従業員のモチベーションモチベーションを上げるためにげるために給与給与の変動性変動性を検討検討するする日系企業日系企業が増えてきているが 労働法労働法の範囲内範囲内で事業主事業主が決められるめられる変動性変動性の範囲範囲は限られておりられており 各種規定各種規定に係る知識知識の重要度重要度が増しているしている また 日系企業日系企業の事業主事業主の責任範囲責任範囲が益々増えておりえており 権限委任権限委任に関するする知識知識の必要性も高まってきているまってきている こうした背景背景により 2006 年 12 月 7 日 ジャックジャック マルシアノマルシアノ氏 (Compta Plus 社 ) 及び松上賀英子氏 (MID MID) の 2 名を講師講師に迎え 上記 2 テーマを内容内容とするとするセミナーセミナーを開催開催 Ⅰ. 給与の変動性 変動報酬のポイントは 1 減益時に給与を下げて人件費を節約すること 2 従業員の努力に対して報酬を与えることにある 労働契約に明記された基本給はもともとの能力により固定された給与であるので 従業員の同意がない限り変動することはできない また 変動性は最初の雇用契約に明記していないと実施ができない 特別賞与として 毎年同じ基準で支給すると既得権となり 基本給の一部となる可能性があるので 注意を要する 1.1 労働契約書へのへの変動性変動性の記載 1 契約上の給与 : 殆ど変動性なし労働契約で交渉する給与額は 経験 能力によりお互いの合意により定められるものであるので変動性はあまりない 交渉により給与額を決定するといっても 労働法が定める最低賃金 団体協約により規定される職種による最低賃金を下回ることはできない 契約上の給与額は固定給与額となり 給与を上げる場合でも交渉しはければならない 賞与に関しては 労働契約書内に 賞与の計算方法を今後一部変更する可能性がある という一文を盛り込むことを勧める 契約書内に入れる変更可能性の条項は 客観的な理由に基づいてものでなければならない 2 給与変動条項固定給と歩合制 固定給と変動給の組み合わせなどが一般的である 変動条項内に会社の売上により変動するなど 計算方法を明記する必要がある 変動性が有効となるには下記の 3 つの条件が必要となる - 客観性の制約計算基準は雇用主が勝手に決められるものではなく 客観的でなければならない 計算方法が簡単で 従業員自身が自分で計算できるもの チェックが可能なものでなければならない - 会社のリスクを従業員に負わせてはならない 従業員は自分の職務遂行において条件を満たしていればいいわけで 経営者 出資者の決定により引き起こされたリスクを従業員が負う必要はない 1
- 最低賃金の遵守固定給と変動給の合計が労働法または団体協約で定められる最低賃金以下であってはならない 有効な条件の例として 売上に基づく変動 改定は 2 年毎などが挙げられる 有効な条件であっても 双方の合意がない場合は無効となる 歩合のパーセンテージを会社の経営状況により雇用主が決定するという条項は主観的であるので無効となる 最近の判例で給与全体の変動給与が認められた このケースでは 最初の 2 年間は固定給 その後は完全に変動になるが 最低賃金は補償されるというものである 3 目標条項 ノルマ条項従業員のモチベーションを高めるために目標条項を導入することが多い 例えば 郵便係りは配送数 会計は請求書の発行数 代金の回収率などの目標を設定する ただし 達成可能な目標を設定しなければならない 市場の規模 市場シェア 市場の特徴を考慮に入れ 達成可能な目標でなければならない また 目標達成のための手段を与えなければならない 毎年 双方の話し合いのもとに目標を調整することを契約書内に明記することも可能である 目標達成ができなかった場合は雇用契約を解消するという条項を定めることはできない この場合は能力不足などの理由で正当な解雇手続きを踏む必要がある 1-2. 