医療事故調査制度について の講演要旨 大阪府医師会医療安全担当理事大平真司 平成 27 年 10 月 1 日より医療事故調査制度が始まりました 制度の要となる第三者機関である医療事故調査 支援センターが公示されたのが平成 27 年 8 月 17 日であり まだまだ実施体制が整っていない状況です また 医療関係者や一般市民への周知もまだまだ不十分で いろいろな機会を作って その周知が急がれます 毎年約 100 名の参加者がある医療安全推進指導者講習会の中で この 医療事故調査制度について という講演を通じ 制度の概要と大阪府医師会の取り組みを解説いたします 内容については以下の通りです 1. 主な医療事故とその意義について 2. 医療事故調査制度の 15 年の歴史について 3. 大綱案 ( 平成 20 年 ) と改正医療法 ( 平成 26 年 ) の比較について 4. 医療事故調査制度の概要について ( 医療法及び医療法施行規則に基づく ) 5. 大阪府医師会の取り組みについて
医療安全推進指導者講習会 医療事故調査制度について 日時 : 平成 27 年 10 月 31 日 ( 土 ) 大阪府医師会医療安全担当理事大平真司 白クマ ( 日本医師会蔵 )
講演内容 1. 主な医療事故とその意義について 2. 医療事故調査制度の 15 年の歴史について 3. 大綱案 ( 平成 20 年 ) と改正医療法 ( 平成 26 年 ) の比較について 4. 医療事故調査制度の概要について ( 医療法及び医療法施行規則に基づく ) 5. 医療事故調査制度の対象事例の判断及び報告書の取り扱いについて 6. 大阪府医師会の取り組みについて
1. 主な医療事故とその意義 1999 年 1 月 11 日 横浜市大患者取り違え事件 1999 年 2 月 10 日 東京都広尾病院の消毒剤点滴事件 主治医が医師法 21 条違反で懲役 1 年執行猶予 3 年 罰金 2 万円 ( 注射部位の異状が認められた 異状死の外表異状説の根拠 ) 医師の自己負罪拒否特権 ( 日本国憲法第 38 条 ) は否定された 2001 年 3 月 2 日 東京女子医大 心臓手術中の人工心肺装置の事故が起こり 2 日後に死亡 人工心肺装置の操作ミスを疑われ 業務上過失致死容疑で逮捕されたが 一貫して操作ミスを否定 人工心肺装置自体の不備が判明し 無罪 カルテを改ざんした講師は証拠隠滅で逮捕された 2004 年 12 月 17 日 福島県立大野病院事件における医師逮捕 業務上過失致死 ( 刑法 211 条 ) と医師法 21 条違反で 2006 年 2 月 18 日に逮捕 2008 年 8 月 20 日 無罪が確定 この事件をきっかけに無過失補償制度の創設 (2009 年 1 月 産科医療補償制度 )
2. 医療事故調査制度 15 年の歴史 1,999 2,001 2,004 2,005 2,008 2,011 2,013 2,014 2,015 2,016 * 国立大学医学部付属病院長会議 医療事故防止策定の作業部会 の設置 * 厚労省 医療安全対策会議 事故調査の制度化 * 日本医療機能評価機構ヒヤリハット収集事業 ( 10 月 ) * 19 学会共同声明 第三者機関の設置 提言 ( 9 月 ) * 日本内科学会 法医学会 外科学会 病理学会中立的専門機関の設置の提言 ( 2 月 ) * 診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業 * 厚労省 大綱案 * 厚労省 医療の質の向上に資する無過失補償制度等あり方検討会 設置 ( 8 月 ) * 厚労省 医療事故に係る調査の仕組み等あり方検討部会 設置 ( 2 月 ) * 医療事故調査制度創設を含む医療法改正法案 ( 6 月 ) * 医療事故調査制度の施行に係る検討会 設置 ( 11 月 ) * 医療事故調査制度の施行に係る検討会 取りまとめ ( 3 月 ) * 支援団体 公示 ( 8 月 6 日 ) * 支援センター 公示 ( 8 月 17 日 ) * 医療事故調査制度開始 ( 10 月 1 日 ) * 医療事故調査制度見直し ( 6 月 )
3. 大綱案 ( 平成 20 年 ) と改正医療法 ( 平成 26 年 ) の比較 大綱案 ( 平成 20 年 ) 改正医療法 ( 平成 26 年 ) 医師法 21 条に基づく届け出は不要 医療機関管理者の判断 医療機関の判断 医療機関 医療安全調査委員会 ( 仮称 )( 公的機関 ) 医療機関 医療事故調査 支援センター ( 民間組織 ) 医療者による調査調査結果報告書 医療者を中心とした委員会の判断 遺族等 医療機関による調査 調査結果報告書 遺族等 問題なし 再発防止の共有 行政処分 問題あり 警察へ通知 診療録改竄 リピータ医師 故意や重大過失 再発防止の共有 WHO ドラフトガイドライン 1. 非懲罰性 2. 秘匿性 3. 独立性
