33 キョウチクトウ ( 夾竹桃 ) キョウチクトウ科 常緑 低木 ~ 小高木 昆虫が近づかないため実はつけない 近年は当地でもよく植えられるようになった インド原産で, 日本には江戸中期に渡来した 暖地性の植物であるが, 近年は県内でも観賞用に庭木や公園木としてよく植えられるようになった 特に公害に強い木といわれ, 緑化用樹木としての利用も多い 木は弱毒性のため, 昆虫がこの花を嫌い, 交配されずに種子は結ばない 34 キンシバイ ( 金糸梅 ) オトギリソウ科 落葉 小低木 梅に似た花弁 ビヨウヤナギの花弁はおしべがとても長い 17 枝は基部からよく分岐する 高さは1m 程になる 葉は, 無柄対生 葉を透かして見ると油点が見える 葉の長さは2cmくらい 花は直径 3~4cmの黄金色で6~7 月に咲く 花弁には艶があり5 枚が巴状に重なり咲く 近似種のビヨウヤナギは高さ1.5m 葉は4cmで5 枚の花弁は反り返る おしべの長いのが特徴
35 キンモクセイ ( 金木犀 ) モクセイ科 日本人に最も好まれる樹木であろう 常緑 小高木 庭, 公園, 学校等に広く植えられる 甘い香りが好まれ, 数ある緑化木の中でも, 最も人気のある樹木 秋に橙色 ( 黄金色 ) した花の甘い香りは, かなり遠く離れた所まで届く ギンモクセイの花は白色 刈り込みに強く, 円筒形や鐘形などの庭木や生垣として利用される 実は見られないが, 挿し木で容易に増殖できる 36 クスノキ ( 楠 ) クスノキ科 日本の樹木では有数の大木になる 常緑 高木 暖地性の樹木だが, 県内でも平野部などでは生育可能である 街路樹や神社, 公園などに多く植えられる 葉は互生, 表面は光沢があり3 本の葉脈がはっきり確認できる 裏面は白緑色 日本最大の巨樹は鹿児島県にある 蒲生のくす でクスの大木は各地にある クスノキは 樟脳木 とも言われ, 防虫剤や医薬品に使われる樟脳を取る 18
37 クチナシ ( 梔子 ) アカネ科 常緑 低木 花期は 6 7 月頃 オオヤエクチナシ 花は枝先に 1 個つく がく片が残る果実 静岡県以西の暖かい地方のものといわれるが, 県内でも庭園や公園などによく植えられる 花は6~7 月に枝の先端に大型の花を1 個咲かせる この匂いは春のジンチョウゲ, 秋のキンモクセイと並ぶ良い香りを発する代表木 オレンジの実は, 黄色の布の染料, 漬け物の着色に使われる 38 クヌギ ( 櫟 ) ブナ科 銀色の春萌え左 : 冬樹右 : 夏樹 夏の樹姿 落葉 高木 山野に生え雑木林の主要な樹種である 公園などには郷土樹種の代表として植えられる 2 年越しで成熟した果実は, お椀形の殻斗に包まれたドングリになる 樹皮は灰褐色で縦長に深い丌揃いの裂け目が入り, ゴツゴツして固い 果実は万葉集で つるばみ と読まれ, 布の染料原料として使用された 19
39 クロマツ ( 黒松 ) マツ科 庭園に植えられるクロマツ 樹皮が歴然と違う右がクロマツ, 左 2 本がアカマツ 常緑針葉 高木 県内の松は主にクロマツとアカマツである 樹皮が暗褐色と赤褐色の違いで, 見分けがつく 針葉は固く 雄松 とされ, 反対にアカマツは軟らかく 雌松 と呼ばれる 古来から縁起の良い木として, 庭木の代表樹として優れた風格を醸し出す 近年は松くい虫被害に脅かされ, 憂慮される事態になっている 40 クロモジ ( 黒文字 ) 樹姿 クスノキ科 果実 緑色の樹皮と黒い斑点 落葉 低木 山野に普通に生える低木 近年は花, 樹皮, 香りを楽しむため, 庭木に多く植えられる 早春に黄緑色の葉が出る前, 淡い黄色の小花を咲かせ, 季節感を漂わせる 樹皮は平滑で暗緑色に黒い斑文がある 和名の 黒文字 はこの斑文を文字になぞったもの 材は香りがよく, 黒文字の楊枝はよく知られる 20
