金利水準の下で 運用実績によって利息や配当といった資産性所得が得られる 7 資産性所得は最終的に 可処分所得の一部となる ( 左ルート ) 中国都市部家計の資産残高は どのように形成されているか また 資産構成に占める株式の割合はどのような水準にあるか などについて十分な統計資料が発表されておらず 実態究明が課題となっている 図表 33 都市部家計の貯蓄 消費 投資 ( 概念図 ) 不動産など経済成長 社会保障制度 資産性所得 銀行預金有価証券金利水準 金融資産 投資行動雇用状況 賃金収入や移転収入 実物資産 消費行動1消費性向 ベース個人消費消費左ルート 右ルート 人当たり消費支出( 注 )1. 可処分所得とは 所得から所得税などを差し引いたものである 2. 家計部門の資産残高には 銀行預金 有価証券 不動産のほか 現金 保険 投資信託などもあるがここでは省略した 北京 上海など 12 都市で行われた 投資家行動に関するアンケート調査 によれば 32 都 32 呉衛星 斉天翔 流動性 生命周期与投資組合相違性 ~ 中国投資者行為調査実証分析 経済研究 中国社 29

市部家計の資産残高は 25 年末現在 住宅など不動産 54.4% 銀行預金 2.6% 現金 5.8% 株式 3.6% 保険 1.5% 債券と投資信託がそれぞれ.6% 外貨資産.5% その他 12.4% となっている ( 図表 34 上 / 左 ) 年齢別に見ると 不動産の割合が最も高いのは 65 才以上 の年齢層で 68% に達しており 最も低い 35 才以下 の年齢層も 44% に達している ( 図表 34) 高齢者の不動産割合が最も高い背景には 1998 年からの住宅制度改革を背景とした国有企業の公的住宅の払い下げがある また 若い年齢層の同割合も比較的に高水準にあるのは マイホーム取得促進策の下で 住宅ローンを利用して新規住宅を購入した若年層が急増したことによると思われる 資産残高に占める株式の割合は 25 年当時は 株価低迷により 平均で 5% を下回っているが 65 才以上 の年齢層が 4.8% と最も高い これに対し 35 才以下 の年齢層は銀行預金が資産残高の 25% を占めており 株式は 3.5% に過ぎない ( 図表 34) 図表 34 年齢層別都市部家計の金融資産構成比 (25 年末 ) 保険, 1.5% 全体平均 マイホーム, 54.4% 投信, 1.1% 保険, 1.7% 35 才以下 マイホーム, 43.9% 投信,.6% 債券,.6% 債券,.4% 株式, 3.5% 株式, 3.6% 外貨,.8% 外貨,.5% 銀行預金 2.6% 現金 5.8% その他, 12.4% 銀行預金 25.% 現金 8.5% その他, 15.1% 保険, 1.7% 35~5 才 マイホーム, 57.6% 保険, 1.1% 65 才以上 マイホーム, 67.8% 投信,.4% 債券,.6% 投信,.1% 債券,1.8% 株式, 3.4% 外貨,.4% 銀行預金 18.6% 現金 4.9% その他, 12.4% 株式, 4.8% 外貨,.1% 銀行預金 12.7% 現金 4.9% その他, 6.7% ( 注 )25 年に北京 上海など 12 都市で行われた投資家行動に関するアンケート調査結果である 調査対象は 1,526 世帯である ( 資料 ) 呉衛星 斉天翔 流動性 生命周期与投資組合相違性 ~ 中国投資者行為調査実証分析 経済研究 27 年第 2 期 27 年 2 月 1 日より作成 会科学院経済研究所 27 年第 2 期 27 年 2 月 1 日 3

