シリーズ刊行にあたって 21 quality of life 80

Similar documents
シリーズ 刊 行 にあたって 21 quality of life 80

Microsoft Word - 眼部腫瘍.doc

シリーズ刊行にあたって 21 quality of life 80

VEGF VEGF G 23G VEGF VEGF

The 2nd Annual Meeting of Japan Myopia Society プログラム 第 1 日目 開会式 5 月 19 日 ( 土 ) 09:00 ~ 09:05 第 1 会場 ( コングレコンベンションセンター B2F ホール A) 一般講演 1 5 月 19 日 ( 土 )

NTT東日本札幌病院健康セミナー

セッション 6 / ホールセッション されてきました しかしながら これらの薬物療法の治療費が比較的高くなっていることから この薬物療法の臨床的有用性の評価 ( 臨床的に有用と評価されています ) とともに医療経済学的評価を受けることが必要ではないかと思いまして この医療経済学的評価を行うことを本研

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

<4D F736F F F696E74202D20816B8DAA8ADD90E690B6816C8BFC90DC8BB890B38EE88F7082CC8CBB8FF F193B98E9197BF816A>

糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

神経発達障害診療ノート

表紙.indd

シリーズ刊行にあたって 21 quality of life 80

saisyuu2-1

化を明らかにすることにより 自閉症発症のリスクに関わるメカニズムを明らかにすることが期待されます 本研究成果は 本年 京都において開催される Neuro2013 において 6 月 22 日に発表されます (P ) お問い合わせ先 東北大学大学院医学系研究科 発生発達神経科学分野教授大隅典

イルスが存在しており このウイルスの存在を確認することが診断につながります ウ イルス性発疹症 についての詳細は他稿を参照していただき 今回は 局所感染疾患 と 腫瘍性疾患 のウイルス感染検査と読み方について解説します 皮膚病変におけるウイルス感染検査 ( 図 2, 表 ) 表 皮膚病変におけるウイ

モリサワ多言語フォント (UD 新ゴハングル UD 新ゴ簡体字 UD 新ゴ繁体字 ) の可読性に関する比較研究報告 株式会社モリサワ 概要 モリサワはユニバーサルデザイン (UD) 書体を2009 年に市場投入して以来 多くのお客様の要望に応え フォントの可読性に関する比較研究を行ってきた エビデン

Microsoft Word - ①【修正】B型肝炎 ワクチンにおける副反応の報告基準について

心房細動1章[ ].indd


アレルギー性結膜疾患診療ガイドライン(第2版)

Microsoft Word HP FLACS ver.3.docx


乳児内斜視 (Infantile esotropia)

著作権法に違反いたしますので 以下の図 ( 文章を含む ) などを 柏木豊彦の許可なく 複製することを禁じます なお図 B,C,D は 第 51 回日本眼光学学会総会 2015 年 9 月 26 日 ~27 日 岡山コンベンションセンターにて 柏木豊彦がすでに発表したものです 多焦点眼内レンズ挿入眼

橡00扉.PDF

,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,000 1,

3 睡眠時間について 平日の就寝時刻は学年が進むほど午後 1 時以降が多くなっていた ( 図 5) 中学生で は寝る時刻が遅くなり 睡眠時間が 7 時間未満の生徒が.7 であった ( 図 7) 図 5 平日の就寝時刻 ( 平成 1 年度 ) 図 中学生の就寝時刻の推移 図 7 1 日の睡眠時間 親子

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

PTM 12 ( 2 ) OCT., 2009 最新眼科屈折矯正医療の現状 The Latest Trends in Refractive Surgery 品川近視クリニック東京本院 副院長冨田 実 Tomita Minoru

上原記念生命科学財団研究報告集, 30 (2016)

巻頭言 公益社団法人日本眼科医会 会長 高野繁 日本眼科医会の総務部企画の中に研究班活動事業がある この事業はその時々に話題となっている眼科医療の課題についてのデータを構築するもので, 昭和 61 年より続いている はじめは 1 VDT 研究班 ( 班長 : 石川哲先生 ) で, その後 2 テクノ

公益ざい

一身体障害認定基準 1 総括的解説 (1) 視力の屈折異常がある者については 眼科的に最も適当な矯正眼鏡を選び 矯正後の視力によって判定する () 視力表は万国式を基準とした視力表を用いるものとする () 視野はゴールドマン視野計及び自動視野計又はこれらに準ずるものを用いて測定する ゴールドマン視野

