アラスカへの旅 - オーロラを求めて - 2013.12.29-2014.1.5-1 -
アラスカの旅 -オーロラを求めて- 中村千里今回はアラスカへオーロラを求める旅に出かけてきました 年末の29 日出発し新年の5 日に戻るツアーです 休日診療所の仕事が出来なかったのは申し訳ないのですが 20 数年奉仕しているのでたまには許してもらいましょう 旅に出る毎に百聞は一見にしかずの言葉の重みを感じていますが 今回も新しい発見が幾つかあったので記憶に残る旅になったのは幸いです 観光名所を巡るツアーとは異なり 自然を相手にする ANA ワンダーアースと言うツアーに今回もお世話になりました さて 成田空港から NH1078 便でシアトルにまず向かいます 機種は発火騒ぎで話題になった B787 ですが何事もなく運航 いつもは着陸直前に雲の中を下降して視界が広がる順番なのに 今回は雲の中だと思っていたらいきなりドスンと着陸したので驚きましたよ 着陸後ターミナルに横付けするまで徐行と停止を繰り返して30 分以上もかかったのは初体験です なにしろ窓の外の翼のエンジンが見えない程の濃霧なので良かった良かった! とにもかくにも一面の霧の中を現地時間朝 8 時 45 分シアトルに着陸し10 時にようやくラウンジで休憩出来ました 幸いなことに霧が晴れて 乗り継ぎの UA1192 便は定刻の13 時にアンカレジに飛び立てました 幸運の女神が同行しているようで さい先良しです! アンカレジは冷戦時代の日本から欧州へ飛ぶ際の給油地としてあまりに有名ですが 今回はオーロラ鑑賞のメッカフェアバンクスへの中継地となっています さすがに近郊の海には氷塊が見え 約 4 時間のフライトは終わります 今回のツアーは15 名の大人数ですが その内 11 名もがビジネスクラスでの搭乗なので集団行動に支障はありません アンカレジの気温は数日前まで寒波の影響で-20 だったようですが 今日は暖かく-5 とのこと 夕刻の4 時に空港を出たのですが既に周囲は暗くなっていました ヒルトン アンカレジに荷物を降ろし 一服休憩して 6 時半に市街地に繰り出してレストランを捜します ショッピングモールは早々と店じまいしており 見つけた サリバンズ ステーキハウス でステーキとロブスターの豪華ディナーになって最初から散財の危機 オーロラの出現を願うなら祈るだけでなく何でも食べましょう!? 後はゆっくり睡眠を取るだけですから 2 日目はアンカレジ周辺観光 朝の9 時 50 分にホテルを出て観光に出かけますが 当然まだ日の出前なので薄暗い中を出発です 特にめぼしい世界遺産があるわけでもないので ガイドの案内も必然的にアラスカ紹介になりますが 現地在住の人の説明はガイドブックには無い話が多いので楽しみです 原油生産しているのにガソリン価格が高いのは精製する所がないからとか 車の移動に時間がかかるのでマイ小型飛行機が多いとか 永久凍土が溶け出すので木々や電柱が傾くとか 車の運転で後続車が5 台つながると先をゆずるとか 本当かど - 2 -
うか分からない話もありました 信号で車が 10 台並ぶと渋滞と言うようですから本当 の事でしょう スピナード湖水上飛行機低く垂れ込めた雲 さて 最初に向かったスピナード湖 フッド湖は世界有数の水上飛行機の発着場として 有名らしいですが なにしろ全面凍結状態で閑散としていました でも最初の訪問場所 なので寒さに慣れるトレーニング 次は湾に沿って東に進みポーテージ氷河湖を目指し ます ここの入り江は潮の干満差が世界有数の 10m 近くもあるため 凍っていく時の 表面は凸凹になっていますが