尿細管における再吸収 * 近位でおおまかな調整 それ以降で細かい調整 1. 近位尿細管での再吸収 : 等張液 栄養素 ( グルコース, アミノ酸など ): 二次性能動輸送 Na +,Cl - : 主に二次性能動輸送 水 : 浸透 51 2. ヘンレのループでの再吸収 : 高張から低張へ a) 下行脚 水の再吸収 * 下へ行くほど濃度が高いから ( 間質が高張 ) 浸透していく b) 上行脚 Na +,Cl - の再吸収 細い部分 : 拡散による太い部分 : 能動輸送による 3. 遠位尿細管での再吸収 : 低張液 Na + 教科書はナトリウムポンプと記載 水は再吸収されにくい 4. 集合管での再吸収 ( 最終調整 ) アルドステロンによる Na + の調節 Na + の再吸収促進 副腎皮質 ( 球状層 ) から分泌される K イオン H イオンの分泌 ( 排泄 ) 促進 バゾプレッシン による水の調節 水の再吸収促進 下垂体後葉ホルモン. アクアポリンによる水門開閉 他に, 血管収縮作用. 尿量調節により, 血液量を調節している 尿細管における分泌 1. 水素イオンの分泌尿細管の細胞内で炭酸 (H 2 CO 3 ) を H + と HCO 3 - に解離 H + は尿細管腔へ分泌 ( 交換として,Na + が細胞内へ入る ) HCO 3- は間質側 ( 血管 ) へ吸収 2. カリウムの分泌遠位集合管や集合管にて分泌分泌量はアルドステロンにより促進される アルドステロンの主な作用 * 副腎皮質の球状層から分泌 1Na + の再吸収促進 : 特に遠位尿細管や集合管にて 2K + とH + の排泄促進 :Na + の再吸収と交換
52 レニン 腎臓から分泌 細胞外液量の減少, 血圧低下, 交感神経興奮, 立位などにより分泌促進 レニン アンジオテンシン アルドステロン系の活性化 Na + と水の再吸収促進 体液の保持 血管収縮による血圧上昇 糸球体傍装置の主なもの 糸球体傍細胞 レニンを分泌 緻密斑 NaCl( 特に Cl - ) の濃度を感知 メサンギウム細胞 糸球体の支持 濾過量の調節 * レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 (RAA 系 ) レニン : 細胞外液量の減少, 血圧低下, 交感神経興奮, 立位などにより分泌促進アンジオテンシン : 血管平滑筋の収縮, アルドステロンや ADH の分泌促進アルドステロン :Na + の再吸収促進
尿崩症 バゾプレッシンの分泌障害 多尿: 低張尿他に ; 口渇, 多飲 53 浸透圧利尿 * マンニトールという物質の投与でもみられる * 近位尿細管での再吸収が間に合わず (or 出来ず ), 原尿の浸透圧が高くなる 尿の浸透圧が高いため, 水の再吸収も妨げられる 多尿: 高張尿他に ; 口渇, 多飲 主な疾患: 糖尿病 Na+,Cl-も排泄されてしまう ネフローゼ症候群 * なんらかの原因により ( 原発性 続発性 ), 高度の蛋白尿がみられる 蛋白尿 低蛋白血症 浮腫 高脂血症 * 蛋白が漏れてしまうため, 血中の蛋白は減ってしまう ( 低蛋白血症 ) 低蛋白血症のため, 膠質浸透圧が下がり, 水分が間質へ漏れてしまう ( 浮腫 ) 減った蛋白を合成しようと肝臓が頑張るが, その時に脂肪の合成も一緒に行なってしまう ( 高脂血症 ) 特にトリグリセリドを多く含む低密度リポ蛋白 (VLDL) 腎臓に接する筋 * 大腰筋. 腰方形筋. 横隔膜 蓄尿 交感神経 ( 下腹神経 ) 促進 副交感神経 ( 骨盤神経 ) 抑制 膀胱の筋弛緩 ( 伸展 ) 排尿 副交感神経 ( 骨盤神経 ) 促進 膀胱の筋収縮, 内尿道括約筋弛緩 * 陰部神経 ( 体性神経 ) の働き : 外尿道括約筋の収縮
