SPECT 画像作成のための基礎知識 Part.1 ( 収集編 ) 東芝メディカルシステムズ株式会社核医学システム営業部
ガンマカメラの分類 n 検出器の個数による分類 l l l l 1 検出器 2 検出器 3 検出器 4 検出器 n 検出器の形状による分類 l l l 丸形角形リング型 n 検出器の方式 l アンガー型検出器 u アナログ u デジタル l u フルデジタル半導体検出器 n 検出器の配置 l l 固定型バリアブルアングル型 n 検査目的 l l l 汎用頭部専用心臓専用 角形 2 検出器 丸形 1 検出器 180 配置 90 配置
ガンマカメラ (SPECT 装置 ) エマージェンシースイッチ 検出器 ハンドスイッチ 位置決めモニタ 赤外線自動近接機構 天板 コリメータ 寝台 ガントリ
検出器の原理 有効視野 対応するピクセルのカウントを 1 つ増やす 検出器 位置とエネルギーの計算回路 検出器シールド 収集メモリ 光電子増倍管 シンチレータ コリメータ 磁気ディスク
シンチレータ ガンマ線がシンチレータに入射すると相互作用を起こして 発光する 光電効果の場合 ガンマ線のエネルギーと発光量は比例する ガンマ線のエネルギーが高くなると吸収係数が小さくなるため シンチレータ厚の範囲で十分減衰できず通過してしまうガンマ線の割合が高くなる 低い低いガンマ線のエネルギー高い高い
光電子増倍管 (PMT) の配列 533x387mm 3 インチ PMT 53 本 2 インチ PMT 6 本 E.CAM の検出器 NaI シンチレータ 3 インチ PMT (76.2mm) 2 インチ PMT (50.8mm)
位置とエネルギーの計算 ( 概念 ) 位置 (X,Y) とエネルギー (Z) の計算回路 P1 W1:1 P2 W2:2 P3 W3:3 P4 W4:4 P5 W5:5 P6 W6:6 P7 W7:7 P8 W8:8 NaI シンチレータ 位置信号 X = ΣPi Wi Σ Pi エネルギー信号 Pi : 光電子増倍管の出力 Wi : 重み付け Z = Σ Pi
位置計算の考え方 位置 (X,Y) とエネルギー (Z) の計算回路 P1 (1) P2 (2) P3 (3) P4 (3) P5 (2) P6 (1) P7 (0) P8 (0) Pi 位置信号 X = ΣPi Wi Σ Pi = 1x1+2x2+3x3+3x4+2x5+1x6+0x7+0x8 1+2+3+3+2+1+0+0 = 3.5 * 実際には 2 次元 (X,Y) で計算
散乱線 (Scatter) とエネルギーの関係 ガンマ線が体内で相互作用を起こすとエネルギーが減衰する 100keV 70keV 120keV 140keV
理想的なエネルギースペクトラム 必要なのは散乱していない本来の情報 (Primary) だけ Primary Counts Scatter Photo peak Energy
ガンマカメラのエネルギー分解能 エネルギー分解能はエネルギースペクトラムの半値幅 (FWHM) で表現される 133 140 147 kev NaI シンチレータを使用したガンマカメラのエネルギー分解能は 10% 程度
実際のエネルギースペクトラム 一般的に 15 20% 程度のエネルギーウインドウを開いてデータ収集するため 本来の情報成分 (Primary) だけでなく散乱線成分 (Scatter) も混入してしまう エネルギーウインドウ Counts Scatter Total Primary Energy Photo peak
エネルギーウインドウ幅 99m Tc 600k counts ±2.5% ±7.5% 140keV±7.5% 140keV±2.5% 130 140 150 kev 1min 13sec 2min 34sec データ提供 : 川崎医科大学甲谷先生
散乱線による影響 93keV 185keV 93+185keV 93keV Scatter 185keV Scatter 93+185keV Scatter Free データ提供 : 千葉県がんセンター
コリメータの分類 n エネルギーによる分類 l 低エネルギー (150/170keV) l 中エネルギー (300keV) l 高エネルギー (400keV) l 超高エネルギー (511keV) n 分解能 / 感度による分類 l 汎用 l 高分解能 l 超高分解能 l 高感度 n 形状による分類 l パラレルホール l ファンビーム l 多焦点ファンビーム l ピンホール l マルチピンホール メーカ間での共通規格はありません A 社の高分解能コリメータが B 社の汎用コリメータより分解能が低いということだってありえます
コリメータの構造 1.11mm 穴径 コリメータ厚 24.1mm 隔壁厚 0.16mm * LEHR コリメータのディメンジョン
近接することの重要性 ポイントソースを近づける ポイントソースを遠ざける