4. 医療事故調査制度の概要について ( 医療法及び医療法施行規則に基づく )
医療事故調査制度の概要 医療事故発生 2 相談 事故報告 3 院内調査 報告書作成支援 院内事故調査委員会 1 説明 4 結果説明 4 結果説明 医療機関 支援団体 報告 遺族 7 再調査依頼 (2 万円 ) 9 再調査結果報告 7 調査依頼 (10 万円 ) 5 調査報告 8 センター調査 6 結果報告受理 第三者機関 ( センター ) 日本医療安全調査機構 10 収集した情報の整理及び分析 11 再発防止に関する普及啓発等
医療事故の定義について 医療に起因し 又は起因すると疑われるもの 法律省令通知 第 6 条の 10 病院 診療所又は助産所の管理者は 医療事故が発生した場合には 厚生労働省令で定めるところにより 遅滞なく 当該医療事故の日時 場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第 6 条の 15 第 1 項の医療事故調査 支援センターに報告しなければならない 省令事項なし 医療に起因し 又は起因することが疑われるもの 医療 に含まれるものは制度の対象であり 医療 の範囲に含まれるものとして 手術 処置 投薬及びそれに準じる医療行為 ( 検査 医療機器の使用 医療上の管理など ) が考えられる 施設管理等の 医療 に含まれない単なる管理は制度の対象とならない 医療機関の管理者が判断するものであり ガイドラインでは判断の支援のための考え方を示す
医療に起因する ( 疑いを含む ) 死亡又は死産の考え方 ( 通知 ) ( 下記 ) に起因し 又は起因すると疑われる死亡又は死産 1. 診察 : 徴候 症状に関連するもの 4. その他 : 管理者の判断によるもの 2. 検査等 ( 経過観察を含む ) 療養に関連するもの 検体検査に関するもの 転倒 転落に関連するもの 生体検査に関するもの 誤嚥に関するもの 診断穿刺 検体採取に関連するもの 患者の隔離 身体拘束 身体 画像検査に関連するもの抑制に関連するもの 3. 治療 ( 経過観察を含む ) 投薬 注射( 輸血含む ) に関連するもの リハビリテーションに関連するもの 処置に関連するもの 手術( 分娩含む ) に関連するもの 麻酔に関連するもの 放射線治療に関連するもの 医療機器の使用に関連するもの 左記に含まれない死亡又は死産 左記以外のもの ( 具体例 ) 1. 施設管理に関連するもの 火災等に関連するもの 地震や落雷等 天災によるもの その他 2. 併発症 ( 提供した医療に関連のない 偶発的に生じた疾患 ) 3. 原病の進行 4. 自殺 ( 本人の意図によるもの ) 5. その他 ( 院内で発生した殺人 傷害致死 等
死産についての考え方 法律省令通知 第 6 条の 10 病院 診療所又は助産所の管理者は 医療事故 ( 当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し 又は起因すると疑われる死亡又は死産であって 当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるものをいう ) が発生した場合には 厚生労働省令で定めるところにより 遅滞なく 当該事故の日時 場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第 6 条の 15 第 1 項の医療事故 調査支援センターに報告しなければならない 省令事項なし 死産について 死産については 医療に起因し 又は起因すると疑われる 妊娠中または分娩中の手術 処置 投薬及びそれに準じる医療行為により発生した死産であって 当該管理者が当該死産を予期しなかったもの を管理者が判断する 人口動態統計の分類における 人工死産 は対象としない 通常の妊娠管理の死産は届け出対象としない