<82A8926D82E782B994C531308C8E8D862E696E6464>

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

山田山企画-視能訓練士-本冊-午前1.indd

1-A-01-胸部X線写真の読影.indd

表01

報道発表資料 2007 年 4 月 11 日 独立行政法人理化学研究所 傷害を受けた網膜細胞を薬で再生する手法を発見 - 移植治療と異なる薬物による新たな再生治療への第一歩 - ポイント マウス サルの網膜の再生を促進することに成功 網膜だけでなく 難治性神経変性疾患の再生治療にも期待できる 神経回

syllabus_ic08.pdf

平成 29 年 6 月 9 日 ニーマンピック病 C 型タンパク質の新しい機能の解明 リソソーム膜に特殊な領域を形成し 脂肪滴の取り込み 分解を促進する 名古屋大学大学院医学系研究科 ( 研究科長門松健治 ) 分子細胞学分野の辻琢磨 ( つじたくま ) 助教 藤本豊士 ( ふじもととよし ) 教授ら

わが国における糖尿病と合併症発症の病態と実態糖尿病では 高血糖状態が慢性的に継続するため 細小血管が障害され 腎臓 網膜 神経などの臓器に障害が起こります 糖尿病性の腎症 網膜症 神経障害の3つを 糖尿病の三大合併症といいます 糖尿病腎症は進行すると腎不全に至り 透析を余儀なくされますが 糖尿病腎症

Part 1 症状が強すぎて所見が取れないめまいをどうするか? 頭部 CT は中枢性めまいの検査に役立つか? 1 めまい診療が難しい理由は? MRI 感度は 50% 未満, さらには診断学が使えないから 3

108号_表紙



< A815B B83578D E9197BF5F906697C38B40945C F92F18B9F91CC90A72E786C73>

日産婦誌61巻4号研修コーナー

1508目次.indd

統合失調症発症に強い影響を及ぼす遺伝子変異を,神経発達関連遺伝子のNDE1内に同定した

094.原発性硬化性胆管炎[診断基準]

本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形

日本の糖尿病患者数約 890 万人糖尿病の可能性が否定できない人約 1320 万人合わせて約 2210 万人 (2007 年厚生労働省による糖尿病実態調査 ) 糖尿病の患者様の約 40% に網膜症発生 毎年 3000 人以上が糖尿病網膜症で失明 2


肥満と栄養cs2-修正戻#20748.indd

2015電磁波_歯科医.rtfd

かかわらず 軟骨組織や関節包が烏口突起と鎖骨の間に存在したものを烏口鎖骨関節と定義する それらの出現頻度は0.04~30.0% とされ 研究手法によりその頻度には相違がみられる しかしながら 我々は骨の肥厚や軟骨組織が存在しないにも関わらず 烏口突起と鎖骨の間に烏口鎖骨靭帯と筋膜で囲まれた小さな空隙

4氏 すずき 名鈴木理恵 り 学位の種類博士 ( 医学 ) 学位授与年月日平成 24 年 3 月 27 日学位授与の条件学位規則第 4 条第 1 項研究科専攻東北大学大学院医学系研究科 ( 博士課程 ) 医科学専攻 学位論文題目 esterase 染色および myxovirus A 免疫組織化学染色

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

系統看護学講座 クイックリファレンス 2012年 母性看護学

3T MRI導入に伴う 安全規程の変更について

Microsoft Word - 博士論文概要.docx

実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座

統計トピックスNo.92急増するネットショッピングの実態を探る

Microsoft Word - 1 糖尿病とは.doc

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 5. 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G010. 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク

発育状態調査 身長 身長 ( 平均値 ) は 前年度と比較すると 男子は 12~15 歳で前年度を上回り 女子は 5,6,8,9,14,16 歳で前年度を上回っている (13 年齢区分中 男子は増加 4 減少 6 女子は増加 6 減少 5) との比較では 男子は全ての年齢で 女子は 5,9 歳を除い

糖尿病網膜症診療の現状

Microsoft Word - 【セット版】別添資料2)環境省レッドリストカテゴリー(2012)

Transcription:

シリーズ刊行にあたって 21 quality of life 80

0 3 30 3 OCT optical coherence tomography 2016 1

専門医のための眼科診療クオリファイ 28 近視の病態とマネジメント 1 大野京子 2 川崎良 9 SQ 石井晃太郎 15 SQ カコモン読解 21 臨床 25 森山無価 18 2 山城健児 26 長谷部聡 33 カコモン読解 18 臨床 40 19 一般 44 21 一般 56 22 一般 51 田中裕一朗 40 CQ 不二門尚 51 SQ 世古裕子 56 3 横井多恵 62 奥山幸子 67 平岡孝浩 74 近藤峰生 91 SQ カコモン読解 CQ 21 30 21 30 19 73 19 73

vii 中林征吾, 長岡泰司 98 OCT カコモン読解 20 一般 70 22 一般 67 23 一般 9 佐柳香織 105 石子智士 111 4 カコモン読解 24 一般 57 長谷部聡 122 カコモン読解 21 臨床 18 平岡孝浩 130 カコモン読解 19 一般 92 19 一般 93 24 一般 91 北澤世志博 142 鳥居秀成, 不二門尚 151 SQ 長谷部聡 157 CQ IOL カコモン読解 18 一般 34 22 一般 36 横井多恵 160 CQ 吉田武史 165 5 安田美穂 168 森山無価 175 林憲吾 177 QOL 横井多恵 187 6 CNV 馬場隆之 194 カコモン読解 24 一般 99 藤本聡子, 生野恭司 202 CQ CNV AMD 森隆三郎 207 CQ CNV 若林卓 211 7 カコモン読解 18 一般 47 島田典明 216 島田典明 221 厚東隆志, 平形明人 225 坂東肇 231

viii CQ OCT FSIP 島田典明 236 SQ 久冨智朗 239 8 カコモン読解 18 一般 60 22 一般 75 23 一般 40 富所敦男 244 カコモン読解 20 一般 85 新田耕治 254 CQ 板谷正紀 261 CQ 大野京子 263 9 カコモン読解 18 一般 44 19 臨床 19 20 一般 41 森山無価 268 林憲吾 273 10 カコモン読解 18 臨床 38 20 臨床 33 23 一般 66 横山連 284 カコモン読解 24 一般 17 横山連 291 297 317

2 総論と分類 疫学 近視の発症には人種差があり 従来からアジア人に多く 白人や 黒人に少ないことが報告されている わが国は世界有数の近視国で ある 1 2 が さらに近年 シンガポール 台湾 韓国など他のアジ ア諸国においても近視人口の急増が指摘されている 3 5 また 欧 米諸国においても近年は近視人口の増加がみられており 6 近視は 国際的な視覚障害の原因として その重要性を増しつつある 小児における近視人口の増加も 将来の病的近視人口の増加を考 えるうえで重要な問題である わが国では小児の近視の統計はない が 文部科学省学校保健統計の裸眼視力 0.3 未満の小学生の頻度を みると ここ 30 年間で約 3 倍に増えている 生活環境の変化などに伴い 近視の低年齢化 高度化が進んでい る さらには 体の成長が停止したのちに近視を発症あるいは近視 が進行する成人発症近視または成人進行性近視も増加している こ ういった小児や若年における近視人口の増加は 成人以降に わが 国の失明原因として上位を占める病的近視 7 の増加に結びつく可能 性がある 近視の病態 眼の屈折状態を左右する 3 要素は角膜屈折力 水晶体屈折力 眼 軸長であるが 近視の場合には程度の大小や小児期の発症あるいは 成人期の発症 8 にかかわらず 眼軸長の増大 特に硝子体長の増大 眼軸長は生下時には約 17 mm である が主たる原因である 図 1 が その後増大し 成人の正視眼では約 23 24 mm とされている 片眼遮閉などを用いた実験近視モデル 図 2 の研究から 眼軸長が 正常値に至るまでの正視化過程 emmetropization は ぼけ像を感 知した網膜から何らかのシグナルが伝えられ 強膜の成長を制御す ることにより緻密に制御されていることがわかっている つまり近 視の多くは 視覚制御の何らかの異常によるといえるかもしれない 文献は p.297 参照

1 近視の病態と定義 a 正視眼 b 近視眼 図 1 正視眼 a と近視眼 b のシェーマ 近視眼では主として眼軸長 硝子体長 が延長し 平行光線が網膜面より前方で結像してしまう a b 図 2 動物の実験近視モデル サル a やヒヨコ b の片眼を遮閉もしくは半透明ゴーグルを装用させて幼若期に飼育すると 眼 軸延長を伴う近視眼を作成することができる このモデルを用いて近視発症メカニズムが盛んに研究 されてきた 写真提供 東京医科歯科大学名誉教授 所 敬先生 3