それよりも水蒸気が上昇するにも上空が冷たいので抜け きれず途中で低く垂れ込める雲になっている光景が忘れられません また 1964 年 のアラスカ大地震の後遺症がまだ至る所に残っていました 地盤沈下が 6m もあって木 々が朽ち果て不毛の地として残りマテ貝が獲れずキングサーモンの遡上が悪くなってい るとのことです 地球温暖化はどこでも言われて久しいことですが アラスカでも氷河 の後退が顕著でポーテージ氷河湖でもその姿を見ることが出来なくなっています その 凍結した氷河湖は単なる凍った湖ですから期待はずれでし た でも ここの駐車場は排気ガスで温められるので非常 に滑りやすく スパイク付き滑り止めを靴に装着して歩い たのが思い出です 非常に低温だと氷も溶けないので逆に 滑ることが無いそうですから不思議 それでも車はスパイ クタイヤを装着しているようで夏場は痛んだ道路の補修で 忙しくなり 今度は砂を撒いたところフロントガラスが割れる騒ぎとのこと 野生動物保護センターでは冬眠中のクマ等を除くムース カリブ エルク バイソン 白頭ワシ ノーザン キャットなどを見ることが出来ました どれも日本ではメジャー ではない動物達ですが トナカイを目の前にすればサンタクロースにも会えそうだし ムースを見ればミッキーの漫画を思い起こさせてくれます 本当にこのような動物がい るのですね ここにはこちらにきて初めての土産物店が併設されていました ウッド バイソンカリブムース白頭ワシ - 3 -
近くにあるアリエスカ リゾート ホテルでは単に食事だけと思っていたら大間違いで 食後はロープウェイを使って雲海を突き破って昇っていきスキー場から周囲を見ると実に幻想的な光景が広がっていました ここは世界でも10 指に入る美しいスキー場であると説明され 以前は日本の西武系の経営だったためか苗場スキー場を連想させる造りになっています 上空の寒気に遮られて低く雲海が一面を覆い尽くし 凍てついた山々の間から低く陽が差し込む風景は実に美しい光景でした 遠くには青く輝く氷河も見えます それにしても完全な粉雪のスキー場がアラスカにあること自体知りませんでした せめて1 本だけでも滑り降りたかったですよ! 3 日目はフェアバンクスチェナ温泉で年越し 早朝テレビをつけると NHK 海外放送で紅白歌合戦の終盤を放送中でした 時差が1 8 時間ですから殆ど丸 1 日日本より遅く追いかけている計算になります さて 今日は アンカレジからアラスカ航空で約 40 分かけて北極圏手前のフェアバンクスに移動しオ ーロラ観測の本番を迎えます -5 から -20 の世界へ移動すると考えて下さい アラスカ航空は預けるバッグの重さが 23kg 以上で超過料金がかかるとの事前情報が あり 手荷物の方にたくさん詰め込んだので辛い辛い でも超過料金は無く無事に予定 より早くフェアバンクスに到着し 近所のレストランで第一歩 を踏みました 同じアラスカでも空気が乾燥し冷たく感じます 深呼吸しないで下さいと注意されましたが 確かに深く吸い込 むと胸が痛く感じます こちらの気温は華氏で表示されるので すぐに何 かは分かりにくいのですが 真昼でも -10 では ないでしょうか? あたり一面真っ白ですが積雪量はせいぜい 10-20cm 位ですからたいしたことはありません アメリカを代表する巨大ハンバーガーを食べても予定時間より早 く進行しているので アルペン ロッジの本格的土産物店でお買い 物 ここには質の良い品も置いてあるとのことで勉強にもなりまし た また 真昼の影の長さが半端じゃなく驚きです ソフィー ステーション ホテルには 