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IFRS in Focus IASB が マクロヘッジに関するディスカッション ペーパーを公表 目次 要点 IFRS Global office 2014 年 4 月 注 : 本資料は Deloitte の IFRS Global Office が作成し 有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです この日本語版は 読者のご理解の参考までに作成したものであり 原文については英語版ニュースレターをご参照下さい はじめに IASB は 動的リスク管理の会計処理 : マクロヘッジのポートフォリオ再評 IAS 第 39 号におけるマクロ公正価値ヘッジは何が問題か 再評価アプローチとは何か またどのように論点にヘッジ会計の課題に対処するのか 価アプローチ と題するディスカッション ペーパー (DP) を公表した DP は IAS 第 39 号のマクロ金利公正価値ヘッジ会計モデルを置き換える IASB のプロジェクトの最初のデュー プロセス文書である DP で検討されている 再評価アプローチ は ヘッジ対象リスクの変動に関するエクスポージャーのポートフォリオの測定を修正する単純な概念である 対応する利得または損失は それらのリスクをヘッジするために利 議論およびフィードバックの領域 用された 純損益を通じて公正価値で測定されたデリバティブに対して相 次のステップ 殺されるように 純損益で計上される さらなるリソース どのエクスポージャーを再評価に含めるかの決定および再評価の測定方法について 複雑性が生じる 例えば 予定取引は 貸借対照表で認識 および測定されるべきか ヘッジ対象リスクに晒されているポートフォリオ 全体が再測定されるべきか またはヘッジ対象部分のみか ポートフォリ オの底溜り部分 (bottom layer) のみが再測定できるか IASB は 提案されたモデルが有用な情報を提供し また 運用可能かど うかを理解するために フィードバックを求めている DP は 金利リスクのヘッジに焦点を置いているが IASB は どのように 本アプローチが他のリスクに適用できるかについてより知るための基礎と して DP を利用することに特に関心がある コメントの期限は 2014 年 10 月 17 日である ビデオ ポッドキャストでは ディスカッション ペーパーに関して ロバート ブルース (Robert Bruce) が クッシュ パテル (Kush Patel)(UK IFRS セ ンター オブ エクセレンスディレクター ) にインタビューをしている このイ ンタビューのビデオ ポッドキャストへのアクセスはこちらから はじめに IASB は 動的リスク管理の会計処理 : マクロヘッジのポートフォリオ再評価ア プローチ と題するディスカッション ペーパー ( 以下 DP ) を公表した 詳細は下記ウェブサイト参照 www.iasblus.com www.deloitte.com

DP は デリバティブを利用して エクスポージャーの動的ポートフォリオ (dynamic portfolios) に関するリスクをヘッジ ( マ クロヘッジ とも言われる ) する会社に関連がある DP は 銀行がヘッジするポートフォリオの金利のヘッジの例に焦点を 置いているが 議論された概念は 他のリスクに対して動的ポートフォリオ ベースでヘッジする企業にも適用される この形態のヘッジ活動は複雑であり 現行では 金利リスクのマクロ公正価値ヘッジモデルを含む IAS 第 39 号 金融商 品 : 認識および測定 の限られた範囲でのみ適用されている IASB の目的は IAS 第 39 号のマクロ公正価値モデルを最 終的に置き換え 他のリスクにも広く適用できる代替的なマクロヘッジ モデルを検討することである すなわち 目的は 動的ポートフォリオに一般ヘッジ会計を適用するより 運用上の負担とならず また 財務報告がより 有用で透明性のあるものとなるように 企業の動的なリスク管理をより反映するモデルを提供することである IFRS 第 9 号 金融商品 は IAS 第 39 号を置き換えるが IASB は IFRS 第 9 号の完成が遅延することを防ぐため IFRS 第 9 号のプロジェクトからマクロヘッジ プロジェクトを分離した マクロヘッジ会計のプロジェクトが進行している間 IFRS 第 9 号の適用企業が 会計方針の選択として IAS 第 39 号の金利リスクに対してマクロ公正価値ヘッジ会計モデルを引き続き適用することができる IAS 第 