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表 2.WP5A の審議体制 担務内容 議長 WP5A Jose Costa 氏 ( カナダ ) WG1 アマチュア業務 アマチュア衛星業務 Dale Hughes 氏 ( オーストラリア ) WG2 システムと標準 Lang Baozhen 氏 ( 中国 ) WG3 PPDR ( 公共保安及び災害救援 ) Amy Sanders 女史 ( 米国 ) WG4 干渉と共用 Michael Kraemmer 氏 ( ドイツ ) WG5 新技術吉野仁氏 ( 日本 ) 3.2 主要議題及び主な結果 1 アマチュア及びアマチュア衛星に関する検討 WRC-19 議題 1.1(50-54MHz 帯のアマチュア業務への分配の検討 ) に関する作業計画及びCPMテキスト案に向けての作業文書 50-54MHz 帯におけるアマチュア業務と既存業務との共用検討についての暫定新レポート草案 M.[AMATEUR_50MHZ] に向けての作業文書を作成した また前回会合からキャリーフォワードされた勧告 M.1732 共用検討で使用されるアマチュア及びアマチュア衛星業務で運用されるシステムの特性 に関し 次回会合での完成を目指して暫定改訂案として WP5A 議長報告に添付した 2 鉄道無線に関する検討 WRC-19 議題 1.11( 列車沿線間の鉄道無線通信システム (RSTT) に関する検討 ) のためのRSTTの技術運用特性とスペクトラム要求についての暫定新レポート案 M.[RAIL.RSTT] の作業文書のほか CPMテキスト案のための作業文書 作業計画案等が 議長報告に添付され次回会合にキャリーフォワードされた また ITU 加盟国等に鉄道無線システムに関する質問を行うための回章が準備され その後 6 月 3 日に5/LCCE/60として各国 セクターメンバー等に発出された また2014 年に日本提案により作業が開始された鉄道無線リンクに関する暫定新レポート案 M.[RAIL.LINK] 作業文書は その内容が合意され タイトルを ミリ波帯における特定鉄道通信システム へ変更した後 暫定新レポート案への格上げが合意され 議長報告に添付された 次回エディトリアル修正を経て最終化される予定である 3 PPDR( 公共保安及び災害救援 ) に関する検討 WRC-15で改訂された決議 646(Rev.WRC-15) の変更結果を受け PPDR 用周波数を整理した勧告 ITU-R M.2015 の改訂に関する作業文書を作成し 今後の改訂のためのガイドラインドキュメントを作成して議長報告に添付された 4 干渉と共用に関する検討 WRC-19 議題 1.16(5GHz 帯 RLANと他の業務との共用検討 ) に関して RLAN 技術特性及び運用要求に関する作業文書 RLAN 航空計測に関する作業文書 RLAN 共用検討に関する作業文書に関する作業開始が合意された 5 高度道路交通システム (ITS) に関する検討 WRC-19 議題 1.12(ITS 用周波数の世界的調和 ) に関して 日本よりCPM テキスト案の骨子と 今後の作業計画案を提案し ドイツ 米国等のサポートも得られ 合意された ITS 利用状況の調査レポートに関する新レポート案 ITU-R M.[ITS USAGE] の作成作業は議長報告に添付され 次回会合へキャリーフォワードされた 6 275 450GHz の周波数帯における陸上移動業務への周波数特定に関する検討 WRC-19 議題 1.15(275-450GHz の周波数帯における陸上移動業務及び固定業務への周波数特定の検討 ) に関して 日本提案を元に 275GHzの移動無線システムの特性に関する暫定新レポート案 M.[300GHZ_MS_CHAR] の作業文書が作成され 議長報告に添付され次回会合にキャリーフォワードされた 4.WP5B 第 16 回会合 4.1 WP5Bの所掌及び会合の概要 WP5Bは 無線測位業務 航空移動業務及び海上移動業務に関する技術的検討を実施している 本会合には 38か国から221 名が出席し 我が国からは 6 名が参加した また 125 件の文書について検討が行われた 4.2 主要議題及び主な結果 1 無人航空機及び決議 155に関する検討 WRC-15 議題 1.5において 無人航空機システム (UAS) の制御及び非ペイロード通信 (CNPC) のために固定衛 49

