参考資料4 日冷工の温暖化防止と次世代冷媒への取り組み((社)日本冷凍空調工業会作成資料)

Similar documents
AMOLEA yd

改正前のオゾン層保護法の概要 オゾン層破壊効果のあるフロンの生産量 消費量の削減義務を課した オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書 の国内担保措置として オゾン層保護法 に基づき 特定フロン の製造 輸入を規制し オゾン層破壊効果のない 代替フロン への転換を図ってきた モントリオール

スライド 1

特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)の一部改正法律案の概要

別紙 フロン排出抑制法に基づく平成 28 年度のフロン類の再生量等及び破壊量等の集計結果について 環境省 1. 再生量等の集計結果 (1) 再生量フロン排出抑制法に基づき第一種フロン類再生業者から報告のあった平成 28 年度におけるフロン類の再生量の合計は約 1,248 トンであり 平成 27 年度

Microsoft PowerPoint - 1基調講演_:冷媒フロンの現状と課題について配布資料1.pptx

もくじ 1. 我が国のフロン類対策 排出の現状 と国際的な動き 2. 改正フロン法の概要 ( フロン類製造業者 冷凍空調機器等 製造業者関係 ) 1

事例8_ホール素子

もくじ Ⅰ. フロン対策の必要性 Ⅱ. フロン排出抑制法について Ⅲ. 注意喚起 1

資料2-3 代替フロン等3ガスの排出抑制の課題と対策の方向性(参考資料)

【set】基本計画(環境部_次世代冷凍空調技術)

資料2-3 代替フロン等3ガスの排出抑制の課題と対策の方向性(参考資料)

資料2 フロン類等対策の現状と課題及び今後の方向性について(案)

1 いるいかんそうき私たちの家にあるエアコン 衣類乾燥機 自動車 スプレーなどにはフロンが使われています どのような種類のフロンが使われているか見てみましょう 以前は冷蔵庫にもフロンが使われていましたが ほとんどがノンフロンになりました 他の製品もノンフロン化を進めましょう エアコン カーエアコン

参考資料1-1 フロン類等対策の現状と課題及び今後の方向性について(中間整理)

平成○○年○○月○○日

オゾン層保護から温暖化対策へ 1(ODS からの代替 ) CFC-12 使用機 ( カーエアコンなど ) は 90 年代前半 ~ 半ばに代替 HCFC-22 を使用した家庭用 業務用エアコンは 2000 年前後から代替開始 別置型ショーケースは 2007 年頃から HFC への代替が本格化 用途 特

フロン回収・破壊法の改正内容等について

番号文書項目現行改定案 ( 仮 ) 1 モニタリン 別表 : 各種係 グ 算定規程 ( 排出削 数 ( 単位発熱量 排出係数 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 年度 排出係数 (kg-co2/kwh) 全電源 限界電源 平成 21 年度 -

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

モントリオール議定書キガリ改正の内容 2009 年以降 地球温暖化対策の観点から モントリオール議定書に代替フロンを追加するという議論が行われてきたが 2016 年 10 月にルワンダ キガリで開催された MOP28( 第 28 回締約国会合 ) で 代替フロン (HFC) を新たに議定書の規制対象

1. 背景 フロン類を巡る規制と対策の流れ オゾン層保護 地球温暖化防止 CFC 洗浄剤 冷媒などに使用オゾン層破壊効果大地球温暖化係数 (GWP) 3,800~14,000 オゾン層破壊メカニズムの発見 1985 年ウィーン条約採択 HCFC 冷媒 断熱材などに使用オゾン層破壊効果小地球温暖化係数

もくじ Ⅰ. フロン対策の必要性 Ⅱ. フロン排出抑制法の概要 1

Solstice ( ソルスティス ) yf - 世界が取り組む課題への グリーンなソリューション ソルスティス yf について EUでは 2011 年のEUカーエアコン ( MAC) 指令発効以降 新モデル車両への GWP( 地球温暖化係数 )150を超える冷媒の使用を禁止しています カーエアコン