(1) 資産性所得家計部門の資産が形成されると 資産運用によって資産性所得が得られる 都市部家計調査を行う中国国家統計局の城市社会経済調査司が発表したデータによれば 33 ( 図表 35) 26 年の都市部 1 人当たり年間資産性所得 ( 有価証券や不動産投資からの現金収入 ) は 前年比 26.5% 増の 244 元となった この内訳は 金融資産からの収入が 112 元 実物資産からの収入が 132 元である ( 図表 36) 階層別に見ると 上位 1% 層 ( 最高所得層 ) の資産性所得は 前年比 36.5% 増の 1,279 元 ( このうち 金融資産からの収入は 同 52% 増の 679 元で 資産性所得の 53% を占めた ( 図表 37)) に達したが 下位 1% 層 ( 最低所得層 ) の資産性所得は 同 8.7% 増の 35 元に止まった ( このうち 金融資産からの収入は 前年比 9% 減の 7 元 ) 市部世帯図表 35 都市部 1 人当たり資産性所得と年伸び率 (5/6 年 ) 1,4 都最 高所得層元 % 4 1,2 35 1, 3 8 25 2 6 15 4 1 2 5 - 低所得層中低所得層中所得層中高所得層最低所得層5 年 6 年年伸び率 ( 右目盛 ) 高所得層( 資料 ) 27 年中国城市 ( 鎮 ) 生活与価格年鑑 国家統計局城市社会経済調査司 中国統計出版社 27 年 1 月 26 年中国城市 ( 鎮 ) 生活与価格年鑑 国家統計局城市社会経済調査司 中国統計出版社 26 年 1 月より作成 33 国家統計局城市社会経済調査司 27 年中国城市 ( 鎮 ) 生活与価格年鑑 中国統計出版社 27 年 1 月 31

図表 36 階層別金融資産 実物資産による現金収入 (5/6 年 ) 元 8 7 6 5 4 3 2 112 元 132 元 1 都25 年資産性収入 ( 実物資産 ) 26 年資産性収入 ( 金融資産 ) 26 年資産性収入 ( 実物資産 ) 低所得層中低所得層中所得層中高所得層最低所得層高所得層市部世帯679 元 6 元 最高25 年資産性収入 ( 金融資産 ) 所得層( 資料 ) 図表 35 と同じ 図表 37 都市部 1 人当たり株式 不動産関連収入 (5/6 年 ) 元株式投資による年間現金収入 % 25 4 35 3 25 2 15 1 5 都 高所得層最低所得層低所得層中低所得層中所得層中高所得層市部世帯2 15 1 5-5 最高所得層-1 6 5 4 都元 % 不動産投資による年間現金収入 3 2 1 最低所得層高所得層低所得層中低所得層中所得層中高所得層市部世帯25 2 15 1 5-5 -1 最高所得層-15 5 年 6 年年伸び率 ( 右目盛 ) ( 資料 ) 図表 35 と同じ 32

資産性所得の主要項目である 株式投資による年間現金収入 ( 売却益や配当金など ) と 不動産投資による年間現金収入( 家賃収入など ) を比べてみよう 株式投資の収入は 25 年の 36 元から 26 年には前年比 56% 増の 56 元と上昇した ( 図表 37 上) 階層別に見ると 上位 1% 層 ( 最高所得層 ) は 196 元から約 71% 増の 336 元に増加したが 下位 1% 層 ( 最低所得層 ) は 3 元から 2 元に減少した 26 年後半から株価が急騰したことは 最高所得層の株式投資による資産性所得の増加につながったと言えよう 一方 不動産投資収入は 25 年の 112 元から 26 年は前年比 13% 増の 126 元に止まり 株式投資と比べ 増加幅が遥かに小さい ( 図表 37 下) 階層別に見ると 上位 1% 層 ( 最高所得層 ) は 同期間に 479 元から約 19% 増の 571 元に増加し 中位 2% 層 ( 中所得層 ) は 7 元から 68 元にほぼ横ばいとなった 株式投資 不動産投資とも所得が高い階層ほど 前年比伸び率が大きいといった特徴が見られた 都市部高所得層を始めとする資産性所得の急伸を背景に 都市部全体平均で見た資産残高に占める株式の割合は 26 年には 25 年時点の 4% 弱 ( 図表 34) からさらに上昇する可能性がある ( 図表 32 の試算では 7% となる ) (2) 個人による株式投資中国の株式市場は 