(Microsoft Word - \227\326\215s\220\264\217\221.doc)

Similar documents
2009/03/10 Capacity demands of automatic processes in semantic priming AVISHAI HENIK, FRANCES J. FRIEDRICH, JOSEPH TZELGOV and SARA TRAMER Memory & Co

Microsoft Word - Malleable Attentional Resources Theory.doc

Microsoft Word - Sensorimotor simulations underlie conceptual.doc

M1 二宮由樹 The Influence of Effortful Thought and Cognitive Proficiencies on the Conjunction Fallacy Implications for Dual- Process Theories of

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

共同研究目次.indd

Excelによる統計分析検定_知識編_小塚明_5_9章.indd

Exploring the Art of Vocabulary Learning Strategies: A Closer Look at Japanese EFL University Students A Dissertation Submitted t

にし, 本論文ではプライミング事態をとりあげ, 健忘疲 ~JYS と健常者を対象として長期の学習

研究成果報告書

順天堂大学スポーツ健康科学研究第 7 号 (2003) external feedback) といった内的標準を利用した情報処理活動を促進することを意図したものであった. 上記のように, 運動学習におけるフィードバックの研究は, フィードバックそのもののみに焦点が当てられてきた. そこで, 学習場面


発達教育10_087_古池.indd

ビジネス統計 統計基礎とエクセル分析 正誤表

Microsoft Word - 博士論文概要.docx

<4D F736F F F696E74202D B835E89F090CD89898F4B81408F6489F18B4195AA90CD A E707074>

研究計画書

EBNと疫学

C Approach to attention using Reverse Perspective illusion by Agent projecting three-d face picture into the Hemisphere Model Hikaru Komori Na

論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

2015実験ゼロ結果と考察 UP用.pdf

1. 多変量解析の基本的な概念 1. 多変量解析の基本的な概念 1.1 多変量解析の目的 人間のデータは多変量データが多いので多変量解析が有用 特性概括評価特性概括評価 症 例 主 治 医 の 主 観 症 例 主 治 医 の 主 観 単変量解析 客観的規準のある要約多変量解析 要約値 客観的規準のな

スライド 1

平成 17 年度岐阜県生活技術研究所研究報告 No.8 人間工学的手法による木製椅子の快適性評価と機能設計に関する研究 ( 第 8 報 ) 背もたれの最適な支持位置に関する検討 藤巻吾朗 *1 安藤敏弘 *1 成瀬哲哉 *1 坂東直行 *1 堀部哲 *2 Research on comfort ev

P3-37 100から1000までの数の空間表象 Mental representation for the number from 100 to 1000 岡本 真彦 米澤 生筒美 OKAMOTO Masahiko, YONEZAWA Itsumi 大阪府立大学人間社会学部 Osaka Prefe

ヘルメスの翼に

untitled

PowerPoint プレゼンテーション

リンクされたイメージを表示できません ファイルが移動または削除されたか 名前が変更された可能性があります リンクに正しいファイル名と場所が指定されていることを確認してください 9 2

PowerPoint プレゼンテーション

先端社会研究所紀要 第12号☆/1.巻頭言

ANOVA

技術開発懇談会-感性工学.ppt

ギター初心者のための 演奏練習支援システム 日本大学文理学部 情報科学科 B4 宇田川 真唯 1

担当 : 北原 Reactance, Compliance, and Anticipated Regret Matthew T. Crawford, Allen R. McConnell, Amy C. Lewis & Steven J. Sherman (2002). Jou

(3) 検定統計量の有意確率にもとづく仮説の採否データから有意確率 (significant probability, p 値 ) を求め 有意水準と照合する 有意確率とは データの分析によって得られた統計値が偶然おこる確率のこと あらかじめ設定した有意確率より低い場合は 帰無仮説を棄却して対立仮説

Medical3

Kumamoto University Center for Multimedia and Information Technologies Lab. 熊本大学アプリケーション実験 ~ 実環境における無線 LAN 受信電波強度を用いた位置推定手法の検討 ~ InKIAI 宮崎県美郷

SD SD SD

Présentation PowerPoint

Microsoft Word - youshi1113

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名小山内秀和 論文題目 物語世界への没入体験 - 測定ツールの開発と読解における役割 - ( 論文内容の要旨 ) 本論文は, 読者が物語世界に没入する体験を明らかにする測定ツールを開発し, 読解における役割を実証的に解明した認知心理学的研究である 8

