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Transcription:

- 研究 - 二重床の軽量床衝撃音遮断性能 戸田正彦小林裕昇 前田典昭堤拓哉 Lightweight Floor Impact Sound Insulation of a Double Floor Masahiko TODA Hironobu KOBAYASHI Noriaki MAEDA Takuya TSUTSUMI The effects on lightweight floor impact sound insulation of a double floor of various factors such as the number of support legs,airtight condition and the height of the air layer were studied.the results of this study were as follows: 1)Lightweight floor impact sound insulation was improved by a decrease of support legs. 2)It was made worse by enclosure of the air layer. 3)It was improved by an increase in the height of the air layer,but it was almost constant above a certain height. Keywords:lightweight floor impact sound,double floor,air-borne sound,solid-borne sound 軽量床衝撃音, 二重床, 空気伝播音, 固体伝播音 二重床の支持脚本数, 密閉条件, 懐深さ ( 空気層の厚さ ) が, 軽量床衝撃音遮断性能に及ぼす影響について調べ, 以下の結果を得た 1) 支持脚本数を適切に減らすことにより, 遮断性能は向上した 2) 空気層の周囲を密閉することにより遮断性能は悪化した 3) 懐深さを大きくすることにより遮断性能は向上したが, ある深さ以上ではほぼ一定となった 二重床とは, 支持脚とその上に載るベースパネルとで構成されたものである おもに鉄筋コンクリート系の集合住宅に施工される 支持脚はスラブと直接接触する防振ゴムと支持ボルトからなる 支持ボルトは一般に鋼製であるが, プラスチック製の場合もある またベースパネルは, パーティクルボードや合板など, 木質系のパネルがほとんどである 1) 二重床は, スラブと床パネルとの間の空間に配線 配管の収納が可能であり, 支持脚の高さ調節によってフラットな床施工が容易であり, 工期の短縮 が可能であるなど, 直張り床に比べての利点がある その反面, コストが高くなりやすく, また直張り床からの変更が困難であり, 建物の設計段階から考慮しなければならないなどの欠点もある 二重床の床衝撃音遮断性能に影響を及ぼす因子としては, 支持脚の形状 材質 本数 配置, ベースパネルの質量 曲げ剛性, 懐深さ ( 空気層の厚さ ) などが挙げられる 2) 本研究では, 二重床の支持脚本数, 密閉条件および懐深さが, 軽量床衝撃音遮断性能に及ぼす影響について検討した -1-

( ), ), 4,,, ), B Cross-section of testing facilities

析器 (SA-27) および1/2インチマイクロフォンセット (MK-50) である 試験施設は林産試験場の床スラブである スラブ厚さは165mmであるが, 不陸調整のため約 20mm 掘り下げてモルタルを30mm 程度打設している 軽量床衝撃音は, 軽量床衝撃音発生器を試験体中央に, かつ正方形をなすスラブ面の対角線にタッビングハンマの列が一致するように置いて発生させた また, 床衝撃音レベルは, スラブ面中心の直下に設置したマイクロフォンを使用して測定し,10 秒間の平均音圧レベルを床衝撃音レベルとした また, 試験体を設置しない状態での床スラブ素面の軽量床衝撃音レベルも測定した 軽量床衝撃音レベルの測定 方法をに示す なお, 音圧レベルは, 計測時の受音室内の温度, 湿度などの影響を受けるため, 異なる日時で測定したものは, 直接は比較できない そのため, 試験体を設置したのちの測定値と, スラブ素面での測定値との差を低減量として算出した 低減量の算出は以下の式によった 3) L=L 0 -L 1 L: 床衝撃音レベル低減量 L 0 : スラブ素面の床衝撃音レベル L 1 : 試験体設置後の床衝撃音レベル ( 単位はいずれもdB) -3-

ンが長くなったことによってバネ係数が小さくなり, 床衝撃音の伝播経路を推定するため, 前節で行っ衝撃源とベースパネルとが接触している時間が長くた受音室での測定のいくつかの条件についてスラブなったことに起因する 4,5) また, 曲げモーメントの上面における音圧レベルの測定を行った 試験体の減少は, 中央部の支持脚 2 本を除去することにより, 設置方法および床衝撃音の発生方法は前節と同様でスラブへの衝撃位置がスパン両端部へ移動したことあり, マイクロフォンをスラブ上面の中心に固定しに起因する た 試験体の条件は, 支持脚本数を4 本, 懐深さをこの結果から, 支持脚間のスパンを大きくするこ 70mmおよび130mmの2 種類, 密閉条件を木枠の有とによって, 低減量を増加させる可能性があると思無 2 種類とした われる 一方, スパンを2 倍にした場合, 中央集中荷重条件では, 中央たわみが8 倍になるため, 歩行 感の悪化や家貝類の配置による沈み 傾き等に注意 が必要である 各条件における軽量床衝撃音レベル低減量を に示す 支持脚本数による軽量床衝撃音レベル低 減量の変化の一例として, 懐深さ70mmの場合を 例として, 懐深さ130mmの場合の, 木枠の有無そ に示す 木枠のない状態では, 支持脚本数が6 本れぞれの条件での床衝撃音レベル低減量をにから4 本に減少した場合, 床衝撃音レベル低減量は示す また, 床スラブ上面における床衝撃音レベル増大する傾向が認められる をおよびに示す いずれの計測位置にこれには, 衝撃力のピークの低下と, スラブが負おいても, 木枠で囲うことによって,250Hz 以下で担する曲げモーメントの減少の二つの理由が考えらは低減量の減少すなわち音圧レベルの増大が認められる 衝撃力のピークの低下は, 支持脚を6 本かられた また, 木枠と試験体とのすき間をテープで密 4 本に減少させて, ベースパネルの長手方向のスパ閉したことによる変化は微小であった J.Hokkaido For.Prod.Res.Inst.Vol.10,No.6,1996-4-