上海 深圳の両証券取引所がスタートした 199 年から整備されてきた 26 年には 制度的な欠陥と言われた 株式分置問題 ( 非流通株問題 34 ) が最終的な解決を迎えたことをきっかけに 株価は 5 年余りの調整期を終えて回復し始め 27 年にはさらに急騰を見せた ( 図表 4) 全民炒股 ( 全国民が株式取引をしていること ) は 27 年度のキーワードとなった 35 中国国内のウェブサイトで 炒股 で検索してみると 28 年 5 月現在 4,33 万件の関連記事が検索された 26 年下半期から加熱し始めた株式投資は 都市部住民の日常生活に大きな影響を与える出来事に違いない その波は大学のキャンパスにも及んでいる 新聞報道によれば 大学生の約 3% が株式取引を行っているという 36 中国の 股民 ( 自ら株式取引を行う個人投資家 ) や 基民 ( 投資信託に参加する個人 ) のほとんどは 株式市場に関す 34 9 年代の初めは 証券市場は国有企業のために奉仕しなければならない という株式市場の基本方針があった 同方針の下で上場企業の株式は取引所に上場され 投資家が取引できる 流通株 と国及び地方政府 法人などが保有し 市場で取引できない 非流通株 に区分され 株価は株式の約 3 分の 1 を占める 流通株 によって形成されていた これは 株式分置問題 と呼ばれ 21 年までに完全に解決される見通しである ( 劉家敏 数字で読み解く中国の株式市場 ~ 株価上昇の背後にある見逃せない事実 ~ みずほリポート 27 年 12 月 18 日 ) 35 中国国内のネット調査によれば 27 年度のキーワードは 1 房价拐点 ( 住宅価格の転換点 ) 2 亿元大奖 ( 億元長者の誕生 ) 3 全民炒股 ( 全国民が株式取引に参加していること ) 4 重庆钉子户 ( 重慶市の一軒屋が最後まで政府と交渉し続けること ) 5 猪肉涨价 ( 豚肉価格の急上昇 ) が上位 5 位にランクされた ( 27 年度中国十大関鍵詞解読 国際在線 27 年 12 月 16 日 ) 36 学費を使って株式取引に夢中する大学生も少なくない ( 拿学费买股票高校至少有 3% 的大学生炒股 人民網 27 年 3 月 29 日 ) ちなみに 大学生炒股 ( 大学生が株式取引をする ) で検索すると 関連記事数は 271 万件に達する 33

る知識が少なく ギャンブル感覚で 股海 ( 株式市場 ) に身を投げた素人である とも言われる 以下では 個人の株式取引口座数の変化や 有力な調査機関が行ったアンケート調査の結果から 中国の個人投資家の実態を探ってみたい a. 証券取引口座数と地域分布中国証券監督管理委員会が発表した数字によれば 26 年末現在 個人投資家が保有する株式の時価総額は 流通可能な A 株の時価総額の約 57% を占め 25 年末の 7% から低下してきた 37 また 株式の登録並びに決済業務を行う政府機関である 中国証券登記結算有限責任公司 (China Securities Depository and Clearing Corporation Limited 以下 CSD&C) が発表した 証券取引口座数 ( 期末数と期中純増減数 ) では 株式投資の 期末口座数 は 両取引所合計で 23 年末の 6,981 万口座から 27 年末には 1 億 3,886 万口座と約 2 倍になった ( 図表 38) 個人投資家の口座数は 6,948 万口座から約 2 倍の 1 億 3,836 万口座となり そのうち 人民元建て A 株 38 の個人投資家の口座数は 6,771 万口座から約 1.6 倍の 1 億 1,6 万口座となった 一方 個人名義の投信口座数も同期間に 2 万口座から約 127 倍の 2,598 万口座に急増した 上述の口座数を見ると A 株取引口座だけでも 27 年末現在 1.1 億口座に達している しかし 