星業務 (FSS) に分配された周波数帯を使用することが検討され WRC-15において UAS CNPCの利用に関する決議 155が作成された 本決議にはUAS CNPC 利用のための条件や行うべき検討事項が列挙されている 本会合においては米国及び英国から決議 155で指示されている検討事項を誰 (WP5B WP4A ICAO 等 ) が担当すべきか整理した寄与文書が入力された 本寄書についてイランより WP5BではWP5Bの所掌の内容のみ検討すべきであるとの見解が示され WP5Bが検討すべき項目のみについて整理を行った 前研究会期に作成中であったレポートM.[UAS-FSS] について 米国 ドイツ等からレポートとして完成させるべきとの意見があったが WRC-15において決議 155が作成されたことから フランス ロシアから決議 155に沿って新たな文書を作成すべきとの意見もあり 結論は出ず 次回会合で継続検討することとなった 2 WRC-19 議題 1.8(GMDSSの更新及び近代化 ) に関する検討 WRC-19 議題 1.8は 決議 359(WRC-15 改 ) による全世界的な海上遭難 安全システム (GMDSS) の更新及び近代化のための規制条項の検討であり GMDSSの更新としてイリジウム衛星システムの導入が議論の中心となることが想定されている 本会合では WP4Cの要求事項の確認を求める WP4Cのリエゾン文書について検討され 決議 359(WRC-15 改 )resolves2に関わる研究( 追加衛星プロバイダに関する研究 ) をWP4Cに要請するとともに 本議題解決のMethodとしてイリジウム衛星の使用周波数をRR 付録第 15 号へ記載すること (RR 第 5 条の修正はしない ) が考えられる旨が記載された また 米国より議題 1.8の作業計画及びCPMテキスト案に向けた作業文書が提案され 議長報告に添付された (IALA) より ITU-R 新レポート案の提案があり 160MHz 帯でAPPENDIX18に記載がない周波数帯 (160.975-161.475MHz) を衛星 VDEのダウンリンクで利用することが提案された 我が国及びドイツより APPENDIX18 に記載のない周波数を候補とすることに懸念が示された 結果として 作業計画 CPMテキスト案及びITU-R 新レポート草案 M.[VDES-SAT] に向けた作業文書 ( ロシア及びIALAの入力を統合したもの ) が作成され 議長報告に添付された また WP4C 5A 5C 6A 6B 及び 7Dへ宛てたリエゾン文書が作成され VDES 衛星への分配検討対象となっている周波数帯 (156.0125-157.4375MHz 及び160.6125-162.0375MHz) 全域にわたり 当該及び隣接周波数で運用中システムの技術及び運用特性を求めた 4 WRC-19 議題 1.10(GADSSの導入 利用に関する周波数要求及び規則条項 ) WRC-19 議題 1.10は ICAOで検討されているGADSS ( 全世界的な航空遭難 安全システム ) に関する周波数等を検討する議題である 本会合では アルゼンチン工科大学から衛星搭載のADS-Bのようなメッセージ ( 位置情報メッセージ ) の受信確率のシミュレーション結果が入力されたが ITU-RにおけるGADSS 検討はICAO 文書の最終化を待つべきとの共通認識から 本文書は議長報告に添付され 次回 WP5B 会合へ持ち越された 5.WP5C 第 16 回会合 5.1 WP5Cの所掌及び会合の概要 WP5Cは 固定無線システム並びに30MHz 以下の固定及び陸上移動業務のシステムに関する技術的検討を表 3に示す体制のもとで実施している このうち WG5C-4の議長については 本会合で NTTの大槻氏が就任した 