39 号におけるマクロ公正価値ヘッジは何が問題か デリバティブが 同じ基礎 ( すなわち 純損益を通じて公正価値で測定する FVTPL) で測定されないリスクをヘッジするために利用されている場合 経済的ボラティリティを減少するというリスク管理目的にもかかわらず ボラティリティが生じる ヘッジ会計は このボラティリティを減少させるために利用可能であるが ヘッジ会計は動的ポートフォリオのヘッジにはあまり適していない 1 対 1 のヘッジを一部緩和した IAS 第 39 号のマクロ公正価値ヘッジモデルは 1 対 1 のヘッジと近似するようにデザインされており 動的リスク管理を反映していない ヘッジ会計は ヘッジ対象およびヘッジ手段の具体的な指定を要求しており 実行するための特定のメカニズム および有効性テストを要求する そのような要求事項は 新しいエクスポージャーの追加 および古いエクスポージャーの除去で常に変動があり またヘッジ手段であるデリバティブのポートフォリオも頻繁に変動する場合の 項目のポートフォリオ ( すなわち オープン または 動的 ポートフォリオ ) のヘッジよりは 個別のヘッジまたは静的な項目のグループのヘッジ ( または クローズド ポートフォリオ ) に適している 一般ヘッジ会計モデルを動的ポートフォリオヘッジに適用する際に 以下のような多様な問題が生じる オープン ポートフォリオ ヘッジを一連のクローズド ポートフォリオとして扱うと 経済的ポジションと整合せず 適用されている動的リスク管理を反映しない ヘッジの非有効性から生じる純損益のボラティリティに必然的につながる ヘッジ対象とヘッジ手段のポートフォリオは変動するので ヘッジ会計は 追跡 (tracking) およびヘッジ調整の償却に関する運用上の困難が生じる 指定の中止および再指定が頻繁に発生する ヘッジ会計は 公正価値ヘッジまたはキャッシュ フロー ヘッジ会計のいずれかの選択を要求する 多くの場合動的ポートフォリオ ヘッジはネット マージンのヘッジを目的としているが いずれの会計処理も単独では実際の動的リスク管理活動 ( 例えば 銀行がヘッジする正味金利収益 ) を直接的に表現しない ヘッジ会計モデルは ヘッジ会計を適用できるエクスポージャーに制限があり 契約期間ではなく 予想される期間に基づいてポートフォリオ ベースで 経済的にヘッジされるエクスポージャーを多くの場合除外する ( 例えば 要求払預金およびパイプ ライン取引は 以下の通り ヘッジ会計に適格ではない ) 再評価アプローチとは何か またどのようにヘッジ会計の課題に対処するのか 再評価アプローチはヘッジ会計とは異なり そのアプローチの基本的な概念および仕組みは比較的単純である 金融資産 ( 例えば貸付金 ) と金融負債 ( 例えば顧客預金 ) のポートフォリオを保有し 結果として生じる当該資産および負債の間の金利リスク ポジションを金利スワップを用いてヘッジしている銀行を考える 再評価アプローチでは結果として管理されたポートフォリオを金利リスクについて再測定することになる ( ヘッジ有効性の評価は要求されない ) 金利リスクのヘッジに使用されるデリバティブは 通常どおり FVTPL として会計処理される 純損益への正味の影響は 金利リスクに関するヘッジをした後の銀行の残存するオープン リスク ポジションを表す 再評価モデルは IFRS 第 9 号での通常の会計

処理に追加の修正を行うものである それゆえ 資産および負債の通常の認識および測定が 再評価の修正が行われ る前に最初に適用される このモデル全面公正価値モデルではない すなわち リスク エクスポージャーは ヘッジ対象である金利リスクの変動部分についてのみ再評価され 信用リスクのような他のリスクについては再評価されない したがって 他のリスクの影響には 収益および費用の通常の会計処理が適用される 例えば 顧客に対する貸付金に課される信用マージンの発生は 通常通り金利収益に計上される ポートフォリオ再評価モデルは ヘッジ会計で直面する会計上の多くの課題に対処するものである 例えば 金利リスクについて管理されるもの全てに適用されるため その全期間にわたって 具体的な指定 ( または 指定の取消しや再指定 ) に関連する問題は生じない また ヘッジ調整の追跡や償却の負担が軽減される 金利リスクについてヘッジされる全てのものは 金利リスクについて継続的に再評価される この単一モデルはまた 適切に開発されれば すでに存在する公正価値およびキャッシュ フロー ヘッジに加えて財務諸 表のヘッジ活動を表示する代替的方法となり ポートフォリオ リスク管理活動の影響をより忠実に反映する結果となり得 