残高がなく長期にわたり利用されていない口座 ( いわゆる 休眠口座 ) や両方の取引所に開設された同一名義 39 の口座が多く存在している A 株口座数について CSD&C の発表によれば 28 年 1 月末現在 休眠口座数 は A 株市場では 1,983 万口座に達し 同期末口座数の 18% を占めている 同年 1 月末の期末口座数 (11,226.453 万口座 ) から休眠口座数 (1,983.21 万口座 ) 空口座数(5,83.15 万口座 ) を引いた実際に取引に利用されている口座数は 約 4,16 万口座となる 従って 活発な取引を行っている個人投資家の A 株口座数は 4, 万口座前後に過ぎない可能性が高い 4 この数字は都市人口(26 年末 5 億 7,76 万人 ) の 7% に当たり アメリカ (24 年末 21%) や日本 ( 同 14%) の同比率を下回る水準にある 41 37 中国証券監督管理委員会 27 中国証券期貨統計年鑑 学林出版社 27 年 8 月 38 中国には 上海証券取引所と深圳証券取引所があり 両取引所に人民元建ての A 株市場と外貨建て ( 上海は米ドル 深圳は HK ドル ) の B 株市場がある 27 年 11 月現在 A 株市場の上場銘柄数は 1,518 銘柄で A B 株の両市場の合計銘柄数の 93% を占めている 一方 B 株市場には 19 銘柄が上場している 39 投資家が両取引所で取引する場合 それぞれの取引所に取引口座を開設する必要がある 4 業務統計月報 中国証券登記結算有限責任公司 28 年 1 月 41 松浦克己 なぜ日本家計の株式投資シェアは低いか 日本証券アナリスト協会 証券アナリストジャーナル 26 年 8 月 34

図表 38 市場 投資家別 : 証券取引口座の構成比 (3~7 年 ) 年 市場 投資家別 : 期末口座数 ( 万口座 ) A 株 B 株投信合計個人機関個人機関個人機関個人機関 全体 23 6,771.4 32.2 155.9 1.6 2.2.2 6,947.5 33.8 6,981.3 24 6,912.7 33.2 158.6 1.7 19..58 7,18.2 35.5 7,215.7 25 6,994.1 34. 159.6 1.7 145.6 1.3 7,299.3 36.7 7,336.1 26 7,281.3 36.3 162.7 1.9 37.3 1.58 7,814.3 39.7 7,854. 27 年 11,6.1 46. 232.2 2.1 2,597.6 2.17 13,835.8 5.3 13,886.1 市場別 : 投資家構成比 (%) 年 A 株 B 株投信合計個人機関個人機関個人機関個人機関 全体 23 99.5.5 99. 1. 99.9.1 99.5.5 1. 24 99.5.5 98.9 1.1 99.5.5 99.5.5 1. 25 99.5.5 98.9 1. 99.3.7 99.5.5 1. 26 99.5.5 98.9 1.1 99.6.4 99.5.5 1. 27 年 99.6.4 99.1.9 99.9.1 99.6.4 1. 年 ( 前年同期比 ) 伸び率 (%) 年 A 株 B 株投信合計個人機関個人機関個人機関個人機関 全体 24 2.1 3.2 1.7 6.9 439.5 28. 3.4 5.1 3.4 25 1.2 2.4.7-1.3 33.6 76.8 1.7 3.4 1.7 26 4.1 6.6 1.9 1.7 154.3 54. 7.1 8.1 7.1 27 年 5.7 28. 41.6 12. 