情報工学概論

Microsoft Word - Anomalies in real and counterfactual worlds An eye-movement investigation.doc

自動車感性評価学 1. 二項検定 内容 2 3. 質的データの解析方法 1 ( 名義尺度 ) 2.χ 2 検定 タイプ 1. 二項検定 官能検査における分類データの解析法 識別できるかを調べる 嗜好に差があるかを調べる 2 点比較法 2 点識別法 2 点嗜好法 3 点比較法 3 点識別法 3 点嗜好

.A...ren

平成 26 年 8 月 21 日 チンパンジーもヒトも瞳の変化に敏感 -ヒトとチンパンジーに共通の情動認知過程を非侵襲の視線追従装置で解明- 概要マリスカ クレット (Mariska Kret) アムステルダム大学心理学部研究員( 元日本学術振興会外国人特別研究員 ) 友永雅己( ともながまさき )

甲37号

た 観衆効果は技能レベルによって作用が異なっ 計測をした た 平均レベル以下の選手は観衆がいると成績が 下がったが, 平均以上の選手は観衆に見られると成績が上がった 興味深いことに, 観衆効果は観衆の数に比例してその効果を増すようである ネビルとキャン (Nevill and Cann, 1998)

表紙

Microsoft PowerPoint - e-stat(OLS).pptx

( 続紙 1) 京都大学博士 ( 教育学 ) 氏名田村綾菜 論文題目 児童の謝罪と罪悪感の認知に関する発達的研究 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は 児童 ( 小学生 ) の対人葛藤場面における謝罪の認知について 罪悪感との関連を中心に 加害者と被害者という2つの立場から発達的変化を検討した 本論文は

Microsoft Word - intl_finance_09_lecturenote

(Microsoft Word - \211\211\217K\207T\225\361\215\220\217\221[1].doc)

偶発学習及び意図学習の自由再生に及ぼすBGM文脈依存効果

( 様式乙 8) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 米田博 藤原眞也 副査副査 教授教授 黒岩敏彦千原精志郎 副査 教授 佐浦隆一 主論文題名 Anhedonia in Japanese patients with Parkinson s disease ( 日本人パー

.T.C.Y._.E..

[obr]1-1.indd

研究の背景社会生活を送る上では 衝動的な行動や不必要な行動を抑制できることがとても重要です ところが注意欠陥多動性障害やパーキンソン病などの精神 神経疾患をもつ患者さんの多くでは この行動抑制の能力が低下しています これまでの先行研究により 行動抑制では 脳の中の前頭前野や大脳基底核と呼ばれる領域が

切片 ( 定数項 ) ダミー 以下の単回帰モデルを考えよう これは賃金と就業年数の関係を分析している : ( 賃金関数 ) ここで Y i = α + β X i + u i, i =1,, n, u i ~ i.i.d. N(0, σ 2 ) Y i : 賃金の対数値, X i : 就業年数. (

表 回答科目数と回答数 前期 後期 通年 ( 合計 ) 科目数 回答数 科目数 回答数 科目数 回答数 外国語 ( 英語 ) 120 / 133 3,263 / 4, / 152 3,051 / 4, / 285 6,314 / 8,426 外国語 ( 英語以

New Color Chemosensors for Monosaccharides Based on Azo Dyes

TOYOK-01_24704.pdf

Microsoft PowerPoint - R-stat-intro_12.ppt [互換モード]

[ 演習 3-6AA] ウェブページの検索結果の表示順序 ( 重要 ) 10D H 坂田侑亮 10D F 岩附彰人 10D D 財津宏明 1.1 ページランクとは ページランクとは グーグルが開発した検索エンジンのウェブページの重要度を判定する技術である サーチエ

日心TWS

コーチング心理学におけるメソッド開発の試み 東北大学大学院 徳吉陽河

2 DV 3. セックス ワーク論, 2005, 職業スティグマ Goffman 1963 Dirty WorkHugher, 1951; 1958; 1962 Dirty Work Ashforth & Kreiner 1999 Dirty Work prestige 3 dimen

日本語「~ておく」の用法について

1. 期待収益率 ( 期待リターン ) 収益率 ( リターン ) には次の二つがあります 実際の価格データから計算した 事後的な収益率 将来発生しうると予想する 事前的な収益率 これまでみてきた債券の利回りを求める計算などは 事後的な収益率 の計算でした 事後的な収益率は一つですが 事前に予想できる