54 全体の構造 1 精巣 ( 睾丸 ) 2 精巣上体 ( 副睾丸 ) 3 精管 4 前立腺 5 精嚢 6 尿道球腺 7 陰茎 8 陰嚢 9 膀胱頂 10 膀胱上面 男性生殖器 A 精巣中隔 B 精巣小葉 C 精巣縦隔 精子の流れ D 曲精細管 E 直精細管 F 精巣網 G 精巣輸出管 H 精巣上体 ( 管 ) 精管 * 精管は精索の中を通り, 鼡径管 ( 浅鼡径輪 深鼡径輪 ) を経て腹腔に入る その後, 精管は精管膨大部を形成 精嚢の導管と合流し, 射精管となる 前立腺の精丘に開く 尿道へ 精巣断面図
55 精子の産出場所 曲精細管の精上皮 男性ホルモンを分泌する細胞 間細胞 ( ライディッヒ細胞 ) * 男性ホルモン アンドロゲン ( テストステロン, アンドロステンジオン,DHEA) 精上皮の支持 精細胞に栄養を与える細胞 セルトリ細胞 * 精子の受精能 : 女性生殖器内にいることにより獲得射精直後の精子には受精能がない 付属生殖器と外生殖器 4 前立腺 : 膀胱底の下, 尿生殖隔膜の上に位置し, 尿道が貫通する 精丘 尿道後壁の隆起, 射精管が開口 精液の成分を分泌, 弱アルカリ性, 腟の酸を中和栗の花の匂い 直腸の前方にて触診可能 * 内腺 : 前立腺肥大 ( 過形成 ) * 外腺 : 前立腺癌 5 精嚢 : アルカリ性の果糖を含んだ液体を分泌 6 尿道球腺 : アルカリ性の液体を分泌, 射精前に分泌カウパー腺 7 陰茎 : 皮下の脂肪組織は欠如 陰茎海綿体 : 一対, 勃起装置の主役 尿道海綿体 : 亀頭を形成, 尿道が貫通 両海綿体とも白膜で被われる 8 陰嚢 : 陰嚢中隔により左右を仕切る 皮下脂肪をもたない 肉様膜とよばれる平滑筋がある 温度を一定に保つ (34~35 度 ) その他 鼡径管 : 腹壁のトンネルで, 男性では精索, 女性では子宮円索が通る 精索 : 精管, 血管, 神経などを被膜が包む索状構造物 * 被膜 外側から, 外精筋膜, 精巣挙筋, 内精筋膜 精巣鞘膜 : 腹膜に相当, 精巣の大部分を覆う
56 女性生殖器 大きく分けて 卵巣, 卵管, 子宮, 腟, 外生殖器からなる 1 卵巣 * 卵胞と卵細胞が成長する場所 皮質: 卵胞が存在 髄質: 血管, 神経が存在 卵巣門: 血管, 神経が出入りするところ 卵巣の固定: 卵巣間膜, 卵巣堤索, 固有卵巣索 排卵 : 卵胞が破裂し, 卵子が卵巣の外 ( 腹腔 ) へ放出されること * 卵胞 : 卵細胞を包む球状の細胞集団 * 卵細胞 : 卵子 卵胞の発育 月経周期の始めに原始卵胞が発育を始める 原始卵胞 一次卵胞 二次卵胞 胞状卵胞 成熟卵胞 ( グラーフ卵胞 ) 排卵 赤体 黄体 ( 受精しない場合 ) 白体 消失黄体 : プロゲステロン分泌卵胞の顆粒細胞と内卵胞膜細胞が黄体化する 卵子の成熟 胎生期に卵祖細胞から卵母細胞へ 性的に成熟するまで減数分裂の前期の状態 排卵直前に 1 回目の減数分裂 ( 二次卵母細胞と第 1 次極体 ) 2 回目の減数分裂の完了は受精してから卵管内で起こる卵祖細胞は胎生期のみにみられる胎生期に卵祖細胞から卵母細胞へ ( 原始卵胞 ) 2 卵管 * 卵子を子宮に送る働きをする 1. 漏斗 : 腹腔口に開く * 卵巣とは直接連結していない卵管采, 卵巣采 * 排卵の際に卵巣に密着する 2. 膨大部 : 受精が行われる 3. 峡部 4. 子宮部 # 卵管の粘膜 : 粘膜ヒダ, 線毛細胞がみられる