る 基本モデルでは たとえ企業が意図的に全てのポートフォリオをヘッジしていない場合でもオープン ポジションが大きいほど 表示されるボラティリティがより大きくなる結果となる 代替案として DP はポートフォリオ全体の一部分 ( すなわち 個別のサブ ポートフォリオ ポートフォリオの一定割合 底溜まり部分 (bottom layer) リスク リミットに基づくポートフォリオなど ) に適用を狭めることを検討している これらの代替案は ポートフォリオ全体再評価アプローチに比べて運用上の複雑性が生じることになり また 以下で議論しているモデルの透明性に影響を与えることになる 見解ポートフォリオ全体に再評価モデルを適用すると ヘッジを選択して指定する一般ヘッジ会計を適用した場合に比べてより純損益のボラティリティが大きくなる結果となる これは 再評価モデルの目的が 単に純損益のボラティリティを減少させるだけではなく ヘッジ対象リスクに関する残存オープン ポジションの情報を含む 企業の動的なリスク管理に関する より透明性が高く 意味のある情報を提供することにあるためである 場合によっては ヘッジ会計で直面する会計上の課題に対処した結果として受け入れられるものとはならないかもしれない ポートフォリオ再評価モデルの主要な特徴は ポートフォリオが会計単位であり したがって ポートフォリオは予想キャッシュ フローを考慮に入れた行動ベース (behavioural basis) で再測定される これは 現在の一般ヘッジ会計モデルのもとでは非適格とされているエクスポージャーを潜在的に適合させるモデルにドアを開いている 例えば 要求払預金やパイプライン取引は ポートフォリオレベルにおいてはより実行可能性が高く 意味のある予想キャッシュ フローベースで測定されるため 当モデルでは潜在的に適格となり得る これは リスク管理の視点とより整合するものである このモデルの仕組みは ヘッジされたエクスポージャーは ポートフォリオの予想キャッシュ フローをヘッジ対象レートで割り引いた現在価値に基づいて再評価されるという単純なものになっている ポートフォリオの予想キャッシュ フローと割引率の両方は変動によって更新され 純損益に認識される利得または損失を生じさせる ( すなわち 再評価修正 ) 概念は単純であるが これには以下で検討されているような 様々な課題がある DP はまた 本モデルに付随する開示とともに 財務諸表の表示を検討している 議論およびフィードバックの領域範囲 DP は どのポートフォリオが再評価されるべきか また金利リスクについて一緒に動的に管理されている全てのエクスポージャーを含むべきかどうか または 適用にあたって 銀行によってヘッジまたは管理される個別のポートフォリオやポートフォリオの一定割合により焦点を当てるべきかについて検討している IFRS in Focus3

DP は 適用範囲を広げることまたは狭めることの長所と短所を検討している DP は 動的なリスク管理の対象となる全てのエクスポージャーへ適用することで 全てのリスク管理活動を考慮した後に残存する金利リスク ポジションの完全な絵が提供されると考えている しかしながら 実際のヘッジ活動により関心のある人たちにとっては 動的なリスク管理の対象であるポートフォリオ全体に関する情報は 有用な情報を提供することにならないという点に言及している ポートフォリオ全体に適用した場合の他の可能性のある問題点としては 限定的な固定金利のエクスポージャーのある企業が ポートフォリオ全体の再評価システムを採用する際に要求されるコストがある DP は ポートフォリオ全体ではなくヘッジ活動に焦点を当てる 2 つの可能性のある方法を検討している DP はサブ ポートフォリオ アプローチ ( 例えば 金利リスクについてモーゲージ ポートフォリオのみを再評価し 企業融資のポートフォリオや 当該モデル外で発行された社債のポートフォリオなどの他のポートフォリオはそのままとする ) を検討している また DP は 比例アプローチも検討している 当該モデルは 管理対象の 例えば 70% などの比例部分に対して適用するものである DP は ヘッジ活動に焦点を当てることは ヘッジ会計モデルとより整合的であり そして 銀行に 純損益のボラティリティを減少させる会計上の最適な解決策を選択することを可能にすると述べている しかしながら そのようなアプローチは ヘッジを行わないという決定の影響に関する情報が提供されないことや リスク管理と適合しないかもしれない断片的な適用 (piecemeal application) の結果となることを強調している 当該モデルを適合するヘッジ活動に限定することはまた 