1. 研究の背景 目的 背景 臼杵の町は 城下町であったこともあり 地形を上手に利用した特色のある街並みが形成されている 現在臼杵では 歴史的景観を保存 再生する街並みづくりが行われている そして中央通商店街周辺においても整備計画が持ち上がっている 目的 VR をもちいた景観シミュレーションにより

Microsoft Word - N1222_Risk_in_ (和訳案).docx


測量試補 重要事項 応用測量

様式 3 論文内容の要旨 氏名 ( 内田遼介 ) 論文題名 スポーツ集団内における集合的効力感の評価形成過程に関する研究 論文内容の要旨 第 1 章研究の理論的背景集団として 自信 に満ちた状態で目前の競技場面に臨むことができれば, 成功への可能性が一段と高まる これは, 競技スポーツを経験してきた

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

<4D F736F F D F4B875488C097A790E690B C78AAE90AC838C837C815B FC92E889FC92E894C5>

untitled

Microsoft PowerPoint - 05 資料5 白井委員

問 題

英語                                    英-1

異文化言語教育評価論 ⅠA 第 4 章分散分析 (3 グループ以上の平均を比較する ) 平成 26 年 5 月 14 日 報告者 :D.M. K.S. 4-1 分散分析とは 検定の多重性 t 検定 2 群の平均値を比較する場合の手法分散分析 3 群以上の平均を比較する場合の手法 t 検定

IBM Software Business Analytics IBM SPSS Missing Values IBM SPSS Missing Values 空白を埋める際の適切なモデルを構築 ハイライト データをさまざまな角度から容易に検証する 欠損データの問題を素早く診断する 欠損値を推定値に

フトを用いて 質問項目間の相関関係に着目し 分析することにした 2 研究目的 全国学力 学習状況調査結果の分析を通して 本県の児童生徒の国語及び算数 数学の学習 に対する関心 意欲の傾向を考察する 3 研究方法平成 25 年度全国学力 学習状況調査の児童生徒質問紙のうち 国語及び算数 数学の学習に対

DF-200

講義「○○○○」

Medical3

PowerPoint Presentation

本文/扉


侵入挙動の反復性によるボット検知方式


T_BJPG_ _Chapter3

ダンゴムシの 交替性転向反応に 関する研究 3A15 今野直輝

研究成果報告書(基金分)

0_____目次.indd

31608 要旨 ルミノール発光 3513 後藤唯花 3612 熊﨑なつみ 3617 新野彩乃 3619 鈴木梨那 私たちは ルミノール反応で起こる化学発光が強い光で長時間続く条件について興味をもち 研究を行った まず触媒の濃度に着目し 1~9% の値で実験を行ったところ触媒濃度が低いほど強い光で長

RSS Higher Certificate in Statistics, Specimen A Module 3: Basic Statistical Methods Solutions Question 1 (i) 帰無仮説 : 200C と 250C において鉄鋼の破壊応力の母平均には違いはな

P pdf, page Preflight ( P indd )

1 から 1000 までの整数の中で 約数の数が 最も多い数字の求め方 0. はじめにこのファイルは あべしん が mixi 内で一部に公開した 第 14 回勝抜杯 の予選奮戦記 弱くても解けます を改訂してまとめたものである 主な変更内容は以下の通り mixi 内の奮戦記で示した解法を ノーカット

Transcription:

Aha! Insight experience correlates with solution activation in the right hemisphere EDWARD M. BOWDEN and MARK JUNG-BEEMAN(Northwestern University, Evanston, Illinois) Psychonomic Bulletin & Review 2003, 10 (3), 730-737 従来の洞察研究では主観的ものに大きく依存しているため 洞察のプロセスの深い理解には繋がりにくい feeling-of-kowing ratings( 既知感評定 ) warmth ratings これらのアプローチによって洞察問題は特徴付けられているが いずれも被験者の主観的な報告に頼っている この論文では 客観的尺度 ( プライミング効果 ) と被験者の主観的判断を関連付けるものである 洞察の主観的な経験 洞察問題の解決の難しさが解に関連する特徴の認識の失敗に起因するならば 洞察の経験はそれらの失敗が突然認識できたときに起こるだろう Bowers,Regehr,Balthazard, & Parker,(1990) の研究 不正解だった試みがしばしば正解に意味的に関連している Compound remote associate problems 1 に取り組み かつ それらの解決に失敗した場合でも 解決者は解に近いターゲットの単語を解とは無関係な単語よりも早く読む (Beeman & Bowden, 2000; Bowden & Beeman, 1998) 解を産出する過程において すでに意味活性化されたいくつかの情報を突然に認識したとき Aha! 体験が起こると考えられる 解とは関連のない間違った強い活性化が弱まったとき 解に関連する活性化を意識的に認識することができるようになるだろう この論文では先行するプロセス ( 意味活性化 ) が洞察を引き起こした場合とそうでない場合でどのような違いがあるかを評価するために洞察評定を使用する 1 解決者に 3 つの問題単語 ( 例えば tooth,potato,heart) を提示し 共通して当てはまる単語 ( 例えば sweet) を産出するように求めるといった問題 1