41 ゲッケイジュ ( 月桂樹 ) 花序をつけた枝 クスノキ科 常緑の葉は上品な香りを放つ 常緑 小高木 クスノキ科の多くの樹木は芳香を出す木が多いが, 中でもゲッケイジュはその代表格である 地中海沿岸地方の原産といわれるが, 県内でも通常に生育し, 寒害にも影響がないように見える 枝を分岐させながら上向きに立たせながら成長する 乾燥した葉は, ローリエとしてカレーやスープの香りつけとして用いられる 42 ケヤキ ( 欅 ) ニレ科 公園に植えられたケヤキ 枝幅の狭いケヤキ品種 落葉 高木 古くから公園や神社 仏閣, 公園, 街路樹として色んな場所に植えられる 青葉通りや定禅寺通りの街路樹は仙台市を代表する木である 宮城県の県木でもある 木姿は, 太い枝が広がり箒状になるが, 近年は枝幅の狭い品種が好まれる 新緑, 深緑, 紅葉, 冬枯れなど, 四季折々に変化を醸し出す木である 21
43 コウヤマキ ( 高野槇 ) 自然樹形のコウヤマキ スギ科 枝と葉 常緑針葉 高木 自然樹形が美しいので, 庭園や公園などによく植えられる 日本庭園の構成木として欠かすことのできない樹木で, 県内の旧家には古い巨木が残されている 巨木になる樹木で樹高 30 m 位に達するものもある 和名は, 高野山に多いことから名付けられた 秋篠宮親王殿下のお印の木としても有名である 44 コデマリ ( 小手毬 ) 手まりに似た花冠 バラ科 花は前年伸びた枝にビッシリつく 落葉 低木 中国原産 古くから庭木や公園樹によく植えられる 花は早春に新しい枝先に葉が開くとともに1cmほどの花を集め咲かせる 小さな手まり状の花を上向きに隙間なく並べ咲かせ花のつけた枝先は, その重みで垂れ下がり, 見事な姿で春を代表する木である 伸びすぎた枝は強い剪定にもよく絶え, 新しい枝をたくさん出す 22
45 コナラ ナラ科 落葉 高木 樹姿 冬のコナラ林 果実 県内の自然林では, 本数蓄積とも最も多い樹木で, 雑木林を構成する最も重要な樹種である 里山を構成する代表樹であることから, 公園などに郷土樹種として広く植えられるようになった 春の少し遅い時期の芽生えは, 銀色から黄緑色に変わり若葉とともに花を付ける 秋の黄葉は褐色で地味ながら味わい深い 46 コノテガシワ ( 児手柏 ) ヒノキ科 常緑針葉 小高木 列植し生垣として使われる 中国原産 葉がヒノキに似て, 枝は直立することから表裏の区別がしにくい 原産地では高さが10mほどになるといわれるが, 県内では公園や庭に多く植えられ, 一般的には低く抑えながら管理するものが多い 高さを必要とする場所の生垣には好適な木である 和名は掌を合わせ, 立っている様子を見立てたもの 23
47 コブシ ( 辛夷 ) サクラより花期は早い モクレン科 蕾の先端は北を向く葉よりも早く出て咲く果皮が割れ種子が出る 落葉 小高木 山地に自生し, 日当たりの悪い斜面に多い 他の花の咲かない早春に香りのある白い花が見られるため, 街路樹や庭園木によく植えられる 花の下に1 個つける葉は互生し, 広倒卵形で先が鋭くとがる つぼみは一斉にその先端を北側に向けてつける 名前は実の形が拳に似ていることから名付けられた 48 ゴヨウマツ ( 五葉松 ) マツ科 風格のある樹木として名高い 常緑針葉 高木 山野の自生木で, 庭木や盆栽として好まれる 〇特に, 庭木に仕立てられたものは風格がある ヒメコマツとも呼ばれ, 高いものでは20mに達する大きなものもある 和名の 五葉松 は, 針状の葉が5 本束生してでることから名付けられた 若い枝の先端に雌花をつけ, 翌年の秋に球果を熟させる 24