各条件における, オクターブ帯域中心周波数 125Hzおよび250Hzでの懐深さと床衝撃音レベル低減量との関係をに示す いずれの周波数においても, 懐深さ110mm 程度までは, 懐深さの増加に従って低減量は増大する傾向が認められた これは, 懐深さを大きくすることにより, 音源点と受音点との距離による減衰が大きくなったためと思われる また, 木枠で囲った場合の方が, その傾向は顕著であったが, 支持脚本数の違いによる差は認められな かった なお, 実際の施工では, 四周の納まりに際 根太を使用するため, 拘束条件が増し, 衝撃を支持 脚と際根太の両方で受けることになり, 床衝撃音遮断性能は悪化することが確認されている 2,3,5,6) -5-

二重床に衝撃が加わった場合, 床スラブに伝わる床衝撃音には, 支持脚を伝わる固体伝播音と, 空気と表すことができる 7) したがって, 受音室内においを伝わる空気伝播音との2つが同時に存在すると考て, 固体伝播音に由来する音圧レベルをL s, 空気伝えられる この場合, 懐深さや密閉状態を変えるこ播音に由来するものをL a とすると, 受音室での音圧とによって, 空気伝播音は変化するが固体伝播音はレベルL L は変化しないと仮定することにより, 固体伝播音と空気伝播音とに由来する床衝撃音レベルの割合を推定することが可能である と表すことができる 一般に,L 1 (db) の音とL 2 (db) の音が同時に存在すここで, 受音室内での音圧分布が均一である場合, ることによってL 3 (db) の音になった場合, 懐深さを変えることによる音圧レベルの変化の程度 J. Hokkaido For.Prod.Res.Inst.Vol.10,No.6,1996-6-

は, 受音点とスラブ上面中央部とで等しいと仮定する 懐深さd1,d2(d1<d2) のときの床衝撃音レベルをそれぞれL L1,L L2, また空気伝播音に由来する音圧レベルをそれぞれL a1,l a2 とすると, 次のようになる ここで,Dは懐深さをd 1,d 2 としたときの床スラブ上面における音圧レベルの差である これらの式より,L s は, となる 実測で得られた各条件でのL L1,L L2, およびDを上式に代入して算出したL s およびL a をに示す 図中でL s,l a が表示されていない周波数は, 軽量床衝撃音レベルが懐深さ70mmと130mmの場合で逆転もしくは一致しているために, 計算できなかったものである 今回の試験体では, 受音室の軽量床衝撃音レベルに対し,L a よりもL s の寄与する割合が大きく, その傾向は懐深さが大きい方が顕著であった このような場合には, 防振ゴムの改良など, 固体伝播音を減少させる防音対策が有効であると思われる また, 市販されている二重床の空気層に吸音材を挿入することによって,2~3dBの低減量が見込めることが確認されている 6) が, これは空気伝播音が減少したことに起因すると考えられる 二重床の軽量床衝撃音遮断性能に影響を及ぼす因子を検討し, 試験体の条件を変化させて試験を行なった結果, 以下のような結論を得た (1) 支持脚の本数を適切に減らすことによって, 低減量は大きくなる (2) 木枠で囲うなど, 空気層の周囲を密閉することにより, 低減量は小さくなる (3) 懐深さが大きいほど低減量は大きくなるが, ある程度の深さ以上ではほぼ一定となる 1) 宮田貞夫, 稲葉健司 : 床 monthly,vol.38, March,41-43(1995). 2) 和木孝男ほか2 名 :GBRC, (3),16-28(1995). 3) 福島寛和ほか2 名 : 音響技術, (1),37-42 (1995). 4) 安岡正人 : 音響技術, (4),1-27(1977). 5) 福島寛和ほか2 名 : 建築技術,No.540,p.110-123. 6) 米澤房雄 : 建材試験情報, ( 4),17-23(1995). 7) 前川純一 : 建築音響, 共立出版,p.7-8(1978). - ( 原稿受理 :1996.9.27) -7-