医療事故の定義について 当該死亡又は死産を予期しなかったもの 法律省令通知 第 6 条の 10 病院 診療所又は助産所の管理者は 医療事故が発生した場合には 厚生労働省令で定めるところにより 遅滞なく 当該医療事故の日時 場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第 6 条の 15 第 1 項の医療事故調査 支援センターに報告しなければならない 当該死亡又は死産を予期しなかったもの 当該死亡又は死産が予期されていなかったものとして 以下の事項のいずれにも該当しないと管理者が認めたもの一管理者が 当該医療の提供前に 医療従事者等により 当該患者等に対して 当該死亡又は死産が予期されていることを説明していたと認めたもの 二管理者が 当該医療の提供前に 医療従事者等により 当該死亡又は死産が予期されていることを診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの 三管理者が 当該医療の提供に係る医療従事者等からの事情の聴取及び 医療の安全管理のための委員会 ( 当該委員会を開催している場合に限る ) からの意見の聴取を行った上で 当該医療提供前に 当該医療の提供に係る医療従事者等により 当該死亡又は死産が予期されていると認めたもの 左記の解釈を示す 省令第一号及び第二号に該当するものは 一般的な死亡の可能性についての説明や記録ではなく 当該患者個人の臨床経過等を踏まえて 当該死亡又は死産が起こりうることについての説明及び記録であることに留意すること 患者等に対し当該死亡又は死産が予期されていることを説明する際は 医療法第一条の四第二項の規定に基づき 適切な説明を行い 医療を受ける者の理解を得るように努めること 参考 ) 医療法第一条の四第二項医師 歯科医師 薬剤師 看護師その他の医療の担い手は 医療を提供するに当たり 適切な説明を行い 医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない
医療機関からセンターへの事故の報告について 省令 1. センターへの報告方法 書面又は Web 上のシステム 2. センターへの報告事項 ( 法律事項 ) 日時 / 場所 医療事故の状況 ( 省令事項 ) 連絡先 医療機関名 / 所在地 / 管理者氏名 患者情報 ( 性別 / 年齢等 ) 医療事故調査の実施計画の概要 その他管理者が必要と認めた情報 通知 1. センターへの報告方法 書面又は Web 上のシステム 2. センターへの報告事項 1) 日時 / 場所 / 診療科 2) 医療事故の状況 疾患名 / 臨床経過等 報告時点で把握している範囲 調査により変わることがあることが前提であり その時点で不明な事項については不明と記載する 3) 連絡先 4) 医療機関名 / 所在地 / 管理者氏名 / 連絡先 5) 患者情報 ( 性別 / 年齢等 ) 6) 調査計画と今後の予定 7) その他管理者が必要と認めた情報 3. センターへの報告期限 遅滞なく 報告する 正当な理由なく漫然と引き延ばさない
医療事故の遺族への説明事項等について 省令 遺族への説明事項について 1. 医療事故の日時 場所 状況 2. 制度の概要 3. 院内事故調査の実施計画 4. 解剖又は死亡時画像診断 (Ai) が必要な場合の解剖又は Ai の同意取得のための事項 通知 センターへの報告事項 の内容を遺族にわかりやすく説明する 遺族への説明事項 1. 医療事故の日時 場所 状況 日時 / 場所 / 診療科 医療事故の状況 疾患名 / 臨床経過等 報告時点で把握している範囲 調査により変わることが前提であり その時点で不明な事項は不明と説明する 2. 制度の概要 3. 院内事故調査の実施計画 4. 解剖又は死亡時画像診断 (Ai) が必要な場合の解剖又は Ai の具体的実施内容などの同意取得のための事項 5. 血液等の検体保存が必要な場合の説明
医療機関が行う医療事故調査の方法等 省令 病院等の管理者は 医療事故調査を行うに当たっては 以下の調査に関する事項について 必要な範囲で選択し 当該医療事故の原因を明らかにするために情報の収集および整理を行う 1. 診療録その他診療に関する記録の確認 2. 当該医療従事者のヒアリング 3. その他関係者からのヒアリング 4. 解剖又はAiの実施 5. 医薬品 医療機器 設備等の確認 6. 血液 尿等の検査 通知 本制度の目的は医療安全の確保であり 個人の責任を追及するためのものではないこと 調査の対象者については当該医療従事者を除外しないこと 調査項目を以下の中から必要な範囲内で選択 1. 診療録その他の診療に関する記録の確認 例 : カルテ 画像 検査結果等 2. 当該医療従事者のヒアリング * ヒアリング結果は内部資料とし 開示しない ( 法的強制力のある場合を除く ) その旨 ヒアリング対象者に伝えること 3. その他の関係者からのヒアリング * 遺族からのヒアリングが必要なこともある 4. 