367.6 33.1 72.8 27.4 72.6 ( 資料 ) 中国証券登記結算統計月報 (23 年 1 月 ~27 年 11 月 ) CEIC DATA より作成 投資家の投資動向を反映する 取引口座数の年間純増減 ( 新規口座数から解約した口座数を引いた数字 42 ) の推移を見ると A 株口座の年間純増数は 23 年の 134 万口座から株価低迷期の 25 年の 82 万口座を経て 27 年は一転して 3,735 万口座と大幅に上昇した ( 図表 39) 一方 投信口座の年間純増数は 23 年の 1.5 万口座から 27 年には 2,211 万口座に急伸し 25 年の株価の調整局面においても右上がり曲線を辿って増加している 図表 38 で示された期末口座数に占める個人口座数の割合 (99% 以上 ) を考えると 口座純増数のほとんどが個人口座であると推測されよう 図表 39 証券取引口座数の年間純増減の推移 ( 万口座 ) 27 年 ( 万口座 ) 4, 8 A 株取引口座 A 株 :3,735 万口座 B 株取引口座 ( 右目盛 ) 投信 :2,211 万口座 3,5 投信口座 7 B 株 :7 万口座 3, 6 2,5 5 2, 4 1,5 3 1, 2 5 1 3 4 5 6 7 年 ( 資料 )CEIC DATA より作成 42 投資家別口座数の純増減は個人 機関投資家を含む口座数となる 35

27 年末までの単月の最大純増数は ( 図表 4) A 株は 27 年 5 月の 558 万口座 B 株は同年 5 月の 45 万口座である これに遅れて投信は 8 月に 512 万口座を記録した 口座数急増の背景には株価指数の急上昇があるが 上海 A 株指数が 27 年 1 月以降 低下傾向に転じたため A 株や投信の単月口座数純増も激減した 地域別に見ると 26 年末現在 上交所 ( 上海証券取引所 以下同じ ) の A 株口座数 43 は 3,583 万口座に達している そのうち 東部地域 2,54 万口座 ( 上交所 全体の 59%) 中部地域 556 万口座 ( 同 15%) 西部地域 593 万口座 ( 同 16%) 東北地域 38 万口座 ( 同 1%) となっており 東部地域の口座数が圧倒的に多い また 東部地域にある上海市 (489 万口座 上交所 全体の 14%) 江蘇省 (343 万口座 同 1%) 広東省(271 万口座 同 8%) 山東省(233 万口座 同 7%) 浙江省 (196 万口座 同 6%) 北京市(168 万口座 同 5%) 福建省(143 万口座 同 4%) が A 株口座数の上位 1 省 ( 直轄市 ) であり 特に上海市は個人投資家が最も集中する都市となっている 万口座 6 5 図表 4 証券取引口座数の純増減 ( 月次ベース ) A 株取引口座 B 株取引口座投信口座 558 万 512 万 4 ピーク時 A 株 :27 年 5 月 (558 万口座 / 月 ) B 株 :27 年 5 月 (45 万口座 / 月 ) 投信 :27 年 8 月 (512 万口座 / 月 ) 3 2 上海 A 株指数 (23 年 1 月 =1) 1 45 万 23 年 1 月 24 年 1 月 25 年 1 月 26 年 1 月 27 年 1 月 28 年 1 月 ( 資料 )CEIC DATA より作成 26 年に 上交所 の A 株口座は年間 13 万口座純増したが これを地域別に見ると 東部地域は 83 万口座 ( 全体の 64%) 増 中部地域は 21 万口座 ( 同 16%) 増 西部地域は 19 万口座 ( 同 14%) 増 東北地域は 8 万口座 ( 同 6%) 増で 東部地域を中心に増加している特徴がある 東部地域にある上海市 (26 万口座増 全体の 21%) 広東省(15 万口座増 同 12%) 江蘇省 (9 万口座増 同 7%) 浙江省(9 万口座増 同 7%) 北京市(8 万口座増 同 7%) 福建省 (6 万口座増 同 5%) 山東省(6 万口座増 同 5%) が口座数純増の上位 1 省 ( 直轄市 ) に入っている 長江デルタ地域と珠江デルタ地域の個人投資家が 上交所 における株 43 地域別口座数は 26 年末までしか発表されていない その数字には個人 機関投資家が含まれている 36