3 時前に到着しオーロラ撮影 のレクチャーを受け 部屋に届けられていたレンタルの防寒着一式 をまとって 3 時半にチェナ温泉に向けてあわただしく出発しました そもそも温泉と名がついており水着を用意するようになっていたため厳冬下の露天風呂 で星を鑑賞するだけかと当初考えていたのが大間違い 市街地から約 1 時間半も郊外に 出てオーロラを鑑賞する基地の一つだったのです あわてて出発したのでジップロック の袋を忘れて 1 枚だけ仲間にお借りしました これがないと撮影機材を持ち帰れないの で大助かり また 施設内には温泉だけでなくアイスミュージアムやレストラン 宿泊 - 4 -
施設が整った一大リゾート地でした 他のツアー客もかなり集まっていましたが ほと んどが日本人ツアーですしスタッフも日本人がメインのようです まず案内されたのはアイスミュージアム 氷で出来た彫刻やチャペルにベッド 椅子 カウンター 氷琴 グラスにはアップルマティーニが注がれます オーナー夫妻が氷の 彫刻で授賞される常連さんとのこと 館内は華氏 10 度だったので暖かい? ここでの夕 食でたらば蟹を満腹になるまで食べたのは初体験 ここでも皆さん皮むきで沈黙の時間 が多く可笑しかったですがお腹の方は大満足です 本来は温泉入浴後の食事予定でした が多くの団体が入ると予定が未定になるのもやむを得ません 座敷ではありませんが大 広間で休憩後はいよいよ入浴です 一旦外に出るので防寒具のまま施設に向かい 5$ でバスタオルを借り巨大ロッカーで水着になります 順路に従って進むと男女が一緒に なりジャグジーと室内プール? では子どもたちが遊んでいます 中に入ると温かくて気 持ち良し でも 写真で見る露天の岩風呂とはちょっと違う様相ですが気持ちよけりゃ そのまま居ようと思った矢先 ツアーの仲間が凍ったアルミドアを開けて外に出たでは ありませんか! このドアの外が氷点下の世界で裸のまま 20m 程行かなくてはなりませ ん この 20m が何とも寒いというのか冷たいというのか表現できませんが 決死の覚 悟と精神力で突き進むと傾斜になった温かいお湯が足に触るではありませんか もちろ んここは外でほとんど人の見分けがつかないほどの闇の 世界です 進めば次第にお湯が深くなり丁度胸の高さま でになり足場は細かい小石が敷き詰められているようで す 上を見上げれば漆黒の闇に無数の星が輝き北斗七星 がすぐ目の前です 湯加減も最高でこんな露天風呂に入 ったのは記憶にありません 勿論 髪の毛も髭も凍って いるようですが問題なし かなり大きな風呂で隅々まで 探険し写真にも撮っておきたい場所ですが持ってくるの を忘れました まあ持っていても撮影は出来ないでしょうけどね! - 5 - 参考 : 昼間の露天岩風呂 10 時半になっていよいよ本番のオーロラ鑑賞の時間になります 今回のメインイベ ントですから大広間で三脚を広げカメラの設定を再確認して外に運び出すタイミングを 図ります まあ皆さんもオーロラのイメージは空にゆらゆらと緑のカーテンがひらめく 現象であると思っている事と思いますし 私もそのイメージを持ってオーロラの出現を 待っていました 今日は新月ですから月は全く見えず星が輝く絶好の観測日和のはず 最初は北側から出現するとの事で観測場所も北側の開けた滑走路? にありますが ほと んどの人は大広間に居残っておりゲレンデには 2 台のカメラを数人が取り囲んでいるだ けです 何を撮っているのか聞きに行ったところ何とオーロラがもう出ていると教えて くれました 確かにカメラには緑に彩られた低空の帯が映っているではありませんか!