49 サクラ ( 桜 ) バラ科 ソメイヨシノカンザン手前 : シダレザクラ, 奥 : ソメイヨシノ 落葉 高木 日本人に最も愛される花木で, 県内にも数多くの名所がある 春の季節のシンボルとして, なくてはならない樹木である ソメイヨシノは, 数多くある品種の中でも公園, 街路, 学校, 堤防や河川などに広く植栽される シダレザクラは, 枝が長く伸び垂れ下がる 神社や寺に植えられた名木は多い 50 ザクロ ( 石榴 ) ザクロ科 落葉 小高木 花後につけた果実 成熟した果実 玄関先に植えられたザクロ 小アジア原産といわれ, 中国を経て日本に渡来した 観賞用, 薬用, 食料, 染料など数多くの用途を持つ 高さは5 6mになる 枝は直立し, よく分岐する 若い枝は4 稜となり, 短枝の先はトゲ状となる 6~7 月頃, 枝の先に1 個ずつ朱赤色の花をつける 果実は径 5cmの球形 先端はがく片が残り突き出る 25
51 サザンカ ( 山茶花 ) ツバキ科 常緑 小高木 垣根にもよく植えられる 初冬を代表する花 元来は暖地性の樹木だが, 県内でも普通に植栽される 秋から冬にかけて花の少ない時期に花を付かせることから重宝がられ, 公園や庭木に多く見られる 花はピンクや赤, 白など多くの園芸品種がある 刈り込みに強く, 生垣に用いられるが, 日当たりの悪い場所では枯れ上がりが出る欠点がある 52 サツキ ( 皐月 ) ツツジ科 庭園の根締めに使われたサツキ 常緑 低木 関東以南の渓流に沿った岩場などに自生する 県内では, 色々な園芸品種が盆栽として仕立てられる 庭園や公園にも植栽される 地植えで最も一般的に赤紫色の花を付ける品種名は, 大盃 という 普通には春咲きのものをツツジ, 初夏咲きのものをサツキと区別する 和名の皐月は陰暦の五月頃に咲くのでこう呼ばれる 26
53 サラサドウダン ( 更紗燈台 ) ツツジ科 壺形の花の色は, 木により変化が多い 落葉 低木 ~ 小高木 奥羽山脈の高地に多く自生し, 初夏に鐘状の花を房状に吊り下げる 花冠は白花のト ウタ ンツツシ に似るが, 花の先が薄紅色で更紗模様の縞がある 和名はこの名が付けられた この木の魅力は可憐な花の美しさと秋の鮮やかな紅葉が楽しめることである 庭木に植えられるのを数多く見る 刈込みにも強く生垣にも利用される 54 サルスベリ ( 百日紅 ) ミソハギ科 1 個ずつの花弁にはシワが著しい 落葉 小高木 中国原産で江戸時代に渡来 庭や公園, 街路樹にと, 色々な場所に植えられる 幹は赤褐色で滑らかにスベスベする 古く薄い皮のはげ落ちた跡は白い模様を残す サルスベリの名は, 幹のこの様を見立てて名付けられた 百日紅 は花の期間が百日にも及ぶというものを表したもので, 旧盆を中心に実に長い期間咲き続ける 27
55 サルナシ ( 猿梨 ) マタタビ科 落葉 つる性 果はとても美味 棚に作られたサルナシ 山野の沢筋で肥沃な場所に自生する 自生種は果実がなりにくいが, 園芸種の一歳サルナシは容易に実を結ぶ 花は6~7 月に葉腋に直径 1~1.5cm 程度の白い花をつける 実は長さ1.5~2.5cmの広楕円形で, 秋に熟すにつれ緑色から黄緑色に変わるそのまま食べても美味だが果実酒は実においしい 56 サンゴジュ ( 珊瑚樹 ) スイカズラ科 光沢が美しい葉 赤色の花序 常緑 小高木 関東南部以西の樹木で, 庭に, 生垣に, 公園に, 街路樹にと, 県内には実に多く植えられる 防風 防火樹として効果がある 葉は対生し長さ10~20cm の長楕円形, 質が厚く表面に光沢がある 葉を喰うサンゴジュハムシの食害が葉を汚くするので注意したい 赤く熟した果房を海の珊瑚に見立てたことが和名 28