近づけることの意味 LEHR コリメータ 最近接 10cm 20cm LMEGP コリメータ データ提供 : 川崎医科大学甲谷先生
エネルギーと隔壁厚の関係 低エネルギーコリメータ 高エネルギーコリメータ 140KeV 360KeV 360KeV
コリメータの X 線写真 LEHR LMEGP MELP FWHM:7.5 mm 感度 :5.5 cpm/kbq FWHM:10.3 mm 感度 :8 cpm/kbq FWHM:12.5 mm 感度 :8.4 cpm/kbq 管電圧 :120kV 距離 :3m データ提供 : 川崎医科大学甲谷先生
コリメータの違い 低エネルギー高分解能コリメータ 67 Ga シンチグラフィ 93keV 185keV (296keV) 中エネルギーコリメータ
123 I に対応したコリメータが必須 TOSHIBA LMEGP TOSHIBA LEHR Siemens LEHR 123 I-BMIPP 正面像
空間分解能 ( 位置分解能 ) n 固有分解能 (Ri : Intrinsic Resolution) l 検出器そのものの分解能 n 幾何学分解能 (Rg : Geometric Resolution) l コリメータの幾何学的構造により決定される分解能 l コリメータからの距離によって値が変わる l 一般的にコリメータ表面から 10cm の距離における値を代表値とする n システム分解能 (Rs : System Resolution) l 固有分解能と幾何学分解能から決定される測定系全体 ( システム ) の分解能 l 一般的にコリメータ表面から 10cm の距離における値を代表値とする n SPECT 分解能 l SPECT におけるシステム分解能 l Center Radial Tangential の 3 つの値で表す l 回転半径 コリメータにより値が異なる
FWHM & FWTM FWHM (Full Width at Half Maximum) FWTM (Full Width at Tenth Maximum)
FWHM の意味 FWHM より近接している場合 FWHM より離れた場合
固有分解能 シンチレータに密着した 2 つのポイントソースを分解する能力 XYZ 回路 XYZ 回路
幾何学分解能 コリメータにより シンチレータに入射するガンマ線の分布が異なる コリメータ A XYZ 回路 コリメータ B XYZ 回路 10cm
システム分解能 システム分解能は 検出器性能とコリメータ性能により決まる 分解能の高いシステム XYZ 回路 分解能の低いシステム XYZ 回路 10cm
SPECT 装置の分解能 位置とエネルギーの計算回路 固有分解能 幾何学分解能 ( コリメータからの 距離に依存 ) システム分解能 ( 総合分解能 )
システム分解能 Rs システム分解能 Rs = Ri 2 + Rg 2 Ri 固有分解能 Rg 幾何学分解能 ( 例 1) Ri = 3.8mm, Rg = 6.5mm Rs = 7.5mm ( 例 2) Ri = 4.5mm, Rg = 6.5mm Rs = 7.9mm
コリメータ表面からの距離とシステム分解能の関係 システム分解能 (mmfwhm) 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 5 10 15 19 距離離 (mm) LMEGP LEAP LEHR
コリメータ表面からの距離とシステム分解能の関係 LEHR 7.5mm FWHM@10cm 0cm 5cm 10cm 15cm 20cm 25cm 30cm 35cm LMEGP 10.3mm FWHM@10cm データ提供 : 川崎医科大学甲谷先生
コリメータによる画像の違い システム分解能 :7.5mm システム分解能 :8.6mm
SPECT 分解能 SPECT 再構成したラインソースの FWHM を用いる center radial 内径 1mm のラインソース tangential
各社の心筋 SPECT 用コリメータ システム分解能 @10cm[mm] 感度 [cpm/kbq] A 社 LEHR 7.4 5.5 LMEGP 10.3 8.0 B 社 LEHR 7.4 5.5 LMEGP 10.6 8.7 C 社 LEHR 7.4 5.4 ELEGP 10.0 8.6 D 社 VXHR 7.4 3.8 VXGP 7.8 4.2 核医学画像の定量化 基準化のための調査研究ワーキンググループ報告 http://www.jsnmt.umin.ne.jp/contents/wghoukoku/standard/kikiinfo.html
ピクセルサイズはどれくらい? SPECT 分解能 (FWHM) の 1/3 程度が適当です n 脳血流 SPECT の場合 検出器の回転半径は 13 15cm なので SPECT 分解能は 9 12mm 程度になるため ピクセルサイズは 3 4mm 程度が適当です n 心筋 SPECT 検査の場合 検出器の回転半径は 20~25cm なので SPEC T 分解能は 15~18mm 程度になるため ピクセルサイズは 5~6mm 程度が適当です