肉眼で見ると雲ほど厚くない白いもや状のものが見えますが 絶対に緑ではありません 本当に不思議だと思いましたが 大広間に戻ってツアー仲間にオーロラが出ていることを知らせました カメラを外に出すと簡単には室内に戻せなくなります つまり 結露を起こすので最悪の場合データやカメラもダメになるからです 一旦外に出したからには外で露光時間を5 秒にするか3 秒にするか ISO 感度を800にするか1600にするかをオーロラの明るさで大体決めていきます もちろん白色懐中電灯はご法度で赤色灯なら短時間なら良いと暗黙のルール 今回はコントローラーを持って来ているので自動的に秒間隔で連続撮影をさせて これらを組み合わせて動画作成を目論んでいるのです さてさて撮影の極意条件は最後にまとめて掲載しますのでご参考にして下さい 一応撮影は出来たので明日以後の練習になりました 尚 今日は大晦日です 紅白歌合戦はすでに見終わっていましたがアラスカではこれからが年越しで 外では花火大会が行われたし カウントダウンの時にはシャンペンが皆に振る舞われて一斉に5,4,3,2,1, ゼロと叫びました! なぜかこんな時だけ見知らぬ人とも騒げるのでしょうか? ツアーの運転手さんもノリノリで踊っていましたよ! 結局午前 2 時過ぎまでより鮮明なオーロラを待ちましたがあきらめて3 時半にホテルに戻ってきました 新年早々就眠時間は朝の5 時になりましたよ! 4 日目はフェアバンクス市街とシャンダラー ランチでオーロラ鑑賞 今日は元旦ですが異国の地にいては何の感慨もありません 昨夜が遅くてもきちんと 9 時には朝食兼昼食のためレストランに行きます ホテルの部屋は続き部屋も広くキッチンもあって長期滞在には快適ですが 唯一不満なのが朝食のメニュー ほとんど単一の一品だけで選択の余地がないのも場所を考えると我慢するしかないでしょう ところが10 時過ぎに添乗員さんの部屋に集合だったので出向くと そこでは一生懸命お餅を煮つめたお汁粉が用意されていました 日本からわざわざ持ち込んだとのことで非常に嬉しかったです おまけにツアー客である裏千家の先生がお抹茶を出して下さいました 結局ツアーの全員が集まって新年のご挨拶になりました さて 今日はアラスカ石油パイプラインを見に出かけます 大型バスの運転手はバーニーちゃんと呼びたくなる若い娘さん アラスカでは若い女性が担当する事が多く不思議ですが安全運転に間違いはありません - 6 -
踏切でもバスは一旦停止しないとダメですが 普通車に停車の義務はないそうですから 所変われば規則も変わるですね! フェアバンクスでの気温は大体 -23~-24 との ことですが 幸い今回は -20 以下は無かったようです 時には -45 にもなりま すがこの時ばかりはむせてしまうので外で喋ることは出来ないとのこと 煙突から煙が 上に立ち上っている時は暖かい証拠とは海辺の雲と同じ理由です 家を造る時は出来る だけ小さくして暖房効果を高めるそうです 当然人間も脂肪組織を厚くして暖房効果を 高めているのでそれなりの体型になってしまいます 道路を走れば北米大陸最北端のマ クドナルドとか最北端の信号機とか最北端がたくさん出てきますが マクドナルドのメ ニューは同じとのこと 目玉商品でも創ればよいのにとは訪れたツアー客の証言でした アラスカ石油パイプラインは北部の油田地帯と南部の港を結んで延長 - 7-1,287km もあり人 工建造物として万里の長城に次ぐ長さとのこと このパイプは高度の技術を要するため 日本製で造られ 直径約 1.2m あり断熱材に覆われ内部には清掃や亀裂を見つける機 械が入っています 支柱にも永久凍土が溶けるのを防ぐ仕掛けがなされています また 寒暖差が大きいための伸縮に対応するためジグザグに建設され 野生動物への配慮で橋 を渡したり埋めたり地上高く設置したりと工夫されています この原油と一時のゴール ドラッシュでアラスカは裕福で税負担の少ない州であり 在州 1 年以上であれば還付金 が毎年 10 月に配布されるそうです 昨年は 900$ の還付があったそうですが 10 年前は 2,000$ なので減少傾向とのことです ちなみにガイドさんの家庭では肉を 買ったことがなく全て狩猟で得たもので 魚もハリバット ( オヒョウ ) は 2 匹 / 年と決 められていますが キングサーモン (1 匹 / 日 ) や紅サケ等も釣って自宅にある大型冷 凍庫 4 台に保存しておくそうです でもハリバットの画像を見たら驚き 大きいものは 3m もあるカレイの仲間じゃないですか! 13 時に市街に戻りましたが途中に見えた煙突の煙は垂直に立ち上 っていました スーパーのウォルマートで不足品やお土産などを購入 して14 時にホテルに戻り まったりとした休養時間を過ごしました まあ寝るしかありませんけどね! 19 時にホテルのレストランで夕食です 今まで時間に追われあわただしかったので すが 初めてゆっくりと過ごせました 今回のツアー客の大まかな素性がわかってきま した 同業者は 5 名ですが皆さん良い方ばかりで昔からの知り合いのように談笑できる のが不思議です やはりオーロラに関心が一番高くて撮影が上手くできたかの情報交換 も行います 昨夜は基本的に緑白の薄い雲状のものはほぼ常時出ていたことになります が 写真に撮るときれいになるのがやはり不思議とのこと さて 今晩はどうなるでし ょうか?