第一種特定製品をお持ちの方へフロン排出抑制法に関するお知らせ 秋田県生活環境部環境管理課大気 水質班 第一種特定製品とは 1 業務用のエアコン 1 及び 2 業務用の冷蔵機器及び冷凍機器であって 冷媒としてフ ロン類が使用されているもの 業務用のエアコン パッケージエアコン ビル空調用ターボ冷凍機

フロン類製造業者等の フロン類の使用合理化の状況

事例2_自動車用材料

目 次 Ⅰ. 現状認識と対策の考え方 1. 現状認識 2. 対策の考え方 Ⅱ. 具体的な対策の方向性 1. フロン類使用製品のノンフロン 低 GWP 化促進 ( 機器 製品メーカーによる転換 ) 2. フロン類の実質的フェーズダウン ( ガスメーカーによる取組 ) 3. 業務用冷凍空調機器使用時にお


PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション

岐阜県 ( 県主催説明会等での質問 ) フロン排出抑制法 Q&A No. 大分類小分類質問回答 1 全般法対象機器 第一種特定製品とは具体的にどのような製品か ( 真空脱脂洗浄機は第一種特定製品となるのか 工場で使用するドライヤーは第一種特定製品になるのか等 ) 国 Q&A No.1 業務用のエアコ

Microsoft PowerPoint - (別紙1・表示なし)フロン排出抑制法の概要

Microsoft Word - IEA HPニュースレター国内版第41号.docx

<4D F736F F D B B83578B6594BB2D834A836F815B82D082C88C60202E646F63>

p01

参考資料 5 ( 平成 26 年 10 月 24 日合同専門家会合第 1 回資料 4-1 より抜粋 データを最新のものに更新 ) 温室効果ガス排出量の現状等について 平成 27 年 1 月 23 日

資料1 最終版

平成26年度化学物質安全対策

目次 1. 奈良市域の温室効果ガス排出量 温室効果ガス排出量の推移 年度 2010 年度の温室効果ガス排出状況 部門別温室効果ガス排出状況 温室効果ガス排出量の増減要因 産業部門 民生家庭部門

様式第1(第4条関係)

2015環境報告書_0610.indd

1. 分子内に塩素 フッ素を持つ含ハロゲン化合物 クロロフルオロカーボン (CFC) はその安定性 安全性の特徴から1980 年代までエアコンや業務用冷蔵庫 工業用チラーの作動媒体の主役として使われてきた モントリオール議定書が採択された1987 年以降は分子内に水素 塩素 フッ素を持つハイドロクロ

3R対策技術への取り組み

内容 1 冷凍空調と冷媒の歴史 2 フロン対策の経緯 3 低 GWP 冷媒 ノンフロン冷媒の開発 4 高圧ガス保安法の改正とフロン排出抑制法 5 次世代冷媒の動向 6 地球環境を守るために

⑧差替え2_新技術説明会_神戸大_川南

Microsoft PowerPoint 改正法の概要(FULL)

第一種特定製品の管理者が取り組むべき措置について フロン類の漏えい防止対策が必要です 第一種特定製品とは 1 業務用のエアコンディショナー 1 及び 2 業務用の冷蔵機器及び冷凍機器であ って 冷媒としてフロン類が使用されているもの 管理者とは原則として 当該製品の所有権を有する者 ( 所有者 )

うるさら7チラシ

H1

平成 27 年度補正予算中小企業等の省エネ 生産性革命投資促進事業費補助金 設備別省エネルギー効果計算の手引き 省エネルギー効果計算について 平成 28 年 7 月 2.0 版

業務用のエアコンや冷凍 冷蔵庫を使用されている皆様へ 平成 27 年 4 月よりフロン排出抑制法が施行され 新たにフロン類使用機器の管理方法に関する基準の遵守が必要となります 高い温室効果を持つフロン類 (HFC 等 ) の排出量が冷凍空調機器の冷媒用途を中心に 今後増加していくと見込まれていること

公開用_ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の定義と評価方法(150629)