労働時間 手当 1 労働時間の変動残業は雇用主から従業員への一方的に依頼するものであるので 残業時間を変動性の要素にすることができる 例えば 残業したい人がたくさんいる場合 雇用主がどの従業員を残業させるかを決定することにより ある一定の従業員の給与を残業代により上げることができる 一部の団体協約は 時短に伴う追加休暇 (RTT) の買い取りを企業内の合意があれば認めているので 同買い取りにより給与を調整することができる 反対に人件費を下げる場合は 残業代を支払うかわりに相殺代休を取得させることができる パートタイムの残業は労働時間の 10% を超えない範囲であれば可能であるので 上記の方法で変動性を持たせることが可能である 2 従業員別の手当の支給特別手当とは異なる目的を設定してそれが達成された人だけに支給する手当を設定することができる 例として 皆勤手当 能力に対する手当 生産性に対する手当などがある 皆勤手当は単純明解で欠勤率を下げる手段にもなる 能力に対する手当は 工員であれば一定の期間内に欠陥品がなく何個製造するなど基準が比較的簡単であるので 導入しやす 2
い 職種により能力評価が簡単な場合と難しい場合がある 生産性に対する手当は 質ではなく量により支給する すべての手当において 基準は客観的 かつ明確に定義されていなければならない 3 特別手当の良識的な使用法特別手当とは 特別な努力 特別注文などの特別な業務発生の場合に支給する手当である 特別手当はその特別な性質を維持する必要がある 単発的な性格を持つので金額もその都度変更となる 場合によっては 現物支給も特別手当となる 例えば 車の支給をしていなかった従業員に対してある一定期間 工事現場に行くために車を支給するのも特別手当とみなされる 1-3. 変動性と平等性平等性のバランス 1 無差別の原則客観的な基準に基づき 個別化はするが 差別化をしてはならない 例えば特別手当を一人除いて全員に支給した場合 その根拠を証明しなければならない 2 同一労働には同一の給与同じ仕事をする人は年齢 性別 国籍にかかわらず同じ給与を支給するのが フランスにおける給与の大原則である この場合の給与は 基本給 現物給与 歩合 各種手当などの合計となる 個別化する場合 客観的基準にもとづくものでなければならない 客観性を証明するものとして 1 材料となるものを準備 2 ポストの内容分析 3 仕事の質の分析を事前に行なう必要がある 係争に至った場合 雇用主は個別化が客観的基準に基づいたものであったことを立証しなければならない 一般的な個別化の方法は下記のとおり - ストックオプションの支給 - 任意で支給するアンタレッスモンの支給計算式は雇用主が自由に決定できるので 同制度を利用して従業員の支給額を個別化する - 仕事との関係の有無にかかわらず 職業研修を一部の従業員に受けさせる - 秘書であるが会計の資格も持っているなど多様な仕事ができる従業員に対して 手当を支給する Ⅱ. 社内におけるにおける雇用主雇用主の権限委任 雇用主の仕事が益々増えており 負担を減らすために権限委任をする必要が高まってきている また 日本人代表者はフランスのシステムを熟知していないので 一部の権限を別の人に委任する必要がある 権限委任をした場合に 受任者に一部の刑事責任が移転するので気をつける必要がある 3
2-1. 権限委任 : 必須事項 1 誰に委任するか原則として会社の従業員に委任する 同じグループ内であれば別の会社の従業員に委任することができるが 外部の人には委任できない 経営者は知識がなくても経営者という立場により権限を持つことができるが 受任者は委任された事項に関する知識を持っていなければならない 職級上の制限はなく能力が重視される しかし 命令を実行させるだけの権力を会社内で持ったひとでなければならないので 実質的には管理職となる 受任者は経営者の意見を伝達するのではなく 自分で決定 指示 実行する必要がある 権限委任と同時に 受任者に遂行に必要な手段を与えなければならない 手段が与えられなかった場合は 委任もなかったとみなされる 委任したにもかかわらず 社長が介入した事例では 委任はなかったとみなされた 場所の一貫性が要求され リヨン管轄の権限を在パリの従業員に委任しても 委任はなかったとみなされる 2 独占性と再委任 1 つの権限を複数の人に委任することはできない ただし 委任時に再委任を禁止する事項がなければ 受任者はその権限を複数の担当者に再委任することができる 3 委任形式委任形式に関して法律上では規制がないが 文書で委任するのが好ましい 特にリスクを伴う委任は責任の所在を明確にする必要がある どこまで何を委任するのか 委任の内容を明確にしなければならない ただし 全権限を委任することはできない 委任を行なった場合は 業務通達などの形で会社内に通知しなければ有効とならない 4 委任の効力受任者の同意がないと委任は無効となる 委任にともない 刑事責任は受任者に移行されるが 民事責任は事業主にある 2-2. 