22 時に集合して今回はチェナ温泉手前のシャンダラー ランチにバスで向かいます ジップロックも忘れなかったので 今回はカメラ2 台で撮影予定なので期待一杯です が 途中で車窓からオーロラがゆらゆらと広がるのが見え色も鮮やかな緑色でうねっています 動くバスからではとても撮影は出来ませんが右に左に動く様はまさにオーロラそのものです 約 40 分の移動でしたが到着後は残念ながら先ほどの現れたオーロラはなかなか現れません この観測場所は北側に牧場が広がっており窓も大きく観察に適していますが どうしても室内で観測する余裕は出てきません 外に出ていつでも撮影できる準備をしておかないと悔いを残すことになりかねないので仕方ありません 服装は日本のスキー場で着込むその上に南極観測隊が着るような防寒着を重ねるので寒いと感じることはほとんどありません ただ 手袋着用だとカメラ操作に困ることがあるので素手の時がやはり冷たかったでしょうか? オーロラには見える程度でレベル1~5までランク付けされています レベル1: オーロラがとても薄く 肉眼で見える人と見えない人がいる レベル2: 明るさが弱く 鮮明ではないがオーロラを確認できる レベル3: オーロラが明るくはっきりとしており 動きも確認できる レベル4: カーテン状の明るくはっきりした動きのあるオーロラを頭上又はそれに近い角度で確認できる レベル5: 動きのある活発なオーロラを頭上ではっきり確認できる 爆発現象 このレベル表示で言えば 昨日がレベル3で本日がレベル4になりますが写真撮影はなかなかタイミングの問題もあって難しいものです 結局この日も午前 2 時までオーロラ鑑賞して3 時にホテルに戻りました ホテル脇には飛ばしたシャボン玉が割れずに凍ったまま残っていました 確かに寒いのでしょう 外に出した三脚をたたむ時に凍っているのが分かるほどですから また明日に期待しましょう おやすみなさい! 5 日目はマッキンリー遊覧飛行とスキーランドでオーロラ鑑賞 昨日申し込んでいたオプショナル ツアーにキャンセルが出たのでマッキンリー遊覧飛行に参加できることになりました 朝食後 11 時 15 分に迎えの車が来て外に出ました 驚くことに曇が空一面を覆っていて一時小雪も降っていたそうです こんな日に飛行機が飛べるのか心配でしたし オーロラ鑑賞自体も危ういとのことでもっと心配になりました 飛行場には小型飛行機がたくさん雪を被って駐機しています 我々は日本からチャーター便で直行してきたJTB 旅物語の一行と一緒に8 人乗りセスナ機に乗って観光します 搭乗前にはきちんと体重チェックがありましたが座席は自由とのこと 幸 - 8 -
いにも 6 名乗車のため最後席で左右を眺められる絶好のポジション 12 時の離陸時も 飛行時も思いの外揺れることもなく順調でしたが いかんせん窓の外は一面の雲に覆わ れていました 30 分以上も同じ状況で何だか眠くなってきましたよ! 前を見るとパイ ロットは酸素マスクをしているではありませんか どうやら酸素が 少なくなっているようで少々頭も痛くなってきます その頭に刺激 を与えるように太陽の光が見えてきて雪が散りばめられた山々が見 えてきました 空も嘘のように晴天になりました 写真でしか見た ことのないマッキンリーが目前に迫っているではありませんか ス マホの動画でこの一部始終を撮影しましたよ! パイロットも英語で いろいろ説明してくれますが詳細はやはりわかりません ただマッ キンリーと氷河は理解できました まあ他の山の名前は覚えられな いので聞き流しましょう 考えると高度は山頂 6,194m 以上ですから 酸素が少ない疑似高山病に近いのかもしれませんが 我々は防寒具 を着て座っているだけなので我慢しましょう でもこれほど綺麗に 連なった険しい山々を見たことはありません 亡くなった植村直己 さんはどの様な思いでここを登ったのでしょうか? 