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UIプロジェクトX


次世代エネルギーシステムの提言 2011 年 9 月 16 日 株式会社日本総合研究所 創発戦略センター Copyright (C) 2011 The Japan Research Institute, Limited. All Rights Reserved.[tv1.0]

Microsoft Word 後藤佑介.doc

RIETI Highlight Vol.66

資料 2 接続可能量 (2017 年度算定値 ) の算定について 平成 29 年 9 月資源エネルギー庁

(ホームページ公開版成果報告)

HP用成果報告書_

けいはんなエコシティ次世代エネルギー 社会システム実証プロジェクトにおける 電気のかしこい使い方プログラム の今夏の実施結果と今冬の実施概要について 平成 25 年 12 月 2 日関西電力株式会社三菱電機株式会社三菱重工業株式会社 関西電力株式会社 三菱電機株式会社 三菱重工業株式会社の 3 社は

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資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

新興国市場開拓事業平成 27 年度概算要求額 15.0 億円 (15.0 億円 ) うち優先課題推進枠 15.0 億円 通商政策局国際経済課 商務情報政策局生活文化創造産業課 /1750 事業の内容 事業の概要 目的 急速に拡大する世界市場を獲得するためには 対象となる国 地

ドイツで大規模ハイブリッド蓄電池システム実証事業を開始へ

平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1-

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目次 1. 策定の趣旨 2 2. 水素利活用による効果 3 3. 能代市で水素エネルギーに取り組む意義 5 4. 基本方針 7 5. 水素利活用に向けた取り組みの方向性 8 6. のしろ水素プロジェクト 10 1

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Activity Report

電中研における次世代のグリッド技術開発

2 研究開発項目 高信頼リモート管理技術の研究開発 (1) リモート管理プロトコルポータル リモート管理マネージャプロトコル仕様書の作成 およびエージェント向けリモート管理マネージャ API 仕様書の作成を行った (2) リモート管理マネージャ技術リモート管理マネージャ通信基盤基本設計書の作成とリモ

今回の調査の背景と狙いについて当社では国のエネルギー基本計画の中で ZEH 普及に関する方針が明記された 200 年より 実 邸のエネルギー収支を調査し 結果から見えてくる課題を解決することが ZEH の拡大につなが ると考え PV 搭載住宅のエネルギー収支実邸調査 を実施してきました 205 年

スマートコミュニティと新しいビジネス ~エネルギー関連新規ビジネスを促進するために~

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エネルギー規制 制度改革アクションプラン (11 月 1 日 ) の概要 重点課題と詳細リスト 現時点で政府が取り組むこととしている又は検討中の事項を 実施 検討事項詳細リスト (77 項目 ) として取りまとめ その中から 3つの柱で計 26 項目の重点課題を特定 1 電力システムの改革 (9 項

FIT/ 非 FIT 認定設備が併存する場合の逆潮流の扱いに関する検討状況 現在 一需要家内に FIT 認定設備と非 FIT 認定設備が併存する場合には FIT 制度に基づく買取量 ( 逆潮流量 ) を正確に計量するため 非 FIT 認定設備からの逆潮流は禁止されている (FIT 法施行規則第 5

発電単価 [JPY/kWh] 差が大きい ピークシフトによる経済的価値が大きい Time 0 時 23 時 30 分 発電単価 [JPY/kWh] 差が小さい ピークシフトしても経済的価値


2016年07月28日 ZEH 1 普及への対応と さらなるHEMSの市場拡大を目指し 価格を約40 ダウン 2 スマートHEMS(R)の中核機器 AiSEG2 7型モニター機能付 を発売 HEMSゲートウェイ AiSEG(R) とHEMSモニターの一体化と Wi-Fi機能の搭載により 設置自由度が

部分供給については 例えば 以下の3パターンが考えられる ( 別紙 1 参照 ) パターン1: 区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ( 又は他の小売電気事業者 ) が一定量のベース供給を行い 他の小売電気事業者 ( 又は区域において一般電気事業者であった小売電気事業者 ) がを行う供給