式投資を活発化させているように見える 44 b. 個人投資家の属性と投資規模 25 年 8 月に設立された中国証券投資者保護基金 45 は 27 年から個人投資家に関するアンケート調査を定期的に行っている 46 1 回目の調査は 中国証券業協会 47 と共同で 27 年 6 月 11 日から 7 月 5 日にかけて 北京や上海など 17 都市にある証券会社の店頭 (73 店舗 ) で 個人投資家や機関投資家を対象に調査票を配布する形で行われ 有効回収票は 2,88 件である ( 有効回収率 96%) 2 回目の調査は 28 年 1 月から同社のホームページで調査票を掲載し 48 2 月末には 1,25 件の有効回答を得た 2 回目の調査結果によれば 回答者は 男性 78.5% 女性 21.5% となっており ( 図表 41( 上 / 左 )) 51% が 25~34 才 の年齢層である 55 才以上 の年齢層 ( 年金生活者など ) は 3% に過ぎず 個人投資家に占める割合が 1 回目の 2% から大幅に低下した 49 ( 図表 41( 下 / 左 )) 大卒以上の学歴者が回答者の大半を占めているが ( 図表 41( 下 / 右 )) 低学歴者も 4 割強に達しており 無視できない存在となっている 所得水準では 世帯収入 ( 月収 ) が 1,6 元 ( 約 2.4 万円 ) 以下は 1% 1,6~3,2 元は 28% となり 世帯月収が 3, 元台までの中低所得世帯は 38% を占めており 世帯月収が 6,4 元 ( 約 9.6 万円 ) 以上の中高所得世帯の同割合 (29%) を大きく上回っている 個人による株式投資は中低所得世帯にまで及んでいる 44 劉家敏 数字で読み解く中国の株式市場 ~ 株価上昇の背後にある見逃せない事実 ~ みずほリポート 27 年 12 月 18 日 45 中国証券投資者保護基金は 25 年 6 月に施行された 証券投資者保護基金管理弁法 に基づいて同年 8 月に法人として設立された 設立に当たり 国務院は 国家財政から 63 億元の資金を注入した 同会社は 投資者保護基金の資金調達 運営 リスク管理 問題証券会社の処理など 投資家保護関連の業務を行っている 46 中国証券市場投資者調査分析報告 27 年 8 月 中国証券市場個人投資者調査問巻 中国投資者保護網 28 年 2 月 47 中国証券業協会 (The Securities Association of China 以下 SAC) は 証券法 証券投資信託法 などに基づいて 1991 年 8 月に設立された非営利社団法人であり 証監会及び国家民政部の監督下に置かれている 同協会には証券会社 証券投資信託会社 証券投資コンサルタント会社のほか 証券取引所 預託銀行 地方証券協会等も特別会員として加盟している 27 年 7 月現在 協会員数は 295 社であり 内訳は証券会社 16 社 証券投資信託会社 52 社 証券投資コンサルタント会社 9 社 資産管理会社 3 社 特別会員 44 社 ( 上海 深圳証券取引所 中国証券登記結算有限責任公司 預託機関 (8 社 ) 地方証券業協会 (33 社 )) となっている 中国証券業協会は証券業の自主規制機関として役割を果たしている 48 互聯網絡信息中心 (CNNIC) の定期調査によれば 27 年 12 月末現在 中国のネット利用者 ( 半年以内にインターネットを使ったことがあり 6 歳以上の中国国籍を有する者 ) は 2.1 億人に達し アメリカに (2.15 億人 ) 次ぐ世界第二位となっている 年間新規利用者は 7,3 万人であり その 4 割は農村部利用者である インターネットの普及率は全国平均では 16% であり アメリカ (7%) や日本 (68%) を大幅に下回っており 世界全体 (19%) よりも低い水準にあるが 