3 子宮 * 受精卵を着床させ出産まで育てる 1. 子宮体 : 上部 2/3 2. 子宮峡部 : 子宮体と子宮頸の間 3. 子宮頸 : 下部 1/3, さらに腟上部と腟部に分けられる腟への開口部を外子宮口という 57 膀胱の後ろ, 直腸の前に位置する 子宮は正常では前傾前屈の状態にある 粘膜( 内膜 ): 大部分は単層円柱上皮, 腟部は重層扁平上皮 子宮内膜の表層: 機能層 周期的な変化が起こる深層 : 基底層 内膜の再生 子宮の支持, 固定 : 子宮広間膜, 子宮円索, 肛門挙筋, 子宮頸横靭帯 ( 基靭帯 ), 仙骨頸靭帯, 恥骨頸靭帯 # 卵巣 卵管 子宮は間膜をもつ 外陰部 4 腟 5 陰核 : 陰茎海綿体 ( 陰茎の背側部 ) に相当 6 外尿道口 7 前庭球 : 尿道海綿体に相当 * 小陰唇も * 8 大前庭腺 ( バルトリン腺 ): 尿道球腺に相当 9 大陰唇 : 男性の陰嚢に相当 10 膣前庭 11 小陰唇 : 尿道海綿体に相当 * 白膜 : 精巣, 陰茎, 卵巣を包む膜 * 卵巣はさらに肺芽上皮で覆われる. 女性ホルモン 卵胞ホルモン: エストロジェン 黄体ホルモン: プロゲステロン エストロジェン : 内卵胞膜 顆粒細胞から分泌 黄体 : プロゲステロン分泌卵胞の顆粒細胞と内卵胞膜細胞が黄体化する
58 性分化 生殖腺の性分化 男 : 生殖腺隆起の髄質 が発達 精巣 へ分化 女 : 生殖腺隆起の皮質 が発達 卵巣 へ分化 副生殖器の性分化 内生殖器 男 : ウォルフ管 が発達 精巣上体, 精管, 精嚢, 射精管へ分化 * ライディッヒ細胞からのテストステロンによる 女 : ミュラー管 が発達 卵管, 子宮, 膣上部へ分化 外生殖器 男性 女性 陰茎海綿 1 生殖結節 陰核 尿道海綿 2 尿道ひだ 小陰唇 前庭球 陰嚢 3 陰唇陰嚢隆起 大陰唇 * その他 尿道球腺 ( カウパー腺 ): 大前庭腺 ( バルトリン腺 ) に相当
女性の性周期とホルモン 59 LH LH FSH FSH エストロジェン プロジェスチン LH( 黄体形成ホルモン ) 排卵, 黄体の形成, プロジェスチンの分泌促進 FSH( 卵胞刺激ホルモン ) 卵胞の発育, エストロジェンの分泌促進 エストロジェン 卵胞の成長促進, 子宮内膜を増殖させる プロジェスチン 子宮内膜の分泌活性を高め, 受精卵を受け入れる準備をする
60 内分泌総論 内分泌系とは 神経系とともに生体の機能を調節する 各器官 組織間の情報伝達としてはたらく 血液中にホルモンを放出することによって情報を伝達する 内分泌器官の指令系統 視床下部 * 内分泌系の最高中枢 (-) 下垂体前葉のホルモンの分泌調節 A. 成長ホルモン放出ホルモン + 抑制ホルモン B. プロラクチン放出ホルモン + 抑制ホルモン C. 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン D. 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン E. ゴナドトロピン放出ホルモン ( 黄体形成ホルモン放出ホルモン ) 下垂体 前葉( 腺性下垂体 ) a. 成長ホルモン b. プロラクチン c. 甲状腺刺激ホルモン d. 副腎皮質刺激ホルモン e. 性腺刺激ホルモン ( ゴナドトロピン ):ⅰ) 卵胞刺激ホルモン ⅱ) 黄体形成ホルモン 後葉( 神経性下垂体 ) 1. バゾプレッシン : 抗利尿作用 血圧上昇作用 2. オキシトシン : 乳汁射出 子宮筋収縮 甲状腺 副腎皮質 生殖腺 更に消化管 松果体 胸腺など 他に, 副甲状腺 膵島 副腎髄質 腎臓など