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資料 1 申込代行事業者さまにご確認 ご対応いただく内容 1. 同封資料の内容について ご確認をお願いいたします 1 今回 当社からご確認させていただく対象は ( 資料 2) 今回確認の対象となる発電所一覧 に記載している発電所です 複数の発電所を申込みいただいた申込代行事業者さまについては ダイレ

中部電力のICT活用に関する取り組み

平成 30 年 9 月 10 日修正 海外ベンチャー企業連携 案件組成イベント Global Connection 2018 募集要領 平成 30 年 7 月 10 日 IoT 推進ラボ 経済産業省 (IoT 推進ラボ事務局 : 一般財団法人日本情報経済社会推進協会 ) 0

これは 平成 27 年 12 月現在の清掃一組の清掃工場等の施設配置図です 建替え中の杉並清掃工場を除く 20 工場でごみ焼却による熱エネルギーを利用した発電を行っています 施設全体の焼却能力の規模としては 1 日当たり 11,700 トンとなります また 全工場の発電能力規模の合計は約 28 万キ

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小売電気事業者総覧第 2 章事業者戦略 東京電力エナジーパートナー 業種販売戦略顧客獲得目標ブランド戦略 大手電力より割安な料金メニュー ガスや通信などの各種商材とのセット販売で競合を迎え撃ち Web サービスの充実などで顧客拡大を狙う さらに 顧客の暮らし全般をサポートする新サービスを

エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律の制定の背景及び概要 ( 平成 22 年 11 月 ) 資源エネルギー庁総合政策課編

2 政策体系における政策目的の位置付け 3 達成目標及び測定指標 1. 地球温暖化対策の推進 1-2 国内における温室効果ガスの排出抑制 租税特別措置等により達成しようとする目標 2030 年の電源構成における再生可能エネルギーの割合を 22~24% とする 租税特別措置等による達成目標に係る測定指

資料 4 テクノロジーの進展と電力ネットワークの高度化や新ビジネスについての諸外国の動向 ( 第 1 回 次世代技術を活用した新たな電力プラットフォームの在り方研究会 第 1 回用参考資料 ) 2018 年 10 月 15 日

Q 切り替えする手続きが面倒じゃないの? A 新しく契約する電力会社へ申し込みをするだけで 今の電力会社へ連絡はせずに切り替えができます また Web でも簡単に申し込み手続きができるようになります Q 停電が増えたり 電気が不安定になったりしないの? A 新電力と契約した場合でも 電気を送る電線や

電力事情 BOP 実態調査レポート 調査実施日 :2012 年 12 月 調査対象 ヒヤリング : ダッカ電力供給会社 (DESCO) ダッカ農村電化庁 (REB) アンケート : ダッカ ( 都市と農村の中間地にあるサバール地域 ) の 26 名 ( 男性 6 名 女性 20 名 ) バングラデシ

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調査要領 1. 調査の目的 : 4 月からの電力の小売り全面自由化に対する会員事業所の意識及びその影響を把握し 今後の参考資料とする 2. 調査実施機関 : 甲府商工会議所 3. 調査実施時期 : 平成 28 年 3 月 24 日 ( 木 )~31 日 ( 木 ) 4. 調査対象 : 当所会員 30

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参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

電気料金新旧単価一覧表 ( 平成 25 年 9 月 1 日実施 ) 平素は 弊社事業に対し格別のご高配を賜り 厚く御礼申し上げます また 日頃から節電にご協力いただいておりますことについて 重ねて御礼申し上げます さて 弊社は東日本大震災や新潟 福島豪雨による甚大な設備被害 原子力発電の停止による火

中国国内需給動向と中露石油ガス貿易

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FCH2JU は欧州全体の水素 燃料電池技術開発をリードしており 主に交通 エネルギーシステム 分野横断型のプログラムを実施している 定量目標 戦略名称 関連主体 期間 予算 定性目標 FCV 水素 ST 需給量 第 2 期燃料電池水素共同実施機構 (FCH2JU) 欧州委員会 Hudrogen E

出所 : 山家公雄 迷走するスマートグリッド - 誰も書かなかった次世代インフラの本質 エネルギーフォーラム,2010 年 8 月より作成 2) RegModHarz( レグモドハルツ ) 地域特性 ザクセン = アンハルト州ハルツ郡 ( 約 24 万 1,000 人 面積 2,104k m2 (