良い経験をさせ てもらいました 約 30 分ほど周遊して再びフェアバンクス飛行場 に戻ります 今回は雲の下を低空で飛行しているようで窓の外の景 色も見えますが 本当に何もない平原ですね ツンドラ地帯とでも 言えるのかもしれません ただ着陸直前にパイロットが ムース発 見 と叫んで右に急旋回し窓を下にしてくれました 確かに何やら 見えましたが それよりも墜落する心配の方が強かったですよ! 無 事に地面に降りることが出来て感謝の記念撮影をお願いしました ホテルに戻ると各人が自由時間をどう過ごしたかの報告会? 釣り のイベントはガイドが急病でキャンセルになったとか 犬ぞりで雪 が顔に当たり痛かったとか 北限のマックの味は普通だったとか 我々はマッキン リー飛行に乗れなかった人の為に動画を た YouTube - 9 - に載せる約束で勘弁してもらいまし 19 時に夕食とオーロラ鑑賞に向けてホテルを出ました まずはビールレストラン シ ルバー ガルチ でステーキとビールの夕食です このブランドは有名らしくショップ にはオリジナルの商品が沢山ありました 食後はそのまま今日の観測地であるスノーラ ンドに行きました ここは名前の如くスキー場ですがロッジにはオーロラモニターが設 置されていて外の状況が把握できるのが嬉しいし 他の客がいなかったので自由に動け ました ここでもまずは北の方からオーロラが出てくるので 1 台のカメラは固定して連
続撮影を勝手に作動させます もう 1 台は狙った方向を自由に撮影していきます また ロッジの係員が集合写真と個々の写真をオーロラを背景にして撮影してくれました 真 っ暗な中でのフラッシュ撮影は本来ご法度ですが ここでは迷惑をかける人々がいない のでラッキーですよ! でも希望者には 1 枚 20$ でお分けしますと言われて断る人はい ませんから良い商売ですね! ネット ( Aurorawebcam.com) でも購入できるそうですが50 $ に跳ね上がりますから さて ここでのオーロラは実にいろいろな姿を出してくれました 肉眼でも緑やピン クに赤に彩られたオーロラがどんどん天空に広がっていきます 魚眼レンズでないと 3 60 度は撮影できません この時ばかりは焦りましたよ! ガイドのジュンコさんは大声 で こっちに出たーーーすごいーーーー駐車場の方へ と騒いでいます 自分の目の前 も凄いのに建物の裏側へ移動して良いものかこのままが良いのか迷います 三脚担いで 右往左往しましたが 肉眼でものすごい動きを焼き付けることが出来ました もちろん 写真にも一部は納めることができました レベル 5 に相当すると思いますし アラスカ 在住でガイド歴も長いジュンコさんでも過去に見た 10 指に入ると興奮さめやらずです 日を追う毎にオーロラが激しさを増しているようで 今朝の時点ではあきらめてもいた のに逆の結果となって何とも嬉しい誤算でした 確かに幸運の女神がまだ残っているよ うです 今日は 2 時になると心残り無くさっさと引き上げてきました 6 日目は最終日で犬ぞり体験と博物館 オーロラを一応毎日鑑賞できて思い残すこともありませんが 最終日には犬ぞり体験が残っていました 南極や北極探検などの映像では見たこともありますが 昨日体験した人の話では糞に注意とか顔に雪が当たり痛いとか冷たいとかいろいろあったので 防寒具に加えて顔面の保護に努めましたよ しかし 本日は快晴でいずれも杞憂でした 犬ぞりレースはアラスカでは代表的なスポーツとして栄えてきた歴史があり 人気の高いものです 我々が乗るのは観光用のものですが そりに二人が寝そべるように座りこれを縦 2 列に並んだ10 頭の犬が引っ張って走ります 事前に手を出さないように注 - 10 -