医薬品 医療機器 設備等の確認 5. 解剖又はAiについては どの程度死亡の原因が医学的に判断できているか 遺族の同意の有無 その実施によって得られる情報の重要性を考慮して実施の判断する 6. 血液 尿等の検体の分析 保存の必要性を考慮 医療事故調査は医療事故の原因を明らかにするために行うものであること * 原因も結果も明確な 誤薬等の単純な事例であっても 調査項目を省略せずに丁寧な調査を行うことが重要であること 調査の結果 必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること 再発防止は可能な限り調査の中で検討することが望ましいが 必ずしも再発防止策が得られるとは限らないことに留意すること
医療機関からセンターへの調査結果報告について 法律省令通知 第 6 条の 11 4 病院等の管理者は 医療事故調査を終了したときは 遅滞なくその結果を第 6 条の 15 第 1 項の医療事故調査 支援センターに報告しなければならない 外部の委員の名前を匿名するか否かは意見が分かれている 個々の症例によるか? センターへの報告事項 報告方法院内調査結果の報告書内容 日時 / 場所 / 診療科 医療機関名 / 所在地 / 連絡先 医療機関の管理者の氏名 患者情報 ( 性別 / 年齢等 ) 医療事故調査の項目 手法及び結果 過失が明らかな場合もシステムエラーの可能性を求めて事故調へ報告! 当該医療従事者等の関係者について匿名化する センターへの報告方法について 次のいずれかの方法によって行う 書面又は Web 上のシステム 本制度の目的は医療安全の確保であり 個人の責任を追及するものではない ことを 報告書冒頭に記載する それ以外の用途に用いる可能性については あらかじめ当該医療従事者へ教示することが適当である 以下の事項を報告 日時 / 場所 / 診療科 医療機関名 / 所在地 / 連絡先 医療機関の管理者の氏名 患者情報 ( 性別 / 年齢等 ) 医療事故調査の項目 手法及び結果 調査の概要 ( 調査項目 調査の手法 ) 臨床経過 ( 客観的事実の経過 ) 原因を明らかにするための調査の結果 * 必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること 調査において再発防止策の検討を行った場合 管理者が講ずる再発防止策については記載する 当該医療従事者や遺族が報告書の内容について意見がある場合等は その旨を記載すること 当該医療従事者等の関係者について匿名化する 医療機関が報告する医療事故調査の結果に院内調査の内部資料は含まれない
医療機関が行った調査結果の遺族への説明について 法律省令通知 第 6 条の 11 5 病院等の管理者は 前項の規定による報告をするにあたっては あらかじめ 遺族に対し 厚生労働省令で定める事項を説明しなければならない ただし 遺族がないとき 又は遺族の所在が不明であるときは この限りでない 遺族への説明事項について センターへの報告事項 の内容を説明することとする 現場医療者など関係者について匿名化する 遺族への説明方法について 遺族への説明については 口頭 ( カルテに記載 ) 又は書面 ( 報告書又は説明用の資料 ) 若しくはその双方の適切な方法により行う 調査の目的 結果について 遺族が希望する方法で説明するように努めなければならない 左記の内容を示す 現場医療者など関係者について匿名化する
センター業務について (1) 第 6 条の 16 一情報の整理及び分析二同上の結果報告 法律省令通知 省令事項なし 報告された院内事故調査結果の整理 分析 医療機関への分析結果の報告について 報告された事例の匿名化 一般化 データベース化 類型化などして類似事例の集積 個別事例の報告でなく 一般化 普遍化した報告をする 第 6 条の 17 センターは病院の管理者又は遺族から求めがあれば 当該医療事故の調査を行うことができる 2 調査の必要あれば 管理者に口頭または文書による説明 資料の提出等の協力を求める 3 管理者は 第 2 項のセンターの求めを拒否してはならない 4 管理者が第 2 項の求めを拒んだ時は その旨公表できる 医療機関の体制 規模等に配慮した再発防止策の検討 センターの調査依頼について センターの調査依頼について 医療事故が発生した医療機関の管理者又は遺族は 医療機関の管理者が医療事故としてセンターに報告した事案については センターに対して ( 再 ) 調査の依頼ができる センター調査の実施及びセンター調査への医療機関の協力について