再評価モデルの中止または開始に関するヘッジ会計で直面する実務上のいくつかの困難 例えば ヘッジ対象 の比例部分または ヘッジ対象 サブ ポートフォリオはいつ変更されるのかなどが生じる 任意かまたは強制か DP は 自由な選択が与えられた場合 企業は以下の中から選択することができることを認識している ヘッジ会計も ポートフォリオ再評価モデルも適用しない ヘッジ会計を適用する ポートフォリオ全体に対してポートフォリオ再評価モデルを適用する また もしポートフォリオ アプローチが サブ ポートフォリオに適用するように開発された場合 企業は 一部のサブ ポートフォリオに対して ヘッジ会計を適用し その他について再評価モデルを適用するという選択肢を有することになる このようなアプローチは ヘッジ活動からの純損益のボラティリティを減少させることに焦点を置く人たちに適合している 再評価アプローチの採用が任意であった場合 任意に中止できるのか また 過去の再評価調整の償却や追跡をどのように取扱うかについて更なる検討が必要である 再評価されるポートフォリオにはどの項目が含まれるのか DP は 予想キャッシュ フローに基づくエクスポージャーに含まれるもの すなわち 純粋な契約ベースに代えて行動ベース (behavioural basis) とするかについて検討している コアな水準の要求払預金がポートフォリオに含まれた場合 ただちに支払が要求される可能性はあるが 要求がおこるとは予想されないことから含められているのであり そしてそれは公正価値金利リスクが生じることを意味する また 期限前償還可能な貸付金が含まれる場合 前払の予測を考慮した後の予想キャッシュ フロー プロファイルに基づく このアプローチに基づいて DP は パイプライン取引やエクイティ モデル ブックが再評価ポートフォリオに含められるべきかどうかを検討している IFRS in Focus4

コア要求払預金 (core demand deposit) は 一定期間にわたって安定的なままであることが予想される銀行の預金ポートフォリオの金額をいう 全体的な預金の残高は変動する可能性があり また ある顧客からの預金は 他の顧客からの預金に置き換わるかもしれないが 分析された行動に基づくと 銀行は しばしば 何らかの信頼性をもって 一定期間にわたって維持することが予想されるコアな預金の金額を予測することができる コア要求払預金残高の期間が 個々の各預金の契約上の期間 ( すなわち 要求払い ) よりも長くなるようにモデル化されることから コアな要求払預金には 一般ヘッジ会計モデルの下では公正価値ヘッジが適用できない公正価値リスクが生じることになる パイプライン取引 (pipeline transaction) は 募集利率で固定金利商品が実行される予定数量である 募集利率は 取りやめることも拒否することもできるので これらの取引はまだ確定約定ではない しかし 実務上 事業開発または評判上の理由から たとえ金利が銀行にとって好ましくないように事後に変動する場合であっても そのような申し込みは 顧客のためにそのままとされている その結果 そのようなエクスポージャーの金額は 見積もられた数量に基づいてヘッジされ 確定約定であるかのように有効にヘッジされる これが一般ヘッジ会計においては適格ではないものであることは 注目すべきである エクイティ モデル ブック (equity model book) は 銀行の資本保有者に対する固定レートのリターンを目標とした銀行の資本の一部分をいう それゆえ エクイティ モデル ブックは リスク管理の観点からは 資本による調達の代わりに固定金利負債で負債により調達する企業と類似した固定金利エクスポージャーをもたらす エクイティ モデル ブックは 銀行が 資本保有者に対する支払を 資金提供に対する補償としての固定ベースの金額 ( 負債提供者と同様の方法で ) と 追加的な資本リスクを負ったこと ( すなわち 損失の吸収 (loss absorption) を提供すること ) を補償するための変動する残余の金額 ( 純利益の合計から基本リターンを控除した結果 ) から構成されると見ていることから生じている 資本保有者に対する基本固定リターンは契約上のものではないが 支払われるであろうという期待に基づいてヘッジされる それゆえ 金利リスク管理の観点からは エクイティ モデル ブックは 固定金利負債と何ら異なるようには見られない 結果として このエクスポージャーは複製ポートフォリオ (replication portfolio) を使用することによって 金利リスクについて管理対象としているポートフォリオに含まれる 