57 サンシュユ ( 山茱萸 ) ミズキ科 落葉 高木 公園内に植えられたサンシュユ 黄金色の集合花 秋, 鮮虹色に色づく実 日本には朝鮮半島から享保年間に渡来したと伝えられる 庭や公園に花木として植えられる 3 月頃, 葉が開く先に立ち, 黄金色の花を枝一面につける 開花期間も長く, 花の少ない時期に貴重な彩りを添える木である 果実は長さ1.5cmの楕円形で秋に赤く熟す 58 サンショウ ( 山椒 ) ミカン科 葉の付け方は, 奇数羽状複葉 落葉 低木 県内の平地や丘陵地, 山地にごく普通に自生する 庭の生垣や公園に植えられる外, 食用や薬味に利用するため, 各家庭に植えられる 若葉には強い芳香があり食用にし, 秋に黒く熟した球形の種子は香辛料に 材は すりこぎ に利用する やや乾燥地に自生するイヌザンショウの刺は互生するが, 本種は対生である 29
59 シタ レヤナキ ( 枝垂柳 ) 庭園にも良く植えられる ヤナギ科 落葉 高木 原産国は中国といわれる 庭園や街路, 公園に植えられ, 水辺によく似合い, 池や川のほとりなどによく植栽される 乾燥地でもよく育つ 樹高は高いもので20mにも伸びる 小枝は細長くしなり地面近くまで枝垂れる 雄株は雌株より, より長い 落葉樹の中では春一番早くに葉を開き, 鮮やかな若葉を見せる 60 シャクナゲ ( 石楠花 ) ツツジ科 西洋シャクナゲアズマシャクナゲハクサンシャクナゲ 常緑 低木 栗原市花山にある御嶽山のアズマシャクナゲは, 国の天然記念物に指定され, 自生北限地として名高い 花は春に輪生した葉の上にツツジの花に似た漏斗状の花をまとめてつける 日本に自生するシャクナゲでは, ハクサンシャクナゲ, ツクシシャクナゲが主 外国産の園芸品種は西洋シャクナゲと呼ばれ, 自生種よりも数多く植えられる 30
61 シラカシ ( 白樫 ) ブナ科 常緑 高木 街路樹に植えられたシラカシ シラカシの生垣は重厚である 常緑高木の中で, 県内では最も多く植栽されている 自生地が福島県以南のこともあり, 適応性は強い 近年, 街路樹や屋敷, ビル, マンションの庭などに盛んに植えられる 刈り込みに強く, 高垣 低垣などに仕立てられる 葉の裏が白っぽいのが特徴で, 名前は, 材の色が白いことによる 62 シラカンバ ( 白樺 ) カバノキ科 木はまっすぐに伸びる性質を持つ 落葉 高木 本州中部地方以北の深山で, 日当たりの良い場所に自生する 樹幹は真っ直ぐ勢いよく伸びる 幹の表面は白く, 表皮が薄く紙状に剥がれる 雤に濡れてもよく火がつくので付け火として使われる 高原地の庭園木として, よく植えられる 樹皮が白くきれいだが, 欠点は寿命が短いこと 31
63 ジンチョウゲ ( 沈丁花 ) ジンチョウゲ科 常緑 低木 春の訪れを告げる花の代表 花は雄花の集まり 中国原産で, 庭や公園によく植えられる 早春を代表する木としてまだ花の少ない時期に良い香りを楽しむことができる人気のある樹木である 株は雌雄異株 日本にある木はほとんど雄木のため果実を見ることはできない 根は細根が少ないゴボウ根のため, 大きな木の移植は難しい 挿し木により増殖する 発根は容易である 64 スギ ( 杉 ) 公園内に作られたスギ スギ科 スギの雄花翌春に花粉を飛ばす 常緑針葉 高木 建築用材として植林されるものがほとんどだが, 京都北山の台杉は日本庭園のポイントとして使われる 近年は花粉症の張本人として悪者扱いにされるが, 今から1300 年以上も前に, 盛んに植えられた一首が万葉集に残されている 台杉のように挿木で作られた苗木は, 花粉が着きにくい性質を持ち, 使い方により植栽範囲が拡がる 32