センター業務について (2) 法律省令通知 第 6 条の 17 5 センターは調査を終了したときは その結果を管理者及び遺族に報告しなければならない 第 6 条の 21 センターの職員は 調査等業務に関して知りえた秘密の漏えいを禁ずる 省令事項なし センター調査の遺族及び医療機関への報告方法 報告事項について センターからの報告事項 日時 / 場所 / 診療科 医療機関名 / 所在地 / 連絡先 医療機関の管理者 患者情報 ( 性別 / 年齢等 ) 医療事故調査の項目 手法及び結果 調査の概要 ( 調査項目 調査の手法 ) 臨床経過 ( 客観的事実の経過 ) 原因を明らかにするための調査結果 * 必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること * 原因分析は客観的な事実から構造的な原因を分析するものであり 個人の責任追及を行うものではないことに留意すること * 再発防止策は 個人の責任追及とならないように注意し 当該医療機関の管理者の意見を踏まえた上で記載すること センターが報告する調査の結果に院内調査報告書等の内部資料は含まない センター調査結果報告書の取り扱いについて センターは 個別の調査報告書及びセンター調査の内部資料については 法的義務のない開示請求に応じないこと
5. 医療事故調査制度の対象事例の判断及び報告書の取り扱いについて
遺族が医療機関の説明に納得しなかった場合届け出要件外の事例のため 医師の説明に遺族が院内調査開始後 ( センターに届けた後 ) 調査内納得しなくても 管理者がセンターに届けない場合 容 結果や医師の説明に納得しなかった場合 ( 再 ) 調査依頼 納得しない ボタン押せば何らかの形で報告書を遺族に渡すことを覚悟! 院内調査結果説明 再調査 院内事故調査委員会 事故報告済み 1. 医療安全支援センターに相談 2. 警察に相談 3. 弁護士を立て訴訟に 納得しない 調査依頼不可 死因 経過説明 医事紛争 明らかな過失ないときはボタンを押さなくてもいい? 1. 医療メディエーターを介して説明を繰り返す 2. 事故調に報告 3. 医事紛争に相談 院内事故調査委員会 支援団体 相談 事故報告せず 審査検討 要再調査 第三者機関 ( センター ) 第三者機関 ( センター )
遺族が説明に納得しなかった場合で ( 私見 ) 事故調に届けることが想定される事例 1) 明らかな過失がある あるいは過失の疑いがある事例 : 禁忌薬剤投与 誤薬 等による死亡 あるいは 2) 医療行為後 予期しない異常な臨床経過をとって死亡した事例 例 ) 危険度の少ない手術で 術中あるいは術後早期に死亡した事例 etc 事故調に届けなくてよいと考えられる事例 1) 明らかな過失がなく またその疑いもない事例 かつ 2) 医療行為後の臨床経過が 検査結果 症状等により医学的に合理的な説明が可能である事例 ( 予期しない の条件の 3 つ目の事例と考えられる )
遺族に報告書 ( 説明書 ) を渡すことが困難な理由 1. 十分な院内調査が実施できなかったため 詳細が分からない 例 ) 解剖やAiが実施できなかった等 2. 専門家の間で見解に相違がありまとまらない 3. 遺族が明らかに目的外使用を考えている * 上記の 1 2 は 医療機関側からセンター調査を依頼するのも考慮 するべきである
報告書作成の注意点 1) 事後的評価 とならないように留意する その医療行為が行われている時点での医学的な判断として 非難されるべき行為であるかを判断する 前医と後医の関係と同様 後医は前医を批判しない 2) 医師の裁量を十分配慮する 通常の医療行為から大きく逸脱したものでない限り 非難するべきでない 3) 文章の表現に注意する ~ するべきではなかった 等の表現は避けるべきである 4) 当該医療従事者の匿名化は勿論 非識別化を厳守すること
3 つのガイドライン厚生労働省 ( 日医 ) ( 平成 27 年 5 月 8 日 ) 日本医療法人協会 ( 平成 27 年 5 月 30 日 ) 全日本病院協会 ( 平成 27 年 8 月 ) 報告期限の目安 遅滞なく 30 日をめどに 7 日をめどに 報告対象 医療に起因した又は疑わしい 管理者が予期しなかった死亡事例 単純な過誤事例も含む 医療に起因した又は疑わしい 管理者が予期しなかった死亡事例 類型化された単純な過誤事例は含めない 既存の収集制度を利用し 医療機関が対応する事例 遺族への十分な説明に努める ( 有益な事情聴取が得られないので適切でない ) 医療に起因した又は疑わしい 管理者が予期しなかった死亡事例 