参考 :SWITCH モデルの概要 SW ITCH モデル は既存の発電所 系統 需要データを基にして 各地域における将来の自然エネルギーの普及 ( 設備容量 ) をシミュレーションし 発電コストや CO 排出量などを計算するモデルです このモデルでは さらに需要と気象の時間変動データから 自然エネ

1 タウンメガソーラーの実現 7 2 街の発展を想定したメガソーラー整備及び連結 8 3 北九州水素タウン 9 4 風の道に沿った小型風力発電の導入 10 5 工場廃熱の活用 ( 工場廃熱の植物工場等利用 ) 11 6 工場廃熱の活用 ( バイナリー発電 ) 12 7 次世代 BDF の開発などバイ

目次 1. 実施内容について 背景と目的 2. 海外 P2G 事例 3. FSの中間報告 システム機能概要図 主要設備仕様案 主要設備面積試算と水素量試算 想定スケジュール 技術的要件 送電線 FSにおける今後の検討スケジュール 2017 Toshiba Corporation / Tohoku-E

資料 5 自治体クラウド推進 業務改革について 平成 27 年 9 月 14 日

スマートグリッドと電気自動車

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問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

日本市場における 2020/2030 年に向けた太陽光発電導入量予測 のポイント 2020 年までの短 中期の太陽光発電システム導入量を予測 FIT 制度や電力事業をめぐる動き等を高精度に分析して導入量予測を提示しました 2030 年までの長期の太陽光発電システム導入量を予測省エネルギー スマート社

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御意見の内容 御意見に対する電力 ガス取引監視等委員会事務局の考え方ることは可能です このような訴求は 小売電気事業者が行うことを想定したものですが 消費者においても そのような訴求を行っている小売電気事業者から電気の小売供給を受け 自らが実質的に再生可能エネルギーに由来する電気を消費していることを

タイトル

取組概要 ( 申請書からの転記 ) 全 般 排 出 量 の 認 識 取組名称 認証取得者名取組の概要 適用したカーボン オフセット第三者認証基準のバージョン認証の有効期間オフセット主体認証ラベルの使途 認証対象活動 認証番号 :CO 有効期間満了報告書受領済み 持続可能な島嶼社会の発展に

1. よりそうスマートプロジェクト の概要 1 当社では IoT や AI などの新たな情報技術の進展を 成長の機会 ( チャンス ) と捉え 本年 4 月に バーチャルパワープラント実証プロジェクト を開始するなど お客さまサービスのさらなる向上や将来の事業領域の拡大につながる新たなビジネスモデル

マートシティ 省エネルギー対策の推進 <ビル 工場等における省エネルギー対策の推進 > 大規模事業所が対象のキャップ & トレード制度 * ( 以下 C&T 制度 という ) について 2020 年度からの第 3 計画期間に向け 専門家による検討会の設置に係る準備等を実施 新規 東京 2020 大会

公開用_ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の定義と評価方法(150629)

世界の CO2 排出量と東京都 2013 年度は 東京 63.8 百万トン シンガポールフィンランドポルトガルスウェーデンデンマーク < 東京 < マレーシアベルギーオーストリア 2

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

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緒論 : 電気事業者による地球温暖化対策への考え方 産業界における地球温暖化対策については 事業実態を把握している事業者自身が 技術動向その他の経営判断の要素を総合的に勘案して 費用対効果の高い対策を自ら立案 実施する自主的取り組みが最も有効であると考えており 電気事業者としても 平成 28 年 2

( 太陽光 風力については 1/2~5/6 の間で設定 中小水力 地熱 バイオマスについては 1/3~2/3 の間で設定 )) 7 適用又は延長期間 2 年間 ( 平成 31 年度末まで ) 8 必要性等 1 政策目的及びその根拠 租税特別措置等により実現しようとする政策目的 長期エネルギー需給見通

1. はじめに 1 需要曲線の考え方については 第 8 回検討会 (2/1) 第 9 回検討会 (3/5) において 事務局案を提示してご議論いただいている 本日は これまでの議論を踏まえて 需要曲線の設計に必要となる考え方について整理を行う 具体的には 需要曲線の設計にあたり 目標調達量 目標調達

