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Transcription:

現場メンバーの 現場メンバーによる現場メンバーのためのプロセス改善 2014 年 10 月 16 日 住友電工情報システム株式会社ビジネスソリューション事業本部第一システム開発部アプリケーション開発グループ奥村貴士 P.1/35

住友電工情報システム株式会社 設立資本金従業員本社所在地 1998 年 4.8 億円 450 名大阪市 1998 年の出来事 サッカー W 杯仏大会に日本が初出場 映画 タイタニック ブーム 明石海峡大橋が開通 P.2/35

目次 1 プロセス改善実施の背景 2 改善の内容と効果 3 改善を行ったプロジェクトの結果 4 まとめ P.3/35

プロセス改善実施の背景 P.4/35

今回報告する組織 小 ~ 中規模のプロジェクト多数 社内標準と異なる技術や UI で開発 CMMI アプレイザル受診経験なし P.5/35

弊社の品質指標 品質指標 本番稼働後 3 ヶ月で発見される欠陥の数 2013 年度の品質目標値 前年度より 25% 減 P.6/35

新規案件の受注 住友電工の役員日程管理システム 役員の行動基盤のため 関係者は品質が気がかり 重大バグを出せないプロジェクト 規模と目標 規模 品質目標値 ( 欠陥 ) プログラム本数 1 KFP 0 件 32 本 P.7/35

所属組織の状態 ( 改善前 ) プロジェクト終盤に遅れが明るみに メンバーの負荷を大幅に上げる他プロジェクトから要員を投入現場のメンバーが疲弊 品質目標達成の見通しが立たず 2012 年度までは何とか達成してきた 2012 年の実績は 2013 年の目標を下回っていた P.8/35

このまま進めると 次の案件に失敗する 欠陥 25% の削減策がみつからない同じやり方では メンバーの負荷が高い状態になる どこに手を打てばよいか確認するため CMMIのモデルとFit & Gap P.9/35

現場のメンバーが実施した Fit&Gap GAP 引き起こされている状況 問題点 計画の計画がない ほとんど監視されていない スケジュールの遅れに気づかない 計画がない 決定分析の仕掛けがない 上記以外はほぼ Fit していた 監視記録が残っていない 知識がない人が 1 案を絞り出し 問題の対策がとれていない 実装に時間がかかっている 手戻りが発生している P.10/35

GAP について なぜこの GAP が生まれたのか ( 現場の思い ) やらなくても先へ進めることができる残すことに意味があるかわからない頭の中で片づけてしまっている 先送りにしている どうやって解消するか 手間を増やさない方法でやらないと先へ進めないように残すことによる効果を感じれるように P.11/35

改善の内容と効果 P.12/35

改善の内容 3 つの改善 計画フェーズを固めてから 他を改善 現場メンバーのみで実施 3. 監視プロセス改善 2. 決定分析改善 1. 計画改善 [Point] 極力成果物を増やさない P.13/35

[ 改善 1] 計画プロセス改善 WBS テンプレートに計画を追記 Point.1 計画のための計画 Point.2 監視のための計画 Point.3 レビューも計画 P.14/35

[ 改善 1] 計画プロセス改善の結果 定期トレースが継続できるようになった Before After No Image ( 計画 実施されず ) P.15/35

[ 改善 2] 決定分析プロセス改善 決定分析の実情 必要な都度 決定分析を行う というルール 都度が訪れない! 決定分析すべき内容はどこにあるのか 多くが課題管理表に挙がっていた 毎週のトレース会議で分析すべきものがないかチェックすることにした P.16/35

[ 改善 2] 決定分析プロセス改善 基本的な考え方 複数案からの選定 2 つなら最悪を避けれる 3 つ以上ならよりよい選択ができる P.17/35

[ 改善 2] 決定分析プロセス改善 複数案から 客観的に選ぶために 言葉の説明だけでは難しい実施するのが面倒 CMMIのためにやっていると感じる 要点を押さえたテンプレートを用意する [Point] CMMI の用語は使わない やらされ感を減らす P.18/35