単純な過誤事例も含む 人的 物的コストをかけて分析すべき事案に限定すべき ( 具体例 ) 極めて低リスクの手術 処置 投薬の後に急変した場合 院内調査の方法 支援団体へ必要な支援要請を行う ( 外部委員を入れることが義務 ) 院内の事故調査委員会で行う 外部委員は入れない 外部委員を入れて行う 病院長は院内医療事故調査委員会には参加しない 遺族への説明方法 ( 報告書の扱い ) 遺族の希望する方法で説明 ( 口頭 又は文書 又は両者 ) する 当該医療従事者の匿名化 ( 非識別化 ) 管理者の裁量で口頭 又は書面 ( 説明書 ) で説明する 報告書 の交付は慎重に判断 当該医療従事者の匿名化 非識別化 報告書 に基づいて十分に説明する 遺族に閲覧させたり 供与する必要なし 当該医療従事者の匿名化 医師法 21 条見直し 検討中外表異状説外表異状説
6. 大阪府医師会の取り組みについて
大阪府医師会の取り組み 2015 年 8 月 4 日第 1 回大阪府医師会事故調支援委員会開催 ( 生野弘道委員長 一番ケ瀬明副委員長とする ) 大阪府医師会 初期対応ガイドライン ( 案 ) の提示 2015 年 8 月 6 日厚労省 支援団体 を公示 2015 年 8 月 17 日厚労省 支援センター として 日本医療安全調査機構 を公示 2015 年 9 月 1 日総務部に医療安全支援課を創設し 医療事故調査のみ担当 ( 医事紛争は従来通り 医事紛争特別委員会で取り扱う ) 2015 年 10 月 6 日第 2 回事故調支援委員会開催 2015 年 10 月 6 日第 1 回大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会開催 協議会の会長に伯井俊明氏 副会長に茂松茂人氏と生野弘道氏が就任 大阪府の協議会事務局を大阪府医師会医療安全支援課に設置
( 従来型 ) 院内医療事故調査のイメージ手順 ( 案 ) 相談 管理者 届け出の判断 複数外部専門医 支援団体事務局 ( 窓口 ) 院内調査計画 事故届作成 提出 医療事故調査コーデイネーター ( 仮称 )( 院内医療安全指導者 ) 医療事故調査制度の概要説明 当事者 遺族 放射線医病理医委員長 Ai 検査 患者
院内事故調査委員会の構成 ( 案 ) 日本医師会 医療安全対策委員会 が推奨する構成 外部委員 院内委員 複数専門医 ( 主領域 ) 委員長 ( 外部 ) 管理者 当事者 専門医 ( 副領域 ) 看護師長 放射線専門医 (Ai) 病理医 医療事故調査コーデイネーター ( 院内の医療安全指導委員 )
支援団体 ( 職能団体 ) 日本医師会 都道府県医師会 日本歯科医師会 都道府県歯科医師会 日本看護協会 日本助産師会 日本薬剤師会 ( 病院団体 ) 日本病院会 日本医療法人協会 全日本病院協会 日本精神科病院協会 ( 大学病院 ) 日本私立医科大学協会 国立大学病院長会議 全国医学部長病院会議 ( 医学に関する学会 ) 日本内科学会 日本外科学会 日本病理学会 日本法医学会 日本医学放射線学会 等 42 学会 ( その他医療機関関係団体 )
支援団体の在り方について 法律告示通知 第 6 条の 11 病院等の管理者は 医学医術に関する学術団体 その他厚生労働大臣が定める団体に対し 医療事故調査を行うために必要な支援を求めるものとする 支援団体は別途告示で定める 医療機関の判断により 必要な支援を支援団体に求める 支援団体間で連携して 支援窓口や担当者を一元化する その際 ある程度広域でも連携が取れるような体制構築を目指す 解剖 死亡時画像診断 (Ai) については専用の施設 医師の確保が必要であり サポートが必要である
支援団体として可能な支援の内容 1. 医療事故調査制度全般に関する相談 2. 医療事故の判断に関する相談 3. 調査手法に関する助言 4. 報告書作成に関する助言 ( 医療事故に関する情報の収集 整理 報告書の記載方法等 ) 5. 院内事故調査委員会の設置 運営に関する助言 ( 委員会の開催 ) 6. 解剖に関する支援 ( 施設 設備等の提供を含む ) 7. 死亡時画像診断 (Ai) の支援 ( 施設 設備の提供を含む ) 8. 院内調査に関わる専門家の派遣
支援団体間の連携について ( 案 ) * 窓口は各都道府県で一か所 支援団体間での話し合いにより決める 平成 27 年 9 月に厚生労働省のホームページに掲載される 窓口 大阪府医師会支援団体 A 支援団体 B 支援団体 C 制度全般に関する相談 調査事故の判断に関する相談 調査手法に関する助言 報告書作成に関する助言 院内調査委員会設置 運営に関する助言 解剖に関する助言 Ai の支援 ( 施設 設備の提供を含む ) 院内調査に関わる専門家の派遣