バイオマス比率をめぐる現状 課題と対応の方向性 1 FIT 認定を受けたバイオマス発電設備については 毎の総売電量のうち そのにおける各区分のバイオマス燃料の投入比率 ( バイオマス比率 ) を乗じた分が FIT による売電量となっている 現状 各区分のバイオマス比率については FIT 入札の落札案

再生可能エネルギー発電と二次電池を導入した地域電力システムのシミュレーションによる設計


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海外における電力自由化動向

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安

( お知らせ ) 家電メーカー各社による家電リサイクル実績の公表について 参考資料 4 平成 19 年 6 月 12 日 ( 火 ) 環境省大臣官房廃棄物 リサイクル対策部企画課リサイクル推進室直通 : 代表 : 室長補佐 : 相澤寛史 ( 内線

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平成 29 年 7 月 地域別木質チップ市場価格 ( 平成 29 年 4 月時点 ) 北東北 -2.7~ ~1.7 南東北 -0.8~ ~ ~1.0 変動なし 北関東 1.0~ ~ ~1.8 変化なし 中関東 6.5~ ~2.8

申込代行事業者さまへのお知らせについて

はじめに 1 電源 Ⅱ 事前予約の検証について 四国エリアにおいては 太陽光発電の計画差 ( 下振れ ) により十分な予備力が確保できなくなるおそれがある場合に電源 Ⅱ 事前予約を実施しています 今回 2018 年 8 月 9 月における電源 Ⅱ 事前予約の実績について事後検証を実施しました

熱効率( 既存の発電技術 コンバインドサイクル発電 今後の技術開発 1700 級 ( 約 57%) %)(送電端 HV 級 ( 約 50%) 1500 級 ( 約 52%

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包括的アライアンスに係る基本合意書の締結について

表紙

White Paper on Small and Medium Enterprises in Japan

( 出所 ) 中国自動車工業協会公表資料等より作成現在 中国で販売されている電気自動車のほとんどは民族系メーカーによる国産車である 15 年に販売された電気自動車のうち 約 6 割が乗用車で 約 4 割弱がバスであった 乗用車の中で 整備重量が1,kg 以下の小型車が9 割近くを占めた 14 年 8

令和元年 6 月 4 日 科学技術振興機構 (JST) 北 海 道 大 学 名 古 屋 大 学 東 京 理 科 大 学 電力使用量を調整する経済的価値を明らかに ~ 発電コストの時間変動に着目した解析 制御技術を開発 ~ ポイント 電力需要ピーク時に電力使用量を調整するデマンドレスポンスは その経済

Transcription:

資料 4 ドイツ フランスのスマートグリッド関連動向 ( スマートコミュニティアライアンス官民訪欧ミッションより ) 1. 官民訪欧ミッションの概要 2. ドイツのスマートグリッド関連動向 (1) ドイツがスマートグリッドに取り組む背景 (2)E-Energy プロジェクトの背景 目的 (3)E-Energy プロジェクトの概要 (4)MOMA(Model City of Mannheim) プロジェクトの概要 (1 2) (5)MOMA プロジェクト実証内容 (1 2 3) 3. フランスのスマートグリッド関連動向 EDF のスマートメーター導入 (1 2) 平成 22 年 12 月 16 日 商務情報政策局情報経済課