[ 改善 2] 決定分析のテンプレート Point.1 条件を MUST と WANT に分ける Point.2 MUST を満たすものだけを評価する Point.3 重みは他の項目との相対評価採点は絶対評価 P.19/35

[ 改善 2] 決定分析プロセス改善結果 効果 決定分析が実施されるようになった選定ミスによる手戻りや 追加調査がなくなったなぜその選択をしたのか わかるようになった P.20/35

[ 改善 3] 監視プロセス改善 の前に 管理図 JIS で定義されている管理のしすぎを抑制するための図 生産管理でよく使われる この範囲を出たら異常とみなす 管理図 ここと意味は同じ 分布図 縦 欠陥数 プログラムの規模横 プログラム P.21/35

[ 改善 3] 監視プロセス改善 管理図の分離 社外メンバーの初級者がPJに参画することに決まった事前教育ができないため 管理図を分割した初級者 バラつきが大きい ( 異常値が大半 ) と予想される時間の経過で欠陥が減少しているかをチェック上級者 異常値のチェック [Point] 人は 2~3 時間に 1 回ミスをする ( 社内調査 ) 上級者も確認が必要 P.22/35

[ 改善 3] 初級者の u 管理図 ( 序盤 ) 予想通り ばらつきが大きく安定していない P.23/35

[ 改善 3] 監視プロセス改善 ( 次の一手 ) 初級者のサポート体制構築の仕掛け 継続してサポート ( 教育 ) を続けることが必要 毎週開催されるようになったトレース会議を活用 P.24/35

[ 改善 3] 監視プロセス改善 ( 次の一手 ) トレース会議のアジェンダ改善 プロジェクトのゴールと現在地を示す u 管理図の異常値の原因 ( 内訳 ) を示す問題がある場合 全員で対策を決めて実行する 継続するためのポイント 一体感 達成感 無理なく実施できる対策 P.25/35

[ 改善 3] 監視プロセス改善の結果 3 シグマ超えがなくなり 非常に安定 Before After P.26/35

改善を行ったプロジェクトの結果 P.27/35

結果 品質面 本番稼働後 3 か月に発見された欠陥 0 件 その後もトラブルなし 納期面 スケジュールには常にバッファあり終盤に現場が疲弊することなく完了システムテスト期間中 追加の要望に対応できた P.28/35

結果 現場の満足度が向上 開発者 3 4 ポイント 顧客 現場の声 3.5 4 ポイント 5 段階 決定の資料等 全て保管されるようになった 不要な手戻りがなかった 定期トレースにより進捗のコントロールがなされていた 計画を明確にして進められた 3 ポイントは ふつう 4 ポイントは 良い が多い証 P.29/35

その他の結果 本プロジェクトで CMMI 成熟度レベル 3 を達成 P.30/35

まとめ P.31/35

まとめ 弱点 ( 問題点 ) スケジュールの遅れに気づかない 仕様選定ミス 問題の対策がとれていない ( 今回は ) 初心者の生産性 品質 対策 計画プロセス追加 監視タイミングの設置 決定分析テンプレート作成 実施タイミングの設置 u 管理図の分割 状態の共有 CMMI プロセス領域 Project Planning ( プロジェクト計画策定 ) Decision Analysis and Resolution ( 決定分析と解決 ) Quantitative Project Management ( 定量的プロジェクト管理 ) 対策検討 P.32/35

現場に適用するときの工夫 やらされ感を減らす CMMI の用語は使わない 成果物を増やさない 一体感 達成感を共有する プロジェクト全体の状態を共有する 自分の状態がわかるようにする P.33/35

今後の課題 次のプロジェクトへの適用 今回の改善は 1 プロジェクトへの適用 全社展開 決定分析のプロセスは全社展開を目指しており 標準策定中 P.34/35

ご清聴ありがとうございました P.35/35