大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会規約平成 27 年 10 月 6 日制定 ( 目的 ) 第 1 条大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会 ( 以下 協議会 という ) は 医療事故調査 等支援団体 ( 以下 支援団体 という ) が適切かつ円滑に役割を果たすため 支援団体間の連 携 調整を図ることを目的とする ( 所掌事務 ) 第 2 条協議会は 第 1 条の目的を達成するため 次の各号の事業を行う (1) 医療事故調査制度全般に関する事項 (2) 支援団体の支援内容に関する事項 (3) その他必要な事項
医療事故調査等支援団体相談受付票 ( 案 ) 様式第 1 号 医療事故調査制度における委託契約書 ( 案 ) 様式第 2 号 相談受付日 : 平成年月日 ( ) 担当者 : 死亡年日時平成年日 ( 曜日 ) 午前 午後時分 死亡の場所 診療科 委託者 ( 以下 甲 と称する ) と 疾患名 診療経過等 報告時点で把握している範囲 調査により変わることがあることが前提であり その時点で不明な事項については不明と説明 受託者 ( 以下 乙 と称する ) は 下記のとおり委託契約をいたします 委託業務 報酬の額 3~5 医療事故調査に関する助言 6 死亡に至った経過を検索するための解剖 7 死亡時画像診断 (Ai) における撮影 読影 8 専門委員 ( 医師 看護師 医療安全推進指導者 その他 ) の派遣 大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会 の協定に基づいて設定された金額 別紙参照 患者情報性別 : 男性 女性年齢 : 歳ヶ月 調査計画と今後の予定 支払の期限及び方法 報酬の支払いは 乙が内訳書 ( 請求書 ) を送付した月内に 甲から乙の口座へ振り込む 支援団体からの説明内容 連絡先医療機関名 : 要望する支援内容 実施した支援内容 所在地 : 管理者の氏名 : 連絡担当者 : TEL FAX E-mail: 制度全般に関する相談 調査手法に関する助言 委員会設置 運営に関する助言 死亡時画像診断 (Ai) 撮影のみ 死亡時画像診断 (Ai) 撮影および読影 制度全般に関する相談 調査手法に関する助言 委員会設置 運営に関する助言 死亡時画像診断 (Ai) 撮影のみ 死亡時画像診断 (Ai) 撮影および読影 医療事故の判断に関する相談 報告書作成に関する助言 解剖実施に関する支援 死亡時画像診断 (Ai) 読影のみ 専門家派遣に関する支援 医療事故の判断に関する相談 報告書作成に関する助言 解剖実施に関する支援 死亡時画像診断 (Ai) 読影のみ 専門家派遣に関する支援 平成年月日契約開始年月日この契約は 上記委託業務終了後に契約満了とする 所在地 ( 甲 ) 委託者印 所在地 ( 乙 ) 受託者印 ( 注 ) 本書は2 通作成し 甲 乙それぞれ1 通を所持するものとする 大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会 大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会
医療事故調査等支援団体支援実施報告書 ( 案 ) 様式第 3 号 報告日 : 平成 年 月 日 ( ) 担当者 : 死亡年日時 平成 年 日 ( 曜日 ) 午前 午後 時 分 死亡の場所 診療科 疾 患 名 第 5 条 ( 別表 ) 大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会支援受託規則 項目数量目安となる単価 3 院内事故調査の手法に関する助言 1 事案 10,000~50,000 円 患者情報 性別 : 男性 女性 年齢 : 歳 ヶ月 依頼者情報 医療機関名 : 所 在 地 : 管理者の氏名 : 連絡担当者 : 4 報告書の作成に関する助言 1 事案 100,000~300,000 円 5 調査委員会設置 運営に関する助言 1 事案 10,000~50,000 円 実施した支援内容 TEL FAX E-mail: 制度全般に関する相談 調査手法に関する助言 委員会設置 運営に関する助言 死亡時画像診断 (Ai) 撮影のみ 死亡時画像診断 (Ai) 撮影および読影 医療事故の判断に関する相談 