1. 官民訪欧ミッションの概要 目的 実証プロジェクトや国際標準化等 様々な分野における欧州との協力関係を深めるため JSCA 会員企業とともに官民ミッションを組成し ドイツ ベルギー フランスにおける欧州の主要な機関を訪問した 主催 スマートコミュニティ アライアンス (JSCA) ( 独 ) 新エネルギー 産業技術総合開発機 (NEDO) 経済産業省 参加者 民間企業 : 伊藤忠商事 ( 株 ) 東京ガス ( 株 ) 東京電力 ( 株 ) ( 株 ) 東芝 三菱電機 ( 株 ) ( 株 ) 日立製作所 パナソニック ( 株 ) トヨタ自動車 ( 株 ) 等 NEDO: 渡邊理事 ( 事務局長 ) 等 経済産業省 : 富田審議官 ( 商務情報政策局 ) 小井沢交渉官 ( 資源エネルギー庁省エネルギー 新エネルギー部 ) 村瀬課長 ( 商務情報政策局情報経済課 ) 等 全 13 社 ( 欧州現地法人含む ) 日程 2010 年 11 月 15 日 ( 月 )~19 日 ( 金 ) 11/15( 月 ) 移動 11/16( 火 ) ドイツ ドイツ経済技術省 (BMWi) 環境自然保護 原子力安全省 (BMU) 他との意見交換 NOW( 燃料電池水素機構 ) との意見交換 ジェトロ ベルリン勉強会 日独スマートグリッドセミナー 11/17( 水 ) ドイツ MVV( 電力会社 ) との意見交換 現地見学 (MOMA(E-Energy) プロジェクト ) 11/18( 木 ) ベルギー 欧州委研究総局との意見交換 欧州委エネルギー総局との意見交換 欧州委情報社会総局との意見交換 日欧スマートグリッドセミナー 11/19( 金 ) フランス ADEME 理事長との意見交換 EDF との意見交換 エコロジー省との意見交換 JBIC 勉強会 経済省との意見交換 日仏スマートグリッドセミナー

(1) ドイツがスマートグリッドに取り組む背景 日本と同様にドイツでは信頼性の高い電力システムへの再生可能エネルギー導入が課題 1 欧州最高レベルの 電力供給信頼性 ドイツにおける年間の事故停電時間 :36.5 分 (2006 年 ) 参考日本 :16 分 (2007 年 ) フランス :57 分 (2004 年 ) 英国 :100 分 (2006 年 ) 2 エネルギーセキュリティの向上 及び 温暖化対策 の必要性 固定価格買取りによる分散型再生可能エネルギーの積極導入 参考再生可能エネルギー発電量の消費電力量に対する割合 : 14.2%(2007 年 ) 3 丌安定な再生可能エネルギーを最大限活用するシステム の必要性 再生可能エネルギーの余剰は需給バランスを乱す要因 E-Energy プロジェクトによる新たなエネルギーシステム構築 リアルタイム料金やデマンドレスポンス等により エネルギーの供給だけでなく需要も積極的にマネジメント 電力会社がプロジェクトを主導

(2)E-Energy プロジェクトの背景 目的 個々の需要家が発電事業者となり (Consumer から Prosumer へ ) 自由に電力を融通する 分散型 双方向のエネルギーシステム を実現 1 背景 ドイツにおける再生可能エネルギーの導入目標 :30%(2020 年 ) 供給サイドからだけでは 再生可能エネルギーの受入れや制御が困難 電力会社が積極的に需要側のエネルギーマネジメントに取り組むモチベーション 2 目的 エネルギー 環境問題の解決 新たな雇用と市場の創出 イノベーションの推進 電力システムの転換 電力消費に合わせた供給 から 電力供給( 再生可能エネルギー ) に合わせた消費 へ 個々の需要家は Consumer( 消費者 ) から Prosumer = Producer( 生産者 )+Consumer ( 消費者 ) へ変化 発電 送配電 消費 の一方通行から 発電 送配電 消費 貯蔵 が相互に連携 補完する新しい電力システムを構築 将来的には需要家が参加できるエネルギーの自由な取引市場の形成を視野に入れている 出所 : ドイツ政府資料

(3)E-Energy プロジェクトの概要 ドイツ国内 6 地域において需要側に主眼を置いたエネルギーマネジメント実証を推進 1 プロジェクトの概要 経済技術省 環境省が主導 2008 年 9 月から地域特性に応じた 6 プロジェクトを開始 2013 年までの予算規模は総額 1 億 4000 万ユーロ 2 6 プロジェクトの特徴 (Ⅰ)eTelligence 再生可能エネルギー ( 風力 ) と冷蔵倉庫の連携 (Ⅱ)RegModHarz 再生可能エネルギー ( 風力 ) と揚水発電所の連携 (Ⅲ)E-DeMa 家庭におけるマイクロコジェネと家電の協調制御 (Ⅳ)SmartW@TTS 自治体主導による電力の取引市場モデルの構築 (Ⅴ)MOMA (Model city of Mannheim) リアルタイム料金及びホームコントローラによる家電の制御及び電力取引市場のモデル検討 (Ⅵ)MEREGIO リアルタイム料金及びホームコントローラによる家電の制御及び 2 地域間の連携 ( 風力 + 冷蔵倉庫 ) ( 風力 + 揚水発電 ) ( マイクロコジェネ+ 家電 ) ( 自治体による電力取引市場モデル ) ( リアルタイム料金 + 家電 電力取引市場 ) ( リアルタイム料金 + 家電 2 地域間連携 ) 出所 : ドイツ政府資料