例えば 複製ポートフォリオは 一連の 3 年の固定利率預金と見ることができる このような方法でリスクを管理することは 銀行にとって 資本保有者に対する目標ベースのリターンを金利リスクから保護することを可能にする DP は IASB での議論において IASB が パイプライン取引やエクイティ モデル ブックへの再評価アプローチの適用によって リスク管理と会計とがより密接になるとしても 重大な概念上の困難を伴う論点を発生させることに留意したこと また何らの決定も行われておらず 慎重な検討が必要とされていることを強調している リスク管理活動と会計との間の完全な調整が達成される前に 重大な課題を克服することが必要となる さらに IASB は 完全な調整が達成可能か またはそれを望むかどうかは 討議および議論次第であることに留意した エクスポージャーの再評価管理対象のリスクに関するエクスポージャーの再評価は 割引かれるキャッシュ フロー ( 分子 ) および割引率 ( 分母 ) が 管理対象 リスクを参照して識別する( 例えば 3 ヶ月 LIBOR) 通常の現在価値技法を使用して計算される DP は リスク管理の目的が正味金利収益のヘッジである場合 管理対象リスクを最もよく表すのは 銀行がベンチマークとしている資金調達のインデックスである可能性があるとした しかし モデルをより運用可能とするため アセット ライアビリティー マネジメント (ALM) からビジネス ユニットへリスクおよび内部資金を移転するために銀行内で使用されている移転価格の仕組みを利用して関連する管理対象リスクを捕捉することが可能である これにより 割引くキャッシュ フローと適用する割引率の識別がより容易になる 例えば コア要求払預金を測定するために 移転価格が使用可能となる 移転価格における黙示的またはみなしの固定金利リスクは 通常 一連の移転価格の預金取引を通じて ALM に含まれており ポートフォリオにおける識別されたコア要素を測定するために容易に利用可能である 実務上は 移転価格情報の使用範囲 統制および堅牢性は 様々である しかし 情報が信頼性をもって決定される場合 それは期待キャッシュ フローの識別および測定に関して有効かつ実務的なアプローチとなる可能性がある 異なる銀行において移転価格が決定される方法が異なることを考慮すれば (DP においてより詳細に検討 ) 移転価格の使用は 銀行間での比較可能性に関して課題をもたらす可能性がある 例えば 銀行は 自身の信用リスクとプライシング方針 ( 例えば あるローン商品の成長を奨励するために調達金利の引き下げを提供する場合 ) の違いにより 異なる修正を行う場合がある さらに考慮すべきは 移転価格を通じて ALM に 移転される リスクが 管理対象エクスポージャーに存在するリスクをどの程度表現しているかである 例えば 管理対象エクスポージャーが サブ LIBOR の商品で構成され 移転価格を使用して ALM に移転される管理リスクが LIBOR である場合 サブ LIBOR のエクスポージャーの再評価のために LIBOR の移転価格が使用可能かどうかに疑問が生じる DP は リスク管理アプローチと整合的である場合に サブ ベンチマーク IFRS in Focus5

金利の金融商品を再評価ポートフォリオにおいてベンチマーク金利の金融商品として含めるべきかどうかのフィードバッ クを個別に求めてている 表示再評価アプローチの表示について DP は 財政状態計算書における修正の表示について 3 つの代替案 損益計算書における表示について 2 つの代替案を検討している 財政状態計算書について検討されている 3 つの代替案は以下のとおりである 表示科目別のグロスアップ 再評価ポートフォリオに含まれ エクスポージャーを含むそれぞれの資産および負債科目は 管理対象リスクの再評価を反映して修正される 資産および負債の修正の合計額を独立表示 再評価される資産および再評価される負債の再評価修正のために独立した新しい表示科目が使用される 単一の純額表示科目 ポートフォリオ再評価アプローチの対象となる全てのエクスポージャーに関する再評価修正の純額は 財政状態計算書において 純額修正に応じて資産または負債として新に単一の表示科目で記録する 損益計算書における 2 つの代替案は以下のとおりである 実際正味金利アプローチ 通常どおりに実際の金利収益および費用が報告され リスク管理商品からの正味の金利 ( すなわち 当期間におけるデリバティブに係る正味金利の発生額 ) を表示するための追加の金利表示科目を伴う 安定的正味金利収益アプローチ 正味金利収益は 