報告書作成に関する助言 解剖実施に関する支援 死亡時画像診断 (Ai) 読影のみ 専門家派遣に関する支援 6 死亡に至った経緯を検索するための解剖 1 体 250,000~500,000 円 7 死亡時画像診断 (Ai) 撮影のみ 1 体 20,000~50,000 円 支援報告 7 死亡時画像診断 (Ai) 読影のみ 1 体 30,000~70,000 円 7 死亡時画像診断 (Ai) 撮影及び読影 1 体 50,000~100,000 円 8 専門家の派遣 謝金 1 回 10,000~30,000 円 8 専門家の派遣 交通費 1 回実費 ~10,000 円 経費請求額 受託団体 団 体 名 : 所 在 地 : 管理者の氏名 : 67 遺体の搬送 国土交通省への届け出料金 連絡担当者 : TEL FAX E-mail: 67 遺体の保管 24 時間 7000 円程度 大阪府医療事故調査等支援団体連絡協議会 注 : 消費税は別途
院内調査支援の要請と各支援団体との契約 ( 案 ) 3 様式第 2 号 4 様式第 3 号 医療機関から直接支援を依頼することも可能 3 様式第 2 号 4 様式第 3 号 3 様式第 2 号 4 様式第 3 号 3 様式第 2 号 専門医 委員長 支援団体 2 様式第 1 号 支援依頼 4 様式第 3 号支援完了報告 大阪府医師会医療安全支援課 1 様式第 1 号 医療機関支援要請 4 様式第 3 号 支援団体協議会 3 様式第 2 号 4 様式第 3 号 解剖 様式第 1 号 : 相談受付表様式第 2 号 : 委託契約書様式第 3 号 : 支援実施報告書 3 様式第 2 号 4 様式第 3 号 Ai, 読影 * 様式第 1 号 ~3 号は大阪府医師会のホームページからダウンロードできるよう整備予定
日本医師会 医療事故調査費用保険事故対応フロー 1 事故連絡書 2 事故連絡書 被保険者都道府県医師会日本医師会 都道府県医師会経由を希望される場合は 個別対応 3 事故連絡書 7 定期打ち合わせ * 事故連絡書 : 日本医師会 医療事故調査費用保険事故連絡書 保険会社 ( 幹事 : 東京海上日動 )
( 目的 ) 事故調支援委員会平成 27 年 8 月 4 日第 1 回開催 1. 支援団体間の調整 連携を図る 2. 円滑な院内調査を支援する 3. 医療事故調査に関する医療資源の把握 人材育成 4. 研修会の開催 ( 医療事故調査コーディネーター ( 仮称 ) の育成等 ) 5. 事例検討会 6. その他
大阪府内病院の Ai, 及び解剖実施状況 ( 大阪府内 11 の 2 次医療圏別状況 ) 平成 27 年 7 月 23 日現在 Q3. 死亡時画像診断 (Ai) を実施していますか? Q2. 病理解剖を実施していますか? 大阪府内 2 次医療圏 大阪府内 2 次医療圏 69 施設 69 施設
Q4. ご遺体を搬送する車両を保有していますか? 平成 27 年 7 月 23 日現在 大阪府内 2 次医療圏 244 施設
LiSS システム (NPO りすシステム ) とは LiSS システム = Living support system ( 生活支援サービス ) 遺体の搬送 保管のサービスあり 遺体の搬送については 新木場で集中管理し 24 時間全国から連絡を受ける 連絡あれば 遺体搬送車のある葬儀社に連絡を行い 医療機関と遺族への説明 打ち合わせを行い 遺体を引き取る 遺体の保管は 葬儀業者の冷蔵設備で保管し Ai 又は解剖支援施設へ搬入 りすシステム西日本支部 :MF 南森町ビル 4 階, 大阪には 3 名の職員がいる 費用 : 遺体搬送費用 ( 霊柩車料金実費 ) 遺体保管費用 (7,500 円 / 日 ) 搬送時の遺体収容袋 ( 解剖 Ai 実施時 ); 往復でそれぞれ 1 セット (1 万円強 2)
今後の大阪府医師会が取り組む課題 1) 医療事故調査コーディネーターの養成 事故調支援委員会での検討 研修会の開催 2) 各支援団体との連携 ( 支援団体連絡協議会の開催 ) 臓器ごとの専門家外部委員のリストアップ Ai 撮影 読影の協力施設 専門医のリストアップ 解剖施設の協力施設 専門医のリストアップ 3) 医師法 21 条による届け出と医療事故調査制度との関係 警察医会との検討会開催
医療事故調査制度の実施に向けて ( 日本医師会今村定臣常任理事のスライドより ) めざすべき価値基準 医療提供者と患者 国民の信頼関係 医療の質の向上 対立 から 対話 へ 医療界 医師会の真摯な姿勢と一丸となった取り組みがみられている!
ご静聴ありがとうございました