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

<4D F736F F D F8E9197BF F935F90AE979D82BB82CC E9F90A291E38ED4816A E312E646F6378>


PowerPoint プレゼンテーション

技術資料 387 F 社東京都 H21.05 Hフーズ北海道 H21.05 N 流通センター佐賀県 T 物流センター千葉県 I 社福岡県 H21.09 M 食品山形県 H21.09 T 物流センター千葉県 Q 流通香川県 N 冷蔵新潟県 I 食品福岡県 S 社埼玉県 Kフーズ愛媛県 S 冷蔵宮城県

国土技術政策総合研究所 研究資料

お知らせ

「エアコン」購入ガイドライン

別紙 1 フロン排出抑制法の概要 ~ 改正法に基づき必要な取組 ~ 2015 年 1 月環境省 経済産業省

4 推進体制別途添付いたします 5 公表の方法等 ホームページアドレス 閲覧場所 窓口で閲覧 所在地 冊 子 閲覧可能時間 冊子名 入手方法 その他

<4D F736F F F696E74202D E8D8291BA976C817A8B438CF3836C F815B834E D83938B4B90A B8CDD8AB7838

CKTB-3103 東芝スーパー高効率菜種油入変圧器 2014 スーパー高効率菜種油入変圧器 シリーズ

空調・冷凍製品における温室効果ガス排出削減の取組みについて,三菱重工技報 Vol.55 No.1(2018)

<4D F736F F D E918A6990A793788A CEB0D1CDDFB0BCDE8C668DDA816A E31302E318CF68A4A2E646F63>


業務用空調から産業用まで 圧倒的な効率で省エネやCO2排出量削減に 貢献するKOBELCOのヒートポンプ ラインナップ一覧 業界最高効率の高い省エネ性 シリーズ 全機種インバータを搭載し 全負荷から部分 機 種 総合COP 冷房 供給温度 暖房 熱回収 冷温同時 製氷 冷媒 ページ HEMⅡ -10

“Å’V‚““⁄…J…^…“…O2008.4

平成8年2月28日\(水\)

P IDFIDU.indd

ア. 製品 機器に関する禁止事項 2006 年規制による対象製品 機器 2006 年規制によって 市場で販売することがすでに禁止されている製品 機器があった ( 上市禁止 ) 対象となっていたのは F ガスを含むか その機能を F ガスに依存している製品 機器であり 下記に挙げるものである また 六

<4D F736F F D208EC090D195F18D908F B4C93FC977697CC816A32392E30322E31352E646F63>

目 次 1. 事業概要 趣旨 調査の実施期間 可燃性冷媒の動向について フロン類における現状 本国における対応 欧州における対応 世界の規格について 各規格と可

Microsoft Word - JSRAE冷媒提言書_ _

031006高橋.ppt

別紙 十分な知見を有する者について 1. 定期点検について専門点検 ( 簡易点検により 漏えい又は故障等を確認した場合に 可能な限り速やかに実施することとされている ) 及び定期点検については フロン類の性状及び取扱いの方法並びにエアコンディショナー 冷蔵機器及び冷凍機器の構造並びに運転方法について

Microsoft Word - 世界のエアコン2014 (Word)

01盤用熱対策機器_coolcabi.indd

別紙1:第一種特定製品の種類


CONTENTS

世界の CO2 排出量と東京都 2013 年度は 東京 63.8 百万トン シンガポールフィンランドポルトガルスウェーデンデンマーク < 東京 < マレーシアベルギーオーストリア 2

J I S J A S O 廃止提案書 1. 対象規格 JASO M 304:02 ( 自動車用発泡体 ) 2. 廃止の背景と理由この規格は自動車用の断熱 防音 防振及びクッション用材料の性能 試験方法を標準化する趣旨で 1969 年に制定され 以後 4 回の改正が行われた なお 本年度の定期見直し

地域別世界のエアコン需要の推定について 年 月 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 日本冷凍空調工業会ではこのほど 年までの世界各国のエアコン需要の推定結果を まとめましたのでご紹介します この推定は 工業会の空調グローバル委員会が毎年行 なっているもので 今回は 年から 年までの過去 ヵ年について主

3 地球温暖化対策の推進に関する方針及び推進体制 (1) 地球温暖化対策の推進に関する方針 [ 基本理念 ] 人類が自然と調和し 未来にわたり持続可能な発展を実現するため NTT グループ地球環境憲章に則り NTT 西日本はグループ会社と一体になって 全ての企業活動において地球環境の保全に向けて最大