意を受けたので写真撮影はあきらめましたが 係員によっては OK だった模様 でも 澄みきった晴天の下白一色に染まった林間コースを時速約20kmで駆け抜けていくの は非常に爽快感があります 約20分ほどの走行観察でしたが 犬にも個性があって欽 ちゃん走りの犬や雪に顔を突っ込んで水分補給 する犬 糞をまき散らす犬 サポータ ー着用 の犬 足を高く跳ね上げる短距離走から逆の長距離走まで様々な個性を発見し 先頭の犬は黙々走る優等生みたいでした 意外に面白かったです 2時前にはワンワンと見送ってくれる犬達を後にして撤収しました この周辺の積雪 量はせいぜい10 20cm位ですが気温が低いのでダイヤモンドダストを見ることが できます また アラスカは極寒の地のイメージがあって実際にも氷点下が当たり前で すが 強風も吹かないので体感気温はそれほどでもなく 室内は暖房が効いているので 殆どの地元レストランの従業員は半袖でした そのままの格 好でも短時間なら外に出てくるので慣れの問題なのでしょう か ホテルに戻って今度はアラスカ大学の博物館を見学に行 きます ところがガイドのジュンコさんが昨夜のオーロラで 興奮しすぎて発熱し寝込んでしまったために写真家ガイドの 中島さんに交代 彼もアラスカに定住し野生動物の観察研究 を続けているようで 言葉の端々から亡くなった動物写真家 の星野道夫さんの後継者を目指しているように思えました そのアラスカ大学フェアバンクス校は市街地はずれにあり ますが まず紹介されたのが火力発電所でここは大学の為の 電力供給している施設であると聞かされて驚きです 実に敷地 は広大でいろいろな施設が点在して TV 局 消防署 病院等 もあるようですが その中でもオーロラ研究で有名な国際北 極圏研究所は初代所長が日本の赤祖父俊一氏ですから日本人 のオーロラ好きがうかがい知れます 冬のホテルの宿泊者の 9割が日本人でオーロラ観光の主役です そもそも西欧人に とってオーロラは死者の魂がさまよっていると考えて好きで はないようです 今回は大学構内にある博物館に案内されま した とても全部を見て回る時間がないほどいろいろな資料 や動植物の展示が行われています アラスカを知るには欠か せない場所でしょう アラスカは直線距離にするとハワイよ りも日本に一番近いアメリカですし ロシアとの境であるベ ーリング海峡は最深部170m ネットで調べると42m - 11 - 永久凍土から発掘された ミイラ化したバファロー
で海底トンネル計画もあったとか エスキモーとは生肉を食べる人の意味があるので嫌 われておりイヌイットと言うとか 北極圏では太陽が沈まないので時計を持たなくても 太陽の位置で時間がわかるとか クマに遭遇した時の対処方法は急がず優しく声をかけ る位にゆっくり後ずさりするとか教えてもらいました 夏のアラスカの自然の美しさも 素晴らしいもののようで 西欧人がたくさん詰めかけるようです ですから 日本人も 夏のアラスカを是非訪れて欲しいと言われましたよ 最後にいろいろ勉強させてもらい ました 最後の晩餐をクリスマスの余韻の残るホテルのレストランで 18時からいただきました 皆さんが意外に使わなかった使い 捨てカイロを病気のジュンコさんに沢山渡しました フェアバ ンクスにはこのカイロを売っていないので感謝されました 私 も防寒具や充電式カイロを沢山用意したにもかかわらず全く使 わないほど今回の日程は暖かかったのでしょう 20度くら いだと何とかなりますが 寒い時には 45度にもなるらしい ので備えあれば憂いなしです ただ駐車場にはバッテリー保護 