北京や上海はすでに 46~47% に達している 1 男性は全体の 57% 女性は同 43% 218~24 歳は同 32% 5 歳以上は同 4.2%( その 8 割は男性 ) 3 高校以下学歴者は同 64% 4 民営企業に働いている者は同 42% 5 月収 2 元以下の利用者は全体の 74% を占め 6ネット人口の 67% が自宅からアクセスしている 7ネット利用者の 18% が株式や投信関連のネット取引を行っている などネット利用者の属性として挙げられる ( 中国互聯網絡発展状況統計報告 CNNIC 28 年 1 月 ) 49 同調査はネット調査であるため インターネット非利用者は対象外となり 調査結果に歪みが生じている可能性がある 最新発表では インターネット利用者のうち 5 歳以上は全体の 4.2% に過ぎず 同年齢層のネット普及率はかなり低いと考えられる (( 中国互聯網絡発展状況統計報告 CNNIC 28 年 1 月 )) 37

ことが分かる ( 図表 41 ( 上 / 右 )) 図表 41 個人投資家の性別 年齢 学歴 (7/8 年末 ) 男性 78% 8 年 2 月末 性別 3,2~6,4 34% 8 年 2 月末 世帯収入 ( 月収 元 ) 6,4~1.5 万 2% 1.5 万以上 9% 女性 22% 1,6~3,2 28% 1,6 以下 9.6% 未回答 55 才以上 3% 2% 年齢 8 年 2 月末 7 年 7 月末 小学卒とそれ以下.4% 学歴 8 年 2 月末 7 年 7 月末 45~54 才 短大 中高校卒 43.% 35~44 才 51% 25~34 才 2% 25 才以下 % 1 2 3 4 5 6 47% 大卒 55% 1% 大学院卒 5% % 1 2 3 4 5 6 ( 注 ) アンケート調査結果である (3(2)b を参照 ) ( 資料 ) 中国証券市場投資者調査分析報告 27 年 8 月 中国証券市場個人投資者調査問巻 中国投資者保護網 28 年 2 月より作成 投資規模を見ると ( 図表 42) 1 万元 ( 約 16 万円 ) 以下が 68%( そのうち 2 万元 ( 約 3 万元 ) 以下は 23%) を占めているが 5 万元 ( 約 8 万円 ) 以上を投資した者も 1 割強に上る 資金源を見ると 銀行預金からは 93% 日常生活の余剰金からは 89% に達し 自己資金の 5 投資比率がかなり高い 銀行預金の取り崩しや他の消費支出の抑制で捻出した生活余剰金などを投資資金とするのが一般的である 一方 個人からの借入資金で投資する割合は 38% で 銀行からの同割合 (1%) を大きく上回っている 家計の金融資産に占める株式の割合を見ると 1 割以下は 19% 1 割 ~3 割は 24% 8 割以上は 17% となり 27 年の株価高騰を背景に 同割合は 26 年末 (7%) からさらに上昇する可能性が高い ( ページ 28 図表 5 中国では 家計調査に反映されない実物所得や表面に出ない収入などがあるため 日常生活費を大きく上回る収入を得ているとも考えられる その意味で生活費から捻出した資金というより 日常生活の余剰金といったほうが適切かもしれない 38

32) 51 2~5 万元 22.6% 図表 42 個人投資家の収入や投資資金 (27 年 ) 株式市場に投入した金額 11~3 万元 19% 31~5 万元 5.9% 51~1 万元 4.1% その他 銀行からの借入 他人からの借入 12% 1% 38% 株式投資の資金源 多数選択可 6~1 万元 22.9% 2 万元未満 22.9% 11~5 万元 2.1% 5 万元以上.5% 生活費の余り 89% 銀行預金 93% % 2 4 6 8 1 8% 以上 17% 51~8% 18% 金融資産に占める株式の割合 11~3% 24% 1% 以下 19% 31~5% 21% ( 注 ) アンケート調査結果である (3(2)b を参照 ) ( 資料 ) 中国証券市場個人投資者調査問巻 中国投資者保護網 28 年 2 月より作成 個人による株式投資の特徴としては 1 高所得世帯から中低所得世帯まで株式投資が浸透している 2 銀行預金や生活余剰金が株式投資の主な資金源で自己資金の割合が高い 3 銀行より個人からの借入が多く 株式投資を資金使途とした個人向け銀行貸出はまれである 4 株式を金融資産の 5 割まで保有する回答者が全体の 6 割強に達しており 株式投資により ハイリターン を求めながら ハイリスク にも潜在意識が働いている などが挙げられよう 51 日本では 1 株でも株式を保有する家計の比率 ( 株式の世帯保有率 ) は 24 年に 14% であり 米国 ( 同 21%) よりやや低いが 家計の金融資産に占める株式の割合は 1961 年の 26% から 1976 年の 7.5% を経て 24 年現在 7% に低下し 同年米国 (18%) の 2 分の 1 に達しない水準にある 米国では 純資産ベースで上位 1~5% 階層が家計保有株式の大半を占めているのに対し 日本では 株式投資は 中間階層まで及んでいるが 高所得 高資産家は 欧米より 相対的に株式投資比率が低い 投資行動から捉えたこの違いは 日本での株式投資から得られた配当利回りと配当成長率は 安全資産収益率を十分に上回らず 高所得 高資産家が株式に魅力を感じないことがある ( 松浦克己 なぜ日本家計の株式投資シェアは低いか 日本証券アナリスト協会 証券アナリストジャーナル 26 年 8 月 ) 39

c. 投資目的株式投資は 他の金融商品と比較して ハイリターン を追求する特徴がある しかし ハイリターン には高い リスクプレミアム があり 株価変動により 損失が生じる可能性もある 中国の都市部家計が株式に積極的に投資する理由として 1 中低所得層は 高所得層との所得格差が広がっている中で 高所得層と同様な生活水準を追求するために 株式投資に高い投資収益を求める傾向が強まっていること 2 中所得層は 社会保障制度の未整備により 医療費や老後生活費などに充当する資金を株式投資に求めざるをえないこと 3 富裕層が投資する金融商品の種類が限られているため 高所得層の運用は株式投資への集中を余儀なくされたこと などが原因として考えられる 前述のアンケート調査からも個人投資家の投資目的を窺うことができる 27 年から株式投資を始めた投資家は 回答者の 49% に達し 26 年から投資を始めた投資家の割合と合わせると 64% に達している ( 図表 43 上/ 左 ) 個人投資家のほとんどは 26 年後半の株価回復と 27 年の株価急騰が誘因となって株式投資に踏み切ったようである なぜ 株式投資をし始めたか について 資産形成 や 資産形成を加速する と答えた割合は 67% インフレ対策 は 18% 金融知識の勉強 は 12% 株式投資の面白さ は 2% を占めており 資産形成 が最大の目的となっている ( 図表 43 上/ 右 ) 図表 43 個人投資家の投資目的と投資収益 (27 年 ) 6 年から 14.4% 1~3 年 9% 株式投資が始まった時点 資産形成 49.2% インフレ対策 18.3% 資産形成の加速 18.1% 投資目的 2 年以前から 26.9% 5% 以上 31~5% 2% 以上 ( は損失率 ) 7 年から 49.4% 投資収益率 ( 実績 ) 81~1% 61~8% その他.7% 金融知識を習得する 12% 面白さを体験する 1.7% 28 年の期待収益率 11~2% 1% 以上 1~3% 1% 以下 41~6% 51~1% ~1% 11~5% % 5 1 15 2 25 3 35 1~2% 21~4% % 1 2 3 4 ( 注 ) アンケート調査結果である (3(2)b を参照 ) ( 資料 ) 中国証券市場個人投資者調査問巻 中国投資者保護網 28 年 2 月より作成 4