脳半球の違い 脳半球の意味活性化のパターンの違いが 解の産出と相互に関係しているかに注目する 文字刺激の意味プライミングにおける脳半球の違い (e.g., Beeman, 1998; Beeman,Bowden, & Gernsbacher,2000; Beeman & Chiarello, 1998) 右半球 (right hemisphere : RH) 粗い意味コーディングを行なっており 単語に遭遇した直後に異なる意味や遠い関連性に対して 弱く 拡散的に活性化する 左半球 (left hemisphere : LH) 精緻な意味コーディングを行なっており 単語の 1つの解釈や 親密なものや 文脈上適切に関連しているものに対して 強く 集中的に活性化する 洞察問題解決は最初に問題との関係を遠く感じていた第二 第三の単語や概念 情報の解釈を必要とする よって RHの粗い意味コーディングの手助けがより必要になる (Beeman & Bowden, 2000; Bowden & Beeman,1998; Fiore & Schooler, 1998) 従来の研究ではcompound remote associate problemsに取り組んだ問題解決社は LHとRHの意味活性化で違うパターンを示した (Beeman & Bowden, 2000;Bowden & Beeman, 1998) プライミング効果は左視野 - 右半球 (left visual field-rh : lvf-rh) のターゲット単語で強く現れ 右視野 - 左半球 (right visual field-lh : rvf-lh) では弱く現れた 洞察問題において RHの解に関係する活性化が最低でも解の認識にとって有益である さらに 解を生成する役割をも果たしているのかもしれない Experiment プライミングによる解に関係する意味活性化と 洞察の評価の間の関連性について検討する また 従来の実験 (Beeman & Bowden,2000; Bowden & Beeman, 1998) と同様に lvf-rhにターゲット単語を提示した方が rvf-lhにターゲット単語を提示するよりも強いプライミング効果が得られることと 素早く解の正否判断ができることを確認する 2

Method Participants アメリカ英語を母語とする学生 44 名 Materials 課題は144 問のcompound remote associate problems(beeman & Bowden, 2000; Bowden & Beeman, 1998;Bowden & Jung-Beeman, in press) であった これらの問題は一部では洞察を起こし 一部では起こさないものであった Produce 試行は注視点をスクリーンの中央に提示することから始まり 続いて水平方向に 3つの問題刺激を提示した 被験者が答えを考える時間は7 秒間だった 制限時間が過ぎるか 被験者が解を述べたならば 問題刺激は消され トーン音が 250msec 流れ 注視点が再び500msec 現れた ターゲット単語を180msec 提示し ターゲット単語を読み上げる時間を3sec 与えた ターゲットの単語は半分が正解単語と同じであり もう半分は正解単語とは関係がない単語だった また ターゲット単語の提示は半分を右視野に もう半分を左視野とした 被験者はターゲット単語を読み上げた後 ターゲット単語が正しい答えだったかそうでなかったかを判断した モニターに SOLUTION? という表示がなされ 手元のスイッチで Yes/Noを行った 最後に被験者は洞察の程度の評定を5 段階評価で行った Result 制限時間内の正答率は19.4%(SD=6.0) であった ターゲット単語の正確な読み上げ率は90.2%(SD=6.8) であった 6 人のデータが外れ値であったため 差し替えられた 洞察評価とプライミングの関わり 制限時間内で正解した問題において 全試行が分析から削除された 2つの被験者のデータが 5 以下のhits 数だったため除外された 全ての試行でほとんど同じ評価をした2つのデータが除外された Figure1に残り40 人の脳半球別の洞察評価とプライミングの効果を示した 3