4 眼窩脂肪 強膜 上強膜または Tenon 囊 図 3 病的近視眼の swept source OCT 画像 1 強膜の全層が観察でき その後方には上強膜 眼窩脂肪まで 観察できる 図 4 病的近視眼の swept source OCT 画像 2 強膜のカーブが高度に変形し それに伴い網膜分離 がみられる 図 5 病的近視眼の 3D MRI 画像 下からみた画像 a および鼻側から みた画像 b において眼球が高度に 変形し 正常の球形から逸脱している a 下からみた画像 b 鼻側からみた画像 病的近視の病態 眼軸が高度に延長した病的近視になると 眼軸延 長に加えて強膜が菲薄化し 変形する 図 3 9 最近の swept source OCT の画像で強膜を観察すると 病的近視眼では正視眼の 1/3 以下 に強膜が菲薄化し 強膜のカーブも正常な弧を描かずにさまざまに 変形する 検眼鏡的にも強膜の変形は後部強膜ぶどう腫として観察 眼軸延長に続いて強膜の高度の菲薄化が することができる 図 4 起きる機序は不明であるが 病的近視眼では強膜の菲薄化に先んじ て 脈絡膜が菲薄化し 大血管を除いてほとんどの脈絡膜の層が消 失した状態に至る このような脈絡膜の消失が 内圧による強膜へ の負荷を増強させる可能性もある 強膜の菲薄化 変形による後部強膜ぶどう腫を生じる 10 という点 が 一般的な近視にはない病的近視の特有の問題であり そのために 眼底後極部の網膜 視神経が伸展され視覚障害を起こす原因となる 最近 3D MRI の検討から Moriyama ら 11 は 病的近視の眼球形状

1 近視の病態と定義 を詳細に 3 次元的に解析することに成功した 図 5 眼球は中枢神 経系である網膜や視神経を擁しており その外壁を構成する強膜の 菲薄化や変形が 中枢神経系組織の機械的障害を惹起することは想 像に難くない 3D MRI の解析では耳側偏位型というある特定の眼 球変形パターンを有する症例に高頻度に視神経障害がみられること が明らかとなっており 眼球変形と視覚障害との直接的関連を示し たものである 近視の分類 近視の分類にはさまざまあり 程度分類 眼底所見あるいは視機 能障害からの分類などがある わが国では程度分類として庄司 12 の 視機能障害の点からは 単純近 分類が多く使用されている 表 1 視と病的近視という分類がある 前者は正常な生物学的個体差の分 布範囲にあるもので 屈折度は比較的軽く 眼鏡を用いて正常視力 まで矯正が可能な近視である 一方後者は 変性近視あるいは悪性 近視とも呼ばれてきた病態であり Duke Elder 13 によれば 眼底 後極部に特有の近視性黄斑部病変 図 6 14 16 あるいは後部強膜ぶ どう腫を伴う近視とされている さらに所ら は 強度近視は眼軸の延長が主因であるため 病的 17 近視を 眼軸が異常に長く 正視眼の眼軸長の平均値から標準偏差 が 3 倍以上離れて長いものと定義し これを屈折度に換算した結果 表 2 のように病的近視を定義している しかしながら 種々の国際研究において異なる強度近視 病的近 視の定義や分類が用いられている現状があり そのため各国のデー タを単純に比較することが難しいという問題点がある 国際的に統 一された病的近視の診断基準を確立する META PM META anal- ysis for Pathologic Myopia Study が現在進行中であり その成果が 期待される 特殊な近視 近視はさまざまな病態に合併して生じることも多い ダウン症候 群などの発達異常には高頻度に屈折異常が合併することが知られて いる 先天性近視は種々の全身性および局所性疾患においてみられ るが 特に全身的素因がない症例にも少なからず存在する 興味深 い病態に片眼強度近視がある 18 強度近視になったほうの眼に明ら かな局所性の原因 角膜混濁など がある場合もあるが 明らかな原 表 1 近視の程度分類 弱度近視 3.00 D の近視 中等度近視 3.00 6.00 D 強度近視 6.00 10.00 D 最強度近視 10.00 15.0 D 極度近視 15.0 D D diopter 庄司義治 眼科診療の実際 上巻 東京 金原出版 1956 p.576. 表 2 病的近視の診断 基準 年齢 屈折度 矯正 視力 5歳 以下 4. 00 D を超える 0.4 6 8歳 6. 00 D を超える 0.6 9歳 以上 8. 00 D を超える 0.6 所 敬ら 病的近視診断の 手引き 厚生省特定疾患網膜 脈絡膜萎縮症調査研究班報 告書 1987 p.1 14. 5