2. 人事 労使関係労使関係の管理管理のためののための委任 1 よく委任される人事管理の分野人事管理に関する事項は企業内で日常的に発生していることであるので 人事管理の多くの部分を委任する必要がある ただし 上級管理職の雇用に関しては事業主の権限となる 解雇手続きについても テクニカルな問題が多く時間を要する案件であるので 委任することが多い 2 権限委任と職場選挙受任者は従業員代表 企業委員会の委員になることができない また 従業員代表の選 4
挙における投票権もなくなる 3 企業委員会 衛生安全労働条件委員会の議長の受任者両者の委任は書面で行なう必要がある 企業委員会の議長は限定期間でも永久的でも委任できる ただし 事業主はいつでも委任を取り消すことができる 衛生安全労働条件委員会の議長は 安全に関する法律などを熟知する必要があるので人選は慎重に行なわなければならない 昨今の傾向として 技術的規制が厳しくなっているので 大企業では同ポスト専任の従業員を雇うことが多くなってきている 4 権限委任および妨害罪組合の自由と企業委員会に対する妨害は 個人による妨害となり 妨害した人が妨害罪に問われる ただし 委任をきちんとした形でしておかないと事業主が関っていたとされ 妨害罪に問われる場合もあるので注意する必要がある 2-3. 典型的な委任 : 衛生と安全 1 責任の評価労務関係の法規違反は 受任者が全面的に責任を取る この場合 どのように対処したかが問われるのではなく 結果が問われることになる 労災による死亡は 殺人罪に問われる場合もある 2 責任の免除のための委任事業主にかかる刑事責任が多すぎるので 責任免除のための委任も多々ある 工事現場に関しては 工事現場毎に責任者に委任することが義務付けられている この場合 委任は文書で行なうこと 受任者の承諾サインが義務付けられている 工事現場における委任に関する判例で 業務通達を送っただけだった場合は委任とはみなされなかった 責任者は一人だけと定められており 通常は事業主 委任の場合は受任者となる ただし 受任者が再委任をした場合 再委任された人の責任は事業主の責任となるので 気をつける必要がある 4 衛生安全労働条件委員会に対する妨害衛生安全労働条件委員会は命にかかわる事項を扱うので 同委員会に対する妨害に対する罰は重い また 事故が発生した場合 事業主が妨害を認知していたかどうかを確認 受任者に責任があるのか または事業主も共犯ではないかを調べる 質疑応答 Q :2007 年 2 月から公共の場での喫煙が禁止されるが 従業員が喫煙した場合に事業主の責任が追求されるのか A: 法律上の責任者は事業主となる 法律の適用は事業主の義務であり 喫煙者に警告を出 5
すなどして処罰しなければならない 対応を何もしていないと 事業主の責任となって処罰を受ける Q: 衛生安全労働条件委員会の設置義務はすべての企業にあるのか A: 従業員 50 人以上の企業 Q: 給与の変動性で 会社のリスクを従業員に押し付けてはいけないとあったが 会社全体の売上の増加 減少により 手当を変動させることは会社のリスクを押し付けることになるのか A: ならない 歩合制の基準を売上ではなく 損益にするとリスクを負わせることになる 売上が上がっても 会社の経営が悪いために純益が下がることはある 通常 操作できない 客観的な数字である総売上を基準とする Q: 同一労働には同一給与 とのことであるが 全く同じ給与でなければならないのか A: 厳密的にはそうである 駐在員と同じ業務をする現地職員の給与は 駐在員の給与と同じでなければならない ただし 駐在員には駐在員手当がつく 給与に差をつけるのであれば 差を証明しなければならない Q: 特別手当の支給根拠を説明する必要があるのか A: ない ただし 従業員からの要望があれば説明しなければならない 特別手当の支給時に従業員に受領サインなどはもらわないこと 双方でサインすると労働契約の変更となり 特別手当を毎年支給しなければならなくなる 皆勤手当は業務通達などで従業員に通知する必要がある 6