洞察とプライミングの脳半球間での関係について 洞察評価とプライミングの間でのピアソンの相関係数が脳半球別に被験者ごとに計算された 脳半球 評価の条件で観測されたセルが少なかったため また 意味活性化が RT と洞察評定の間で1つの要素でしか関与がみられなかったため 相関は低くなると予想された 相関係数について Z 得点化し t 検定を行った 相関係数はrvf-LHにターゲット単語を提示した場合 (average z=.048, SE 50.041) より lvf-rhにターゲット単語を提示した方 (average z=.178, SE50.040) が有意に高かった 全ての洞察評価の水準を使用した被験者はたった8 人だったため 半球 評価条件の分散分析は行えなかった 評価点ごとの脳半球の違いによるプライミング効果の比較 t 検定を行ったところ 最も洞察的であるという評価を得た水準のみで rvf-lhよりlvf-rhのほうが有意に早く反応していた ( 水準 5の場合 t(26)=52,p=.03 水準 4の場合 t(36)=3.6,p<.07) 以前の研究の再現データ ターゲット単語読み上げまでの遅延時間 制限時間内正解できなかった場合 rvf-lhのほうがlvf-rhより21 秒早くターゲット単語を読み上げることができた (F(1,43)=4.0,p=.05) table1に44 人の参加者の遅延時間の平均を提示した 4

ターゲット単語のタイプでの読み上げの遅延時間の比較 ターゲット単語が正解単語の読み上げのとき 関係の無い単語の読み上げより55 秒早かった (F(1,43)=45.9,p<.0001) 脳半球別のターゲット単語のタイプでの読み上げの遅延時間の比較 lvf-rhの場合 ターゲット単語が解の単語だった場合 ターゲット単語が無関係な単語の場合より70msec 早かった (F(1,43)=48.4,p<.0001) rvf-lhの場合 ターゲット単語が解の単語だった場合 ターゲット単語が無関係な単語の場合より39msec 早く有意に早かった (F(1,43)=11.1,p<.002) ターゲットタイプ 提示半球 関係性の相互作用がRHのプライミング効果で 66msecの優位性を見せた (F(1,43)=4.7,p<.04) 解の正否判断の遅延時間 制限時間内に答えられなかった問題で検討 テーブル2が42 人の参加者の決定の潜伏期間の平均である 5 以下の正答数だった参加者は除外した 反応タイプの主効果があった hit 反応をした ( ターゲット単語が正解であるとし それが正しかった ) 被験者は245msecの時間 correct rejection( ターゲット単語が間違っているとし それがただしかった ) 場合よりも早かった (F(1,43=5.7,p<.03)) 被験者の反応はlvf-RHのほうがrvf-LHよりも67 秒早かった (F(1,43)=2.1,p<.16) 反応タイプと提示半球の間の交互作用はなかった 5

解の正否判断の正確さ 不正解だった問題に続くターゲット単語の読み上げが正しかった場合 ターゲット単語の正否判断をrvf-LH(86.4%) と同等にlvf-RH(85.8) でも行っていた 感度分析 (d ) によると lvf-rhのターゲット単語の決定 (d =2.32,SD=.84) とrvf-LH のターゲット単語の決定 (d =2.37,SD=.81,t<1) を同じ程度の敏感さで行っていた 考察 プライミングと洞察評定 プライミングによる解に対する意味活性化が起こったとき 被験者は洞察の評価をより高くした 興味深いことに 洞察の感覚と解の活性化の間の関係はRHのほうがLHよりも強かった 洞察評価を通して 被験者はターゲット単語の提示をrvf-LHよりlvf-RHにしたほうが長い解のプライミングを見せている 解の正否判断 解の正否判断においてもrvf-LHよりlvf-RHにターゲット単語を提示したほうが早いという結果になった 解の正否判断の正確さについては lvf-rhとrvf-lhの場合で同じ程度であることを示した まとめ この研究でもっとも重要な点は 主観的な評価と認知プロセス ( 意味活性化 ) の独立した尺度 ( プライミング ) とリンクしているということである 問題解決者が洞察的な体験をしたものと同じ試行で プライミング効果を示した事実は Aha! 体験が解に関係する先行する無意識の活性化に影響することを一部分で支持する 解の活性化がLHより RHにおいて多く起こり そういった RHの活性化がLH の意味活性化より強くAha! 体験と関連していることがわかった 6