銀行のリスク管理目的が正味金利の安定化であるという仮定に基づき報告される 金利収益および費用は 戦略が完全に有効であることを仮定して 管理金利 ( マージンを追加 ) により測定される それぞれのアプローチにおいて ポートフォリオの再評価修正の残額 ( 正味金利収益に認識された金額を考慮後 ) は 独 立の表示科目に表示される 内部デリバティブの役割再評価アプローチの表示は 外部デリバティブではなく内部デリバティブがリスク管理商品として使用される場合に複雑となる 例えば 内部デリバティブがトレーディング部門にリスクを移転するために使用され トレーディング部門がその他の相殺し合うポジションやトレーディング戦略に基づき外部デリバティブの契約を選択的に行う場合である さらに 外部デリバティブが締結される場合 それは必ずしも内部デリバティブと一致するベースにはない 財務諸表においてリスク管理とトレーディング活動を別個に反映させるため DP は 相殺される内部デリバティブを損益計算書において総額表示することを検討している 全ての内部デリバティブからの純損益は消去されるため 純損益に対する正味の影響はない ( すなわち リスク管理とトレーディング部門の内部デリバティブは完全に相殺される ) しかし 内部デリバティブの影響は 再評価アプローチに関する上述の表示を使用し 反対側 にトレーディングの純損益が表示されることで 損益計算書において総額で表示される 例えば 企業が 動的金利リスク管理目的で トレーディング デスクと内部金利スワップを実行する場合を検討する トレーディング デスクは リスクの保持を望み 同額の反対取引の外部デリバティブを締結しないことを選択する 企業が 上述の実際正味金利アプローチを損益計算書において適用すると仮定する 取引日において 内部金利スワップは市場レートであり公正価値はゼロである 当該期間の末日において スワップの公正価値は CU110 に上昇し その内の CU100 がクリーン ( すなわち 経過利息を除く ) な価値を表す 期間中にスワップに関する金利の精算は行われなかった ( すなわち 当期間中のスワップの経過利息は CU10 である ) 内部デリバティブを使用して実施される動的リスク管理活動の影響を明らかにするために 以下の項目が損益計算書に含まれる IFRS in Focus6

表示科目 CU 金利収益 X 金利費用 X 動的リスク管理からの正味金利 10 正味金利収益 X 動的リスク管理からの再評価の影響 100 トレーディング損益 110 純損益 X 以上のように 内部デリバティブに係る利得および損失が総額で表示されるが 純損益への純額の影響はゼロである 開示 DP は 企業の動的リスク管理活動 および財務諸表における再評価アプローチの適用方法について利用者による理解を高めるであろう開示について利用者と作成者からのインプットを求めている これを促すため DP は 検討のための 4 つの開示テーマを考慮している エクスポージャーにおけるリスクの識別を含む 動的リスク管理の目的と方針に関する定性的情報リスク ポジションおよびそれがポートフォリオ再評価アプローチに与える影響に関する定性的および定量的情報ポートフォリオ再評価アプローチの適用動的リスク管理が企業の現在および将来の業績に与える影響に関する定性的および定量的情報 代替的アプローチ DP は 上述のモデルからの派生案について検討している 派生案では 管理されるエクスポージャーの再評価とリスク管理商品の公正価値の変動からの再評価の純額の影響を 純損益ではなく その他の包括利益に認識する 正味金利収益の表示は 上述の実際金利アプローチで示されている通りである DP は この代替案は検討すべき重要な実務上および概念上の論点があることに留意している 例えば この代替案は リスク管理商品の再評価が 純損益に認識されるとする再評価アプローチの開発における基礎となる仮定と整合的ではない さらに 内部デリバティブの総額表示が純損益においてゼロにネットされないため 上述の内部デリバティブの取扱いについて再検討する必要がある その他のリスクへの適用 IASB は 動的リスク管理活動が 銀行業以外や為替リスクやコモディティ価格リスクのような金利リスク以外のリスクにも存在することを認識している したがって IASB は 金利リスク以外にも適用可能な 動的リスク管理活動に対する会計アプローチの開発を探求している DP において IASB は 銀行における安定的なネット マージンを達成するための金利リスクの動的リスク管理と その他の業種における為替リスクやコモディテイ価格リスクの動的リスク管理の間での類似点と相違点を記述している 予定取引は