170221_2(2)

00_testo350カタログ貼込.indd

Microsoft PowerPoint - 資料7-5.ppt


第 1 章 L P ガスはクリーンエネルギー LP ガスとは LP ガス (LPG) とは Liquefied Petroleum Gas( 液化石油ガス ) の略称で プロパン (C3H8) やブタン (C4 H10) を主成分とするガス体エネルギーです 特に主成分がプロパンの場合は プロパンガス

資料1 美しい星へのいざない「Invitation to 『Cool Earth 50』」~3つの提案、3つの原則~」

センタリング

ガスヒートポンプエアコン メンテナンス契約のおすすめ|2018年11月

Microsoft PowerPoint - H27年度補助金説明会資料(フロン室)

HIGIS 3/プレゼンテーション資料/J_GrayA.ppt

mail - 1 -

NHK環境報告書2008

Transcription:

参考資料 4 日冷工の温暖化防止と 次世代冷媒への取り組み JRAIA ( 社 ) 日本冷凍空調工業会 The Japan Refrigeration and Air Conditioning Industry Association FEB. 23, 2011 Copyright 2011 JRAIA 1

世界のエアコン市場 71.4 (million units) (2009 calendar year) 0.9 エアコン市場の成長は続き 2020 年には 1 億台を超えるとも予想 2

日本冷凍空調工業会の温暖化防止への取組みと次世代冷媒の取り組み 3 つの基本的原則 機器の 省エネルギー 冷媒の 大気放出抑制 新冷媒への 転換推進 エネルギー起源 CO2 排出抑制 冷媒回収促進 使用時の排出抑制 冷媒管理制度導入 自然冷媒の利用 低 GWP 冷媒の探索 3

ヒートポンプと 冷媒 Heat Pump System Refrigerant 冷媒は Heat Pump System にとってその機能を発揮するのに不可欠な要素 冷媒の選択と適切な管理は極めて重要 4

経済産業省資料 5

経済産業省資料 6

Refrigerant emissions in the world (2002) 冷媒で年間 20 億トン -CO2 が排出 殆どが HCFC 冷媒でモントリオール議定書では排出規制がない 京都議定書では対象外冷媒で温暖化ガスにもかかわらず排出量としてカウントされない 冷媒分野の排出量 CO2 換算で 20 億トン (IPCC/ TEAP Reports 2005) 約 8% に相当 CO2 総排出量 240 億トン (IEA データ ) 冷媒の市場ストックの推定 CO2 換算で 200 億トン ( 日冷工推定 ) 2007 CO2 総排出量 290 億トン (IEA データ ) 7

背景 次世代冷媒の開発 1 冷凍空調機器の市場拡大と HFC 普及による温暖化影響の増大 2 新興国の R22 から代替冷媒への転換 3LCCP 見直しの中での冷媒影響の増大 情勢 1 ASHRAE( 米国暖房冷凍空調学会 ) が新微燃性冷媒グレード A2L を設定しその使用規格を作成するなど 世界的に微燃性冷媒の使用を進める動きがある 2 国連が中国の微燃性冷媒プロジェクトを承認している 3 途上国において HC や R32 の動きが出始めている 方針 今後の冷媒選定の選択肢を増やす為の活動を開始する 1 微燃性冷媒の課題を整理し 使用条件の検討に入る 2 その検討をもって国内規格を整備し 同時に ASHRAE 会議や IEC ISO の規格改訂に参画する 8

次世代冷媒の条件 安全性 毒性がない 可燃性リスクが尐ない 環境性 オゾン層破壊係数 =0 温暖化係数極めて低い 性能 LCCP が優れている 冷房時性能が同等程度 経済性 妥当なコストであること 9