3 WRC-19 議題 1.9.2( 衛星 VDES 及び海上通信の高度化のためMMSSの周波数分配及び規則条項 ) に関する検討本議題は WRC-15 議題 1.16において衛星 VDEのために海上衛星移動業務の分配が検討されたが ロシアの反対によりWRC-19 議題 1.9.2として持ち越すこととなったものである 本会合では ロシアより VDES 衛星と宇宙監視レーダーとの共用検討に関する新レポート案に向けた作業文書の提案があった また 国際航路標識協会 表 3. WP5C の審議体制 担務内容 議長 WP5C Pietro Nava 氏 ( 華為技術 ) WG5C-1 30MHz 以下のシステム Brian Patten 氏 ( 米国 ) WG5C-2 30MHz 18GHz のシステム Nasarat Ali 氏 ( 英国 ) WG5C-3 WG5C-4 18GHz 以上のシステム及び一般的な寄与文書 WRC 議題に関連しない勧告 レポート等の見直し Haim Mazar 氏 (ATDI) 大槻信也氏 ( 日本 ) 50

本会合には 34か国 18 機関から171 名が出席し 我が国からは 9 名が参加した 日本寄書 4 件を含む63 件の入力文書等について検討が行われ 12 件のリエゾン文書を含む 30 件の出力文書が作成された 5.2 主要議題及び主な結果 1 WRC-19 議題 1.15(275-450GHz の能動業務への特定 ) に関する検討 WRC-19 議題 1.15は 現在 受動業務にのみ特定されている 275-1000GHz の周波数帯のうち 275-450GHz の周波数範囲で固定業務等の能動業務への特定に関する検討を行うものである 本会合では 本議題に関する検討の促進のため 我が国から275-450GHz 帯固定業務アプリケーションの技術運用特性に関する新レポートの作成等について提案を行った 審議の結果 日本提案に基づく暫定新レポート案に向けた作業文書が議長報告に付され 次回会合で継続検討することが合意された また 関連する外部標準化機関や WPに対して 本件に関する作業状況を周知するとともに 関連する技術運用特性について情報提供を求めるリエゾン文書を発出した 2 ITU-R 勧告 F.1777の改定に向けた検討 ITU-R 勧告 F.1777は 放送補助業務で用いるシステムと他業務との共用検討用パラメータを記載している勧告である 本会合では 我が国から 日本国内で使用されているSTL(Studio to Transmitter Link) のパラメータと 700MHz 帯 FPU(Field Pickup Unit) の周波数移行に伴う新周波数帯のシステムに関するパラメータを追加する提案を行った 審議の結果 上記の提案に基づく作業文書が議長報告に付され 次回会合で継続検討することが合意された 3 自動車レーダーと固定業務の両立性に関する暫定新レポート案の検討 71-76GHz 及び81-86GHz 帯で運用される固定業務の P-P/P-MPアプリケーションと 76-81GHz 帯で運用される自動車レーダアプリケーションの両立性に関する暫定新レポート案 ITU-R F.[FS/RLS COMPATIBILITY IN 71-86GHZ] の作成が進められている 本会合では 前回議長報告に付された暫定新レポート案に向けた作業文書において ITU-R 勧告 M.2057から引用されている我が国で使用される自動車レーダーが 他のものよりも FSとの両立性が低いものとして扱われている点について 参照されているパラメータの扱いが適切でないことから 修正を行う提案を我が国から行った 審議の結果 これを反映した暫定新レポート案が議長報告に付され 次回会合で継続検討することが合意された 4 固定無線システムに対するLarge/Massive MIMO (Multiple Input Multiple Output) 技術の適用性に関する検討我が国から 多数のモバイルバックホールを展開するための将来技術として 固定無線システムにおける Large/Massive MIMOの検討を開始すること