(4)MOMA(Model city of Mannheim) プロジェクトの概要 1 リアルタイム電力料金情報をもとに Energy Butler( エネルギーの執事 ) が家電製品の稼働を制御し エネルギー利用を最適化 将来は近隣住宅とのエネルギー融通も可能に 1 プロジェクトの目標 エネルギーのセル ( 細胞 ) モデル 住宅 ( セル ) ひとつひとつがエネルギーの自給自足を行い 丌足する場合は隣の住宅 ( セル ) からエネルギー融通を受けることで 地域レベル ( マイクログリッド ) でのエネルギーマネジメントを実現 将来的にはマイクログリッド間での融通も視野に含む Energy Butler( エネルギーの執事 ) による家電制御 リアルタイム電力料金情報 (1 時間毎 ) 情報をもとに Energy Butler と呼ぶコントローラが需要家の設定に応じて家電製品 電気自動車 PV マイクロコジェネ等の稼働 (ON/OFF) をコントロールし 家庭内エネルギー利用を最適化 将来的な電力取引市場モデルの検討 個々の需要家の電力売買を可能とする市場を構築し 電力取引によるピーク調整を実現する一方 グリッドの供給信頼性の確保も実現 2 プロジェクト参加企業 MVV( ドイツ電力第 5 位 ) DREWAG( エネルギー 水供給の公益事業体 ) IBM フラウンホーファー研究所等 出所 :MVV 資料

(4)MOMA(Model city of Mannheim) プロジェクトの概要 2 今年度は 2 段階の電力料金提示による需要家行動の変化を検証中 次年度は 1500 世帯を対象に よりきめ細かい 30 段階の料金設定で家電制御の実証を予定 実証スケジュール 第 1 フェーズ ( システム動作確認 ) 2009 年 7 月 ~ 対象 : 住宅 20 戸 技術的な試験 第 2 フェーズ (2 段階の電力料金提示による需要家行動の検証 ) 2010 年 10 月 ~ 対象 : 住宅 200 戸 ( 実際は 105 戸 ) 1 時間毎の電力料金を通知 単純化のために電力料金は 2 段階 (15 25 セント /kwh) 1 時間毎の料金変化による需要家の行動変化を実証 Energy Butler による家電制御は無し 第 3 フェーズ ( 予定 :Energy Bulter による家電制御 ) 2011 年 8 月 ~ 対象 : 住宅 1500 戸 電力料金は 30 段階 Energy Butler による家電制御を実施 自動制御 / マニュアル制御は需要家が自由に設定 ( 例えば 料金が セント以下になったら 洗濯機を稼働させる等 ) Comsumer Prosumer 出所 :MVV 資料

(5) MOMA プロジェクト実証環境 1 実証環境 ( 視察先 ) マンハイム市内の一般の戸建住宅 ( 実生活環境 ) Energy Butler スマートメーター PV(150W) インターネットアクセス有 Energy Butler への情報提供は 電力会社経由 (Web) と スマートメーター経由 の双方が可能 よりリアルタイム性を確保できる方法で将来的に実装を検討 Energy Butler への料金表示 実証実験の対象となっている住宅 ( 視察先 ) エナジーバトラー 家電制御 (ON/OFF) 用アダプター 出所 : 官民訪欧ミッション撮影