冷媒の種類と分子構造 冷媒に要求される特性 潜熱が大きい 圧力損失が小さい 化学的に安定 不燃性 毒性が無い ODP がゼロ GWP が小さい 経済的に安価 オイルとの相性が良い 電気的に絶縁物など CFC ( クロロフルオロカーボン ) エタンやメタンの水素を塩素やフッ素に置換塩素があるためオゾン層を破壊する HCFC ( ハイドロクロロフルオロカーボン ) 水素を含むのでオゾン層への影響が尐ない R12 R22 F F-C-Cl Cl F F-C-H Cl HFC ( ハイドロフルオロカーボン ) 塩素を含まないのでオゾン層を破壊しない 自然冷媒自然界に存在する物質温暖化の影響は尐ないが性能面で問題が多い F F F F F R134a F-C-C-H R32 F-C-H R125 F-C-C-F F H H F H CH 3 H H H R601 CH 3 -C-H メタン H-C-H エタン H-C-C-H ( イソブタン ) CH 3 H H H R717 NH3 R744 CO2 R718 H2O ( アンモニア } ( 炭酸ガス ) ( 水 ) 10

冷媒に関する内外の動向と今後の展開 冷媒はヒートポンプの性能 効率に関わる重要な要素 HFC の温暖化影響からフェーズ アウト フェーズ ダウンの議論 EU カーエアコンの GWP150 以上の冷媒使用禁止が決議 (2011 年 ~) 米国冷媒メーカー デュポン ハネウエルの政治的な動き モントリオール議定書 (1987 年 ) オゾン層保護 京都議定書 (1997 年 ) 地球温暖化防止 HFC 冷媒の適正管理責任ある使用 特定フロン CFC: R11,R12 (1996 年全廃 ) HCFC: R22 R123 (2020 年全廃 ) ( 先進国のスケジュール ) オゾン層破壊 ( 塩素を含んでいる ) 代替フロン HFC: R32,R125,R134a R404A R407C=R32+R125+R134a R410A=R32+R125 温暖化影響今後代替が進みストックが増加 新冷媒 ( 低 GWP 冷媒 ) HFO1234yf の登場圧力損失大 ( 性能に課題あり ) 微燃焼性 微毒性の懸念一部の機器を除いて使用は困難 自然冷媒 NH3 CO2,HC 等オゾン層破壊 地球温暖化影響が尐ない性能 安全性に問題有り一部の機器の使用に留まる 11

日本で主な機種で使用される冷媒種と冷媒充填量 機種分類 市中稼働台数推計 ( 台 ) 主に使用される HFC 種類 1 GWP 1 台当たり冷媒充填量の範囲 小型冷凍冷蔵機器 ( 内蔵型業務用冷蔵庫等 ) 約 760 万台 R-404A HFC-134a 等 3,260 1,300 数百 g~ 数 kg 1 別置型ショーケース 約 140 万台 R-404A R-407C 等 3,260 1,526 数十 ~ 数百 kg 2 その他中型冷凍冷蔵機器 ( 除く別置型冷凍冷蔵ショーケース ) 約 130 万台 R-404A R-407C 等 3,260 1,526 数 kg~ 数十 kg 3 大型冷凍機 ( ターボ ) 約 0.8 万台 HFC-134a R-245FA 等 1,300 3,260 数百 kg~ 数 t 4 ビル用マルチエアコン 約 100 万台 R-410A R-407C 等 1,725 1,526 数十 kg~ 数百 kg その他業務用空調機器 約 950 万台 R-410A R-407C 等 1,725 1,526 数 kg~ 数十 kg 2 家庭用エアコン約 10,000 万台 R-410A 1,725 約 1kg 程度 1:R-404A は (HFC-125/HFC-143a/HFC-134a:44/52/4) R-407C は (HFC-32/HFC-125/HFC-134a:23/25/52) R-410A は (HFC-32/HFC-125:50/50) の混合冷媒 2: その他業務用空調機器 の大多数は店舗用 PAC であり 冷媒充填量は数 kg 程度 注 1: 一つのビルや店舗等に複数の機器を設置する場合も多い 注 2: 市中稼働台数推計は 機器の出荷台数に経年による廃棄状況を勘案して算出 冷媒ストック量推計は 市中稼働台数推計に冷媒充填量及び排出係数を勘案して算出した値であり 実測値ではない 出典 : 経済産業省推計 12