のための通電システムが常設されていたのは別世界であること を再認識させてくれ 単に我々は運が良かっただけかもしれま せん 食後はフェアバンクス国際空港に向かい 21時45分離陸のアラスカ航空でアンカ レジに1時間爆睡で到着 0時53分離陸のユナイテッド1101便でシアトルまでも 120 爆睡でいつ離陸していつ着陸 午前5時 したのかさえわかりません 本当に 帰路はあっと言う間に進むので不思議です 最後はシアトルでだいぶ時間がありました が ユナイテッドと全日空のラウンジを渡り歩き 寝たり食べたり飲んで談笑したりし て12時05離陸 NH1077 便で飛び立ち5日14時50分に無事成田に戻りました 付録 最後に現地での服装と写真撮影のこつと感想 今回の服装を記録しておきます 通常の下着とミズノ ブレスサーモを主に上下着用 上半身は①フリース OR シャツを重ね ②ダウンのベスト OR フリースベスト ③ウル トラライトダウン OR フリースジャケット OR 前開きセーターと重ねて着用 外出時はこの上にロングダウンコート OR 現地借りの越冬モデル防寒服を着用 下半身は ①室内履きのダウンパンツ OR 普通の綿パンツに 外出時は ②スキー用のパンツ OR 現地借りの越冬モデル防寒服着用 ヒーター付きの腰ベルトとネックウォーマーは結局使用しなかった 帽子はキャップ式と毛糸でかぶるタイプの両方を併用 通常のネックウォーマー マフ ラーとフェイスマスク等は適宜使用し サングラスも眩しい状況のみ使用 靴はトレッキングシューズで基本的に問題なし 簡易スパイク付きの滑り止めも使用 オーロラ鑑賞時は現地で借りたブーツ単独で十分 靴下も同様に登山用で十分でした 靴下の2枚重ねはオーロラ鑑賞時に時に必要な程度 手袋は5本指入るものだけで十分でミトン型を重ねる程寒くはありませんでした - 12 -
オーロラの写真撮影に関して 機材一覧 三脚 主 Velbon UT 63Q 従 VANGUARD MK 1 キャノン5 D マークⅡ 2台 バッテリー6個 結局1回の連続使用4時間近くでも75 残っていて予備不使用 主レンズ EF24mmF1 4 従レンズ EF16 35mmF2 8 コントローラー TC-80N3 RC-6 注意事項 ①レンズはマニュアルフォーカス MF で無限大に設定しテープで固定しておく ②ISO感度は1600設定 ③バルブ B 設定で 今回レンズF1 4では露光時間3 5秒で5 3秒間隔で連 続撮影をコントローラーで設定した レンズF2 8では 露光時間を20 30秒で1枚撮り 強いオーロラではもっと短 時間でも十分と思われます 一般に使用されているF3 5位のレンズであっても露光時間さえ長くすれば緑のオー ロラは必ず撮影可能ですが 露光が長い分縞模様等の詳細な撮影は難しくボーとした色 彩が予想されます コンパクトデジカメでも露光時間を2分間位にすれば撮影可能 しかし 連続撮影を行うためには出来るだけ高性能カメラとレンズで露光時間を短くし ないと連続性が失われます 三脚は安価なもので十分で収納が楽な方がよい もしも連続撮影に成功したなら これを動画にすることが可能です 今回の旅行の動画は YouTube に投稿してあります オーロラ鑑賞が4本 マッ キンリー遊覧飛行が2本 犬ぞりが1本で 標題 2014年正月アラスカへの旅 でまとめてあるので検索してご覧下さい ① ② 感想 オーロラとは出発前に考えたものと異なり写真で写すと綺麗だが ほとんどが薄白 のやや緑がかった雲 煙のようなもの レベル5は肉眼で彩色豊にうごめくイメー ジ通りのオーロラですが出現確率は悪そう アラスカは 20度でも意外に寒くない 厳寒の準備をするので この二つに尽きるでしょう 2014 1 15記する - 13 -