(5) MOMA プロジェクト実証風景 2 MVV としては リアルタイム電力料金の提示は需要家の行動変化を促進するものであり きめ細かい料金設定と家電製品の簡便な制御による需要側のエネルギーマネジメントが重要と認識 実証環境 ( 視察先 ) 電力料金は 2 段階 ( 赤 :25 セント 緑 :15 セント ) この住宅では料金表を印刷し冷蔵庫に毎日貼り付け その結果 前年と比較して 1 年間の使用電力量は変わらないものの 電気代は 80 ユーロ (1 割 ) 減尐 理由は住民が緑色の時間帯に集中して洗濯機や冷蔵庫等の家電を動作させたため ( 例 ) 冷蔵庫は 温度センサーを見ながら極力緑の時間帯に過冷却しておくとのこと 電力料金は電力取引市場の価格及び需要予測を元に算定 風力発電が余剰の場合 電力の価格が極めて低くなることから 次年度以降のきめ細かい料金設定 (30 段階 ) による さらなる電気料金削減に期待が寄せられている 1 時間毎の料金表 ( 赤 緑 ) Web 上における時間帯別料金表示 25 セント 25 セント 15 セント 15 セント 出所 : 官民訪欧ミッション撮影

3. フランスのスマートグリッド関連動向 EDF のスマートメーター導入 1( ヒアリングより ) EDF が 40 億ユーロを投じてスマートメーター導入を急加速 スマートメーターの単価は 25 ユーロ ( 約 3000 円 ) が目標 ERDF(EDF の配電子会社 ) の配電網は配電自動化システムを導入済みで信頼性は高い それゆえ 再生可能エネルギーや EV 導入への対応が喫緊の課題 ERDF は配電自動化システムを導入済み ( カバー率 :100%) 一方 フランスでは 2020 年までに再生可能エネルギーの導入率 :23% が目標 2020 年までに 200 万台の EV を導入見込み ERDF は 3500 万個のスマートメーター導入のために 40 億ユーロを投入し 取組みを大幅加速化 ERDF は 2010 年初頭からスマートメーター実証を実施し 既に 15 万個を設置済み (11 年上期には 30 万個の設置を完了予定 ) 8 月 31 日付政令で電気料金算入によるコスト回収が認められたため 総額 40 億ユーロを投じて 積極的に導入を推進 スマートメーターの価格目標は実導入フェーズで 25 ユーロ ( 約 3000 円 ) メーターのデータは消費者がコントロールするものであり 同意を得て第 3 者提供も可能 スマートメーターの価格は実証段階で 50 ユーロ 実導入段階ではその半分程度を期待 ( この価格には中圧 低圧のコンセントレータの費用や工事費も含む ) スマートメーターの所有権は配電事業者が有するが スマートメーターによって得られるデータは消費者がコントロールするものとの認識 従って 消費者の合意が得られれば 第 3 者へのデータ提供も可能

3. フランスのスマートグリッド関連動向 EDF のスマートメーター導入 2( ヒアリングより ) EDF はスマートメーターの標準化 HAN との接続に関して日本企業との連携に前向き スマートメーターの標準化に関して 日本企業の参画を期待するとともに 日仏の実証の相互連携による成果の共有を期待 メーター自体は 20 年 30 年で更新するが IT の世界は 1 2 年で技術が進歩する 将来のイノベーションに適応可能なメーターを設計 導入することが重要 リヨンでは 5000~10000 件のスマートハウス実証を行う予定 日仏で実証に関する協力体制を構築し 消費者の反応や技術開発について成果を共有できれば 互いにとって有用 EDF は増加するエネルギー需要に対応するためにデマンドレスポンスを積極活用 家電等との接続に関して日本企業との連携を期待 フランスでは 電源の 90% が非化石 (75% が原子力 15% が再生可能エネルギー 1 0% が石炭 石油 ガス ) フランスの電力需要の伸び率は年間約 1GW( 約 1%) この 1GW 分の需要増への対応は 化石燃料を利用した発電所建設ではなく ピーク抑制 ピークシフトで実現したい EDF としては スマートメーターに価格シグナルを送り 気温低下時に暖房の設定温度を 1 3 低くすることを可能としたく 日本企業の技術に大きく期待 特に スマートメーターはベンダーによらない複数の家電製品と通信する必要があるため HAN の通信規格の共通化が必要 リヨンのプロジェクトで実証するとともに 日本におけるプロジェクトとの連携や日本企業の協力も大変期待