代表的フルオロカーボンの ODP と GWP ODP 1 45 100 CFC11 CFC12 0.1 0.01 0.08 0.06 0.04 0.02 1.4 HCFC123 11.9 HCFC22 ー CFC502 0.001 0 0.006 ~ CO2 1 1 10 100 1000 10 4 10 5 内の数値は寿命 ( 年 ) 2 4 6 8 HFC152a 1.4 HFC32 GWP(100 年値 ) 5 R407C 260 13.8 260 HFC134a R410A 260 29 HFC125 R404A HFC23 260 13

代表的フルオロカーボンの燃焼速度と GWP 50 燃焼速度 ( cm/sec ) 40 30 20 10 0 R290 (39) R152a (23) R717 (7.2) HFO1234yf (1.5) 2L( 微燃の境界線 ) R32 (6.7) R22 (0) R410A (0) 0 500 1000 1500 2000 2500 GWP( 温暖化係数 ) () 内数値は 燃焼速度を示す 燃焼速度 0 は不燃で 等級は 1 となる 14

代表的冷媒の GWP と安全等級 分類略称冷媒番号 CFC HCFC HFC 混合系 その他 地球温暖化係数 (GWP 100 年値 ) ASHRAE34 CFC-11 4,750 A1 CFC-12 10,900 A1 HCFC-22 1,810 A1 HCFC-123 77 B1 HFC-32 675 A2 (A2L) HFC-134a 1,430 A1 HFC-245fa 1,030 B1 R-502 4,660 A1 R-404A 3,920 A1 R-407A 2,110 A1 R-407C 1,770 A1 R-410A 2,090 A1 R-410B 2,230 A1 HFO-1234yf 4 A2 (A2L) R-290 (propane) ~20 A3 R-600a (isobutane) ~20 A3 R-717 (anmonia) <1 B2 (B2L) R-744 (CO2) 1 A1 安全等級 15

Next Generation Refrigerants candidate for A/C Properties Refrigerants Pressure (MPa) VoL Cool Capacity COP ODP GWP (IPCC 4AR) R22 1.73 100 100 0.05 1810 R410A 2.72 141 92 0 2090 Natural Synthetic R32 2.80 160 97 0 675 HFO1234yf 1.16 57 90 0 (4) HFO-Mix??? 0 300~500? New??? 0? R717 (NH3) 1.78 116 106 0 0 R290 (Propane) 1.53 83 98 0 <3 R744 (CO2) 10.00 243 41 0 1 16

Flammability Properties Minimum Ignition Energy (MJ) Ignition Point ( ) Burning Quantity (kj/kg) Burning Velocity (cm/sec) LFL (VOL%) UFL (VOL%) ASHRAE safety classification R22 - - - - - - - R410A - - - - - - - Natural Synthetic R32 30-100 648 9.3 6.7 14.4 33.4 2L HFO1234 yf >1000 405 10.3 1.5 6.2 12.3 2L HFO-Mix??????? New??????? R717 (NH3) R290 (Propane) R744 (CO2) 100-300 651 18.6 7.2 15.2 28 2L 0.25 410 46.3 39 2.1 9.5 3 - - - - - - - 17

HFO1234yf の研究開発 定置用の空調機器で開発を進めてきたが良い結果は得られていない 1 微燃性のリスクあり高湿度条件では燃焼性が増加 2 圧損が大冷房時の能力低下が大きい冷房時の電力供給が問題機器間の接続配管径が 1~2 ランク大きくなる 3 燃焼時の HF の発生 4 系統内の水分による影響 5 R32,R134a との混合冷媒にする必要あり GWP の増加 6 経済性の課題 18

R32 の検討 1 GWP が 675 R410 の 1/3 であるが, HFO や HFO-MIX 他の自然冷媒に比べて依然大きい 2 冷媒としての特性は非常に優れていて 効率はとても良い 3 供給能力もあり経済性も優れている 4 微燃性のリスクがある 5 吐出温度が高くなる 6 日本では法的に微燃性冷媒のカテゴリーがなく可燃性の扱いを受ける微燃性のリスク評価を実施 19