しばしば企業によりヘッジされるが それは再評価のリスクを生じさせないという事実を例とする 数多くの課題が指摘されている また 企業は 時間が経過するにつれエクスポージャーに対するヘッジ対象金額が減少するヘッジ戦略をとる傾向があるため ( 例えば 最初の 12 ヶ月はエクスポージャーの 100% をヘッジし 次の 12 ヶ月は 70% をヘッジし その後は 40% をヘッジする場合がある ) ヘッジされていないポジションがより重要となり 再評価アプローチが ヘッジ会計を適用しない場合よりもボラティリティをもたらす可能性がある 次のステップ DP に対するコメントは 2014 年 10 月 17 日まで IASB に提出可能である コメント期間終了後 IASB は 適切な次のス テップを決定するために受け取ったコメントの検討を行う予定である IFRS in Focus7

さらなるリソースロバート ブルースが DP 動的リスク管理の会計処理: マクロヘッジのポートフォリオ再評価アプローチ のビデオ ポッドキャスト インタビューで司会を務めている インタビューでは ロバート ブルースが IFRS センター オブ エクセレンス ( 英国 ) のディレクターであるクッシュ パテルに質問をおこなっている このインタビューのビデオ ポッドキャストへのアクセスはこちらから トーマツグループは日本におけるデロイトトウシュトーマツリミテッド ( 英国の法令に基づく保証有限責任会社 ) のメンバーファームおよびそれらの関係会社 ( 有限責任監査法人トーマツ デロイトトーマツコンサルティング株式会社 デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー株式会社および税理士法人トーマツを含む ) の総称です トーマツグループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり 各社がそれぞれの適用法令に従い 監査 税務 コンサルティング ファイナンシャルアドバイザリー等を提供しています また 国内約 40 都市に約 7,300 名の専門家 ( 公認会計士 税理士 コンサルタントなど ) を擁し 多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています 詳細はトーマツグループ Web サイト (www.tohmatsu.com) をご覧ください Deloitte( デロイト ) は 監査 税務 コンサルティングおよびファイナンシャルアドバイザリーサービスを さまざまな業種にわたる上場 非上場のクライアントに提供しています 全世界 150 を超える国 地域のメンバーファームのネットワークを通じ デロイトは 高度に複合化されたビジネスに取り組むクライアントに向けて 深い洞察に基づき 世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスを提供しています デロイトの約 200,000 名を超える人材は standard of excellence となることを目指しています Deloitte( デロイト ) とは 英国の法令に基づく保証有限責任会社であるデロイトトウシュトーマツリミテッド ( DTTL ) ならびにそのネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびその関係会社のひとつまたは複数を指します DTTL および各メンバーファームはそれぞれ法的に独立した別個の組織体です DTTL( または Deloitte Global ) はクライアントへのサービス提供を行いません DTTL およびそのメンバーファームについての詳細は www.tohmatsu.com/deloitte/ をご覧ください 本資料は皆様への情報提供として一般的な情報を掲載するのみであり その性質上 特定の個人や事業体に具体的に適用される個別の事情に対応するものではありません また 本資料の作成または発行後に 関連する制度その他の適用の前提となる状況について 変動を生じる可能性もあります 個別の事案に適用するためには 当該時点で有効とされる内容により結論等を異にする可能性があることをご留意いただき 本資料の記載のみに依拠して意思決定 行動をされることなく 適用に関する具体的事案をもとに適切な専門家にご相談ください 2014. For information, contact Deloitte Touche Tohmatsu LLC. Member of Deloitte Touche Tohmatsu Limited IFRS in Focus8