その検討結果として 固定無線システムの利用動向に関する ITU-RレポートF.2323にLarge/Massive MIMOの記述を追加することを提案した 審議の結果 上記の内容を追加したITU-Rレポート F.2323 改定に向けた作業文書が議長報告に付され 次回会合で継続検討することが合意された 6.TG5/1 第 1 回会合 6.1 TG5/1の所掌及び会合の概要 TG5/1は WRC-19 議題 1.13( 将来のIMT 開発に向けた 24.25-86GHz 帯における移動業務の追加一次分配を含む IMT 特定のための周波数に関する検討 ) の検討に必要な ITU-Rの研究を実施する責任グループであり IMTと他業務の共用検討等を行い CPMテキスト案を完成させることとなっている 今回は第 1 回会合であるため 具体的な共用検討やCPMテキスト案の作成には着手せず 検討体制 議長 マネジメントチーム 今後の会合計画に関しての審議を行った 本会合には 31か国から161 名が出席し 我が国からは8 名が参加した また 13 件の文書について検討が行われた 6.2 主要議題及び主な結果 1 TG5/1での審議体制の検討 TG5/1での審議体制について 日本 CEPT 中国 ブラジル カナダ提案に基づき検討を行った結果 CPM 51

図.TG5/1 の検討体制 (WG 構成 議長 ) テキスト案作成担当 WG 3 つの周波数レンジごとの共 用検討担当 WG を設置することとなった 併せて 各 WG の作業目的の設定 WG 議長の選出を行い 本 TG5/1 の運営管理を行うマネジメントチームに関して TG5/1 議長 副議長 各 WG 議長 SG5 議長に加え 各地域会 合と TG5/1 の連携を強化するため 6 地域の各地域グ ループ (APG ASMG ATU CEPT CITEL RCC) の議題 1.13 コーディネータで構成することとした TG5/1 の審議体制については図のとおり 2 作業計画の検討 日本 中国 カナダ提案をベースとした議長提案を元 に審議を行った結果 大まかなスケジュール 作業内容 として表 4 の内容が合意された 各会合の具体的なスケ ジュールについては調整を継続することとした 表 4.TG5/1 のスケジュール 作業内容 スケジュール 第 1 回会合 (2016 年 5 月 今回 ) 第 2 回会合 (2017 年 4 7 月 ) 第 3 回会合 (2017 年中盤 ) 第 4 回会合 (2017 年終盤 ) 第 5 回会合 (2018 年 必要に応じて ) 作業内容 体制構築 作業計画策定 CPMテキスト案作成開始 共用検討ひな形検討 共用検討開始 CPM テキスト案作成 共用検討 CPM テキスト案作成 共用検討 CPM テキスト案作成 共用検討完了 7. 今後の予定 次回の WP5D 会合は2016 年 6 月と 10 月に WP5A WP5B WP5C SG5 会合は11 月にジュネーブにてそれぞれ開催される予定である 8. おわりに 今回のSG5 関連会合は WRC-15 後の最初の会合であり 前会期からの継続案件の審議に加えて WRC-19に向けた議題の検討が開始され 前会期ではあまり参加していなかった国からの参加も見受けられた SG5 会合では 通常行われる勧告案等の文書審議ではなく SG5の体制の検討等が行われ その結果を受けて各 WP 会合 TG 会合での検討がスタートされた また SG5 会合では前 SG5 議長である橋本氏へも多くの賛辞が送られた 今回の各 WP 会合 TG 会合において 日本からも積極的に議論に貢献できたことは 長時間 長期間にわたる議論に参加された日本代表団各位 会合前の寄書作成や審議に貢献していただいた関係各位のご尽力のたまものと この場をお借りして深く御礼申し上げる WRC-19までの今会期では IMT-2020の実現に向けた議論を含め 引き続き地上業務の研究が活発に行われる予定である 我が国が一層貢献 活躍できるよう 今後の審議に向けて関係各位のさらなるご協力をお願い申し上げる 第 6 回会合 (2018 年 ) CPM テキスト案作成完了 52