冷媒種別の総合的な温暖化インパクト試算とエネルギー効率 ( 家庭用エアコン 4kW) Comparison of LCCP and Energy Consumption Ratio for Cooling Operation of 4Kw Room Air Conditioner 計算前提 :RAC 4kw (CO2 排出係数 0.425[CO2-kg/kwh] 寿命 12 年 運転時間 9Hr/Day 稼動時冷媒漏えい率 2%/ 年 廃棄時冷媒回収率 30% で評価の場合 ) R410A( 標準 )(1kg) 23 3860 501 1345 R410A( 高効率 )(1.4kg) 32.2 3281 702 1883 CO2(1.05kg) 0 4687 0 1 R290( フ ロハ ン ;Secondly)(0.5kg) 0.25 3860 1 2 R32(1.1kg) 13.2 3217 178 478 1234yf+R32 ( 混合比 50:50) (1.2kg) 25.2 3646 98 263 1234yf ( 但し熱交大型化 ) (1.2kg) 36 4101 1 3 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 1 冷媒製造工程 2 運転電力 (12 年分 ) 3 使用中の漏洩 (12 年分 ) 4 廃棄時放出分 20 20

冷媒種別の総合的な温暖化インパクト試算とエネルギー効率 ( 家庭用エアコン 4kW) Comparison of LCCP and Energy Consumption Ratio for Cooling Operation of 4Kw Room Air Conditioner 計算前提 :RAC 4kw (CO2 排出係数 0.425[CO2-kg/kwh] 寿命 12 年 運転時間 9Hr/Day 稼動時冷媒漏えい率 2%/ 年 廃棄時冷媒回収率 30% で評価の場合 ) RAC 4.0kw 冷房運転電力費 R410A( 標準 )(1kg) 115 R410A( 高効率 )(1.4kg) 100 CO2(1.05kg) 143 R290( フ ロハ ン ;Secondly)(0.5kg) 133 R32(1.1kg) 97 1234yf+R32 ( 混合比 50:50) (1.2kg) 132 1234yf ( 但し熱交大型化 ) (1.2kg) 167 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 21 21

HC 冷媒のリスク評価 1 GTZ( ドイツ ) が HCFC 代替として途上国を中心に HC 系冷媒を推奨している 2 HC は強燃焼性物質 3 爆発 火災事故のリスクが大きい 4 一部のシステムを除いて一般の空調機への使用は極めて危険である 5 海外では事故例も報告されている 22

冷凍 空調機器での炭化水素系冷媒による爆発事故例 機器冷媒時期 場所事故状況備考 家庭用冷蔵庫 イソブタン 英国 家庭 台所の冷蔵庫が爆発 ドアが吹き飛んだ 仕様表に冷媒量や冷媒種別の記載や注意書き無し 家庭用冷蔵庫 ブタン系 韓国 英国 家の窓ガラスが破損 サムソンでは韓国 21 万台 中国 3 万 台 英国 40 万台リコール デフロストヒーターからの漏電が原因 冷凍機 プロパン ニュジーランド 消防士 1 名死亡 6 名重症 R22がプロパンに代えられていた カーエアコン HC 米国カリフォルニア 蒸発器からの冷媒漏れ 環境危機管理局の規制強化検討 米国環境保護局の発表 ダイキン資料から 炭化水素系冷媒はユーザーが危険を認識しにくいので事故の発生確率が増加する ニュージーランドのスーパーマーケットの火災写真 23

まとめ 1 いままでは省エネに軸足があったが 今後は冷媒問題が大きな鍵短期的には冷媒や機器の管理による使用時の漏洩量削減や機器廃棄時の冷媒回収の強化を行うことが必要 2 次世代冷媒にはいろいろな冷媒が提案がされているが GWP だけで判断するべきではない LCCP や経済性も重要な判断要素である特に毒性や可燃性などの安全性は極めて重要である採用の決定は慎重に行う必要がある 3 次世代冷媒はすべての機器に対して単一の冷媒に転換することは困難機種によって最適なものを選ばざるを得ない 4 将来 微燃性の冷媒を使用せざるを得ないことが予想されるが, リスク評価をしっかりと行うことが必要また安全法との整合も必要 5 ( 社 ) 日本冷凍空調工業会は今後も温暖化防止と冷媒問題に積極的に取り組んでいきたい 24