収集拡大率とピクセルサイズ (SymbiaE の場合 ) 64 128 256 512 FOV 1 9.60 4.80 2.40 1.20 533 1.23 7.80 3.90 1.95 0.98 500 1.45 6.62 3.31 1.66 0.83 424 1.78 5.39 2.70 1.35 0.67 345 2 4.80 2.40 1.20 0.60 307 2.29 4.19 2.10 1.05 0.52 268 2.67 3.60 1.80 0.90 0.45 230 3.2 3.00 1.50 0.75 0.38 192
脳血流 SPECT の有効視野 有効視野は 25cm 径程度で十分 20cm 径 25cm 径
収集拡大率とピクセルサイズ (SymbiaE の場合 ) 64 128 256 512 FOV 1 9.60 4.80 2.40 1.20 533 1.23 7.80 3.90 1.95 0.98 500 1.45 6.62 3.31 1.66 0.83 424 1.78 5.39 2.70 1.35 0.67 345 2 4.80 2.40 1.20 0.60 307 2.29 4.19 2.10 1.05 0.52 268 2.67 3.60 1.80 0.90 0.45 230 3.2 3.00 1.50 0.75 0.38 192
SPECT 有効視野 必要以上に SPECT 有効視野を大きくするとピクセルサイズが大きくなり small heart の影響が大きくなります 344mm (5.4mm) 身長 :166cm 体重 :68kg 422mm (6.6mm)
SymbiaE の有効視野とピクセルサイズ トランケーションエラー ( 体輪郭が有効視野からはみ出さない ) がなく かつ十分なピクセル当たりのカウントを確保することを意識してピクセルサイズを決めることが必要です 1.23 1.45 1.78 128 128 3.9mm 3.3mm 2.7mm 64 64 7.8mm 6.6mm 5.4mm 分解能とカウントのバランスを考慮すると 5.4mm 程度が適当 有効視野 498mm 422mm 344mm RI 集積がある部位が有効視野からはみ出さないようにすることが必要 SymbiaE/E.CAM の場合 一般的には 64 64 1.78 収集を推奨します
Emission & Transmission Emission Transmission
180 度収集と 360 度収集 180 度収集 360 度収集 J Nuci Med 23: 661, 1982
180 度収集と 360 度収集 B2 A1 A2 B1 20cm 円柱ファントム 180 度 Tc-99m 360 度 180 度 Tl-201 360 度 180 度 A1/A2 1.00 1.09 A1/A2 1.03 1.12 B1/B2 1.01 1.21 B1/B2 1.02 1.27 360 度 180 SPECT acquisition is generally preferred for both 201 Tl and 99m Tc protocols because of the higher contrast and resolution of the reconstructed images and greater patient throughput, although the use of 360 acquisition has been advocated on the basis of its superior image uniformity and greater immunity to artifacts. Guido Germano. Technical Aspects of Myocardial SPECT Imaging. J Nucl Med.2001;42:1499-1507
収集角度範囲 (180 度収集 ) による再構成画像の違い 44-224deg 92-272deg 136-316deg 180-360deg
180 度収集と 360 度収集 180 度収集の場合は 心筋に近い RAO45 ~LAO45 ~LPO45 を収集する RAO45 LAO45 LPO45 360 度収集 180 度収集
180 度収集と 360 度収集 180 度収集のほうがコントラスが高い 360 度収集 180 度収集
180 度収集と 360 度収集 360 度収集のほうが均一性が高い いわゆる 11 時方向のアーチファクト 360 度収集 180 度収集
180 度収集と 360 度収集 ( 正常データの平均画像 ) Kenichi Nakajima, et al. Ann Nucl Med (2007) 21:505 511